プレイベントの実施結果 第1集
水源環境を考える ナイト・トーク

 私が愛する森林・自然・共生
   
            葛城奈海(俳優)
            三遊亭金時(落語家)
   平成14年9月12日(木) かながわ県民センターにて開催
   参加者:77名

 もくじ
1 ヤモリが住んでいる家に住むことが理想です
2 トトロの森のお米づくり
3 自然を「管理する」ことの抵抗感?
4 作ってくれた人の顔が見えないコンビニ弁当
5 切り身で泳ぐ魚がいる?鶏の足は4本ある?
6 頭でっかちだった私を田んぼが変えた
7 森は人の心を表す
8 意識が変われば環境は変えられる
9 言葉を失った穂高の山
10 山が荒れてシカもクマも困っている
11 ゴミの島を「千年の森」に
12 みんなで力を合わせて守りたい森、水源環境
13 毎日取り替えるホテルのタオルをどう思う?
14 使命感?それとも楽しみ?
15 自然と溶け合っている私という感覚を大事にしたい


 参加者アンケートの結果


(全国シンポジウム実施結果のメニューへ)


○司会(県税務課原田副主幹)
 みなさんこんばんは。本日はようこそ、神奈川県主催の水源環境を考えるナイト・トークにお越しくださいましてありがとうございます。私は、神奈川県庁の税務課税制企画というところで仕事をしております原田と申します。始める前に、簡単にどのような趣旨でこの催しをしているのかご案内させていただきたいと思います。
 県では今私たちが実際に飲んだり、あるいは使ったりしている水がどのような環境の中で生み出されてきているのか、その現実とか課題を知っていただき、その課題を解決していくための対策、それからその費用のあり方について県民の皆さんと一緒に議論していきたいと考えています。でもこうした議論というのは、自然に対する思いであるとか、あるいは関心、あるいは愛着というものが根本にないととても空虚なものになってしまうのではないかというふうに私どもは感じています。そういったことから、さまざまな分野でご活躍されている方をゲストにお招きしまして、いろいろな角度から水源環境、水の源の環境について話題を提供していただくということで、こうしたナイト・トークという企画ができあがりました。
 昨夜に引き続き、今夜が2日目になります。今夜は、俳優の葛城奈海さんをお招きしまして、「私が愛する森林・自然・共生」というテーマでお話を伺うことになっています。葛城さんは、俳優というご職業のかたわら、自然をこよなく愛し、登山や自然保護活動に打ち込まれる一方、武道もたしなまれるなど、非常に多彩な活躍をしていらっしゃいます。日ごろの体験を通して考えたり感じたりしていらっしゃることの一端をお伺いできると思います。
 そして、今日はご案内役をラジオ番組で皆さんお聴きになった方もいるかと思いますが、「金時のかながわ見聞録」でおなじみの三遊亭金時さんにお願いしております。
 それでは、さっそく金時さん、よろしくお願いします。

1 ヤモリが住んでいる家に住むことが理想です

○三遊亭金時
 皆さんどうもこんばんは。お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。本当に忙しかったら来ないかもしれませんけれどもね。(会場:笑い)
 水源環境を考えるナイト・トーク。今日は2回目でございます。昨日から始まりまして、昨日は青木宗明先生のお話を伺ったんですが、昨日お越しいただいて今日もという方もいらっしゃる。そして中には、今日のゲストをお目当てにお見えになっていらっしゃる方も多いと思いますが、葛城奈海さんです。今日はよろしくお願いします。(拍手)
 葛城さんは何を隠そう東京大学の出身でね、もう一人いますね、菊川怜ちゃんなんかも。俳優さんでいらっしゃいまして、和田勉の「ザ・ドラマスクール」を卒業なさって、そして今では俳優活動をしていらっしゃいます。どうぞ、自分で自己紹介してくださいよ。

○葛城奈海
 困ったな。

○金時
 今日は葛城さんがメインなんですから。

○葛城奈海
 実は今日、お客さんがどのくらい入るだろうってすごい心配していまして、5人か10人ぐらいしかいないんじゃないかと思ってかなりドキドキしていたんですが、さっき覗いたらたくさんの方が座っていらっしゃるので、今度は本当にドキドキしちゃって何をしゃべり出すのか分からないんですが、今日は2時間おつきあいください。よろしくお願いします。(拍手)

○金時
 葛城さんは農学部のご出身。そうすると、昔から自然とかに興味があったんですか。

○葛城奈海
 私は埼玉県の所沢市と奈良県の奈良市というところで育ったんですが、幸いにも土がいっぱいあるところで、家庭菜園やったり鶏を飼ったりっていうことをずっとしてきたんですね。ですから、子どもの頃から夏には朝起きるとトマトやキュウリを収穫するのが楽しみで楽しみで、そのために起きるような生活をしていました。父が山好きなので、物心ついた頃からいろんな山に連れて行ってもらって、気がついた時には山が好きでした。そんな環境があって、でも環境問題ということを意識するようになったのは高校生になってからですね。私は都内にあるミッションスクールに通っていたんですけれども、聖書の先生というのがいまして、その聖書の先生に連れられて学校から徒歩10分くらいのところにある上智大学の公開講座というのに出たことがありました。「バナナと日本人」というような題だったんですけれども、そこで、私たちが普段何気なく食べているバナナというものが、実は東南アジアの人たちが生きていくために日本では禁止されているような農薬を使って自分の体が皮膚病になってしまったり、呼吸障害に侵されたりしながら生活のために仕方なく必死になって作っているものだということを知って、すごいショックを受けてしまったんですね。なんかバナナおいしいななんてお気楽に食べていた自分が恥ずかしくなりました。それと相前後して、ある人に「知らないことは罪である」ということを言われました。それにガーンと来てしまって、私は食べているもののことさえ何も知らなかった、恥ずかしいなと思って、自分ももっと知りたいし、周りの人にももっと知ってもらいたいなと思ったのが、環境問題に身を入れるようになったきっかけです。

○金時
 ほう、あの自己紹介の中にはなかったんですが、剣道もすばらしいし、合気道もやっていらっしゃるし、それから自然派でカヌー乗ったり、いろいろするんですって?

○葛城奈海
 ええ、剣道はまたちょっと違うんですが、「鹿島神流剣術」というのをやっています。もともと大学入ると同時に合気道部に入って、それから合気道も通っているんですが、そこは単に合気道だけじゃなくて剣術も教えてくれるところなんですね。普段は木剣を使って稽古をしているんですが、4年生くらいから真剣を持たせてもらって稽古をするようになりました。いつのことか、剣で袖を貫通させてしまって、「わぁ、本当に切れた」とか思ってビックリしたことがあったんですけれども。体を動かすことは大学に入ってから好きになったんですね。

○金時
 ああそうですか。でもせっかく東京大学に入ってですよ、農学部っていうんじゃなくてもいいんじゃないかなって。それこそ一流の官僚の道を目指すとかですね…、

○葛城奈海
 農学部が面白いんですって。

○金時
 そうなの?

○葛城奈海
 私が行ったのは農業経済学科というところだったんですが、あいにく私は数字がとっても苦手で買い物の足し算すらできないような状況だったんで、統計などの数字の面では大変苦しんでしまったんですが、牧場実習や農場実習というのは本当に面白くて、牧場実習というのは有志だけで、参加したくない人は取らなくていいんですけれども、私は大張り切りで岩間というところに行きまして、やったことは羊を押し倒して爪を切ったりですとか、まあ私自身は手を下していないのですが牛の去勢をしたりもしました。

○金時
 ほう、じゃあ田んぼなんかも実習でやるんですか?

○葛城奈海
 いえ、田んぼはなかったんですけれどもね。田んぼに目覚めたのは社会人になってからで、正確に言うとここ数年ですね。

○金時
 ここにもいらっしゃるかもしれませんが、東京大学農学部卒業生と、東京農大卒業生とはだいぶ違うんですか?

○葛城奈海
 どうなんでしょう。東大だから頭がいいと思われていつも困っているんですよね。私と3日も一緒にいていただければ偏見だってすぐ分かっていただけると思うんですけれども。

○金時
 落語界も最近は大学卒が圧倒的に多くて、ただ一ついないのが東京大学、いや違う何年か前に○○師匠のところに入ったんですけど、2ヶ月ぐらいしたらこんなばかばかしいことやってらんないってやめちゃったんですって。やっぱり東京大学出ている人は頭がいいなと思って。実は僕の所にも弟子がいるんですが、こいつがね、外語大出なんですよ。「おまえ外語大出て噺家になることないじゃないかよ。で、外語大で何教わったんだ?フランス語か、英語か?」って聞いたら、「日本語学科」だって。(笑い)

○葛城奈海
 あるんですね、日本語学科って。

○金時
 あるんですよ。海外での日本語の学校の先生になるためのことを教えるらしいんですよ。

○葛城奈海
 ああそうなんですか。

○金時
 そうすると、子どもの時から自然が大事だとか、そういうことを考えることはなかったんですか。その上智大学の公開講座に行ってから?

○葛城奈海
 そうですね、ことさら難しいことは考えてなくて、単に自然の中にいると気持ちいいな、楽しいな、虫がかわいいなっていうような感じでしたね。

○金時
 おー、虫かわいいですか。

○葛城奈海
 虫かわいいじゃないですか。

○金時
 多少の虫には驚かない?

○葛城奈海
 ええ、お友達って感じで。虫じゃないですけど、特にヤモリが大好きで、ヤモリが住んでいる家に住むことが理想なんです。(会場:笑い)

○金時
 そりゃぁおかしいよ。じゃあ、しっぽ持って切ったりとか…。

○葛城奈海
 切りません。ナデナデ。はたけしごとやっていてこんなちっちゃなアオガエルなんか出てくると、もう必死になって捕まえて、ナデナデってやると、結構うっとりして目をぱちくりするのがすっごいかわいいです。

○金時
 最近の子はね、セミが怖いとかカブトムシつかめないとかっていうじゃないですか。そういうことはなかったんですか?

