神奈川県議会 平成30年第3回定例会で可決された意見書・決議

掲載日:2018年12月28日

地方税財政制度の充実・強化を求める意見書

 地方自治体は、社会保障、災害対策、人口減少対策、老朽化する教育施設等の更新、新たな政策課題への対応等により、一段とその財政需要が拡大してきており、歳出に見合う安定的な税財源を確保することが焦眉の課題となっている。
 しかし、現行の地方税財政制度では、地方と国の税源配分が4対6であるのに対し、歳出規模は6対4と逆転しているなど、構造的な問題を抱えており、地方は仕事量に見合った税源を確保できていない。
 そのため各地方自治体は、財政健全化に向けた取組を進めながら、臨時財政対策債や減収補塡債の発行等で、当面の財源不足を何とか切り抜けているのが現状である。
 しかし、急速な高齢化や幼児教育の無償化等により、今後とも地方自治体の歳出の増大は避けられない状況にあり、現行の地方税財政制度により対応していくことはもはや限界となっている。
 よって国会及び政府は、地方税財政制度の充実・強化を図るため、次の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
1 前回の国勢調査の結果等を踏まえて、人口急減・急増自治体の行財政運営に支障が生じることがないよう、地方交付税算定の在り方を引き続き検討すること。
2 国と地方における最終支出と租税収入の比率において生じている乖離を縮小し、国と地方の税源配分が地方の担う事務や責任に見合うものとなるよう、税収の安定性が高く、地方自治体間の偏在が少ない地方税源の充実・強化を図ること。
3 地方交付税の財源調整及び財源保障機能が適切に果たせるよう、地方交付税の法定率引上げ等により地方交付税総額の増額を図ること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年10月16日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣       }殿
内閣府特命担当大臣
(経済財政政策)
内閣府特命担当大臣
(地方創生)

神奈川県議会議長


障がい者雇用率の算定等について適正な見直しを求める意見書

 本年8月28日、「障害者の雇用促進等に関する法律」に基づく障がい者の雇用状況について、国の行政機関が、厚生労働大臣に対して誤って報告していたことが判明した。
 再点検を実施した結果、33行政機関のうち8割以上に該当する27機関において、合計3,460.5人が障がい者雇用数に誤って算入されており、合計雇用者数が6,867.5人から3,407.0人へ、平均雇用率が2.49%から1.19%へと減少し、法定雇用率の2.3%を下回ることが判明した。
 また、司法機関及び立法機関についても同様の誤りがあり、司法機関では、2.58%から0.97%へ、立法機関では2.36%から1.31%へとそれぞれ障がい者の雇用率が減少する結果となった。
 地方自治体においても、同様の誤りがあったことが判明し、本県では、当初厚生労働省に対して報告していた知事部局職員の障がい者雇用率は3.22%であったが、再点検の結果、3.06%に訂正されている。
 現在、厚生労働省は、今回発生した障がい者雇用率の数値の誤りについて、学識経験者や弁護士らで構成する第三者委員会を立ち上げ、実態の解明に向けた調査を開始しており、本県においても、再発防止策や障がい者雇用の促進に関する検討会を設置したところである。
 障がい者雇用率の正確な把握は、障がい者雇用施策の根幹をなすものであり、障がい者雇用を推進する立場である立法・行政・司法機関で発生した今回の事態は、障がい者行政全体に対する信頼を揺るがしかねない、あってはならない問題である。
 一方で、国や多くの地方自治体において同様の誤りがあったことを踏まえると、障がい者雇用率の算定対象やその把握・確認方法などについて検証し、適正な見直しを行うことで、より実効性のある制度としていくことが重要である。
 よって国会及び政府は、実効性のある障がい者雇用施策を実現するため、障がい者雇用率の算定対象とする範囲、障がい者の把握・確認方法など、制度の在り方及び運用に関して、専門家や障がい者の意見を聴取し、検証を行うとともに、適正な見直しを図るよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年10月16日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣  }殿
総務大臣
厚生労働大臣

