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NPO法人 ニューライフ

2025年 02月 28日

無料低額宿泊所の提供で生活困窮者の自立を促す

2025年 02月 28日

 NPO法人ニューライフ(理事長 山根彰)は2003年に設立され、相模原市を中心に78施設・約1000世帯を受け入れられる無料低額宿泊所の運営をベースに、家をなくしたり生活保護を受けたりしているような生活困窮者に自立の助けとなる衣食住のサポートを行っています。
 2002年に「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が成立し、自立の意思があるホームレスを支援する公的な仕組みが整備され、その後押しを受けてホームレスの支援から活動をスタートしました。
 現在は就労者の経済的自立を支援する自立中間施設の運営、DV等の一時避難者への支援を行う女性・母子「駆け込みシェルター」の運営、配食センターや福祉アパートの運営、自立に向けた民間住宅の仲介、介護支援事業、子ども食堂および高齢者向け地域食堂の運営(上段の写真)など、サポートの幅を広げています。


ホームレス支援の役割は一定の成果が

 自治体の福祉事務所や医療機関、老人ホーム等の福祉施設、地域包括支援センターなどと協力体制をつくっており、宿泊所の93%ほどが常時埋まっており高い稼働率となっています。生活保護を受けている方などに提供している宿泊所は、その状況を脱して自立するまでの一時的な居所ですが、新たな居所を見つけてくれる役所のサポートもあり、自立して出ていかれる方は増えているそうです。
 ニューライフが活動を始めた頃は神奈川県内でも駅の周辺や河川敷などでたくさんのホームレスがみられましたが、最近は減少傾向にあります。
 ホームレス対策という視点でみると、この20年でその自立を支援するという活動は、一定の成果を挙げてきたともいえるでしょう。
 そのような中、従来のホームレスとはまた違ったかたちの困難を抱える人たちの居場所をどう確保するかが問題となってきています。



支援対象の幅が広がっている

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山根理事長


 山根理事長は、「高齢で住宅を借りることが難しい単身者の方、リーマン・ショックで仕事を失った方、DVから逃げてきた女性の方など、入居者も多様化しています」と説明します。

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利用者との面談の様子


 もともとは自立までの一時的な受入れ先だった宿泊所も、高齢者の方にとっては終の棲家となることもあります。
 また、特に最近増えているのが、うつ病や統合失調症などの疾患をもっていて、面倒を見てくれる家族もいない、といったような社会から孤立した人たちだそうです。
 山根理事長は「そうした方に大切なのはコミュニケーションです。核家族化が進んでいるということは、それだけコミュニケーション不足になっている、ということはあると思います」と話します。

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利用者介助の一場面

 精神疾患があると、部屋に入れてもらえるだけの関係を築くのに数か月かかることもあるそうです。そうした方にとってたとえば症状をよくするために大切なのがきちんとした服薬で、そのベースとなるのが定期的な通院です。
 簡単には心を開いてもらえず、話を聞いてもらえないなかでも職員が丁寧にコミュニケーションをとって、通院に付き添えるような関係性を築くことが求められます。
 設立当初と比べると、職員に求められる知識やノウハウも増えていることになります。
 最近は職員が社会福祉士などの資格を取得したり、そうした知識をもつ人を採用したりといったことも行うようになりました。
 DVから逃げてきた女性であれば、同性でないとそもそも話もしてもらえないこともあります。相談に乗る女性スタッフの増強も急務です。

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運営する農園

 事務所に併設する配食センターでは1回550食をつくって配達しています。
 食事の提供はその配達や容器の回収の際に、入居者の安否確認を行う役割も担っています。また、就業して自立する前段階として、働く体験のできる農園の運営なども行っています。

 グループのなかには介護施設住宅型の老人ホームもありますが、今後、障がい者福祉の分野にも積極的に進出していきたいと考えているそうです。
 2024年には就労支援B型事業所を立ち上げ、自立支援のためのサポートの幅をさらに広げました。
 「特別にサポートをしなくとも、家族や地域のみなさんが困っている人を支えるような状態がいちばんいいと思います。しかし、いったん社会から外れてしまった人が現実にいるわけですし、その人たちを無視するわけにはいきません。逆説的になりますが、しっかりと事業を継続していきたいです」と、山根理事長はこれからについての意気込みを語りました。

プロフィール

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団体名

NPO法人 ニューライフ

活動内容

「自立支援」が活動主体。「仕事と住居の安定」が困難な方々へ、プライベートスペースとして個室を提供し、衣食住の確保を通して、疾病のある方や生活課題に悩む方などの解決に向けて共に取り組みサポートしています。また、必要に応じて職業訓練の受講などにおいても取り組みやすい状況をつくれるようにサポートしています。「無料低額宿泊所」は、共同作業を通して、規則正しい生活習慣やコミュニケーションを身につけていただき、社会復帰の基本作りを行っています。「自立中間施設」は、社会復帰の準備段階の施設にあたり、「個々を尊重し、自己判断・自己責任で行動」していただいています。