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異味に関する相談には、苦い、えぐみがある、変な味がするなどがあります。原因には、苦みやえぐみのある物質が食品に入った、野菜などの中で苦みやえぐみのある成分が作られた、変敗してしまったなどがあげられます。
異味の検査では、何が異味の原因物質か予測して、食品中からその成分をうまく取り出し、取り出した成分が異味の原因となるか確認することが原因究明のカギとなります。しかし、食品中には様々な物質が含まれるので、目的の成分を取り出すことは容易でなく、取り出した成分が異味の原因か確認できないこともあります。
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未成熟のじゃがいもや表面が緑化したじゃがいもはソラニン類を多く含む可能性があります。表面が緑化していたら皮を厚くむき、苦みやえぐみを感じたら食べるのをやめましょう。 |
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異臭に関する相談には、シンナー臭や消毒臭、プラスチック臭がするなどがあります。原因には、果物が熟しすぎて酢酸エチル(シンナーのような臭い)が発生した、次亜塩素酸などの消毒薬が付着していた、耐熱性のないプラスチックを加熱したために臭いが移ったなどがあげられます。
異臭の検査では食品から揮発する成分を分析します。人の嗅覚の方が機器よりも鋭敏に感じる臭い成分が多いため、異臭は感じるものの機器では検出できない場合があります。また、異臭が発生した原因を探るため、異臭が発生した状況を再現してそれを対照品として検査する場合があります。
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この弁当箱はスチレンを含む樹脂製で耐熱温度は高くありませんでした。加熱によりスチレンが弁当箱から揮発し、ご飯に移った可能性が考えられます。食品を容器に入れてレンジなどで温める場合は、必ず加熱する方法に対応したものを使うようにしましょう。 |
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食品に関する異物混入や異味異臭などが発生した場合、その原因を究明することが、健康被害の不安解消や再発防止の対策を行うために重要になります。異物検査は組成や成分によって有効な検査方法が異なり、小さいものや硬いものなど検査しにくい異物があることから、どのような素材か見定めることは容易ではありません。異味異臭の検査では、原因となりうる成分は様々で性質も異なるため、原因成分を予測して取り出すこと、分析機器で検出すること、そして、その成分が原因であるか確認することは、非常に困難となる場合があります。
衛生研究所は、これまで積み重ねた知識と経験に基づいて、食の安全・安心を守るため、これからも異物混入などの食品に関する相談の原因究明に科学的側面から取り組むとともに、皆さんの食生活に役立つ情報を提供していきます。 |
(理化学部 酒井康宏) |