当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会 第1回(令和3年7月9日)資料2 (1ページ) 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会の進め方について 令和3年7月9日神奈川県福祉子どもみらい局 (2ページ) 「障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会」報告書(抜粋) W さらなる検討の方向性 1 地域共生社会の実現に向けて 県では、「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の普及が進められているが、今後、意思決定支援や地域生活移行支援などに取り組む中では、いかなる障がいがあっても、地域に包摂される共生社会づくりにまい進していくことをあらためて決意すべきである。地域共生社会の実現に向け、市町村では、多様で複合的な支援ニーズに対応するため、障がい福祉などの分野を超えた、包括的な支援体制の整備を進めようとしており、こうした状況を明確に視野に入れる必要がある。 2 県におけるこれまでの障がい福祉行政の振り返り 今回の検証は、主に身体拘束という側面から行われたものであり、県立障害者支援施設の支援全体を俯瞰しているわけではない。今回、確認した利用者の人数においても、振り返って確認した年数においても、一定程度の検証が行われたが、なぜ、その利用者の支援がそのようなものであったのかの十分な解明に至っていない。また、これまでの支援について、制度的にも振り返る機会があったにもかかわらず、利用者目線の支援に転換できなかった原因についても明らかになっていない。そのためには、これまでの県立障害者支援施設の支援をより詳細に調べる必要がある。県においても、これまでの障がい福祉行政を振り返り、刻々と変化していく時代の波に対応していけるような組織体制をつくる必要がある。 3 県立障害者支援施設のあり方を含めた利用者目線の支援の推進方策について 県立障害者支援施設の役割として、これまで、民間施設で対応困難な重度の障がい者を受け入れてきた経過があるが、特に強度行動障がいのある人については、個別的な支援が必要なため、大規模な入所型の施設における集団の中での支援では限界があり、より個別的な支援が可能となる生活環境を考えるべきである。また、利用者目線の支援を進めていくためには、利用者本人の希望に応じることができるよう、地域のサービス基盤をしっかりと整備していく必要がある。今後の県立障害者支援施設のあり方については、こうした社会資源の整備状況を見ながら、民間施設や事業者を含めて県全体で検討していく必要があり、県立障害者支援施設の指定管理者の選定に当たって、求められる役割の変化に対応して、選定基準や業務の基準などの内容について見直すことも必要である。このようなことから、今後、県立障害者支援施設のあり方を含め、意思決定支援の全県展開など、利用者目線の支援をより実践していくための方策を検討する本人を中心とした具体的な会議体を設置し、未来への工程表を示していく必要がある。 (3ページ) 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討員会設置要綱(抄) (設置目的) 第1条 障がい者支援の長期的な将来展望の検討とともに、その姿を見据えた今後の県立障害者支援施設のあり方や当事者目線の障がい福祉に係る理念や実践について検討するため、当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会(以下「委員会」という。)を設置する。 (所掌事項) 第2条 委員会は、前条の目的を達成するため、次に掲げる事項を所掌する。 (1)障がい者支援の長期的な将来展望の検討に関する事項 (2)意思決定支援の全県展開など、当事者目線の障がい福祉に係る理念や実践の検討に関する事項 (3)県立障害者支援施設のあり方の検討に関する事項 (構成員等) 第3条 委員会は、学識経験のある者、障がい者及び障がい者の福祉に関する事業に従事する者等により10名をもって構成する。 2 委員の任期は、令和4年3月31日までとする。 (略) 附則 この要綱は、令和3年6月21日から施行する。 (4ページ) 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会の検討スケジュール 〇検討スケジュールについては以下を予定している  左から時期、回、検討内容等、備考 7月9日、第1回、・委員長選出・委員会の所掌の確認・今後の進め方(事務局からの説明)・県立障害者支援施設のあり方を含めた障がい福祉の将来展望(1) 8月中旬、第2回、・県立障害者支援施設のあり方を含めた障がい福祉の将来展望(2)、必要に応じゲストスピーカーを招聘 8月下旬、第3回、・県立障害者支援施設のあり方を含めた障がい福祉の将来展望(3)、必要に応じゲストスピーカーを招聘 9月中旬、第4回、・県立障害者支援施設のあり方を含めた障がい福祉の将来展望(4)・「県立障害者支援施設のあり方についての中間的な論点整理(仮)」たたき台について、必要に応じゲストスピーカーを招聘 10月初旬、第5回、・「県立障害者支援施設のあり方についての中間的な論点整理(仮)」(案)について ※ 委員会は「県立障害者支援施設のあり方についての中間的な論点整理(仮)」成案後、引き続き月に1回程度のペースで、「当事者目線の障がい福祉」に関する議論を続け、年度内に報告書を取りまとめる (5ページ) ご議論いただく際の視点について(案) ・2040年頃の本県の障がい福祉の将来像を展望し、その実現に向けて、中長期的な視点から、行政、事業者、県民がどのように取組んでいくべきか議論をお願いしたい ※本県が目指す障がい福祉の将来像 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が浸透し、本人の意思決定を踏まえた、その人らしい生活を支える当事者目線のサービス基盤の整備が進んだいのち輝く地域共生社会(詳細は別紙)     ・近年の政策動向及び国の社会保障に関する先行研究等を踏まえると、次のような視点(案)が考えられるのではないか @津久井やまゆり事件を契機に、地域共生社会の実現を図っていくべきではないか A障がい福祉において、家族目線・支援者目線ではなく、当事者目線の考えを徹底するべきではないか(意思決定支援など) B強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など困難性の高い支援課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか(地域の担い手の確保、人材育成など) C障がい者は地域社会を構成する一員であり、本人が希望する場所で、尊厳をもって、その人らしく暮らすことが当たり前であるべきではないか(社会資源の充実、サービス基盤の整備など) D障がい者故の価値の創造や、SDG´sの「誰一人取り残さない」持続可能な多様性と包摂性のある社会の実現を目指すという理念を生かすべきではないか ・なお、先の「障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会」報告書において、「県立施設のあり方について、民間施設の状況も踏まえ、さらなる検討を行うべき」旨提言されていること、また、神奈川発の当事者目線の新しい障がい福祉のスタートを、令和5年度(次期指定管理開始期)からと考えていることから、障がい福祉の将来像を議論する中で、まずは、障害者支援施設のあり方について論点整理を行っていただきたい (6ページ) 別紙 本県が目指す障がい福祉の将来像(長期的なビジョン)の具体的なイメージ (障がい者差別解消) @「ともに生きる社会かながわ憲章」の普及啓発が必要ではなくなるほど県民に十分認知され、障がい者に対する差別事例が減少していること A障がいを理由とするあらゆる差別が効果的な法的保護の下で禁止され、合理的配慮が提供されていること (障がい福祉施策) B障がい者が、意思決定支援により、本人の意思に沿った当事者目線の障害福祉サービス等の必要な支援を受けることができ、また、どこで誰と生活するかを選択する機会が確保されていること   C障害者支援施設における虐待ゼロを目指して、権利擁護がなされ、絶えず支援の検証と見直しが行われていること (生活水準、労働) D障がい者及び家族に、十分な生活水準が確保され、必要に応じ、困窮対策や住宅施策の活用ができること E障がい者が、それぞれ役割、希望に沿って働くことができること (文化的生活、社会参加、活躍支援) F障がい者が、レクリエーション、余暇及びスポーツに参加する機会を確保できていること G障がい者が、文化芸術やスポーツなどの分野で能力を生かして活躍できること (情報アクセス、地域共生その他) H障がい者が、表現及び意見の自由並びに情報へのアクセスを確保できていること I障がい者が、地域の担い手となり、その地域で支え合いながら、安心して暮らせること (7ページ) 「県立障害者支援施設のあり方」について議論を進める上での視点(案) ・県立の障害者支援施設は、昭和36年以降、時代の要請に対応し、直営施設として順次整備が行われ、その後、民間移譲や指定管理者制度への移行が進められてきた経過があるが、今日、民間では対応できない重度重複の障がい者や、強度行動障がいのある者、医療的ケアが必要な障がい者の受入といった役割を担っている。 ・しかしながら、先の「障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会」では、県立障害者支援施設6施設の検証を行ったが、取りまとめられた報告書において、これまで、利用者目線ではない、不適切な支援が行われている事例があったとの指摘を受けたことから、管理監督する立場にある県の指導態勢も併せて改善を進めている。 ・同検討部会報告書において、「県立施設のあり方について、民間施設の状況も踏まえ、さらなる検討を行うべき」旨提言されていること、また、神奈川発の当事者目線の新しい障がい福祉のスタートを、令和5年度(次期指定管理開始期)からと考えていることから、障がい福祉の将来像を議論する中で、まずは、障害者支援施設のあり方について論点整理を行っていただきたい。 【議論を進める上で考えられる視点(案)】 @地域生活支援拠点の役割を持たせ、緊急時に対応できる短期入所の整備を必須としてはどうか      A相談支援の機能と人材育成の機能を充実させることとしてはどうか  B長期の入所者の地域移行を加速させるとともに、通過施設(有期限の入所期間)として位置づけることとしてはどうか C長期入所の定員は漸減させることとし、終の棲家を念頭に置いた新規の入所については、原則として、行わないこととしてはどうか D民間では担えない理由を明確にし、目的を達成するために必要な実施態勢についても検討してはどうか 下向き矢印 ?民間事業者の提供サービスの実態を踏まえ、中長期的な視点から、県立障がい者支援施設の果たす役割をどう再定義するのか、オール神奈川での議論につなげる (8ページ) 検証委員会、検討部会の報告書と新たな検討会議体の報告書の関係(イメージ) 津久井やまゆり園利用者支援検証委員会(中間報告書)、津久井やまゆり園の利用者の支援内容の検証に特化した報告書、※新型コロナ感染症の影響で現地ヒアリングができず、各種資料等から確認できた課題と今後の改善の方向性について取りまとめ 障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会(報告書)、「県の関与」の検証調査(報告書)、津久井やまゆり園を含む県立6施設に対象を拡大、※支援内容の検証を行うとともに、利用者目線の支援など障害者支援施設における未来志向の支援のあり方を検討、提言を取りまとめ、速やかに対応策を講じる【短期的目標〕さらなる検討 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会、「県立障害者支援施設のあり方についての中間的な論点整理(仮)」 検討委員会報告書「当事者目線の障がい福祉の展開について」(仮)、今後の本県の障がい福祉(県立障害者支援施設のあり方を含む)の将来展望を議論、※令和3年10月を目途に中間的な論点整理、年度内に報告書を取りまとめ、【中長期的目標】理念の普及と提言の実体化