○葛城奈海
 全然。

○金時
 じゃあ、自然を守ろうとか、環境を大事にしようとかっていうような活動を始められたのはいつ頃からなんですか?

○葛城奈海
 それはですね、私の心の中ではずっと。「バナナと日本人」に出会ってからだと思うんですが、結構頭でっかちな部分が先行してしまって、実際私が田んぼやらのことを始めたのは去年の頭ぐらいからですね。

○金時
 田んぼやってらっしゃるんですか?

○葛城奈海
 はい、私に実家は今も所沢にあるんですが、そこに「トトロの森」というのがありまして、あ、ちょっとスライドでご説明させていただいた方が…。

○金時
 そうですね。早速スライドを使って説明していただきましょうか。

2 トトロの森のお米づくり

○葛城奈海
 これが狭山丘陵の中にある狭山湖という湖なんですが、「トトロの森」というのは狭山丘陵のことを指します。ここにあるのが狭山湖で、さらにここに多摩湖という湖があって、両方とも飲み水にするための水源用の人造湖です。人が作った湖で、母の親戚の家も湖底に沈みました。大体大きさとしては3100ヘクタールぐらいあるんですね。東西が11q、南北が4qぐらいのこの湖も、映画「となりのトトロ」の舞台になったところと言われています。
 「トトロ」に出てきそうなこういうお社があったりですとか、トトロの中には「七国山」という名前で紹介されていたと思うんですが、実際には「八国山」という山があります。

○金時
 へぇー、そうなんですか。

○葛城奈海
 はい。

○金時
 お社のところの猫、伝統的な姿をしてますね、なんかがらの悪そうな。

○葛城奈海
 悪そうですねー。
 で、その中に「トトロの森」というのが、いま4か所あるんですね。で、「トトロのふるさと財団」というのが私が活動に参加している市民団体なんですけれども、これは狭山丘陵の中にある雑木林のうちで、相続税対策ですとか、開発のために存続が危ぶまれてしまった森を、お金を出して、寄付を寄せ集めて買い取って保護しようというナショナル・トラストの運動のグループです。上が1号地で、これが3号地ですね。

○金時
 みんなでこれを買い取ったんですか?

○葛城奈海
 そうなんです。ちょっとずつお金を出し合ってみんなで買ったんですね。ただ単に買っただけではなくて、財団としては森を管理したりゴミを拾ったり、それから森だけではなくてその地域の中にある歴史的な文化財、その辺にある石碑とかも含めて調査研究したりもしています。
 これが私が参加している「ぼだいぎ田んぼ」という田んぼになります。このあたりの地区名が「ぼだいぎ」という場所なんで、「菩提樹」という字を書いて「ぼだいぎ」と読みます。広さは大体六畝半くらい、200坪といった方が分かりやすいかもしれませんね。

○金時
 これは休耕田だったんですね。

○葛城奈海
 そうなんです。もともとここを持ってらっしゃった方が高齢化して、もう力がないから作れませんということで10年間ぐらい休耕田になって、こんな感じで草がぼうぼうと生い茂って荒れ果ててました。それを2、3年前にトトロの人が、じゃあ私たちでお米を作らせてくださいということで、このように復活させたということなんですね。

○金時
 じゃあこれは耕している最中ですか?

○葛城奈海
 これはですね、1年の始まり。田起こしが終わって代掻き(しろかき:田に水を入れ、土塊を砕き田面を平らにする作業)をしようとしているところですね。これが代掻きです。田植えの前に土を軟らかくしてちゃんと稲が植わるようにするんですね。

○金時
 でもこれ大変なんでしょ。

○葛城奈海
 ええ、そうなんです。

○金時
 休んじゃっている田んぼを元に戻すのにはかなり…。

○葛城奈海
 そうなんですね。私が参加したのは、実はトトロが復活して2年目だったのでそうでもなかったんですが、やっぱり初年度というのは木の根っこのこういうのが張ってたりとかして相当苦労したと聞いています。
 これが、田植えの日です。田植えの日には近所の子どもたちも集まってきて、「わあ、気持ちわるーい」とかいいながら大騒ぎして田んぼに入っています。

○金時
 田んぼにはいると、足の指の間から泥がニュルーッと出るのが…。

○葛城奈海
 私それ大好きなんですけどね。

○金時
 そうですか?

○葛城奈海
 気持ちいいじゃないですか、足の指の間からまさにニュルニュルッと。最近の学校教育とかでは、裸足で田んぼに入ると危ないから靴下はかせているところなんか結構あるらしくて、邪道だなっと思って、けしからんと思っています。
 そして、ああもう実っちゃいますね。夏の間には、このスライドにはなかったんですけれども、草取りをします。本当に刈っても刈っても雑草というのはすぐ伸びてきてしまって、野生のたくましさってすごいなーとあきれるばかりですね。
 だいたいお盆くらいに稲の穂が出てきて、花が咲いてこのように実りの秋を迎えます。

○金時
 あのかかしも、最近ない形のかかしですね。最近はマネキンとかあるんですよね、ハイカラなやつがね。

○葛城奈海
 金時さん、面白いところに気がつかれますね。もう私、無視していました、このかかし。誰が作ったんだろう…。
 そして、刈った稲を5束ずつぐらい抱えて、それを干すんですけれども、抱えた時のずしりとした重みは、なんて言うんだろう、生き物の重みっていうか、何ともいえないものがありました。で、ここのこの竹の棒を「はさ(稲架)」といいます。「稲を架ける」と書きますが、「はさ」といいます。これもみんなで竹を切ってきて作っています。そこにこうやって稲を干すわけですね。2週間ぐらい干すと、葉の水分が抜けて茶色くなって、さっきご紹介したずしっとした重みとは対照的に、本当にカサッていう感じの手触りになるんですね。本当に生き物、植物、人間もそうだと思うんですが、水分、水からできているんだなーっていうことを実感しました。

○金時
 これでどのくらいの収穫があるんですか?

○葛城奈海
 もち米とうるち米両方作っているんですが、昨年の収量がそれぞれ約1石ずつ。トータルで約2石ですね。
 次は脱穀の様子です。ちょっと分かりにくいんですが、ここに稲わらを差し込むとガガガーッと引っ張られて、それを引っ張り出して終了ってことになるんです。

○金時
 もうこの機械はほとんど使っている家はないんじゃないですか?

○葛城奈海
 ないと思いますね。

○金時
 どこかの農家の倉庫から引っ張り出した?

○葛城奈海
 ええ、ここの農家がとってもたくさんの道具を持っている農家で、千歯こきなんていうのもあったんですよ。歴史の教科書にも載ってた原始的なバサッと束を引っかけて引っ張るというやつですね。これを拝見した後、この機械を使ったらなんてすばらしい文明の利器なんだろうと思いました。こうやってもう確かに錆びているんですけれども、こういった道具を大事に使っているっていうのもすてきなことだなと思いながら、仕事してます。
 (次のスライドは)ちょっと時間が飛んでしまったんですが、この後は脱穀して精米して、12月にお餅つきして、みんなで「ああ、おいしいね」って言いながらニコニコ食べるんですけれども、それで1年間の田んぼの作業がおしまいかっていうと、そうじゃないんですね。冬は冬でこのようにやることがあって、これは落ち葉はきをしています。トトロの森では、有機栽培の米作りをしているので、農薬や化学肥料はいりません。その分、こうやって落ち葉を山からもらってきて、堆肥を作ります。ところで、この落ち葉というのが大変扱いづらいものだということが、私がこれをやってみてひしひしと感じてしまったんです。ただ掻き集める時はいいんですよ、これを手で抱えて籠に入れるっていうのがすごく難しくて、見てのとおり落ち葉はフワフワしているので、両手でつかんだだけでは「そう簡単には捕まらないわよ」っていう感じで逃げていってしまうんですね。その自由奔放な落ち葉ちゃんを手なずけるためには、手練手管が必要なんですよ。農家の方っていうのはちゃんと知ってらして、その技を学ぶと10倍ぐらいつかめるようになるんですね。

○金時
 それって、どうやるんですか?

○葛城奈海
 具体的に説明するのが難しいんですが、まず両手でグァシってつかんで、その固まりを右にずらして今度は右からグァシって入れて、今度は左にずらして左からグァシっていうことを20回くらい繰り返すと、こんな束になるんですよ。それをこのような籠の中に詰めていくんですね。その時に気を緩めるとさっきせっかく凝縮されたものがまたフワッとなってしまうので、力をかけたままこの中に入れて、入れたままではすぐ拡がっていっぱいになってしまうから、籠の中に人が入って踏みます。踏んで踏んで踏みまくると、どんどんどんどん濃縮されて、この籠でだいたい60sぐらい詰め込むことができます。相当重かったです。私一人では持ち上がりませんでした。

○金時
 お仲間は何人ぐらいいらっしゃるんですか?

○葛城奈海
 メンバーは本当は50人くらいいると思うんですが、こういう地道な作業に出てきている人というのは10数人ですね。稲刈りとかお餅つきとか田植えとか、ちょっとイベント的な時には倍くらいの人が集まってきます。

○金時
 結構地道な活動ですよね。

3 自然を「管理する」ことの抵抗感?

