当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会、第6回(令和3年11月24日) 資料3 普遍的な仕組みづくりについて (1ページ) 将来展望検討委員会中間報告及び県議会意見(抜粋) 【中間報告(抜粋)】むすびに代えて〜当事者目線の障がい福祉の今後の議論に向けて  (5)さらなる議論へ ・また、今般の「中間報告」を取りまとめる議論の過程において、将来展望委員会が策定する神奈川の障がい福祉の将来展望(ビジョン)の実現に向けた取組みを着実に実施するには、県が本気で取り組まないとダメだ、といった意見や、行動指針、行動計画、あるいは条例の設置といった仕組みを求める意見もあった。また、「『ともに生きる社会かながわ憲章』が分かりにくい。障がい当事者の意見も聞いて新しいルールを作ってほしい」という意見が出されるとともに、今般の議論を一過性のブームにせずに、県が条例を作って、障がいのある人たちの、入所施設だけではない居場所を、県民一人ひとりが作っていく決意を示すべき」という意見も出された。将来展望委員会としては、今後、さらに議論を深め、当事者目線の障がい福祉を基礎とした、いのち輝く共生社会の実現に向けた施策の方向性を明らかにしていく予定であり、県は、本委員会の今後の議論の推移を注視し、ビジョンに基づいた施策を確実に実施するための、条例も含めた普遍的な仕組みづくりについて検討を進めていただきたい。 ・なお、当事者委員から、他県の差別禁止条例や「ともに生きる社会かながわ憲章」は「ちょっと難しい」とか、「分からない」といった意見が出された。新たな条例等を検討する場合には、県は、障がい当事者の意見をよく聞き、障がい当事者の「言葉」や「思い」を組み込んだものにすべきである。 ・加えて、将来展望委員会のような会議体が実効性を持つためには、この下に実務担当者のサブグループを設けることが肝要で、会議体の下に支援者、障がい当事者などによるサブグループを作り、報告書の提言を具体化していくことが重要であるとの意見があった。これについても、本委員会の議論を、実体化するための有効な手法であると考える。県において、何らかの対応を図っていくようお願いしたい。 【令和3年10月11日 県議会厚生常任委員会 自民党意見発表(抜粋)】 ・当事者目線の障がい福祉を追求していくために、そして、ともに生きる社会を実現していくために、効率的、効果的なことを絶えず考え、検証していく必要がある。計画の策定や、憲章、宣言、条例も大きな取組のひとつであると考える。あらゆる可能性と、選択肢を排除することなく、検討委員会の中での議論、あるいは当事者の声に、謙虚に耳を傾けながら進めていくよう求める。 (2ページ) 「普遍的な仕組み」として考えられること 左から、手法、性格(※1)、議会の議決(※2)、備考の順に示す。 @条例。性格:普通地方公共団体の区域内において適用される自治立法であり、国の法令に違反しない範囲で定める。議会の議決が必要となる。議会の議決:要。備考:憲法第94条、地方自治法第14条、第16条などに基づく A規則。性格:条例とともに普通地方公共団体が制定する自治立法であり、国の法令に違反しない範囲で地方公共団体の長が定める。議会の議決を必要としない。議会の議決:不要。備考:地方自治法第15条に基づく B計画。性格:一般に、将来の見通しに基づき一定の目標を設定するとともに、その目標を達成するために様々な手段、方策の間の総合的調整を図ること、又はそれによって作られたもの。議会の議決:不要。備考:計画と区別して、更に抽象性の高いものや規範性の低いものは、「指針」や「構想」 C指針。性格:ある具体的な計画を策定し、あるいは対策を実施するなど行政目的を達成しようとする場合において、準拠すべきよりどころ又は準拠すべき基本的な方向、方法を行政庁が示すこと。議会の議決:不要。 D憲章。性格:重要で根本的なことを定めた取り決め。特に、基本的な方針や施策などをうたった宣言書や協約。「国連憲章」「児童憲章」など。議会の議決:不要。備考:本県の「ともに生きる社会かながわ憲章」は議会の議決を得ている。 ※1:B計画を、@条例の中に位置付けることも可能である。 ※2:議決が不要の場合も、策定時や改定時などに議会への報告等が適宜行われる。 (3ページ) 障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例(参考) 1目的 行政や事業主、団体、個人など、様々な立場の県民が力を合わせ、障害のある人に対する誤解や偏見等による不利益な取扱いをなくすとともに、障がいのある人の生活や社会参加を妨げている建物や施設、制度などの障壁(バリア)を解消することで、誰もが暮らしやすい社会づくりを進めるために制定。 2背景 障がいのある人に対する差別の多くは、障がいのある人への理解が不十分なことから生じている。また、差別は、それと気づかずに行われることも多く、様々な立場の県民がお互いに理解を深め、協力し合い、差別をなくす取組みを進めることが重要。 