当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会、第7回(令和3年12月22日) 参考資料1 ビジョンの実現に向けての取組の方向性(案)の整理 (1ページ) 議論の視点(参考):障がい者は地域社会を構成する一員であり、本人が希望する場所で、尊厳をもって、その人らしく暮らすことが当たり前であるべきではないか 論点:関連領域(医療、教育、雇用、住宅、農業、商工等)との連携についてどう考えるか 現状と課題: ・障害者基本計画において、障がい者が各ライフステージを通じて適切な支援を受けられるよう、教育、文化芸術、福祉、医療、雇用等の各分野の有機的な連携の下、切れ目のない支援を行うことが必要、としている ・県の障がい関係施策も福祉部局に留まらないことから、関係部局が連携し、施策を一体的に実施することが重要 ・障がい者の地域生活支援を実効性のある取組みとするには、政令市、中核市を含む市町村との連携も必要不可欠 ・さらに、障がい者団体、職能団体、企業、経済団体等の協力を得る必要があり、とりわけ、障がい当事者(本人)の活動団体は当事者目線の障がい福祉の推進には不可欠 ・自立支援協議会など、関係機関が連絡調整を行う既存の仕組みはあるが、形骸化しているとの指摘 検討の方向性 中期的な取組み: ・障がいの重度化、高齢化が進行し、医療ニーズが高くなっても地域生活を続けるため医療との連携は重要、今後は、市町村レベルで、医療と福祉の効果的な連携のあり方を検討(県、市町村) ・教育分野では、インクルーシブ教育の推進を図るほか、放課後等デイサービス事業者と学校との情報共有の促進、教育関係者に対する福祉制度の研修実施、障がい児のきょうだいに対する支援ニーズの早期の把握等に努力(県、市町村) ・保育所での障がい児の受入促進のため、保育所等訪問支援が活用されており、今後さらに拡充(県、市町村、事業者) ・雇用分野では、一般就労した障がい者の職場定着について、就労系障害福祉サービス提供事業者が、ハローワーク等と協働を推進(県、事業者) ・住宅分野では、一般住宅の利用の円滑化策(居住支援協議会)の推進、障がいの状態像に応じた住宅改修のノウハウの蓄積と情報提供を促進(県、市町村) ・農業分野では、「農福連携」の一層の推進を図る(県、事業者) ・運輸分野では、介護の地域支援事業で取り組む移動支援のノウハウについて障がい分野で活用を図る(県、市町村) ・商工分野では、障がい者の地域生活がより豊かになるよう、商工会、観光業者、商店街、生協などの既存の社会資源を活かすための支援コーディネーターの設置を検討(県、市町村) 検討の方向性 長期的な取組み: ・地域包括ケアシステムに障がい分野全体も加えていくことを念頭に、関係部局と連絡調整を進め、各施策の滑らかな連結に努める(県、市町村) ・関連各分野が一体となって、当事者目線の障がい福祉を推進していくための、知事をトップとした全庁的な推進体制を組織(県) 将来像(ビジョン)の要素:医療や教育などの関連領域との連携により、生活課題が解決される 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (2ページ) 議論の視点(参考):障がい者は地域社会を構成する一員であり、本人が希望する場所で、尊厳をもって、その人らしく暮らすことが当たり前であるべきではないか 論点:福祉人材の確保、育成についてどう考えるか 現状と課題: ・推計では、今後20年で労働力人口は約1000万人減少し、介護分野と同様の推計比率を障がい分野に当てはめると、20年後の2040年には、約25万人が不足すると予想 ・国は平成3年頃からマンパワー確保対策を講じてきており、平成19年に新たな人材確保指針を策定 ・国は、福祉事業従事者の福利厚生の充実、退職手当共済制度、処遇改善交付金等の措置を講じるとともに、外国人労働者の福祉分野への誘導策も実施 ・今日、福祉分野の有効求人倍率は、他産業よりも大きく(人手不足感が大きい)、とりわけ大都市圏はその差がさらに大きい状況 ・給与水準が直近の毎月勤労調査で全労働者が約33.7万円に対し、福祉・介護は31.3万円と下回っている一方で、離職率は全産業との差は殆どなく、離職理由は「人間関係」が一位 ・ロボット・ICT技術の導入やキャリアパス制度が整備されるなど、職場環境の改善が急務 検討の方向性 中期的な取組み: ・国が実施する処遇改善加算の申請率の向上を図り、給与水準の改善につなげる(県、事業者) ・ロボット・ICT技術の円滑な導入のためのシーズ・ニーズのマッチングの機会を設ける(県、事業者) ・産業カウンセラーの派遣を可能にする仕組みを整えるなど、メンタルへルス対策を進める(県) ・やる気のある職員が孤立したり燃え尽き症候群にならないように、スーパービジョンやコンサルテーションの導入を進める(県、事業者) ・社会福祉連携推進法人の仕組の活用を図りながら、法人間の人事交流等を進めることにより、キャリアラダーの設計につなげる(県、事業者) ・現役の職員のキャリアアップを図るため、リカレント教育を受けやすくする方策を検討する(県、事業者) ・障がい福祉の仕事に関心をもってもらうため、情報発信を工夫するとともに、障がい福祉の仕事に関するWEBサイト等を整備する(県、事業者) ・ボランティアやアルバイトで事業所に関わりをもった人に丁寧な対応を行い、就業につながるよう努める(事業者) ・事業所等で長期のインターンを受入れ、就業後のミスマッチを防ぐ 検討の方向性 長期的な取組み: ・企業者と連携の上、「創業等支援措置制度」を活用し、元気高齢者の障がい福祉分野への就業を促す(県、事業者) ・移り住んで障がい福祉の仕事に就きたいと考える人を増やしていくため、働くエリアと住むエリアの魅力を情報発信する取組みを進める(県、市町村、事業者) ・人材確保は一市町村だけでは困難な課題であり、県がリーダーシップを発揮して、関係者と緊密に連携しながら、重層的で広範な取組みを進めることが重要(県、市町村、事業者) 将来像(ビジョン)の要素:※次の将来像(ビジョン)を実現するために必要不可欠な人材の確保が円滑に進む ・重度の障がいでも地域生活が可能な支援体制がある ・いきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある ・いつでも生活上の困難を相談できる機関、場所がある ・地域の担い手として活躍でき、能力を活かした就労の機会がある 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (3ページ) 議論の視点(参考):障がい者は地域社会を構成する一員であり、本人が希望する場所で、尊厳をもって、その人らしく暮らすことが当たり前であるべきではないか 論点:障害者支援施設(県立施設を含む)の必要性を含めたあり方をどう考えるか 現状と課題: ・障害者基本法では、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられない」とされている ・国の障害福祉基本計画では、グループホーム等の地域の受け皿を整備しながら、入所施設については、段階的・計画的に縮小していく方針とされている ・実際、入所施設入所者の数は減少しており、今日、グループホーム入居者数の方が、それを上回っている ・一方で、「親なき後」の恒久的な居住の場として、入所施設に安心感を持つ親もある ・今日、障がいの重度化、高齢化、医療ケアの必要性など、新たな課題も生じており、入所施設がどうかかわっていくべきか具体的に考えていく必要 ・また、入所施設が、戦後間もないときに、在宅の障がい児・者を受け止めてきたという歴史も踏まえておくことが重要 ・その上で @入所施設でしか担えない役割、A入所「待機者」の需要とは何か、B現入所者のケアをどうするのか、といった論点を十分に検討することが必要 検討の方向性 中期的な取組み: ・障がい当事者の施設での暮らし、地域での暮らしに関する考えは、立場によっても異なり、様々な意見があるが、今日、ノーマライゼーションの考えに基づき、地域における本人中心の当たり前の暮らしを可能とすべき(県、市町村、事業者) ・県がしっかりと関与し、自立支援協議会の場で議論を重ね、県下の各事業者の理解、合意の下で、社会福祉連携推進法人や地域生活支援拠点の仕組みを活用しながら、神奈川全体で、必要な支援の組み立てを行っていく ・具体的には、@日中活動、A住まい、B移動、C居宅支援、D相談、E集いの場、F地域のつながり、について充実させ、入所施設の機能の分散化を図っていく(県、市町村、事業者) 検討の方向性 長期的な取組み: ・施設機能の分散化を図りながら以下を目指す(県、市町村、事業者) ◎県立施設については、機能(市町村支援、基幹相談支援、研修機能)の移転を進め、規模を縮小の上、民間移譲を目指すこととしてはどうか(県として求められる臨床研究的役割、人材育成は別途検討) ◎旧来の保護収容型の障害者支援施設は解消を目指す。