○葛城奈海
 さっきの籠を運んできて、この堆肥置き場に入れます。ここでもまた踏んでいくんですね。ここには落ち葉だけじゃなくて、稲ワラを入れたり、鶏糞を入れたり、水分を補給したりして寝かせると、発酵してだんだん暖かくなってくるんです。そのうちキノコなんかも生えてきたりしますね。
 こういったことを冬場にやっているんですけれども、それともう一つ並行して冬にやる作業というのが、ため池の管理作業なんですね。ちょっとスライドがないんですけれども、田んぼというのは必ず水を引きますよね。その水の水源というのが、この田んぼの場合は200メートルぐらい上流にある「菩提樹(ぼだいぎ)池」という池なんです。そこはもともとため池で、田んぼが元気に作られていた時代には、そちらの池の方も人の手が入ってきれいにされていたんですけれども、休耕田になっている間にすっかり池のことも忘れ去られまして、そうこうするうちに落ち葉と泥が溜まってほとんど水がなくなってしまったんです。その場に立っても、あれ、池ってどこにあるのかな、この水たまりが池?というぐらいしか水がないところだったんですが、これを管理するという仕事です。
 いま私は「管理する」という言葉を使いながら、抵抗を感じていらっしゃる方がいるんじゃないかなってちょっと思っているんですけれども、森を管理するとか池を管理するために木を切るとかは私自身最初すごく抵抗があったんですね。なんか自然に対して管理なんていう言葉を使って、駐車場じゃあるまいしなんて思ったんですね。実際、作業に参加するようになって、なんていうか例えば「森」という言葉にもすごい広い意味があって、原生林のような人の手つかずの森というのはもちろんそのままでいいと思うんですね。ただこういう里山の森というのは、古くから人間がそこで薪をもらったりして人と一緒に歩んできた林をいうので、人の手が入らなくなってしまったからすっかり荒れていたんですね。で、トトロでいう森の管理作業というのは、その森を元気な生き生きとした森に戻そうという作業でした。それで私は納得したんですが、そのため池の管理作業というのは、最初に木を切りますっていわれて、「えー、自然を守るのに木を切るの?」って感覚的に思ってしまったんですけれども、実際には池の上に張り出している部分だけの枝を落として、池に落ち葉が落ちたり、木が枯れた時に池を埋めてしまうことがないように、そういう目的を持った管理なんですね。で、木を切ったり溜まっている落ち葉を掻き出すと、池ってすごく元気になる。水もちゃんと溜まるようになります。この「かい掘り」という作業は、実は昔は年に1回くらい地域の人が総出で行っていたそうで、昔の話を聞いたら、かい掘りの時って底をさらうために水を少なくするんだそうです。で、前の年のかい掘りの時に鯉を放しておくんですね。1年間待って、丸々と太ったところを捕まえてみんなで食べるのが楽しかったなんて、すごい幸せそうになつかしそうに話してくれました。
 大体これでトトロの森の一年の作業を振り返ることができたんですけれども、作業してみて感じているのは、田んぼの作業をしている自分というのがいて、お米が目の前にあって、流れ込んでくる水があって、森があってというのを目の当たりにしていると、やっぱりおいしいお米を作るためにはきれいな水がないといけないとか、きれいな水を得るためには健康な森がないといけないんだなと肌で感じることができるんですね。頭で分かって理解するっていうレベルではなくて、もうこれとこれとこれがダメだったら私もダメなんだなっていうことを、自分も自然の一部なんだなっていうことを実感として感じることができます。
 そうやって自分が肌で感じるということは、何よりも大きな説得力となって、環境を守らなくてはいけないなと思わせてくれるものです。

4 作ってくれた人の顔が見えないコンビニ弁当

○葛城奈海
 これは、トトロの森のゴミ拾いをしているところです。トトロの森にはこうやって森がいっぱいあるので、人目につかないということで、ゴミがいっぱい捨てられていました。10年ほど前は本当にひどくて、例えば洗濯機とか冷蔵庫とか車とかも捨てられている。そういった時代があったんですけれども、今はだいぶきれいになってきました。環境問題がクローズアップされるようになって、人々の意識も上がってきた成果だとも思うのですけれど、それでもまだこうやってあります。特にひどいのが駐車場の周りとか、車道わきの藪の中です。捨てられているのがコンビニ弁当のカラですとか、ペットボトル、カン、それから雑誌、ビデオなんかも多いんです。雑誌は水分を含むと重くてやっかいなんですね。あと、土の中に埋められているものもあります。

○金時
 埋めていくんですか?

○葛城奈海
 わざわざ埋めていくんです。このあいだ靴下かなって思って引っ張り出し始めたらなかなか出てこなくて、なんだこりゃって思いながらだんだんドキドキしてくるんですよ。何でか分かります? この先にひょっとして体があるんじゃないか?と思って。掘っていったら最終的にそれはTシャツだったんですけれども、繊維の間に細かい根が入ってしまっていて、それで掘り出すのに苦労したんですね。こんなことをしながら、なんでみんなこんなにゴミを捨てるんだろう?って考えたりしたんですが、もしもお弁当が自分のお母さんとか奥さんが作ってくれたものだったとしたら、たとえ容器が捨てられるものだとしてもこんなに無責任にポイと捨てちゃったりしないだろうなと思ったんです。コンビニ弁当というのは作ってくれた人の顔が見えなくて、ひょっとしたら作ってくれた人は丹精込めて作ってくれたのかもしれないけれど、買う人はそんなことお構いなしなんですよね。感謝の気持ちが湧いてこない、顔が見えない関係だとそうなってしまうなと思いました。それは野菜だとか普通の食物でも同じだと思うんです。作ってくれた農家の人の顔が見えてたりすれば、「ああ、あの人が作ってくれたんだ。感謝していただこう。残さず食べよう。」という気になるかもしれないけれど、そうでないと安易になってしまうと思うんですね。それは作る側も同じで、誰が食べるかということが見えていないと、とにかく売れればいい、売れるためにはきれいにしておけばいい、農薬かければいいってなってボンボン農薬かけてしまうと思うんです。ですけれども、もしそれが自分の身内だったとしたら、実際農家の方を一概に言ってしまうのは語弊があると思うんですけれども、自分たちが食べる分というのは別の作り方をすると言いますよね。農薬も最小限にして。そうやって売れればいいっていうことよりも、安全であるということを何よりも大切にしているわけですよね。そういう気持ちが起きなくなってしまうのは、やっぱり人と人の顔が見えていないということに大きな問題があるような気がします。
 人と人というのもそうなんですが、これはまた人と自然ということにも当てはまると思いました。こうやってゴミを捨てて、森が荒れても、その結果水が汚れて自分たちの健康が蝕まれるっていうことになかなか思いがいたらないのではないか。ところがこうやって現実を目の当たりにして肌で汚いな、くさいな、全く不健康だなっていうことを感じると、すごい説得力があって意識を変えてくれるんでしょうね。そうやって、ゴミを拾った時もそうなんですが、実際に自分の肌で感じることが何よりも大切だなって思うようになりました。

○金時
 このゴミもみんなでかたづけたんですか?

○葛城奈海
 まず、私たちは一応分別収集します。が、その後、市が引き取ってくれるときには、こうやってうち捨てられているゴミというのは全部燃えないゴミに扱われるんですね。何が染み込んでいるか分からないから燃やすことはできないんだそうです。

○金時
 これだけ片づけたらかなり大変でしょう?

○葛城奈海
 そうですね。最初は、ゴミなんか見つからないから今日はただの散歩か、なんて思っていたんですけれども、ひとつ見つかり始めたら次から次へと、もううんざりするほど見つかって。でも、今だったら半日歩けばきれいになるぐらいの量です。

○金時
 じゃあ、最近は捨てる人も少なくなってきたということなんですか?

○葛城奈海
 ええ、そうやってゴミがなくなってきたから、安易にポイッて捨てる気になる人も減ってきたんじゃないかな。そういういい連鎖反応が起きてきているんじゃないかなって思います。

○金時
 実は僕もちょっとボランティア活動をやっていまして、「落書き消し」っていうのをやっているんですよ。

○葛城奈海
 「落書き消し?」。ああそんなボランティアがあったんですね。

○金時
 なんか壁に書いたりするやつあるじゃないですか、あれを消すことをやっているんですよ。でね、さっきのゴミと同じでね、1か所書くとね、いっぺんにワーッと書かれちゃう。だから子どもの頃、障子を最初に破くやつって勇気がいるじゃないですか。で、もう一か所破けたらボロボロじゃないですか。だからゴミがゴミを呼ぶっていうのはありますよね。

○葛城奈海
 最初の一歩はダメだと思っていても、その後っていうのはもうやっているからいいや、っていうような。

5 切り身で泳ぐ魚がいる?鶏の足は4本ある?

○金時
 トトロの森財団というのはそういうゴミを片づけたりとか、畑をやったりとか、その他には何をやっているんですか?

○葛城奈海
 他には、地域にある石碑とか歴史的なものの調査研究活動ですとか、あとは雑誌なんかを作って地元の子どもたちの教育活動に役立ててもらうとか、そういったこともやっています。

○金時
 ほう、さっき田植えにはこどもの姿がありましたが、近所の子どもを呼んだりとか。

○葛城奈海
 そうですね。

○金時
 どうですか、子どもたちは。

○葛城奈海
 最初はかなり抵抗するんですよ。カエルがこわいよーとか、泣きそうな顔しているんです。でも、「こわくないよ。なでてごらん」っていうと、あっという間に子どもたちは変わっていくんですね。そういうのは見ていてとてもうれしいです。田んぼに入ることにしても初めは気持ち悪いーなんて言ってても、やり始めたらキラキラと顔が輝いているんですよ。だから本質的に触れてみれば何でも受け入れてしまえるんじゃないかなって思います。

○金時
 都会の子どもは自然と乖離してきちゃっているなって感じがするんですよね。

○葛城奈海
 確かにそれは都会にしかいない子どもを見ると、例えば魚というのは切り身で泳いでいると思っている子がいるとか、鶏の足が4本あると思っている子がいるという話を聞くんですが、これ本当にいるらしいんですよ。恐ろしいことだと思うんですけれども、それ以上に大地から足が離れてしまっているんだよっていうことに気づいていないことがまた危険なことだなと思って。それを何とかするためにも、やっぱり海に行き山に行き畑に行き田んぼに行きっていうのは、すごく大事なことだと思いますよね。

