第35回神奈川県障害者施策審議会における追加意見と県回答 議題1 かながわ障がい者計画の取組状況について(資料1、2) 委員名 在原委員 該当箇所 1(1)1〜3ページ 委員からの御意見  この部分だけではなく全てに関わることですが、政策評価の仕方として、事業の「結果」と「成果」はイコールではないということを意識する必要があると思います。「成果」は社会的な介入によってもたらされた「方針や目標との兼ね合いでの良い変化」を示すものであると言えると思います。この部分での研修修了者数は事業の「結果」であって、「成果」としては「虐待の防止」という状況が良い変化を示しているかどうかを点検する必要があります。つまり例えば、研修修了者数(所属事業種別などもあると良い)と共に虐待通報件数の推移等を示して、通報件数の推移の様々な背景と合わせて研修修了者数の影響も含めて、「虐待防止」に関する状況変化を確認して評価とすることなどが考えられると思います。 県の考え方(回答)  国の障害者基本計画に基づき、県独自の成果目標を設定しておりますが、その中に結果(数値目標)と成果(成果目標)が混在している状況です。最終評価の理由として成果の部分を一部記載していくことを検討してまいります。また、いただいた御意見につきましては、来年度の計画策定においても、引き続き検討してまいります。 委員名 在原委員 該当箇所 1(2)5〜9ページ  <相談支援従事者研修>  ここは「確保・育成」に良い変化をもたらすことができたかを点検する必要がありますので、研修修了者数だけではなく、従事者総数が増えたかどうか、又、事業所が増えたかどうかを合わせて記載して考察することで、評価する必要があると思います。  <グループホームサポートセンター事業における研修>  グループホームについては、数を増やすことから質を担保することへと目標の力点を変える時期に来ていると思います。基本的考え方にあるような「障がい者に寄り添った支援を提供できる人材の育成」に資する研修になっているのかどうかを確認できるようにする必要があると思います。  今後、グループホームの住居数や定員数に関する目標値は、行動障害のある利用者、医療的ケアを必要とする方、精神障害で身体介護も要する方等を受け入れている事業所数や住居数、区分6の利用者が一定割合以上の事業所数等の指標で支援度の高い方の選択肢としてのグループホームが増えることを促進するための目標設定が必要だと思います。  <医療従事者の確保・育成>  ここも、修了者数と共に、「ともに生きる社会の実現に向け」て、重症心身障害者の方の暮らしの場や活動の場の支援が安定したか(対応できる人材総数が増えたか)、支援できる事業所や施設が増えたか(選択肢が増えたか)どうかも併せて、評価できるようにしていただきたいです。研修を受けても支援することにつながっているかどうかは、即時につながるものではないとしても、確認していく必要があると思います。 県の考え方(回答)  <相談支援従事者研修>  県は、令和3年度から、相談支援従事者研修の修了者が相談支援専門員として従事しているかを把握する就業状況調査を開始したところです。  御意見につきましては、調査結果の分析を踏まえて、次期計画に反映させるよう努めてまいります。  <グループホームサポートセンター事業における研修>  グループホームの質を担保する必要性は、県も認識しており、サポートセンターが実施する研修に、令和4年度から、支援が困難な方への対応についての内容を追加しています。  障害支援区分や主たる支援対象を踏まえたグループホームの目標値の設定については、どのような働きかけが適切かということも併せて、今後検討が必要と認識しています。  <医療従事者の確保・育成>  重度重複障害者等支援看護師養成研修では、県域の受講者は毎年20名前後の受講修了者がいます。  重症心身障害児者への専門的な看護に対応できる人材は受講者総数で見れば増加していますが、未就業の受講者を含め、その後の支援現場でどのように生かされているか、修了者の状況把握が必要と認識しています。研修受講後のアンケートなど、把握方法について、今後検討してまいります。 委員名 在原委員 該当箇所 2(1)14ページ〜  地域移行者数の目標に対する進捗率が低すぎると思いますので、その理由と、あと2年での見通しも記載してください。この状況をそのままにしておいて良いのか、別の手立てをする必要があるのか、明確にしてください。  強度行動障害支援者養成研修は、受講者の所属等の情報も含めて示してください。なぜなら、地域移行者を増やすためにはグループホーム等の居住支援の担い手が強度行動障害のある方を支援できるようになる必要があるからです。