ホーム > 電子県庁・県政運営・県勢 > 地方分権・自治・外交 > 県議会・条例その他議案 > 神奈川県議会 > 神奈川県議会 令和2年第2回定例会で可決された意見書・決議
更新日:2020年7月16日
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平成29年6月、110年ぶりに性犯罪に関する刑法の改正案が国会で可決され、同年7月に施行された。強かん罪が強制性交等罪に名称変更され、懲役の下限が3年から5年に引き上げられるとともに、これまで親告罪であったものが非親告罪となるなど、画期的な改正となった。
ただし、強制性交等罪の成立要件として脅迫、暴行を伴うことが必要とされるなど、改正の内容が不十分ではないかとの議論があったため、衆議院では6項目、参議院では9項目もの附帯決議が付され、施行3年後の見直し規定が盛り込まれている。
こうした刑法改正により、改正前より多くの事例が犯罪と認定されるようになったものの、被害者の明確な抵抗が明らかでない限り加害者を罪に問えないため、加害者側が無罪となる例が相次いだことなどから、改めて改正刑法の内容が社会問題化している。当然、被害者は明確な形で抵抗できない場合もあるため、多くの欧米諸国では、同意のない性交はすべてレイプとして刑事罰の対象とするなど、被害者の視点に立った性犯罪の定義規定の改正が行われている。
「誰一人取り残さない」を基本理念としているSDGs(持続可能な開発目標)の取組を進める中で、目標5の「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」観点からも性犯罪に関する取組を更に充実させることが求められる。
よって国会及び政府は、被害者の視点に立ったより良い制度を実現するため、性犯罪に関する刑法改正の議論の充実とともに、早急に次の事項の見直しをされるよう強く要望する。
1 強制性交等罪における暴行、脅迫、心神喪失等の要件の見直しについて検討を図ること。
2 監護者わいせつ及び監護者性交等罪の適用年齢の拡大について検討すること。
3 性交同意年齢を引き上げること。
4 公訴時効期間の撤廃を含めた見直しを行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年7月10日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 } 殿
法務大臣
厚生労働大臣
国家公安委員会委員長
神奈川県議会議長
国内においては新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が減少傾向にあることから、令和2年5月25日に緊急事態宣言は解除されたが、今後も第2波、第3波が発生するおそれがあり、日本全体としては、いまだ事態の収束は見えていない。
本県では、同年1月16日に国内初の患者が確認されて以降、2月にはダイヤモンド・プリンセス号の感染拡大防止に向けた対応が加わり、感染拡大初期段階から多くの医療機関が最前線に立ち、およそ半年が経過した現在も日夜治療を続けているところである。
この度、公益社団法人神奈川県病院協会等4団体が共同で病院の経営状況を緊急調査したところ、新型コロナウイルス感染症患者の受入れ病院は医業利益率が18%のマイナス、受入れ未実施病院でも10.5%のマイナスと、受入れ有無にかかわらず、外来・入院ともに大幅に患者が減少しており、一方で人件費は増加するなど経営状況は著しく悪化している。
また、新型コロナウイルス感染を危惧した患者の減少による収入の減少に加えて、病院以外の診療所や歯科診療所などの医療機関においても、感染防止に必要不可欠な衛生用品の高騰等を受けた必要経費の増加により、経営状況は厳しくなっている。
このままの状況では、新型コロナウイルス感染症への適切な対応が不可能となり、医療崩壊が強く危惧されることから、医療機関への経済的な支援に加え、新型コロナウイルス感染を危惧する患者が、安心して医療機関を利用できるよう、更なる検査体制の充実や、地域医療を支える病院、診療所はもとより、介護施設などでの感染防止対策の強化が必要である。
よって政府は、医療崩壊を防ぐため、すべての医療機関に対し、次の事項について、所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 新型コロナウイルス感染症患者の受入れの有無にかかわらず、患者本人の負担を据え置きつつ、診療報酬の大幅な増額を図ること。
2 地域医療に支障が生じることのないよう、経済的な支援だけではなく、あらゆる手立てを講じて医療機関を支援すること。
3 積極的にPCR検査を実施できる体制を構築するとともに、抗原検査など新しい技術も取り入れ、検査体制を拡充すること。
4 介護施設におけるクラスター対策支援や速やかなPCR検査など介護現場の感染拡大防止を支援すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年7月10日
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 } 殿
厚生労働大臣
経済産業大臣
経済再生担当大臣
神奈川県議会議長
地域の薬局は、新型コロナウイルス感染症が拡大する中でも、医薬品を確保し患者に提供することで地域医療を守り、医療崩壊を防ぐ大きな役割を果たしてきた。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた「新型コロナウイルス感染症対策の基本的な対処方針」に従い、外出自粛要請や医療機関が外来患者の削減などを実施した結果、薬局を訪れる患者数は大幅に減少し、薬局経営は大きな打撃を被る事態となった。
日本薬剤師会が今年5月に行った調査でも、この状況下では、薬局経営は毎月20%程度の減収が見込まれるとし、30%を超える地域の薬局が赤字経営になると推定している。
地域の薬局が経営難に陥り、万一、地域住民が服用している医薬品の供給が途切れることになれば、地域住民の健康を維持出来ないばかりか、新型コロナウイルス感染症の拡大防止にも深刻な影響を及ぼすことが懸念される。
他方、既に実施されている事業者支援策は、売上高が相当程度減少しないと利用出来ないが、薬局の場合、売上高の多くを薬剤費が占めるため、薬局経営悪化の原因となっている技術料に当たる調剤報酬の減少による実収入の縮小やキャッシュフローの悪化による資金不足には対応出来ない。
