参考資料 「神奈川県障がい福祉計画」改定素案に対するパブリック・コメント及びヒアリングについて 1 パブリック・コメント(県民意見の募集) (1) 実施期間 令和3年12月17日〜令和4年1月17日 (2) 意見募集方法 県ホームページへの掲載、「県のたより」への募集周知掲載、県機関等での閲覧及び当事者団体等への周知 (3) 意見の提出方法 郵送、ファクシミリ、電子メール等 2 団体ヒアリング (1) 実施日 令和4年1月18日 (2) 出席団体 6団体 3 提出された意見の概要 (1) 意見件数  157件(パブリック・コメント100件、団体ヒアリング57件) (2) 意見の内訳 ア 「基本理念等」に関する意見 35件 イ 「令和5年度の成果目標の設定」に関する意見 89件 ウ 「各年度における指定障害福祉サービス等の必要量の見込み」に関する意見 5件 エ 「指定障害福祉サービス等の提供体制の確保」に関する意見 4件 オ 「各年度の指定障害者支援施設及び指定障害児入所施設等の必要入所定員総数」に関する意見 0件 カ 「県の地域生活支援事業の実施に関する事項」に関する意見 2件 キ 「障がい保健福祉県域ごとの目標値等」に関する意見 0件 ク 「計画の達成状況の点検・評価及び計画の見直し」に関する意見 0件 ケ その他の意見 22件 計 157件 (3) 意見の反映状況 ア 計画案に反映したもの(意見の趣旨を既に計画案に記載していた場合を含む。) 31件 イ 計画案には反映していないが、意見のあった施策等は既に取り組んでいるもの 6件 ウ 意見の趣旨を今後の取組の参考とするもの 71件 エ 計画に反映できないもの 11件 オ その他(感想・質問等) 38件 計 157件 4 意見の内容 <意見反映区分> A・・・計画案に反映したもの(意見の趣旨を既に計画案に記載していた場合を含む。) B・・・計画案には反映していないが、意見のあった施策等は既に取り組んでいるもの C・・・意見の趣旨を今後の取組の参考とするもの D・・・計画に反映できないもの E・・・その他(感想・質問等) 以下、番号、意見要旨、反映区分の順で表形式で記載 1 障害者総合支援法において、障害者の定義に「難病等(治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣の定める程度である者)」と記載されている。  改定素案においても、5ページの「(イ) 障がい特性等に配慮した支援」の項目で「障害者総合支援法が定める難病等を含む」記載されているが、1ページの「1基本理念等の(2) 趣旨及び経過」の中の「障がい者(障がい児を含む。以下同じ。)」の文中に、難病患者も障害者に含まれることを併記して難病者の位置づけを明確に示してほしい。 A 2 前回の改定素案の時にも意見を述べ、自立の概念が基本方針に記載がなされたという経過がある。しかし、今回も自立の概念が消されている。  神奈川県は従来、計画の基本方針の最初に、障がい者の自立について『県は障がい者の自立を「障がい者が自らの考え方と判断により、地域社会の中で主体的に生き、自己実現を図っていくこと」と考えています」と明確に記載してきた。この考え方は、ノーマライゼーションの考え方に即しても計画の基本になるべき考え方である。この考え方は、障がい当事者の方達が、それまでの「働く」イコール「自立」という概念を打ち破り、どんなに障がいが重度であっても「働く」ことができなくても自分の考え方を持ち活動あるいは発信いくことが「自立」という概念を運動によって勝ち取り、神奈川県もその考え方を認め計画の基本方針に明記してきたという歴史がある。  今回の改定の中心が、津久井やまゆり事件を発端とする県立支援施設の在り方を検討するための委員会の議論にある。それは、とても大事な視点での議論であるが、その議論の中身にも通ずる障がい者の自立については、明確に入れておくべきである。(神奈川の福祉の原点は身障の方達の自立生活運動であり、県民のいのちと暮らしを守る共同行動委員会での県との交渉によって勝ち取ってきたものだと思う)その流れのなかに今日の福祉があることは忘れてはならない事柄である。  今回の計画が、総合福祉法に則った計画であり、数値目標に重きが置かれると思うが、基本方針はキチンと押さえる必要がある。 A 3 言語辞典によれば、「目線」の意味は、@映画、演劇などで演技で向ける視線、見る方向、A物事を見る方向や位置・立場とある。物事を見る立場としても意味が違うのではないか。車いすから見える社会が違うとボランティア活動で言い表す時「車いすからの目線」として使われている。  支援者というより事業者は、事業運営の安全を考えるは当然であり、それが全て一方的であったとするのは間違いではないか。平成28年に起きた津久井やまゆり園殺傷事件の原因が運営事業所にあるとする背景をひきずっているように思えてならない。昨年の小田急電鉄・京王電鉄車内そしてJR駅前での殺傷事件は、死にたいが自死できず無差別に人を殺せば死ぬことができる事象と変わらない。社会が疲弊していると考えるのが一般的ではないか。  施設利用者(利用者)が地域生活で過ごすために、これから何が必要かを見抜く力が事業者(支援者)に必要である。並行して施設利用者(利用者)が生活の規則を知り、守ることも必要である。  糸賀一雄氏は、「この子らに世の光」をあててやろうとあわれみの施策ではなく、「この子らを世の光に」と生まれながらにもっている人格発達の見地を保障になければならないと言われている。「目線」ではなく、施設利用者(利用者)を知り、やさしい気持ちで接する環境づくりが第一ではないか。 C 4 基本理念で、「ひとり一人を大切にする」としているが、具体性が乏しく、目標設定の一番目が、「福祉施設の入所者の地域生活への移行」となっているように、入所施設を「施設の利用者の意思に反しているもの」であるかのように決めつけ、施設を出る地域移行を『善』であり、『正義』であるとする偏見にとらわれた一面的なものと感じる。問題は住む場所にではなく、暮らしの質にある。入所施設に今、必要なのは、生活環境の改善(個室化や老朽設備の利便化など)と共に地域コミュニティとの連携の強化に一層の支援をすることではないか。とりわけ、外に仕事を持てない利用者のための日中活動の支援の強化や、グループホームの利用者には認められている外出支援を入所の利用者にも認めるなど、社会の交流を一層進めるよう要望する。 A 5 「安全面のみを優先した」という表現は適切かどうか?施設の使命は「命を守ること、健康と安全の維持向上」であり、それは今も変わらない。自傷、他害を含めて、出来る限り怪我は防がなければならない。管理責任を問われる。今後のリスク管理についての言及、説明も必要である。例えば、介護保険施設では身体拘束をしないことで発生するかもしれないリスクを利用者に事前に説明している。  神奈川の障がい福祉は、「あおぞらプラン」を本人とともにつくって、やってきた経緯があるが、ここで「大転換する」というようにキャッチフレーズのようにはっきり言われると、今までの我々の現場の試行錯誤をどこまで知って、それを言っているのか疑問である。県立施設としては、わかっていなかったということなのか。 E 6 「安全面のみを優先した支援者の目線」とあるが、施設の使命は「命を守ること、健康と安全の維持向上」であり、それは今も変わらない。自傷、他害を含めて、出来る限り怪我は防がなければならない。管理責任を問われる。支援の質を上げて身体拘束をしないで安全に生活できることを目指すことはもっともなことであるが、それまでに至る試行錯誤の段階で現場は悩んでいる。身体拘束はないに越したことはないが、やむを得ない場合も考えられる。今後のリスク管理についての意識改革と、3要件の適用、同意などの手続きについての説明も必要である。怪我をするかもしれないリスクと、身体拘束をしないことの優先順位は?それに伴う管理責任をどう捉えるのか?この方向性について明記してほしい。例えば、介護保険施設では身体拘束をしないことで発生するかもしれないリスクを利用者に事前に説明している。 A 7 施設側に対して虐待をしているとか、椅子に縛り付けているとか、長時間鍵をかけているというところにクローズアップして、安心・安全のためにやっているというところがスルーされているところがある。人がもっと必要であることについてスルーされている。施設だけを一方的に見られても、やむにやまれずというところがあるため、今の段階においては、精一杯やっているということは、ご理解頂きたい。 E 8 安全面のみを優先する、というのがいわゆる支援者目線、支援者目線をこういう定義づけをされるのは現場で働いているものの士気を非常に低下させている。支援者の目線というのはそんな単純なものではない。 E 9 大転換していくという中において、県立施設のこれまでの役割をどのように検証されるのか、検証した結果、県立施設はこうなるということをお示し頂きたい。