この研修修了者数が、行動障害のある人の生活支援の担い手の増加につながっているのかを分析する必要があります。また、研修を受けただけではなく実践につながっているのかどうか(受講者に対するアンケート等の方法もあると思います)を把握する必要がありますし、現に対応している支援者総数・事業所数として増えているのか、についても別データを使うなどして示すようにしていただきたいです。それらによって、単なる研修の結果ではなく、効果を示すことが必要です。 県の考え方(回答)  現在、施設に入所されている方は、重度障がい者が多い一方で、地域生活の主な住まいの場であるグループホームの利用者の状況をみると、依然として重度の方の割合が低くなっています。こうしたことから、グループホーム等で重度障がい者を受け入れる環境が、いまだ十分に整備されていないことが、施設入所者の地域生活への移行が進んでいない1つの理由と考えています。  市町村がそれぞれの障害福祉計画において設定した地域生活への移行者数に係る成果目標の合計339人に、県が「当事者目線の支援」を実践し、県立施設を「通過型施設」とすること等により、独自に地域生活への移行を目指す97人を加えた436人(令和元年度末時点の施設入所者の9%)が、令和5年度末までに地域生活に移行することを目指していますが、現時点では達成が困難な見込みです。  神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例の基本理念にある通り、「障害者本人が希望する場所で、希望するように暮らすことができること」が実現できるよう、新たな取り組みが必要と考えており、条例の施行に合わせて検討を進めています。  神奈川県が実施する強度行動障害支援者養成研修を受講したグループホームの支援者は、直近3年間の平均値として、受講者全体の約20%を占めています。  研修修了者による支援実施の目安となる重度障害者支援加算を算定するグループホーム数も増加しており、令和3年度では、グループホーム全体の約18%となっています。  引き続き強度行動障害支援者養成研修の受講状況について注視してまいります。 委員名 在原委員 該当箇所 2(2)18〜、21、26  <短期入所>  短期入所の見込み量と達成率が何を表しているのかを分析することが必要だと思います。基本的な考え方にある「誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう」に短期入所が機能しているかどうか、です。18頁の表24の「主な取り組みによる成果」には在宅支援困難ケースの緊急時受入体制整備への補助について記載がありますが、このことが達成率とどうつながっているのか分かりにくいと感じました。この補助はどの程度使われたのか、等。また、短期入所は使いたい人が使えるようにすることと共に、短期入所単体ではなく、在宅生活の継続に困難があるケースの発見と早期対応につなげる必要があるので、その取り組みについて評価することで、基本的な考え方にある方針に関する「成果」を評価していく必要があります。そのためにも、地域生活支援拠点の整備市町村数、未整備のところの課題だけではなく、設置しているところでの成果も検討する必要があると思います。  <精神科病院長期入院患者数>  長期入院者数が減らない要因の考察ができるような材料を提示してください。長期入院患者の特徴、その方々が退院できるために必要なことは何で、それを機能させ、増やすためには何が必要なのかの考察がなく、「地域包括ケアシステムの構築に向け?」だけでは今後の実効性のある展開が進むと考えにくい印象です。  意思決定支援、当事者目線の障がい福祉は、当然、入院している精神障害のある方々も対象であることを明確にしていく必要があります。 県の考え方(回答)  <短期入所>  短期入所の見込量と達成率は、地域生活を支える指標のひとつと考えています。支援が難しい方の緊急時の受入体制を確保することを目的とした事業を、短期入所が機能しているかどうかを示す目安のひとつとして記載しています。実績としては4県域22市町に対して補助を行っています。  新型コロナウイルス感染症流行拡大の影響による利用控えなどの影響もあり、短期入所の利用状況は低調ですが、必要な方への支援体制が構築されていると考えます。  <精神科病院長期入院患者数>  令和3年6月30日時点の「精神保健医療福祉に関する資料(630調査)」では、精神科病院に入院している患者は11,306人となっています。  このうち、1年以上の長期入院をしている患者は6,366人います。