参考資料1 第8回将来展望検討委員会ビジョンの実現に向けての取組みの方向性(案)の整理 (1ページ) 議論の視点(参考):津久井やまゆり園事件を契機に、地域共生社会の実現を図っていくべきではないか 論点:地域包括ケアシステムの対象拡大をどのように進めていくのか 現状と課題: ・「地域包括ケアシステム」は、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができる、地域の包括的な支援・サービス提供体制」を目指すものであり、国も県も、その構築を進めてきた ・近年、障がい分野と関連付けが進展し、国の障害福祉計画の基本指針において、精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築が成果目標とされた ・本県も、第5期障がい福祉計画(平成30年3月改定)の成果目標として、保健所等11か所に(政令市を除く)、関係者で障がい者の地域移行、地域生活を支える課題を協議する場を設置することとした ・平成29年、国の「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部において、地域住民の支え合いと公的支援が連動し、地域を「丸ごと」支える包括的な支援体制の構築を提唱 ・平成30年から「共生サービス」が、令和3年から重層的支援体制整備事業が始まり、介護と他分野の一層の連携を進める公的な仕組みが整備されてきた ・旧農漁村型のコミュニティに戻ることは困難であり、「新たな地域のつながり」が求められている ・人口減少と高齢化が進み、生活課題も複雑化、複合化していくことが予想される、いわゆる2040年問題の課題解決に向けて、地域共生社会の実現が求められている 検討の方向性 中期的な取組み: ・県は、市町村レベルでは困難な医療機関・団体との協力体制づくりに注力する(県) ・専門職が配置されている地域包括支援センターは大きな社会資源であり、県は、重層的支援体制整備事業等を活用し、障がい分野への対象拡大が進むよう市町村を支援する(県) ・障がい者が地域の大切な「担い手」として、耕作放棄地を再整備したり、移動商店街を展開したりするなどの取組みが広がっており、こうした情報の共有を図り、関係者の相互の連携を進める(県、市町村、事業者)    検討の方向性 長期的な取組み: ・地域包括ケアシステムは地域の再生につながる取組みであり、行政だけでは完結できないため、住民一人ひとりが自分事として捉えてもらえるよう、考え方を普及啓発していく(県、市町村) ・県は、地域間の格差が生じないよう、各地の取組みの実態を把握し、必要な総合調整を行う(県) ・「新たな地域のつながり」を作っていくために、支援する、支援される関係が固定されないよう、障がい福祉事業者は、地域での当事者の出番を創造する役割を果たすべき(事業者、市町村、県) 将来像(ビジョン)の要素: ○住み慣れた場所で、差別を受けることなく、安心して生活できる ○地域の担い手として活躍でき、能力を活かした就労の機会がある 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (2ぺーじ) 議論の視点(参考):津久井やまゆり園事件を契機に、地域共生社会の実現を図っていくべきではないか 論点:相談支援体制の充実についてどう考えるか 現状と課題: ・地域での生活は、入所施設と異なり、相談に応じてくれる人が必ずしも身近にいるわけではないので、伴走してサポートする相談支援員の役割は重要 ・計画相談に応じる全国の相談支援事業所は10,563か所であり、一般相談に応じる相談支援事業所は3,551か所(令和2年5月)、 実配置されている相談支援専門員は23,954人(〃)このうち、24時間365日対応が全体の28%(490市町村)、ピアカウンセリングを行うものも全体の36%(634市町村) ・本県の相談支援専門員の実配置人数は1,514人(令和3年3月)であるが、相談支援専門員養成研修を受けた人の66%が相談業務に就いておらず、他県に比べ、セルフプランの作成率が高いのは人員不足が一因との指摘 ・また、障がい者の地域生活を支える「地域移行支援」、「地域定着支援」及び「自立生活援助」の実績は、何れも見込量を大きく下回っている ・さらに、常勤かつ専従の相談支援専門員の配置事業所は全体の約13%であり、平均経験年数も約3.6年と短い ・相談支援の中核機関である基幹相談支援センターは11市町村で未設置、各圏域の自立支援協議会も設置が目的化して形骸化しているとの指摘 ・個人や世帯が抱える生活課題が複雑化、多様化していることに鑑み、今後、重層的支援体制整備事業を活用した包括的な相談体制づくりが必要 検討の方向性 中期的な取組み: ・相談支援専門員養成研修の受講者が相談支援業務に円滑に従事できるよう、課題の洗い出しを行い、その解決に向けた取組みを進める(県、市町村) ・相談支援専門員のアセスメント力の向上を図るための実践的な研修プログラムを策定し、実施する(県、市町村、事業者) ・県は、基幹相談支援センターの未設置市町村と連携して、設置を促進する(県、市町村) ・基幹相談支援センターの支援力向上のため、主任相談支援専門員を対象とした連絡会議を開催(県) ・圏域の相談支援事業の連携体制について、自立支援協議会や「相談支援ネットワーク形成等事業」の役割を整理し、再構築に向けた取組みを進める(県、市町村、事業者) ・自立支援協議会の活性化に向け、多職種・他機関のネットワークづくりについて、県は市町村と連携し、他県の好事例、運営ノウハウを共有するなどの取組みを進める(県、市町村、事業者) 検討の方向性 長期的な取組み: ・地域生活支援拠点の設置促進に向けた好事例の共有、関係者による協議の場の設定(県、市町村、事業者) ・伴走的支援体制を推進するため、相談支援専門員のみならず、地域の様々な機関・団体が連携し、「ひとりにさせない地域共生社会」についての学びを深め、多様なつながりができる環境整備を進める(県、市町村、事業者)  将来像(ビジョン)の要素: ○住み慣れた場所で、差別を受けることなく、安心して生活できる ○いつでも生活上の困難を相談できる機関、場所がある 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (3ページ) 議論の視点(参考):津久井やまゆり園事件を契機に、地域共生社会の実現を図っていくべきではないか 論点:障がい福祉関係施策の理念についてどう考えるか 現状と課題: ・基本理念は、企業でいうと企業の存在意義や目的を表明した企業経営の最上位にあり、障がい福祉関係施策においても、それがどうあるべきかという基本理念を据えて、ビジョンの実現に戦略的に取組んでいくべき ・我が国の障がい福祉の理念の大きな転換点は措置制度から支援費制度への移行であるが、国際障害者年以降の「ノーマライゼーション」理念や「自立生活」理念の定着が背景 ・平成18年、障害者権利条約が国連で採択され、我が国は、障害者基本法の改正、障害者差別解消法の制定等、国内法を整備し、平成26年に批准 ・本県の障がい福祉関係施策の将来展望の議論は津久井やまゆり事件が出発点であり、平成28年10月の「ともに生きる社会かながわ憲章」、令和3年11月の「当事者目線の障がい福祉実現宣言」には、共生社会の実現に向けての強い「思い」や「決意」が込められている 検討の方向性 中期的な取組み: ・現在検討が進んでいる条例の全体に通ずる基本的な理念については、「ともに生きる社会かながわ憲章」や「当事者目線の障がい福祉実現宣言」の「思い」や「決意」を出発点に、障害者権利条約等で確立した以下のような普遍的な考えを軸に、今後、全庁的、全県的に議論(県) @個人として尊重されること A心の声に耳を傾け、互いにいのち輝く支援の推進 B希望する暮らしの実現 C状態像に応じた個別のサポート D政策決定過程への当事者の参画 E持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現 Fオール神奈川で地域共生社会を創造    検討の方向性 長期的な取組み: ・県は、津久井やまゆり園事件を忘れず、オール神奈川で当事者目線の障がい福祉を推進していくよう、条例に定める基本理念を広く県民等と共有できるよう、普及啓発に取組む(県、市町村、事業者、県民) 将来像(ビジョン)の要素: ○住み慣れた場所で、差別を受けることなく、安心して生活できる ○障がい故の能力が発揮でき、いのち輝く、豊かな暮らしを営むことができる ○多様性と包摂性のある社会が実現し、その人らしい生活を送ることができる 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (4ページ) 議論の視点(参考):障がい者故の価値の創造や、SDGSの「誰一人取り残さない」持続可能な多様性と包摂性のある社会の実現を目指すという理念を生かすべきではないか 論点:多様な価値観の取入れについてどう考えるか 現状と課題: 【文化芸術活動】 ・我が国の障がい者の文化芸術活動は、近年、障がい分野だけなく、文化芸術分野からも機運が高まり、平成30年、「障害者文化芸術推進法」が成立 ・「文化芸術基本法」に基づく「文化芸術推進基本計画(第1期)」においても、障がい者による文化芸術活動の推進環境の整備等が重要な施策として位置づけ ・国は、国庫補助事業により障がい者の文化芸術の普及を進めており、県も、神奈川県障がい者芸術文化活動支援センターを運営し、人材育成やワークショップ等を実施 【ロボット・ICT技術の活用】 ・令和3年8月、総務省及び厚生労働省の合同勉強会において、「デジタル活用共生社会」の実現が提唱された ・今日、ロボット・ICT技術を用いた様々なコミュニケーションツール等が開発されているが、技術(シーズ)と必要性(ニーズ)のさらなるマッチングが重要 【SDGSと障がい者の社会参加】 ・ワーカーズコレクティブ、労働者協同組合、労働統合型社会的企業、支援付き中間就労といった働き方が、働き難さを抱える障がい者の就労の実現に向けて注目されている ・令和4年には労働者協同組合法が施行され、共同労働の場が法人格を得やすくなると期待されており、NPO法人と並ぶ新たな社会活動形態とてしての可能性がある 