○金時
 極端な話ですけど、倉本聡さんが北海道で富良野塾というのをやっているじゃないですか。その塾生はね、自分で鶏を殺して食べる。

○葛城奈海
 あ、そうなんですか。あの方、やることが徹底していらっしゃいますものね。

○金時
 この生きている姿を知らないで食べるのは偽善だということですよ。

○葛城奈海
 あ、私もそれに近い考えを持っています。大学時代に屠殺場に行く選択授業があって、じゃあ行きますって行ったんですね。豚を殺すところだったんですけれども、なんでも殺す瞬間というのを見て気絶した女子学生がいたからその瞬間はお見せできませんって言われて、じゃあその直前と直後をしっかり見てやろうと思って見てきたんですけれども、ブタさんも殺されることが分かるからいやがるんですよ、入っていくのを。つらい声で鳴いていたのが耳に残っているんですが、その直後からジーッと見てきました。そしたら、私はその手のことは割と平気な方だと自分では思ってたんですけれども、直後にトンカツが出てきたんですね。(会場:笑い)えーっ!と思って、食べられませんでしたね。そのあと半年ぐらい引きずりましたが、でもそれが私たちの生き物としての現実の姿なんだよなってことを教えてもらえたのは良かったと思ってます。

○金時
 ほう、僕は高校の時寮生活をしたんですけれど、やっぱり監督が厳しい人で、ご飯絶対残させなかったんです。で、「なんで残さないか分かるか?おまえたちが食べているものはみんな生きていたものだから、きれいに食べるのは当たり前だろう。米粒ひとつ残すな」って言われましたね。

○葛城奈海
 すてきですね。

○金時
 活動するようになってから、米粒ひとつ残さなくなりました?

○葛城奈海
 はい、なりました。ていうか、逆に私が無理して何でも食べてしまうせいで、自分のおなかが壊れてしまったことがあったりで、それでちょっと反省して、状況によっては残すことも正直言ってあるんですけれども、意識としては全部食べようって思っています。

6 頭でっかちだった私を田んぼが変えた

○金時
 ああそうですか。もうこの活動は何年ぐらいやっていらっしゃるんですか?

○葛城奈海
 トトロはまだ2年ぐらいです。

○金時
 やってて、自分自身変わったとか、前と考え方がどういうところが違ってきたとか、ありますか?

○葛城奈海
 はい、私はその前から環境問題に関わってはいたんですけれども、なんかもうかなり頭でっかちだったなーって思ってたんですね。口でいろんなこと言っても、自分の言っていることが説得力がないなーと思うようになって、これじゃまずいだろう、なんかしなきゃだめだと思ってまして、ある時実家の近くにある多摩湖のそばを走っていたら、「あれ、田んぼがあるぞ」と思ったんです。それはなんかこう大規模で機械化されてやっている田んぼというのではなくて、見ていただいたとおり、こじんまりとしたもので、「なんだか田んぼがあるぞ」と思って調べていったところ、ああいう財団があることが分かって、参加することにしました。

○金時
 最近ごらんになっていらっしゃる方も多いかもしれませんが、「ザ鉄腕ダッシュ」なんていう番組がありますよね。ダッシュ村とかやっているところをごらんになった方も多いかもしれませんが、やっぱりただ一言で米作るっていったって、かなり大変なんでしょ?

○葛城奈海
 そうですね、本当に暑い中草取りして、蚊に食われまくるんですよ。あちこちボコボコになるんですけれども、草取り一つだってこんなに大変だったんだとか、やっぱり肌で感じる。

○金時
 一番手間がかかるってなんですか、そういう農作業で。

○葛城奈海
 何でしょうか。草取りなんかは、やっていて一番つらいです。収穫とかは、ああお米ができたできたと思っているから、楽しいじゃないですか。脱穀とかもそうなんですけれども、そうだな草取りかな。稲そのものから離れてしまうんですが、大変だったのが、その菩提樹池というため池を管理する時に、ちょっと流れが悪くなってきているから大谷石を取ってきて、きれいに水路が引けるようにしようよっていう作業をやった時に、まずその大谷石が重すぎて私には持てませんでしたし、そこに土を運んでくるのに土置き場から土のうを作って、これぐらいの白い袋にまずスコップで土をいっぱい詰めて、それをかついでトラックに乗せて運んだんですけれども、土のうって重いんですね、当たり前ですけど。あれは持ってみて、「あ、こんなに大変だったんだ」って思いました。
割と背筋力ある方なんですけれども、きつかったです。

○金時
 今日ちなみにお見えのお客様の中で、俺は農作業とか畑仕事をやったことがあるという方いらっしゃいます?(挙手あり)あ。
 では、現役でやっていらっしゃるという方は?(挙手あり)あ、農業でやっていらっしゃるんですか?

○観客
 いえ、趣味でやっています。

○金時
 趣味でやってらっしゃって、やっぱり自然のありがたみとか感じられますか。

○観客
 ええ、実るとうれしいです。

7 森は人の心を表す

○金時
 ああ、そうでしょうねえ。でもそれにしても、作物作るにしても最近の異常気象とかっていうものでもって思わぬ被害を受けるとかあるんでしょ、そういう農作物にしても、林にしても、森にしても。どうです?

○葛城奈海
 私はまだキャリアが浅いので、以前に比べてどうのというのは正直言って感じてないのですけれども、ただ、農薬使わないでお米作っていくと、農薬のせいだけではないと思うんですけれども、ネズミにかじられたり、スズメにやられたりして、良く穂を見てみるとやっぱりお米ついてないやなんていうのが意外とあるんですね。

○金時
 あーそうですか。でも、森に入らないと荒廃するという話がありましたけど、自然を守るためには、山の中に入って荒らすよりも、うっちゃっておいた方がいいと思うんですが、そうじゃないんですか。

○葛城奈海
 そればかりではないですね。原生林と呼ばれるような奥山であれば、それで手をつけないでそっと残しておけばいいと思うんですけれども、里山と呼ばれるような私たちの生活に密接に本来関わってきた森というのは、例えば、昔は薪を取るために木を切っていましたよね。その切り方というのも森自体がなくなってしまっては元も子もないので、ちゃんと計算された切り方で、ある方から聞いた話ですけれども、33年間で33箇所を一巡してこれるような切り方をするんだそうです。1年目はここ、次の年はここ、というように。33年たったときは、また1年目の林は元の姿に戻っている。そうやってうまく調和してきたというのが、私たちの先祖が自然とつきあってきたやり方だと思うんですね。それが今ストップしてしまうと、森も荒れてしまう。「森は人の心を表す」という言葉があるそうなんですけれども、森が荒れると同時に人の心も荒(すさ)んでしまったんではないかなという気がしているんです。

○金時
 土砂崩れが起きるのも、人間が入らないからだそうですけれども、あれはどういうわけなんですかね。ほっておいてもいいような気もしますけどね。

○葛城奈海
 土砂崩れは、開発してみんな木を切ってしまったから、という話を私はよく聞くんですけれども。

○金時
 入らないから雨だれで木の根元の方まで削れてしまっているとか。
 趣味として山登りをいろいろとされているそうで。

8 意識が変われば環境は変えられる

○葛城奈海
 はい。山登りは本当に大好きで、小さきときから父に連れられてよく登っています。百名山にこだわっているわけではないんですけれども、百名山でいえば23の山に登りました。神奈川県では丹沢が好きです。3回ぐらい登ったかな。こんな近くの山にも関わらず、アルプスにでも来てしまったかのような雄大な景観があります。私の家族は、毎年、家族登山をするのですが、今年は槍ヶ岳に登ってきました。みなさん上高地って行ったことありますか。上高地に行ったという方、手を挙げていただけます? 結構多いですよね。

○金時
 やっぱり、昨日もそうですが、こういうところにお集まりの方は、自然に触れ合うことが多くて、もしかするとこっちよりも詳しかったりしてね。

○葛城奈海
 そのあたり恐いなと思いながら話しているんですけれども。行ってくださった方はお分かりと思いますが、槍ヶ岳に入るには上高地から梓川という川をどんどん遡っていくんです。その梓川という川はまさに水色をしているんです。水色、水色って私たちいいますけど、よく考えてみるとあれは水の色だったから水色になったんですね。何いっているんだ私はとお思いでしょうね。

○金時
 ごくごく当たり前のように聞こえるんですけれども。

○葛城奈海
 私は水は透明だと思っていたんです。もしくは汚いところだったら、緑色だと思ったんです。それがその上高地から遡った梓川は水色をしていたので、空色にも近かったんですが、びっくりしてしまって、あぁ…きれいな水って本当に水色なんだ、と思いながら歩いてました。その梓川に横からどんどん沢が流れ込んできて、雪解け水が入ってくるので水量が本当に豊かで、「水と緑の国なんだ、日本は」なんて感じましたね。

○金時
 お父さんは昔から山登りをしているから、昔はもっときれいだったんだとかそういう話をされます?

