(表紙) 当事者と一緒に考えた みんなで読める 神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例 〜ともに生きる社会を目指して〜 この冊子について 条例は、都道府県や市町村がつくる大切な決まりです。 神奈川県は、障害のある当事者のメンバーと一緒に考えて、誰もがわかりやすく読むことができるように、できるだけ生活の中で使うことばで書いた「みんなで読める神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例〜ともに生きる社会を目指して〜」をつくりました。 この改訂版は、一緒に考えたメンバーのほか、障害のある当事者などの意見も聞いて、条例の特に大切なことを伝えるページを増やしました。 「みんなで読める」には、一人で読むことが難しい場合でも、支援者や仲間や家族など、いろいろな人と一緒に読むめるという意味があります。 「ともに生きる社会」を一緒につくっていきましょう。 神奈川県では、広報物などでは「障害」の標記について、「がい」の部分を平仮名で書いていますが、条例ではすべて漢字で書いています。条例についての冊子なので、この冊子でも漢字で書いています。 ページ 1 神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例で特に大切なこと 当事者目線の障害福祉とは 2ページ 場面1 一人暮らしをしたい! 4ページ 場面2 お店に行きたい! 6ページ 障害を理由とした差別、虐待などの禁止 8ページ 障害のある人の社会参加 9ページ 2 条例 当事者目線の障害福祉推進条例をつくった理由 12ページ 第1条 この条例をつくった目的 15ページ 第2条 当事者目線の障害福祉推進条例に出てくる言葉の意味 16ページ 第3条 当事者目線の障害福祉を進めるための大切な考え方 18ページ 第4条 神奈川県がすること 19ページ 第5条 神奈川県が市町村と協力してすること 20ページ 第6条 県民や事業者がすること 20ページ 第7条 障害福祉サービス提供事業者がすること 21ページ 第8条 基本的な計画をつくること 21ページ 第9条 基本的な計画の内容 22ページ 第10条 意思決定支援に取組むこと 25ページ 第11条 障害のある人の権利を守ること 26ページ 第12条 障害を理由とする差別、虐待などの禁止 26ページ 第13条 障害を理由とする差別についての相談やアドバイス 27ページ 第14条 障害のある人の生活しづらいことや困ったことをなくすこと 28ページ 第15条 虐待が起きないようにすること 29ページ 第16条 虐待を早く見つけること 29ページ 第17条 障害のある人の家族などへのサポート 30ページ 第18条 障害のある人に関係する会議に障害のある人の参加を進めること 30ページ 第19条 ピアサポートや当事者活動・本人活動などを進めること 31ページ 第20条 障害のある人の生涯のサポートの仕組みをつくること 32ページ 第21条 高齢者や子どもの福祉施策と協力して取り組むこと 32ページ 第22条 支援の方法の情報を集めたり調べたりすること 33ページ 第23条 地域生活や社会参加を進めるための場を整備すること 33ページ 第24条 どこに住んでいても、同じサービスを受けられるようにすること 34ページ 第25条 自立支援協議会の活動を進めること 34ページ 第26条 障害福祉の仕事をする人を増やして、育てること 36ページ 第27条 施策に予算(お金)を用意すること 37ページ その他の決まり 37ページ 参考資料 障害福祉サービス提供事業者について 38ページ 一緒に考えたメンバー 40ページ ともに生きる社会かながわ憲章 41ページ (1ページ) 1 神奈川県 当事者目線の障害福祉推進条例で 特に大切なこと (2ページ) 神奈川県は、当事者目線の障害福祉を進めるために、「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例〜ともに生きる社会を目指して〜」をつくりました。 当事者目線の障害福祉とは 障害のある人に関係するすべての人が、本人の気持ちになって考えること 本人の望みや願いを大事にすること 障害のある人が、自分の気持ちや考えで、自分に必要なサポートを受けながら暮らせる社会をつくること です。 (3ページ) 当事者目線の障害福祉を進めるためには、 障害のある人がされてうれしいことを増やしていくこと 障害のある人がされると嫌なことをなくしていくこと が大事です。 そのためにはどうしたらよいかを考えるために、二つの場面を例として書きました。 二つの場面で、言葉の違いを考えてみましょう。 8ページと9ページには、当事者目線の障害福祉を進めるために大切な、差別や虐待の禁止と、障害のある人の社会参加を進めることについて書いています。 (4ページから5ページ) 場面1 ひとり暮らしをしたい! 障害のある人Aさんの言葉 ひとり暮らしをしたいな。 支援者Bさんこれまでの言葉 ひとり暮らしなんて、やることが多いし、大変だよ!やめた方がいいよ。 当事者目線で考えてみよう 本人の気持ちを否定しないで受け止めましょう 支援者Bさんの当事者目線の考え方の言葉 ひとり暮らしがしたいんですね。ひとり暮らしするとしたら、何か困りそうなことはありますか? 障害のある人Aさんの言葉 料理と掃除が苦手かなぁ。 支援者Bさんこれまでの言葉 料理も掃除もできないんだから、ひとり暮らしなんて無理だよ。 当事者目線で考えてみよう 本人ができないことや苦手なことがあっても、それを手助けするサポートがないか考えてみましょう。 支援者Bさんの当事者目線の考え方の言葉 ヘルパーのサービスを使えば、料理や掃除をしてもらえますよ。 障害のある人Aさんの言葉 福祉サービスを使えば、ひとり暮らしできるかなぁ。 支援者Bさん これまでの言葉 そうは言っても大変だよ。グループホームの方が世話人さんもいるし安心だよ。 当事者目線で考えよう 「本人のためになる」と考えたとしても、まずは、本人の気持ちを大切にしましょう 支援者Bさんの当事者目線の考え方の言葉 実際にひとり暮らしを体験してみて、どんなサポートが必要か一緒に考えてみましょう。 場面1だけではなく、すべての場面で、障害のある人の思いや望みを大事にしてサポートしていくことが大切です。 (6ページから7ページ) 場面2 お店に行きたい! お店の店員Cさんの言葉 車いすのお客さまから「スロープを付けてほしい」と言われたよ。 お店の店員Dさんのこれまでの言葉 お金もないし、場所も狭いから、スロープを付けるのは無理だよ。 当事者目線で考えてみよう 負担が大きすぎない他の方法などを考えてみましょう。 お店の店員Dさんの当事者目線の考え方の言葉 スロープは無理だけど、板を置くことでいいか聞いてみよう。 お店の店員Cさんの言葉 白杖を持っているお客さまがいるけど、どうしたらいいかな。 白杖とは、視覚障害のある人が持つ白い杖のこと お店の店員Dさんのこれまでの言葉 手伝ってほしいと言われないから、様子をみよう。 当事者目線で考えてみよう 困っている様子の人を見かけたら「何かお困りですか」といった声かけをしてみましょう お店の店員Dさんの当事者目線の考え方の言葉 「何か手伝えることはありますか」と声をかけたら、「メニューを読み上げて」と言われたよ。 お店の店員Cさんの言葉 メニューが文字だけで漢字もあるから、何を頼んだらいいか分からなくて困っているお客さまがいるね。 お店の店員Dさんのこれまでの言葉 これまで特に要望もないからこのままでいいよ。 当事者目線で考えてみよう 障害のある人から言われなくても、困っていると分かるときは、生活しづらかったり困ったりすることをなくしていきましょう お店の店員Dさんの当事者目線の考え方の言葉 メニューに写真を入れてルビも振ってみよう。 場面2のように障害のある人が生活しやすくなるように考えてみましょう。 新しくお店や建物をつくるときなどには、障害のある人が使いづらくならないように注意しましょう。 (8ページ) 障害を理由とした差別、虐待などの禁止 すべての人は、差別や虐待など、障害のある人の健康やいのち、権利を傷つけることをしてはいけません。 障害があることを理由として障害のない人と区別することや、障害のある人の使える場所や時間を決めるなど、障害のない人と同じ対応をしないことを「障害を理由とした差別」といいます。 からだを叩いたり、本人のお金を勝手に使ったりすることなどを「虐待」といいます。 (9ページ) 障害のある人の社会参加 神奈川県は、障害のある人が中心になって行っている活動(ピアサポート・本人活動・当事者活動など)をサポートします。 また、神奈川県の障害のある人の生活に関係する会議などに、障害のある人の参加を進めるなど、障害のある人の社会参加を進めます。 