民間と比べれると職員数がまったく違うが、人数の少ない中で運営している民間で、今後、調査や研究をする難しい部分もある。同じ立ち位置で、県立の施設としてもそれを担って頂きたい。 A 10 基本的な視点にある「法人や事業者がそれぞれの強みを生かして」の「それぞれの強み」とは何か。法人や事業者の強みとは、福祉事業に係る技術(療育を含む)を持つ人材と考えるが、現在人材の宝庫となっていないのではないか。そのほかに、連携が考えられるが、人材に余裕がない中、期待できるのか。 C 11 当事者が意思を表示することは、一夜にしてその力は生まれない。聴く力を持つ職員の養成が必要であり、子どもの生育時から親共々、その素地をつくらないと本当の意思決定とはならない。 C 12 地域資源の充実とあるが「地域資源」とは何か。 A 13 「地域生活支援拠点等の整備と必要な機能の充実を推進」とあるが、いろいろと具備している機能の中で「必要な機能」とは何か。 A 14  障がい者施設の入所期間が長期化した要因は、当事者の加齢とともに、障がいの重度化に加えて行政の施策が不足しているのでは。 E 15 神奈川県内においては知的障害者の多くが家族同居となっている現状を踏まえて、「地域定着支援」に、家族同居であっても市町村の判断で利用が可能とするとともに、「自立生活援助」事業についても、家族同居からの自立を図る上で、積極的な利用推進が必要である。 C 16 終の棲家ではないということについて、入所施設を退所させられることの不安が、家族や本人にあるため、慎重にやるべきである。地域移行は大変良いが、まだ、入所者が安心して地域移行できるだけの土壌が整備されていないため、家族や本人が不安がっている。 E 17 県立施設と民間施設の役割の違い、これが明確になっていない。 E 18 障害者支援施設の「終の棲家」論については、最初からずっと住もうと入所することは制度的にも想定していない。つまり個別支援計画を6ヶ月ごとに作成して、ご本人、ご家族の同意を得て進めている。結果的にそのニーズから長期的になる方がいるが、それありきではない。今後も意思決定支援のもとに明確に手続きを経て進めていくことになる。ここでは県立施設としての公の責任、役割として、地域へ戻すという機能を明確化したと解釈した。 E 19 障害者支援施設における「当事者目線の支援」の実践において、「とりわけ県立施設においては、意思決定支援など…」とあるが、ここでは県立施設としての公の責任、役割を強調したと解釈した。 E 20  いわゆる「通過型施設」として障がい者の地域生活を支援する役割を担っていきます。とあるが、ここでは県立施設としての公の責任、役割として、地域へ戻すという機能を明確化したと解釈した。 E 21  強度行動障がいの方への支援について、人材育成が基本的な視点ということだが、自分の部屋を形がなくなるまで破壊しないと気がすまないとか、自分の耳を引きちぎろうとするような行動障がいのある方に対し、丁寧な言葉かけや関わりの技法だけで問題を解決できるのか。本人を守るために行動制限を望むご家族との間に立ち、日々支援を行うこととなる支援者を本当の意味でサポートできる体制を作ってほしい。地域の個々の支援者に任せるのではなく、当事者主体を根本に置きながらも安全に支援できる体制をとは、現実にどのような対応を行うことなのか。世界の知見を集め神奈川モデルとして提示することを目指してほしい。少なくとも研究を官民一体で進めるなどの記載はできないのか。 C 22 市町村や関係機関との連携において、「障害者地域生活サポート事業」の活用を明記してほしい。また諸条件の見直しを行い、使いやすい条件に改定してほしい。この事業は「福祉先進県かながわ」の所以であった神奈川県民間社会福祉施設運営費補助金の後継事業として制度化された。県市1/2の協調補助事業となり、時代の変化に合わせて交付金化されて現在に至っている。 A 23  障がい者による文化芸術の拠点を各福祉圏域に設置し、文化芸術を含む生涯学習活動を推進することを計画に織り込んでほしい。 C 24 障害福祉サービスが2年前年末から始まった新型コロナウイルス感染症により、2度の緊急事態宣言、まん延防止等により、障害福祉サービスの色々な面に制約が生じ、特に母親の就労に大きく影響している。感染症の拡大防止は大切だが、障がい児者を持つ家庭の就労は、障害福祉サービスに大きく依存している。貧困は、障がい児者の環境を劣化させることになる。この点に配慮した対策を講じてほしい。 A 25 文化芸術活動について実施されるイベントは、芸能人等を呼んだ一過性の人集めや、パフォーマンスではなく、当事者ご本人、関係者が企画から実施まで参加できて、ご本人が中心になるような「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念をストレートに継続的に発信できるものを要望する。 C 26  障がい者の社会参加の促進の項では社会参加として文化芸術活動やスポーツについて言及されているが、社会参加には就労も含まれると考える。「就労」についてもここで言及するべき。 A 27 合理的配慮は、建設的意見交換の下になり立つことをもっとはっきりと記述するべき。 A 28 県立施設は、民間施設では対応が困難なケースを受け入れていること、今後もその機能を強化することが求められている。その身体拘束解除に向けた取組み方法、ノウハウを民間施設へ伝達する役割も明記してほしい。 A 29 否定はされていても、入所施設は終の棲家であってほしい、子どもが死ぬまでここで暮らしていってほしいと思っていただけに、その願望が打ち砕かれたことへの反発がある。財政的な状況で問題があると分かってはいるが、いずれは終の棲家になればという願望があったため、ここまで願いを打ち砕かなくても良いのにと思う。 E 30 当事者と障がい者を使い分けているのはなぜか。障がい者目線での施策を構築していくべき。 E 31 「地域」という言葉は、捉え方に相違がある。広く言えば施設も地域の中にあり、地域の方々の交流の場、雇用の創出の場、経済活性化の場等になっている。または限定的に施設以外の住宅地(一戸建て・集合住宅等)のあるエリアを指しているのか?  生まれた所、育った所が一概に「住み慣れた、安心して暮らすことができる」地域とは限らない。地域の中で差別、偏見で苦しみ、孤立して暮らしてきた当事者もいる。グループホームでさえ建設反対される地域がある。福祉施設の必要性は、総論では賛成だが、各論として自分の家の隣は困るという方々がいることは事実である。よって、この意識の改善に取り組む必要があるが、時間が必要である。 C 32 かつて神奈川は福祉先進県と言われ、県立の施設を筆頭として、民間施設を引っ張っていた。そして人的な補助も出し、福祉を充実させてきていた。入所施設も含め、生活の質を上げてきていた、そういう歴史のある県なのですが、それを削ってきた結果として今こうなっているという反省がどこにも書かれていない。すべては県の責任ではなくて、あんな事件を起こしたのはとんでもない法人のせいだ、というイメージがとても強く感じられてしまうというのは大変残念である。 E 33 この計画の中で関係機関と連携してという表現があるが、どういう形にせよ教育の分野、福祉というのは社会を支える大事な役割だということを伝えていく必要があると感じている。  関係機関との連携というのは難しく、色んな壁があるとは思うが、くさびを打つといった意味で、計画中に1文でもいいから、いれてほしい。福祉は必要な仕事だということを教育の現場で伝えることができるといい。 A 34 社会参加の一つの手段として、就労だけではなく、どんな仕事が遅くても、数ができなくても、本人が働くという気持ちであり、ご家族がそういう環境での過ごし方を希望されるのではあれば、それに現場としては応えていくことが第一義的に当事者目線の第一歩である。 しかし、それとは相反して、就労継続支援B型事業であることから、数字的なものは十字架として背負っており、そこのギャップというのが現場にはある。 第一義的には、障がい者が働くという意思があって、ここで働きたいとあれば、事業所はその事業主が生活介護であったり、地活センターであったり、その中で応えていけるようなスタンスがないと「ともに生きる社会かながわ県章」などの実現は困難である。理念的なところで、その人のライフスタイルに働くというのを求めているのであれば、それにこたえることを第一義として持つべきだろう。 そういったことが文章として計画に記載されるべきである。 A 35 理念先行になってはいけない。 E 36 この計画の数値目標について、各市町村の総合支援法に基づく障がい福祉計画の積み上げでこの数値は立てて来ていると思う。  横須賀市の障がい者福祉計画の数値目標を作成する際も伝えているが、本来は必要の数字の把握し計画に反映させるべきと考える。しかし実際の数字は、出来た数(計画策定時までに実際に数字として挙がってきた数)であって、必要な数(利用者の方や支援者が希望している)ではない。  