新規入所は、緊急時対応を除き、原則として有期の自立訓練のみとすることとし、併せて、実質的な「昼夜分離」を進め、施設の機能は、居住支援(夜間の支援)に特化させることとしてはどうか(地域に対する日中活動サービス等の提供は妨げない)   ※ 夜間部分(施設入所支援)の報酬だけで運営を維持できるかが課題(国への要望も検討) ・障害者支援施設の役割の縮小、転換を図り、緊急時対応と通過型のサービス提供に重点化することを、2040年頃の目標とすることとしてはどうか(県、市町村、事業者) 将来像(ビジョン)の要素:いきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (4ページ) 議論の視点(参考):障害福祉において、家族目線・支援者目線ではなく、当事者目線の考えを徹底するべきではないか(意思決定支援など) 論点:本人活動についてどう考えるか 現状と課題: ・身体障害者の自立生活運動から始まったピアサポートは、近年、知的障がいや精神障がいの分野にも広がっている ・国においても、令和2年度に障害者ピアサポート研修事業を創設して、ピアサポーターの養成等を支援している ・県では、精神障がい当事者のピアサポーターを養成し、精神科病院からの退院促進を行っている ・また、県社協は、当事者活動への費用助成を実施している ・国の調査によると、ピアサポーターの活用資金の不足、活動の幅の拡大、活動する場の不足などが課題とされている ・本人活動の課題としては、利用者の対人関係、スタッフの確保、運営資金などが挙がっている 検討の方向性 中期的な取組み: ・本人活動を広く県民に周知、啓発する(県) ・県が行う福祉関係の研修に当事者の声を聴くプログラムを用意したり、県が設置する障がい福祉関連の調査研究会には、障がい当事者の参加を必須化を検討(県) ・意思決定支援の多職種チームに、本人以外の当事者の参加を奨励する(県) ・ピアサポーターの活動範囲について、知的障がいの分野にも広げていくための検討を進める(県) ・ピアサポーター養成後のフォローを行い、交流会やスキルアップの機会を設ける(県、市町村、事業者) 検討の方向性 長期的な取組み: ・企業活動への障がい者の参加事例について広く情報共有し、啓発する(県) ・本人活動の支援者の養成・確保を図るため、支援者の現状について実態把握を行い課題を明らかにする(県) 将来像(ビジョン)の要素:支援者と対等な関係で、良き暮らし、良き社会を目指して協働できる 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (5ページ) 議論の視点(参考):障害福祉において、家族目線・支援者目線ではなく、当事者目線の考えを徹底するべきではないか(意思決定支援など) 論点:虐待ゼロの実現に向けて、どのように取組むべきか 現状と課題: ・虐待は重大な人権侵害であり、我が国では、平成24年に障害者虐待防止法が施行され、虐待防止のための諸施策が実施されている ・虐待防止法に基づく通報は増加傾向にあるが、虐待判断件数は横這いとなっている。