疾患別に見ると、統合失調症や妄想性障害の患者が4,165人、アルツハイマー型認知症、血管性認知症等の器質性精神障害の患者が1,380人と多くなっています。  疾患・年齢・入院期間で見ると、40歳以上65歳未満・入院期間1年以上5年未満・統合失調症等の患者が1,050人と最多となっており、入院期間が5年以上10年未満の患者も523人となっています。  精神科長期入院者が6,000人を越える状況を踏まえ、県では、ピアサポーターによる精神科病院への働きかけによる退院促進や、地域移行に関わる職員への研修を積極的に実施すること等をとおして、地域の受け入れ環境を整えています。  いただいた御意見は、次期計画の策定に向けて参考にさせていただきます。 委員名 コ田委員 該当箇所 1(1)2ページ  「法的な専門的助言を得る体制を確保するとともに」を「法的な専門的助言を得る体制があり」に変更するべき 県の考え方(回答)  御意見を踏まえて、文言を修正します。  (修正案)  「法的な専門的助言を得る体制を確保するとともに及び〜」 委員名 コ田委員 該当箇所 1(1)3ページ  法的専門的助言を得る体制の拡充を課題に盛り込むべき。 県の考え方(回答)  御意見を踏まえて、文言を追記します。 (追記修正案)  また、虐待の防止及び対応力向上のため、弁護士を講師とする研修や相談を拡充するなど、法的専門性を強化する体制の整備を進める。 委員名 コ田委員  障害者スポーツの基幹施設、設備の整備を課題とするべき。 県の考え方(回答)  パラスポーツの拠点機能をもたせるため、県立スポーツセンターを令和2年度に再整備しましたが、その他の施設も含め、今後も整備してまいります。  いただいた御意見は、次期計画の策定に向けて参考にさせていただきます。 委員名 小杉委員  重度(身体障害者)の新規グループホームは、報酬単価や体制の問題でなかなか出来ない状態にあります。また、医療ケアの方は看護師を探すのに問題がある。民間の企業様が新規グループホームに参入をしていますが、軽度の知的障がい者用のグループホームが、多く利用者さん取り合いになっている現状の話を聞くことが多いです。 県の考え方(回答)  障害程度が重度でも、地域での生活が継続できるように、障害福祉サービス拠点事業所配置事業、障害者サポート事業、障害者グループホーム運営事業を含む市町村障害者福祉事業推進補助金にて、市町村を通じて支援をしているところです。グループホームで重度障がい者の支援が進むよう、また、支援の質が担保されるよう、引き続き検討してまいります。 委員名 成田委員 該当箇所 4(2)49ページ  障がい者等の文化芸術活動の普及としての共生共創事業とはどんなものでしょうか? 県の考え方(回答)  「ともに生きる社会かながわ」の実現に寄与するため、文化芸術の分野においても、「ともに生きるともに創る」を目標に、年齢や障がいなどにかかわらず、子どもから大人まで全ての人が、舞台芸術に参加し楽しめるよう、シニア劇団やシニアダンス企画の運営、障がい者や高齢者が参加する演劇の舞台公演等を実施するものです。 委員名 成田委員  障害者の生涯学習に関する視点をかながわ障がい者計画に取り入れる必要があると考える。 県の考え方(回答)  本点検評価シートには記載がありませんが、計画本体の「4憲章の実現に向けた県民総ぐるみの取組み (2)教育や文化芸術・スポーツにおける取組み ア教育の振興 C生涯を通じた多様な学習活動の充実」に記載されているとおり、引き続き取り組んでまいります。 委員名 榛澤委員 該当箇所 1(2)5ページ  <障がい者福祉分野の人材の確保と育成>  相談支援従事者研修やサビ菅研修を受ける人数を増やすことも人材の確保と育成に必要な施策だとは思いますが、より重要なのは、この仕事を希望する人が増えることと離職率を下げることだと考えます。  研修だけでなく、より優秀な人材が、より長く職務経験を積むことが人材育成には必要だと思います。しかし、すぐに辞めちゃう人が多いのも事実です。仕事の過酷さと,それに見合わないほど給料が安いので、応募も少なく、離職率が高いのだと思います。  それらを防ぐには給料面での待遇改善が必要ではないでしょうか。今現在も「処遇改善加算」があり給料に上乗せしていますが、もらえても一人頭月に1万円から3万円くらいで、これでは足りないように思います。そこで考えたのですが、同じく給料が安く人材不足の介護職も含めて、介護・福祉職の最低賃金を上げる条例を作れないでしょうか?今神奈川県の最低賃金は1071円ですが、介護・福祉職の最低賃金を例えば1300円とか1500円とかにできないでしょうか?人件費増額の分、補助金の額を増やします。