当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会 報告書<要約版> (1ページ) 〇議論の論点(参考) 強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など、困難性の高い課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか 〇論点 いわゆる「強度行動障がい」のある人に対する支援の充実 〇現状と課題 ・「強度行動障がい」とされる人は全国で約8,000人と推計(H25)、行動援護対象者は14,254名(R元)であり、神奈川県内(政令市を除く)で、「強度行動障がい」とされる人は1,310人と把握されている(H29) ・神奈川では、「強度行動障がい」のある人の約60%が入所施設で生活 ・県立施設にも多くの「行動障がい」ある人が入所しているが、県立施設の支援は、検証委員会等で不適切な身体拘束等を指摘され、課題は多い ・公的サービスにおいては、「強度行動障がい」のある人の支援に対する報酬上の評価がなされており、必要な研修を受講することが要件 ・上記研修は、県において実施しているところ、量も質も(より実践的なものにする等)改善すべき ・民間施設において、「行動障がい」のある人の支援に取組み、地域生活につなげている好事例もある ・発達障害者支援法を踏まえた施策の進展も期待 〇検討の方向性(当面の取組み) ・「強度行動障がい」が何故起こるかに焦点をあてた、「行動障がい」への適切理解が広がるよう県民への周知に取り組む(県、市町村) ・本人の望みや願いを中心とした支援の提供が進むよう、多職種や他機関連携による連携のもと、個別に対応したチームアプローチに取組む(県、事業者) ・一人ひとりの状態像に応じた支援のために適切なアセスメントとモニタリングが重要。その手法の確立を図る(事業者、県) ・障がい当事者のいるべき場所に積極的にアウトリーチし、本人の自律を支える支援を実践する。(事業者、県) ・支援のノウハウの蓄積を神奈川全体の広域で取組み、事例検討や実践報告の場を設ける(県、事業者) ・全ての支援員が、「行動障がい」のある人の支援に関する基礎的な研修を受けることとし、また、より実践的で高度な研修の機会を設ける(県) ・スーパーバイズやコンサルテーションの機会を設け、支援の評価を適切に行うとともに、支援者が燃え尽きないようにサポートする(県、事業者) ・居宅サービス等を活用した「行動障がい」のある人の地域生活のためのモデル的な取組みを行う(県、市町村) 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・本人が何のために施設を利用するのか納得してもらうことが重要。地域に戻るため地域関係機関と連携して支援に当たるといった「約束と合意」がなされる入所時の取組みを広げる(県、事業者) ・入所施設の個室化、ユニット化を進め、「行動障がい」のある人の生活の質を高めるとともに、グループホームの受入が進むよう、住環境と人員配置の改善に努める(県、事業者) ・「行動障がい」のある人を受入れている施設や事業所は、「地域を作る」という意識で支援を組立てていく(事業者、県、市町村) ・療育・教育の予防的な取組み(適応障害にしない取組み)、「強度行動障がい」ゆえに地域生活等が壊れかけている人の支援体制づくりを進める(県、市町村、事業者) ・神奈川全体で、「行動障がい」のある人に対する支援のネットワークを構築することとし、専門性の高い支援のノウハウを持つ事業者をその拠点として指定し、人材育成や施策の評価・効果測定等を行う(県、市町村、事業者) 〇将来像(ビジョン)の要素 地域生活が実現できるよう、可能性を引き出す専門的な個別の支援体制がある 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (2ページ) 〇議論の論点(参考) 強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など、困難性の高い課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか 〇論点 高齢化に伴う支援の充実強化 〇現状と課題 ・65歳以上の障がい者は全国で487 万人(H28)。うち、2.9万人が入所施設を利用しており、1.4万人がグループホームに入居している ・2040年の在宅の高齢障がい者は全国で約390万人と推察される ・平成30年に共生型サービスが創設され、介護サービスを障がい者が利用しやすくした他、障がい者が介護支援施設に入所した際の利用者負担の軽減措置についても併せて創設され、障がい福祉と介護の連携が強化されてきた ・神奈川県においては、令和3年6月現在、介護保険サービス計18事業所、障害福祉サービス計37事業所が共生型サービスの指定を受けている ・ターミナルケアが必要となった場面の支援については、障がいに関わらない課題であり、障がいがあるがゆえに適切な対応がなされないことは問題 〇検討の方向性(当面の取組み) ・高齢になっても、地域での生活を維持することができるよう、訪問看護や訪問医療を受けやすくする(県、市町村) ・夜間の緊急時に対応できるよう、入所施設やグループホームの夜間の看護師配置を強化する(県、市町村、事業者) ・就労の意思がある人が働き続けることを可能とし社会参加の機会を継続できるよう、より個別的な支援の徹底を図る(県、事業者) ・障がい福祉従事者と高齢福祉従事者への合同研修の実施を通し、共生型サービスの理解促進を図る(県、事業者) ・介護保険優先の運用で機械的に移行するのではなく、障がい特性に応じた適正な運用を図るよう連携する(県、市町村) ・介護者の高齢化など、家族状況の変化があっても地域で安心して暮らすことが可能となるよう、地域内での支援者養成の取り組みを推進する(県、市町村) ・高齢の障がい者の支援のノウハウを身につけ、支援に活かすよう必要な研修の機会を設ける(県、事業者) 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・障がい者の福祉用具等の利活用が進むよう、国機関や福祉機器製造、販売事業者を交え、技術向上や開発につながる課題共有の機会を設ける(県、事業者) ・共生型サービスについて制度周知を図るなどして実施事業者を増やす(県、市町村、事業者) ・障害福祉サービス事業所と介護保険サービス事業所が、双方の支援に関するノウハウの共有や助言を行える体制を整備する(県、事業者) ・自立支援協議会などの場を活用して、障がい福祉、介護、医療などの関係者が情報交換、課題共有を行い、高齢の障がい者に対する総合的な支援ができる体制を作る(県、市町村、事業者) 〇将来像(ビジョン)の要素 地域生活を実現できるよう、可能性を引き出す専門的な個別の支援体制がある 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (3ページ) 