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特集 Hit vol.2

めざせ!ヒット商品

知的障がい者支援施設「松下園」
餃子専門店「ハッピーラボ」(秦野市)

イベントレポートタイトル画像

こだわり素材の絶妙なバランスが人気に
キッチンカーで「幸せ」を各地へお届け

秦野市で1981年に開設された知的障がい者支援施設「松下園」が、餃子専門店「ハッピーラボ」をオープンし3年。利用者が中心になり心を込めて包んだ「幸せ餃子」がじわじわと人気になっています。2018年のキッチンカー導入をきっかけに、売り上げも右肩上がりに上昇中。「幸せ餃子」はどのように生まれたのでしょうか。

レシピの考案は40年前
園長の「さち子さん」から生まれた

「幸せ餃子」の生みの親は同園の久保谷さち子園長。餃子自体は、久保谷さんがかつて営んでいたゴルフ練習場の食堂で約40年前から提供され、ハッピーラボができる前にも、同園の弁当店で販売されていました。秦野で長年愛される味を本格的に商品化し、利用者が製造に参加できるようにと2016年10月に新しく冷凍餃子工場と直売所を開設。餃子は「さち子さん」の名前にちなみ「幸せ餃子」と名付けられました。


「幸せ餃子」を開発するにあたり、こだわったのは地元の食材を使うこと。餃子の餡には同園の農園で栽培している野菜をはじめとした地場野菜が8割、神奈川県を代表するブランド豚「高座豚」が2割。たっぷり野菜に高座豚独特のコクが合わさり「ザクザク食べられる食感が女性にも人気です」と同施設の西山匠さんは話します。さらに一番人気の「中」でも1個32グラムと食べ応えのある大きさに。「中」は「自動餃子包み機」で、「大」と「小」は一つずつ手包みで生産。特製ポン酢が添えられ、冷凍餃子として直売所やインターネットで販売、秦野市のふるさと納税の返礼品にも選ばれています。

キッチンカーの写真

包み工程に機械導入し効率化
仕上げは手作業で

餃子の製造は月曜日から金曜日まで、利用者5人と職員2~3人がローテーションで行っています。久保谷園長も今でも週に3~4日は包みに来るとか。野菜の粉砕や手作業では難しい「包み」の工程には機械を導入し、誰でもキレイに安定した生産ができるようになっています。それでも餡の重さが一定でなかったり、餡が餃子の皮からはみ出してしまうため、ひとつずつ重さを計り、餡を包み直す作業が丁寧に行われています。冷凍庫で急速冷凍し、箱に詰めれば幸せがギュッと詰まったこだわり餃子が完成。繁忙期には1日約2000個、平均的には1日500~800個の餃子を製造しています。


開設当初から餃子作りに携わる利用者は「毎日大変ですが、催事に行って販売するのが楽しい。催事に行くと他の販売者と横のつながりができて、『今日の売り上げはどう?』『天気でお客さんが左右されるよね』などと声をかけあうのが楽しい」と話してくれました。

餃子の仕込みを行うスタッフの写真 餃子を包むスタッフの写真1

餃子一筋3年目
キッチンカーでの販売に期待

ハッピーラボの大きな特徴が、キッチンカーを導入していること。社会福祉法人がキッチンカーを所有し販売するのは珍しいそうですが、「福祉を前面に出さずに味で勝負と思ってやっています」と西山さん。昨年4月に導入以降、週末を中心に各地のイベント、催事に年間150日とフル稼働しています。キッチンカーでは焼き立て、揚げ立ての餃子を、味噌や坦々味など創意工夫が凝らされた約10種類のタレとともに提供しています。キッチンカーでの販売を主に担当している西山さんは「週末になると『今週はどこ行くの?いっぱい売ってきてね』と利用者さんから言われます」と笑顔で話します。勝負の3年目といわれる現在の目標は「利用者さんの工賃を上げること」。ハッピーラボの挑戦は続きます。

餃子を包むスタッフの写真2 ハッピーラボの看板と自動車の写真
取材先:ハッピーラボ(就労支援事業所)
社会福祉法人寿徳会の多機能型事業所「松下園」の就労支援事業所として2016年10月に開設。1階に餃子製造所と店舗を設置、2階は主にボールペンの組み立てやリサイクルなどの軽作業を行う作業所となっている。
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