相談支援事業所で、移動支援にしても、グループホームにしても成果として実施できた数の積み上げでしかなく、希望されていてもお断りした数字はどこにもでてこない。  地域の中で、それぞれの事業所が連携して実施していく上で、必要とする数字をつかみ取る努力を是非県は率先して行って欲しい。その姿勢を見せることが市町村の計画や考え方を変えていく力になる。 C 37 グループホームは障がい者数人が集まって生活するものであり、人間は3人以上を集まるといじめが始まるのは確実である。更に職員が入れば虐待が始まり、障がい者自身の生活は職員に縛られる。グループホームも小さな施設であり、やまゆり園と何ら変わらない。このことからグループホーム制度に反対する。 E 38 自閉的あるいは強度行動障がいのある人の意思決定支援についてはその態様、障がいの程度は千差万別であり、意思をくみ取る作業には必ずしもマニュアル通りにはいかないことは容易に想像できる。意思決定する場合には経験に基づく、観察力、想像力、実践力を備えた人でなければならず、その人材教育が急務である。 B 39  グループホーム等へ移行した場合、支援者と利用者の関係が入所施設に比べ極めて密になり、相性の見極めが重要であり、虐待等の原因にもなりかねない。また、強度行動障がいのある人の場合、近隣とのトラブルが心配され、その対応には様々な負担が伴う。 E 40  障がいの程度、態様によっては、入所施設でなければ支援が難しい人がいるのも事実である。  本人の意思に基づいて地域移行した場合であっても、それが不調に終わった場合、計画ではその点についての対応策が示されていない。元の施設に戻れる等のセーフティネットが不可欠である。 C 41  グループホーム、入所施設に限らず、福祉職員不足の恒常化、定着率の悪さをよく耳にする。労働環境の整備が急務である。そのため、人員配置の改善及びそのための事業者に対する人権費補助等の対策が必要である。予算化する必要があるのではないか。  その上で計画的な人材教育が必要であり、机上ではなく実践教育が必要である。その意味で入所施設は大きな役割を果たす可能性がある。 A 42  住む場所や障がいの有無に拘わらず、一人の市民として安心して快適に暮らすことは、当然の権利である。  地域社会との良い関わりを理念とするならば、障がいのある人それぞれの態様やライフステージに併せて多様な選択肢があるべきである。自閉症的傾向の強い場合、環境変化に適応できない人が多いことにも留意する必要がある。  地域移行は社会に溶け込む有力な方策ではあるが、入所施設でも法人の努力や地域の理解が進み、最近では町内会、小学校、その他地域社会との交流は以前に比べ進んでいる。行政はこうした入所施設の取組を後押しすることも重要ではないか。 C 43 施設入所者数が全国最小の51.7人の理由に、早い時期から入所者の地域生活への移行を進めてきた背景によるとあるが、そもそも入所施設を県内に作ってこなかったことが理由ではないか。 E 44  親(家族)とともに在宅生活をしている重度障がい者、医療的ケアを伴う障がい者、重度重複障がい等の地域移行(共同生活援助を含む)についての施策の構築について、計画に織り込んでほしい。  親(家族)の高齢化、家族環境の単一化で地域での生活が必須となっていきます。地域移行は、施設からだけではありません。 A 45 入所施設から出て、グループホームで暮らしていきたいと望む方への支援が非常に弱く形だけの地域移行では逆に社会から孤立しかねない。現状のグループホームは支援スキルの質が低いところも多く、動物園以下ではと思える人権侵害の環境のところも多数ある。県はこのようなグループホームをしっかりと調査・指導を行うべきである。そのこと抜きの地域移行は、人権侵害の拡散となってしまう。このまま、この施策を進めれば、結局、それではだめだと親、親族の居宅介護に戻ってしまい、社会との関係が弱まってしまい、本末転倒となってしまうと危惧している。 C 46  入所施設は満杯で、何十人待ちといわれる所もあり、グループホームを色々探しても、実情を知ると「とてもうちの子は無理」とあきらめて、居宅介護を選択している親、兄弟たちは大変多い。そんな家族に希望を与えられるように県は支援すべきなのに、県のグループホーム育成策は、まるでアパートあどの空き部屋対策としての「入れ物」施策であるため、支援スキルの充実や人材育成などの具体性に乏しいものとなっている。計画では重度の障がい者を受け入れられるグループホームを増やしていくとしているが、国が創設した日中支援型のグループホームの活用・充実やそのための特別の支援員教育委員会が不可欠であり、その予算付けも含め、注視している。 C 47  厚木市にある紅梅学園の2021年12月現在の入所者78名中、家族の住所が厚木市内の方は14名で残りは県内に広く散らばっている。県外の方も1名いる。つまり、家族の住まいの近くに希望する入所施設が無い(入所待ちが多い)のである。神奈川県は人口当たりの施設入所者の割合が全国最低である。まず、短期入所も含め、入所施設も必要なところには設置するべきで、その支援を神奈川県として最大限に行うべきである。  素案の中で、県の第5期計画の成果として、地域移行の目標(10%)は大幅に未達成(3.6%)としながら、施設入所者の減少目標(約2%)は超過達成(3.1%)という結果が示すのは、希望者がいるのに定員を減らして目標を達成するというもので、この施策は転換すべきである。 D 48  今回の素案では「当事者目線」という形容詞を使いながら、入所期間が長い利用者がいることを施設の怠慢であるかのうように描き、入所施設は「終の棲家」ではないとして「通過型施設」にしようとの方針で、今後は新規の入所者「有期の自立訓練のみ」にするとの方向性が、「当事者目線・・・将来展望検討委員会」で提起されていると聞くが、これは入所者を追い出すことで、次の入所希望者を入れるというもので、障がい者同士を対立させる自治体の任務放棄というものである。この方向付けは撤回すべきである。  知的障がい者の場合は習慣付けで、社会性が改善することがあっても、基本的に障がいが改善することはない。それをトコロテンえも押し出すかのように、支援も不十分なまま、「地域生活」を押し付けることは、知的障がい者の実情を無視したもので、反対である。  福祉の職場での人材の育成・確保は急務であるが、実践経験の乏しい、耳学問の研修では人材は育たない。入所施設は人材育成の「宝庫」である。そこを冷遇して、地域移行のための「通過型施設」にしようというのでは、人材も経験もますます小さくなってしまう。「角をためて、牛を殺す」かのような愚策で、反対である。 D 49 意思決定支援を口実に、設備の改修遅れの目立つ入所施設との比較で、グループホームへの移行へ誘導するような姑息な手法は当事者目線の支援とは無縁なものである。また、新たに支援を必要となった方に対して、待機待ちが多い状態を放置することで、施設入所という選択肢を奪っていることも行政として許されないのではないか。 障害者権利条約の19条は「特定の生活様式で生活する義務を負わない」と規定している。施設入所という選択肢を奪い、グループホームでの生活か高齢の親族の居宅介護を強いることは、障害者権利条約そのものに違反しているのではないか。 本人の希望に基づく地域移行を進める上では、行政が勝手に決めた地域移行の数値目標にこだわることなく、いつでも元に戻れる体制を確保した上で、当事者の気持ちに寄り添って、行うことに、とりわけ留意するべきである。 C 50 福祉施設の入所者の地域生活への移行については、24時間365日の介助体制となる重度訪問介護の強化が必要である。都内には障がい当事者が運営する自立支援センターやその経験者が運営する事業所が多数あり、どんなに重度であっても、障害者総合支援法の基本的理念である「どこで誰と生活するか」を支援できる知識、技術、経験がある。  神奈川県では、そのような事業所やピアカウンセラーを含む相談員が不足し、自立生活をあきらめている障害当事者に多数あってきた。 C 51  地域生活の主な生活の場としての「グループホーム」は、県域に多く整備されることが必要ではあるが、グループホームが不足していると共にその支援の質についての不安が多く聞かれるところである。住まいの場の確保としてグループホームが果たす役割は重要である。重度障害や高齢化を見据えた住まいの場として「日中サービス支援型グループホーム」が位置付けられ、地域生活支援拠点の整備にも資するものとして評価しているが、整備が進んでいるとは言いがたい。今後、日中サービス支援型グループホームを含め、グループホームが重度障害者も入居できる仕組みとして展開するには、重度障害でも、高齢になっても安心して暮らすことができる支援体制となることが必要である。 C 52  グループホームは十分な支援スキルが確保されていないにもかかわらず、事業所開設が県域で進んでいる。