〇議論の論点(参考) 強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など、困難性の高い課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか 〇論点 地域生活移行の推進、地域生活の支援 〇現状と課題 ・障害者総合支援法は「どこで誰と生活するかについて選択肢が確保され、地域社会において他の人々と共生することが妨げられないこと」と基本理念を定め、全国的にグループホームや日中活動の場の整備が進んできた ・入所施設からの地域移行はこれまで様々取り組まれてきているが、足元ではやや鈍化の傾向 ・重度の障がいの人もグループホームに移行できるよう、平成30年度に日中サービス支援型グループホームが創設、県もグループホームの加配人件費や改修費の補助を行い、居住支援の充実に注力しているところ ・一方で、入所施設が一番適切であり地域移行は不要という意識の施設も一定数存在し、本人の地域での体験を広げるとともに、心の声に耳を傾け、願いや希望に寄り添った支援が重要 ・地域移行には相談支援事業所の役割が重要だが人員不足が課題 ・施設か地域かという問いかけではなく、どのような暮らしをするのかを考える必要 〇検討の方向性(当面の取組み) ・どのような暮らしを望んでいるのか、本人の望みや願いを確認する意思決定支援に取り組む。とりわけ県立施設は率先して取り組む(県、市町村、事業者) ・入所施設内に地域生活移行の取組みを促進する体制を整え、関係機関との連絡調整等を行う(事業者、県) ・県は、地域生活体験用のグループホームやサテライト型の入所施設を設置するなどに取り組み、入所施設の利用者には、できる限り地域の生活を体験してもらうようにする(事業者、県) ・入所施設の利用者一人ひとりに対して、本人の心が動き、生活が豊かになるような経験や体験する機会をつくり、関係機関と連携しながら、本人の表情や行動をモニタリングする(事業者、市町村) ・施設が提供する日中活動はできる限り施設外に出ていくようにする(事業者、県) ・友人等の関わりや安心できる居場所は重要である。地域生活移行した後も、人とのつながりや居場所が広がるような仕組みを構築する(事業者) ・入所施設から地域生活移行が進まない事例の分析や、地域移行支援や地域定着支援の利用状況の調査・分析を行い、課題を明らかにする(県) 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・入所施設は自立支援協議会に積極的に参加し、関係者との連携に努める(事業者、県、市町村) ・県立施設は地域生活移行のロールモデルとなるよう取組む(県) ・何らかの理由で生活することが困難になった場合は、入所施設等で受入れ、再度、地域生活移行を目指すなど、「循環型」のあり方など、地域で支える仕組みをつくる(事業者、県、市町村) ・「過齢児」の地域生活移行や同居している家族から離れて暮らす人への支援にも取り組む(事業者、市町村、県) ・多様な「住まいの場」を確保する必要があるため、グループホーム以外に、入所施設のサテライト型やシェアハウスなど、新たな「住まいの場」について検討する(事業者、県) 〇将来像(ビジョン)の要素 いのち輝かせて豊かな生活が送れる、その人らしい暮らし方が選択できる 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (4ページ) 〇議論の論点(参考) 強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など、困難性の高い課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか 〇論点 日中活動のさらなる充実 〇現状と課題 ・平成18年の障害者自立支援法が施行され、日中活動の公的な提供サービスとして、生活介護や就労支援B型事業等の事業所開設が進んできた ・今日、障がい者の地域生活を支える重要な社会資源となっているが、@利用者の高齢化への対応、A行動に課題のある人や医療的ケアが必要な人の支援、B支援員の確保、が大きな課題となっている ・入所施設の利用者は、「同一法人敷地内で活動」が96.1%で、「同一法人で別の場所で活動」が3.1%、「他法人・他団体が運営する日中活動事業所等で活動」が0.5%、「その他」0.3%となっており、社会経験を積む機会が乏しいという指摘がある。 ・また、@自法人の相談支援事業所によりサービス等利用計画を策定することが権利擁護の観点から問題ではないか、Aノウハウのない営利法人等の参入が増大し、質に課題があるのではないか、B生産活動を行う場合の工賃の水準が低い、C一般就労につなげる取組が弱い、D地域生活支援事業との組み合わせによるより多様な日中活動のあり方を検討すべき、といった指摘もある  〇検討の方向性(当面の取組み) ・事業所数の増加に対応し、適切かつ効率的な事業所指導を行っていく必要(県、市町村) ・利用者の高齢化、行動に課題のある利用者や医療的ケアが必要な利用者にきちんと対応できるための支援スキルを学ぶ機会を確保する(事業者、県、市町村) ・サービス等利用計画の策定に際し、意思決定支援の手法を取入れ、多職種によるチームで検討を行う仕組みを導入する(県、市町村) ・小規模な事業所に対する経営指導を実施する(県) ・就労支援事業所の事業内容の充実を図るための意見交換、好事例等の共有の場を作る(県、事業者) ・企業との連携を強化し、一般就労につながる取組を進める(県、市町村、事業者) ・自信を持って活躍できる場が増えるよう、公立施設の有効活用を促進する(県、市町村) 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・相談支援専門員の養成の強化、資質の向上(県、市町村) ・活動の場を用意するにあたっては、地域の企業者(商工会、生協、観光など)や団体等と連携し、資源を組み合わせるなど、選択肢の拡大に努める(県、市町村) ・入所施設においても施設外で活動する例が増えるよう、地域連携推進法人の立ち上げなど、法人間連携を進める(県、市町村、事業者) ・県立施設が、地域の社会資源を組み合わせる、支援ネットワークを構築するといった役割を担い、地域づくりに貢献する。