そうすれば応募者が増え、離職率が下がり、より優秀な人材が、より長く職務経験を積み、人材の確保と育成に有効なのではないかと考えます。  また、ここ数十年で通所施設やグループホームなど障がい者支援関係の事業所が急激に増えていて、人材の確保が追い付いていないようにも感じます。障がい者支援についてほとんど知識がない人が、この分野にたくさん入ってきています。募集しても応募が少ないから、そういう人を雇わざる負えないという状況もあります。 県の考え方(回答)  福祉現場で働く方々の賃金の改善に関しては、まずは障害福祉サービスの報酬に上乗せする「処遇改善加算」を事業所が取得することが重要と考えていますが、その取得率はまだ全事業所の8割です。そこで、次期計画に当該加算の取得率を目標として設定し、進捗状況を管理するとともに、事務手続きが煩雑などの理由で加算を取得していない事業所に対しては、個別に訪問し加算取得に向けきめ細やかに支援しています。  御意見につきましては、今後の参考とさせていただきます。 委員名 榛澤委員 該当箇所 2(1)15ページ  <相談支援体制の構築 精神障がい者への電話相談体制の充実。24時間365日必要な回線数を開設してほしい>  精神障がい者への相談支援という時に相談できる時間帯と回線数の確保という観点が重要だと考えます。  精神障がい者にとって、夜間から深夜は調子が悪くなることが多い時間帯で相談できる相手が必要で、下手すると自殺に繋がることもあります。「いのちの電話」が24時間のものがあるのもそのためです。現在、神奈川県では「こころの電話相談」という相談電話がありますが21時までです。また横浜、川崎、相模原、横須賀の相談電話は21時や22時までで24時間ではありません。これでは夜遅くなってから調子が悪くなる精神障がい者への対応が出来ません。24時間365日、繋がるように回線もニーズに合わせた数を開くことが必要だと考えます。24時間対応の「いのちの電話」など他の相談電話もありますが、回線不足で、ほとんど繋がらないのが現状です。フォーマルな相談電話が繋がらず、SNS等で犯罪に巻き込まれることもあります。また電話よりもメールやラインの方が相談しやすい当事者もおり、より相談しやすい環境づくりにもなります。  24時間365日の電話相談開設は、予算や人員の確保など、決して簡単に出来る施策だとは思いません。しかし24時間の電話相談は本当に必要で、自殺防止にもなり、まさに“いのちを守る”ための施策だと考えます。 県の考え方(回答)  県では、より多くの方の相談にお応えするため、令和4年11月10日より「こころの電話相談」の相談時間を24時間に拡充いたしました。  また、令和2年度よりLINE相談「いのちのほっとライン@かながわ」を実施しており、電話での相談にハードルを感じる方が相談しやすい窓口を提供しています。  引き続き、より多くの方が相談しやすい環境づくりに取り組んでまいります。 委員名 榛澤委員 該当箇所 3(1)33ページ  <引きこもりがちな精神障がい者への外出・移動支援>  精神障がい者の移動交通費の軽減を図ることは、引きこもりがちな方の社会参加に一定の効果があると考えます。しかしながら神奈川県内の横浜市と川崎市は無料で路線バスに乗れますが、他の市町村では路線バスの割引制度を精神障がい者には導入していません。  実はこの要望は相模原市でも以前からしておりまして、相模原市内を走る神奈川中央交通のバスは身体と知的障がい者は半額で乗れるのに、精神障がい者は半額になっていません。そこで今年の7月に相模原市と神奈川中央交通で話し合いの場が持たれて、割引できないか要望していただいたのですが、バス会社側は、「神奈川県内では横浜市と川崎市以外では、精神障がい者の運賃割引はやっていないので、他の市とのバランスを考えると割引制度は難しい」と言われてしまいました。ただ相模原市も「バス運賃割引は社会参加促進の有効な制度の一つと考えている」と。また県の点検評価シートにも「精神障がい者の社会参加促進のため」と有効性は認めておられます。横浜市と川崎市が出来るのですから他の市でも不可能ではないと思います。また障がいの種類によって乗車運賃に差があるのは3障害公平性の観点からも看過できないことです。  もちろん、バスの運賃割引だけで、精神障がい者や引きこもりの方の社会参加を完全に実現できるわけではありませんが、社会参加の促進に一定の効果があると考えます。「80・50問題」など大きな社会的な社会問題となっている引きこもり対策として県内の全ての市町村で割引の導入実現に本気で取り組んでほしいと願います。 