当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会、第6回(令和3年11月24日) 参考資料1 ビジョンの実現に向けての取組の方向性(案)の整理 議論の視点(参考):強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など、困難性の高い課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか 論点:行動に課題のある人に対する支援についてどう考えるか 現状と課題: ・強度行動障がいとされる人は全国で約8,000人と推計(H25)、行動援護対象者は14,254名(R元)であり、神奈川県内(政令市を除く)で、強度行動障がいとされる人は1,310人と把握されている(H29) ・神奈川では、強度行動障がいの人の約60%が入所施設で生活 ・県立施設にも多くの行動に課題のある人が入所しているが、県立施設の支援は、検証委員会等で不適切な身体拘束等を指摘され、課題は多い ・公的サービスにおいては、強度行動障がいの人の支援に対する報酬上の評価がなされており、必要な研修を受講することが要件 ・上記研修は、県において実施しているところ、量も質も(より実践的なものにする等)改善すべき ・民間施設において、行動に課題のある人の支援に取組み、地域生活につなげている好事例もある ・発達障害者支援法を踏まえた施策の進展も期待 検討の方向性、当面の取組み: ・支援のノウハウの蓄積を神奈川全体の広域で取組み、事例検討や実践報告の場を設ける(県、事業者) ・「行動障がい」についての理解が広がるよう県民への周知に取組む(県、市町村) ・一人ひとりの状態像に応じた支援のために適切なアセスメントとモニタリングが重要。その手法の確立を図る(事業者、県) ・全ての支援員が、行動に課題のある人の支援に関する基礎的な研修を受けることとし、また、より実践的で高度な研修の機会を設ける(県) ・スーパーバイズやコンサルテーションの機会を設け、支援の評価を適切に行うとともに、支援者が燃え尽きないようにサポートする(県、事業者) ・居宅サービス等を活用した行動に課題のある人の地域生活のためのモデル的な取組みを行う(県、市町村) 検討の方向性、中・長期的な取組み: ・施設に入所する際には「約束と合意」を前提にし、運営規定等に明示する(事業者) ・入所施設の個室化、ユニット化を進め、行動に課題のある人の生活の質を高めるとともに、グループホームの受入が進むよう、住環境と人員配置の改善に努める(県、事業者) ・行動に課題のある人を受入れている施設や事業所は、「地域を作る」という意識で支援を組立てていく(事業者、県、市町村) ・療育・教育の予防的な取組み(適応障害にしない取組み)、著しい行動障がいゆえに地域生活等が破綻しかけている人の支援体制を進める(県、市町村、事業者) ・神奈川全体で、行動に課題のある人に対する支援のネットワークを構築することとし、専門性の高い支援のノウハウを持つ事業者をその拠点として指定し、人材育成や施策の評価・効果測定等を行う(県、市町村、事業者) 将来像(ビジョン)の要素:安心した地域生活が可能となるよう、それぞれの障がいの状態像に応じた支援体制がある 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 議論の視点(参考):強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など、困難性の高い課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか 論点:障がい者の高齢化に伴う支援のあり方についてどう考えるか 現状と課題: ・65歳以上の障がい者は全国で487 万人と推計(H28)うち、2.9万人が入所施設を利用しており、1.4万人がグループホームに入居している ・2040年の在宅の高齢障がい者は全国で約390万人と推察される ・平成30年に共生型サービスが創設され、介護サービスを障がい者が利用しやすくした他、障がい者が介護支援施設に入所した際の利用者負担の軽減措置についても併せて創設され、障がい福祉と介護の連携が強化されてきた ・ターミナルケアが必要となった場面の支援については、障がいに関わらない課題であり、障がいがあるがゆえに適切な対応がなされないことは問題 検討の方向性、当面の取組み: ・高齢になっても、地域での生活を維持することができるよう、訪問看護や訪問医療を受けやすくする(県、市町村) ・夜間の緊急時に対応できるよう、入所施設やグループホームの夜間の看護師配置を強化する(県、市町村、事業者) ・高齢の障がい者の支援のノウハウを身につけ、支援に活かすよう必要な研修の機会を設ける(県、事業者)  検討の方向性、中・長期的な取組み: ・共生型サービスについて制度周知を図るなどして実施事業者を増やす(県、市町村、事業者) ・障害福祉サービス提供事業所の専門職が、高齢の障がい者支援のノウハウを介護サービス事業所に対し助言を行う(県、事業者) ・自立支援協議会などの場を活用して、障がい福祉、介護、医療などの関係者が情報交換、課題共有を行い、高齢の障がい者に対する総合的な支援ができる体制を作る(県、市町村、事業者) 将来像(ビジョン)の要素:安心した地域生活が可能となるよう、それぞれの障がいの状態像に応じた支援体制がある 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」 議論の視点(参考):強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など、困難性の高い課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか 論点:障がい者支援施設からの地域生活への移行を進める方策についてどう考えるか 現状と課題: ・障害者総合支援法は「どこで誰と生活するかについて選択肢が確保され、地域社会において他の人々と共生することが妨げられないこと」と基本理念を定め、全国的にグループホームや日中活動の場の整備が進んできた ・入所施設からの地域移行はこれまで様々取り組まれてきているが、足元ではやや鈍化の傾向 ・重度の障がいの人もグループホームに移行できるよう、平成30年度に日中サービス支援型グループホームが創設、県もグループホームの加配人件費や改修費の補助を行い、居住支援の充実に注力しているところ ・一方で、入所施設が一番適切であり地域移行は不要という意識の施設も一定数存在し、本人の地域での体験を広げるとともに、心の声に耳を傾け、願いや希望に寄り添った支援が重要 ・地域移行には相談支援事業所の役割が重要だが人員不足が課題 ・施設か地域かという問いかけではなく、どのような暮らしをするのかを考える必要 検討の方向性、当面の取組み: ・どのような暮らしが良いのか、本人の願いや望みを確認する意思決定支援に取組む。