○葛城奈海
 いえ、昔はもっと汚かったんですよ。山も狭山丘陵と同じで、私自身もそう感じるんですけれども、ゴミがもっと捨てられていたのに、今はほとんど見かけなくなりました。やはり意識が高まってきたいい影響が出ているのかなぁと思うんです。山小屋も昔はぼっとん便所で汚いのが当たり前、臭いのが当たり前。それが我慢できて山男、山女みたいなイメージがあったと思うのですが、今は本当にきれいになっていて快適に使えます。ただ単にきれいというだけではなくて、ゴミはみんな持ち帰ることが当たり前になったんですね。以前は違ったと思うのですけれども、意識が変わって、今はみんな持ち帰りますし、生ゴミを堆肥化するのにも、電気を極力使わないエコシステムを使っていたりとか、トイレにしても自分の使ったトイレットペーパーは流してはいけないんですよ。箱があって、そこに自分の使ったものを入れるんですね。最初は正直いって抵抗があります。えーこれー?と思って……。なぜそうするかと言いますと、富士山でお聞きになった方もいるかと思いますが、寒冷地では有機物を速く分解できないので、トイレットペーパーが山肌に白く残ってしまうという現象が起きたんですね。そんなことが起きて、トイレの方法も変わってきたと思うのですが、最初は抵抗があるものの、1日2日たってしまうと、その方が当たり前と思えてくるのですね。逆に、山から下りてきたときに、ちょうど山と下界の境目あたりで、ここからはトイレットペーパーを流していいですよ、石鹸も使っていいですよといわれると、「ええ!本当にいいの?大丈夫なの?」と思っちゃうぐらい、なんか意識が変わってそれに慣れれば、人は何でも苦もなくできてしまうんだなぁと。それってゴミの分別にしたって同じだと思います。
 大学生のときに、合気道の師範に連れられてドイツに行ってホームステイをしたことがありましたが、その受け入れてくれた方の家の台所を覗いて驚きました。ゴミ箱がダーッと並んでいたんです。5つも6つも。台所でゴミが出た瞬間から全部分けてしまっていたんですね。当時の日本はそこまで意識が高くはなかったので、大変だろうなこんな分別、なんて思ってました。でも彼女にとっては大変でもなんでもなくて、そうやって分別することが環境にとって大切だから、当たり前になっている、慣れてしまっているから特に考えることもなく分けてしまえるんですね。そうやって人の意識がまず変わるということが大切で、そのためには教育というのが大きな力を発揮するんだろうなと思いました。

○金時
 特にドイツは環境に対してはみんな意識が高いと聞きますよね。

○葛城奈海
 そうですね。先進国ですよね。

○金時
 聞いた話ですけれども、信号待ちするときには必ず車のエンジンを止めるとか。本当なんですか。

○葛城奈海
 実は、そこまで記憶がないんですが。でも、ドイツというのは酸性雨がとても問題になりましたよね。私も実際シュバルツバルトにいったときに、本当に見事に木が枯れていたんです。そこまでひどい姿を目の当たりにしてしまったから、ドイツ人はもう待ったなしだということに気づいて、私たち日本人よりも早く意識が変わっていったんじゃないかな思います。

○金時
 酸性雨で木が立ち枯れするというのは、丹沢あたりでも見られるらしいですね。

○葛城奈海
 そうなんですか。

○金時
 そんな話も聞いたことがありましたけど。日本でも対岸の火事ではないわけですよね。海外に行かれて、海外ではこういう取組をしているんだとか、日本はまだまだだなと思った方、そういう経験を身をもってしたという方はいらっしゃいます?日本もつい最近、ゴミを分けたり、袋を燃えるようにするとか、本当につい最近ですよね。

○葛城奈海
 私が卒論を書いていたのが約10年前なのですが、調査した山形県の立川町というところと、長野県の臼田町というところは、もうそのときすでに生ゴミを完全に堆肥化するために分別収集して地元の畑に返すということをやっていたんですね。でも最初はみんな分けることに慣れていないから、いろいろと混ざったりとかして、それを自治会の人とか一般の人が朝早く一つひとつのゴミ収集所に立って、これは違いますよ、こうしてくださいねということを指導していたそうなんです。その結果、みんなの意識が変わって、今となってはそういった町はかなりの先進事例ですよね。最初にそういう努力をされた方があって、意識が変わると、後は軌道に乗るんだなということはそこでも感じました。

9 言葉を失った穂高の山

○金時
 山登りといえば、話は少し横にそれますけど、僕は「金時のかながわ見聞録」という番組をもう7年ぐらいやっているんです。それでエベレストに登った人の話を聞いたんです。何時間ぐらい頂上にいたんですかと聞いたら、15分ぐらいしかいませんでした。なんでもっとゆっくりしてこないんですかと聞いたら、そうしたらあとからあとから、どんどん登ってくるんだって。

○葛城奈海
 エベレストでさえそうなんですか。

○金時
 その日は天気が良かったので、50人ぐらい登ってきたそうです。だから頂上でも記念写真をとったらすぐ交替しないと、どけっていわれちゃうんですって。

○葛城奈海
 それは驚きましたね。

○金時
 ふつうエベレストに登ったなんて聞くとすごいと思うじゃないですか。エベレストがラッシュだなんてびっくりしましたよ。他にはどんな山に登っていらっしゃるんですか。

○葛城奈海
 今年は、夏に家族と槍ヶ岳に登って、今の金時さんの話とは逆で、その時は暴風雨だったんですよ。スケジュールの都合があったのでどうしても登らなくてはいけなくて、そのときは無理をしちゃったのですが、槍ヶ岳というのは有名な山で、頂上が槍の穂先ような形をしていて、頂上に立ったにも関わらず一度も私たちはあの形を見ることができなかったんですね。ただ単に真っ白ですごい風が吹いていて恐かったなという印象しか残らず、本当に私は槍の先に立ったんだろうかという気がして下山したんですが、たまたま一ヶ月あとに、仕事の関係でその隣の穂高に登る機会がありました。今度は、実はお天気を2回待ったんです。延期して延期して3度目の正直で登ったおかげで、もう完全に快晴だったんですよ。雲一つない真っ青な空の下で穂高に登ることができて、念願の槍ヶ岳の姿を仰ぎ見ることもできましたし、本当に感激して帰ってくることができました。

○金時
 ちなみに今まで登った山でここがお奨めといった山はありますか。

○葛城奈海
 私はついこの前までは八ヶ岳とお答えしていたんです。なぜかというと、私は南八ヶ岳を2泊3日で縦走したのですが、一山ごとに全然表情が違うのですね。めずらしい高山植物が生えていることころ、岩でも平らではなくとんがっているところとか、全部違っていて本当に面白かった。ですが、今回の穂高はそれを上回りました。

○金時
ほぉー、そうですか。

○葛城奈海
 涸沢というところから入っていったのですが、そこは穂高連峰が両翼を広げたようになっているその翼に囲まれている場所で、氷河が削ったその谷底の麓のようなところにあります。まずそこで穂高を仰ぎ見たときに、これが地球上の景色だろうかと思ったんです。なんかそれぐらい夢のように壮大な景色で、壮大という言葉がちっぱけなものに思えるぐらいスケールが大きくて、言葉を失いました。あんなに感動したのは何年ぶりだろう。今は穂高と答えちゃいます。

○金時
登るときはゲートルを巻いてとか。

○葛城奈海
 いえいえそんな。(笑い)昔は登山靴を履いていたんですが、アドベンチャーレースというのに数年前から参加するようになって、もっと軽いふつうの靴でも山には登れることが分かってしまったので、最近は割と軽トレッキングシューズ程度のものでストック……、ふだんはストックは持たないのですが、今回は仕事ということでストックも持たせてくれて、ストックワークを教えてもらいながら登りました。

○金時
 仕事で山に登ることもあるんですか。

○葛城奈海
 今回は仕事で登りました。趣味と実益を兼ねてということで今回はとても幸せでしたね。

○金時
 やはりそのときもゴミを拾ったのですか。

○葛城奈海
 うーん。1回は拾ったのですけれども。家族と行ったときも電池とか拾ったのですが、正直言って拾い切れませんね。だいぶん減ってはいるのですけれども、そのときの自分の装備もありますし、初めからゴミを拾うためのビニール袋を持っていけば、また違ってくるかもしれませんが。

○金時
 次はこの山に登ってみたいというところはありますか。

○葛城奈海
 次ですか。私のあこがれの山は北海道の利尻富士と屋久島の宮之浦岳です。お金もいるので何年先になるか分かりませんけれども。

○金時
 利尻富士、今年登ってきちゃった。

○葛城奈海
 えぇー。くやしい。(笑い)どうでした?

○金時
 すごいきれいだった。

○葛城奈海
 8月ですか。

○金時
 7月の終わりから8月にかけてです。北海道の8月は4日ぐらいしかお天気にならなかったそうですが、海がスーっと開けて見えて、すごいきれいだった。

○葛城奈海
 あぁー、そうだったんですか。

○金時
 利尻富士と聞いたから、これは勝ったなと思いました。

○葛城奈海
 負けました。

10 山が荒れてシカもクマも困っている

○金時
 他にもいろいろ活動をなさっているんですよね。熊にも出会っているとか。

○葛城奈海
 えぇ。今年、熊に出会っちゃったんですよ。これまでは八ヶ岳とかで会ったなと思ったこともあったのですが、全部カモシカだったんです。なんだぁと思っていたのですけれども、今回は槍ヶ岳から車で下りてきて、私は後部座席に座っていたのですが、安曇野の村役場のそばで、ハッと見たら熊が仁王立ちでこっちを見下ろしていたんですね。熊だぁっと叫んだのですが、悲しいかな車は通りすぎてしまって、戻って戻ってといったのですが、後ろから車が来てしまって、一瞬しか見ることができなかったんです。あの大きな熊が野生で残っているというのがうれしかったですね。でもあんな里の近くに降りてきているということは、熊さんも餌がなくて苦しくて降りてきたと思うので、熊が健やかに暮らしていける森をちゃんと残していきたいなと思いました。

○金時
 山に餌がなくて町まで出てきてしまう動物がけっこう多いらしいですね。

○葛城奈海
 そうみたいですね。これは二日ぐらい前に『山と渓谷』で読んでいたのですが、かつては山小屋が生ゴミを小屋の外へポイポイ捨てていたんですって。そのときは熊さんが、あぁおいしいと食べていたらしいんですけれども、最近いろいろ環境問題がいわれるようになったので、山小屋の方もちゃんと工夫して、生ゴミを外へうっちゃるということをしなくなってしまったら、熊さんは食べ物に困って山小屋の中に入ってきちゃったらしいんですね。油とかお肉が大好きで、人にも当然遭遇してしまいますから、事故が起きたりして問題になってしまったので、山小屋としては、そこで、……だからといって熊を撃ち殺してしまったら何のための環境保護だかわからないので、人間に近づいたら痛い思いをするよということを教えて、ようやく棲み分けができるようになったらしいんです。

○金時
 この前、軽井沢の人に会ったらゴミ捨て場で熊に会ったんですって。車でゴミ捨て場に行ったら最初は犬かなと思ったそうです。そうしたらゴミ箱を空けて中を覗き込んでいた。シカとか猿にしても町中に出てきてしまって悪さをするというのは、はやり山が荒れているからとよくいわれますよね。それからこれもこの前聞いたのですが、丹沢にもシカがけっこういるじゃないですか。あのシカがちょっと弱っている。というのは、高速道路ができた影響で他の種類との交配ができなくなった。だから血が濃すぎちゃってダメなんですって。

○葛城奈海
 そうなんですか。

○金時
 だから、高速道路があるおかげでもって、行き来ができなくなっちゃったって話を聞きました。

○葛城奈海
 へえ、シカも災難ですね。

○金時
 ホントですね。でも、山に登って、「あ、これ、来て良かった」っていう瞬間あるじゃないですか。そういう時、どうなんですか?