(県) ・地域生活支援事業を組み合わせた、より多様な支援の実施(県、市町村) 〇将来像(ビジョン)の要素 いきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある 地域生活が実現できるよう、可能性を引き出す専門的な個別の支援体制がある 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (5ページ) 〇議論の論点(参考) 強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など、困難性の高い課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか 〇論点 居住支援の充実強化 〇現状と課題 ・入所施設ではない公的な居住支援サービスを推進すべく、国、自治体、事業者が連携しながら、グループホームの整備に注力してきた ・グループホームは制度発足当初は、身辺自立した障がい者の利用を想定したものであったが、重度の障がい者の受入も念頭に、夜間支援員の配置、強度行動障がいの人の受入に伴う報酬上の評価、医療との連携を図る加算など、制度の改善が図られてきた ・また、民間賃貸住宅や公営住宅への入居についても検討されるべきだが、国土交通省と厚生労働省との連携により進めている住宅支援協議会は、高齢者への対応を主題としており、今後の取組みに期待 〇検討の方向性(当面の取組み) ・グループホームにおいて重度の障がい者の受入れを容易にするための改修費用の助成を引き続き実施する(県、市町村、事業者) ・平成30年度に創設された「日中サービス支援型」グループホームについて、全国の先進事例を収集し、制度の周知を図り、事業者の取組みを促す(県) ・グループホームの開設運営に新規参入した法人に対し、質の確保を図るための経営指導を行う(県、市町村) ・民間賃貸住宅の利用を円滑にするため、神奈川県居住支援協議会に参画するとともに、住宅確保要配慮者居住法人等と連携を図る(県) ・障がい者の住む場所を確保するため、市町村に対して、住宅部局との連携や市町村居住支援協議会の設置を促す(県) 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・住まいをどこにするか、本人の意向を良く聞くことが重要であり、意思表出が難しい人には、意思決定支援を行いながら、サービス等利用計画を作成する必要がある(県、市町村、事業者) ・入所のサテライト型など、新たな居住支援の場について検討する(県) ・自法人の資源の活用に偏らない支援を行うため、他法人の障害福祉サービス提供事業者等や地域の企業者や団体等との連携を推進する(県、市町村、事業者) ・建物構造の整備ノウハウを関係者が容易に得られるよう、知見を有する機関との連携関係を作る(県) 〇将来像(ビジョン)の要素 いきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある 地域生活が実現できるよう、可能性を引き出す専門的な個別の支援体制がある 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (6ページ) 〇議論の論点(参考) 障がい者は地域社会を構成する一員であり、本人が希望する場所で、尊厳をもって、その人らしく暮らすことが当たり前であるべきではないか 〇論点 医療、教育、雇用、農業、商工等関連分野との連携 〇現状と課題 ・障害者基本計画において、障がい者が各ライフステージを通じて適切な支援を受けられるよう、教育、文化芸術、福祉、医療、雇用等の各分野の有機的な連携の下、切れ目のない支援を行うことが必要、としている ・県の障がい関係施策も福祉部局に留まらないことから、関係部局が連携し、施策を一体的に実施することが重要 ・障がい者の地域生活支援を実効性のある取組みとするには、政令市、中核市を含む市町村との連携も必要不可欠 ・さらに、障がい者団体、職能団体、企業、経済団体等の協力を得る必要があり、とりわけ、障がい当事者(本人)の活動団体は当事者目線の障がい福祉の推進には不可欠 ・自立支援協議会など、関係機関が連絡調整を行う既存の仕組みはあるが、形骸化しているとの指摘 〇検討の方向性(当面の取組み) ・障がいの重度化、高齢化が進行し、医療ニーズが高くなっても地域生活を続けるため医療との連携は重要、今後は、市町村レベルで、医療と福祉の効果的な連携のあり方を検討(県、市町村) ・教育分野では、インクルーシブ教育の推進を図るほか、放課後等デイサービス事業者と学校との情報共有の促進、教育関係者に対する福祉制度の研修実施、障がい児のきょうだいに対する支援ニーズの早期の把握等に努力(県、市町村) ・保育所での障がい児の受入促進のため、保育所等訪問支援が活用されており、今後さらに拡充(県、市町村、事業者) ・雇用分野では、一般就労した障がい者の職場定着について、就労系障害福祉サービス提供事業者が、ハローワーク等と協働を推進(県、事業者) ・住宅分野では、一般住宅の利用の円滑化策(居住支援協議会)の推進、障がいの状態像に応じた住宅改修のノウハウの蓄積と情報提供を促進(県、市町村) ・農業分野では、「農福連携」の一層の推進を図る(県、事業者) ・運輸分野では、介護の地域支援事業で取り組む移動支援のノウハウについて障がい分野で活用を図る(県、市町村) ・商工分野では、障がい者の地域生活がより豊かになるよう、商工会、観光業者、商店街、生協などの既存の社会資源を活かすための支援コーディネーターの設置を検討(県、市町村) 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・地域包括ケアシステムに障がい分野全体も加えていくことを念頭に、関係部局と連絡調整を進め、各施策の滑らかな連結に努める(県、市町村) ・関連各分野が一体となって、当事者目線の障がい福祉を推進していくための、知事をトップとした全庁的な推進体制を組織(県) 〇将来像(ビジョン)の要素 医療や教育などの関連領域との連携により、生活課題が解決される いのち輝かせて豊かな生活が送れる、その人らしい暮らし方が選択できる 地域の担い手として活躍できる、社会参加や就労等の機会がある 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (7ページ) 〇議論の論点(参考) 障がい者は地域社会を構成する一員であり、本人が希望する場所で、尊厳をもって、その人らしく暮らすことが当たり前であるべきではないか 〇論点 福祉人材の確保、育成 〇現状と課題 ・推計では、今後20年で労働力人口は約1000万人減少し、介護分野と同様の推計比率を障がい分野に当てはめると、20年後の2040年には、約25万人が不足すると予想 ・国は平成3年頃からマンパワー確保対策を講じてきており、平成19年に新たな人材確保指針を策定 ・国は、福祉事業従事者の福利厚生の充実、退職手当共済制度、処遇改善交付金等の措置を講じるとともに、外国人労働者の福祉分野への誘導策も実施 ・今日、福祉分野の有効求人倍率は、他産業よりも大きく(人手不足感が大きい)、とりわけ大都市圏はその差がさらに大きい状況 ・給与水準が直近の毎月勤労調査で全労働者が約33.7万円に対し、福祉・介護は31.3万円と下回っている一方で、離職率は全産業との差は殆どなく、離職理由は「人間関係」が一位 ・ロボット・ICT技術の導入やキャリアパス制度が整備されるなど、職場環境の改善が急務 ・国は、平成29年に「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」を取りまとめた ・健康な高齢者層が福祉・介護分野に興味を持っている可能性が示唆されており、元気高齢者を障がい福祉の分野にどう取り込むかが今後の課題 〇検討の方向性(当面の取組み) ・国が実施する処遇改善加算の申請率の向上を図り、給与水準の改善につなげる(県、事業者) ・ロボット・ICT技術の円滑な導入のためのシーズ・ニーズのマッチングの機会を設ける(県、事業者) ・産業カウンセラーの派遣を可能にする仕組みを整えるなど、メンタルへルス対策を進める(県) ・やる気のある職員が孤立したり燃え尽き症候群にならないように、スーパービジョンやコンサルテーションの導入を進める(県、事業者) ・社会福祉連携推進法人の仕組の活用を図りながら、法人間の人事交流等を進めることにより、キャリアラダーの設計につなげる(県、事業者) ・現在実施されている研修体系や内容を整理・再構築し、適切な研修に参加する機会の確保を図る(県、事業者) ・現役の職員のキャリアアップを図るため、リカレント教育を受けやすくする方策を検討する(県、事業者) ・障がい福祉の仕事に関心をもってもらうため、情報発信を工夫するとともに、障がい福祉の仕事に関するWEBサイト等を整備する(県、事業者) ・ボランティアやアルバイト、福祉体験等で事業所に関わりをもった人に丁寧な対応を行い、就業につながるよう努める(事業者) ・事業所等で長期のインターンを受入れ、就業後のミスマッチを防ぐ 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・福祉実践の報告の場で、障がい当事者や家族にも発表の機会も設けるなど、好事例の共有を推し進め。質の高い福祉人材の養成に努める(県、事業者) ・企業者と連携の上、「創業等支援措置制度」を活用し、元気高齢者の障がい福祉分野への就業を促す(県、事業者) ・移り住んで障がい福祉の仕事に就きたいと考える人を増やしていくため、働くエリアと住むエリアの魅力を情報発信する取組みを進める(県、市町村、事業者) ・当事者の暮らし方の視点に立った支援を進め、人材育成と施設運営の双方を鑑みた人材確保の取り組みを進める(県、事業者) ・人材確保は一市町村だけでは困難な課題であり、県がリーダーシップを発揮して、関係者と緊密に連携しながら、重層的で広範な取組みを進めることが重要(県、市町村、事業者) 〇将来像(ビジョン)の要素 ※以下の将来像(ビジョン)を実現するために必要不可欠な人材の確保が円滑に進む 地域生活が実現できるよう、可能性を引き出す専門的な個別の支援体制がある いきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある いつでも生活上の困難を相談できる機関、場所がある 地域の担い手として活躍できる、社会参加や就労等の機会がある 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (8ページ) 〇議論の論点(参考) 障がい者は地域社会を構成する一員であり、本人が希望する場所で、尊厳をもって、その人らしく暮らすことが当たり前であるべきではないか 〇論点 障害者支援施設(県立施設を含む)のあり方 〇現状と課題 ・障害者基本法では、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられない」とされている ・国の障害福祉基本計画では、グループホーム等の地域の受け皿を整備しながら、入所施設については、段階的・計画的に縮小していく方針とされている ・実際、入所施設入所者の数は減少しており、今日、グループホーム入居者数の方が、それを上回っている ・一方で、「親なき後」の恒久的な居住の場として、入所施設に安心感を持つ親もある ・今日、障がいの重度化、高齢化、医療ケアの必要性など、新たな課題も生じており、入所施設がどうかかわっていくべきか具体的に考えていく必要 ・また、入所施設が、戦後間もないときに、在宅の障がい児・者を受け止めてきたという歴史も踏まえておくことが重要 ・県立の入所施設は、置かれている状況が地域社会全体を反映していることから、あり方を検討するにあたっては、地域全体を見ていくことが重要 ・その上で、 @入所施設でしか担えない役割 A入所「待機者」の需要とは何か B現入所者のケアをどうするのか といった論点を十分に検討することが必要 〇検討の方向性(当面の取組み) ・障がい当事者の施設での暮らし、地域での暮らしに関する考えは、立場によっても異なり、様々な意見があるが、今日、ノーマライゼーションの考えに基づき、地域における本人中心の当たり前の暮らしを可能とすべき(県、市町村、事業者) ・県が議論にしっかりと関与し、入所施設での暮らしを多くの人に知ってもらうなど、自立支援協議会の場で議論を重ね、県下の各事業者の理解、合意の下で、社会福祉連携推進法人や地域生活支援拠点の仕組みを活用しながら、神奈川全体で、必要な支援の組み立てを行っていく(県、市町村、事業者) ・具体的には、@相談、A住まい、B日中活動、C居宅支援、D移動、E集いの場、F地域のつながり、について充実させ、入所施設の機能の地域への分散化を図っていく(県、市町村、事業者) 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・施設機能の地域への分散化を図りながら以下を目指す(県、市町村、事業者) ◎旧来の保護収容型の障害者支援施設は解消を目指す。新規入所は、緊急時対応を除き、原則として有期の自立訓練(通過型)のみとし、地域生活が困難となった障がい者がまた地域生活を送れるようにするための一時的な受入れに注力することとし、併せて、実質的な「昼夜分離」を進め、施設の機能は、居住支援(夜間の支援)に特化させる(地域に対する日中活動サービス等の提供は妨げない)   ◎県立の入所施設については、機能(市町村支援、基幹相談支援、研修機能)の移転を進め、規模を縮小の上、民間移譲も視野に入れた検討を行う(県として求められる臨床研究的役割、人材育成は別途検討) ※入所施設の役割や機能を縮小する際は、入所者が適切に自己選択、自己決定できる機会を用意する ※入所施設は、日中活動(生活介護等)と居住(施設入所支援)の報酬収入セットの制度設計となっており、施設入所支援の報酬だけで運営を維持できるかが課題であり、国への制度改善要望も検討 ・障害者支援施設の役割の縮小、転換を図り、緊急時対応と通過型のサービス提供に重点化することを、2040年頃の目標とすべき(県、市町村、事業者) 〇将来像(ビジョン)の要素 いきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある いのち輝かせて豊かな生活が送れる、その人らしい暮らし方が選択できる 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (9ページ) 〇議論の論点(参考) 障害福祉において、家族目線・支援者目線ではなく、当事者目線の考えを徹底するべきではないか(意思決定支援など) 〇論点 本人活動の推進、政策決定過程への参加 