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特集 Work vol.6

コロナに負けない!
元気と笑顔を届ける事業所

社会福祉法人光友会 寒川事業所
「寒川まち食堂」「まちのお弁当屋さん」

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コロナに負けない!
元気と笑顔を届ける事業所

売上の軸の一つとして定期的に出店していたイベントは、新型コロナウイルス感染症の影響により、全て中止に。施設利用者の工賃となる売上の激減は、利用者・職員の活気を奪っていきました。2020年4月の緊急事態宣言前からこの難局を乗り切ろうと活動してきた社会福祉法人光友会(五十嵐紀子理事長)・寒川事業所の取組に迫ります。

コロナで沈む気持ちを挽回する
初の独自イベント開催

光友会・寒川事業所では障害福祉サービスとして食堂とお弁当屋を運営。通常業務に加えて、様々なイベントにも出店し売上を積み上げていた就労支援事業に対し、新型コロナウイルス感染症の影響はあまりに大きいものでした。2020年2月末から突然の学校の休校が始まり、世の中に暗いムードが漂う中、寒川事業所ではこの雰囲気を一転し、地域の役に立とうと、子どもがいる家庭向けに利益度外視の商品〝100食限定の100円ソースカツ丼〟を提供する初の主催イベントを実施。用意した100食は即座に売り切れるほどの盛況ぶりを見せ、地域の利用客は満面の笑みで商品を購入していました。

舞台裏でも大きな盛り上がり

コロナ禍では活動自粛が余儀なくされ、日常だった仕事に出勤できない状況に陥り、施設利用者だけでなく職員も疲れを感じていたそうです。この状況を打破するための施策になったのが今回のイベントは、地域で暮らす人の笑顔にもつながっていました。所長を務める井地洋平さんは「コロナ禍の前は、あって当たり前だった土日のイベントが無くなって、初めてその重要性に気づかされました。利用者・職員が一丸となって一つの事に取り組めることは、皆のモチベーション向上につながることと、大変であるけれど『忙しいことのありがたみ』を感じました」と話しています。この経験を踏まえ、10月のハロウィンでは北海道産「かぼちゃコロッケ」を一つ30円で提供し、再び賑わいを生み出すイベントを実施しました。

コロナ禍でイベント収入が減少する中、主体となってイベントを開催
コロナ禍でイベント収入が減少する中、主体となってイベントを開催

食を通じて、笑顔を届ける

 

知的障がい者を中心に14人の利用者は、寒川事業所で調理補助から接客、買い物、弁当配達など多岐にわたる業務を日々こなしています。運営開始から3年が経ち、地域にも浸透。車椅子を利用する身体障がい者から「私もここで働かせてほしい」という希望を受け、その方が働ける環境を作るなど、工夫したことも。「より元気に明るく」をモットーに利用者・職員・利用客のすべてが笑顔になる場所として人気を集め、結果として利用者の工賃も神奈川県の平均をはるかに上回っているそうです。「事業所に携わる多くの人が近隣に暮らす方たち。店舗前を通る人たちも顔馴染みで、利用されるお客様は常連客ばかり。地域に支えられています」と井地さん。

寒川事業所に集まる利用者・スタッフ・利用客の多くが地域の方
寒川事業所に集まる利用者・職員・利用客の多くが地域の方

農福連携で地産地消と工賃アップへ

 

食堂運営に加えて、2019年5月から取り組んでいるのが「農福連携」。担い手が不足している農作業の人材確保と障がい者の就労支援の拡大がマッチした事業で、つながりのあった農園と提携し、一般就労に限りなく近い作業を行っています。提携する農園では、野菜や花苗作りに従事し、生産された地場農産物は寒川事業所で提供する料理の食材として使用し、地産地消の役割も担っています。その作業工賃は「こんなに貰っても良いんですか!?」と利用者が驚き喜ぶ金額になるそうです。

「農福連携」の農作業にあたる利用者
「農福連携」の農作業にあたる利用者

支えあう心を忘れずに

 

皆がWINーWIN(ウィンウィン)になるように―。寒川事業所では、仕事に一定の質を求めていますが、それよりも大切にしているのは「働く人の元気さ」。心の浮き沈みは誰しもがあることで、そんな時は周囲の人がそれを理解し、皆が支え合って仕事に従事しています。井地さんは「おかげさまで『寒川まち食堂で働きたい』という問合せを数多く受けています。今後は農福連携をはじめ受入の間口を広げていくとともに、通常業務やイベントなどを通して、利用者・職員がいつも笑顔になれる職場環境を整えていきたい」と話していました。

取材先:社会福祉法人 光友会 寒川事業所「寒川まち食堂」「まちのお弁当屋さん」
同法人は、就労支援、入所・生活介護、ヘルパー派遣等、藤沢市を中心に25施設にわたる幅広い障害福祉サービスを展開しています。時代の要請に応えて、新規事業にも積極的に取り組み、一人でも多くの方々と連帯して活動し、よりよい地域社会の実現に向けて運営しています。
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