Para Sports

特集 Para Sports vol.5

だれもがスポーツ(サッカー)を楽しめる「当たり前」の社会に

一般社団法人神奈川県サッカー協会、
一般社団法人日本障がい者サッカー連盟

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だれもがスポーツ(サッカー)を楽しめる
「当たり前」の社会に

 (一社)神奈川県サッカー協会主催・(一社)日本障がい者サッカー連盟共催となったイベント「JFAフットボールデー インクルーシブフットボールフェスタ神奈川2021」が10月9日に開催されました。県内の全Jリーグクラブと障がい者サッカーチームが初コラボしたイベントで、サッカーを通じて、共生社会を広めていました。

インクルーシブフットボールフェスタとは

オンラインで行われた「インクルーシブフットボールフェスタ」
オンラインで行われた「インクルーシブフットボールフェスタ」

このイベントは、障がいの程度にかかわらず、混ざり合える共生社会の実現に向け、障がい児・者に7つの障がい者サッカーを知ってもらう機会をつくるとともに、コロナ禍においてオンライン発信することにより、家の中でも楽しめる機会を得ようと開催されました。(一社)神奈川県サッカー協会では2017年から同様のイベントを実施しており、昨年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止したものの、今回は感染拡大を避ける目的でオンライン開催する運びとなりました。

県内には7つの障がい者サッカーすべてのチームがあることから、各チーム所属選手の実演に加えて、動画や紙芝居なども使いながら、だれもが理解しやすいように競技の説明を行っていました。また、「まぜこぜサッカー」と題されたオンライン体験では、Jリーグクラブと障がい者サッカーチームが協力して考案したアクティビティを実施する予定でしたが、残念ながら放映時間の関係で準備体操と同様に出演者全員でのエビカニクスダンスになりました。参加者からは「あっという間に終わり、楽しい時間でした。自宅で気軽に参加できるオンラインも良いですが、今後のリアルイベントもぜひ参加したいと思います」という声があがっていました。

7つの障がい者サッカー

視覚障がいのある人がアイマスクを付けて、音が出る特殊なボールを使用する「ブラインドサッカー」
視覚障がいのある人がアイマスクを付けて、音が出る特殊なボールを使用する「ブラインドサッカー」
足や腕に切断障がいのある人がクラッチ(杖)を使用して行う「アンプティサッカー」
足や腕に切断障がいのある人がクラッチ(杖)を使用して行う「アンプティサッカー」
聴覚障がいがある人が行う「デフサッカー」
聴覚障がいがある人が行う「デフサッカー」
知的障がいがある人が行う「知的障がい者サッカー」
知的障がいがある人が行う「知的障がい者サッカー」
精神障がいがある人が行う「ソーシャルフットボール」
精神障がいがある人が行う「ソーシャルフットボール」
脳の損傷によって運動障がい(脳性マヒ)がある人が行う「CPサッカー」
脳の損傷によって運動障がい(脳性マヒ)がある人が行う「CPサッカー」
主に自立歩行が困難な重度障がいがある人が行う「電動車椅子サッカー」の7種目があります。
主に自立歩行が困難な重度障がいがある人が行う「電動車椅子サッカー」

公益財団法人日本サッカー協会が進める「グラスルーツ」

 (公財)日本サッカー協会(JFA)は「Football For All~サッカーをもっとみんなのものに~」を合言葉に、だれもが、いつでも、どこでもサッカーを楽しむことのできる環境を目指して「JFAグラスルーツ宣言」を行いました。グラスルーツを直訳すると「草の根、根元、みんなの」という意味があり、「引退なし」「補欠ゼロ」「障がい者サッカー」の3つのテーマに分けて、全国で活動するサッカー関連の団体に向けて、グラスルーツ推進・賛同パートナー制度を設けています。

(一社)神奈川県サッカー協会でもこの方針に沿って事業を展開しており、今回のイベントはその一つです。(一社)神奈川県サッカー協会の河野雅道専務理事は「神奈川県は全国最多のJリーグクラブがあるだけでなく、7種目すべての障がい者サッカーチームがあるという、国内でもサッカーが盛んな地域。こうした活動が日本のモデルケースとなり、全国で広まっていければ良いですね。神奈川県の進めている『ともに生きる社会かながわ憲章』の理念普及は、私たちが進めているグラスルーツの一部であり、これからもサッカーを通じて行っていきたいと思います」と話していました。

イベントにはサッカー元日本代表・北澤豪氏も参加

 (一社)日本障がい者サッカー連盟の会長を務めるのは、テレビなどでもおなじみの元代表選手・北澤豪氏。本イベントのオンライン上にも登場し、参加者とともにアクティビティを楽しんでいました。「見たり実際にやったりすることで壁を感じず、サッカーという括りで『一緒にできる』という変化が自分の中にありました。参加者の皆さんも今まであった壁が無くなったのではないかと思いますし、なにか取り組んでいくきっかけになれば嬉しいです」とコメントしていました。

サッカー元日本代表・北澤豪氏も参加
サッカー元日本代表・北澤豪氏も参加
取材先:(一社)神奈川県サッカー協会、(一社)日本障がい者サッカー連盟
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