神奈川県議会議長


地方消費者行政の充実・強化を求める意見書

 インターネットの普及や高齢化の進展など、社会情勢の変化を背景として、消費者問題が複雑化・多様化する中、地方自治体における消費者行政の取組は、これまで国による地方消費者行政活性化基金・地方消費者行政推進交付金によって一定の前進が図られてきた。
 しかし、この交付金措置については制度の見直しがあり、今後、現行の交付金の活用期限が段階的に到来すること等に伴い、地方自治体における消費者行政の取組の後退が懸念されている。
 また、成年年齢引下げを見据えた若い世代への消費者教育の展開や、高齢者等の消費者被害を防止するための見守りネットワークの構築など、新たな課題に対応する必要性が増していく中で、消費者政策に係る事業の重要性や消費者行政に携わる職員の役割も大きくなってきており、消費者の安全・安心な暮らしを確保するためには、事業の拡充を可能にする財源の充実をはじめ、人員の確保や担当する職員の資質向上等の体制強化が重要である。
 よって国会及び政府は、地方自治体における消費者行政の充実・強化を図るため、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 地方消費者行政強化交付金の推進事業については、安定的に継続し、交付額を十分に確保するなど、引き続き有効に活用できる制度とすること。
2 地方消費者行政強化交付金の強化事業については、補助率のかさ上げや使途の拡充など、制度の改善を図ること。
3 地方自治体の消費者行政を担当する職員を確保し、その資質向上のための研修を充実させるなど、体制強化に向けた支援策を講じること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年10月16日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣       }殿
財務大臣
内閣府特命担当大臣
(消費者及び食品安全)

神奈川県議会議長


豪雨に対する防災対策の更なる推進を求める意見書

 平成30年7月豪雨をはじめ、近年、全国各地で記録的な大雨が観測され、河川の氾濫や土砂災害などが発生しており、多くの尊い人命が奪われる等の甚大な被害が生じている。
 豪雨の発生頻度が高まる中、本県の都市部には多くの人口と資産が集積しているものの、都市部を流れる18河川の護岸の整備率が約6割に留まっていることから、豪雨に伴う都市河川の氾濫によって、いつ深刻な事態に陥ってもおかしくない状況にある。
 さらには、土砂災害のおそれがある危険箇所を多く抱え、先般、新たに236箇所を土砂災害特別警戒区域に指定した本県では、豪雨により多数の土砂災害の発生も危惧されるところである。
 そのため、都市河川については、平成22年3月に都市河川重点整備計画を策定し、都市部の河川の重点的な整備を進め、また、土砂災害対策については、危険区域の基礎調査等のソフト対策と土砂災害防止工事等のハード対策を鋭意推進しているところである。
 しかしながら、その整備には多額の予算措置が必要であり、この厳しい財政状況下にあっては、国からの財政的な支援や制度の拡充が不可欠である。
 よって政府は、豪雨から県民の生命と財産を守り、暮らしやすい生活環境を創造するため、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 近年の豪雨による全国各地の被害状況を踏まえ、防災事業に係る社会資本総合整備事業費について、十分な予算措置を行うこと。
2 都市河川の整備について、遊水地整備や鉄道橋架替えなどの大規模事業を計画的に推進できるよう、新たな助成制度を創設すること。
3 土砂災害警戒区域等の指定に係る基礎調査を確実に行えるよう、十分な予算措置を行うこと。
4 河川事業や土砂災害防止対策事業を推進するため、施設の新設整備に係る予算に加えて、既存施設を適切に維持管理するための予算についても十分な措置を行うこと。
5 急傾斜地崩壊防止施設の整備を推進するため、社会資本整備総合交付金の対象となるがけの高さの基準について、現在、対象外の10m未満も対象とするなど、制度の拡充を図ること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年10月16日

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣      }殿
国土交通大臣
内閣府特命担当大臣
(防災)

