Unit 7 資産運用を考えよう
先生方へ
<各Tryのねらいについて>
Try1:複利の基本を理解しよう
- 複利について知る: 毎月1万円 × 120回 = 120万円の元本が、約139万円に。
- 時間の価値を知る: 後半になるほど運用益の増加が加速する(複利効果)。
- 積立投資の効果の理解: 毎月コツコツが大きな力に。
Try2:リスクとリターンの関係を理解しよう
- リスクとリターンのトレードオフの理解: 高いリターンには高いリスクが伴う。
- バラツキの現実を知る: 同じ設定でも結果にかなりの幅がある(リスクの理解)。
★リスク(標準偏差)は、「結果がどれくらいバラつくか」を表す数字。数字が大きい(リスクが高い)ほど、 バラツキが大きい(= 大きく儲かることもあれば、大きく損することもある)ことを理解する。
Try3:歴史的危機を体験しよう
- 資産が減ることを体験する一方で、暴落時も積立を続けることで回復が早いことを実感する。
- 時間分散効果の理解: 長期投資なら暴落も乗り越えられることを知る。
- 暴落時に売りたくなる心理を理解するとともに冷静に対処を考えられるようにする。
応用編 Try4:価格変動の大きさ(リスク、標準偏差で表す)の影響を知ろう
- 同じ想定リターン(年率)でもボラティリティ(価格変動の大きさ=リスク、標準偏差で表す)で結果が変わる。
- ボラティリティドラッグ: 変動が大きいほど、実際のリターンは期待値より下がる(下記「幾何平均」参照)。
長期であるほど、ボラティリティによる影響を理解する必要がある。
- ※補足
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算術平均と幾何平均とは…算術平均…単純にリターンを平均したもの(例: (10% + -10%) ÷ 2 = 0%)
幾何平均…実際の複利運用での平均リターン。変動があると下がる
簡易的に「算術平均 − 0.5×σ²」で求められる σは標準偏差
- 例:
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100万円を +50%、-50% で運用すると
算術平均の場合…+50%+(-50%)/2=0%で残高100万円という計算になるが
実際には100万×50%=150万円 150万円×(-50%)=75万円になる。
➡ 「変動があるほど、現実的なリターン(幾何平均)は下がる」
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投資信託を選択する際には、リスク(標準偏差)を意識するようにする。
- ※補足
- 一般的な資産運用シミュレーターでは、理解しやすさを重視して「想定利回り年○%で運用」といった固定利回りが使われることが多い。しかし実際の投資では、年によって成果が変動するため、同じ期待リターンでもボラティリティ(価格変動の大きさ)によって最終的な運用成果は変わってくる。このシミュレーターでは、そうした現実的な変動も含めてより実際に近い運用成果を確認することができる。
応用編 Try5:確率的思考を理解しよう
- 確率的思考: 投資は「必ず儲かる」ものではないということを理解する。
- 分位点の意味を理解する: 5%の確率で○○円以下、95%の確率で○○円以上。
- リスク許容度を考える: 自分がどこまでの損失を受け入れられるかを考えるきっかけとする。