第9回当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会(令和4年2月21日) 資料2 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会報告書骨子案 令和4年3月○日、当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会 序 1これまでの経緯(検討経緯、会議の進め方、ヒアリング団体等への謝辞、県への要請など) 2中間報告の提言を受けての議論 (1)神奈川の障がい福祉の現状と未来予測 (2)当事者目線の障がい福祉(「当事者目線の障がい福祉実現宣言」について) (3)普遍的な仕組みへの論点設定(憲章、宣言を起点にした条例等の制定) T神奈川の障がい福祉の将来展望 1当事者目線の障がい福祉の基本的な考え方と目指す未来 (1)基本的な考え方(七つの理念) @誰もが個人として尊重されること A心の声に耳を傾け、互いの心が輝く支援を広げていくこと B政策決定過程への当事者の参加を進めること C可能性を引き出す、専門性の高い個別のサポートに取組んでいくこと Dその人らしい、希望する暮らしを実現すること E持続可能で多様性があり、誰も排除しない社会を実現すること Fオール神奈川で地域共生社会を創造していくこと (2)目指す未来(十の方向性) @住み慣れた場所で、差別や虐待を受けることなく、安心して生活できる Aいつでも生活上の困難を相談できる機関、場所がある B本人の自己決定が尊重され、権利擁護の仕組みが機能している C支援者と対等な関係で、良き暮らし、良き社会を目指して協働できる D地域生活を実現するよう、可能性を引き出す専門的な個別の支援体制がある Eいきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある Fいのち輝かせて豊かな生活が送れる、その人らしい暮らし方が選択できる G医療や教育などの関連領域との連携により、生活課題が解決される H地域の担い手として活躍できる、社会参加や就労等の機会がある Iそれぞれの様々な才能を発揮でき、違いを認め、誰も排除しない地域社会である 2今後取組むべき重要な施策    (1)個人の尊厳が守られる社会の構築(目指す未来:@、B) ・「ともに生きる社会かながわ憲章」、「当事者目線の障がい福祉実現宣言」の理念の普及啓発に努めること  ・障がいを理由とした差別のない社会を実現すること ・権利擁護の仕組みが整えられた、障がい者虐待のない社会を実現すること (2)心の声に耳を傾け、互いの心が輝く支援(目指す未来:A、B) ・障がい者の誰もが意思決定支援を受けることができるようにすること ・相談支援体制の充実に努めること(伴走型の支援を目指す) ・県立施設の支援内容のさらなる検証を行うこと ※ 中間報告での提言の引継ぎ (3)本人活動の推進(目指す未来:B、C) ・本人(障がい当事者)活動に対する支援、社会参加の促進を図ること ・障がい当事者の政策決定過程への参加を進めること (4)本人の可能性を引き出す、専門的な個別のサポート(目指す未来:D) ・いわゆる「強度行動障がい」の人に対する支援の充実を図ること ・高齢化への対応を推進すること ・新たな課題(医療的ケア児・者、障がいに関係する、孤立・孤独、ひきこもり、生活困窮、ケアラー、家族支援 等)への対応を図っていくこと (5)その人らしい暮らしの実現〜社会資源の充実方策(目指す未来:E、F、G、H) ・人と人のつながりのある居場所、本人の力が発揮できる出番を作り出していくこと ・地域生活移行を推進するとともに、地域生活及び居住の支援を進めること ・圏域毎の自立支援協議会の活性化を図り、市町村支援に取組むこと ・福祉人材の確保と養成を進めること ・入所施設の役割の縮小、転換を図り、緊急時対応と通過型のサービス提供に重点化すること (6)多様な価値観の取り込み、持続可能な誰も排除しない社会の実現(目指す未来:H、I) ・障がい者アートなど、それぞれの才能を最大限引き出す取り組みを進めること ・ポストSDGsの議論を加速させること ・制度の持続可能性の確保 (7)地域共生社会を目指したオール神奈川の取組み(目指す未来:H、I) ・障がい者も含めた地域包括ケアシステムを目指し、誰もがいのち輝かせて暮らすことのできる地域共生社会を実現すること ・関連領域(医療、教育、雇用、住宅、農業、商工等)と連携を図った、包括的な支援体制を構築すること 3今後の施策等の進め方 ・長期的なビジョンに基づいた施策の展開を図ること ・できることから速やかに取組むこと(サブグループづくりなど) ・効果検証をしっかりと行うこと(PDCAサイクルを回す) U今後の具体的な取組みの方向性 1障がい福祉施策の充実強化 @いわゆる「強度行動障がい」の人の支援の充実 A高齢化に伴う支援の充実強化 B地域生活移行の推進、地域生活の支援 C日中活動のさらなる充実 D居住支援の充実強化 ※障がい児及び家族の支援について引き続き検討 ※三障がいに広げた福祉の充実強化について引き続き検討 2地域の福祉資源の充実 @医療、教育、雇用、農業、商工等との連携 A福祉人材の確保、育成 3障害者支援施設(県立施設を含む)のあり方 ○入所施設の役割の縮小、転換(緊急時対応と通過型のサービス提供に重点化) ※県立施設のあり方について次期指定管理期間においてさらに検討 4当事者目線の徹底と権利擁護 @本人活動の推進、政策決定過程への参加 A虐待ゼロの実現 B意思決定支援の推進 5地域共生社会の実現 @地域包括ケアシステムの対象拡大 A包括的な相談支援体制の構築 B「ともに生きる社会かながわ憲章」や「当事者目線の障がい福祉実現宣言」等の理念の普及啓発(障がい者差別のない地域共生社会の実現)  6先駆的な取組みや理念の積極的な取込み @多様な価値観の取込み(文化芸術活動の振興、ロボット・ICT技術の活用、ポストSDGs 等) A制度の持続可能性の確保 報告書のイメージ(一部) 1障がい福祉施策の充実強化 A高齢化に伴う支援の充実強化 ア現状・課題 ○内閣府によると、令和2年10月1日現在、日本の総人口約1億2,571万人に対し、高齢者は3,619万人となり、総人口に占める65歳以上の人の割合(高齢化率)は28.8%となっている1。神奈川県では、令和2年1月1日現在、総人口約920万人に対し、65歳以上人口は約231万人で、高齢化率は25.4%となっている。 ○国立社会保障・人口問題研究所によると、出生中位・死亡中位推計では、2040年には、総人口1億1,092万人に対し、高齢者は3,920万人と見込まれており、その時の日本の高齢化率は35.3%に上ると推計されている2。人口構造は短期間で大きく変化することはないため、今後も高齢化が進むものと考えられる。 ○65歳以上の高齢の障がい者数については、平成28年の国立のぞみの園の調査によると、全国で高齢障がい者は487万人、そのうち2.9万人が障害者支援施設等に入所しており、1.4万人がグループホームを利用しているとされている3。 ○また、厚生労働省によると、在宅の高齢障がい者数は341.8万人であり、同時点の高齢者数3,459万人に対する割合が約10%であった4。これを将来推計人口に当てはめると、2040年の在宅の高齢者数が3,920万人と見込まれることから、2040年の在宅の高齢障がい者数は、その10%、すなわち約390万人と推察される。 ○公的な障害福祉サービスにおいては、障がい福祉と介護サービスの円滑なつながりを確保するため、平成30年に「共生型サービス」が創設されている。本県では、令和3年6月現在、介護保険サービスの訪問介護16事業所、通所介護2事業所、障害福祉サービスの居宅介護6事業所、重度訪問介護6事業所、生活介護14事業所、自立訓練(機能訓練・生活訓練)3事業所、児童発達支援2事業所、放課後等デイサービス3事業所、短期入所3事業所が共生型サービスの指定を受けている。 ○また、平成30年から、現在65歳以上で、65歳になるまでに5年以上特定の障害福祉サービスの支給決定を受けていた人で、障害支援区分が区分2以上であることなど一定の要件を満たす場合、申請により障害福祉相当介護保険サービスの利用者負担額が償還される制度(新高額障害福祉サービス等給付費)も始まった。 ○地域で老いていき、そして人生の最期まで、一緒に生きてきた仲間たちとともに 過ごしたいと思っていても、障がいがあるがゆえに、ターミナルケアが必要となった場面で住み慣れた場所での支援を受けることが困難となる高齢の障がい者もいる5。年齢を重ねて、終末期ケアの場所や、医療処置の必要がなくなったあとの看取りなどの課題は、障がいにかかわらないこととして捉えていく必要がある。 イ検討の方向性 (医療、看護体制の整備) ○人生の最期の場面まで、ともに生活してきた仲間と一緒に、住み慣れた場所で生活を継続できることが可能となるよう、一義的には市町村が、訪問看護や訪問医療等のサービスを受けやすい体制を整備するよう努めることとし、県はその実現のための支援を行うべきである。 ○在宅で常時医療的なケアが必要な高齢障がい者に対し、グループホームや障害者支援施設において、夜間の緊急時の対応が可能となるよう、県は、夜間の看護師配置のための財政支援措置など、必要な体制を構築する取組みについて検討すべきである。 (居住支援の基盤整備) ○県は、高齢障がい者の受け入れを念頭に置いた、既存のグループホームや障害者支援施設等のバリアフリー化を図るために必要な財政的措置を引き続き講じるとともに、建物の設計やそのノウハウの共有を通して、高齢障がい者も住みやすい居住支援の基盤整備を進めるべきである。 (社会参加機会の継続) ○特に高齢障がい者に対しては、どういう暮らし方をしたいかといった意向を確認する中で、就労等の継続の意思も含めて確認することが必要である。県及び事業者は、本人が希望する場合は可能な限り生涯現役で働き続けることができるような体制を整備することを通して、障がい当事者が社会参加する機会の継続を保障するなど、一人ひとりに必要な個別の支援をすべきである。 (高齢化に伴う福祉用具の利活用) ○障がいのある人たちの福祉用具や補聴器等の利活用は、十分に進んでいない側面がある。県は、補装具等の製造事業者や販売事業者、経産局や厚生局などの国の機関なども交え、当事者にとって福祉用具等がより使いやすくなるようフィッテイング(寸法合わせ)技術の向上や開発につながる課題の共有を図るべきである。 (人材育成) ○事業所等は、支援員等が高齢障がい者の支援スキルや知識、身体的介護の方法等について、適切に学び、支援に生かすことができるよう、必要な研修等の機会を設けることとし、県は、市町村と連携し、事業所等が研修等を適切に受講できるよう支援を行うこととすべきである。 (共生型サービス等のより一層の推進) ○行政は、障がいを持った方が、年齢を理由にサービスが断続化されることなく、住み慣れた場所での生活や、受け慣れたサービスを継続して受けることが可能となるよう、その障がい特性も踏まえながら、共生型サービスが過不足なく整備され、円滑に利用ができるよう事業所等に対し制度の周知を図るとともに、自立支援協議会などの場を活用し、地域における共生型サービスの必要度について関係者の議論を促す取組みを進めるべきである。 ○障がい者が高齢化した際に、共生型サービスにより老人ホームや特別養護老人ホーム等で暮らすことも制度上は可能となっているが、その指定事業者数が少ない現状がある。県は、そうした暮らしが障がい当事者の選択肢の一つとなるよう、体制の整備を推進すべきである。 ○県は、介護サービス事業者が、障がいのある人を受け入れやすくするため、高齢障がい者に対する支援のノウハウに乏しい介護サービス事業者に対して、障害者支援施設等の専門職員を派遣し、当該施設等に障がい者支援に関する技術指導や助言を行うことや、介護サービス事業者が障害福祉サービス事業者に対して、高齢で障がいのある方に対する介護技術に関する助言を行うなど、双方がそのノウハウを共有できるような仕組みを創設すべきである。 ○県は、障がい者の支援を担っている職員と高齢者の支援を担っている職員が合同で参加できる支援力の向上を図る研修を実施することにより、それぞれの支援者をつなげることを通じて高齢者と障がい者が一緒に暮らすことが可能となるような取組みを進める機会を設けるべきである。 (障がい分野と介護分野の連携強化) ○当事者が受けたいサービス等の意思を十分に反映し、障がい福祉と介護保険のそれぞれのサービスを組み合わせた総合的なサービス提供が実現できるよう、県は、自立支援協議会などの場を活用し、当事者や家族と相談支援専門員、ケアマネージャー、市町村の障がい福祉主管課、地域包括支援センター、共生型サービス提供事業所、医療機関、訪問看護事業所等の関係者が集まる機会を設けることとすべきである。 ○障害福祉サービスと介護保険サービスを併用することや、共生型サービスを利用することが、当事者本人の希望する生活を支援していくためには肝要であり、介護保険優先の運用で機械的に移行するのではなく、障がい特性に応じた対応を行う必要がある。県は、市町村と連携し、適正な運用を図るべきである。 1「令和3年度版高齢社会白書」(令和3年、内閣府) 2「日本の将来推計人口(平成29年推計)」(平成29年、国立社会保障・人口問題研究所) 3「発達障害者支援における高齢期支援に関する実態調査報告書」(平成28年、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園) 4「平成28年生活のしづらさ等に関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(平成30年、厚生労働省) 5「障害者支援施設のあり方に関する実態調査【報告書】(厚生労働省 平成30年度障害者総合福祉推進事業)」(平成31年、三菱UFJリサーチ&コンサルティング) 報告書のイメージ(一部) 4当事者目線の徹底と権利擁護 @本人活動の推進、政策決定過程への参加 ア現状・課題 〇近年注目されているピアサポートとは、一般に同じ課題や環境を体験する人が、その体験から来る感情を共有することで専門職による支援では得がたい安心感や自己肯定感を得られることを言い、歴史的には、身体障がい者による自立生活運動により始まり、後に、知的障がいや精神障がいの分野にも広がって、今日、広く定着し始めている。 〇近年の動向をみると、国の社会保障審議会障害者部会が平成27年に取りまと めた、「障害者総合支援法施行3年後の見直しについて」において、「地域移行や地域生活の支援に有効なピアサポートについて、その質を確保するため、ピアサポートを担う人材を養成する研修を含め、必要な支援を行うべき」とされ、平成28年成立の改正障害者総合支援法の附帯決議においても、「ピアサポートの活用等の取組を一層推進すること」とされた。国は、厚生労働科学研究等における検討を踏まえ、令和2年度、ピアサポーターの養成や管理者等がピアサポーターへの配慮や活用方法を習得する「障害者ピアサポート研修事業」を創設し、地域生活支援事業費等補助金の補助対象とした。 〇県では、精神障害者地域移行・地域定着支援事業において、精神障がいの当事者であるピアサポーターを養成し、長期入院患者の地域生活移行を促進するためのピアサポーターによる精神科病院への訪問活動等を支援している。ピアサポーターは平成30年度に47人、令和元年度に49人、令和2年度に51人が登録しており、入院患者や病院職員を対象とした地域生活の体験談や情報提供を行うとともに退院意欲を喚起し、退院したい意向を示した患者の個別支援を行っている。 〇また、神奈川県社会福祉協議会は、地域福祉活動支援事業により県内の当事者団体や広域的なボランティア団体、市町村域の福祉関係者からなるネットワークを組織し、地域の課題解決やいきいきとした地域づくりに取り組む活動に必要な費用の一部を助成している。 〇こうしたピアサポートの活動の推進のための課題としては、平成27年度に国がまとめた「障害者支援状況等調査研究事業報告書」によると、「活用資金の不足」(回答件数72 件のうち9件)や「ピアサポート活動の幅の拡大」(同8件)、「ピアサポート活動従事者の孤立化」(同6件)、「活躍する場の不足」(同6件)が比較的多かった。 〇加えて、本人活動の課題を調査した例として、平成28年度に「発達障害者の 当事者同士の活動支援の在り方に関する調査報告書」がとりまとめられており、「運営で苦労している点」の回答では「利用者の対人関係」「スタッフの確保」「運営資金」の割合が大きかった。 