神奈川県議会議長


「都市再生機構」賃貸住宅居住者の居住の安定確保を求める意見書

 独立行政法人都市再生機構の賃貸住宅の居住者は、高齢化とそれに伴う収入低下の中で、家賃負担の重さや平成30年度以降の「団地別整備方針」の見直しに対し、不安を感じている。
 同機構の事業運営に対しては、平成27年に成立した「独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係の法律の整備に関する法律」の衆議院及び参議院の国土交通委員会での審議において、近接地への建替事業等の実施に当たっては、居住者の声を十分に聴くとともに、居住者の居住の安定確保に配慮することや、家賃の設定及び変更に当たっては、低所得の居住者が安心して住み続けることができるよう、居住者にとって過大な負担とならないよう留意することなどの附帯決議が採択されている。
 また、同機構の賃貸住宅は、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」の施行により、住宅セーフティネットを担う公的賃貸住宅として位置付けられたことなどから、低額所得者、高齢者等の居住の安定確保に十分に配慮する必要がある。
 よって政府及び独立行政法人都市再生機構は、賃貸住宅居住者の居住継続に関する不安の解消を図るため、次の事項について万全の措置を講じられるよう強く要望する。
1 独立行政法人都市再生機構は、公営住宅収入階層に準ずる低額所得居住者世帯に対する家賃について十分に配慮すること。
2 独立行政法人都市再生機構は、「団地別整備方針」の策定に当たり、居住者と十分に話し合い、その意見の反映に努めること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年10月16日

内閣総理大臣
総務大臣            }殿
国土交通大臣
独立行政法人都市再生機構理事長

神奈川県議会議長


キャッシュレス社会の実現を求める意見書

 世界各国のキャッシュレス決済比率を比較すると、キャッシュレス化が進展している国は40%~60%台であるのに対し、我が国は約20%にとどまっているのが現状である。
 日本でキャッシュレス支払が普及しにくい背景として、治安の良さや偽札の少なさ等の社会情勢に加え、消費者が現金支払に不満を持たず、キャッシュレスに漠然とした不安を持っていること、さらには、店舗における端末負担コストやネットワーク接続料、加盟店手数料等のコスト構造の問題等が挙げられている。
 しかし、近年は、実店舗における人手不足やインバウンド対応、スマートフォンを活用した支払サービスの登場等、キャッシュレス化推進の追い風となる動きも見受けられる。
 政府も、平成26年6月に閣議決定された「日本再興戦略(改訂2014)」において、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催等を踏まえ、キャッシュレス化に向けた対応策を検討するなど、キャッシュレス化の推進の方針を打ち出し、平成30年6月閣議決定の「未来投資戦略2018」では、「今後10年間(2027年6月まで)に、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す」としている。
 キャッシュレス化の推進は、事業者の生産性向上やインバウンド需要の取り込み、消費者の支払の利便性向上に加え、データの分析・利活用によるビジネスモデルの創出にもつながるなど、経済全体に大きなメリットがある。
 よって国会及び政府は、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 実店舗等が負担している支払手数料の在り方を見直すなど、ビジネスモデル変革のための環境整備を行うこと。
2 地域商店街等と連携したポイント制度などのインセンティブ措置を検討し、消費者に対する利便性向上を図ること。
3 QRコード等のキャッシュレス支払に関する技術的仕様の標準化を行うなど、支払サービスの統一規格やセキュリティ基準等を整備すること。
4 産官学連携による必要な環境整備を進めていくとともに、キャッシュレス支払を通じて新たに生み出されるデータの利活用によるビジネスモデル創出を促進すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年10月16日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣    }殿
財務大臣
経済産業大臣
国土交通大臣

神奈川県議会議長


「医療的ケア児」の保護者を総合的に支援する取組の充実を求める意見書

 近年、医療技術の進歩により、新生児や乳児の死亡率は大幅に減少する一方で、出生後、NICU(新生児集中治療室)に長期入院し、退院後も日常的に医療的なケアを必要とする子どもなど、いわゆる「医療的ケア児」が増加しており、その数は全国で約1万8千人と推計されている。
 平成28年5月に成立した「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」において、地方公共団体に対し、医療的ケア児が必要な支援を円滑に受けることができるよう、体制整備に関する努力義務が規定されるなど、国や都道府県でも医療的ケア児の支援に関する取組が始まっている。
 しかし、市町村によってサービスにばらつきがあったり、医療的ケア児は、医療ニーズの少ない障がい児と比較して多くの介護や支援を必要とするため、支援するための人材及び施設が恒常的に不足しているなど、医療的ケア児の保護者の負担は依然大きく、心身ともに困窮状態にある。
 よって国会及び政府は、こうした現状を十分に理解し、医療的ケア児の保護者を総合的に支援するため、次の事項について所要の措置を早急に講じられるよう強く要望する。
1 医療的ケア児を支援する人材の確保に関する全国的な制度を創設すること。
2 医療的ケア児の通園や通学を支える制度を創設すること。
3 医療的ケア児の保育のニーズに応えるため、保育所への看護師等の配置や派遣、保育士に対する指導研修など、医療的ケア児の保育所受入れに必要な対策の拡充及び財源措置を行うこと。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年10月16日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣    }殿
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣
(少子化対策)
内閣府特命担当大臣
(男女共同参画)