ピアサポートとは、同じ悩みを持っている仲間同士が、お互いに支え合う活動です。 本人活動・当事者活動とは、障害のある人が中心になって、仲間同士でいろいろな活動を行うことです。 障害福祉の制度についての勉強会や、スポーツやバーベキューなどの余暇活動をしているグループもあります。 (10ページ) 空白のページ (11ページ) 2 条例 (12ページから14ページ) 当事者目線の障害福祉推進条例をつくった理由 平成28年(2016年)7月26日に、神奈川県立の障害者支援施設津久井やまゆり園で、19名のいのちが奪われる、悲しい事件が起きました。障害のある人や家族だけではなく、みんなが悲しくなり、心配な気持ちになりました。 神奈川県は、津久井やまゆり園事件のような悲しい事件が二度と起きないようにするため、平成28年(2016年)10月に、神奈川県議会と一緒に「ともに生きる社会かながわ憲章」をつくりました。「ともに生きる社会かながわ憲章」は、神奈川県が大切にする考え方です。 神奈川県では、津久井やまゆり園事件のあと、これまでの障害者支援施設(入所施設)の支援のことなどを確認して、障害者支援施設などに入所している人にもっと良い支援ができないか考えてきました。 これまでは、施設側が安全を一番大事にするという理由で、入所している人の部屋に鍵をかけて外へ出られないようにするなどの対応があったことが分かりました。 良い支援の方法を考えたところ、障害のある人の気持ちを大切にして、本人がしてほしいと思っている支援をするためには、本人の立場に立つことが大事だと、改めて気付きました。 神奈川県は、障害のある人たちと何度も話し合い、思いや望んでいることなどをよく知ろうとしました。 神奈川県は、障害のある人、一人ひとりの心の声に耳を傾けて思いや望みを聞き、本人の立場に立った支援をすることが、障害のある人だけではなく、周りにいる人たちみんなが幸せに生活できる「当事者目線の障害福祉」になると考えました。 神奈川県は、令和3年(2021年)11月に「当事者目線の障がい福祉実現宣言」を発表して、これからは「当事者目線の障害福祉」にしていくと約束しました。 日本の障害福祉は、昭和56年(1981年)の国際障害者年から、障害のある人みんなが、自立や社会参加ができる社会を目指してきました。そして、障害者基本法が直され、障害者差別解消法などが作られ、平成26年(2014年)に障害者権利条約を守ると日本は約束しました。 しかし、すべての障害のある人が自分らしく暮らせる社会は、まだつくれていません。 神奈川県は、みんなが安心して暮らせる社会を目標に、県民、事業者と神奈川県が協力して取り組める仕組みをつくる必要があると考えました。 神奈川県は、「当事者目線の障害福祉」を進めていくことで「ともに生きる社会かながわ憲章」が目標にしている社会をつくることができると考えました。 そのための大切な決まりとして、神奈川県は「当事者目線の障害福祉推進条例」をつくって、「当事者目線の障害福祉」を進めるための基本的な内容を決めました。   言葉の説明 県民とは、神奈川県に住んでいる人のことです。 事業者とは、神奈川県にあるお店や会社のことです。 障害のある人、一人ひとりの心の声に耳を傾けて思いや望みを聞きとは、障害のある人、一人ひとりの気持ちや考えを受け止めることです。 (15ページ) 第1条 この条例をつくった目的 「当事者目線の障害福祉推進条例」には、「当事者目線の障害福祉」を進めるための大切な考え方を書いています。 神奈川県、県民、事業者がすることをわかりやすくして、「当事者目線の障害福祉」を進めるために必要なことを書いています。 「当事者目線の障害福祉推進条例」は、障害のある人が障害を理由とするすべての差別や虐待をされずに暮らすことができて、誰もがうれしいと感じられる、社会にしていくことを目的にしています。 (16ページから17ページ) 第2条 当事者目線の障害福祉推進条例に出てくる言葉の意味 (1)「障害」とは、「障害のある人」とは 「障害」とは、障害者基本法に書いてある障害のことです。 「障害のある人」とは、障害者基本法に書いてある障害者のことです。 言葉の意味 障害者基本法とは、障害のある人に関係する日本の大切な決まりのことです。 障害者基本法に書いてある「障害」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害も含みます)や、難病などその他の障害のことです。 障害者基本法に書いてある「障害者」とは、障害や社会的障壁があって、生きにくさを感じている人のことです。 社会的障壁とは、障害のある人の生きにくさの原因となるすべてのことです。 (2)「当事者目線の障害福祉」とは 「当事者目線の障害福祉」とは、次のことです。 ・障害のある人に関係するすべての人が、本人の気持ちになって考えることです。 ・本人の望みと願いを大事にすることです。 ・障害のある人が、自分の気持ちや考えで、自分に必要なサポートを受けながら暮らすことができるような社会をつくることです。 (3)「意思決定支援」とは 「意思決定支援」とは、障害のある人の気持ちや考えを大事にして、生活をしたり、外へ出かけたり、働いたりすることを自分で決められるように周りの人がサポートすることです。 (4)「障害福祉サービス提供事業者」とは 「障害福祉サービス提供事業者」とは、障害のある人が困っていることをサポートする事業所のことです。 障害福祉サービス事業者について、38ページに詳しく説明しています。 (18ページ) 第3条 当事者目線の障害福祉を進めるための大切な考え方 「当事者目線の障害福祉」を進めるときは、(1)から(6)に書いてあることを大事にします。 (1)すべての県民が、人として大切にされること。 自分の生き方を自分で決められること。 自分が大切にしている考え方を大事にされること。 (2)障害のある人が、自分のことは自分で決められるようにすること。 (3)障害のある人が、住みたいと思う場所で、自分らしく暮らすことができるようにすること。 (4)障害のある人の性別、年齢、障害の様子、生活に合わせて、周りの人たちが協力し、本人が活躍できるようにすること。 (5)障害のある人だけではなく、周りの人たちも、うれしいと感じられること。 (6)すべての県民が、障害や障害のある人のことをよく理解すること。 地域に住んでいる人がお互いに支え合いながら、社会全体で取り組むこと。   (19ページ) 第4条 神奈川県がすること (1)神奈川県は、「当事者目線の障害福祉を進めるための大切な考え方」を大事にして、「当事者目線の障害福祉」の取組みを行う責任があります。 (2)神奈川県は、市町村や事業者などと協力して、障害や「当事者目線の障害福祉」の内容を知ってもらうための取組みを行います。 (3)神奈川県は、県民や事業者などの意見を聞いて、「当事者目線の障害福祉」をより良いものにしていきます。 (20ページ) 第5条 神奈川県が市町村と協力してすること (1)神奈川県は、「当事者目線の障害福祉」を実現するために、市町村と協力するように努力します。 (2)神奈川県は、市町村が「当事者目線の障害福祉」を進めるための計画を立てたり、取組みをしたりするときに、アドバイスなどをします。 第6条 県民や事業者がすること (1)県民や事業者は、「当事者目線の障害福祉を進めるための大切な考え方」を大事にして、「当事者目線の障害福祉」を知って、その取組みに協力するように努力しなければいけません。 (2)県民や事業者は、「当事者目線の障害福祉を進めるための大切な考え方」を大事にして、障害のある人が、社会、経済、文化などのいろいろな活動に参加できるように努力しなければいけません。 (21ページ) 第7条 障害福祉サービス提供事業者がすること 「障害福祉サービス提供事業者」は、「当事者目線の障害福祉を進めるための大切な考え方」を大事にして、地域に住んでいる人たちと協力して、地域の社会資源を使って、「当事者目線の障害福祉」を進めるように努力しなければいけません。   言葉の説明 地域の社会資源とは、障害のある人が、地域で暮らすために、使える場所や人を含めたすべてのことです。   第8条 基本的な計画をつくること (1)神奈川県知事は、「当事者目線の障害福祉」を進めるために、基本的な計画をつくります。 (2)神奈川県知事は、1年に1回、「当事者目線の障害福祉」を進めるための基本的な計画がどのくらい進んだか、インターネットなどで伝えます。 (22ページから24ページ) 第9条 基本的な計画の内容 「当事者目線の障害福祉」を進めるための基本的な計画として、(1)から(12)の施策を決めます。 言葉の説明 施策とは、計画や取組みをつくって、実際にすることです。施策は「せさく」という言い方をすることもあります。 (1)障害のある人が、自分の生活に合わせたサポートを受けられる施策 地域での生活の仕方を選べるようにするための医療(病院)、介護(介助)、福祉などの施策 (2)障害のある人が困ったときに話を聞いてもらえるようにする施策 障害のある人の家族や支援者、地域の人たちなどが、障害のある人をサポートしていて困ったときに話を聞いてもらえるようにする施策 (3)障害のある子どもが学べるようにする施策 障害のある人が、いつでも学びたいと思ったときに学べるようにする施策 (4)障害のある子どもが、家の近くで療育などのサポートを受けられるようにする施策 言葉の説明 療育とは、一人ひとりの子どもが、自分らしい生活を送れるようにサポートすることです。 (5)障害に合わせて働けるようにする施策 会社が障害のある人を雇うことを進めていくための施策 (6)障害のある人が生活しやすい住宅(住む場所)を用意する施策 (7)障害のある人が公共の施設(学校や駅や道路など)を使いやすくするための施策 障害のある人の移動をしやすくするための施策 (8)障害のある人が情報を使えるようにする施策 障害のある人に情報を伝えたり、サポートしたりするための施策 (9)障害のある人や障害のある人の生活を支える家族のお金などの心配を減らすための施策 障害のある人がお金などに困らないようにする施策 (10)障害のある人が、文化・芸術(音楽や美術やダンスなど)やスポーツなどの活動に参加しやすくするための施策 (11)障害のある人が地域で安心して暮らせるようにするための施策 ・地震や大雨(水害)、津波などの被害から守ること ・障害のある人を傷つけようとする人から守ること ・障害のある人が騙されてお金を取られないようにすること など (12)障害のある人が神奈川県庁などに来たときに手続きをしやすくする施策 (25ページ) 第10条 意思決定支援に取り組むこと (1)「障害福祉サービス提供事業者」は、「意思決定支援」をするように努力しなければいけません。 (2)神奈川県は、「意思決定支援」を進めるための情報を伝えます。 どこに相談すればよいのか、どんなサポートをしてもらえるかなど、アドバイスする仕組みをつくります。 (3)神奈川県は、「障害福祉サービス提供事業者」に「意思決定支援」の研修を行います。 (26ページ) 第11条 障害のある人の権利を守ること (1)障害のある人に関わる人は、障害のある人が障害者支援施設やヘルパーやデイサービスなどの福祉サービスを利用するときには、本人の気持ちを大事にしなければいけません。 (2)障害のある人に関わる人は、障害のある人が「意思決定支援」を望んだときには、本人の気持ちを大事にして、「意思決定支援」ができるように努力しなければいけません。 第12条 障害を理由とする差別、虐待などの禁止 すべての人は、障害のある人に対して、障害を理由とする差別、虐待をしてはいけません。また、障害のある人の大切にしている考え方を傷つけてはいけません。 (27ページ) 第13条 障害を理由とする差別についての相談やアドバイス (1)神奈川県は、障害を理由とする差別についてのトラブルが起きないようにしたり、解決のために相談したりできる仕組みをつくります。 (2)神奈川県は、障害を理由とする差別について相談を受けたときには、相談の内容にあわせて次のことをします。 ・神奈川県は、相談に来た人に、アドバイスなどをします。 ・神奈川県は、相談に来た人の関係者に、必要なときには、差別についての相談の内容を伝えます。 ・神奈川県は、市町村に、必要なときには、差別についての相談の内容を伝えます。 (28ページ) 第14条 障害のある人の生活しづらいことや困ったことをなくすこと (1)障害のある人から、生活しづらいことや困ったことがあると言われなくても、神奈川県は負担が大きすぎないときには、合理的な配慮をする努力をします。 言葉の説明 合理的な配慮とは、障害のある人が生活しづらいことや困ったことがあるときに、周りの人が工夫をして、生活しやすくすることです。 (2)障害のある人から、生活しづらいことや困ったことがあると言われなくても、事業者は負担が大きすぎないときは、合理的な配慮をする努力をしなければいけません。 (29ページ) 第15条 虐待が起きないようにすること (1)神奈川県は、市町村や障害のある人に関係する団体と協力して、障害のある人への虐待が起きないようにするために、「障害福祉サービス提供事業者」に研修を行います。 (2)「障害福祉サービス提供事業者」は、障害のある人への虐待が起きないようにするために、働いている人に研修などをする努力をしなければいけません。 第16条 虐待を早く見つけること (1)神奈川県は、市町村や障害のある人に関係する団体と協力して、障害のある人への虐待を見つけたらすぐに連絡することや、連絡の方法を、県民などにお知らせします。 (2)神奈川県は、市町村や障害のある人に関係する団体と協力して、障害のある人への虐待を早く見つけて、早く対応するための仕組みをつくります。 (30ページ) 第17条 障害のある人の家族などへのサポート 神奈川県は、障害のある人の家族や関係者に、情報を伝えることやアドバイスなどのサポートをして、本人を支える生活の中での心配なことが少なくなるようにします。   第18条 障害のある人に関係する会議に障害のある人の参加を進めること 神奈川県は、障害のある人の生活に関係する神奈川県の会議に、障害のある人の参加を進めます。 (31ページ) 第19条 ピアサポートや当事者活動・本人活動などを進めること (1)神奈川県は、ピアサポートや当事者活動・本人活動などの内容を、県民や事業者などによく知ってもらえるように努力します。 (2)神奈川県は、ピアサポートや当事者活動・本人活動などをしている人たちが、仲間同士で連絡を取ったり、やりとりしたり、一緒に活動ができるようにサポートする努力をします。 (3)神奈川県は、ピアサポートや当事者活動・本人活動などを広げるために、日本や海外の活動の情報を集めて、分かりやすく伝える努力をします。 (32ページ) 第20条 障害のある人の生涯(生きている間のこと)のサポートの仕組みをつくること 神奈川県は、障害のある人が、必要なサポートを生涯途切れることなく受けることができる仕組みをつくる努力をします。 第21条 高齢者や子どもの福祉施策と協力して取り組むこと 神奈川県は、高齢者や子どもの福祉施策と協力して、「当事者目線の障害福祉」を進めます。 (33ページ) 第22条 支援の方法の情報を集めたり調べたりすること 神奈川県は、障害のある人へのより良い支援をするために、日本や海外の、より良い支援についての情報を集めたり、調べたりする努力をします。 第23条 地域生活や社会参加を進めるための場を整備すること 神奈川県は、「当事者目線の障害福祉」を進めるために、障害のある人の地域生活をサポートすることや、障害のある人の社会参加を進めるための場をつくる努力をします。 (34ページから35ページ) 第24条 どこに住んでいても同じサービスを受けられるようにすること 神奈川県は、「当事者目線の障害福祉」の施策を行うときに、障害のある人がどこに住んでいても同じサービスを受けられるように努力をします。 第25条 自立支援協議会の活動を進めること (1)神奈川県は、障害のある人の支援の仕組みをつくるために、障害保健福祉圏域ごとに自立支援協議会を開きます。 言葉の説明 障害保健福祉圏域とは、神奈川県内を8つの地域に分けた、障害のある人に必要なサービスを考えるためのグループです。 神奈川県には、横浜圏域、川崎圏域、相模原圏域、横須賀・三浦圏域、湘南東部圏域、湘南西部圏域、けんおう圏域、けんせい圏域があります。 自立支援協議会とは、障害のある人の支援のために、みんなで話し合いをする会議のことです。 (2)神奈川県は、障害のある人が生活している地域の状況に合わせた支援の仕組みをつくるために、市町村の自立支援協議会と協力します。 (36ページ) 第26条 障害福祉の仕事をする人を増やして、育てること (1)神奈川県は、障害福祉の仕事をする人を増やします。 また、良い支援ができるようにするために、情報を伝えることや、研修などをします。 (2)神奈川県は、障害福祉の仕事をする人が、仕事を長く続けられるように、次のことをします。 ・障害福祉の仕事についてのアドバイスをすること ・障害福祉の仕事をする人が、心や身体が健康でいられるようにすること ・障害福祉の仕事をする人が、働きやすい場所で仕事ができるようにすること など (3)神奈川県は、障害福祉に関係する活動や仕事に県民などが関心を持ってもらえるように、障害福祉の仕事について伝えたり、実際の活動の見学や参加ができるようにします。 (37ページ) 第27条 施策に予算(お金)を用意すること 神奈川県は、「当事者目線の障害福祉」を進めるために、必要な予算(お金)を用意する努力をします。 その他の決まり (1)この条例は、令和5年4月1日から始まります。 (2)神奈川県知事は、この条例が始まってから5年たったら、この条例で決まった取組みができているかどうかを確認します。 変えたほうがよいことや、新しく行ったほうがよいことについて考えます。 (38ページから39ページ) 参考資料 障がい福祉サービス提供事業者について 相談のサービス 相談支援とは、障害のある人の暮らしに関して相談を受けて、一緒に考えるサービス 地域での生活で使えるサービス 居宅介護とは、ヘルパーが家に来て、食事やお風呂のサポートや掃除や洗濯をするサービス 重度訪問介護とは、サポートがいつも必要な重い障害のある人に、食事やお風呂、外出などのサポートをするサービス 自立生活援助とは、地域で暮らす障害のある人の家に行って見守りするサービス 短期入所とは、障害のある人の家族が病気などになったときに、短い日数を入所施設などでサポートするサービス 外出(出かけるとき)に使えるサービス 同行援護とは、目が悪い障害のある人の外出をサポートするサービス 行動援護とは、急に道へ飛び出すなどの危ないことがある障害のある人の外出をサポートするサービス 移動支援とは、一人での外出が不安な障害のある人の外出をサポートするサービス 生活する場所についてのサービス 施設入所支援・障害児入所支援とは、入所施設で食事やお風呂などをサポートするサービス 共同生活援助とは、グループホームで食事やお風呂などをサポートするサービス 療養介護とは、病院で食事やお風呂などをサポートするサービス 福祉ホームとは、安い金額で住む場所を用意して、暮らしの相談を受けるサービス 働くときに使えるサービス 自立訓練とは、自分ができることを増やすことができるようにサポートするサービス 就労移行支援とは、会社で働き始める前に、働くことができるようにサポートするサービス 就労定着支援とは、働き始めた後に、長く会社で働くことができるようにサポートするサービス 就労継続支援とは、手助けを受けながら働くことができるようにサポートするサービス 昼間のサポートのサービス 生活介護とは、常に手助けが必要な障害のある人が昼間の時間を過ごせるようにサポートするサービス 地域活動支援センターとは、障害のある人が地域の人と一緒に活動したり、軽い作業をしたりすることをサポートするサービス 障害児通所支援とは、障害のある子どもが育つようにサポートするサービス (40ページ) 一緒に考えたメンバー 「みんなで読める 神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例〜ともに生きる社会を目指して〜」を一緒に考えてつくったメンバーです。 小西勉(こにしつとむ) 猿渡達明(さるわたりたつあき) 下条章子(しもじょうあきこ) 冨田祐(とみたたすく) 内藤則義(ないとうのりよし) 奈良ア真弓(ならざきまゆみ) 又村あおい(またむらあおい) 野元(たかのはじめ) 神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例〜ともに生きる社会を目指して〜、当事者目線の障がい福祉実現宣言、ともに生きる社会かながわ憲章は、神奈川県のホームページに掲載しています。 (41ページ) ともに生きる社会かながわ憲章 平成28年7月26日、県立障害者支援施設「津久井やまゆり園」において、 大変痛ましい事件が発生しました。 このような事件が二度と繰り返されないよう、県と県議会は、ともに生きる社会の実現をめざし、「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定しています。 ともに生きる社会かながわ憲章 ひとつ 私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします ひとつ 私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します ひとつ 私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します ひとつ 私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます 平成28年10月14日  神奈川県 (裏表紙) 神奈川県福祉子どもみらい局共生推進本部室 郵便番号231-8588 横浜市中区日本大通1 電話(045)285-0548(直通) Fax(045)210-8854 令和5年3月 発行