男性の育休取得、
みんなどうやっているの??

冊子が完成しました

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進めたいけれど、何のために、どうやって進めたらいいかわからないという経営者や人事担当者の皆さんに具体例や取り組み方を紹介する冊子が完成しました。

冊子表紙PC
冊子表紙SP

企業の取組事例やノウハウを多数掲載。ぜひチェックしてみて下さい

取材時のこぼれ話を紹介

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ここでは、冊子の取材で聞いたこぼれ話などについて紹介します

積水ハウス株式会社

「男性社員1カ月以上の育休完全取得」を宣言
トップが本気度を発信し、取得率100%に

森本さん
お話をうかがったダイバーシティ推進部の森本さん

子育てを応援し、社会を先導する「キッズ・ファースト企業」として、積水ハウスグループは「男性社員の育児休業1カ月以上の完全取得」を目指し、2018年9月より「イクメン休業」制度の運用を開始しました。経営トップである仲井嘉浩社長が「男性社員の育休完全取得」を宣言してから約2年。2019年8月末時点で1カ月以上の育休取得率は100%を達成しています。

冊子では同社の様々な取組みや工夫についてレポートしています。

積水ハウス取材秘話
取材秘話イラスト1

「わが家」を世界一 幸せな場所にする。

「住まいを通じた幸せ」を提案する住宅メーカーとして、人間性豊かな住まいと環境づくりを進めている同社。男性の育休完全取得も、そんな理念に基づく経営判断からだったといいます。「家族を幸せにするのが私たちの仕事なら、その一員であるお父さんを幸せにすることも会社として取り組むべき大切な仕事」とダイバーシティ推進部の森本泰弘さんは話してくれました。

「育休取得の申請手続きを簡素化し、取得状況をタイムリーに把握できるようにする社内システムの整備や、社長自らが全社員に向け、男性の育休取得への本気度を示す「イクメンフォーラム」の実施などを進める中で、実務担当者の皆さんが重要視していたのが、「コミュニケーション」。取得が進まない社員には個別で話し合いを設けたり、取得者の家族にアンケートをとったりと、会社全体でスピード感をもって取組みを進める一方で、こうした地道な働きかけが行われたといいます。

「現場でも社員同士で積極的にコミュニケーションをとってもらえるようお願いしました」と森本さん。育休取得を通じ、職場間でコミュニケーションが活発化することで、属人化の解消にもつながったと言います。

「男性の育休取得を進めることで、見えてきたこともたくさんありました。脱属人化が進み、業務の効率化が図られることは、企業にとってもメリット。会社力アップにもつながることだと思います」という言葉が印象的でした。

株式会社サカタ製作所

業務の「脱属人化」でスムーズに育休推進
給与シミュレーションで不安解消

坂田社長
数々の賞状の前で笑顔の坂田社長

新潟県長岡市にある株式会社サカタ製作所は、大工職人の道具・鉋(かんな)作りから始まり、現在は金属屋根部品の国内販売で高いシェアを誇る会社です。代表取締役社長の坂田匠さんは、「経営者のリーダーシップひとつで様々な取組みが進められる中小企業こそ、残業ゼロや男性社員の育休推進に取り組むべき」と、対象社員に個別で育休を取得した場合の給与シミュレーションを行うなど、経済面の不安を取り除く取組みを積極的に行っています。同社は男性社員の育児参加に積極的な企業を国が表彰する2018年の「イクメン企業アワード」両立支援部門でグランプリを獲得しています。

冊子では、同社の様々な取組みを取材しレポートしています。

サカタ製作所取材秘話
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日本一の大河・信濃川がゆったりと流れる新潟県長岡市。

この自然豊かな大地に、育休推進で全国から注目を集める企業があるとの情報を得て、取材にうかがいました。人材不足が叫ばれる地方の製造業。2014年には「残業ゼロ」の取組みにいち早く着手し、生産性をあげながら、人材採用でも優位に立つ同社。経営トップはどんなことを考えているのだろう、と期待が高まりました。

「育休は進めなきゃ損だよ」。坂田社長は開口一番、そう切り出すと、働き方改革に取り組んだ2014年の「残業ゼロ」の取組みについて話してくれました。

「残業ゼロ」を進める中で見えてきたのが「脱・属人化」の必要性。ITツールなども活用しながら、一人の社員にしかできない仕事をなくすことで、皆で助け合いながら定時内で仕事を完了させられる仕組みづくりを目指したところ、ひと月に平均約17・6時間あった残業時間は、約1時間まで短縮できたそうです。こうしたベースがあったからこそ、男性が育休を取得しても、人員補填することなく業務が行え、育休取得がスムーズに進んだといいます。また、社長自らが、対象となる社員に積極的にコミュニケーションを取り、育休取得を社として取り組んでいく意思を伝え続けたことも、取材を通じて見えてきました。

トップ自らが率先して動き、給与面や業務上の不安を取り除いたことで、取得が当たり前となる環境を整えた点が、成功のカギとなったようです。

現在は「座らないで仕事をする」=スタンディングワークについて勉強中だという坂田社長。座り仕事をやめ、社員の健康を追求する取組みを導入したいと、海外の企業などの事例を積極的に集めていると教えてくれました。「中小企業こそ、どんどん新しいことに挑戦すべき」。伝統と革新をうまく融合させてきた、同社の歴史と強さの秘密に触れた取材となりました。