県の考え方(回答)  精神障がい者に対する公共交通機関の運賃割引については、全国的な課題であることから、県では、全国主要都道府県民生主管部(局)長連絡協議会などを通じて、継続して強く国に要望しております。  また、県ではこれまで、神奈川県バス協会を訪問し、運賃割引の適用を繰り返し申し入れてきました。県としては、バス運賃割引の導入に向けて、引き続き県バス協会等へ粘り強く要請してまいります。 議題2 計画の改定、見直しについて(資料3) 委員名 在原委員  統合することによって、目標設定と課題検証が有意義に行われる方向に進むことが必須だと思います。「把握すべき状況」(目指す状態)と「成果目標」がきちんとつながっているのかや、「成果目標」のみではなく他のどの事業のどの指標を確認して課題確認していくのかの整理を行い、点検評価作業が有効な次の動きにつながるものでなければ意味がありません。計画の取り組み状況に関する意見書にも記載しましたが、結果と成果をきちんと区別して、目指す状態に向かって政策を動かすための統合であれば賛成したいです。政策分野に紐づくと整理されている事業数が膨大ですので、毎年、いくつかの政策分野について検証方法自体を議論することが必要だと思います。 県の考え方(回答)  今回の統合を、結果(数値目標)と成果(成果目標)が混在している状況を整理する機会と捉え、審議会で御意見を伺いながら検討してまいります。 報告事項1 神奈川県の意思決定支援の取組について(資料4) 委員名 在原委員  全県展開を目指した取り組みが進んでいることをありがたく思っております。「支援者と双方向の喜びにつなげること」が大切であるという観点が非常に重要であると思っています。  県版ガイドライン(試行版)に取り組んでいるモデル施設8か所はどのように選んだのでしょうか(自薦、他薦等)。施設名は非公表でしょうか。お教えいただければ、機会をつくって手ごたえ等を伺いたいと思っております。 県の考え方(回答)  御質問のありましたモデル施設8か所については、津久井やまゆり園利用者の意思決定支援を参考にモデルケースを選定し、実際にチームを組み意思決定支援を実践していく普及想定モデル4施設、施設で意思決定支援を展開するために推進チームを設置し、体制整備に向けた検討を行う簡易想定モデル4施設となっております。  モデル施設の選定については、普及想定モデルの施設は、県所管の4圏域ごとに事前公募を実施し、選定しました。また、簡易想定モデルの施設については、施設へのヒアリング等を実施し、意思決定支援の取組に関心を示してくれた施設に対し、県所管の4県域に1施設選定しました。  モデル施設へのヒアリング等については、共生推進本部室意思決定支援グループに御連絡いただきますようお願いいたします。 〔参考:令和4年度 障害者支援施設等意思決定支援モデル事業 施設〕  普及想定モデル施設:カビーナ貴志園、入道雲、進和あさひホーム、竹の子学園  簡易想定モデル施設:すぎな会愛育寮、湘南セシリア、丹沢レジデンシャルホーム、ほうあんふじみのさと 委員名 小杉委員  意思決定支援は、ご家族の意見が出てと施策審議会でも出ていましたが、相談支援の一人が抱えているケース数の問題もあると思われます。一人で80名以上等とよく聞きますが、その様な状態で意思決定支援をしていくのに問題があるのでは? 県の考え方(回答)  意思決定支援の実施にあたっては、相談支援専門員一人が取り組むのではなく、ご家族やサービス管理責任者など当事者ご本人に関わる方々と連携して、役割分担をしながら取り組むことが必要と認識しております。  そのような中で、相談支援専門員は、国の「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」においては、「意思決定支援責任者」を兼務し、支援の枠組みを作るなど、意思決定支援において重要な役割が期待されています。  現在、県内の相談支援専門員1人あたりの相談件数(受持ちケース数)は平均で32名程度となっておりますが、地域別に見ると、これを大きく上回る地域もあり、県として、今後も相談支援専門員の養成確保に向けた取組みを進めてまいります。 報告事項2 芹が谷やまゆり園のモニタリング結果の報告について(資料5)  ※ 追加意見等なし 報告事項3 中井やまゆり園における利用者支援について(資料6) 委員名 成田委員  現状は、緊急的にトップダウンの改革が進められていると理解しているが、ボトムアップへの移行を意識し、改革を適切に進める必要があると考える。不適切か適切かの判定から、利用者の満足度や、働く職員の誇りや満足度に繋がる改革を期待したい。  