とりわけ県立施設は率先して取り組む(県、市町村、事業者) ・入所施設内に地域移行に取組む専任の要員を置き、関係機関との連絡調整を行う(事業者、県) ・県は、地域生活体験用のグループホームやサテライト施設を設置するなどに取組み、入所施設の利用者には、できる限り地域で生活の体験を行ってもらうようにする(事業者、県) ・施設が提供する日中活動はできる限り施設外に出ていくようにする(事業者、県) 検討の方向性、中・長期的な取組み ・入所施設は自立支援協議会に積極的に参加し、関係者との連携に努める(事業者、県、市町村) ・県立施設は地域生活移行のロールモデルとなるよう取組む(県) 将来像(ビジョン)の要素:いきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 議論の視点(参考):強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など、困難性の高い課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか 論点:日中活動のあり方についてどう考えるか 現状と課題: ・平成18年の障害者自立支援法が施行され、日中活動の公的な提供サービスとして、生活介護や就労支援B型事業等の事業所開設が進んできた ・今日、障がい者の地域生活を支える重要な社会資源となっているが、@利用者の高齢化への対応、A行動に課題のある人や医療的ケアが必要な人の支援、B支援員の確保、が大きな課題となっている ・また、@自法人の相談支援事業所によりサービス等利用計画を策定することが権利擁護の観点から問題ではないか、Aノウハウのない営利法人等の参入が増大し、質に課題があるのではないか、B生産活動を行う場合の工賃の水準が低い、C一般就労につなげる取組が弱い、D地域生活支援事業との組み合わせによるより多様な日中活動のあり方を検討すべき、といった指摘もある  検討の方向性、当面の取組み: ・事業所数の増加に対応し、適切かつ効率的な事業所指導を行っていく必要(県、市町村) ・利用者の高齢化、行動に課題のある利用者や医療的ケアが必要な利用者にきちんと対応できるための支援スキルを学ぶ機会を確保する(事業者、県、市町村) ・サービス等利用計画の策定に際し、意思決定支援の手法を取入れ、多職種によるチームで検討を行う仕組みを導入する(県、市町村) ・小規模な事業所に対する経営指導を実施する(県) ・就労支援事業所の事業内容の充実を図るための意見交換、好事例等の共有の場を作る(県、事業者) ・企業との連携を強化し、一般就労につながる取組を進める(県、市町村、事業者) 検討の方向性、中・長期的な取組み: ・相談支援専門員の養成の強化、資質の向上(県、市町村) ・地域生活支援事業を組み合わせた、より多様な支援の実施(県、市町村) 将来像(ビジョン)の要素:いきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 議論の視点(参考):強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など、困難性の高い課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか 論点:居住支援のあり方についてどう考えるか 現状と課題: ・入所施設ではない公的な居住支援サービスを推進すべく、国、自治体、事業者が連携しながら、グループホームの整備に注力してきた ・グループホームは制度発足当初は、身辺自立した障がい者の利用を想定したものであったが、重度の障がい者の受入も念頭に、夜間支援員の配置、強度行動障がいの人の受入に伴う報酬上の評価、医療との連携を図る加算など、制度の改善が図られてきた ・また、民間賃貸住宅や公営住宅への入居についても検討されるべきだが、国土交通省と厚生労働省との連携により進めている住宅支援協議会は、高齢者への対応を主題としており、今後の取組みに期待 検討の方向性、当面の取組み: ・グループホームにおいて重度の障がい者の受入れを容易にするための改修費用の助成を引き続き実施する(県、市町村、事業者) ・平成30年度に創設された「日中サービス支援型」グループホームについて、全国の先進事例を収集し、制度の周知を図り、事業者の取組みを促す(県) ・グループホームの開設運営に新規参入した法人に対し、質の確保を図るための経営指導を行う(県、市町村) ・民間賃貸住宅の利用を円滑にするため、神奈川県居住支援協議会に参画するとともに、住宅確保要配慮者居住法人等と連携を図る(県) 検討の方向性、中・長期的な取組み: ・住まいをどこにするか、本人の意向を良く聞くことが重要であり、意思表出が難しい人には、意思決定支援を行いながら、サービス等利用計画を作成する必要(県、市町村、事業者) ・建物構造の整備ノウハウを関係者が容易に得られるよう、知見を有する機関との連携関係を作る(県) 将来像(ビジョン)の要素:いきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある 将来像(ビジョン):「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会