事業所指定権のある県が、グループホームのリスク軽減を図る上で必要な留意点をしっかり把握し事業者に周知すると共に、設置される市町村の自立支援協議会等との十分な連携をとるためのヒアリングを必須にして実施してほしい。また、「日中サービス支援型」グループホームの好事例を新設設置認可時に示してほしい。 C 53  神奈川県の人口比に対する入所定員は全国最小である。よって、国が示す定員削減の計画にそのまま一律に乗るのではなく、神奈川県の計画として入所施設を真に必要とする方々のための必要な定員数を確保しなければならない。それが圏域単位か、市町村単位(各市町村の「障がい福祉計画」との整合性が必要)で見るのか、県民市民が困らないように必要数の検証をすることが必要である。それがすなわち地域生活支援拠点施設としての役割を担うことになる。地域生活を支える上で、ご本人のライフステージに合わせた必要な福祉サービスを循環的に、横断的に提供することになる。 C 54  入所施設は、入所者の方の生活を守る、生活していただく、安心・安全な暮らしを保障するということと同時に、緊急時には受け入れる、あるいはサービスの調整もする、という形で、地域の拠点となる施設である。施設の中にいる入所者も、その施設の持っている機能で地域に展開させる、その入所施設をもっている地域での展開をする力を、入所施設自身も持ち、入所者も施設の機能の一つとして地域に展開させる、そのような地域展開や社会参加の部分で、入所者も施設の機能をフルに活用して地域に展開すればよいのではないか。 C 55  全体に流れているイメージとして、入所施設イコール非地域、グループホームイコール地域、という根拠のない定義づけが全編に流れている。 E 56  グループホームは、少人数であり、入所施設と比べると自由度が高いというのがメリットである。しかし、強度行動障害や重度自閉症は、自由度よりもしっかりとした介護が重点であって、少人数のところにいっても、問題が悪化する恐れを感じ、親として無理だと思ってしまう。  入所施設の人が100%、通過型でもって、将来はグループホームということではなくて、例外はあるものとして、強度行動障害や重度自閉症は取り外してほしい。 D 57  相性の問題として、利用者同士のトラブルがあったときに、1つの施設しか持っていない民間は、どうしようもない。2つ3つ持っていれば、相性の合わない利用者を異動させることができる。津久井やまゆり園はそれでなんとかやっている。 E 58  老齢化したときに、階段のあるグループホームで生活できるかどうかという不安がある。グループホームのハード面、ソフト面、もう少し詳しく具体的な計画でないと、一般の保護者は納得できない。 A 59  神奈川県は大都市を抱えていることもあり施設入所者が全国で一番少なく、早い時期から施策として障害者地域作業所やホームヘルパー制度・生活ホーム等を全国に先駆けて実施してきた。現在、施設入所する方の支援区分は区分5・6の方が圧倒的に多く、現在の地域の社会資源であるグループホームに移行出来る方は少なくなっている。  地域移行を積極的に進めていくとしているが、地域での受け止めは非常に難しい。地域生活移行後の主な生活の場であるグループホームは、県はグループホームの開設を検討している法人に対してのサポートや、グループホームの設置・運営費の助成、重度障害者を受け入れた場合の人件費補助等を行う「障害者グループホーム等サポートセンター」を設置しているが、政令・中核は除くとされ、神奈川県内においても支援の格差ができている。このような状況をどう解消していくのかも触れていただきたい。 B 60  強度行動障害や医療的ケアにを要する方達を支える人材育成を県として実施してきたとの記載があるが、課題にも同様の内容の記載がある。実際にまだ不足しているのか?育成をしたけれど実践力になっていないのか?取り組み内容とどれくらいの人材が育ってきたのか等、実績を明らかにした上で課題に繋がってくると考える。(文言だけで終わらせるのではなく実際に研修を受けた人材の数値も入れたほうが良い。) A 61 成果目標が74人が2倍強の154人となった要因は何か。 E 62  重度障がい者とは、「生命を日常生活を保つための介護が継続的に濃厚に必要な状態の方」のことか。 E 63  「第5期計画における地域生活移行者の移行後の住まいの場」の移行先のその他における2人(1.1%)の具体的な内容を、追加説明してほしい。 E 64 「県立施設では、日中活動が施設内で行われて大半の利用者が施設内だけで生活しており」とあるが、障害者総合支援法では、入所施設の昼夜分離が定められている。2021年12月末に厚生労働省に問い合わせたところ、昼夜分離で運営されているとのことであった。この原則を果たさず「施設内だけで生活をしており」との記述は、行政の不作為ではないか。 E 65  「地域生活への移行を進めていくに当たっては、障がい者本人の自己決定を踏まえることが必要であることから、本人の意思決定を支援する要となる相談支援専門員及び相談支援事業者の数を更に増やしていく必要があります。」とあるが、その通りであるため、推進してほしい。合わせて相談支援専門員の処遇改善の検討もしてほしい。国の示す処遇改善加算の対象に相談支援専門員は入っていないため、県単の補助をしてほしい。 C 66  「県立施設では、日中活動が施設内で行われて大半の利用者が施設内だけで生活しており…」とあるが、施設内の活動というのは、同じ建物の中という範囲か、法人内の敷地内または周辺の別棟ではどうか、どこまでの範囲を指しているのか?例えば日中活動を別法人の生活介護を利用するとした場合は、生活の夕方・夜間帯、週末を支える入所施設の職員体制を維持するために基本報酬の仕組み上の昼夜のバランスを考える必要がある。現在は昼間の生活介護の報酬で職員を確保している実態があるため、国の制度の見直しが必要となる。 E 67  地域生活移行者の移行後の住まいがグループホームになっているが、グループホームで受け止めている70%以上が区分1〜4の方であり、区分5・6の方の受け止めは数字上まだまだ多くはない。その上で目標達成のための方策としてグループホーム等の充実があげられている。  グループホームに移行した利用者の方の高齢化の問題も避けて通ることは出来ない。グループホームが生活の場であるならば、そこで住み続ければ現在の入所施設と同じになってしまう。介護保険との連携や、グループホーム内に身体介護等のヘルパーを入れる等の柔軟な対応が必要である。(市町村格差があるところだと思う。重度の方の地域移行を進め、当面グループホームにその受け皿をもとめるのであれば、広域行政をつかさどる県は各市町村に対して、利用に関して積極的に推進していくべきである。)  書かれているように福祉だけの連携ではなく、地域の社会資源をどう有効に活用していくか、併せて介護保険との相互の連携も今後の計画のなかに明記すべきである。 C 68  「重度障がい者の受け入れが可能なグループホームの整備に向けた支援に引き続き取り組みます。」について「支援の内容」を具体的に示すこと。 A 69  神奈川県の入所定員は全国最小ということに加えて削減していく計画もあり、真に必要な方を対象にした場合、年々増加する高齢化、重度化の対応で入所定員の余裕はないと思われる。また意思決定支援をもとに居宅サービスを必要とする多様なニーズも増えることが予想される。そのような状況からグループホームの需要は高まるため、重度障がい者にも対応できる条件を整える計画を推進してほしい。そのためには人員確保と定着、職員の質の向上、設備充実等が可能となる県単の補助金の充実が必要である。 C 70  保護者がグループホームに行かせたくないのは、ものすごく不安要素があるからである。 体験入所等でいくら大丈夫だと言われても、いざ入所したときに、本当に大丈夫なのか、だめだったらどうするのか、という保護者の不安をいかに無くしていくことができるかということを考えなくてはならない。 グループホームは良い施設が多い。しかし、地域移行については、不安をどういう風に解消していくかが大切であり、施設や家族会の役割も大きいが、県としても考えてほしい。 A 71  重度訪問介護の積極的な利用があれば、やまゆり園事件は起きなかったかもしれない。やまゆり園で起こったことは、全ての人が持つ感情の表れだと考えられる。それを防ぐには重度訪問介護の利用が最も適切である。 C 72  重度訪問介護において障がい者自身がヘルパーに報酬を支払うことが重要だと考える。なぜならば、ヘルパーから「あなたに雇われているわけではない」と言われることを耳にする。このような問題を解決するにはダイレクトペイメントしかない。 C 73 「医療型短期入所などの整備」とあるが、単独施設か。 E 74 重度訪問介護・居宅介護は、進行したALS患者にとって、住み慣れた地域で暮らし、社会参加も可能にする必要不可欠なサービスである。また、パートナーの離職や子供の介護負担といった問題から家族を開放し、また独居も可能にする制度である。