調査結果に関する報告、20ページの後段 21ページ前段に記載されている内容は、施設の在り方に強く影響する。高度障害の重い方を集める、地域から離れて入所させる段階で収容施設の意味合いが生まれてくると考える。県立施設の在り方は今後検討されると思うが、各地域に分散して地域の民間施設との連携の体制強化が望まれると考える。 県の考え方(回答)  現在の利用者支援等改善の取組を通じて、直接支援のあたる職員は、これまで何もできない、難しいと思いこんでいた利用者が、日中活動に参加し、生き生きとしている姿を目の当たりにして、利用者の可能性に気づき、支援の意欲が高まっていますので、本取組を継続してまいります。  また、県としては、将来展望検討委員会の委員会からの提言を踏まえ、通過型施設として、利用者が地域での暮らしていけるよう市町村や相談支援事業所等、地域との連携を強化していきます。 報告事項4 過齢児対策の状況について(資料7) 委員名 成田委員  成人の入所施設からの地域移行とも共通しますが、生活の場自体を変えるためには、本人が信頼できる支援者との関係づくりから始めていく時間をかけた取り組みが必要だと思いますので、18歳になる以前(中学入学時頃など)からの継続的な地域資源とのつながりづくりが必要だと思います。児童であっても当然、意思決定支援が必要ですので、その取り組みについてもご報告いただければ幸いです。 県の考え方(回答)  早い時期から地域の資源を活用し、支援者との関係づくりが始められるよう、15歳頃には市町村が成人の障害福祉サービスの支給決定ができる手続きについて、関係機関との調整を進めています。  また、このように早い時期から地域の資源を利用して様々な経験を重ねることで、本人の意思決定に役立つと考えています。 委員名 藤森委員  父母連からの県との予算要望書懇談会でも過齢児の件について、要望させていただいています。  神奈川県においては、「過齢児移行対策会議」を設置していただいて、対策をしていただいていることがよくわかりました。  しかし地域移行にさいして、主な受け入れ先になっているのは、「日中支援型グループホーム」です。2018年にできた「日中支援型グループホーム」は、本来、障害者の重症・高度化に対応するために作られましたが、実際は、過齢児の受け入れ先になっています。支援者の多くは、老人介護の経験者や経験はないが地域で出来る仕事ということで、地元のパートの方が多く、障害に対する専門知識のない方が支援をしている現状があります。知識のない支援者の支援は、当人にも支援者にも負担がかかります。このままでは、支援者が集まらない、「日中支援型グループホーム」から事業所が撤退するのではないかと、親としては心配をしています。地域移行に関しては、多くの問題点があると思います。数字が減って、地域移行が進んでいると判断せず、様々な観点から、状況確認を進めていただきたいと思います。 県の考え方(回答)  過齢児の多くが、対応が難しいという理由から移行先が見つかりにくくなっているため、移行先であるグループホーム等をどのように支えていくか、という視点は大切です。  移行先への出身施設によるアフターフォローや周りの施設・事業所によるサポートの必要性について、対策会議の中でも意見交換をしているところです。 報告事項5 神奈川県地域福祉支援計画の改定について(資料8)  ※ 追加意見等なし その他の御意見 委員名 藤森委員  <当事者目線の障害福祉推進条例、障がい者計画や意思決定支援について、親としての考え>   「当事者目線の障害福祉推進条例」にともない、様々な支援や施策が準備されていることが、よく分かりました。ただ、本人の意思を尊重する支援というのは、親としてもとても難しいものだと感じている案件です。しゃべれない障害者やしゃべれても自分の意思を表せない障害者への支援は、障害特性を理解している人が対応して欲しいと思います。自閉症の人は、障害特性上、返事をしていても、その通りに思っていなかったり、自分の思いを口に出せない方が大勢います。例、エコラリア(オウム返し)で、返事をするので、夕飯に新しいメニューを出したとしましょう。支援者「夕飯おいしかった?」と聞くと、全員ではありませんが、美味しくないと思っていても、エコラリアのある自閉症の人は「夕飯おいしかった」と返事してしまうのです。返事をされた支援者は、字義どおりにとって、この人は、「おいしかった、満足している」と思ってしまうと思います。自閉症への知識がある人なら、エコラリアのある人には、視覚支援で、出した料理を見せながら、「好きですか?嫌いですか?」と、選べるように質問すると思います。言葉の無い重度障害の方の意思は、身近で接している親にも聞いて欲しいと思います。