過齢児対策の状況について 資料7 1 経過  平成22年の児童福祉法の改正(平成24年施行)において、18歳以上の障害者については、成人としてより適切な支援を行うため、障がい者施策で対応することとされた。  この際、現に障害児入所施設にいる18歳を過ぎた者(過齢児)が退所させられることがないよう、障害児入所施設を障害者支援施設とみなす規定を設け入所を継続できることとした。  しかし、過齢児の解消に至らないことから、国は、この「みなし規定」の期限の延長を繰り返しており、県では必要な施策を講じてきた。    2 これまでの県の取組み   平成24年から平成29年に受け入れ先の開拓、児童相談所等の関係機関との調整を行う、障害児施設へのコーディネーター配置した障害児施設への補助を実施。平成30年から令和2年度までは障がい児が成人サービスを体験利用するための経費や、関係機関とのカンファレンス開催経費への補助を行ってきた。  また、市町村を通じて、平成26年以降、施設からグループホームへ移行した際の家賃(3年間)や入居を受け入れたグループホームの初期支援への加算、障害児施設からの入所を受け入れに際し、環境の変化や家族との調整等を勘案した施設に対する補助を実施し、過齢児を円滑に移行するための取組みを行ってきた。      ※福祉型障害児入所施設の過齢児の推移。   ※医療型障害児入所施設においては、療養介護を一貫してサービス提供する仕組みが恒    久化されていることから、これまで過齢児として計上していなかった。   ※令和4年度4月時点で医療型障害児入所施設において移行先が決まっていない過齢    児は2名。 3 令和4年度の取組み  神奈川県過齢児移行対策会議の設置  県では上記の取組を行い、平成30年には34人いた過齢児は減少しており、令和3年以降は20名弱で推移している。  国は、全国的に過齢児の解消に至らないことから、みなし規定の延長を令和5年度末までとし、円滑な移行を進めて行くことができるよう検討するため、「障害児の新たな移行調整の枠組みに向けた実務者会議」を令和3年1月〜同年7月にかけて開催し、同報告書をまとめた。  新たな移行調整の枠組みが示されたことを踏まえ、改めて都道府県(政令市)、市町村、児童相談所、障害児入所施設、及び基幹相談支援センター等の相談支援事業所が取り組むべき内容について整理した手引きが国から発出された。   国の手引きにおいて、障害児入所施設の入所者が円滑に成人サービスへ移行できるよ う、関係機関が連携・協力して調整等を行う都道府県・政令市による「協議の場」の設置が求められ、神奈川県では「神奈川県過齢児移行対策会議」(以下「対策会議」という。)として設置した。 ●神奈川県過齢児移行対策会議の概要 構成機関等 ・ 自治体、児童相談所、障害児入所施設、障害者支援施設、相談支援事業所、   団体(施設関係・親の会)、関係機関(特別支援教育課・総合療育相談センター   等の13機関 検討事項 ・ 移行対象者の把握、情報共有、進捗管理   ⇒特に移行が困難な事例を抽出し個別ケース会議への参加・協議 ・ 広域調整 ⇒関係団体への働きかけ、グループホームなどの定員情報等の共有 ・ 地域資源開発 ⇒個別ケース会議で浮かび上がった課題の解決策を議論し、障害福祉計画への反映などにより具体的な施策へ展開   4 今後の取組について (1)次期障がい福祉計画の検討 「対策会議」で顕在化した、地域で不足する移行先となる資源(強度行動障害や 医療的ケアを有する者の受入基盤等)の必要性について、令和6年度からの第7期障がい福祉計画の策定にあたっての議論を踏まえて反映していく。 (2)制度変更への対応   令和6年4月1日から施行される「児童福祉法等の一部を改正する法律」では、都道府県は障害福祉サービス等を利用しつつ自立した日常生活又は社会生活を営むことが著しく困難な者については、当該者が満23歳に達するまで、引き続き障害児入所給付費等を支給し、又は障害児入所施設に在所させる等の措置をとることができるものとされた。   入所を延長する場合においては、「対策会議」にて議論し、県が決定することとなるが、具体的な事務手順については、まだ国から示されていない。