しかし、患者にとって必要なだけのサービスが得られるとは、現状は言い難い。その原因は、(1)サービスの存在が知られていない、(2)行政との交渉が必要で必要な時間数が出るとは限らない、(3)ヘルパーの確保が難しい、がある。  県には、重度訪問介護の量的・質的充実のために、下記のようなブレークダウンした事業に取り組むことを望む。 (1)ケアマネや障害相談員、事業者、行政職員への周知の事業 (2)各自治体で、十分な支給が実現するような事業   a)利用者の希望と支給時間のギャップを把握する仕組みづくりの事業   b)財政基盤の弱い自治体への支援事業 (3)ヘルパーの育成にかかる費用の助成(たとえば、国の助成は75%だが、県が残りの25%を負担)事業 C 75  精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築の現状として、「全国的に入院患者数が減少している中、1年以上の患者数の中で65歳以上の割合が大きく増加し半数を超える」とあるが、それはなぜか。病名と数字を挙げて説明してほしい。入院患者数の減少を認知症の人で穴埋めしようとしている病院側の姿勢が想像される。 E 76  「にも包括」を担うのが保健所か市町村か、はっきりしていない。連携して協議を進めて欲しい。 B 77  精神科病院に入院している認知症患者を精神障がい者に含めて数値を出すことに違和感がある。65歳以上の入院患者に認知症の患者がどの程度含まれているのか。認知症患者を精神科病院に収容している現実を考え直してほしい。 C 78  地域移行を進めていくために、支援者の育成、報酬を含む地位の向上についての具体的な施策が必要である。 C 79  高齢者のための「地域包括センター」に早急に精神保健の専門家を配置して欲しい。地域の中で相談できる場所が必要である。 C 80  精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築について、「精神障がい者を対象としたグループホームの充実に取り組む」とあるが、建設の際には、地域の理解促進を進める対応を行ってほしい。 B 81  精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築において、協議の場の設置数ではなく、その内容、具体的な施策について目標を立ててほしい。 D 82 精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けて、障害福祉サービスに従事する人やピアサポーターの養成を確実に行ってほしい。 A 83  精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けた協議の場を設置する際は、「精神障がい当事者またその家族を入れる」ことを明記してほしい。 A 84 精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築において、「協議の場」の参加者が現状が「保健・医療・福祉関係者」となっているが、11月に出た「当事者目線の障がい福祉実現宣言」を考えると「当事者・家族」の参加を明記して欲しい。 A 85  強度行動障害のある人に対応できる人材の確保等、人的な支援体制の確立が急務である。そのための賃金等については、岸田首相はこの2月から障がい福祉施設職員も含め、ベースアップを表明されたが、併せて様々な災害、事件に対応できる包括支援センター(24時間制、365日体制)の設立とそのための予算措置が必要である。 C 86  「そうした中、1つの圏域においては、緊急時の受入れ機能の確保が市町村において可能となったことから、残る4つの圏域で地域生活支援拠点等の機能を面的に設備しました。」 ※ 5つの圏域は、1圏域が3〜10市町村で構成していることから1つの圏域で緊急の受入れが可能となったと表現できるでしょうか。1市町村でもできたことは評価するとしてもまだまだ点が不足しています。  現在の地域生活支援拠点での短期入所は、医療的ケアを含む重度障害者が除かれています。また平日のみで「緊急時の受入れ機能が整ったと」評価できません。実績を明確にし、提示してください。 C 87 知的障がい者の地域生活を支えるためには、障がい福祉計画にある地域生活支援拠点を整備することが重要である。第6期障がい福祉計画の基本指針においても引き続きの整備とPDCAサイクルが示されたことは評価する。残念ながら、「整備完了」ということに捉われ、必要な機能を満たさないまま整備完了の扱いとしてしまった地域も見受けられる。障がい者の重度化・高齢化や「親亡き後」を見据えた居住支援の機能を持つ体制であることだけでなく、地域で生活する障がい者とその家族の一義的な総合相談の窓口であると捉えている。総合相談は「包括的な支援」の窓口でという国の施策ではあるが、知的障害に特化した相談については、専門的な相談ができるのか、不安視される声が多くある。そこで、この「地域生活支援拠点等」事業の「総合相談窓口」が障害特性に応じた相談の安心感と信頼感を持つことに期待できると思われる。 C 88 地域生活支援拠点等について、県域全市町村の設置を目指しているが、「地域生活支援拠点等事業」について特に面的整備の市町については、「相談」「緊急時の受け入れ」「体験の機会の場」「専門人材育成・確保」「地域の体制つくり」について障害がい者とその家族への利用についての周知がなされていないという声が多く寄せられている。 C 89 地域生活支援拠点が整備されている「秦野市」の好事例、また「緊急時の受け入れ体制機能」が確保された「厚木市」の好事例を、市町村の自立支援協議会を始め福祉サービス提供事業所へ周知すること、また知的障害者とその家族へ広く情報提供できるような機会をつくることを、県としてより積極的に取り組んでいただきたい。 C 90 「基幹相談支援センター」の設置を促進して、地域生活支援促進事業などを活用し、主任相談支援専門員の配置を必須としてほしい。 C 91  県内市町村の障がい福祉は、その地域性の中で入所施設、グループホーム、短期入所、居宅介護、移動支援、日中活動支援事業所など多様な福祉サービスによるネットワークで成り立っている。生きづらさを抱えた当事者の方々のライフステージにおいて、必要な時期に、必要な支援を、意思決定支援をもって選べることが重要である。65歳問題(決して介護保険優先ではない2007年厚労省通知があります。)にも関連する。特に利用者ご本人が希望により安心して挑戦できる環境を整えるためには横断型・循環型サービスが必要である。そのためにサービスは多様でなくてはならない。そのひとつである施設入所支援サービスは24時間365日稼働の地域生活を支えるセーフティネット機能と役割を担うことから地域生活支援拠点となる。神奈川県は、人口比で入所定員が全国最小であることからも、地域生活を基本にしながらもご本人、ご家族が安心できる障害福祉サービス体制を重層的に構築されることを望む。そのような体制を地域で有機的に展開することが「福祉先進県かながわ」の復活につながるだろう。そのためには、県内市町村が連携し、ご本人のニーズに合わせた柔軟的効果的な助成制度と制度設計がされることを要望する。 C 92  地域生活支援拠点等が有する機能の充実の課題として、市町村における地域生活支援拠点等の早期整備を目指していく必要があるとされているが、「早期整備」の早期とは令和5年度までか。医療的ケアを含む重度障害者を対象とした地域生活支援拠点の整備か。 E 93 「地域生活支援拠点等の機能の充実」の機能とは何か。 E 94  基幹相談支援センター等は、障がい者の計画相談とそのモニタリングで手一杯と聞いている。「地域の体制」の範囲も不明である。地域包括ケアシステム構築のための「地域の体制」づくりの核となることはできない。「地域の体制」とは何か。 A 95  基幹相談支援センター等の設置促進について、本人にとって、障害福祉サービスを受ける起点は、相談窓口であるため、ワンストップの相談支援の充実は必要である。しかし、市町村ごとに、その地域性、相談支援事業所の状況、障害種別の対応状況、福祉施設・事業所等の社会資源の状況等も踏まえることが必要である。取り組んできた実績もあることから市町村の独自のネットワークを尊重する形で促進されるべきである。 C 96  現状の福祉的就労の作業内容はその多くが工賃に当たる作業ではなく、創作的内容となっている。そこに「かながわ工賃アップ」とはどういうことか。 C 97  学校卒業後の就労で特別支援学校と設置市町村の障害福祉関係機関との定期的な情報交換が就労定着につながる。この定期的な懇談が特別支援学校卒業後の社会参加につながる。 C 98  障がい者就労は、きめの細かい支援が必要である。障がい者の仕事は、民官ともに身体を使った簡単な作業が殆どである。これでは、知的、精神の障がいの方は対応出来るが、身体障害・肢体不自由の人は対応出来ない。