また、被虐待者の障がい種別は知的障がいが最も多く、虐待行為の類型では、身体的虐待が最も多い ・国の研究では、施設等での虐待の防止には、職員のスキル養成、管理者の公正な姿勢、風通しの良い組織風土の醸成が重要であるとしている ・県立施設では、先の検証委員会や検討部会により、長時間の身体拘束などの不適切な支援が複数確認され、虐待が疑われる事案も確認された ・県直営の中井やまゆり園においても、長時間の居室施錠などの不適切な支援が行われている旨の報道がなされ、現在、改革プロジェクトチームにより、支援の改善に向けた取組みが進められている ・県は、県立施設における身体拘束等の実施状況を公表するとともに、定期モニタリングの強化などに取り組んでいる ・また、県は、広く県民に対する虐待防止や権利擁護に関する意識啓発のための講演会を実施したり、市町村担当職員や施設管理者を対象とした虐待防止・権利擁護研修を実施している 検討の方向性 中期的な取組み: ・権利擁護の観点から、施設等で意思決定支援が適切に行われることが重要であり、意思決定支援の取組を進める(県、市町村、事業者) ・虐待防止につなげるため、支援スキルの向上を図るための階層別の研修会を実施(県、事業者) ・身体拘束によらない支援を進めるため、適切なアセスメントの手法を確立する(県、事業者) ・権利侵害が疑われるヒヤリハットの事例の分析と再発防止の仕組みを各事業所において構築(県、市町村、事業者) ・事業所等における虐待防止委員会の設置を必須とし、組織的な虐待防止の取組につなげる(県、市町村、事業者) 検検討の方向性 長期的な取組み: ・市町村の虐待防止に関する知見の蓄積を支援(県) ・事業所等は、支援の好事例の情報発信に努め、第三者から支援を評価され、さらに良い支援につなげる好循環を作る(県、事業者) ・障がい当事者が事業所等の支援内容を直接見て、評価・検証する仕組みを構築する(県) 将来像(ビジョン)の要素:本人の意思決定が尊重され、権利擁護の仕組みが機能している 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (6ページ) 議論の視点(参考):障害福祉において、家族目線・支援者目線ではなく、当事者目線の考えを徹底するべきではないか(意思決定支援など) 論点:意思決定支援の推進についてどう考えるか 現状と課題: ・総合支援法において、事業所等の責務として、障がい者の意思決定の支援に配慮するよう努める旨が盛り込まれた ・平成29年3月、厚労省は「意思決定支援ガイドライン」を示し、意思決定支援の定義と、事業者等が取組む意思決定支援の枠組みを明らかにした ・県は、津久井やまゆり園再生基本構想に基づき、厚労省が示したガイドラインも参考にし、県独自の意思決定支援に取組み、本人の願いや希望に沿った、サービス等利用計画及び個別支援計画の策定を目指した ・先の検討部会報告書において、津久井やまゆり園で取り組んでいる意思決定支援を、県下の入所施設等においても実施することが重要とされた ・現在、県内4施設において、意思決定支援のモデル事業を実施しており、その結果を参考に、年度内に「かながわ版意思決定支援ガイドライン(試行版)」をまとめる予定 ・一方で、将来展望委員会において、津久井やまゆり園における意思決定支援の成果について、所期の目的を果たせたのか、しっかりと検証すべき、との意見も出されている 検討の方向性 中期的な取組み: ・津久井やまゆり園で行ってきた意思決定支援の手法を、まずは、他の県立施設から実践し、民間施設での実施のモデルとする(県) ・ヨコ展開に先立ち、津久井やまゆり園でのこれまでの意思決定支援の取組について、評価・検証を行う(県) ・意思決定支援を県下に広げていくために、しっかりした推進体制を構築する(県) ・意思決定支援を実施する際には、以下のことに留意する(事業者) ◎利用者一人ひとりに、多職種からなる個別のチームを設ける ◎入所施設の利用者に対しては、入所に際しての諸事情に十分配慮する ◎本人の願いや希望の実現のため、生活の範囲を入所施設内に限らず、施設外の様々な生活を体験してもらい、施設側も、積極的に地域に関わっていく  検討の方向性 長期的な取組み: ・市町村の虐待防止に関する知見の蓄積を支援(県) ・事業所等は、支援の好事例の情報発信に努め、第三者から支援を評価され、さらに良い支援につなげる好循環を作る(県、事業者) ・障がい当事者が事業所等の支援内容を直接見て、評価・検証する仕組みを構築する(県) 将来像(ビジョン)の要素:本人の意思決定が尊重され、権利擁護の仕組みが機能している 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会