坂田社長は取材の最中、「うちに来て下さったお客様にはお茶のかわりです」と、特製のかき氷を出してくれました。かき氷はとてもふわふわで、あまりの美味しさに驚きました。聞けば、新潟県やJAなどと、地域の産業と食材をPRする目的で「かき氷プロジェクト」を立ちあげたといいます。会社を構える長岡市の与板地域は、昔から刃物の生産が盛んで、「与板打刃物」は500年の伝統があります。与板地域で製作された鉋(かんな)や鑿(のみ)は、日本を代表する宮大工にも愛用されてきました。同社も元々は鉋作りから始まった会社。プロジェクトでは、伝統の技術を生かして業務用かき氷機を開発しました。シロップは県産の枝豆やイチゴなどを使用。昨年、プロジェクトで市内のフェアに出店した際は大好評で伝統技術と地域の食材の良いPRになりました。今は地元の長岡技術科学大学氷雪工学研究室と産学連携し、「透明な氷の研究にも取り組んでいる」といいます。

企業の成長や社員の幸福だけではなく、地元を盛り上げる活動にも積極的に取り組む同社の姿に、「愛する地域とともに生きる」という強い思いが感じられました。

かき氷
淡雪のようなふわふわのかき氷

サイボウズ株式会社

人事制度見直しで離職率大幅減
男性育休にも寄与した働き方改革

サイボウズ1
サイボウズの人事本部・野間さん(右)と高木さん(左)

働き方改革が叫ばれる10年以上前の2006年から働き方改革の改善に取り組んできたサイボウズ株式会社。きっかけは、2005年に同社の年間離職率が28%に上ったことでした。「人が辞めない会社」をつくることが、経営上合理的との考えに至り、抜本的な人事制度の改革に着手したといいます。

冊子では、最長6年間の育児・介護休暇制度の導入や、在宅勤務制度、子連れ出勤など同社が導入している様々な取組みを紹介しています。

サイボウズ取材秘話
取材秘話イラスト3

「最長6年の育休」「副業OK」――。サイボウズ株式会社は、多様な働き方を推進するリーディングカンパニー。取材前は、その最先端な働き方に理解が追い付くか一抹の不安がよぎった取材陣一行。コーポレートブランディング部広報チームの山見知花さんはそんな一行を温かく迎えてくれました。

オフィスに入ると目に飛び込んできたのは2体の大きなキリンのオブジェ。エントランスには、カンガルーや羊といった動物たちがあちこちに配置されています。さらには、室内に芝生、ハンモックなど遊び心が盛りだくさん。オフィスらしからぬ光景に驚く取材陣一行でしたが、このフロアデザインは社員自らが手掛けていることにも、また驚きました。空や木をイメージしたエリア、港のある街がモチーフの会議室など、社員の働きやすい環境づくりに力を入れていることがひしひしと伝わってきます。

オフィス内部
「サイボウ樹パーク」と名付けられた
エントランススペース

取材では、人事本部人事労務部の野間美賀子さんと高木一史さんにお話しいただきました。グループウェアの国内シェア率ナンバーワンの同社とあって、ITツールが様々な効果を発揮していると言います。例えば、私たちが普段使用するメールは、社内間ではほとんど使用しないそう。グループウェアで社内間の情報をスムーズに共有することで、育休等で長期間休む社員が出ても業務の引継で困らない環境を実現しています。

現在、同社が掲げているのは「100人100通りの人事制度」。クラウドを駆使した多様性のある働き方が、取材陣にとってあまりに自由すぎて、企業として仕事が回るのかすぐにイメージできずにいると、「僕もはじめはそう感じていました」と高木さんも同意してくださいました。昨年、大手自動車メーカーの人事畑から同社へ転職した高木さんから見ても、サイボウズの取組みは、自身の常識を覆したと言います。「100人100通りの人事制度」もまさにそのひとつ。多くの企業が社員の公平性を尊重した画一的な人事制度を定めていますが、同社は公平性よりも従業員一人一人の個性が異なることを前提に置き、彼ら一人一人にあった幸福を追求しようと取り組んでいます。時短だったり、育休だったり、月に数日の出社だったりと、それぞれが望む働き方や報酬を実現。「人事制度は変えるものではなく足すもの」を同社の常識としています。高木さんは、「ひとつの働き方しか認めない企業と多様な働き方を実現できる企業があれば、後者の方が魅力的に映るはずです」と、自信みなぎる言葉が、強く印象に残っています。

取材から数カ月。新型コロナウイルスの蔓延に伴い、同社では自社のテレワークのノウハウを無償で公開し、日本経済新聞には青野慶久社長の署名入りで、「無理して出社・出張しない選択肢を一緒に増やそう」と経営者に呼びかけました。また、同社の業務アプリプラットフォーム「kintone」は、新型コロナウイルス感染症対策に関するさまざまな情報を集約する基盤として神奈川県に無償提供されています。

社員の幸福を一番に考え、多様な働き方を実現したサイボウズのノウハウは、まさに今、社会に役立っています。