ヒント
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社員のモチベーションアップや働きがいにつながる良い方法はありますか?
A
役職、立場関係なしに全社員が社内制度や職場環境を自ら作り出すことで、「働きがいのある会社」国内第1位になった企業があります。
紹介事例(2018年)

働きがいのある会社は社員が自分でつくる
徹底的に話し合う「全社員会議」

アクロクエストテクノロジー株式会社の画像
「他社からの視察も多いです」と山下さん(一番右)。経営者や管理職向けに「組織いきいき実践勉強会」も開催しています。

 世界49か国で「働きがいのある会社」の調査を行う「Great Place to Work」の25~99人部門で、「働きがいのある会社」国内ランキング1位(2015年)に選ばれるなど、組織のあり方で数々の賞を受け、注目を集める企業がアクロクエストテクノロジー株式会社(横浜市港北区)。システム開発を中心に手掛けるIT企業です。

 働きがいのある会社として、同社が評価されるのは、社員を輝かせる数々のユニークな取組みにあります。その代表的なものが、「全体査定(ハッピー360)」です。同社では、「給与査定の透明性は社員のモチベーションに直結する」との考えから、創業時より、賞与を含む社員の年俸を全社員が査定会に参加し決めています。ほかにも同社には200を超えるユニークな社内制度があります。

「誰が言ったか」ではなく、「何を言ったか」を重視

 こうした制度を決める最重要の仕組みが、「MA(Meeting of All staff)」、つまりは全社員会議です。MAは月に一度、原則として全社員が参加し開催されます。時間制限は無く、多数決はとりません。全員が納得するまで、何時間でも話し合います。新免玲子副社長は、「MAでは役職や立場は関係ありません。誰が言ったかではなく、何を言ったかが重要」と話します。

 全社員会議で生まれたユニークな取組みの一つに「花一輪制度」があります。社員の誕生日に、上司が花瓶に水を入れ、ほかの社員一人ひとりが一輪の花をプレゼントする制度です。新免副社長が落ち込んでいる社員の姿を見て提案しました。実際にもらったエンジニアの山下晴香さんは、「すごく嬉しかった。みんなが自分のことをしっかり見てくれているんだと感じました」と話します。山下さんは今年、29歳の若さでワークダイバーシティ担当の執行役員に抜擢されました。多様な人材に安心して働いてもらえるよう、体系的に制度をまとめています。

 山下さん自身、入社当初から働き続けたいと思っており、新免副社長に相談したところ、「全社員会議で提案しなさい」とアドバイスがありました。そこから「やりがいのある会社は自分で作ればいいんだ」という意識が芽生えたといいます。

 新免副社長は社員のライフステージが変化しても「社員にはずっといてほしい。一層働きやすい組織にしていきます」と前を見つめます。

新免 玲子の画像

新免 玲子 取締役副社長

COMPANY DATA

設立:1991年 業種:システムコンサルティング、システム開発・支援事業等
従業員:80人 所在地:横浜市港北区
URL:https://www.acroquest.co.jp/

「常に攻める」をモットーに、様々な取組みを進めています。