(資料5) 意思決定支援に関するアンケート調査結果 (1ページ) 【調査目的】   障害者支援施設における意思決定支援の取組状況や課題等の情報を収集し、今後の意思決定支援の普及・定着に向けた取組みの基礎資料とする。 【調査対象】   県所管域に所在する障害者支援施設及び県立の障害者支援施設   (該当施設 49施設) 【調査方法】   「障害福祉情報サービスかながわ」に掲載の上、電子メールで回答 【調査期間】   令和3年5月27日配布、6月18日を返信期限として回収 【回収状況】   有効回答数 32施設  有効回答率 65.3% 【回答結果】  ※回答内容について、事業所名が特定されないよう、一部修正しています。 (2ページ) 問1 個別支援計画や生活支援の中で、利用者の意思決定を支援するために、事業所として具体的に取り組んでいることがありますか。  ある 32(100%)  ない 0(0%)  Point    利用者の意思決定を支援するために取り組んでいることがあると全施設から回答があった。 問2 取り組んでいる内容について、次の中から選択してください。(複数選択可)  利用者が自分で選択する機会を作っている 29施設(90.6%)  利用者の障害特性に応じた情報提供を行っている 25施設(78.1%)  事業所以外の人と交流の機会を作っている 23施設(71.9%)  個々の利用者の個別支援会議、ケア会議等において意思決定を支援している 23施設(71.9%)  意思決定支援に関する職員研修を実施している 16施設(50%)  利用者とのやりとりがわかるよう記録の取り方を工夫している 14施設(43.8%)  個別支援計画等の検討の場に、利用者が参加している 12施設(37.5%)  個々の利用者の意思決定支援会議を実施している 8施設(25%)  施設内に設置されている委員会等で意思決定支援の推進について検討している 8施設(25%)  その他 6施設(18.8%) (3ページ) 【その他(自由記載)】(順不同)  〇 利用者から挙がった議題について、利用者・職員の話し合いの機会を月1回設けています。  〇 年1回満足度調査を実施。担当の職員が利用者に対して施設生活の満足度を確認し、利用者の意思、意見を紙ベースにして提出してもらっている。  〇 毎月1回、みんなの会を実施。利用者の声を職員が聞いて答える会であり、施設長をはじめ管理職、看護師、栄養士も参加して実施。利用者の意思や意見を確認する場として実施。  〇 担当者と利用者の面接以外で必要な場合に実施しています。  〇 意思決定支援を含めた支援計画、支援の進行管理を担当するチームを組織しています。  〇 年1~2回利用者様、ご家族等に生活状況や、施設利用等についての満足度調査を実施し、日々の生活、支援の質の向上に努めております。また、利用者様の意思決定を反映できるよう利用者様自治会を通して満足度調査の結果を報告し、具体的な実現に向けて検討、取り組みの話し合いも行っております。  〇 家族への周知を目的に、「園だより」を通じて、意思決定支援の取組みを連載で掲載している。  〇 日常的な支援場面(食事・衣服・整容・余暇プログラムへの参加等)で、様々な選択肢を提供し、利用者の意思を確認・尊重した支援が展開されている。  〇 利用者の希望や意見を聴取し、各ホームや園の運営に活用するため、利用者が所属するホーム毎に、職員と利用者間で情報共有や意見交換を行う「ホームミーティング」を従前から毎月1回開催している。  〇 意思を尊重した支援を積み重ねることが、利用者の意欲向上につながることも、職員一人ひとりが感覚的に理解できている。  〇 毎月1回、利用者方から食べたい昼食を聴かせて頂き、それを提供させて頂き、○○さんが食べたい○○定食ですというポスターを作成し、お知らせしています。   (4ページ)  〇 日々の支援の中での声掛けの工夫。  〇 定期面談による自分の意見を言える場の確保。  〇 オンブズパ-ソン、傾聴ボランティアの活用。(現在はコロナ禍により中止) 問3 取り組むことになったきっかけについて、次の中から選択してください。(複数選択可)  障害福祉サービスの利用等にあたっての意思決定支援ガイドライン 15施設(46.9%)  意思決定支援出前講座 14施設(43.8%)  津久井やまゆり園利用者への意思決定支援の取組み 12施設(37.5%)  その他 17施設(53.1%) 【その他(自由記載)】(順不同)  〇 以前より、日課の選択や食事のセレクトなどは実施していました。  〇 意思決定支援という枠組みではないですが、利用者の希望に沿って支援をしていくことが当たりまえなので希望を伺うようにしています。  〇 利用者意向を主に支援を行うのが当園の方針であるため。  