今後、新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波の感染拡大も予想される中、地域住民が必要な医薬品等を確実に入手出来るよう、地域の薬局経営を安定化し、住民が安心して薬局を活用し得る体制の確立を図ることが急務である。
よって政府は、新型コロナウイルス感染症拡大によって影響を受ける地域の薬局に対する支援に全力で取り組み、地域医療を守る薬局経営の礎を揺るぎないものとするよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年7月10日
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 } 殿
厚生労働大臣
経済産業大臣
経済再生担当大臣
神奈川県議会議長
昨年12月に新型コロナウイルスの人への感染が中国の武漢市で確認され、世界の国々へと感染が拡大したことにより、各国が対応に苦慮しており、わが国でも国、地方自治体が一丸となって対応に当たっているところである。
新規感染者の減少を踏まえた緊急事態宣言の解除に伴い、各地域で段階的に自粛の解除・緩和の措置がとられた状況となっているが、今後も感染拡大が懸念され、資金繰りの厳しさ、倒産、雇止めなど、企業の経営状況の悪化は深刻化、長期化しつつある。
企業は、休業や営業自粛、感染拡大の防止に努めてきたが、特に中小企業・小規模企業においては、売上の激減により収益が確保できない中、人件費や賃料などの固定費が経営を大きく圧迫しており、影響の長期化により、更なる経営状況の悪化に陥り、事業継続と雇用維持が厳しくなることが懸念される。
これまで、本県は、企業に対する支援として、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金の交付や金融支援などの対策を講じてきた。
一方、国は、緊急経済対策として、地方自治体への新型コロナウイルス感染症に対応した地方創生臨時交付金に加えて、持続化給付金、雇用調整助成金などの対策を講じており、経済対策メニューについては評価しているが、手続きの煩雑さや申請から支給までの時間などについては改善すべきである。
よって政府は、新型コロナウイルス感染症の経済への影響の長期化を見据えて、国民の不安を緩和するため、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金について、増額と本県の実情に応じた十分な配分を行い、長期にわたって弾力的な運用ができる自由度の高い制度とすること。
2 持続化給付金について、増額と支給要件緩和、手続きの簡素化と迅速な給付を行うとともに、企業の経営状況に応じて複数回給付するなど、企業にとって事業を継続する上で十分な支援となる制度とすること。
3 雇用調整助成金について、増額と支給要件緩和、手続きの簡素化と迅速な給付を行うとともに、短期間で特例期間を延長するのではなく、長期化を見据えた期間を設定し、切れ目のない支援により雇用を確保すること。
4 あらゆる分野の事業者が事業を継続することができるよう、長期間にわたる融資や返済猶予等の資金繰り対策、税負担の軽減のための支援を早期に充実すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年7月10日
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 } 殿
厚生労働大臣
経済産業大臣
経済再生担当大臣
神奈川県議会議長
緊急事態宣言が発出され、多くの企業が休業要請に従ったことに伴い、雇用情勢が大きく悪化している。
総務省の令和2年4月分の労働力調査では、完全失業者は189万人で、前年同月比で13万人増加し、パートやアルバイトなどの非正規雇用労働者は2,019万人で、前年同月比で97万人が減少し、解雇や雇止めが進んでいる。特に女性の非正規雇用労働者は、男性の非正規雇用労働者の2倍以上となる1,379万人であるが、前年同月比で71万人が減少している。
厚生労働省の発表によると、新型コロナウイルス感染症の拡大に関連した解雇や雇止めのうち、非正規雇用労働者が過半数を占め、「雇用の調整弁」とされている実態が浮き彫りになった。
企業の雇用労働者に対しては、雇用調整助成金や雇用保険の失業給付といったセーフティネットが設けられているが、フリーランスなどの自営業者には、雇用労働者のようなセーフティネットがない。EUでは、加盟国に対してすべての労働者と自営業者に十分な社会保障を確保するように求めており、自営業者に対しても失業給付や労災保険を適用するよう、勧告している。
政府は、今年度の第2次補正予算で、雇用調整助成金の上限の引き上げや、労働者が個人で受け取れる休業支援金の創設などを盛り込んでおり、一定の効果が期待できる。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、中長期的に経済状況が落ち込むことも予想されるため、非正規雇用労働者をはじめとした労働者の解雇や雇止めがより一層進むことが懸念される。
よって政府は、これまでの緊急支援に加え、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 労働者の解雇や雇止めの拡大を防ぐために、より中長期的な雇用維持・創出のための施策を実施すること。
2 解雇や雇止めが懸念される非正規雇用労働者に対しては、雇用を維持できるよう雇用調整助成金及び緊急雇用安定助成金の増額や支給要件の緩和など、更なる支援策を講じること。
3 特に女性の非正規雇用労働者に対しては、雇用の減少に歯止めをかける施策を早期に実施すること。
4 休業または廃業したフリーランスなどの自営業者に対しては、失業給付や労災保険の適用など、新たなセーフティネットを創設し、十分な社会保障を確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年7月10日
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 } 殿
厚生労働大臣
経済産業大臣
経済再生担当大臣
神奈川県議会議長
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