(第1回部会 議事録)全21ページ (1ページ目) 審議会等名称 神奈川県障害者施策審議会 障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会(第1回) 開催日時 令和2年7月29日(水曜日)18時00分〜20時10分 開催場所 神奈川県庁 本庁舎3階 大会議場 出席者 ◎小川部会長、冨田委員、野口委員、安藤委員、伊部委員、中島委員、大塚委員、佐藤委員、野澤委員 黒岩知事あいさつ  神奈川県知事の黒岩祐治です。本日は大変お忙しい中、第1回「障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会」に御出席いただきまして誠にありがとうございます。  津久井やまゆり園での事件が発生してから4年が経ちました。二度とあのようなことを起こしてはいけないといった思いで、県議会とともに「ともに生きる社会かながわ憲章」を取りまとめ、その精神を広く深く浸透させるために、全力を注いでいるところであります  そんな中で、津久井やまゆり園で、不適切な支援が行われていたといった情報が寄せられまして、県としてもモニタリングを進める中で、より深く実態を調査する必要があると考えまして「津久井やまゆり園利用者支援検証委員会」、これを今年1月に立ち上げました。検証委員会では、本日も御出席されています、佐藤委員、大塚委員、野澤委員に委員をお願いし、中間報告書をまとめていただきました。中間報告書では、虐待が疑われる事案など、さまざまな課題が指摘されました。また、このことは、障害者支援施設共通の課題であることや、これを見過ごしてきた県の責任も重大であるとの厳しい御指摘もいただいているところです。  こうした指摘に対して現在、指定管理者であります、かながわ共同会は真摯に受け止め、改善を進めているはずです。設置者である県も同様に、改善に努めていかなければならない、このように考えております。県自らが、この県の関与について自己検証を可能とする仕組み、枠組みを作らなければならないと考えております。私はこれを、徹底的に身を切る覚悟でやっていきたい、そのように思っております。県自らが生まれ変わって、二度と不適切な支援が見逃されることのないよう、しっかりとした組織執行体制を作ってまいりたいと考えております。  本日は検証委員会を発展的に改組しました「障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会」の第1回目の会議であります。この部会は神奈川県障害者施策審議会の部会として位置付け、県立障害者支援施設の支援やマネジメントの検証を行うとともに、利用者目線の障がい者支援のあり方を創り上げていただきたいと考えております。  この神奈川発の新しい障がい福祉のあり方は、令和5年度からの県立障害者支援施設の指定管理の選定に取り入れ、運営に生かしていきたいと考えておりますので、委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中恐縮ではありますけれども、今年度中の取りまとめについて、お力添えをよろしくお願いしたいと思います。  あの津久井やまゆり園事件、これを乗り越えるプロセスにおいて、利用者目線の新しい障がい福祉のあり方といったものを創り上げる。これは歴史的な作業であるというふうに考えております。皆様のお力添え、何卒よろしくお願いします。ありがとうございました。 (2ページ目) 部会委員紹介 部会長紹介 (小川部会長)  皆さんこんばんは。部会長を仰せつかっております小川と申します。よろしくお願いいたします。部会を始めるに当たりまして、一つだけお願い事をさせていただきたいと思います。本部会は、利用者目線の支援推進検討、これをすることになっております。ここでいう利用者目線とは、障がいのある方の目線に合わせる、その立場に立つということになるわけですが、とりわけここでは、知的障がいのある方の側に立って検討を進めるということだと認識しております。  とかく、行政のこういった会議は、専門家が、ある障がいの方のために議論をしますから専門用語も行政用語も飛び交うわけです。本部会には、知的障がい者の当事者団体であるブルースカイクラブの会長さんであります冨田委員が御参加して、ここで一緒にこの課題といいますか、このテーマについて話し合っていこうという流れであります。したがって、できるだけ分かりやすい表現で発言することはもちろんのこと、冨田委員にも議論の大切なポイントとなるところでは随時発言を頂こうと思っております。もし冨田委員が、これは分かりにくい話になってきたと思ってきたら、分かりませんと声をかけていただいて、発言者は言葉を言い換えるなど工夫をお願いしたいと思います。  また、たくさんの話が右から左から出てくると、頭が疲れてきたりということもあるかと思うので、そのような場合には休憩時間をとるなど配慮をしていきたいと思っています。こうしたお願いは、本部会の進め方について申し上げているだけでなく、のちに議事録が神奈川県のホームページにアップされることになるわけですが、より多くの方が分かりやすい、理解しやすい話合い、そういうふうになっていますと、ここに今日大勢の方が傍聴に来られていますけれども、ここに来る機会がなかった方々も、その議論に側面的に参加もでき、また神奈川県を超えて日本全国の問題、これは日本の問題なのか、国際的な問題なのかといったら、世界を震撼させた問題でありますので、私たちの中の話合いというのは、非常に広く注目されているという。そのためには、より一層、話の内容が核に行けば行くほど、きっと分かりやすい言葉になっていくのではないかと思っております。  