ヒント
8
女性社員に能力を最大限に発揮してもらうにはどうしたらよいですか?
A
トップ自らが会社の思いを直接伝え、目指す方向性を共有するとともに、社員の声を聞き、みんなでやっていく社風を作り出している企業があります。
紹介事例(2018年)

全女性社員と社長ランチミーティング
高度な技術を支える社員の輪

株式会社KELKの画像
武知会長(前列一番右)や斉藤社長(前列左から二人目)と一般社員の距離も近い。2年に一度、社員旅行を開催しており、「今年は千葉県にバス6台で行きます」と武知会長。社員同士の「飲みニケーション」も活発です。

 半導体製造などで使用される温度制御装置の世界的トップメーカーである株式会社KELK(コマツグループ、平塚市)は昨年、全ての女性正社員(25人)を対象に社長との「ランチミーティング」を開催しました。「様々なセクションで女性社員が能力を発揮してほしい」という会社の思いをトップが直接伝えること、そしてトップが社員のことを理解することが目的です。その際にこだわったのは、管理部門の責任者ではなく、企業のトップである社長自らが行うこと。昨年のランチミーティングの際、代表取締役社長を務めていた武知弘明取締役会長は「会社の考えをしっかり伝えるならば、社長が直接話すのが良いと考えました」と説明します。また「女性社員一人ひとりがどういう風に働いていきたいのかを直接聞くことは、会社が女性活躍に向けた制度を整える上で重要です」と話します。

 ランチミーティングでは、子育て中の社員が自らの経験を話す姿などが見られました。武知会長は「仕事の話だけではなく、プライベートの話など話題が盛りだくさんで和やかな雰囲気で進みました」と振り返ります。この時出た意見を元に、制度の検討も始めたといいます。それは、製造部門のフレックス制度についてです。事務部門ではすでに導入済みですが、製造部門では、機械を動かすのに多くの人手が必要で、「生産ノルマ」の壁もあるため、導入ができていない現状。柔軟な働き方と効率をどう両立するか、他業界の事例も踏まえ、考えていると話します。

周囲の理解が制度利用の促進へ

 一方、女性の活躍推進は制度を整えるだけでは足りないといいます。せっかく制度を導入しても、周囲に気をつかって利用されないのでは意味がありません。斉藤雅美代表取締役社長は、「周囲がサポートできる体制を整え、社員同士が互いの状況を理解することが大切」と話します。「歴代の社長が大事にしてきたのも『社員の輪』でした」と斉藤社長。同社では、2か月に一度のペースで社長や管理職が一般社員と会食する「ひまわりの会」や2年に一度社員旅行も行っています。

 武知会長は「商品を生み出すアイデアは一人の優秀な技術者がいれば良いのかもしれません。しかし、そのアイデアを事業にするには皆が協力し一丸となることが必要です」と話します。そのために同社では社員がともに協力し、女性も男性も働きやすい職場づくりに努めています。

斉藤 雅美の画像

斉藤 雅美 代表取締役社長

COMPANY DATA

設立:1966年 業種:サーモモジュールならびに各種温調機器の製造販売
従業員:333人 所在地:平塚市
URL:http://www.kelk.co.jp/

会社の近くに住んでいる社員が多く、通勤の負担が少ないです。「職住近接」も女性活躍のヒントになるのでは。