中途障がいなど一部の機能が失われているだけの人は対応出来るが、全身性障害の人は対応出来ない。農福連携も、正にこのような状況である。  また、『こいつ、使えない』というレッテル貼りが進行している。使える障がい者が引っ張られる。  障がい者が働くことについては、仕事の創出が必要であり、また、ジョブコーチの配置も必要である。  障がい者雇用を進める意味は何なのか、充分に施策をご検討頂きたい。 C 99  神奈川県においては知的障害者の就労については「障害者就業・生活支援センター」の支援を受けて就労を継続することが可能となる事例が多い。今後も働き続けることが可能となるように就労定着支援の一層の強化をお願いしたい。就労移行支援については記載にあるように「精神障害者」の利用が進んだ反面「知的障害者」の利用はどのようになっているのか、県の行政機関において「障害者雇用」がどのように進んでいるのか、また、就労継続支援B 型事業から一般就労への移行が急激に増加していることについても、実態を正確に把握していく必要がある。 C 100  就労がうまくいかないケースにおいて、その方にとって就労がすべてではないということもある。就労も支援のひとつでしかない。計画では、就労に向けた取り組みを、つまずきを見ながら、就労に向けるとなっているので、就労が出口ではないと考えてほしい。その方がどう生きやすく生活できるのかを計画に盛り込んでほしい。 A 101 就労継続支援B型事業から一般就労に移行する人の数について、令和5年度の目標値が大きく上がっているが、これはどういうことか。A型は割と就労の方に近い形態であるが、B型の方が倍くらいの就労ができる目途となっており、どのような方向で目指していこうとしてるのか教えてほしい。 E 102  福祉施設から一般就労への移行等における<目標達成のための方策>の項目に「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」の推進を盛り込むことを望む。 D 103  児童の行動にうまく対応できず虐待関係となることから、二次障がいを生じる場合も多いこと、それを地域で予防するための体制の整備が必要であることを記載してほしい。 A 104  「障害児及びその家族に対し、乳幼児から学校卒業までの切れ目のない効果的な支援を身近な地域で提供する体制を構築」、「また特別支援が必要な重症心身がい児の在宅生活を支援するため、・・・(中間略)・・・専門的な支援の体制を備えた短期入所は居宅介護、児童発達支援等の提供体制を整備してきました。」「障がい者の就労支援及び職場定着までの一貫した支援、生活面の相談支援を実施します。」とあるが、支援の具体的内容がない。 A 105 「障がい者の就労支援及び職場定着までの一貫した支援、生活面の相談支援を実施します。」とあるが、支援の具体的内容がない。 A 106  「乳幼児から学校卒業まで切れ目のない効果的な支援」で学齢児となると同時に療育に関する支援が途切れ、又は削減され「切れ目のない」支援があるとは言えない。 A 107  「特別支援」が必要なのは重症心身障がい児だけではない。重度障がい児(生命と日常生活を保つための介護が継続的に濃厚に必要な状態の児)も該当する。成果目標から除かれているが、何故、該当しないのか。 E 108 障害児の早期支援には児童発達支援が不可欠であり、さらにノーマライゼーションの観点からは地域の保育所や幼稚園に通いつつ保育所等訪問支援を活用することが望まれる。  保育所等訪問支援の拡大が重要となるが、現状では事業所が充分に追いついていない状況である。障害児が早期よりインクルージョンされた環境での育ちが保証されるために、早期の発達段階に応じた支援、短期入所、居宅介護が提供できる体制の整備を推進してほしい。特に障がい児が地域の保育所等へ通うことは、インクルーシブな社会への第一歩であると考える。保育所等への訪問支援(アウトリーチ)の一層の充実を図ってほしい。 C 109  家族への早期の支援も同時に実施されることで、障がい児の育ちは大きく影響を受ける。「ペアレント、プログラム」等を実施する事業所等への支援も併せてお願いしたい。 B 110  障がいを理由とする差別の解消の推進では、合理的配慮の提供を「義務化」する改正障害者差別解消法が成立し、改正法は公布日(2021 年6 月4 日)から起算して3年以内に施行される。県域の幼児教育においては障がいを理由に入園を断られるケースがまだある。現在の保育所等の障がい児の受け入れの実態把握と理解を深めていただく必要ある。 C 111  3年間で相談員を424人増やしても、計画相談作成、モニタリングに対応できるのか。サービス利用計画書作成には、評価表に基づく点数で障害支援区分が決まり、支給量が定められ、サービスが組み立てられる現状に、冒頭の当事者目線が働いているのか。  サービス等利用計画には、将来についての設問はあるが、親の高齢化で日常の相談先が求められている。 C 112  相談支援体制の充実・強化等については、相談支援専門員業務に専念できるよう報酬単価増が必須だが、現任研修の機会増とニーズに基づくカリキュラム開発が必要である。  介護保険の介護支援専門員は、資格取得後も日々継続的に自己研鑽する場、他専門員と情報交換する場が多数あり、参考にするといいだろう。  以上、具体的な提案はしておりませんが、県と現場が分析評価する場を設け、実現するための意見交換を行うことを提案する。 C 113  相談支援は、知的障がい者にとって不可欠と考えるが、相談支援専門員のスキルや成熟度、自治体担当者の認識や理解度などにより、計画相談の活用状況や実効性が地域により大きく異なっている。市町村を軸として関係機関に計画相談・地域相談が認知され、サービス等利用計画(障害児支援利用計画)によって知的障害者の暮らしの見通しが前向きなものになるようにしてほしい。 C 114  相談支援専門員の養成をさらにお願いするところであるが、研修受講者が相談支援専門員として相談支援に従事できるようになる政策については、知的障害者とその家族に取って重要課題である。今後も国へ(一社)全国手をつなぐ育成会連合会をとおしてさらなる要望をしていきたいと考えている。 E 115  「基幹相談支援センター」の設置をさらに促進してほしい。人口16 万人の市に5万の町に設置され、24 万人の市には未設置という現状がある。 C 116  「基幹相談支援センター」は、知的障害児者にとり障害にわたってつながりが重要である「医療機関(歯科医療含む)」との連携ができるネットワーク作りを視野に入れて今後の課題としてほしい。 C 117  在宅で通所せず、サービスを使っていない方は計画を立てていないことが多く、家族の具合が悪くなり、グループホームに急に入れたいとなり、初めて計画を立てることになる。高止まりしているセルフプランは、自治体によって推進の仕方が違い、地域差が大きい。市がサービスだけを提供するでなくて、その人がこういう暮らしを達成するために、市がどうするのか、県がどうするのかという連携が大切である。利用計画を立て、事業所を使い、親の意思ではなく、本人の意思を確認しながら、その方の生活の在り方を汲み取ってほしい。相談事業所も大変であり、相談員だけがすごく大変だというところでは、何らかの事業所への支援も大事になる。 C 118  相談支援員を養成するのは県である。県の研修の中に、その方のライフプラン、これからどういう生活をしたいのかを書き込むという内容を入れてほしい。それが当事者目線の意思決定支援になっていく。 C 119  「相談支援従事者養成研修を受講しても、相談支援専門員として就職しない方が一定程度いることを踏まえ、相談支援専門員の就職率を向上させていく必要があります。」とあるが、就職率の向上と合わせて相談支援専門員の処遇改善の検討は必須である。国の示す処遇改善加算の対象に相談支援専門員は入っていないため、その拡大を求めるとともに県単の補助を求める。 C 120 相談支援者の従事者の見込量について、離職率の低下を目指すのであれば、離職の数字もあげていくよい。実態の把握に役立つのではないか。 C 121  行動障がいのある方への適切な支援方法を習得する強度行動障害支援者養成研修等が実施され、グループホーム等において重度障害者に対する適切な支援が提供されるよう、より一層の専門的な知識や技術を有した人材の育成に取り組みに期待する。 しかしながら、支援者の人材育成や人材定着するには支援者本人に十分な報酬を払われる仕組みが必要である。また、サービス利用者の目標時間数と並行して、サービスを提供できる人員や時間数の具体的な目標値を示さなければ人材や時間数の確保が促進されない。 C 122  強度行動障害者への支援については、神奈川県として総合支援事業への取り組みがなされることを期待する。ライフステージを通した一貫した支援がなされ、強度行動障害者の望む生活の支援とそれが実現される体制整備、そして専門的に対応できる人材を大学等専門機関との連携を図り、より専門的に支援ができる支援員を養成し確保する事業の構築を期待する。 