○葛城奈海
 やっぱり来て良かったなって思うのは、頂上に立った時もそうなんですけれども、それよりも朝日が昇るのを見る時ですね。アドベンチャーレースに出るようになってから、夜山を歩くようになって、これも面白いもんだなと思うようになって、その時も夜登ってたんですよ。三ノ塔というところで夜明けちょっと前に着いたんですが、ワ、朝日が昇ってきたと思っていたら、ものすごい朝日がワーッと昇ってきたんですね。あの神々しさといったら、なんか本当にすがすがしい気持ちになれますね。朝日と富士山が見えるんです、丹沢は。

○金時
 何といっても丹沢は神奈川の大事な水源でもありますからね。丹沢の山んなかに入って作業する方って、いまあんまりいないんですかねえ。どうですかねえ。やってらっしゃる方もいらっしゃるんでしょうけど、よくそういうことを言われますよね。

○葛城奈海
 丹沢を登っている時に印象に残っているのは、シカよけの柵ですね。シカさんが下草を食べ過ぎてしまって困っているらしく、それを予防するために柵が張ってあったんですね。

○金時
 そこは食べられちゃうと山が荒れちゃうとか。

○葛城奈海
 小さい木が育たないからとかですね。

○金時
 いまトトロの森での活動、それから山登りが趣味ということでそのことを伺ったんですが、今日はですね、いろいろなお話を伺うんですけれでも、ちょっとトイレ休憩を入れようということで、ここで10分間ぐらい休憩を入れさせていただきたいと思います。

○葛城奈海
 ありがとうございました。

○金時
 まだ終わってませんから…。(笑い)


 <休憩>

11 ゴミの島を「千年の森」に

○金時
 さて、皆様もお揃いになりましたところでですね、いろいろな話を聞いていただきたいと思いますが、「千年の森」っていう活動をやっていらっしゃるんですよね。

○葛城奈海
 はい。この「千年の森」活動というのは、東京湾にゴミがどんどん埋め立てられていっているんですけれども、そのゴミの島を「千年続く森に変えていこうよ。よみがえれ、ゴミの島!」っていう活動なんです。皆さんは「夢の島」はご存じですよね。夢の島というのは、今の新木場の北側に当たる場所なんですけれども、昭和40年前後に埋め立てが行われていて、カラスですとか悪臭で悪名をはせた所なんですが、その夢の島が埋め立てられた後も、東京湾というのは沖へ沖へと埋め立てが進んで行きました。その中で、私たちが注目しているのが、中央防波堤というところの内側にあるゴミの埋め立て地で、その中の80ヘクタールの場所に明治神宮の森を見習って森を作ろうよ、ということを考えています。
 ところで皆さん、明治神宮の森が人工の森だってご存じでしたか?知ってた方?
 結構いらっしゃいますね。

○金時
 ほう。

○葛城奈海
 実は私、大学1年の時から道場に通っていたんですけれども、その事実を知ったのは大学3年生になったときだったんです。農学部の授業で、本多静六なる人があの森を考えたんだと聞いて、もうガーンというぐらいショックを受けちゃったんですね。ああいう都会の真ん中にある森でありながら、真夏でも、今日みたいに暑い日はアスファルトやコンクリートに囲まれた都会がゆらゆら揺れて見えるようなときでも、あの森に一歩入るとホントに木陰の冷気がさわやかで汗がサーッと引いていくような森で、木も大きく成長しているし梢も見上げると天高く伸びている。この森が人工の森?っていうふうに思ってしまって。でも、そうなんですって。80年前の写真を見ると、あそこは皇室の御領地と陸軍の練兵場だったんですね。だだっぴろーい原野が続いていて、木といったら松がところどころに2,3本チョビチョビって生えている程度でした。そこに、明治天皇が亡くなって神宮を造りますってことが決まってから、約5年をかけて全国から約10万本の献木が集められたそうなんです。そして延べ11万人のボランティアの人があそこに集まって、1本1本、木を植えてあの森が作られたそうなんですね。80年経った今、あの森というのは本当に野鳥もいっぱい来ます。冬になると、カモが来たりオシドリが来たり、キツツキも来ますし、私は会ったことがないんですけれどもフクロウまでいるそうです。そういう鳥を愛でにバードウォッチャーの方もたくさんいらっしゃいますし、また道場の前に芝生のなだらかな丘が広がっているんですけれども、そんなところにはよくお弁当を食べたり、寝っころがったりしている人を見かけます。私自身もたまにその芝生にゴロンとなるんですけれども、空が広くて、都会の喧噪から一切遮断されていて、本当に落ち着くんですね。そんなすばらしい財産を、何にも勝る財産だと思うんですけれども、80年前の人たちが私たちに残してくれたっていうことにすごい感動して、こういったプレゼントを今度は私たちが子や孫の代に残していけたらすばらしいんじゃないか、というふうに思ったわけなんです。しかもその東京湾のゴミの埋め立て地というのは、私たちがうまく循環してゴミを発生させないようにできれば良かったんですけれども、どうしても埋め立てなければならなくなった負の財産、魚のすみかや海を壊してこうやって埋め立て地を作ったその場所を、自然生態系を回復させられるような森にできたらすばらしいなと思っています。単に公園緑化というレベルではなくて、明治神宮の森のように野鳥も来て、木も天然更新していけるような森にできたらなって思っています。

○金時
 お台場のあたりみんな林にしちゃうとだいぶ東京も涼しくなるかもしれませんね。

○葛城奈海
 まさにそうだと思いますよ。ヒートアイランド現象の緩和のためにもすごくいいと思います。

○金時
 それじゃあ、それを運動として例えば木を強引に植えちゃおうとかしないんですか?

○葛城奈海
 場所が場所なだけに障害がすごくたくさんあって、まず土っていうのはゴミなわけですからそれをどうしようかとか、海のそばだから潮風が強いんですね、海風、潮風をどうしようかとか。あとガスが発生しています、それをどうしようかとか。まあ、悪条件のオンパレードではあるんですけれども、でも専門家の先生に見ていただいたところ、それでも何とかできるよって言っていただいたんですね。で、私たちの「千年の森づくり実行委員会」というのは、本来94年から地道に活動していたんですが、そのゴミの島を所有しているのは東京都なので、昨年の2月に東京都にこんな構想がありますという構想案を提出しました。で、今年の3月にそれを受けて石原都知事が賛意を示してくださって、じゃあ一握の土、1本の苗木を持ち寄って森を作りましょうっていうことを都の予算特別委員会で言ってくださったんですよ。私たちにとってはかなり大きな一歩前進なのです。ただそうは言っても、木を植えるっていうところまでこぎつけるには、あと2,3年かかると思うんですが、今日来てくださった方々がその時を迎えたときに、あの時ナイトトークで聞いた「千年の森」がようやく動き出したなと思って1本の苗木を植えに来てくだされば、すごくうれしく思います。

○金時
 竹下総理の時に「ふるさと創生」ってあったじゃないですか、ねえ。あの時どこかの自治体で桜を一万本植えようとか、そういうところができりゃあ今もう立派にふるさとできると思うんですよね。

○葛城奈海
 そうですよね。

○金時
 くだらないところに金使っているところ多いですよ。金のカツオとかね。あとね、これはその村のトップシークレットらしいですけれど、温泉掘ったんですって。そうしたら水しか出てこなかった…。で、湧かして、なんでも入浴剤入れているらしいですよ。で、一応温泉ということで、お客さんを入れているらしいですけれど。

○葛城奈海
 かなりごまかしてますね、それはね。

12 みんなで力を合わせて守りたい森、水源環境

○金時
 でも、80年で明治神宮の森ができたっていうのはかなり意外ですね。

○葛城奈海
 そうですね。それで、木を植えるときにその場しのぎで植えたわけではなくて、50年後、100年後にはどうなるかってことをちゃんと計算して植えたんですね。成長の早い木、遅い木ってありますよね。今はこの木が一番背が高いけれども、20年経ち、30年経ったら今度はこれがヒュイって伸びてきてこれが一番高い木になってっていうこと。だからどう植えたらいいかっていうことをちゃんと考えて植えたそうなんです。何か人間って、悪いこともたくさんするけど、いいこともするじゃないなんてその話を聞いて思ってしまって、ちょっと勇気をもらいましたね。