神奈川県議会議長


河川ごみ清掃促進のための制度整備に関する意見書

 近年、海中を浮遊するマイクロプラスチックの生態系への深刻な影響が指摘されるなど、自然界におけるごみ対策に大きな関心が集まっている。
 このうち、海岸ごみ(海岸漂着物)については、「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」(以下「海岸漂着物処理推進法」という。)により、国の方針と予算措置の下で海岸ごみの処理等の対策がとられ、本県でも県と相模湾沿岸13市町の財政支援を受けて、公益財団法人かながわ海岸美化財団による海岸ごみの清掃が精力的に行われている。
 しかし、海岸ごみの約7割は河川からの流出物であると考えられており、河川ごみの清掃を充実しなければ、海岸ごみの清掃は尽きることのない事業となり、関連自治体の財政負担は増大するばかりである。また、河川環境の悪化は生態系にも悪影響を与える。
 海岸漂着物処理推進法では、河川ごみ対策についても一定の措置は講じられているが、不法投棄の取締りや河川へのごみ投棄が禁止されていることの普及啓発といったものであり、捨てられてしまったごみの対策までは言及されていない。
 そのため、行政の河川ごみ対策も十分とは言えず、ボランティアに河川ごみの清掃を委ねているというのが現状である。しかし、これは危険を伴う作業でもあり、将来にわたって、ボランティアに依存するには限界がある。
 よって国会及び政府は、良好な河川環境を保ち、河川及び海岸のごみを減らす観点から、河川ごみの清掃促進を図るための制度を早急に整備するよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年12月21日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣     }殿
農林水産大臣
国土交通大臣
環境大臣

神奈川県議会議長


医療ツーリズムの健全な発展と地域医療の確保に係る国の総合的な取組を求める意見書

 訪日外国人数が、3,000万人を超える中、日本の高度な医療システムによる治療を受けたいというニーズが高まり、治療や検診を目的に来日する医療ツーリズムの動きが進んでいる。
 一方、医療・介護の分野では、団塊の世代が後期高齢者に達する超高齢社会の2025年問題が叫ばれている中、国民の生命と健康を地域で持続的に支えるため、医療法に規定された地域医療構想を実現し、地域の実情に応じた医療提供体制を構築することが喫緊の課題である。
 しかし、医療ツーリズムの発展と地域の医療提供体制の構築・最適化との整合性については、これまで十分な検討や議論がなされていない。
 例えば、現在、医療計画に定める基準病床数を超えて民間病院を開設しようとする場合、知事が病床過剰を理由に開設の中止を勧告し、これによって国による保険医療機関の指定を受けられなくなることから、一定の抑制がなされてきた。
 しかし、保険医療機関の指定を受ける必要がない外国人専用の医療ツーリズムの病院は、知事の勧告による抑止力が働かず、こうした病院の開設が進むと、地域医療に必要な病床や医師の確保に支障を来し、地域医療の提供体制に悪影響を及ぼすことが懸念される。
 このような事態を回避するためには、医療ツーリズムと地域医療の両者を調和させるルールづくりが必要である。
 よって国会及び政府は、医療ツーリズムが地域医療や保険診療を脅かすことなく、健全に発展できるよう、次の事項について所要の措置を早急に講じられるよう強く要望する。
1 病床の開設が無秩序に許可されないよう、病床規制に係る医療法の一部改正など必要な措置を講じること。
2 医療ツーリズムについて、国が責任をもって、総合的な観点から国民的コンセンサスを形成し、法令等の整備も含めたガイドライン等のルールを構築すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年12月21日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣     }殿
法務大臣
厚生労働大臣
観光庁長官

