第7回委員会における主な意見 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会第8回(令和4年1月24日)参考資料2 1 地域の福祉資源の充実について (1)関連領域(医療、教育、雇用、住宅、農業、商工等)との連携についてどう考えるか ○政令市、中核市を含む市町村との連携協力が必要不可欠であり、将来展望検討委員会の動向について、市町村にヒアリングを行って、どういう意見があるかを聞けるとよい。 ○自立支援協議会では、市町村や団体の代表が参加すると報告事項が多くなり、本来のニーズを拾う場としては形骸化する傾向にあると思う。県の自立支援協議会に、将来展望についての検討の部会を設け、実効性のあるものに仕立てるとよいのではないか。 ○自立支援協議会に、全部の障がい者と地域の民生委員にも入ってもらうとよい。本当に私たち障がい者が住みやすい町を、この町に合ったものを作ってほしい。 ○20年というスパンの将来展望を考えると、高齢化に伴って日中過ごす場所と、高齢化に伴う暮らしの課題があると思う。バリアフリーな設備が必要になってくることにも、対応してかなければいけないのではないか。 ○福祉サービスには定年は当然ない。加齢に伴い働くのが難しい方たちが、従前の福祉サービスを使いながら介護保険のサービスを使えるような柔軟な対応について、国の制度に関連するところではあるが、今後検討していかなければならないだろうと思う。そういう点では共生型サービスの参入があるが、実情が神奈川の場合どうなるか。 ○介護保険優先の原則の解釈が市町村によって異なり、65歳になると機械的に介護保険に移行する市町も散見される。神奈川県下の実情はどうなのかを調べてほしい。 ○関連領域の連携については、ごちゃまぜでいくという方向性で我々も考えていくべきだろう。夜間は暮らしているけれど昼間は違うところに行く、その場所を作っていくことを福祉関係者だけで考える必要はない。是非、神奈川県で中期展望として、考えていってほしい。 ○現在市町村事業となっている事業は、地域生活の中でとても大切な事業だが、それ自体が市町村の格差のためもあり、運営がとても難しい。市町村事業のあり方について、みんなが使えて採算もとれて喜んでできるように見直しをしてほしい。 ○障がい者雇用の面接では、人間性を見てもらえるような気がしない。自分の身の回りにも、採用側にも理解者がいないと不安になった。 ○施設の仲間が、救急対応が必要なときに、障がいを持っていることを理由に病院から断れることがある。仲間の命を守るためには誰もが安心して医療を受けられるように体制を作ってほしい。特に医療体制の構築については市町村よりも県の役割が大きいと思う。 ○幼稚園、保育園から小中学校でのインクルーシブな教育を位置付けてほしい。子どもの権利条約、障がい者の権利条約を起点に、学校も、職員も、家族も、根本を共有するというところから、子どもたちを考えなければならない。 (2)福祉人材の確保、育成についてどう考えるか ○仲間と一緒に成長しあえる職員がいい。諦めず、いろいろなことをチャレンジしてくれる職員が必要。職員は夢を持ってもらいたい。 〇アセスメントのスキルを上げるためには、リスクマネジメントも大事だが、利用者との関わりの中で、ニコッとしたこととかホッとしたことを事例として積み上げていくこと(にこりほっと報告)も大事。 ○本人の障がいの状態があり、それに対してどのような参加をしていくのか、環境があるのかによって、職員の量が必要なのか、質が求められるかというのは大きく変わってくる。ここを切り離して考えることはできない。 ○人材を集める意味で、神奈川の働きやすさについて、県が主導となって動画など配信するツールを使い、知事が音頭を取り、神奈川の人材の魅力度をアピールしてもらえるとよい。 ○共生社会を推進するには、小学生、中学生、若い年齢へのアプローチはとても大事。20年後を考えると、小学生も社会人になっているので、そこに関心をもってもらうきっかけ、仕組み作りが大事。障がいに係る福祉体験の機会を増やすなど考えられたらよい。 (3)障害者支援施設(県立障害者支援施設を含む)の必要性を含めたあり方をどう考えるか ○施設が必要な状態のときは、心も身体も傷ついているので、ただ入所させて管理するのではなく、傷を癒せる環境が必要。できればプライベートの空間がある施設がいい。 ○施設が縮小するなら、施設で暮らしている仲間たちの夢を持てるような行き場所を作ってほしい。 ○地域の人たちも手伝ってもらって、日中活動を考えていくというようなときの県立施設の役割は何だと考えたときには、短期入所が主流になると思うけれども、地域を見ていくという、これが重要。 ○職住分離などの活動は、その参加の仕方など、本当に多様性があってよい。県立施設の問題は、人の問題やお金の問題ではなく、暮らしの問題だということをとらえてほしい。 ○20年後は役割の縮小と転換ということ、こういう方向でいいのではないかと思うが、いろいろ立場によっていろいろ見解が異なるので、本当に20年後に上手くいくかなと危惧している。入所施設に頼るような障がい福祉からの脱却ということも含め、少し強めの言葉でもよいのではないか。 〇施設と地域は二者択一ではない。地域のサービスをだんだんと増やしても、結局は、施設入所の人たちの数はそれほど減らないというのはまさに、これを物語っている。 〇施設入所者数が減っているのであれば、実質的な入所の数がどうなっているかとかいうことも丁寧にこれから作ったほうがいい。 