不当労働行為救済申立事件の命令(全部救済)について

掲載日:2016年12月14日
平成28年12月14日
記者発表資料

 神奈川県労働委員会(会長 盛誠吾)は、以下の2事件について、審査を併合したうえで、平成28年12月14日、命令を発しました。
1.協和海運事件(神労委平成26年(不)第1号 平成26年1月20日申立て)
 被申立人協和海運株式会社(以下「協和海運」という。)が、【1】被申立人新協和海運株式会社(以下「新協和海運」という。)への事業譲渡に際し、協和海運が申立人全日本海員組合(以下「組合」という。)の11名の組合員のみ新協和海運に対する採用の推薦を行わなかったことが労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第1号及び第3号に、【2】協和海運が組合に対して新協和海運に採用されるためには組合からの脱退が条件であるなどとしたことが同条第3号に、【3】会社が11名の組合員にのみ退職金の割増を行わなかったことが同条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。
2.新協和海運事件(神労委平成26年(不)第8号 平成26年2月27日申立て)
 協和海運の解散とその事業の新協和海運への移行をめぐり、新協和海運が、協和海運の従業員35名について、組合脱退を表明した24名を採用し、脱退を表明しない組合員11名を採用しなかったこと(以下「本件不採用」という。)が、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。
 なお、組合は、26-1号事件と26-8号事件の併合後の調査期日において、請求する救済内容の変更を行った。 

1 主文の要旨

    1.新協和海運は、11名の組合員を平成26年2月1日をもって採用したものとして取り扱わなければならない。
    2.新協和海運は、平成26年2月1日以降、11名の組合員が採用されるまでの間について、新協和海運における基準に従い、組合員に対して、採用されていたならば支給されたはずの賃金相当額に、年率5分相当額を加算した額の金員を速やかに支払わなければならない。
    3.協和海運は、本命令受領後速やかに、陳謝文を組合に手交しなければならない。
    4.新協和海運は、本命令受領後速やかに、陳謝文を組合に手交しなければならない。

    2 判断の要旨

    1.協和海運が、新協和海運に採用されるためには組合からの脱退が条件であるなどとして脱退勧奨を行った事実が認められる。協和海運の意図がどうであれ脱退勧奨が組合の運営に影響を及ぼすことは明らかであり、協和海運の上記脱退勧奨は支配介入に当たる。
    2.協和海運が組合員11名のみ新協和海運に対する採用の推薦を行わなかったことは、組合員11名が組合員であることを理由とする不利益取扱いである。
     そして、協和海運のこのような行為は、新協和海運に推薦する従業員(船員)から組合員を排除することを目的としていることが明らかであるから、組合に対する支配介入にも当たる。
    3.協和海運が組合員11名の推薦を行わなかったこと、新協和海運が組合員11名を採用しなかったことがそれぞれ不利益取扱い及び支配介入に当たることからすると、協和海運による推薦が行われなかった結果組合員11名が新協和海運で採用されず、そのことを理由として協和海運が組合員11名に対して退職金の割増金を支払われなかったことも、当然、組合員11名が組合員である
    ことを理由とした不利益取扱い及び支配介入に当たる。
    4.新協和海運と協和海運は、組合員11名を新協和海運から排除し、それを正当化するために事業譲渡契約書を作成し、その規定に基づいて推薦、選考を行ったと推認できる。そして、本件不採用は、従前、協和海運と雇用関係にあった組合員11名に対して解雇という深刻な不利益を与えたものに等しく、これによる組合運営への打撃は甚だしいと判断できる。よって、労組法上の使用者である新協和海運が組合員11名を採用しなかったことは、組合員11名が組合員であることを理由とした不利益取扱いであり、同時に支配介入にあたる。

    ※ 詳細は、不当労働行為救済申立事件の命令の概要 [PDFファイル/306KB]を参照してください。

    不当労働行為とは

     不当労働行為とは、憲法第28条が保障する勤労者の団結権を実質的に確保するため、労働組合法が使用者に対して禁止している次のような行為です。

    • 労働組合の組合員であることや、労働組合に加入したり結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたことを理由に、労働者を解雇したり、配置転換したり、賃金について差別したり、その他労働者に不利益な取扱いをすること(不利益取扱い) 
    • 正当な理由がないのに、労働組合からの団体交渉の申入れを拒否したり、団体交渉には応じるものの交渉態度が不誠実であること(団体交渉拒否) 
    • 労働者が自主的に決めるべき労働組合の結成やその運営に干渉すること(支配介入)

     労働者又は労働組合は、労働委員会に、使用者が不当労働行為を行ったとして申立てを行い、その救済を求めることができます。この申立てを受けた労働委員会は、審査を行い、救済命令等を発します。
     労働委員会の発した救済命令等に不服のある当事者は、定められた期間内に、中央労働委員会への再審査の申立てや地方裁判所への取消訴訟の提起をすることができます。これらの再審査申立て及び取消訴訟の提起がない場合に、労働委員会の命令は確定します。

(問い合わせ先)
神奈川県労働委員会事務局審査調整課
労働関係調整担当課長 永井
電話 045-633-5445

審査調整グループ 大森

電話 045-633-5449

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神奈川県

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