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神奈川県衛生研究所

衛研ニュース
No.210

健康食品との上手な付き合い方

2022年5月発行

「医食同源」という言葉を知っていますか。広辞苑によると「病気をなおすのも食事をするのも、生命を養い健康を保つためで、その本質は同じだということ。」とされています。では、医薬品と食品はどこで袂が分かれ、区分されるのでしょうか。どうやって境界線が引かれているか、また、誤解されるおそれがある健康食品について、その種類及び注意するべきことを紹介します。

食品と医薬品

食品衛生法では「食品とは、全ての飲食物をいう。ただし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品は、これを含まない。」とされています。つまり口から体に取り入れるものは食品か医薬品等かということになります。
また、医薬品は薬機法で「人の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物、人の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物」等とされています。そのため、食品であるにも関わらず病気の治療等を目的とすることは、その境界線を越えてしまうことになります(図1)。




図1 医薬品と食品の境界線

一方で、医薬品の「効能・効果」ではありませんが、一定の「機能」を表示することが認められている保健機能食品があります。

保健機能食品と注意点

保健機能食品とはその名のとおり一定の機能をもつ食品で、特定保健用食品栄養機能食品及び機能性表示食品の総称です。医薬品ではないので、その機能は病気の治療等を目的としてはおらず、健康が気になるというような方が対象の食品です。
特定保健用食品(トクホ)は、生理学的機能などに影響を与える保健機能成分が含まれ、特定の保健の用途に資する旨が表示されます。その有効性及び安全性は消費者庁にて個別に審査されます。同じ保健機能が表示されていても、成分により作用機序が異なるため、製品パッケージやメーカーホームページで摂取方法や注意事項などを確認することが重要です。
栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなど健康の維持に重要な特定の栄養成分を補給するための食品で、商品ではなくその栄養成分の機能を表示することができます。特定保健用食品と違い消費者庁による個別の審査はなく、定められた基準を満たしていればその表示が可能になります。一日の摂取目安量や注意事項の表示義務がありますので、必ずその内容を確認するようにしてください。また、栄養機能食品と表示しながら、定められた栄養成分以外に他の成分を入れて、その成分をメインに広告している製品も見受けられます。栄養機能食品として配合された成分を確認するよう心掛けましょう。
機能性表示食品は保健機能食品の中では最も新しくできた制度で、2015年から運用されています。それまで機能を表示することができるのは、特定保健用食品及び栄養機能食品に限られていましたが、機能性表示食品も科学的根拠に基づいた機能を表示できるようになりました。国の審査がなく、事業者の責任で科学的根拠を基に正しい情報提供が行われることが前提となっています。
これら保健機能食品を利用する場合は医薬品との飲み合わせにも注意する必要がありますので、薬局、パッケージ又は消費者庁ウェブサイト等で正しい情報をよく確認し、理解して使用することが大事です。
これらの他にも世の中に流通している食品類を見ると「栄養補助食品」、「サプリメント」などと表示されている、いわゆる健康食品を多く目にします。

健康食品と注意点

「健康食品」はよく耳にする言葉ですが、実は法律上定義されておらず、国に認可された制度はありません。したがって、今まで述べてきた医薬品のような効能・効果はもちろんのこと、保健機能食品以外は含まれている栄養の摂取が目的で、「機能」をうたうことはできません(図2)。しかし、医薬品と混同し、医薬品的な効能効果を期待する消費者もいます。そのような消費者を対象に、虚偽・誇大表示を行っている事業者は多く、又、商品は数多くあり、消費者庁による改善要請等がなされています。



図2 医薬品と食品の分類

また、残念なことにいわゆる健康食品の中には違法に医薬品成分を添加した商品が海外及び国内で数多く報告されています。医薬品成分が添加された商品はいくら「食品」と称していても境界線を越えて「医薬品」として区分され、違法な無承認無許可医薬品となります。適正に製造販売されている医薬品と比べ、安全性の確認や徹底した品質管理がされておらず、過去には死亡事例も含めた多数の健康被害が報告されているなど、とても危険です。また、仮に使用によって一時的な症状の改善があったとしても、本来の受診機会の喪失により適正な治療を受けられないことも危惧されます。なお、発見された無承認無許可医薬品の中には、医薬品としての使用実績のない有効性・安全性が未知の構造類似成分や開発が中止になった成分が添加されるなど、より危険な事例も報告されています(図3)。



図3 承認医薬品成分であるシルデナフィルと構造類似成分の例

神奈川県衛生研究所における取組と安心して使用するために

当所では医薬品的効能効果を標榜する商品の排除と医薬品成分を添加した無承認無許可医薬品の流通防止のため、健康食品として流通している商品の検査を実施しています。また、より迅速かつ正確な試験検査が実施できる体制を整えるため、検査方法等について調査・研究しています。これまでにも違法な医薬品成分や構造類似成分を含む複数の無承認無許可医薬品を確認し、流通防止対応を行っています。そして、これら調査等で得られた情報を含め、出前講座等を通じて健康食品の注意点や無承認無許可医薬品の危険性などの情報を提供し、皆様に注意喚起を行っています。
 医薬品も食品もその本質は生命の維持・健康のためですが、健康食品を使用する目的や付き合い方を一歩間違えてしまえば逆に健康被害につながってしまいます。本当に必要な商品を見極めて購入し、症状によっては医療機関への受診を選択するなど、正しい知識・情報を得て付き合うようにしましょう。

(理化学部 岩橋 孝祐)

   
衛研ニュース No.210 令和4年5月発行
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