3概要 県民共通の目標としてなくすべき「差別」を具体的に定めるとともに、差別の解消に向けた3つの仕組みを定めている。 【図:3つの仕組み】 @個別事案解決の仕組み(差別の問題について、地域相談員、広域専門指導員、県の委員会が、第三者的立場で間に入り、解決を図る。) A誰もが暮らしやすい社会づくりを議論する仕組み(様々な関係者が参加する「推進会議」を設置し、差別の背景にある制度や習慣等について議論し、見直しを進める。) B障がいのある人に優しい取組みを応援する仕組み(障がいのある人に優しい取組みを実践し、障がいのある人への理解を広げようと頑張っている方を応援する。) 4障がいのある人に対する「差別」とは  @障がいを理由とする不利益な取り扱い。 A合理的な配慮に基づく措置が行われないこと。 (4ページ) 北海道障がい者及び障がい児の権利擁護並びに障がい者及び障がい児が暮らしやすい地域づくりの推進に関する条例(参考) 1目的 障がいのある方の権利擁護や障がいがあることを理由に差別、虐待を受けることのない暮らしやすい地域づくりを推進するため、(略) もって障がい者及び障がい児の福祉の増進に資することを目的とする。 2背景 障がい者が生活の中で感じる不便さは、けがや病気をしたり、年齢を重ねることにより、だれもが体験する身近な問題でもある。「障がいのある人が当たり前に暮らせる地域は、誰にとっても暮らしやすい地域です」。このような考えのもと、道民と一緒になって地域づくりを進める。 3概要 主な施策の柱を次の三つとしている。 @障がい者の権利擁護を進める 障がい者への「虐待」や「差別」を禁止するとともに、障がい者が障がいのない人と実質的に同等の日常生活を営むことができるようにするために必要な配慮(合理的配慮)に努めることとしている。 A障がい者の暮らしやすい地域づくりを進める 市町村が進める相談支援体制づくり等の指針となる「地域づくりガイドライン」を策定するとともに、指針を活用した地域づくりに対する助言等を行う「地域づくりコーディネーター」を配置し、市町村の取組を支援する。 B地域で生き生きと暮らせるよう、働く障がい者を応援する 「北海道障がい者就労支援推進委員会」を設置し、障がい者の就労支援の施策を検討している。また、「北海道就労支援推進計画」に基づき、障がい者に対する支援はもとより、働く障がい者を支援する企業の取組のPR(認証制度)や指定法人を中心とした企業や事業所等の多様な就労支援のためのネットワークづくりなどを進める。 (5ページ) 条例の記載事項例(北海道の場合)(参考) 第1章 総則 左から、事項、内容の順に示す 目的、障がい者障がい児の権利擁護等の目的を定める。 定義、「障がい者」「障がい児」「暮らしやすい地域づくり」等を定義する。 基本理念、施策の推進にあたって基本とする事項を定める。 道の責務、基本理念に基づく施策を総合的かつ計画的に策定、実施する旨を定める。 道と市町村の連携、道は市町村との連携、情報の提供、技術的な助言その他必要な措置に努める。 道民等の役割、障がい者に対する理解を深め、地域づくり推進の施策に協力するよう努める。 情報の提供、道及び障がい者に係る情報を有する者は情報の保護や必要な情報提供に努める。 財務上の措置、道は施策の推進のために必要な財政上の措置を講ずるよう努める。 ※総則の記載事項は、他の多くの都道府県の類似条例に共通して記載されている。 第2章 障がい者を支える基本的施策等 第3章 障がい者の権利擁護 第4章 障がい者が暮らしやすい地域づくり 第5章 障がい者に対する就労の支援 第6章 北海道障がい者就労支援委員会 第7章 障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会 第8章 北海道障がい者が暮らしやすい地域づくり推進本部 第9章 雑則 附則 (6ページ) 条例も含めた普遍的な仕組みによって目指すもの(参考) 【図の説明】 〇条例も含めた普遍的な仕組みづくりでは、「当事者目線の支援」、これを含んだ「当事者目線の新しい障がい福祉」、地域社会全体の「いのち輝く、ともに生きる社会かながわ」の三層で捉えて、考えていく必要がある ・障がい当事者と直接関わる支援者等が、支援者側の目線ではなく、本人の望みや願いを第一に考え、本人の可能性を最大限に引き出す、当事者目線の支援を行う行動→当事者目線の支援 ・障がい当事者本人の意思決定を踏まえた、地域で、その人らしい生活を送るためのサービス基盤(障害福祉サービス等の事業者、行政機関、インフォーマルサービスを提供する者など)の整備が必要十分に進んだ状態→当事者目線の新しい障がい福祉 ・「ともに生きる社会かながわ憲章」が当たり前になるほど、その理念が浸透し、地域社会の様々な構成員が、障がい当事者のことをよく理解し、必要な配慮が行われながら、特別な存在としてではなく、ごく自然に交流がある地域社会の有り様→ともに生きる社会かながわ