C 123 (7) 障害福祉サービス等の質を向上させる取組に係る体制の構築 <現状及びこれまでの取組> ○ 障害福祉サービス等が多様化するとともに、多くの事業者が参入する中で、障害者総合支援法の目的を果たすためには、利用者が真に必要とする障害福祉サービス等の提供を行うことが重要です。 ○ 国の基本指針では、この観点から、都道府県及び市町村の職員は、障害者総合支援法の具体的内容を理解するための取組を行うとともに、障害福祉サービス等の利用状況を把握し、障がい者が真に必要とする障害福祉サービス等が提供できているか検証を行っていくことが望ましいとしています。 ○ 県では、障害者総合支援法の内容の理解等を進め、障害福祉サービス等の質を向上させるため、これまで、市町村の職員や、障害福祉サービス事業所等の従事者などに対する研修を実施してきました。 ====== とあります。 一方、<取組による成果>の中では「市町村の職員」に対する研修の成果の記述が希薄に感じられる。 実際のところは理解が進んでいない事例として、@住宅型老人ホームで居宅介護を利用している利用者・家族ではなく事業者に、支給時間は同じで単価の安い重度訪問介護の時間支給に切り替えることの了解を求める。A重度訪問介護の時間支給の話の中で「家族がいる」「介護保険を使い切らないと支給できない」等の説明をする等、障害者総合支援法の主旨を理解していないような対応の例もある。事業所や従事者への研修・指導は勿論だが、それとともに自らを省みていただくことも大事であるため、<成果目標>(40ページ)に「県市町村の職員」に対する研修事業の充実を追加してほしい。 D 124  「障害福祉サービス等が多様化するとともに、多くの事業者が参入する中で、障害者総合支援法の目的を果たすためには、利用者が真に必要とする障害福祉サービス等の提供を行うことが重要です。」とあるが、障害福祉サービスの多様化は、ご本人のニーズに応じたものだが、地域生活を支える上で、グループホーム、居宅サービスの増加が見込まれ、ますます個別化、多様化することが予想される。一定の圏域ごとに地域生活支援拠点施設(障害者支援施設等)を中心として循環型、横断型のサービス体系が、ご本人のライフステージに合わせて必要になる。 C 125  <指定障害福祉サービス等のサービス見込量> (1か月当たりの見込量)の「ア 訪問系サービスの欄」で「居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援」が一括で記載されている。 日中活動系サービスと同様に項目ごとにブレークダウンした表にした方が計画の達成状況等の見える化できるのではないか?(もし、一括で記載している理由があればご提示ください)  併せて、42・43ページの「ア訪問系サービス」の記述の体裁と43ページ下段以降の「イ日中活動系サービス」の記述の体裁が違っているようなので、統一したほうが良いのではないか? D 126  障害児関連施策必要量の見込みにおいて、令和2年度実績より計画値が低い項目が多くなっている。特に障害児相談支援は5年度になっても実績より1,300人分も少ない。抑制する方向なのか。必要なサービスが確保できる計画値に修正してほしい。 D 127 共同生活援助を「サービス包括型」「外部サービス利用型」「日中サービス利用型」に分けて見込み量を提示してほしい。  D 128  共同生活援助の令和4年度の見込み量が4.5倍の655人となる要因は何か。「障害者グループホーム等サポートセンター」の助言等で増えるとは思えない。 E 129  民間参入が著しいため、地域によっては飽和状態になっており、閉鎖する事業所も出ている。提供するサービスの内容と質に問題があり、報酬改定のたびに厳しい条件が付加される状況だが、さらに国は提供するサービス内容により区分けする動きがある。総量規制の中で適切なサービスができる環境を整えることも必要であると感じている。利用するご本人、ご家族が困惑しないような情報提供のあり方も検討が必要である。 C 130  障害者支援施設は、地域生活支援拠点施設としての役割、機能を担う事については同感する。施設、グループホーム、在宅の間の循環型サービスが、ご本人のライフステージに合わせた地域生活を支える要となる。この点についても言及してほしい。 C 131 障害者支援施設、単独型短期入所事業所がもつ短期入所サービスは、在宅者並びにその家族を支える重要なサービスである。地域生活支援拠点施設としての役割、機能として明確に位置付けていただきたい。 C 132 「当事者目線」は、利用者の将来を一緒に考え、道を作るのを当事者目線としてほしい。 C 133 指定障害福祉サービス等の従事者の確保及び資質向上のための方策について下記のとおり意見する。・従事者の確保について具体的な方策が記載されていない。内容が資質向上に関連するものだけになっている。・今後の福祉サービスの質の量の向上を図るためには、福祉人材の確保にかかっている。少子高齢化社会のなかで労働人口は減り、ますます人材の確保は困難になることが予想される。福祉を志す人材の育成は、幼少からの教育から始まらなければならない。官民一体で、福祉教育を推進することを明記してほしい。また福祉人材確保のための具体的な取組と優遇制度を創設してほしい(就職説明会、就職支度金制度、奨学金補助制度、採用に係る助成金、勤務年数により返済が減額される貸付金等)。 A 134  2020パラリンピックのレガシーとして各福祉圏域に障がい児スポーツ拠点施設(選手を育てる施設ではない)設置を企画してほしい。 C 135  特別促進事業(障害者歯科診療体制推進事業)は障がい者理解の研修ということで、研修だけに特化しているが、別項目に、次に続くステップとして、障がい者歯科診療協力医療機関の拡充と障がい者受け入れの環境・設備の整備、また小児から者までを対象とした訪問歯科診療の拡充に結び付けてほしい。現状は、高齢者のための訪問診療は各地域にあるが、障がい者を対象とした訪問診療は殆ど実施されていない。 C 136  相模原事件はこの事件を引き起こした当のひとりよりも、これまで、そして今、これからの社会の環境の在り様を吟味することが必要なことを示唆していると考える。「眼とは歴史の産物であり、それは教育によって再生産される」とは社会学者ピエール・ブルデューの言葉であるが、ひとをみるその眼の在り様を変えることが、障がい福祉計画を進めるに当たって、共に生きるかながわをつくるにあたって必須ではないだろうか?  道徳科目に成績が付けられるような学校教育において、この「眼」をつくることは困難である。「こうすべき」という価値を説く道徳は暗黙裡に「こうすべき」を為せないひとに批判の眼を向ける。道徳よりは「倫理」的な「眼」を育てない限り、事を前進させることはできないだろう。  ダイバーシティやSDGsなどの理念を生活に密着した具体的な術にまで落とし込んでいくためには、従来の総論から入るような人権教育、道徳的なものではない、もっと身近な出来事を入口に、「こうすべし」ではなく、わかっていながらもそれができなかった、ということを題材に対話が為されることが必要である。  「他者」とともに生きていくということは決して心安いことばかりではなく、むしろわかりあえなさを感じ、ざらつく経験をするような苦い出来事でもある。こうしたことを肌で感じるための授業を、例えば「演劇」という、自分以外の誰かを演じることによって、理解していくというような取組みなども検討されるべきだし、なによりも教育の場においてこの福祉計画や共に生きるかながわ憲章などの理念を周知するなどのことが盛り込まれていないのが残念でならない。 C 137  障害者総合支援法の第7条の介護保険優先原則に基づく日常生活、補装具の多くが介護保険レンタルになっており、介護保険に誘導されるケースが多く見受けられる。65歳以上の介護保険に半ば強制加入させられる、という問題があるので介護保険制度に反対する。 E 138  神奈川県においては、小規模店舗において、入店時に電動車椅子で入店できない事例が多々見受けられる。即刻改善してほしい。 E 139  横浜市以外から派遣されているヘルパーによりコロナウイルスを持ち込まれ、横浜市内の利用者が感染したケースにおいて、市町村側で対応出来ず県の障害サービス課に回されたが、回答は受けていない。この点に関して、計画案ではどのような方針でいるのか、どのような対処をしていくのか。 D 140  計画案の中で教育に関してほとんど触れられていないが、県立高校の入学試験など、統合教育はどうなっているのか。 E 141  計画案の中で災害対策についてほとんど触れられていない。県の統合的な考え方を打ち出してほしい。 E 142  公共駐車場(特に横浜市)の障がい者用駐車場において(障がい者自身が運転する場合も含めて)隣の車との間隔が狭いところが多く、車椅子利用者が移乗できない。