1 審査報告書作成の経緯
神奈川県県土整備部指定管理者選定審査委員会港湾部会(以下「委員会」という。)は、
湘南港の指定管理者候補の選定にあたり、応募団体から提出された申請書の書面審査と併せ
て、プレゼンテーション及びヒアリングによる審査を行った。
このたび、委員会による審査が終了したので、ここに審査結果を報告する。
2 委員会委員(◎は委員長、○は副委員長)
委員名 |
職業等 |
委員区分 |
◎近藤健雄 |
日本大学理工学部教授 |
学識経験者 |
○中井 清 |
社団法人日本マリーナ・ビーチ協会常務理事 |
港湾管理運営 |
並木直美 |
株式会社並木設計代表取締役 |
利用者サービス |
釣谷 康 |
社団法人日本舟艇工業会専務理事 |
港湾管理運営 |
菊地泰昭 |
菊地会計事務所公認会計士・税理士 |
経営審査 |
3 募集・選定手続の経過
平成20年3月4日 委員会開催(審査基準等を協議)
平成20年4月1日 募集要項配布
平成20年4月1日〜5月19日 質問の受付
平成20年4月30日 現地説明会 参加団体 4団体
平成20年6月2日 募集受付終了 応募団対 2団体
平成20年6月10日 委員会開催(申請書の内容等について協議)
平成20年6月10日 現地視察(湘南港全域を視察)
平成20年6月25日 委員会開催(申請書の内容等について協議)
平成20年7月15日 委員会開催(プレゼンテーション等)
平成20年7月25日 委員会開催(報告書の内容等を協議)
4 審査の基準
指 定 の 基 準 |
審査項目 |
審 査 の 視 点 |
配点 |
審査対象書類 |
|
・指定管理業務につ いて相当の知識及 び経験を有する者を 従事させることがで きること。 (第7号) |
<団体等の執行体制> |
・業務を適切に実施できる組織体制となって いるか。 ・確実に業務を実施できる人員体制となって いるか。(職員の研修計画を含む。) |
10
|
・別記様式3 ・募集要項9 ページ7(1) イ@〜C ウ@ |
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(組 織 体 制)
(人 員 体 制) |
||||
(自己評価・モニ タリング) |
・自己評価、モニタリングに対する取組は適 切か。 |
・別記様式4 |
|||
・安定した経営基盤 を有していること。(第8号) |
<団体等の経営基盤> (経営規模・財務の健 全性・財務諸表の開 示体制)
|
・当該港湾の業務を安定確実に行える経営規 模を有しているか。指定期間内に安定的に 事業を継続できる財務体質を有しているか。 財務諸表に対する適正なチェック及び開示 体制を有しているか。 |
5 |
・募集要項9 ページ7(1) イ@〜CE、 ウ@A |
|
・住民の平等利用が 確保されること。 (第1号) ・関係法令及び条例 の規定を遵守し、 適切な管理ができ ること。(第3号) ・港湾の施設の運営 を公正かつ中立に 行うことができる こと。(第4号) |
<利用承認等業務> |
・利用承認等の業務を適切に実施できるか。 (収入証紙販売業務を含む。) |
12 |
・別記様式5 |
|
<ヨット等安全管理 業務> |
・レスキュー等安全管理業務を適切に実施で きるか。 |
8 |
・別記様式6 |
||
<駐車場管理業務> |
・駐車場管理業務(料金徴収及び収納業務を 含む。)を適切に実施できるか。 |
5 |
・別記様式7 |
||
<清掃等維持管理業務> |
・清掃等維持管理業務を適切に実施できるか。 ・効果的な広報活動を展開できるか。 |
5 |
・別記様式8 |
||
・津波、高潮、波浪 その他の災害及び 緊急の事態が発生 し、又は発生する おそれがある場合 において、知事の 指示に従い、適切 に対応する体制を 確保できること。 (第6号) |
<災害時対応業務> |
・地震、津波等の災害時及び高潮、波浪等の 異常気象時に適切に対応できるか。災害時 に緊急物資受入港としての対応ができるか。 |
5 |
・別記様式9 |
|
・申請者である法人 その他の団体の役 員等が、港湾の振興 について熱意と識見 を有していること。 (規則第10条)
|
<提案事項(指定管理 附帯事業を含む。)> |
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20
|
|
|
|
(施設利用者利便 事業) |
・附帯事業(駐車場料金徴収及び収納業務、 収入証紙販売事業を除く。)を適切に実施で きるか。 |
・別記様式10
|
||
(利用促進等の取 組)
|
・提案内容が県の求めるものか。具体的かつ 実現可能性があるか。 【県の求める提案事業の例】 ・海洋性レクリエーション需要の多様化に応 じた取組 ・多くの県民が気軽に訪れ、活動する場づ くり ・新規ソフト事業の実施 ・地域貢献活動に係る取組 ・その他(利用日、利用時間等) |
・別記様式11
|
|||
・条例第1号から第 10号まで全て |
<効率的運営・総合判断> |
|
30 |
・別記様式12 |
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(効率的運営) |
・事業計画及び収支予算計画は適切か。 ・経費縮減に向けた取組や工夫がされている か。 |
|||
(総合判断) |
・公共施設としての役割を理解し、全体とし て湘南港を適切に管理できるか。 |
・別記様式 1, 2 |
