【参考資料】検討部会報告書_早わかり(パートA) 障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会―早わかりパートA―  V利用者目線の支援の実践に向けて 1虐待ゼロの実現を目指した取組み 身体拘束は、本人の尊厳を侵害する行為であり、正当な理由なく障がい者の身体を拘束することは身体的虐待に該当し、重大な人権侵害である。 身体拘束ありきの支援ではなく、身体拘束を行わずに支援するあらゆる方法の可能性を検討する必要がある。 やむを得ず身体拘束を行う場合は、個別支援計画に態様や時間、理由を記載した上で、「切迫性、非代替性、一時性」の3要件について十分な検討が必要である。 虐待通報は積極的に行い、不適切な支援がエスカレートしないように自分たちの組織を変えていく機会にすべきである。 不適切な支援の要因を組織としてチェックする体制が重要であり、研修の実施や、外部委員等の参加のある実効的な虐待防止委員会の設置等が有効である。 2行動障がいを軽減するための支援技術の向上(身体拘束によらない支援) 行動障がいのある人の要配慮行動を軽減し、生活の質を高めるには、障がい特性と環境との関係で専門性の高いアセスメントをきちんと行うことが重要である。 大規模な入所型の施設では、個別支援計画が本人の生活の質の向上を目指したものではなく、集団全体の安全確保を目指したものとなる傾向がある。 利用者の目線に立ち、障がい特性を理解した上で、本人が自信をもって出来る機会を増やし、社会参加につなげ、過ごしやすい環境に整えることが必要である。 支援者には、強度行動障害支援者養成研修などの支援手法を学ぶ機会を設けることが重要である。 行動障がいのある人が過ごしやすい、少人数での生活環境や、障がい特性に合った支援が可能となるよう、グループホーム等の整備を進める必要がある。 3意思決定支援の推進 利用者目線の支援を進めていくためには、本人を中心に、外部の専門家の目を入れた、支援会議等の検討の場が重要である。 本人の思いや希望を丁寧にアセスメントし、個別支援計画を立て、計画に基づく支援を定期的に評価するという「ケアマネジメントプロセス」をチームで協働して進めていく必要がある。 4利用者目線の支援を支えるための組織的な体制づくり 支援現場を孤立させない適切なマネジメントが大切である。 利用者の尊厳の保持と人権擁護について改めて認識し、障がい福祉に携わる人がそれらを身に付けるための研修プログラムを実施すべきである。 組織ガバナンスの向上、地域の関係機関との連携、多職種連携のコンサルテーション等が重要である。 5県の取組み 利用者支援の実態を確認していくとともに、県自らが、積極的に第三者からの意見を取り入れ、運営指導やモニタリング等のあり方を見直していくことが必要である。  Wさらなる検討の方向性 1地域共生社会の実現に向けて 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の普及を進め、障がいがあっても、地域に包摂される共生社会づくりをあらためて決意すべきである。 2これまでの障がい福祉行政の振り返り 県立施設の支援全体を俯瞰し、不適切な支援の要因の解明、利用者目線の支援に転換できなかった原因などを詳細に調べることが必要である。 3県立施設のあり方を含めた利用者目線の支援の推進方策 今後、県立施設のあり方を含め、利用者目線の支援を実践していく方策を検討する会議体を設置し、未来への工程表を示していく必要がある。 強度行動障がいのある人に対し、より個別的な支援が可能となる生活環境を考えるべきである。 利用者本人の希望に応じることができるよう、地域のサービス基盤を整備していく必要がある。 今後の県立施設のあり方について、社会資源の整備状況を見つつ、民間施設や事業者を含めて県全体で検討していく必要がある。 県立施設の指定管理者の選定に当たって、求められる役割の変化に対応して、選定基準や業務の基準などについて見直すことも必要である。 以上、パートA終わり