イ検討の方向性 (本人活動の重要性の普及啓発) 〇当事者目線の新しい障がい福祉は、障がい当事者(本人)が生活の困難さにぶつかった時に、必要な支援を得ながら、本人が中心となってその課題を解決していくことを旨とすべきではないか。県は、そうした本人を中心とした活動を地域全体で支える仕組みを構築するために、本人活動の重要性について、広く県民に周知、啓発していくべきである。 (当事者団体の活動の活性化) ○地域生活で生じる様々な生活課題を抱えていて、障がい当事者同士の交友関係をもてない人がいるとの指摘があることから、県は、当事者同士が支え合う活動を活性化させる観点から、当事者同士のつながりや居場所を作っている当事者団体等の活動事例を、広く紹介するべきである。 (当事者の役割の拡充)  ○県が実施する障がい福祉施策関係の研修について、受講者が当事者目線の障がい福祉についての理解を深めるため、研修プログラムには、当事者の声を聞いたり、当事者にグループワークに参加してもらうことなどを取り入れるべきである。また、障がい当事者の権利擁護等にあたり、当事者が関わることが重要であり、県が設置する、障がい福祉に関連する各種調査検討委員会や自立支援協議会には、当事者の参加を必須とし、既に導入している場合には、さらなる拡大を検討するべきである。 (当事者の企業活動への参画) 〇企業者の商業サービスについて、障がい当事者が、障がい者の立場からチェック して意見を出すなどして、当該商業サービスがより多くの販売につながった事例がある。県は、ユニバーサルな社会を目指して、こうした企業活動への障がい当事者の参画事例を広く共有し、啓発するべきである。 (支援者の確保・養成) ○当事者団体の活動を継続するには、本人の主体性を最優先とした上で、その活動を適切に支援する人の存在も重要である。支援者のサポートを受けながら相談支援計画を作成している事例もある。県は、適格な支援者を確保、養成していく観点から、現に、当事者団体の活動をサポートしている支援者の活動実態を調査、把握することにより、支援の活動を続ける上での課題を明らかにし、その課題解決に向けての取組みを進めるべきである。 (意思決定支援への本人以外の当事者の関与) ○県においては、現在、サービス等利用計画や個別支援計画が、真に当事者の目線 で策定されるよう、その策定過程について、サービスを利用しようとする当事者及び家族を含めた多職種によるチームを編成し、本人の心の声にしっかり耳を傾ける意思決定支援の仕組みを導入することとしている。今後、県は、この多職種チームに、できる限り、本人以外の当事者の参加を奨励するべきである。 (ピアサポーターの活躍の機会の創出) ○現在、県は、精神障がい者のピアサポーターを養成しているが、その活動範囲は、精神科病院の長期入院患者の地域生活移行が中心とされている。ピアサポーターの活動は、同じ課題や環境を体験する人が、その体験から来る感情を共有することで専門職による支援では得がたい安心感や自己肯定感を得られるものとされており、知的障がいや身体障がいの分野においても必要な活動であると考えられ、ピアサポーターの養成研修の充実が求められている。こうしたことから、県は、ピアサポーターの活動範囲についての研究・検討を進め、障がい福祉全体で、国庫補助事業である「障害者ピアサポート研修事業」を活用して、ピアサポーターが活躍できる基盤を作るべきである。 ○また、ピアサポーターの活動は、現状では事業所内部での募集などに限られており、多くの当事者がピアサポーターになることを希望しているにも関わらず、事業所側がそれに応じられない状態が続いているとの指摘がある。県はピアサポーターの存在や効果などを事業所等に対して周知するなどし、ピアサポーターの活躍の機会を作り出すよう努めるべきである。 (ピアサポーターの養成後の活動支援) 〇さらに、県は、ピアサポーターを養成した後も、しっかりとフォローアップすることとし、その活動が孤立化しないよう、また、よりピアサポートの技術が向上するよう、ピアサポーター同士の交流の機会やスキルアップ研修の機会を設けるべきである。