〇 満足度調査に関してはかなり以前から行っている取り組みであるが経緯について知る職員がいない為、不明。  〇 利用者の意思、思いを尊重する支援について十分ではありませんが、手法や会議の進め方等を工夫、模索しつつ、これまで行ってきました。    (5ページ)  〇 当法人及び施設では、開所当初より「自由・自主・自律」を基本理念として日常生活上の意思決定を重視した支援の提供に努めています。利用者の障害程度や経験等を踏まえ、その方の分限に応じた意思決定、自己決定への支援を検討し、法人・施設においては支援システムを構築し、実践しています。  〇 ただし、利用者の障害の重度化や重複化により、意思決定への支援を行うことの難しさも実感している中で様々な取り組みを参考にさせていただきたいと考えています。  〇 ガイドラインをきっかけに、当施設の個別支援計画作成プロセスを確認する機会となった。また、相談支援専門員(サービス等利用計画担当者)との連携を再確認する機会にもなった。  〇 法人内研修として、意思決定支援専門アドバイザーを講師に、「権利擁護・意思決定支援」をテーマに実施し、具体的に取り組んでいくきっかけとなった。  〇 意思決定支援出前講座については、実施を予定(令和2年3月)していたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止となった。  〇 問2で回答させていただいている事業所内の満足度調査を平成30年度より、実施し、意思決定支援に着目して対応している。  〇 以前から取り組みを実施。  〇 意思決定支援が出来ているか分からないが、本人中心で日々支援を心掛けている。本人が言葉で意思表示を行える方が少ない為、視覚提示等で本人たちが意思決定しやすい環境設定をできる範囲で行っている。利用者支援の中で日々小さな自己決定を積み重ねる事もあり上記①、②と共に今年度の意思決定支援簡易事業モデルを受ける。  〇 当事業所が障害者支援施設等意思決定支援モデル事業の簡易想定モデルに選ばれたため。  〇 施設の特性から、もともと意思を表明する利用者が多く、以前から利用者の意向を聞く風土があった。  〇 園の人権擁護虐待防止委員会の取り組みとして、人権関連重点目標を設定しているが、その目標の一つに「意思決定支援強化期間」を設けたこと。   (6ページ)  〇 「障害特性に応じた情報提供」について、配慮をしなければ、支援者側が伝えたい情報が伝わらないため、必要に応じて取り組んでいる。  〇 利用者の障害種別の主たる障害が身体障害なので、活発に意見が出る。  〇 当事業所では、以前からGH移行や他施設移行に際し、利用者と一緒に事前見学を行い、その人に合う(希望する)施設探しを支援してきた。 問4 (問1で「ない」)取り組んでいない理由について、次の中から選択してください。(複数選択可)  ※該当なし。 問5 サービス等利用計画(令和3年4月1日現在)の作成状況について教えてください。  自法人の指定特定相談支援事業者が作成している数 1,160人(60.3%)  他法人の指定特定相談支援事業者が作成している数 455人(23.6%)  セルフプランでサービス等利用計画を作成している数 309人(16.1%) (7ページ) 問6 意思決定支援についてご意見等がございましたら、記載してください。(取り組む上での課題、成果、工夫点、今後の予定、ご質問など) (重度の方の意思決定支援に関する意見)  〇 ご自分で自分の意思を表すことが出来る方は良いですが、意思表示の難しい障がいの重たい方は、ご家族からの情報や、日常生活の中での小さな表情や変化、エピソードを通して「何が好きか」「何をしたいか」を確認するようにしています。  〇 入所施設で重度の利用者さんが多く居られる為、利用者さんの意思を正確に確認することが難しく、どうしても支援者やご家族の推測のもとでの対応になりがちであり、今後、取り組んでいく上での課題と感じている。ここ最近はコロナ禍で面会や外出も制限されている為、利用者さんの意思や希望を反映した生活を提供することが困難な為、早く通常の生活が送れるよう切に願っています。  〇 高齢化による重度化(認知面の低下)、知的障害を伴う利用者への情報提供のあり方や職員による情報収集・整理、支援への反映、モニタリングという流れを検討しながら支援を進めています。  〇 言語性優位の方に対しての意思確認等は面接等で行う事が出来るが、重度の方に対しては、日々の観察と記録が重要と考えている。その為の日々の小さな変化に気が付けられるような観察力を支援員皆で協力して強化していきたいと考えています。  〇 特に障害が重度の利用者について、日常生活のなかで、表情や反応を観察し、好き嫌いや意思を読み取るようにしている。  