参考資料1 逗子市社会福祉課地域共生係による事例紹介(説明概要) 第8回当事者目線の障がい福祉に係る将来展望委員会(R04.01.21) 事例紹介 発表者:逗子市社会福祉課地域共生係係長大坂慎介氏 ○逗子市は、人口約59,000人で、高齢化率の高さ(31.25%)や、要介護認定者が多いこと(3,953人、21%)に加え、介護・福祉の事業所が求人を出しても若い担い手が不足するなど、いわゆる2025年問題がすでにここ1、2年で起きている状況にある。 ○逗子市では、介護保険課が、2015(平成27)年に地域包括ケアシステムの構築に向けて、という目標を掲げ、2016(平成28)年には、高齢者の地域包括支援センターを増設すると同時に、市の本庁に地域包括支援センターを束ねる、基幹型地域包括支援センターを設置した。 ○また、2016(平成28)年から、地域包括ケア会議として、多職種ないろいろな人たちが協議できる場を作る取組みや、個別支援だけではなく、生活支援の体制整備として地域づくりの取組みを始めた。さらに、2017(平成29)年以降、介護保険における地域支援事業をベースとし、認知症や介護予防を中心に取り組んだ。2020(令和2)年に、地域共生社会を目指し、高齢者のみならず、障がいのある方、子育て中の方、生活困窮者など、様々な方を対象とするため、基幹型地域包括支援センターを地域共生係とし、併せて、所管を介護保険課から社会福祉課に移した。 ○基幹型地域包括支援センターでは、2020(令和2)年より、国のモデル事業として、地域共生社会の実現に向けた包括的な支援体制構築事業に取り組み、行政の役割として、専門職がパフォーマンスしやすい体制を作ることと考え、市内4か所の地域包括支援センターを公的施設内に配置することや、週末・夜間の開所時間延長等により、市民が相談しやすい支援体制のベースを作る工夫を行った。また、社会福祉士、精神保健福祉士の有資格者をこれまでよりさらに1名増員配置して、職員体制を厚くした。 なお、2020(令和2)年度は地域共生係を中心に取組み行っていたが、2021(令和3)年度は、市内の地域包括支援センターにも同様の機能を付加し、多職種連携と社会参加、地域づくりを、市民の身近な地域でできる体制とした。 ○包括的な支援体制構築事業の取組みでは、いわゆる8050世代の事例や、長期に精神疾患を抱え社会との接点がなかった世帯の事例など、複合化した課題を抱える事例が約30事例あり、様々な課題を複数有している世帯は困窮に陥りやすいこと、未然に専門職の窓口につなぐなどの予防的な支援が早い段階から必要であることなどが見えてきた。加えて新型コロナウイルス感染症による感染拡大の影響により、生活困窮者の相談が増加した。複雑な課題を有しながら潜在化していた世帯の課題が顕在化し、市の相談窓口につながったことも、一つの成果だったと考えている。 ○重層的支援体制整備事業の一つのポイントは地域包括ケアシステムと、生活困窮者自立支援事業により、地域共生に資する地域活動、市民に身近な生活相談等を市民の身近な日常生活圏域で受けることのできる体制を整えたことである。もう一つのポイントは、福祉的ニーズを持っているにもかかわらず表明せず潜在的で見えにくい課題である、8050世帯や、引きこもり、生活困窮などの課題に対応するため、アウトリーチ等を通じた継続的支援事業として、困りごとの把握や関係づくりからスタートしていく取組みを今年度(令和3年度)から始めている。令和4年度、令和5年度の2か年で体制整備を進める予定である。 ○重層的支援体制としたことにより見えてきたことは次の三点である。 @重層的な支援とは何かということを、いろいろな角度から考えていく必要があるという視点と、積み重なって重なり合った困りごとを持っているという意味でも重層的であり、その課題を解きほぐしていく必要があるという二つの視点を持つ必要がある。また、専門職のスキルを上げていく必要がある。それに加え、連携や顔の見える関係性は大切であるが、その次に協働という関係性があるという点で課題がある。 A地域の困っている人に対して、どう包摂的に捉えていくかということについて、住民の理解を進めていくことが大切である。 B丁寧に制度や仕組みを説明し理解を得ていくことが非常に難しい。