〇現状と課題 ・「本人活動」は、障がい者同士が様々な自主的な活動を行うグループを中心とした活動であり、我が国では、特に知的障がいをもつ当事者たちの自主的活動を指す ・全日本手をつなぐ育成会(当時)による過去の調査(平成17年)では全国で239団体、神奈川で15団体が活動しているが、その後の本格的な調査はなく、ネットワーク組織化が当事者の間で議論されている ・本人活動は当初、レクレーション活動が主軸だったが、近年は、障害者権利条約、福祉サービス制度、成年後見制度などの勉強会等も行われるようになっている ・また、身体障害者の自立生活運動から始まったピアサポートは、近年、知的障がいや精神障がいの分野にも広がっている ・国においても、令和2年度に障害者ピアサポート研修事業を創設して、ピアサポーターの養成等を支援しており、県では、精神障がい当事者のピアサポーターを養成し、精神科病院からの退院促進を行っている ・また、県社協は、当事者活動への費用助成を実施している ・国の調査によると、ピアサポーターの活用資金の不足、活動の幅の拡大、活動する場の不足などが課題とされている ・本人活動の課題として、利用者の対人関係、スタッフの確保、運営資金などが挙がっている 〇検討の方向性(当面の取組み) ・本人活動を広く県民に周知、啓発する(県) ・県が行う福祉関係の研修に当事者の声を聴くプログラムを用意したり、県が設置する障がい福祉関連の調査研究会には、障がい当事者の参加を必須化を検討(県) ・意思決定支援の多職種チームに、本人以外の当事者の参加を奨励する(県) ・ピアサポーターの活動範囲について、知的障がいの分野にも広げていくための検討を進める(県) ・ピアサポーター養成後のフォローを行い、交流会やスキルアップの機会を設ける(県、市町村、事業者) ・各種会議の報告書等の取りまとめに当たり、理解しやすい簡易版を作成するなど、情報提供に配慮する(県、市町村、事業者、県民) 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・企業活動への障がい者の参加事例について広く情報共有し、啓発する(県) ・本人活動の支援者の養成・確保を図るため、支援者の現状について実態把握を行い課題を明らかにする(県) ・本人活動を広げていくための財政援助を検討すべき(県) 〇将来像(ビジョン)の要素 支援者と対等な関係で、良き暮らし、良き社会を目指して協働できる 本人の自己決定が尊重され、権利擁護の仕組みが機能している それぞれの様々な才能を発揮でき、違いを認め、誰も排除しない地域社会である 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (10ページ) 〇議論の論点(参考) 障害福祉において、家族目線・支援者目線ではなく、当事者目線の考えを徹底するべきではないか(意思決定支援など) 〇論点 虐待ゼロの実現 〇現状と課題 ・虐待は重大な人権侵害であり、我が国では、平成24年に障害者虐待防止法が施行され、虐待防止のための諸施策が実施されている ・虐待防止法に基づく通報は増加傾向にあるが、虐待判断件数は横這いとなっているまた、被虐待者の障がい種別は知的障がいが最も多く、虐待行為の類型では、身体的虐待が最も多い ・国の研究では、施設等での虐待の防止には、職員のスキル養成、管理者の公正な姿勢、風通しの良い組織風土の醸成が重要であるとしている ・県立施設では、先の検証委員会や検討部会により、長時間の身体拘束などの不適切な支援が複数確認され、虐待が疑われる事案も確認された ・県直営の中井やまゆり園においても、長時間の居室施錠などの不適切な支援が行われている旨の報道がなされ、現在、改革プロジェクトチームにより、支援の改善に向けた取組みが進められている ・県は、県立施設における身体拘束等の実施状況を公表するとともに、定期モニタリングの強化などに取り組んでいる ・また、県は、広く県民に対する虐待防止や権利擁護に関する意識啓発のための講演会を実施したり、市町村担当職員や施設管理者を対象とした虐待防止・権利擁護研修を実施している 〇検討の方向性(当面の取組み) ・障がい当事者に対して、「権利」や「虐待」とは何かを知ってもらうため研修や意見交換等を行う(事業者、県) ・権利擁護の観点から、施設等で意思決定支援が適切に行われることが重要であり、意思決定支援の取組を進める(県、市町村、事業者) ・支援者は、障がい当事者一人ひとりの目線に立ち、その人の人生や思いを想像する力を磨くことが大切であり、当事者の話をしっかり聞き、様々な活動を通して、お互いの信頼関係を構築する(支援者) ・虐待防止につなげるため、支援スキルの向上を図るための階層別の研修会を実施(県、事業者) ・身体拘束によらない支援を進めるため、「にこりほっと報告」など、本人の強みに着目し、きめ細かな分析が行われるよう、アセスメントの手法の確立及び向上を目指す(県、事業者) ・身体拘束はその人の自由を奪う行為であることを忘れず、常に支援内容を検証し、本人が生き生きと暮らすことができるよう支援する(事業者) ・権利侵害が疑われるヒヤリハットの事例の分析と再発防止の仕組みを各事業所において構築(県、市町村、事業者) ・事業所等における虐待防止委員会の設置を必須とし、組織的な虐待防止の取組につなげる(県、市町村、事業者) 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・市町村の虐待防止に関する知見の蓄積を支援(県) ・事業所等は、支援の好事例の情報発信に努め、第三者から支援を評価され、さらに良い支援につなげる好循環を作る(県、事業者) ・障がい当事者が事業所等の支援内容を直接見て、評価・検証する仕組みを構築する(県) 〇将来像(ビジョン)の要素 住み慣れた場所で、差別や虐待を受けることなく、安心して生活できる 本人の意思決定が尊重され、権利擁護の仕組みが機能している 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (11ページ) 〇議論の論点(参考) 障害福祉において、家族目線・支援者目線ではなく、当事者目線の考えを徹底するべきではないか(意思決定支援など) 〇論点 意思決定支援の推進 〇現状と課題 ・総合支援法において、事業所等の責務として、障がい者の意思決定の支援に配慮するよう努める旨が盛り込まれた ・平成29年3月、厚労省は「意思決定支援ガイドライン」を示し、意思決定支援の定義と、事業者等が取組む意思決定支援の枠組みを明らかにした ・県は、津久井やまゆり園再生基本構想に基づき、厚労省が示したガイドラインも参考にし、県独自の意思決定支援に取組み、本人の願いや希望に沿った、サービス等利用計画及び個別支援計画の策定を目指した ・先の検討部会報告書において、津久井やまゆり園で取り組んでいる意思決定支援を、県下の入所施設等においても実施することが重要とされた ・現在、県内4施設において、意思決定支援のモデル事業を実施しており、その結果を参考に、年度内に「かながわ版意思決定支援ガイドライン(試行版)」をまとめる予定 ・一方で、将来展望委員会において、津久井やまゆり園における意思決定支援の成果について、所期の目的を果たせたのか、しっかりと検証すべき、との意見も出されている 〇検討の方向性(当面の取組み) ・津久井やまゆり園で行ってきた意思決定支援の手法を、まずは、他の県立施設から実践し、民間施設での実施のモデルとする(県) ・コ展開に先立ち、津久井やまゆり園でのこれまでの意思決定支援の取組について、しっかりと評価・検証を行う(県) ・意思決定支援を県下に広げていくために、しっかりした推進体制を構築する(県) ・意思決定支援について、当事者に対しても、分かりやすい情報提供に努める(県) ・意思決定支援を実施する際には、以下のことに留意する(事業者) ◎利用者一人ひとりに、多職種からなる個別のチームを設ける ◎入所施設の利用者に対しては、入所に際しての諸事情に十分配慮する ◎本人の願いや希望の実現のため、生活の範囲を入所施設内に限らず、施設外の様々な生活を体験してもらい、施設側も、積極的に地域に関わっていく ◎人はそもそも悩み、決定した後も悩んだり失敗したりすることもあるため、意思決定支援の本質はゴールはない 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・障がい者の自己選択、自己決定の尊重は、当事者目線の障がい福祉の基本となるものであり、意思決定支援の重要性を普及啓発していく(県) ・また、子どもの頃から自己決定が尊重された育ちができるよう、養育者を社会全体で支えていくという土壌を築く(県、市町村) ・県立施設や民間施設に入所している利用者だけではなく、在宅の人たちにも意思決定支援を広げていく(県) ・適切な意思決定が受けられない場合に、第三者的な立場で仲裁あっせんを行う機関を設ける(県) 〇将来像(ビジョン)の要素 本人の自己決定が尊重され、権利擁護の仕組みが機能している 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (12ページ) 〇議論の論点(参考) 津久井やまゆり園事件を契機に、地域共生社会の実現を図っていくべきではないか 〇論点 地域包括ケアシステムの対象拡大  〇現状と課題 ・「地域包括ケアシステム」は、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができる、地域の包括的な支援・サービス提供体制」を目指すものであり、国も県も、その構築を進めてきた ・近年、障がい分野と関連付けが進展し、国の障害福祉計画の基本指針において、精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築が成果目標とされた ・本県も、第5期障がい福祉計画(平成30年3月改定)の成果目標として、保健所等11か所に(政令市を除く)、関係者で障がい者の地域移行、地域生活を支える課題を協議する場を設置することとした ・平成29年、国の「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部において、地域住民の支え合いと公的支援が連動し、地域を「丸ごと」支える包括的な支援体制の構築を提唱 ・平成30年から「共生サービス」が、令和3年から重層的支援体制整備事業が始まり、介護と他分野の一層の連携を進める公的な仕組みが整備されてきた ・旧農漁村型のコミュニティに戻ることは困難であり、「新たな地域のつながり」が求められている ・人口減少と高齢化が進み、生活課題も複雑化、複合化していくことが予想される、いわゆる2040年問題の課題解決に向けて、地域共生社会の実現が求められている 〇検討の方向性(当面の取組み) ・県は、市町村レベルでは困難な医療機関・団体との協力体制づくりに注力する(県) ・専門職が配置されている地域包括支援センターは大きな社会資源であり、県は、重層的支援体制整備事業等を活用し、障がい分野への対象拡大が進むよう市町村を支援する(県) ・地域生活支援拠点等について、各市町村の整備状況を踏まえ、他都道府県を含めた好事例など情報提供を行い、単独での整備が困難な市町村に対しては、市町村間での必要な調整を検討するための協議の場を設置する(県、市町村、事業者) ・障がい者が地域の大切な「担い手」として、耕作放棄地を再整備したり、移動商店街を展開したりするなどの取組みが広がっており、こうした情報の共有を図り、関係者の相互の連携を進める(県、市町村、事業者) ・新たな福祉課題には、行政内部において、これまでの所掌にとらわれず、横断的な対応組織を設けるなど、柔軟かつ積極的に対応する(県)   〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・地域包括ケアシステムは地域の再生につながる取組みであり、行政だけでは完結できないため、住民一人ひとりが自分事として捉えてもらえるよう、考え方を普及啓発していく(県、市町村) ・県は、地域間の格差が生じないよう、各地の取組みの実態を把握し、必要な総合調整を行う(県) ・「新たな地域のつながり」を作っていくために、支援する、支援される関係が固定されないよう、障がい福祉事業者は、地域での当事者の出番を創造する役割を果たすべき(事業者、市町村、県) ・障がい当事者一人ひとりに対して、インフォーマルなサービスも含めた重層的、多職種連携的なネットワークをつくる(事業者、市町村、県) 〇将来像(ビジョン)の要素 住み慣れた場所で、差別や虐待を受けることなく、安心して生活できる 地域の担い手として活躍できる、社会参加や就労等の機会がある いつでも生活上の困難を相談できる機関、場所がある それぞれの様々な才能を発揮でき、違いを認め、誰も排除しない地域社会である 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (13ページ) 〇議論の論点(参考) 津久井やまゆり園事件を契機に、地域共生社会の実現を図っていくべきではないか 〇論点 包括的な相談支援体制の構築 〇現状と課題 ・地域での生活は、相談に応じてくれる人が必ずしも身近にいるわけではないので、伴走してサポートする相談支援員の役割は重要 ・計画相談に応じる全国の相談支援事業所は10,563か所であり、一般相談に応じる相談支援事業所は3,551か所(令和2年5月)、 実配置されている相談支援専門員は23,954人(〃)このうち、24時間365日対応が全体の28%(490市町村)、ピアカウンセリングを行うものも全体の36%(634市町村) ・本県の相談支援専門員の実配置人数は1,514人(令和3年3月)であるが、相談支援専門員養成研修を受けた人の66%が相談業務に就いておらず、他県に比べ、セルフプランの作成率が高いのは人員不足が一因との指摘 ・また、障がい者の地域生活を支える「地域移行支援」、「地域定着支援」及び「自立生活援助」の実績は、何れも見込量を大きく下回っている ・さらに、常勤かつ専従の相談支援専門員の配置事業所は全体の約13%であり、平均経験年数も約3.6年と短い ・相談支援の中核機関である基幹相談支援センターは11市町村で未設置、各圏域の自立支援協議会も設置が目的化して形骸化しているとの指摘 ・個人や世帯が抱える生活課題が複雑化、多様化していることに鑑み、今後、重層的支援体制整備事業を活用した包括的な相談体制づくりが必要 〇検討の方向性(当面の取組み) ・相談支援専門員養成研修の受講者が相談支援業務に円滑に従事できるよう、課題の洗い出しを行い、その解決に向けた取組みを進める(県、市町村) ・相談支援専門員のアセスメント力の向上を図るための実践的な研修プログラムを策定し、実施する(県、市町村、事業者) ・相談支援体制を強化するため、市町村と連携して相談支援事業所の設置を進める(県、市町村) ・セルフプランの捉え方やバックアップ方法などについての議論を進め、計画相談の充実を図る(県、市町村、事業者) ・施設入所者に様々な体験や見学の機会を設けること、市町村や相談支援員との連携を基礎とした相談支援体制とすることより、施設入所者が希望する暮らしの実現に取り組む(県、市町村、事業者) ・県は、基幹相談支援センターの未設置市町村と連携して、設置を促進する(県、市町村) ・基幹相談支援センターの支援力向上のため、主任相談支援専門員を対象とした連絡会議を開催(県) ・圏域の相談支援事業の連携体制について、自立支援協議会や「相談支援ネットワーク形成等事業」の役割を整理し、再構築に向けた取組みを進める(県、市町村、事業者) ・自立支援協議会の活性化に向け、多職種・他機関のネットワークづくりについて、県は市町村と連携し、他県の好事例、運営ノウハウを共有するなどの取組みを進める(県、市町村、事業者) 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・地域生活支援拠点の設置促進に向けた好事例の共有、関係者による協議の場の設定(県、市町村、事業者) ・伴走的支援体制を推進するため、相談支援専門員のみならず、地域の様々な機関・団体が連携し、「ひとりにさせない地域共生社会」についての学びを深め、多様なつながりができる環境整備を進める(県、市町村、事業者)  〇将来像(ビジョン)の要素 いつでも生活上の困難を相談できる機関、場所がある 住み慣れた場所で、差別や虐待を受けることなく、安心して生活できる 本人の自己決定が尊重され、権利擁護の仕組みが機能している 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (14ページ) 〇議論の論点(参考) 津久井やまゆり園事件を契機に、地域共生社会の実現を図っていくべきではないか 〇論点 「ともに生きる社会かながわ憲章」や「当事者目線の障がい福祉実現宣言」等の理念の普及啓発(障がい差別のない地域共生社会の実現) 〇現状と課題 ・基本理念は、企業でいうと企業の存在意義や目的を表明した企業経営の最上位にあり、障がい福祉関係施策においても、それがどうあるべきかという基本理念を据えて、ビジョンの実現に戦略的に取組んでいくべき ・我が国の障がい福祉の理念の大きな転換点は措置制度から支援費制度への移行であるが、国際障害者年以降の「ノーマライゼーション」理念や「自立生活」理念の定着が背景 ・平成18年、障害者権利条約が国連で採択され、我が国は、障害者基本法の改正、障害者差別解消法の制定等、国内法を整備し、平成26年に批准 ・本県の障がい福祉関係施策の将来展望の議論は津久井やまゆり事件が出発点であり、平成28年10月の「ともに生きる社会かながわ憲章」、令和3年11月の「当事者目線の障がい福祉実現宣言」には、共生社会の実現に向けての強い「思い」や「決意」が込められている 〇検討の方向性(当面の取組み) ・障がい当事者が思いや気持ちを表出できるよう、より一層の社会参加が可能となるよう環境整備を図る(県) ・身体拘束ゼロの実現に向けた取り組みをさらに進めるとともに、当事者の願いや望みをしっかりと受け止め、障がい当事者の尊厳が守られた社会を目指す(県、事業者) ・当事者の目線に立った支援に取り組んでいる事業所などの好事例を共有し、取り組みを始めることができていない事業者等も含めて、皆が地域共生社会の実現の取り組みを進められる環境の醸成をする(県、事業者) ・現在検討が進んでいる条例の全体に通ずる基本的な理念については、「ともに生きる社会かながわ憲章」や「当事者目線の障がい福祉実現宣言」の「思い」や「決意」を出発点に、障害者権利条約等で確立した以下のような普遍的な考えを軸に、今後、全庁的、全県的に議論(県) @個人として尊重されること A心の声に耳を傾け、互いにいのち輝く支援の推進 B希望する暮らしの実現 C可能性を引き出す、専門性の高い個別のサポート D政策決定過程への当事者の参加 E持続可能で多様性と、違いを認め誰も排除しない社会の実現 Fオール神奈川で地域共生社会を創造    〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・県は、津久井やまゆり園事件を忘れず、オール神奈川で当事者目線の障がい福祉を推進していくよう、条例に定める基本理念を広く県民等と共有できるよう、普及啓発に取組む(県、市町村、事業者、県民) 〇将来像(ビジョン)の要素 住み慣れた場所で、差別や虐待を受けることなく、安心して生活できる いのち輝かせて豊かな生活が送れる、その人らしい暮らし方が選択できる それぞれの様々な才能を発揮でき、違いを認め、誰も排除しない地域社会である 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (15ページ) 〇議論の論点(参考) 障がい者故の価値の創造や、SDGSの「誰一人取り残さない」持続可能な多様性と包摂性のある社会の実現を目指すという理念を生かすべきではないか 〇論点 多様な価値観の取込み 〇現状と課題 【文化芸術活動】 ・我が国の障がい者の文化芸術活動は、近年、障がい分野だけなく、文化芸術分野からも機運が高まり、平成30年、「障害者文化芸術推進法」が成立 ・「文化芸術基本法」に基づく「文化芸術推進基本計画(第1期)」においても、障がい者による文化芸術活動の推進環境の整備等が重要な施策として位置づけ ・国は国庫補助事業により障がい者の文化芸術の普及を進めており、県も神奈川県障がい者芸術文化活動支援センターを運営し、人材育成やワークショップ等を実施 【ロボット・ICT技術の活用】 ・令和3年8月、総務省及び厚生労働省の合同勉強会において、「デジタル活用共生社会」の実現が提唱された ・筋萎縮性側索硬化症(ALS)による全身性重度障がい者がICT技術を活用し、県の「共生社会アドバイザー」として委嘱を受けるなど、社会参加しながら在宅生活が送れるということを体現している事例もある ・今日、ロボット・ICT技術を用いた様々なコミュニケーションツール等が開発されているが、技術(シーズ)と必要性(ニーズ)のさらなるマッチングが重要 