神奈川県議会議長


電話リレーサービスの公的制度の創設を求める意見書

 今日の社会において電話は、人々の命や生活を守り、社会の安心・安全を支える大切な役割を担っている。しかし、現在の電話は音声を主としており、聞こえない人はこれを利用することができず、聞こえない人の命や生活を守る上で、大きな障壁となっている。
 電気通信事業法では、「電気通信事業者は、電気通信役務の提供について、不当な差別的取扱いをしてはならない」としている。また、障害者基本法でも差別の禁止が定められているにも関わらず、聞こえない人は電話を利用できず、現状では聞こえない人を排除するものとなっている。さらに、聞こえる人も聞こえない人に電話をかけることができず、聞こえる人にとっても大きな障壁となっている。
 民間団体の努力によって始まった電話リレーサービスは、聞こえない人にとって遠い存在であった電話が社会とつながるためのツールとなって、安心や安全、さらには命や生活を守り支える大切な役割を担いはじめている。しかし、このサービスは一般の電話と違って、24時間365日利用することはできない。
 過日、奥穂高岳で3名のろう者の遭難事故が発生した際、電話リレーサービスによる救助連絡があったため、1名は亡くなったが、2名は助かった。もし、このサービスがなければ、救助された2名もどうなっていたか分からない。また、この事故以前にも、このサービスを利用してろう者が救助されたケースが2件あった。さらに、電話リレーサービスは、聞こえる人が事故に遭った場合、身近にいる聞こえない人が聞こえる人を救助することも可能にする。
 世界ではG7を含む25箇国において、公的制度として既に実施され、あらゆる分野で聞こえない人の社会参加が進んでおり、聞こえない人の多くは聞こえる人と同等、あるいはそれ以上に自らの能力を駆使し、第一線で活躍している。
 我が国において、電話リレーサービスが公的なサービスとなっていないことは、聞こえない人の社会参加を阻むだけでなく、活かせる力を埋もれさせてしまう大きな損失であり、共生社会を実現するためには、電話リレーサービスを公的制度として速やかに実現することが不可欠である。
 よって国会及び政府は、電話リレーサービスの公的制度の創設を早急に講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年12月21日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣     }殿
法務大臣
財務大臣
厚生労働大臣

神奈川県議会議長


幼児教育・保育の無償化を踏まえた更なる質の確保・向上等を求める意見書

 幼児教育・保育の無償化は、子育て世代の経済的負担を軽減し、子どもを産み・育てる環境を整えることのみならず、未来を担う子どもたちの人格形成の基礎が培われる幼児期に、質の高い教育・保育を保障する重要な取組である。
 この取組に係る財政措置については、先日開催された「教育の無償化に関する国と地方の協議」において、地方の主張を踏まえた国・都道府県・市町村の負担割合が示され、その後合意がなされた。一方で、幼児教育・保育の質の確保・向上等については、無償化に伴う様々な課題に対してPDCAサイクルを行うための国と地方の協議の場に委ねることとなった。
 よって政府は、協議に当たっては地方の意向を十分に汲み取り、2019年10月の幼児教育・保育の無償化が適切に実施され、かつ、幼児教育・保育の質の確保がしっかり図られるよう、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 幼児教育・保育の無償化の実施に必要な財源措置については、地方自治体に過度な負担とならないよう、引き続き適切な対応を講じること。
2 幼児教育・保育の無償化に伴い、待機児童の一層の増加や保育士不足など、保育を取り巻く環境の悪化が懸念されるため、適切な保育が提供されるよう環境整備に努めること。
3 無償化の円滑な実施のための詳細なマニュアルの作成、ベビーシッターを含む認可外保育施設等に係る指導監督基準の見直しあるいは創設など、質の確保・向上の仕組みを早急に構築すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年12月21日

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣         }殿
内閣府特命担当大臣
(経済財政政策、少子化対策)
女性活躍担当大臣
全世代型社会保障改革担当大臣