また、後方のスペースも無いため車の後方から乗降するタイプの車を止める事ができない。  杖や歩行が難しい(介助者がいる)人のために、出入り口に近いところに障がい者用駐車スペースを確保すると同様に、出入り口から遠いところで、2、3台分の広さに1台で止められるスペースを確保してほしい。 E 143  情報の重複障害である「盲ろう者」と「若年層の盲ろう者」を想定した支援を設定してほしい。  見る・聞くどちらかの方法では情報取得が困難な方がいる。盲ろう等の重複障害の方への情報提供方法を設定してほしい。  神奈川ライトセンターの点訳資料や蔵書のリストを、市民がインターネットで検索できるようにしてほしい。  盲ろう者用「LED付音響装置振動式付」信号機の設置。PICSでは専用受信器やスマホ操作が必要となり、スマホを利用できない方や子ども、スマホの操作に時間がかかる方には使えない。様々な当事者の声を取り入れて視覚障害者・高齢者・盲ろう者も含めた全ての人が横断しやすいユニバーサルデザイン信号機を設置してほしい。 C 144 障がい児が卒業した後の、18歳以上の若年層の障がい者の居場所作りをしてほしい。  生涯学習施設の設立、また、年齢に関係なく、ゆっくり学んでいく人のために、学習機会を提供、支援してほしい。 C 145  盲ろう者の地域作業所への支援の充実、盲ろう者のためのグループホームの充実、盲ろう者の高齢者施設の充実も希望する。 C 146  盲ろう者の当事者団体の活動への支援をしてほしい。支援としては、人的支援、一般の方への「盲ろう」という障害の理解促進、啓発活動、市民ボランティアへの、触手話・指点字の学習講習会の実施等である。手話口座は平日夜間、休日としてほしい。 C 147  盲ろう者通訳・介助員の待遇を改善してほしい。  時給の発生する稼働時間よりも、現地までの移動時間が長く、拘束時間に見合わない。  当事者団体の学習会やイベントの際に、現地までの移動支援は有給であるが、到着後の時間は業務外でも実際は通訳として2時間から3時間は稼働している状態であり、ボランティアをするかしないかを選択できない。さらに交代要員も確保されていないので、業務であれば二人体制でこなす通訳を一人で行うことになり、大変な負担になっている。学習会やイベントの中の通訳活動も業務とし、未払いにならないよう通訳介助員の制度を整備してほしい。通訳・介助員の不足は待遇の悪さにある。 C 148 計画の改定時期が遅れたことについて致し方ないとは思うが、違和感を覚える。県内市町村では、令和2年度に策定し、今年度に入り既に施行しているので、支障はないのかも知れない。しかし、市町村には提出させたわけだから、「神奈川県障がい福祉計画」も今年度からの計画として、年度早々に施行するべきである。 E 149  病院・施設等から地域への移行については、様々な施策がある。しかし、そもそも地域で、即ち在宅で生活している場合が圧倒的に多い、身体障害・肢体不自由者・重度障害者・重度重複障害者・医療的ケアを伴う障害者等のためのサービスは、いつも等閑にされていると認識している。  当連合会は、令和4年度障がい福祉予算要望で、在宅生活の障がい者のケアラーのための在宅レスパイト事業の創設を要望した。在宅の場合の負担軽減の一つである。  また、身体障害・肢体不自由者・重度障害者・重度重複障害者・医療的ケアを伴う障害者等が、在宅から地域に出て支援を受けながら自立生活をするための、グループホームや小規模施設は、適正に配置されていない、というより、殆どない。グループホームは、その90%以上が、知的障がい者のためのもので、精神障がい者のためのものが少し、身体障害・肢体不自由を伴う障害者のものは殆どない。これは全国的な状況である。このような状況の中で、地域生活など出来るわけがない。このような障がい種別でのアンバランスを解消していく計画にしてほしい。 C 150  医療、歯科医療、またカウンセリング・療育相談など、スムーズな移行が出来るように、それぞれの機関・事業者等が連携することが重要だが、現状は、移行期に困ることが多い。どこに移れば良いのかわからず、地元行政に相談しても、特定の機関・事業所等を紹介することは出来ないということで、結局教えてもらえないことが多い。  この移行期問題については、全く触れられていませんが、記載するべきである。 C 151  親へのペアレントトレーニングを行っても、報酬が何もない。市町村単位では細々と始まっているところもあるが、一事業所ではなかなかうまくできない。県からの支援に期待する。早期療育、早期支援、親と子ども両方への施策を色濃く出してほしい。 C 152  小さいころからの強度行動障がいの研修等をやっていただきたい。それは、そこに至らない方、そこまで点数がいかず、でも強度行動障がいに近い大変な状況で困っている人も多い。在宅で支援を受けられずに疲弊している保護者も多くいる。強度行動障がいの方がいるから、研修を受けて学ぶではなく、障がい福祉に関わる仕事をしている方は、全員研修を受けてほしい。どういう人が来ても対応できるような知識を持っている職員がいる状態が望ましい。親にも小さい時から適切なアドバイスができるようにしてほしい。 C 153  当事者目線の検討委員会で、県は強度行動障がいへの支援の専門性が高められているため、それを総合的な支援事業として取り組んでほしい。県でより専門的な対応があるといい。相談窓口を総合的に、小さい時から利用できる仕組みづくりを県の中に作ってほしい。早期からというところを、県の障がい福祉は超早期から、生まれたときから支援を始めてほしい。 B 154  地域で生活している身体障害・肢体不自由者・重度障害者・重度重複障害者・医療的ケアを伴う障害者等は、家族の養育力で日々を過ごしているが、加齢に伴う障害の重度化そして親(家族)の高齢化と家族環境の単一化によって地域での生活が難しくなりつつある。地域移行は、施設からだけではない。  家庭からの地域移行は、必須となるが、現状で考えられる方策は、共同生活援助(グループホーム)である。障がい福祉計画では、グループホームの充実について「重度障がい者の受け入れ可能なグループホームの整備に向けた支援に引き続き取り組みます。」とあるが、共同生活援助@サービス包括型、A外部サービス型、そしてB日中サービス利用型では、重度障害者・重度重複障害者・医療的ケアを伴う障害者等の24時間の支援および大きな車いすを含む移動対策に伴う整備が足りない。「整備に向けた支援」の内容に廊下、トイレ、浴室等の設備素支援と人材確保を備え、実現に向けて計画してほしい。 A 155  小児慢性疾病で、当連盟団体の「ヘモフィリア友の会」と「心臓病の子どもを守る会」の子どもたちは、小児から成人の移行年齢になっても疾病、障害を理解して診てもらえる地域病院医師が少ない現状である。  特に知的障害や発達障害、染色体異常などの重度重複があり、福祉的な支援も必要な子どもたちの移行が難しい状況である。生涯に渡って医療と共に福祉的支援が必要で、神奈川県の小児医療で救われた子どもたちが、成人になっても神奈川県で医療が受けられるように、「移行期医療」を障がい福祉計画に位置付け、地域病院、医師及び看護師の整備を図ってほしい。 D 156  医学の進歩により、NICU等を経て引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な子どもたちが在宅生活を過ごしている。この生活を豊かなものにするために訪問診療や訪問看護等医療を受ける体制整備を早急に望む。「医療的ケア児およびその家族を支援する法律」が昨年9月から施行され、医療的ケア児等コーディネータ―が配置されることから地域療育センターに繋がってもいることから障がい福祉計画に位置付けてほしい。 A 157  第5期の障害福祉計画では「医療」という言葉を含む単語が84件、一方今回の改定素案では105件と増加をしており、改定素案では医療面の支援を手厚くする方針が示されている。  重度障がい者に対する医療費助成は、とくにALSを初めとする多くの進行性神経難病患者にとって療養生活上必要な制度である。  高齢化社会になるに準じて、65歳以上の高齢者になってのALS発症が顕著になってきた。病状の進行に伴うADL低下は、特に人工呼吸器の装着を選択しない患者では、その間の苦しみは大きい。重い療養生活でせめてもの医療費助成は終末期の患者のQOLの低下を抑える上で重要である。  なお、難病医療費助成は「受給者証」に記載している疾患と対象疾患の病態の一部とみなされる疾病または状態に対する医療処置に対する治療費にしか適用されず、医療費助成に関しては、難病を起因する様々な障害とその医療処置についてすべてサポートされないのが実情である。  全身性障がいによって経済的基盤も喪失する難病患者にとって、「重度障害者医療費助成制度」の新規65歳適用除外の県基準については県下市町村への影響も大きく、制限解除等何らかの有効な救済措置を盛り込むことを望む。 C