【SDGSと障がい者の社会参加】 ・ワーカーズコレクティブ、労働者協同組合、労働統合型社会的企業、支援付き中間就労といった働き方が、働き難さを抱える障がい者の就労の実現に向けて注目されている ・令和4年には労働者協同組合法が施行され、共同労働の場が法人格を得やすくなると期待されており、NPO法人と並ぶ新たな社会活動形態とてしての可能性がある 〇検討の方向性(当面の取組み) ・障がい者の創作活動は、多くが自己表現の一つとして行われるものであり、芸術的な価値のみにとらわれずに、身近に自己表現を行う機会や作品発表の機会を増やす取組を進める(県、事業者) ・アーティストの発掘や創作した作品の展示の機会を創出する取組みを行ってきた「ともいきアートサポート事業」をさらに進めていく(県) ・地域における文化芸術に関する相談支援、ネットワーク形成、人材育成等に取り組むとともに、芸術家や専門家が福祉施設等を訪問・巡回し、利用者等と共に行う多様な創造活動を促進する取組みを進める(県、事業者) ・「障害者文化芸術推進法」に基づく障がい者による文化芸術活動の推進計画を策定し、文化芸術活動の充実をさらに進めていく(県) ・障がいの状態像に適切に対応してロボット・ICT技術の活用が進むよう、産業界と当事者、福祉事業者等が協働し、シーズとニーズをマッチングさせる取組みをさらに進める(県、事業者) ・行政、地域の関係機関・団体、住民が連携しながら、障がい当事者一人ひとりの「出番」を持続的に作っていくための、コンソーシアム(共同事業体)を立ち上げるなど、障がい者の就労の場の持続的な確保を目指す(県、事業者) ・企業の障がい者雇用の課題解決に向け、「ジョブヘルパー」などの提言も踏まえ、県関係部局間で連携を図るとともに、社会的企業、労働者協同組合等について情報を発信し、知見のある公益団体の協力を得ながら、その起業等を支援する(県、事業者) 〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・障がい当事者の必要性(ニーズ)と、先端技術(シーズ)のマッチングを円滑に行うため、コンソーシアム(共同事業体)を設立し、障がい特性に応じた機器の開発や普及に努める(県、事業者、関係団体) ・障がい者にとっても有用な高齢者向けのロボット・ICT技術について、障がい者が容易に利活用できるよう、機器開発及び販売事業者と連携し、適切に情報が得られる環境の整備に取り組む(県、事業者) ・ロボット・ICT機器の利活用により、社会参加をしながら在宅生活を送れている当事者による講話の実施を支援し、県民への普及啓発を図る(県) ・障がい当事者も多様性や人それぞれに違いがあることを発信し、県民に多様性の理解促進を図る。(県) ・SDGsの考えが、障がい福祉と深く関連付けられることについて普及啓発を図り、事業者等が積極的に関わる意識を醸成し、ポストSDGsに向けた議論の広がりを目指す(県、事業者、県民) ・障がい者の就労環境改善や社会参加の促進について、障害者差別解消法に基づいた適切な運用を図るとともに、理念の普及を図る(県、市町村、事業者、県民) 〇将来像(ビジョン)の要素 それぞれの様々な才能を発揮でき、違いを認め、誰も排除しない地域社会であること いのち輝かせて豊かな生活を送れる、その人らしい暮らし方が選択できる 地域の担い手として活躍できる、社会参加や就労等の機会がある 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会 (16ページ) 〇議論の論点(参考) 障がい者故の価値の創造や、SDGSの「誰一人取り残さない」持続可能な多様性と包摂性のある社会の実現を目指すという理念を生かすべきではないか 〇論点 制度の持続可能の確保 〇現状と課題 ・我が国の社会保障費は毎年増加しており、障害福祉サービス等予算額でみると、自立支援法施行からの13年間で、利用者数の伸びにより、予算額は3倍に増加 ・令和3年度の神奈川県の一般会計予算に占める民生費(福祉、子育て)の割合は約15%の3,120億円、このうち、障害福祉費については約725億円 ・神奈川県の財政力は、財政力指数5区分の上位から二つ目のBグループであるが、予算編成時に財源不足が発生するなど、依然厳しい状況が継続 ・近年の障がい者の人数は三障がいともに増加傾向にあり、高齢化の進行や、従事者の処遇改善も課題とされており、限られた財源の効率的で無駄のない執行が重要 〇検討の方向性(当面の取組み) ・障害者支援施設等において、人手が足りないから安易にただ「構造化する」などの支援手法だけに陥ることのないよう、当事者の「暮らし方」の視点に着目した支援に取組む(県、事業者) ・公的価格である障害サービス報酬の改定が適切なものとなるよう、国の議論を迅速かつ的確に情報共有するとともに、県内事業者が抱える制度上の課題がその議論につながるよう、双方向の情報のやり取りを行う(県、市町村、事業者) ・報酬の請求データや、国が構築する予定の障害福祉サービスに係るデータベース等から得られる情報を分析することにより、提供サービスの最適化を図る(県、市町村、事業者) ・社会福祉連携推進法人などの枠組みを活用した共同事業や、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることにより、事務コストを縮減する(県、事業者)     〇検討の方向性(中・長期的な取組み) ・財源と人員配置のつながりを意識し、本当に必要なところに必要な財源の手当てが行えるよう取組みを進める(県、市町村、事業者) ・公的サービスにインフォーマルサービスを適切に組み合わせることで、より豊かな暮らしを実現する(県、市町村、事業者、県民) ・本人活動を支援すること等を通じ、社会保障制度の動向についての情報を共有することにより、共に制度を維持していく努力を行うという機運を醸成する(県、事業者、県民) ・関連領域の関係機関・団体に対し、障がい及び障がい者への理解が深まるよう適切に情報提供等を行い、障がい及び障がい者について、あらかじめ、制度・施策に織り込んだものとするよう要請する(県) ・県本庁の現業業務については、外部委託に切り出し、政策の企画立案業務が中心となるよう転換を図るとともに、各圏域単位で、圏内市町村において政策が着実に実施されるよう、市町村の支援を行うコミュニティワーカーの配置を進める(県)   〇将来像(ビジョン)の要素 いのち輝かせて豊かな生活が送れる、その人らしい暮らし方が選択できる それぞれの様々な才能を発揮でき、違いを認め、誰も排除しない地域社会である 〇将来像(ビジョン) 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前となるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、当事者目線の障がい福祉の推進を図り、その人らしい生活を支えるサービス基盤整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会