|||
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合 計 点 |
100 |
|
5 審査の実施
(1) 委員会の運営
附属機関等においては会議は原則公開とされているものの、当部会における審議内容
が「附属機関等の設置及び会議公開等運営に関する要綱第7条第1号」の非公開事由に
該当するため非公開とすることとした。ただし、プレゼンテーションについては、会議
公開の原則を踏まえ、公開とすることとした。
(2) 審査の実施状況
委員会は、審査基準に基づき、各申請者から提出された申請書類を書面審査の上、申
請者からのプレゼンテーション(20分)を受けるとともにヒアリング(20分)を実施
し、指定管理者として最も適当と判断される団体を選定した。
6 審査結果
(1) 湘南港
ア 指定管理者候補
株式会社 湘南なぎさパーク
イ 審査講評
団体名 |
講評 |
株式会社 湘南なぎさ パーク |
公の施設としての湘南港の機能や役割について正確に理解し、組織や人員等の業務実施体制も充実していることから、湘南港全体の総合的管理運営を安心して任せることができ、確実な業務遂行が期待できる。 提案事項については、現実的でかつ確実なものが提案されたが、公の施設として今後の湘南港の役割を踏まえた提案、とりわけ県民に開かれた港の利用推進に関する提案が少なかったので、今後の業務実施に当たっては、こうした面での積極的な展開を期待したい。 |
特定非営利 活動法人 江の島ヨットハーバー
|
利用者の視点から施設を改善し、管理者としてより良くしていきたいという意欲や積極性は認められるが、団体の運営面において、組織体制や湘南港全体の総合的管理などに課題があると言わざるを得ない。 提案事項は、ソフト事業の充実等について期待ができる一方、ハード面については経費の裏付けが十分かなど、不安な面が見受けられた。 |
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|
|
|
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|||
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|
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|
|
団体名 |
審査項目 |
配点 |
委員別評価点 |
評価点合計 |
||||
|
(受付順) |
A |
B |
C |
D |
E |
|||
|
株式会社 湘南なぎさパーク |
団体等の執行体制 |
10 |
10 |
8 |
10 |
10 |
10 |
48 |
|
団体等の経営基盤 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
25 |
|
|
利用承認業務 |
12 |
12 |
12 |
12 |
12 |
12 |
60 |
|
|
ヨット等安全管理業務 |
8 |
8 |
8 |
8 |
8 |
8 |
40 |
|
|
駐車場管理業務 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
25 |
|
|
清掃等維持管理業務 |
5 |
5 |
5 |
3 |
5 |
5 |
23 |
|
|
災害時対応業務 |
5 |
5 |
5 |
3 |
5 |
5 |
23 |
|
|
提案事項(附帯事業を含む) |
20 |
19 |
16 |
16 |
17 |
16 |
84 |
|
|
効率的運営・総合判断 |
30 |
30 |
30 |
20 |
26 |
24 |
130 |
|
|
計 |
100 |
99 |
94 |
82 |
93 |
90 |
458 |
|
|
特定非営利活動法人 江の島ヨットハーバー |
団体等の執行体制 |
10 |
10 |
6 |
4 |
8 |
6 |
34 |
|
団体等の経営基盤 |
5 |
5 |
5 |
3 |
3 |
3 |
19 |
|
|
利用承認業務 |
12 |
12 |
12 |
7 |
12 |
7 |
50 |
|
|
ヨット等安全管理業務 |
8 |
8 |
8 |
5 |
8 |
5 |
34 |
|
|
駐車場管理業務 |
5 |
5 |
5 |
3 |
5 |
5 |
23 |
|
|
清掃等維持管理業務 |
5 |
5 |
5 |
3 |
5 |
5 |
23 |
|
|
災害時対応業務 |
5 |
5 |
3 |
3 |
5 |
3 |
19 |
|
|
提案事項(附帯事業を含む) |
20 |
12 |
8 |
13 |
20 |
13 |
66 |
|
|
効率的運営・総合判断 |
30 |
20 |
18 |
9 |
20 |
18 |
85 |
|
|
計 |
100 |
82 |
70 |
50 |
86 |
65 |
353 |
7 その他
指定管理の期間が3年間から5年間に延長されたことは経営基盤の安定のために評価するが、今回の公募期間内にヨットハウスの建替が計画されていたことから、申請団体数や提案内容は制約されたものにならざるを得ない面があった。
次回(5年後)の指定管理者の公募においては、ヨットハウスの建替えも完了し、湘南港全体のポテンシャルも上がるので、さらに利用料金制度を導入するなど、多くの団体から幅広い提案が寄せられるよう検討してもらいたい。