厚生労働省は平成23~24年度に加工食品と生鮮食品からの、アルミニウム摂取量の調査を行いました(表2)。平均的なアルミニウムの摂取量は、全ての年齢層においてJECFAの暫定耐容週間摂取量であるPTWIを下回りました(表3)。しかし、2群(穀類)と6群(菓子類)を多く摂取する小児では摂取量の多い5%が、PTWIを上回りました。アルミニウムの摂取量には穀類加工品や菓子類の影響が大きく、それらに膨脹剤として使用される硫酸アルミニウムアンモニウムや硫酸アルミニウムカリウムによるものと推察されました。摂取量の平均値ではPTWIを超えませんが、アルミニウムを含む食品を多量に摂取する一部の小児でPTWIを超える恐れがあるため、アルミニウム摂取の低減化に向けての検討が必要とされました。 |
表2 食品群別、年齢層別のアルミニウムの一日摂取量の推定(mg/人/日)
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表3 年齢層別のアルミニウムの一日摂取量とPTWIとの比較
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平成25年6月21日開催の「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会」に、この調査結果が報告されました。国際的にもアルミニウムを含む食品添加物の基準値の策定や見直しが進められていることを踏まえ、今後の対応が検討されました。小児のアルミニウム摂取量への寄与が大きいパン及び菓子への膨脹剤の使用について、関係業界に自主的な低減の取組みを依頼し、今後、アルミニウムを含有する食品添加物の使用基準を設定することを検討することが了承されました。
その後、平成25年7月1日に関係業界団体(日本食品添加物協会、全日本菓子協会、日本パン工業界、日本プレミックス協会、全日本パン協同組合連合会)に対して、「硫酸アルミニウムカリウム及び硫酸アンモニウムを含有する膨脹剤の使用量の低減について(依頼)」の通知が出されました。
現在は関連業界でも対応が進み、食品添加物としてのアルミニウムを含まない製品が多くなっています。海外でも基準の見直しが行われ、輸入食品でもアルミニウムの含有量は減少すると予想されます。家庭用のベーキングパウダーもアルミニウムを含まない製品が販売されており、家庭で使用する場合はそのような商品を選択されると良いでしょう。 |
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アルミニウムの摂取量の平均値はすべての年代で許容量を下回っていますが、2群(穀類)や6群(菓子類)の食品を好んで摂取する小児(1-6歳)で、摂取量が多くなる可能性があります。日常生活では、偏食をせずバランスの良い食生活をすることにより、アルミニウムの過剰な摂取を防ぐことができます。バランスの良い食生活は、健康的な生活をおくるための基本となるものです。毎日を健康に過ごすためにも、偏りのない食事を心がけましょう。
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(参考リンク)
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(理化学部 岸 弘子) |
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