神奈川県議会議長


私立高等学校助成の一層の充実を求める意見書

 私立学校は、それぞれの建学の精神と教育方針に基づく特色ある教育を実施しており、公立学校とともに、公教育の一翼を担う重要な存在である。
 特に私立高等学校は、義務教育である中学校の卒業を控えた子ども達にとって、自らの将来設計を踏まえて希望する教育を考える上で重要な選択肢となっており、家庭の経済状況にかかわらず学校選択ができる環境の整備を進める必要がある。
 このような中、政府は、平成29年に閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」の中の「人づくり革命」の主要項目として「私立高等学校の授業料の実質無償化」を盛り込み、2020年度までに高等学校等就学支援金の拡充により、年収590万円未満世帯を対象として実現することとした。
 本県では、今年度から私立高等学校等の学費補助金を拡充し、現行の高等学校等就学支援金と組み合わせることで、国に先駆けて、年収約590万円未満の世帯の授業料の実質無償化を実現したところである。
 また、経常費補助金を充実させる等、高等学校を含む県内の私立学校の教育条件の充実を推進しているが、私立高等学校全体では、保護者負担の公私間格差は依然として大きい状況にある。
 今後、限りある財源の中で、私立高等学校の教育条件の更なる充実を目指し、私学助成施策の総合的な推進を図るためには、政府は高等学校等就学支援金の拡充に向けた国と地方の役割分担や、財政負担の在り方に関する具体案を明確に示すことが必須である。
 よって国会及び政府は、2020年度からの私立高等学校授業料の実質無償化を円滑に実施するため、高等学校等就学支援金の拡充に係る制度設計、国と地方の役割分担、財源等の詳細を早急に明らかにした上で、保護者負担の公私間格差の是正に取り組むとともに、私立高等学校の施設耐震化補助の拡充など教育環境の一層の充実を図るよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年12月21日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣           }殿
財務大臣
文部科学大臣
全世代型社会保障改革担当大臣

神奈川県議会議長


認知症施策の推進を求める意見書

 世界に類例を見ないスピードで高齢化が進む我が国において、認知症の人の数は年々増え続けており、2015年に推計で約525万人であったものが、2025年には700万人を突破すると推計されている。
 認知症は、今や誰でも発症する可能性があり、同時に誰もが介護者となり得るものであるため、認知症施策の推進は極めて重要である。
 認知症施策の推進に当たっては、認知症と診断された本人が、尊厳をもって生きることができる社会の実現を目指し、本人の意思を大切にし、その家族等にも寄り添っていく姿勢で臨むことが重要である。また、「若年性認知症」など、これまで十分に取り組まれていなかった課題にも踏み込んでいく必要がある。さらに、認知症施策に関する課題は、今や医療・介護だけでなく、地域づくりから生活支援、教育に至るまで多岐にわたっているため、分野を超えた総合的な取組が求められる。
 よって国会及び政府は、認知症施策の更なる充実、加速化を目指し、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 国や自治体をはじめ企業や地域が力を合わせ、認知症の方やその家族を支える社会を構築するため、認知症施策を総合的かつ計画的に推進する基本法を制定すること。
2 認知症診断直後は、相談できる人がいない人が多く存在し、診断直後の空白期間が生じているため、本人が必要とする支援や情報に速やかにつなげられるよう、認知症サポーターの活用やガイドブックの作成といった支援体制の構築を図ること。
3 若年性認知症の支援については、若年性認知症支援コーディネーターの効果的・効率的な活動を推進するため、コーディネーターに対する研修など支援体制の整備とともに、本人の状態に応じた就労継続や社会参加ができる環境整備を進めること。
4 認知症の全国規模の疫学調査と疾患登録に基づくビッグデータを活用し、有効な予防法や行動・心理症状に対する適切な対応などの推進に取り組むこと。
 また、次世代認知症治療薬の開発・早期実用化や最先端の技術を活用した早期診断法の研究開発を進めるとともに、認知症における心身の特性に応じたリハビリや介護方法に関する研究を進めること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年12月21日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣     }殿
法務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣

神奈川県議会議長

本文ここまで
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