○金時
 じゃあ、今植えればわれわれが生きているうちには孫に「これはおじいちゃんが作ったんだよ」とか…。

○葛城奈海
 なんかそう言いたいなーって思って。

○金時
 この木はおばあちゃんが寄付したんだよとかね。あるといいですね。

○葛城奈海
 私に限らず、NPO活動とか市民運動をやっていらっしゃる方の中には、行政ということを毛嫌いする方も意外といらっしゃると思うんですね。私自身も昔は政治家とか、行政とか聞くと、「なんだよそれ」みたいに思っていたんですけれども、その明治神宮の森というのが官も民も一体となって起きた一大社会運動だった、その結果あの森ができたということを知ったときに、「そうか、そんなみみっちいことにこだわっていてはいけないな」って思うようになったんですよ。実際、いま本当に行政もがんばっていて、トトロの森の隣の雑木林は所沢市が3億円出して買ったんだよという話を聞いたりですとか、それより何よりこうやって神奈川県が水源環境を守るために一所懸命がんばっていらっしゃる。そういう姿を見ると、本当にこれからは、自分のところがっていうんじゃなくて、みんなで力を合わせてそういう水源環境を守るとか、森を守るっていうことをやっていけたらいいなって思います。

○金時
 埋立地といえば、江戸時代はどの辺まで海だったか知ってます?江戸時代の前は。

○葛城奈海
 今でいうとかなり内陸の方ですよね。

○金時
 日比谷公園のあたりまで全部海だったんですね。ですから、「築地」というのは地を築いたから「築地」という。ビルの工事の時に地面を掘るじゃないですか。そうするとね、天明の大火災の時の箸とか茶碗とかね、そういうのを全部埋めて作ったらしいんですよ。そういうのが今でも出てくるらしいですよ。

○葛城奈海
 そうすると、相当海がなくなってしまったんですね。

○金時
 ま、信じられないところまで海は来てたでしょうね。でも、おっしゃるとおり、作ったものに木を植えるというのはすばらしいことですね。

○葛城奈海
 ありがとうございます。

○金時
 はい、いまカンペが来まして、「山や森づくり、トトロの森の活動などを通じて、人と水との関係はどんな関係になるといいと思いますか。水の恵みについて今のお考えをお聞かせください。」ああ、そうですよ。今日は水源環境を守るナイトトークなんですから・・。
 (会場:笑い)

○葛城奈海
 そう、水に限らないと思うんですけれども、トトロの森の活動をしていて、さっきの話にかぶってしまいますけれども、自分がその場所に立ってその水から作られたお米を私が作って食べるんだっていう体験をしたときに初めて切実なものになると思うんですね。そうじゃなくて、普通に都会で生活をしていて水道の蛇口をひねればいつでも水が出てくる環境の中にいただけでは、本気で水を守ろうとか森を守ろうとか感じられないと思うんですよ。だから、自分のうちを飛び出して、森に行って川に行って海に行って水に触れる。それだけじゃなくて、できれば生産という場に自分が立ってみて、本当につながっているんだということを目の当たりにするということが何よりも大事だなって思います。

○金時
 よく山は自然のダムとかって言いますもんね。それが荒れちゃうとどうしても水が湧いてこないって言うじゃないですか。

○葛城奈海
 山を歩いていて思うのは、本当に水って、無いと生きていけないんだなあって思うんですね。水場、水場をつなぐような形で私たちは山を歩きます。水場がないところに泊まると、本当に切ない思いをします。そこまで計算して水を持って行ければいいんですけれども、何かの都合でそれがなくなってしまって不足してしまったりすると、ああまいったなと思って。そういう時に本当に水を大切にしなきゃなって思うんですね。歯磨きするにも、コップ一杯だけで全部終わらせようとか、食事を作るにも極力水を使わないようにしようとか、ありがたみが分かって初めて思えることだと思うので、そういう実体験を積むということは本当に大切だと思いますね。

13 毎日取り替えるホテルのタオルをどう思う?

○金時
 今日は葛城さんにお越しいただいているんですけれども、お客様からですね、質問とかお伺いしたいと思うんですけれども、何か葛城さんに聞いてみたいことがございます?どなたでも結構ですよ。スリーサイズとか、そういうのはダメですよ。(笑い)
 昨日の青木先生が来た時はね、いっぱいあったんですよ。

○葛城奈海
 あら、この差は何なんでしょうか。あははは・・。(会場:笑い)

○金時
 いや、聞き惚れちゃっているんですよ。青木先生はね、説得力がない…、そんなことじゃないですけれどね、ははは。
 この山良かったですよという、そういう情報でもいいですよ。

○観客
 外国に旅行してホテルに宿泊した時に、ステッカーが貼ってあったんです。何て書いてあったかっていうと、タオルをむやみに床に敷かないでくださいというメッセージだったんです。世界中でこのタオルを洗濯するためにどれだけの水と洗剤を使い、環境を汚しているか考えて欲しい、というものでした。これはスペイン、フィジー、タイなどいろいろなところにもありました。日本にも、このような理念、システムが拡がるといいと思います。

○金時
 今のお話、鳥肌立っちゃいましたよ。だって、ホテルで結構タオル使うじゃないですか。

○葛城奈海
 ええ、私もアメリカに行った時にやっぱり同じような体験をしました。もともと宿屋さんやホテルのタオルというのは毎日替えられていましたよね、汚れている汚れていないにかかわらず。それが、汚れたものだけフロアに置いてくださいって私が泊まったところには書いてあったんですね。まだ替えなくていいものはそのまま掛けて置いてください、そうすればむやみに水を使って洗う必要もないですからっていうことで、私も大賛成で、どんどんこのようになっていけばいいなって思いました。タオルとかもそうですが、石けんとかもホテルに泊まる時には、なんて言うんでしたっけ、メイドさんじゃなくて、きれいにしてくれる人…。

○金時
 女中さん。

○ 葛城奈海
 もっとひどいじゃないですか、あはは。(会場:笑い)
その方にメモを置いといて、「ここの石けんはこのままでいいです」って一言書いておくんですね。そうしたら、何個も何個も必要もないのに取り替えてしまうとなんていう無駄もなくなります。わざわざそうやって書かなくてもホテルのシステム自体がそのようになってしまえばとても効率もいいと思います。どんどんそういうのが進んでいけばいいですね。

○ 金時
 やっぱり、阪神大震災で被害に遭った人に聞いたんですけれど、やっぱり水に困ったっていうんですよ。でも、救援物資で水は結構たくさん行ってるじゃないですか。十分あったでしょって言ったら、そうじゃない、お皿を洗ったりする水とか、用をたして流す時の水、これがなくてねって。だってね、流す時に「六甲の水」は使えないじゃないですか。ねえ、だからそれに困った。でも、今のタオルのお話は、確かに気づかないけどすばらしい。今度からタオルは自分のを持っていって、ホテルのは使わないようにしましょう!(笑い)はい、他に何か質問とか、お話、ご感想とか今言っていただけると…。

14 使命感?それとも楽しみ?

○観客
 葛城さんに。里山の保全などをされているという最初のスライドなんですが、それは、こういうことをやらなければいけないという使命感とですね、あとその、面白いやとか楽しいやとか、たぶん両方あると思うんですけれど、敢えていうならどっちかなのかなっと思いまして…。

○葛城奈海
 えっと、うーん、難しい質問ですね。

○金時
 なるほど、なるほど。

○葛城奈海
 正直なところ両方なんですが、私たちを指導していてくれる農家の方もそれすごく悩んでいるところみたいなんですね。というのは、こういう活動はやっぱり楽しくなくちゃ集まってきてくれないよってことをすごく気にされていて、その方はいつも手作りでそばやうどんを作って私たちにお昼をごちそうしてくださる。まあ、会費は払っているんですけれども。
 いくら自然が大事だと思ったって、もしこれでお米が収穫できなかったり、来ても腹ペコで帰っちゃったりするんだとしたら、きっとみんな続かないよっておっしゃっているんです。確かに私もその方の料理は楽しみの一つなんです。そういうことを思うと、楽しさもないとそういう活動っていうのは成り立って行かないのかなっていうのが、本音としてはあるんですけれども、だからといって、何でしょうか、楽しみがなかったらやらないよっていうものでもないんですね。だからはっきりこっちですってお答えできないんですけれども。うーん、使命感はあります。ですが、その場にいることが心地よい、楽しいというのも正直なところです。

○金時
 葛城さん自身、自然に中に入っていてその恵みを感じてないといけないなって思いますでしょ?

○葛城奈海
 それは思いますね。ちょっと今の話とずれてしまうんですが、言い忘れたことを思い出したんでちょっとお話ししてもいいですか?

○金時
 はい、どうぞ。

15 自然と溶け合っている私という感覚を大事にしたい

○葛城奈海
 うちの道場は先ほど申し上げましたように、明治神宮の森の中にあるんですけれども、毎年冬の一番寒い時期、大寒を挟んだ一週間に寒稽古というのをするんですね。その寒稽古は、まだ夜が明けない暗いうちにみんな白い息を吐きながら門人が集まってきます。まず道場で着替えをして、合気道というのは裸足でやるんですけれども、裸足で入っていくと畳が冷たくて痛いぐらいなんですね。そんな時でももちろん冷暖房は使っていないので、窓を全開にして稽古をしていくんです。夏には蚊が入ってきて刺されてかゆいとか、四季の移り変わりを肌で感じることができるんですが、その寒稽古の最中一週間のうち飛び飛びで3日間ぐらいはみそぎ場という所まで森の中を走って行ってみそぎをします。みそぎって、お分かりになりますね。あの、神主さんたち、神職さんたちがよくやるんですが、水をかぶるんです。あえて一番寒い大寒の時期にやることで心身の汚(けが)れを払うという意味合いがあるんですが、私たち門人も男性はフンドシ一丁になって、女性は白衣を着て、希望者だけなんですがみそぎをやります。それをやっているとですね、まずみそぎ場という所まで走って行って、そのみそぎ場の外の木立の下で準備運動っていうんですかねえ、古式ゆかしい気合いを発しながら、体を動かして暖めてだんだん高揚させていくんですけれども、その過程を経てみそぎ場に入って水をかぶってかぶってかぶりまくっていると、何ともいえない精神状態になってくるんですね。こういうところにいると決して感じることができないような精神状態なんですが、飛んでいる水の飛沫が見えるんです。この水の飛沫も、窓から見えている森の木々も、私も、全部同一のものだなっていう気がしちゃうんです。なんかこう、木、水、私、人間っていう境目がなくなって、全部全部一緒だよっていう感じになっちゃうんですね。なんて言うと、「何言っているんだ、こいつは」っていうふうに思われてしまいそうなんですけれども、こうやって都会の会議室にいると、私もしゃべりながら何を言っているんだろうと思うんですが、その時は本当にそれが自明のことっていうか、当たり前のことのように感じられてしまって。もしかしたらこの感覚っていうのは、おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんの、ずーっとおじいちゃんたちは普段から感じていたことなのかもしれないなって思ったりするんです。だからこそ、日本人の伝統的な自然観というのは、例えば西洋の社会っていうのが自然を征服すべき相手として木を切ってそこに文明社会を築いていったのとは対照的に、日本では全部恵みは、私たちの生活に必要なものは森から、自然からもらってきているんだよっていうふうな価値観があって、だから調和して生きようっていうふうに思えたんじゃないかなって思えるんですね。