そういうことで、少し我々が議論をしていく上で、言葉というものを砕いていくように努力をしていきたいと思っております。このお願いを持って、挨拶にはなっておりませんけれども、今後進めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、引き続き、議題に入っていきたいと思います。本日、事務局の方で御用意いただいた議題が3点あります。お手元の表紙のページになりますが、その1番から順次議論をしていきたいと思いますが、最終的には3番のところで、委員の皆さんに、重点的に御発言を頂こうと思っておりますけれども、まず1番目から入りたいと思います。事務局の方から説明をお願いします。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長) 〔資料1、2に基づき、「検討部会の設置」及び「今後の進め方」について説明〕 (小川部会長)  今何回目にどういうことを、という説明がありましたけれども、実際に検証の内容等を次の議題の方に移っていかないと、これが適切かどうかということが分からない、あるいは修 (3ページ目) 正すべきかもしれないけれども、この段階では中身が分からない段階なので、事務局の案としてはこういう流れでいきたいということなので、何らかの質問がありましたらお受けいたします。のちに動かすことはできますので、細かいところは後でやりたいと思います。でも、今気付いた、確認したいことがありましたら御発言ください。 (大塚委員)  この部会の設置要綱ということで御説明がありました。利用者目線の支援推進検討部会ということで、設置目的も少なくとも第1条においては、県立障害者支援施設の支援の検証ということで、今までの流れの中からいくと、やまゆりについての支援の検証をした、その流れの中で、県立施設についても今回検証するということに異論はありません。ここを対象にするということはしっかり考えていく必要があります。ただ、それだけでよいのかと思っています。神奈川県全体の施設に関わる、いわゆる障がい者福祉に関わってきた、つまり県立施設はただ孤立しているわけではなく、全県の中で機能していたわけですので、その中において、その他の施設も含めて関係があるわけですので、あまり広げると検証ができなくなってきてしまうので、県立施設というのはいいのですけれども、考え方としては、県立施設の支援を検証することによって、今後よき県立施設、さらには神奈川県全体の障がい福祉、障害者支援施設がよくなるということをきちんと目標に見ながらやっていくことが重要かなと。だからといって、広げすぎて分からなくなるのは困るから、県立施設の検証を通してきちんと考えていけたらと思います。 (小川部会長)  関連したことでありましたら、よろしいでしょうか。大塚委員の御発言の内容は、必然的に入ってくるものだと思います。施設が単体で独立して存在しているわけではなく、他機関と連携をしていたり、あるいは利用される方がお子さんの頃から使われている様々な機関というもの、そこに関わってくるわけです。それから、施設以外の場所を使おうとしたら、地域基盤のサービスがどうなっているのかというのが、当然意思決定支援のところでも話題になるわけです。したがってここで、設置目的として、施設のあり方それを検討するということになっておりますが、その中に、当然、現在言ったように、大塚委員がおっしゃったことというのは入ってくると私は理解しております。  それでは、第1番目の議題は以上で終わりまして、第2番目、検証作業の進め方について事務局の方から御説明ください。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長) 〔資料3、4、5に基づき「検証作業の進め方」について説明〕 (小川部会長)  現在示されている資料3は概要で、どのような手順で進めていくか、細かいところはなくて、項目が並んでいるというレベルですので、ここで決めていかなければいけないと思います。そして有期限の中で行うということで、いろいろと制約があるかと思うのですが、その中でいかに実態を正確に把握するかという任務が課せられているかと思います。おおまかな概要で資料3が示されていますが、特に要点としてきちんと捉えなければいけないとか、お気づきの点がありましたら発言をお願いしたいと思います。  ちなみに、津久井やまゆり園利用者支援検証委員会の中間報告が参考資料2に出ておりますけれども、指摘された様々な基本的な資料を検討して、そこから事実として出されたことについて、記載、提言されているところですが、最終的にヒアリングにまで諸事情で及ばなかったと伺っていますが、実際には取り残した部分を埋め合わせていかなければいけないと (4ページ目) 思います。検証委員会としては一旦終えているのかもしれませんが、御経験からここのところをきちんとしなければいけない、残された部分がおありのようなので、御発言いただければと思います。     (佐藤委員)  検証委員会を構成していた3名は、3名ともここに出席しておりますけれども、今、御説明がありましたように、ヒアリングというところまでいきませんでした。かつ記録の読み込みというものも、なかなか大量な記録がありますので、これをしっかりさかのぼって読み込むということができていない状態です。その中で、しかし、いくつかの虐待が疑われる事案がありました、ということが御指摘できるだけの記録の読み込みはしたということですけれども、どうしてそういうことになっているのかということを読み込むことについては、さらにさかのