資料4 1ページ (仮称)当事者目線の障害福祉推進条例の制定について 県は、当事者目線の障がい福祉を実現するため、理念や目的、責務などを明確にし、当事者や支援者をはじめとする県民、市町村、関係団体等が一体となって、オール神奈川で取り組む普遍的な仕組みとして、条例案の検討を進めてきた。 本年3月に条例の骨子案を取りまとめ、関係団体及び市町村と意見交換を行いながら、条例骨子案に対する県民意見募集を4月から5月にかけて実施し、これらのご意見等を踏まえ、7月に条例素案を取りまとめた。 1これまでの経過 令和3年12月第3回県議会定例会厚生常任委員会に条例の基本的な考え方を報告 令和4年3月第1回県議会定例会厚生常任委員会に条例骨子案を報告 4月〜5月条例骨子案に対する県民意見募集(パブリックコメント)を実施 4月〜6月関係者等との意見交換 2県民意見募集の結果等(別添1) 3条例素案の概要(別添2) 4今後の予定(見込み) 令和4年7月〜関係者等とのさらなる意見交換 9月第3回県議会定例会に条例案を提出 ※ 条例の「分かりやすい版」を同時に作成(別添3)  (令和5年4月条例の施行) 2ページ 別添1 条例骨子案に対する県民意見募集(パブリックコメント)の状況 1実施方法 期間令和4年4月7日から5月9日 公表方法県ホームページへの掲載、県広報ツイッター等での周知、県機関等での閲覧、当事者団体等へのお知らせ 〇提出方法@フォームメール、郵送、ファクシミリ等 A県の事務局との意見交換会(3月4日から6月11日の間で随時開催)において直接ご提案 (参考)意見交換会の実施団体数……県が把握する81団体のうち、意見交換の希望のあった60団体と実施 2意見募集結果 意見件数610件 提出されたご意見の主な内容と反映状況(別紙) 市町村との意見交換について 三政令市(横浜市、川崎市、相模原市)や中核市(横須賀市)をはじめ、県内すべての市町村と、個別訪問及びWEB会議により、条例の検討を始めた段階から、継続的に意見交換を行い、意思疎通を図っている。 【主な意見】 条例の目指す地域共生社会の実現に向け、協力していきたい 条例に実効性を持たせるため、基本計画に具体的な施策をどう盛り込むかが大切 地域移行に向けた課題は、地域も含めみんなで共有し、取り組んでいきたい 人材の確保と資質の向上は最大の課題であり、県のリーダーシップに大いに期待する 3ページ 提出されたご意見の内容と反映状況 総件数610件 @条例素案に反映したもの【94件】 住み慣れた地域や知人、友人がいるという中で、住まいの場を障がい者が選べることが大事 障がい者やその家族が望むものは、一人の人間として、差別をしないでほしい、虐待しないでほしいという思いだ 条例を作ってすぐに劇的な変化はないにせよ、「何も変わらない」と言われないような実施計画を立てることが大切 A他の施策での取組が必要なため条例素案に反映していないもの【3件】 障害者年金を減額しないでほしい B意見の趣旨を今後の施策の参考とするもの 【358件】 グループホームや日中の活動場所など、地域資源の充実 いろいろな当事者と対話し、施策に生かしていくことが大切 情報提供について、分かりやすい文章にしたり、様々な媒体により発信するなど、工夫してほしい 人材確保及び育成は大きな課題である。いかに福祉の仕事に興味を持ってもらえるかが大切 障がい当事者が分かりやすいものを作ってほしい C意見の趣旨を検討の際に視点として参考にしたもの【94件】 課題に沿った対応など行政機構のあり方を検討してほしい D条例素案に反映できないもの【10件】 「当事者目線」を「当事者視点」に変更してはどうか Eその他(感想、質問等)【51件】 障がい当事者を周りの人や支援者が理解するプロセスが当事者目線になると感じた 条例の制定が拙速すぎるのではないか。障がい当事者や関係者と十分に時間をかけて進めてほしい 4ページ 別添2 条例素案の概要 1前文 津久井やまゆり園事件により、「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定し、併せて、当事者目線の障がい福祉推進の必要性を認識して、この条例の制定に至った経緯などを明らかにする。 2目的 県の責務、県民及び事業者等の役割を明らかにし、当事者目線の障がい福祉を推進するための基本となる事項を定めることに より、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、もって、自分の望む暮らしを実現することができ、障がい者のみならず、誰もが喜びを実感できる地域共生社会の実現に資すること。 3定義 (1)当事者目線の障がい福祉とは 障がい者に関わる誰もが障がい者一人ひとりの立場に立ち、その望みと願いを尊重し、障がい者が自らの意思に基づいて必要な支援を受けながら暮らすことができる社会環境の整備により実現される障がい福祉をいう。 (2)意思決定支援とは 障がい者が自ら意思を決定することに困難な場合において、可能な限り自らの意思が反映された日常生活及び社会生活を送ることができるよう、自己決定を支援することをいう。 4基本理念 全ての県民が、主体的に自らの生き方を追求することができ、個人としての尊厳が重んぜられること 障がい者のみならず、障がい者に関わる人々も喜びを実感できること 障がい者の自己決定が尊重されること 障がい者本人が希望する場所で、希望するように暮らすことができること 障がい者個人の持つ可能性が尊重されること 全ての県民が、多様性を認め、相互に支え合いながら、社会全体で取り組むこと 5ページ 5県の責務 当事者目線の障がい福祉に関する施策を策定し、総合的かつ計画的に実施する。 6基本計画の策定 当事者目線の障がい福祉の推進に関する基本的な計画を定める。 7意思決定支援の推進 障害福祉サービス提供事業者は、意思決定支援の実施に努めなければならない。 8障がいを理由とする差別の解消等 障がい者の差別に関する紛争の防止、又は解決を図ることができるよう、相談体制その他必要な体制の整備を図る。 県及び事業者は、障がい者が社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明がない場合においても、社会的障壁の除去について、その実施に伴う負担が過重でないときは、合理的な配慮を行うよう努める。 9虐待等の防止 市町村等と連携し、障がい者に対する虐待の早期発見につなげるため、障がい者に対する虐待に係る通報について県民及び事業者に普及啓発を行うとともに、早期対応に努める。 10障がい福祉の政策立案過程への障がい者の参加等 障がい福祉の政策の立案に関する会議への参加を推進する。 障がい者が主体となって企画し、実施する活動の活性化を図るため活動内容を県民等に普及啓発するとともに、必要な支援を行う。 6ページ 条例素案に対する県議会からの主な意見 差別及び虐待その他の個人としての尊厳を害する行為については、「してはならない」と言い切るべき。 当事者目線の障がい福祉の考えを県民に深く理解していただくことが大事。理解促進はキーであり、県としてしっかり取り組んでほしい。 人材確保に関しては踏み込んだ規定にするべき。支援する人の確保や資質向上だけでなく、職場環境や処遇改善、心身のケアなども重要。働く人の喜びにつながることが大事。 障がい者のケアをする家族など、関わる人に対するケアが必要。障がい者の方を取り巻く周囲が、優しい気持ちで接しなければなたない。 7ページ 別添3 条例の「分かりやすい版」(仮)の作成について 条例案の検討の過程で、障がい当事者から、「役所の文章はかたいので、分かりやすい条例にして普及してほしい 」「分かりやすい版をつくるにしても、要約されたものではなく、条例の条文を一からしっかりと読みたい」といったご意見が寄せられた。このような声を踏まえ、障がい当事者だけに限らず、誰もが条例のことがよく分かる 「分かりやすい版」 を作成する こととしている。 【ポイント】 @条例 の「 分かりやすい版 」(仮)の作成 『わかりやすい障害者権利条約』などの先行事例を参考に、知見のある当事者、有識者によるワーキングチームで検討を進める 障がい当事者からの「しっかりと条例の全文を読みたい」との声を踏まえ、条例全文を誰もが読める分かりやすい言葉に置き換える 障がい当事者の意見を踏まえながら、イラストやマンガを織り交ぜて、親しみやすく、直感的に理解できるように工夫する 県議会での議決(成立)と同時に公表できるように準備を進める A 多様な媒体による「分かりやすい版」の作成 視覚障がい、聴覚障がいといった様々な障がい特性に対応した「分かりやすい版」も作成する 「分かりやすい版」 を基に、条例の内容を簡潔にまとめたリーフレット や動画版も作成する 【ワーキングチーム】メンバーの一覧 左から、メンバー、所属等、障がい種別、備考 左から、小西勉、ピープルファースト横浜会長、知的障がい当事者、空欄 左から、冨田祐、ブルースカイクラブ会長、知的障がい当事者、空欄 左から、奈良ア真弓、にじいろでGO!会長、知的障がい当事者、空欄 左から、猿渡達明、神奈川県障害者自立生活支援センター、身体障がい当事者、空欄 左から、内藤則義、神奈川県身体障害者連合会会長、身体障がい当事者、空欄 左から、下条章子、ピアサポーター、精神障がい当事者、空欄 左から、野元、県共生社会アドバイザー、ALS患者、オブザーバー 左から、又村 あおい、全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事兼事務局長、空欄、ファシリテーター