資料4 本県の意思決定支援のあり方について (1ページ) 〇津久井やまゆり園で取り組んできたこと 【意思決定支援の目的】→障がい者が、”自らの意思が反映された生活を送ることができる”こと 津久井やまゆり園では、平成29年10月に策定した「再生基本構想」に基づき、国のガイドラインを参考に、次のとおり、意思決定支援に取り組んできた。 ■意思決定支援チームの設置:利用者ごとに、相談支援専門員、支援スタッフ、市町村・県職員などで構成するチームを置いた。 ■意思決定支援専門アドバイザーの配置:客観性、専門性を担保するため、弁護士、相談支援の専門家、有識者(計7名)が適宜入り、助言した。 ■県職員による伴走型の支援:県職員が、すべてのチームに加わり、一緒になって個々の取組を進めた。 ■定期的なモニタリング:チームが定期的に集まり、情報共有とプランの見直しを実施した。 (2ページ) ○津久井やまゆり園での取組の成果 これまでの意思決定支援の取組によって得られた成果は次のとおりである。 1生活の場の選択 生活の場の選択ができた。 結果:津久井:44名、芹が谷:57名、グループホーム等:10名程度 2利用者の変化 意思を尊重し、本人の可能性を引き出すアプローチにより、表情の好転や意思の表出増加など、本人自身の変化が見られた。 3支援者の変化 支援者に、利用者目線の考え方が浸透し、その結果、身体拘束や居室施錠の減少など、支援の質が向上した。 (3ページ) ○津久井やまゆり園での取組の課題 (意思決定支援が必要な場面) 日常生活場面:食事、衣類の選択、外出や入浴・・・など 社会生活場面:アパートやグループホームホームなどの住まいの場の選択・・・など 津久井やまゆり園での取組の中で見えてきた課題は、次のとおりである。 ■“社会生活場面(住居や職場など)”の意思決定は、さらなる支援が必要。 ・施設が整備されるまでに、津久井と芹が谷のどちらに住むかを決めることにウエイトを置かざるを得なかった。 ■コロナ禍で、引越し先やグループホームの体験が十分にできていない。 ・本格的な体験を実施しようとした矢先に、コロナ禍となってしまった。 その他、こんな課題があることもわかってきた。 ■事業所アンケートの結果、意思決定支援への理解が不十分なことが確認された。 ・県所管域の入所施設49施設中、回答した32施設すべての事業所が、意思決定支援に「取り組んでいる」と回答。 ・しかし、中身は、「食事の選択」など日常生活場面の意思決定支援がほとんどで、社会生活場面の意思決定支援について取組んでいると回答した施設は少なかった。 (4ページ) ○津久井やまゆり園の取組をきっかに気づいたこと(神奈川の特色) 津久井やまゆり園の取組をきっかけに気づいたことは、次のとおりである。 ■“本人の望む暮らし”は、常に本人の心の声に耳を傾けることでわかってくる。 ■心の声は揺れ動くものだから、一度きりで終わりではない。  ■本人の望む暮らしを考えるためには、見たり聞いたり体験することが、極めて重要。 ■本人と望む暮らしをともに考え、支援者との双方向の喜びにつなげることが大切。 →津久井やまゆり園利用者の意思決定支援は続いている。 (5ページ) 「当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会」委員の主な意見 ■取組について ・思いは変わる。変わった時に、話を聞いてもらえるか。 ・経験や体験というのは、とても大事。 ・ゴールは無い、ずっと支援し続けることが意思決定支援の本質。 ・意思決定支援のゴールは地域生活。誰も本人の意思で施設に入っていないので、もう一度聞きなおしてほしい。 ・一番のポイントは、今までは本人の思いを無視していたという支援環境を変えること。 ■「意思決定支援」という言葉について ・意思決定支援という言葉は、支援する側の強い言葉に聞こえる。 ・言葉は、本人たちの間でも定着してきている。でも、難しい言葉であることは確か。急に無理に変えられてしまうと混乱するし、本人たちを不安にさせてしまう。 ・意思決定支援の言葉が独り歩きしている。意思、決定、支援、の意味がよく分からない。 (6ページ) ○本県の意思決定支援のあり方について 【目的】自らの意思が反映された生活を送ることができること※津久井やまゆり園の取組と同じ 【前提】一人ひとりに尊重されるべき意思がある※津久井やまゆり園の取組と同じ 【特色】1 心の声に耳を傾け「本人の望む暮らし」を一緒に考える。2 ゴールはない。様々な体験等、トライアンドエラーを繰り返し、継続してやっていく。3 双方向性。当事者だけでなく職員や周囲の人たちの喜びにもつながるもの。 【ネーミング】「意思決定支援」という言葉は、当事者の間でも一定程度、定着していることから、神奈川の特色を示す部分には、サブタイトルを付けて表現することとしてはどうか。例えば、「当事者意思尊重推進」、「心の声実現サポート」、「意思実現サポート」など。 【今後】本県の特色とともに、他の先駆的な取組事例を盛り込んだ県版ガイドラインを作成し、事業者との対話(キャラバン)などを通じて全県に普及させる。