〇 特に重度の方の意思の確認が難しい。  〇 重度の障害の方が多いことから、日常できる範囲で取り組んでいる。 (取組みや研修に関する意見)  〇 意思表出が難しい方の意思について表情や反応では確認しつつも、真にその意思を汲み取れているか悩ましいことがあります。将来の夢や希望を明確に持っている方においても同様です。インタビューする技術習得の研修や現場での経験を増やしていくことが大事だと考えます。  〇 法人内の施設、事業所の取り組みを報告する場として法人全体で実践報告会を開催しています。所属する法人内の施設、事業所の取り組みを知ること、意見交換や感想を述べ合うことは各々の支援を振り返る良い機会になっています。   (8ページ)  〇 他法人や事業所等による具体的な実践の取り組みなどを参考にさせていただきながら当施設における既存の取り組みに幅を持たせていきたいと考えています。  〇 現場職員は、このコロナ禍で、さらに現場対応に追われ、研修等で学ぶ機会が確実に減っている。今後、このような研修機会をいかに工夫して実施していくかが課題となっている(リモート研修の活用など)。  〇 他事業所の取り組みを知る機会を増やせるようにし、当方にも活かしていきたいと思います。  〇 意思決定支援簡易事業モデルとして取り組んでいる為、今後、取り組む上でのアドバイスや事例などがあれば参考にさせて頂きたいです。特に強度行動障害の方達の意思決定支援に対する事例がいくつかあれば教えて頂きたいです。  〇 意思決定支援にかかる、技術的(基本的原則・最善の利益の判断・事業所以外の第三者の視点)研修の実施。 (個別支援計画に関する意見)  〇 個別支援計画は利用者さんと一緒に一年を振り返りながら「良かったこと」「これからしたいこと」などを確認し、終了時評価と支援計画を作成しています。  〇 個別支援計画書を作成するにあたって、職員の思いになってしまうところがあり、声のない人の作成に難しさを感じている。  〇 相談支援専門員の方との連携をしっかりととり、ご本人の希望やサービス等利用計画で求められる施設の役割や支援の方向性、目標の把握努め、ご本人のストレングスの発揮や施設以外の生活を見据えた(目指した)課題アプローチを意識した個別支援計画の作成を目指していきたいと思います。  〇 利用者の意思を最大限尊重した個別支援計画〔意思決定支援計画〕の作成(リスキーな事柄に対する対応策も盛り込む)。 (9ページ)  〇 個別支援計画作成及び説明等の機会において、ご本人の意見要望をうかがう機会を設けている。 (記録に関する意見)  〇 再生基本構想に意思決定支援の取り組みが、全園的な意識変化には大きな影響を与えてくれました。しかし、日々の生活の中での小さな意思決定の場面はこの取り組み以前より行えていたことも少なくなかったように思います。今まで行っていたこと、またこの先行うこと、目指すこと、これらを今まで以上に意識し、記録として留め、分析・考察し次に繋げていく。これら繋がりを意識した取り組みが以前よりも行えるようになっていると思います。また、施設内のみでの意思決定支援には難しさを感じる場面も少なくありません。施設完結せず、多くの関係者、多角的な意見や視点、支援(ご本人経験含む)・・・それらを取り入れていく大切さを学びました。ご本人をチームで支えること。このチームをどのように施設完結せずに作っていくか。多くの関係機関と連携し今後もより良いものを目指し研鑚していきたいと思います。  〇 言語性優位の方に対しての意思確認等は面接等で行う事が出来るが、重度の方に対しては、日々の観察と記録が重要と考えている。その為の日々の小さな変化に気が付けられるような観察力を支援員皆で協力して強化していきたいと考えています。(再掲)  〇 昨年、利用者の意思や家族の意向を丁寧に聴きながら、地域移行(住宅型有料老人ホーム)を果たした方がいる。「エピソード記録」を日常の支援記録の中で積み重ねていくことを広く周知する機会となった。  〇 利用者に関する情報をタイムリーに共有するため、個別記録の電子化を行い、ホーム内職員だけでなく診療所や日中活動担当等、関連部署間での閲覧可能としている(一部ホームで先行的に実施)。 (体験の機会に関する意見)  〇 選択権のある利用者の経験が少ないことや、経験のないことや初めてのことは避けることが多い利用者に、自分の意思を表示してもらうのは、まずは経験をしていただくことかな、と思っています。ただ、経験することそのものに拒否がある方もいらっしゃるので、気持ちを引き出すの難しいです。時間はかかりますが、事業所の日課などでほかの利用者と一緒にいろいろなことを経験していただき、利用者が選びたくなる選択肢を利用者の中に増やしていくことに取り組んでいます。 (10ページ)   〇 意思決定というが、その発信したことが本当に本人の思いなのかと思うことがある。経験値の少なさから、知っている・経験したことの中からでしか決められないということでも、意思決定と言えるのか?という声がある。  〇 令和元年9月に、当園から民間(他社会福祉法人)のグループホームに地域移行した利用者が1名います。(日中は当園の生活介護を利用しています。この方は、意思決定支援のプロセスに基づき、グループホームへの見学、体験などを経て、地域移行が実現しました。 (その他)  〇 昨年からのコロナ禍で、外出や外食の機会は失われてしまいましたが、テイクアウトを活用し、インターネットでメニュー表を利用者さんと一緒に見ながら希望メニューを決めるなどし、可能な限り希望を実現する支援をしています。  〇 コロナ過において利用者の意思になかなか添えない事が増えてきている。(外出、外食、旅行、帰宅等々)  〇 意思決定をより進めていくために、意思決定に関わるサービス管理責任者、相談支援等が代替えして進めていくのが現状だと思いますが、さらに意思決定支援担当者を主に役割として進めていく方が良いのかどうか。  〇 ケース会議を継続して実施するための時間の創出、また資料作成や考察するための時間等、じっくりと取り組む時間が取りにくいことが課題です。  〇 利用者と会話する時間があること、継続的に会話を重ねることが利用者の信頼と安心にもなり、支援者の支援技術の向上にもつながると考えます。じっくりと話をする時間の確保が課題です。  〇 再生基本構想に意思決定支援の取り組みが、全園的な意識変化には大きな影響を与えてくれました。しかし、日々の生活の中での小さな意思決定の場面はこの取り組み以前より行えていたことも少なくなかったように思います。今まで行っていたこと、またこの先行うこと、目指すこと、これらを今まで以上に意識し、記録として留め、分析・考察し次に繋げていく。これら繋がりを意識した取り組みが以前よりも行えるようになっていると思います。また、施設内のみでの意思決定支援には難しさを感じる場面も少なくありません。施設完結せず、多くの関係者、多角的な意見や視点、支援(ご本人経験含む)・・・それらを取り入れていく大切さを学びました。ご本人をチームで支えること。このチームをどのように施設完結せずに作っていくか。多くの関係機関と連携し今後もより良いものを目指し研鑚していきたいと思います。(再掲)   (11ページ)    〇 相談支援専門員の方との連携をしっかりととり、ご本人の希望やサービス等利用計画で求められる施設の役割や支援の方向性、目標の把握努め、ご本人のストレングスの発揮や施設以外の生活を見据えた(目指した)課題アプローチを意識した個別支援計画の作成を目指していきたいと思います。(再掲)  〇 上記のような取り組みの遂行には、事業所を設置・運営している組織等の舵取りも非常に重要であると考えています。利用者様各々の支援チームの円滑な連携や目的達成(ご本人の希望する生活の実現)には、チームメンバー各々の抱えるバックボーン(所属組織)の意識統一も大切になります。個やチームがご本人の希望する生活の実現のために、力を発揮しやすくできるような組織作りに努められると良いと思います。  〇 当方は年齢層が幅広い中で、利用者様のご意見、お気持ちを整理して、どの課題に優先順位をつけて取り組んでいくのかを選択していくことが難しく、課題になることがあります。  〇 高齢利用者が多い中で、健康面を優先せざるを得ない状況(医療体制が整った所への移行等)が多々あり、利用者の意思を受け止められる環境の不足や、体調の急変が多く、時間をかけて取り組むことが難しい状況がある。  〇 今年度は簡易モデルとのことで意思決定支援に対する理解を深めたいと思います。  〇 意思決定支援のスキームを周知すること。現在行っている支援を、新たな枠組みで捉えなおすことで、重大な局面(生活の場の移行等)で発展的な支援展開ができるようになるのではないか。  〇 既存の会議における、本人等参加の意識の醸成。  〇 日常の支援において、ご本人の意見要望にそった外出希望等の実現に介護給付費外サービスとして外食機会等の提供をしている。 (12ページ)  〇 外出や食事について、選択肢を提示する事で、利用者の意向を確認している。  〇 月に数回、セレクトメニューの日があり、副食のソースを2種類用意し、好みの食事を選ぶ等機会を設けている(厨房委託業者協力あり)。  〇 月1回、利用者自治会代表の打ち合わせがあり、行事等に利用者の意向を反映している。 以上。 問合せ先                  意思決定支援グループ 田中、松尾、佐藤 電 話 045-285-0554(直通)   メール info_ishi.ap8p@pref.kanagawa.lg.jp