2 当事者目線の徹底と権利擁護について (1)本人活動についてどう考えるか ○施設で暮らす仲間とピープルファースト横浜の交流をしたい。施設のみが暮らしの選択肢ではないことを施設の仲間にも知ってもらいたい。そのことを行政や施設の人たちには、本気に取り組んでもらいたい。 ○当事者活動について、協力してもらって、本人ネットワークを作りたいと思う。そのためにお金がほしい。私たち当事者は活動資金がない。どんなところで何に困っているのだという当事者なりの発信をして、アンケートを作って、仲間を集めてそこで議論したいと思っている。 ○皆さんに当事者活動をよく知ってもらいたいので、できたら10分くらい時間をもらって活動紹介をしたいと思う。 ○身体障がい者には青い芝の会とか、いろんな団体があるが、知的障がいはそういう団体がなかった。育成会とピープルファースト、ともに一緒に歩まないといけないと思うので、情報交換の場所も作らないといけない。 ○当事者が福祉新聞等、情報の新聞を作りたいと思っている。本人向けでいろいろな記事を書いて、事件もそうだし、神奈川の住んでいる町の情報も載せたい。 ○本人活動というのは、その人の立場になって考えるということ。怒ったような言い方をすると彼らは分からなくなるので、常に冷静に話すこと。 ○神奈川県の協会では「あおぞらプラン」を作った。「あおぞらプラン」が当事者の声というのは、神奈川の歴史的にも当事者活動がいろいろな形で行われてきた部分があるので、ピアサポーターも含め、当事者活動の活性化というのは将来に向けてやってほしい。 ○当事者の方たちが障がい者福祉、あるいは現場を変えていく、そういう力を持っていると思う。虐待防止あるいは意思決定支援も含めて広い意味での障がい者の権利擁護に、当事者の方に是非関わっていただきたい。 ○知的障がいや発達障がいの方についても、ピアサポーターとして活躍してほしい。ピアサポーターとしての力が発揮されるには、勉強の機会や支援者が必要。研修のシステムであるとか、支援者養成のシステムそのものを作ることが必要だと思っている。 (2)虐待ゼロの実現に向けてどのように取り組むべきか ○施設での虐待報道に不安しか覚えない。虐待という言葉は多くの仲間に不安を与えていることを知ってもらいたい。社会でうまく暮らせないと鍵の中での暮らしにされてしまうことが不安。 ○虐待されたことに障がいの仲間が気が付くようになってもらいたい。こういうことが虐待ですよという、本人さん用の行政研修を是非お願いしたいと思う。 ○虐待防止法、委員会設置等、義務になっていくかと思うが、障がいを持った当事者にとって、合法的に拘束が許される形になる場合が出てくるのではないかと危惧している。 ○福祉事業を営むものにとってのコンプライアンスは、制度に対してではなく、障がいを持った方の幸せに対して考えていく必要がある。 (3)意思決定支援の推進についてどう考えるか ○育ちの中での経験、体験というのはとても大事であり、そういった経験と体験が意思を表出していくことになるだろう。 ○意思決定支援という言葉が独り歩きしているというところが正直ある。なぜ今、意思決定支援が必要なのかというところに立ち返りガイドラインを作ることが、現場の支援員にとっても大事な視点ではないかと感じている。 ○意思決定支援を行うに当たっては、仮説を実証していくというプロセスが大事。こうだろうというところから始まって、何度も何度も積み上げて議論をしていくことが大事。 ○意思決定支援会議で、たくさんの支援者の中で話をすると想像すると、緊張してしまい、頭が真っ白になるのではないかと感じた。会議の中で作られた紙一枚で自分の人生を決められたくない。 ○思いは変わる。一度言ってしまったら、それが全て自己責任になるのか、とても不安。意思決定支援という言葉は支援する側の強い言葉に聞こえる。 ○私たち抜きに私たちのことを決めないで、というのは、家族を指すのではなく、自分たち当事者を指す言葉。そのことは間違えないでほしい。 ○意思決定支援の最後、どこがゴールなのだろう。ゴールが見えない意思決定をやっても、それはいらないものだと思う。 ○意思決定支援という言葉が独り歩きしているというのは、そのとおりだと思う。意思、決定、支援、みんな意味がよく分からなく、分からないことが三つも並んでいると、全く分からなくなるという状態になっている。 ○我々が意思決定支援と言っている一番のポイントは、今までご本人の思いを全く無視していたという支援環境を変える、ということが全国的に問われているし、大きなうねりとなっているということである。 ○この領域の決定は、自己責任を追及しない決定である。まずかったねと言ったら、次も続ければいい。だからゴールはない。ずっと支援し続けるということで、それが意思決定支援の本質である。 ○意思決定支援のゴールは地域生活である。地域生活の実現が困難だったということは、意思決定支援の検証という観点からいくと、問題があった、うまくいかなかった。誰一人として、本人の意思で施設に入っていなかったわけで、もう一度聞きなおして、地域での生活をどのように考えていくかという機会、これがゴールである。 2 普遍的な仕組みづくりについて ○議会で「当事者目線の障がい福祉実現宣言」について議論しているのを見た。議会は新聞報道を基に意見をしている。新聞報道ではなく、自分たちの話をきいてもらいたい。それが私たち抜きで私たちのことを決めないで、ということ。 ○神奈川の条例は反対。いらない。ただ、もし条例を作るのだったら、埼玉、北海道、千葉、いろいろな条例の事例を見せてほしい。