検討の方向性 中期的な取組み: ・障がい者の創作活動は、多くが自己表現の一つとして行われるものであり、芸術的な価値のみにとらわれずに、身近に自己表現を行う機会や作品発表の機会を増やす取組を進める(県、事業者) ・アーティストの発掘や創作した作品の展示の機会を創出する取組みを行ってきた「ともいきアートサポート事業」をさらに進めていく(県) ・地域における文化芸術に関する相談支援、ネットワーク形成、人材育成等に取り組むとともに、芸術家や専門家が福祉施設等を訪問・巡回し、利用者等と共に行う多様な創造活動を促進する取組みを進める(県、事業者) ・障がいの状態像に適切に対応してロボット・ICT技術の活用が進むよう、産業界と当事者、福祉事業者等が協働し、シーズとニーズをマッチングさせる取組みをさらに進める(県、事業者) ・行政、地域の関係機関・団体、住民が連携しながら、障がい当事者一人ひとりの「出番」を持続的に作っていくための、コンソーシアム(共同事業体)を立ち上げるなど、障がい者の就労の場の持続的な確保を目指す(県、事業者) ・企業の障がい者雇用の課題解決に向け、「ジョブヘルパー」などの提言も踏まえ、県関係部局間で連携を図るとともに、社会的企業、労働者協同組合等について情報を発信し、知見のある公益団体の協力を得ながら、その起業等を支援する(県、事業者) 検討の方向性 長期的な取組み: ・障がい者にとっても有用な高齢者向けのロボット・ICT技術について、障がい者が容易に利活用できるよう、機器開発及び販売事業者と連携し、適切に情報が得られる環境の整備に取り組む(県、事業者) ・SDGsの考えが、障がい福祉と深く関連付けられることについて普及啓発を図り、事業者等が積極的に関わる意識を醸成し、ポストSDGsに向けた議論の広がりを目指す(県、事業者、県民)  将来像(ビジョン)の要素: ○障がい故の能力が発揮でき、いのち輝く、豊かな暮らしを営むことができる ○多様性と包摂性のある社会が実現し、その人らしい生活を送ることができる ○地域の担い手として活躍でき、能力を生かした就労の機会がある 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (5ページ) 議論の視点(参考):障がい者故の価値の創造や、SDGSの「誰一人取り残さない」持続可能な多様性と包摂性のある社会の実現を目指すという理念を生かすべきではないか 論点:制度・施策の持続可能性についてどう考えるか 現状と課題: ・我が国の社会保障費は毎年増加しており、障害福祉サービス等予算額でみると、自立支援法施行からの13年間で、利用者数の伸びにより、予算額は3倍に増加 ・令和3年度の神奈川県の一般会計予算に占める民生費(福祉、子育て)の割合は約15%の3,120億円、このうち、障害福祉費については約725億円 ・神奈川県の財政力は、財政力指数5区分の上位から二つ目のBグループであるが、予算編成時に財源不足が発生するなど、依然厳しい状況が継続 ・近年の障がい者の人数は三障がいともに増加傾向にあり、高齢化の進行や、従事者の処遇改善も課題とされており、限られた財源の効率的で無駄のない執行が重要 検討の方向性 中期的な取組み: ・公的価格である障害サービス報酬の改定が適切なものとなるよう、国の議論を迅速かつ的確に情報共有するとともに、県内事業者が抱える制度上の課題がその議論につながるよう、双方向の情報のやり取りを行う(県、市町村、事業者) ・報酬の請求データや、国が構築する予定の障害福祉サービスに係るデータベース等から得られる情報を分析することにより、提供サービスの最適化を図る(県、市町村、事業者) ・社会福祉連携推進法人などの枠組みを活用した共同事業や、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることにより、事務コストを縮減する(県、事業者)     検討の方向性 長期的な取組み: ・公的サービスにインフォーマルサービスを適切に組み合わせることで、より豊かな暮らしを実現する(県、市町村、事業者、県民) ・本人活動を支援すること等を通じ、社会保障制度の動向についての情報を共有することにより、共に制度を維持していく努力を行うという機運を醸成する(県、事業者、県民) ・関連領域の関係機関・団体に対し、障がい及び障がい者への理解が深まるよう適切に情報提供等を行い、障がい及び障がい者について、あらかじめ、制度・施策に織り込んだものとするよう要請する(県) ・県本庁の現業業務については、外部委託に切り出し、政策の企画立案業務が中心となるよう転換を図るとともに、各圏域単位で、圏内市町村において政策が着実に実施されるよう、市町村の支援を行うコミュニティワーカーの配置を進める(県)   将来像(ビジョン)の要素: ○障がい故の能力が発揮でき、いのち輝く、豊かな暮らしを営むことができる ○多様性と包摂性のある社会が実現し、その人らしい生活を送ることができる 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会