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1 夏に流行する感染症に注意!

2 H5N1型の高病原性鳥インフルエンザが、
「指定感染症」に指定されました!

NO.115


2006年8月発行 神奈川県衛生研究所



夏に流行する感染症に注意!

神奈川県感染症情報センタ-より

咽頭結膜熱(プール熱)やヘルパンギーナなど、夏に流行する感染症が、今年は例年と比べて増加傾向を示しております。神奈川県感染症情報センターより、咽頭結膜熱(プール熱)、手足口病、ヘルパンギーナの発生動向や予防法などをお知らせします。

           

企画情報部 水野桂子

1 咽頭結膜熱(プール熱)

咽頭結膜熱は、プールを介して流行することが多いことから、プール熱とも呼ばれています。また結膜炎を引き起こし、はやり目と呼ばれることもあります。

アデノウイルスによって引き起こされ、発熱、咽頭炎、眼症状を主とする急性ウイルス性感染症で、学童の発生が多い。

例年の傾向は22週(5月末~6月上旬)頃から患者発生が増加し、26週から30週にかけてピークを迎え、40週頃(10月初旬)に収束しています。今年は、神奈川県、県域(横浜市域及び川崎市域を除く)とも全国を上回り、また前回の流行(平成16年)を上回る流行となっております。21週頃から急増し、28週(7月10日~16日)には、定点当たりの報告数が2.24と警報レベルの目安である「2」を超えて、流行しています。

咽頭結膜熱(プール熱)グラフ

[症状]潜伏期5~7日、発熱で発症し、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎に伴う結膜充血、眼痛などを訴え、症状は3~5日間程続きます。眼症状は一般的に片方から始まり、その後他方にも出現します。眼に永続的な障害を残すことはありません。

特異的な治療法はなく、対症療法が中心となります。眼症状が強い場合には、眼科的治療が必要になることもあります。

[原因]原因ウイルスは、主にアデノウイルスと呼ばれるウイルスです。多くはアデノウイルス3、4、7型で引き起こされますが、逆にこれらのアデノウイルスに感染しても必ずしも咽頭結膜熱の症状が現れるとは限りません。

[予防]感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどです。また、プールからあがった時は、シャワーを浴び、目をしっかり洗い、うがいをする。

2 手足口病

手足口病は、口腔粘膜および手や足などにあらわれる水疱性の発疹を主症状とし、幼児を中心に夏季に流行する急性ウイルス性感染症です。例年の傾向では、22週(5月末~6月上旬)頃から始まり、27週から30週にかけてピークを迎え、40週頃に収束しています。

平成14年は流行発生警報の「5」を大きく上回る流行となりましたが、その後は大きな流行とはなっていません。今年は流行期に入っていますが、報告数は低く推移しております。

手足口病 グラフ

[症状]潜伏期3~5日、口腔粘膜、四肢末端などに2~3mmの水疱性発疹が出現し、通常は3~7日の経過で消退します。約1/3に発熱がみられますが、38℃以下のことがほとんどです。予後は良好ですが、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などが合併します。この病気に効く薬(抗ウイルス薬)はなく、症状をやわらげるために、安静、十分な水分補給、栄養補給に心がける。ほとんどが、1~7日間程度で治ります。

[原因]主な病因ウイルスは、エンテロウイルスであるコクサッキ-A16(CA 16)、あるいはエンテロウイルス71(EV 71) であるが、その他のエンテロウイルスによっても同様の症状を呈することがあります。

[予防]経口・飛沫・接触のいずれも重要です。エンテロウイルス全般として、主な症状が消失した後も3~4週間は糞便中にウイルスが排泄され、感染源となりますので、排便後の手洗いを徹底させる必要があります。

3 ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性発疹を特徴とし、夏期に流行する小児の急性ウイルス性咽頭炎であり、いわゆる夏かぜの代表的疾患です。患者の年齢は4歳以下がほとんどで、1歳代が最も多い。

例年の傾向は、22週(5月末~6月上旬)頃から始まり、27週から30週にかけてピークを迎え、40週頃に収束しています。今年は立ち上がりが早く、25週(6月下旬)に、県域の定点当たりの報告数7.07とピークを迎え、流行発生警報の開始基準「6」を超えましたが、昨年ほどの流行とはならずに、報告数は減少しております。

ヘルパンギーナ グラフ

[症状]2~4日の潜伏期間を経過し、発熱に続いて、口腔内に小水疱が出現します。小水疱は破れて潰瘍を形成し痛みを伴います。発熱は数日で解熱し、それとともに発疹も消失します。予後は良好ですが、まれに無菌性髄膜炎、急性心筋炎などが合併します。通常は対症療法のみであり、発熱や頭痛などに対してはアセトアミノフェンなどを用いることもあります。時には脱水に対する治療が必要なこともあります。

[原因]大多数はエンテロウイルス属、流行性のものは特にA群コクサッキーウイルスの糞口感染と飛沫感染によるものです。

[予防]特異的な予防法はないが、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどです。

お知らせ

H5N1型の高病原性鳥インフルエンザが、「指定感染症」に指定されました。

H5N1型の高病原性鳥インフルエンザが、感染症法に基づき6月に「指定感染症」に指定されました。背景には、H5N1型の高病原性鳥インフルエンザは、ニワトリなどへの病原性が強く大量死がみられ、海外においては患者が発生し、致死率が高いからです。

H5N1型の高病原性鳥インフルエンザは四類感染症に分類されており、患者隔離などの強制措置は取れませんが、指定感染症に指定されると、知事が強制的に感染の疑いのある人に健診を受けさせたり、患者を入院させたり、また就業を制限するなどが可能となります。指定期間は原則1年ですが、1年に限り延長できます。

鳥インフルエンザのヒトへの感染は起こりにくいとされています。しかし、海外においては患者が発生しており、このことは、ウイルスが変異し、ヒトに感染したものと考えられています。このように、ウイルスの変異が起これば、今後さらに強力な新型インフルエンザが発生し、それに対して十分な免疫が持っていないため世界的に大流行するおそれがあります。そのため新型インフルエンザの発生を未然に防止することが重要です。

 

   
衛研ニュース NO.115 2006年8月発行
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