○金時
 うーん、いま都市で働いて仕事をしていらっしゃる方は自然とは全然離れた、自然は自然、生活は生活って、ずいぶん離れちゃったような感じがしますね。

○葛城奈海
 そうですね。

○金時
 葛城さんのキャッチフレーズの中に、「自然を感じよう」というのがあるそうですけど…。

○葛城奈海
 はい。そうやってみそぎなんかを体験すると、まさに。「自然を感じる」と言うと、まだ自然と自分が別のものとして存在しちゃっているような響きがあるんですけれども、何かもう溶けちゃっているというような感覚がありますね。

○金時
 圓歌師匠と言って、われわれが入っている落語協会の会長が、やはり坊主の修行で水かぶって、それで、ひっくり返って病院行ったんですよ。(会場:笑い)あの人ぐらいですよ、寺から病院行ったの。普通は病院から寺へ行くんですから。でね、お坊さんに言われたのは、「圓歌さんね、そんなまともにかぶってたら死んじゃいますよ」って。汲んだ水をみんな後ろに捨てるんだって。(会場:笑い)

○葛城奈海
 でもそれはかなりよこしまな心が入っていると思うんですが、私もみそぎをやっていて、いま浮世離れした話をしてしまったんですが、そうは言っても玉砂利を裸足で踏んでいくと痛いからちょっと土の方によけてみようかなとか思ってますし、水がたくさん張ってあったら、今日は水が多くてかぶってもかぶっても水がなくなんないぞ、こりゃ大変だと思ってたり、あと今の話じゃないですけど、後輩で勢い余って自分にかけないで隣にばっかりかける人がいる…。(会場:笑い)隣の水って耳の中に直撃してくるんで、もうやめてくれーって感じになって、もうちゃんと自分にかけろよなんて思ってたりもするんです。でも、一方でさっきのようなことも感じられるんで、本当に貴重な体験ですよね。

○金時
 普段から自然を感じられたらいいですよね。
 どうでしょう、もう一つぐらいご質問ございましたら。はい、どうぞ。

○観客
 自分も葛城さんと似たような生活をしておりまして、高校ぐらいから自然だとか旅とか興味持ちまして、もう精神も肉体もこの年になるまで自然と一体化してきているんですよ。その延長で、今24,25年ぐらい冬山で4ヶ月くらい暮らしているんですけれどもね。まさに水源というお話で、夏の山はかなりの皆さんが経験されるんですけれども、水源を考えると冬の山ですね。やっぱり日本の山って雪がいっぱい積もるんですよ。で、うちの山ですと6月ぐらいまで雪が残るんですね。それがずーっと地中にしみ込んでいって信濃川とか千曲川へ流れていくわけですよ。だから、雪山っていうのはなかなか夏の山のように行けないんですけれども、例えば若い人ですとスノーボードが流行っていますけれどもね、自分はスキーの世界で生きていまして、そのスキーとかスノボーから入って雪山を味わって、雪と、僕が一番生命観を感じるのが吹雪の状態と、それから今言われた木ですね。
 木を大きく分けると、4、5世代あるわけですね。その中で、雪の中で木が生き続けるということを子どもたちに教えているんですけれどもね。その生命力、木の生命力というのは、君たちが一晩ここに立ったら完全に人間は死んじゃうわけですよね。木はそれを100日間以上雪山の中で朝から晩までずーっと過ごしながら生き続けるんですよね。そこで、その水というもの、それからさっき言われた農作物やっていく中で、水が必要な部分と水はけが良くないと生きていけない作物もあるわけですよね。葛城さんが専門家なんで、あれなんですけれども。
 自分の宣伝ばかりしてすみません。最後に、質問なんですけれども、金時さんが最初に言われたように、そのまま行かれれば専門家として農学、農業とかそういうところで生きていけたと思うんですね。たぶん学校へ行かれた時はそういう思いがあったと思うんですが、女優さんへという転機というか、きっかけは何かということにちょっと興味を持ちまして…。

○葛城奈海
 実は最初からそういう勉強を仕事にするっていう気はなかったんですね。最初からお芝居をしたかったんです。で、大学に入った時にも、私は就職活動はしないからねって周りにも公言していて、実際一度もしなかったんです。もっと詳しく言いますと、子ども時から合唱団というものに入っていまして、気がついたら舞台の上にいたんです。私の本名は高橋南海っていうんですが、高橋南海のままだと結構おとなしい人見知りの激しい子どもだったんですけれども、舞台の上に立った時に自分が解放されるっていうことにすごい精神的な開放感を覚えて、もうはまってしまって、もうこの道を行くぞって最初から思っていて、そのまま突き進んじゃったっていう感じなんですね。ただ、先ほども申し上げましたとおり、環境に関しては興味を持っていて是非勉強をしたいとは思っていたので、勉強の場として大学には行くけれども、それと仕事は関係ないなっていうのが最初からの考えでした。

○金時
 なるほど。えー、今日はですね、一応県の催しということでですね、また後ほど葛城さんの方から自然に対する思いを込めて朗読をしていただくんですが、ここで根本税制企画担当課長に今回の趣旨をお話しいただきます。

○根本税制企画担当課長
 私は税制企画というところで水源環境を考えるいろいろな仕事をしているわけなんですけれども、いま神奈川県では、水源環境をどのようにして守っていくのか、その守るための方法にはどのようなものがあるのか、その方法をやるためにはお金をどのように負担していけばいいのか、このようなことを県民みんなで考えて見ようということでいろいろな取組をやっております。
 このナイトトークもその一環でございまして、それ以外にも水源地の現場を見ていただくような取組もやっております。お手許の配付資料の中に配らしていただいておりますけれども、「森と湖のつくいを考えるつどい」というものを来月行う予定にしております。来月の12日の土曜日でございます。場所は、城山町の町立公民館で行うこととしております。基調講演につきましては、宮村忠先生という関東学院大学の先生でございまして、「黒船に揺り起こされた相模川」というようなことでお話をしていただきます。大変面白いお話になろうかと思いますので、是非参加をお願いしたいと思っております。
 また、私ども、11月の16日と17日につきましては、全国の同じような水源環境を検討しております自治体ですとか、それから民間のグループをお招きいたしまして全国シンポジウムをやることを計画しております。これにつきましては、参加していただきまして、皆さんに意見を言っていただけるような場を是非作ろうと思っておりますので、当日には是非多数の方のご参加をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは奈海さん、朗読の方をよろしくお願いいたします。皆さんも最後までごゆっくりお楽しみいただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○金時
 きのう青木先生のお話聞いててね、日本は安全と水はタダって昔よく言われたじゃないですか。でも安全はもうタダじゃなくなっちゃったし、水も自然環境もそのままにいてもらうためにはタダじゃないなっていう感じはしましたですね。

○葛城奈海
 なるほどね。

○金時
 はい。それではここで葛城さんに朗読をしていただくことにいたしましょう。




■朗読:葛城奈海■

  木を植えた人(ジャン・ジオノ著、原みち子訳、こぐま社刊)から抜粋朗読

       (朗読部分は省略)




○金時
なるほど。今度、みんなで種を植えましょう。
今日は葛城奈海さんにお越しいただきました。どうぞ大きな拍手をお送りくださいませ。
(拍手)

○葛城奈海
どうもありがとうございました。(拍手)

○金時
 そして、ナイト・トークは明日もございます。
 明日は私は出演しておりません。ほかに仕事があるかっていうと、そういうわけじゃありませんで、ただお呼びがかからなかっただけのことで。
 そしてまた、来週も18,19,20の3日間やります。それぞれジャンルの違ったところから水源を考えようというイベントでございますので、お時間がございましたらどうぞお運びくださいませ。
 司会は、三遊亭金時でした。どうもありがとうございました。(拍手)


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■テーマ ■ゲスト
環境と税について考えよう 青木宗明(神奈川大学教授)&三遊亭金時(落語家)
私が愛する森林・自然・共生 葛城奈海(俳優)&三遊亭金時(落語家)
水遊びガサガサ隊が行く 中本賢(俳優)
桂川の自然環境とくらし 中川雄三(動物写真家)
どっこい林業やってます! 杉山精一(林業家)&三遊亭金時(落語家)
生活環境税制を考える 金澤史男(横浜国立大学教授)
流域から都市の水と暮らしを考え直す 岸由二(慶應義塾大学教授)
水源地域と持続可能な地域づくり 糸長浩司(日本大学助教授)&ホイセス・ロッドニー(横須賀三浦県民懇話会委員)
神奈川の自然環境の夢を語ろう 沼尾波子(日本大学助教授)&中川重年(県自然環境保全センター)
21世紀は水の世紀 田中充(法政大学教授)