親が100%、子どもの意思や言葉を代弁出来るわけではありませんが、365日、24時間、スペシャルニーズな子育てをしている親だからこそ、汲み取れるものがあると思います。 県の考え方(回答)  御意見につきましては、今後の参考とさせていただきます。 委員名 藤森委員  <障害者本人の意見を取り入れるということは、「偏り」を生むことだと認識したうえで、様々なことを決めてください。>  障害は、千差万別。同じ障害内でも、まったく症状、困り感が違います。障害のある人で、しっかりと障害者全般について発言できる方は、極々一部です。人前で、雄弁に語れる方、発言できる方は、自分の価値観、自分の障害のことだけの意見を述べます。なので、その方たちの意見だけで、県の施策や障害者支援の内容を決めないようお願いします。「声なき障害者」の声を汲み取ることを意識してください。前述しましたが、親や支援者の意見も取り上げることで、偏らない障害者全般の施策になると思います。 県の考え方(回答)  御意見につきましては、今後の参考とさせていただきます。 委員名 榛澤委員 <「神奈川県障がい福祉計画」19ページ 精神疾患を未然に防ぐという発想が必要ではないか。> 「神奈川県障がい福祉計画」の19ページに載っていますが、県内の精神障がい者の数が平成20年の18万人から平成29年の37万人になった。10年で約2倍です。異常な増加率です。こんなに人の心が病んでしまう社会とは何なのか?どうすれば患者が増えないようにできるのか?メンタルヘルスを本気で考えることが必要ではないでしょうか。 しかしながら「神奈川県障がい福祉計画」に患者数が増えたことは載っていますが、「障がい福祉計画」にも「障がい者計画」にも、患者数の増加を防ぐための施策は見当たりません。 私も若い頃から精神疾患に罹って人生がめちゃくちゃになってしまった人間です。心の病というのは、なってしまうと取り返しがつきません。もちろん精神疾患に罹ってしまった方を支える施策も必要ですが、それと同時に、この病気を少しでも減らすという発想も必要ではないでしょうか。 なってからでは遅い病気です。その方とそのご家族の人生を壊してしまう病気です。減らす方法は、今は誰もはっきりとは分からないかもしれませんが、この社会にゆがみがあって、人々が精神的に大きな負担や強いストレスを抱えながら生きているのは事実だと思います。精神疾患を未然に防ぐという発想で、その調査研究をし、対策を立てることを計画の中に入れて取り入れてほしいと願います。 県の考え方(回答)  御意見につきましては、今後の参考とさせていただきます。 委員名 榛澤委員  <精神科病院内での虐待・社会的入院について>  「中井やまゆり園」でのおぞましい虐待は、重度の知的障がい者の支援施設で起こった事件ですが、精神科病院内での患者への虐待も、行政として病院をしっかり監視してほしいと願います。  精神科病院内で患者への不適切な身体拘束や暴行、薬漬け、長期入院、電気ショックなどは日本が抱える人権侵害の問題として、国際社会から批判され、メディアでも取り上げられることがあります。例えば県内でも2017年、大和市立病院でニュージーランド人の患者が、不適切な身体拘束で死亡した事件がありました。また、2020年には県外ですが兵庫県の神出(かんで)病院での凄惨な虐待などもありました。これらは“氷山の一角”で、多くは発覚しないだけだと思います。精神科病院の精神科特例や閉鎖的な体質にメスを入れないと解決は難しいと考えます。  また虐待と同じく問題となっている長期入院についても、厚生労働者から“精神障がい者の退院促進”が打ち出されて久しくなりますが、遅々として進んでいません。重大な人権侵害の問題として、今まで以上に力を入れてほしいと願います。犯罪者でもないのに死ぬまで病院から出られず、病院の中で死んでいく人が日本に何万何十万もいるのを見て見ぬふりは出来ません。自由と民主主義を掲げている国として恥ずかしいことです。形式だけで実効性のない退院促進では意味がないと考えます。本気で取り組む姿勢を神奈川県にも持ってほしいと切に願います。 県の考え方(回答)  精神科病院における虐待に関しては、精神保健福祉法の改正により令和6年4月から、精神科病院において従事者等への研修の実施や、従事者による虐待を発見した際の通報が制度化されることとなっています。県では通報があった際に、精神科病院への立ち入りを行い、虐待の事実関係を調査の上、必要に応じて病院を指導していきます。  長期入院については、精神科病院に入院している患者の状況についての分析を進め、退院支援を推進するために必要な施策を検討していきます。 以上