衣笠商店街とコトブキが空き店舗に木製遊具を設置し「まちなか公園」開設

まちなか公園プロジェクト(横須賀市)

横須賀市・衣笠商店街の一角にある空き店舗内に、大型遊具を備えて自由に遊べる「まちなか公園プロジェクト」がオープンしました。衣笠商店街が株式会社コトブキの協力を得て事業を開始し、子連れで買い物に訪れる親子の誘客と親同士のつながりづくりにも一役買っています。

JR衣笠駅近くの老舗商店街の空き店舗に大型木製遊具

衣笠商店街(横須賀市衣笠栄町)は、JR衣笠駅前から衣笠十字路への車道をはさむ歩道アーケード衣笠商店街振興組合と、線路沿いに全長250メートルの全蓋式アーケードを備える衣笠仲通り商店街協同組合からなり、約190店舗が加盟する市内でも屈指のにぎわいを見せている商店街の一つです。県内の他の商店街に先駆けて交通系ICカードも利用できるポイントカードを導入するなど、先駆的な取り組みをしてきました。

同商店街では2016年10月1日に、1年以上前から空き店舗になっていた広さ約75平方メートルの元・靴店を改装して大型の木製遊具を設置した「まちなかキッズパーク」をオープンしました。午前10時から午後5時まで、だれでも利用でき、無料で開放しています。

設置されている木製遊具は、パブリックスペースの空間作りや公園の遊具などを手掛ける株式会社コトブキ(東京都港区浜松町)が新しく製作しました。大きさが幅9メートル×奥行3.2メートル×高さ2.2メートルの複合遊具で、スロープやジャングルジムのほか、ネットを使い中に入ることができるボールなどの機能があり、体全体を使って、ダイナミックな動きで遊べるのが特徴です。対象は、主に幼児から小学生の年代で、天然の木材を使用し、子供たちの成長に配慮して長く遊べるように、さまざまなノウハウが組み込まれています。

空き店舗に設置された木製遊具で力いっぱい遊ぶ子どもたち
空き店舗に設置された木製遊具で力いっぱい遊ぶ子どもたち

全国的にも珍しい「商店街の中の常設遊び場」

「まちなかキッズパーク」は、元・靴店の店舗を改装して誕生しました。商店街の店舗を改装して、屋内に本格的な常設の遊び場をつくり、それを無料で提供することは「全国的にも珍しい事例」だそうです。

晴れの日でも雨の日でも子どもたちが、自由に思いきり遊べるこのような場所が商店街の中にあることで、近隣の子育て世代の住民が買い物以外にも子ども連れで商店街に行くきっかけになります。実際に、家族連れで商店街を訪れ「まちなかキッズパーク」で子どもを遊ばせた後で買い物をしたり、キッズパークでお母さん同士が知り合いになったりするケースが出てきているといいます。

商店街と近隣の若い住民を結びつけるきっかけとなるこの空間をつくった衣笠仲通り商店街協同組合の木継芳孝理事長は「実際に始めたら、近所のお母さんたちから『遊び場が少なかったのでこういう場所ができて嬉しい』『天気が悪い時などは特にありがたい』と言う声を聞きました」と話しています。

また、このキッズパークには、管理人がいません。「外にある通常の公園と同じ考え方で管理人を置いていないのです」と木継さん。親子連れで遊べる「室内公園」という点を強調することで、コストをできるだけかけない持続可能な運営を目指しています。

このプロジェクトに関わった企業・地域・行政のメンバーたち
企業・地域・行政の力が合わさって、まちなかの公園ができました。

子どもたちの育ちを支える地域の力をつなぐ場に

他に例を見ないこの子どもたちの遊びの拠点「まちなかキッズパーク」には、かながわ信用金庫の協力を得て、子ども向け絵本約100冊を備える本棚が設置されています。衣笠商店街からの「パーク内に子ども図書館の開設を検討しており、不要になった絵本や子どもむけの書籍を寄贈して欲しい」という要望に応えて、同金庫が職員に呼びかけたところ、合計で102冊もの本が集まりました。「かなしん文庫」と名付けられたこの本棚の前には、遊具で遊ぶにはまだ小さい子どもが興味を示して母親と一緒に長い時間絵本を眺めている風景も少なくありません。

遊具のそばにもうけられた図書コーナー
かながわ信用金庫の職員の方々からの寄付で子どもの本が100冊ほど集まりました。

遊び場の整備は、横須賀市が事業費をサポートする「商店街空き店舗対策事業補助」を活用しています。空き店舗を子どもの遊び場にすることで、乳幼児の保護者にとっては子育て支援にもなり、小学生にとっては商店街に足を運ぶきっかけにもなります。

かつては商店街のお店自体に子どもたちがたくさんいて、群れて遊んでいました。時代は変わり、そうした風景はほとんど見られなくなりましたが「このキッズパークという場が、商店街・企業・行政などさまざまな立場の大人たちが持つ、子どもの健やかな育ちを願う気持ちをつなぐことができたら。そして、親子で商店街に足を運び、慣れ親しんでもらうことで、商店街の良さを知ってもらえたらうれしいですね」と木継さんは話しています。

団体情報

衣笠仲通り商店街協同組合

衣笠仲通り商店街協同組合

JR横須賀線『衣笠駅』線路沿いにある、全長約250メートルの全蓋型アーケードモール商店街。住宅地区に囲まれ、近隣には病院や学校もあり多くの買い物客が訪れている。
衣笠商店街(facebookページ)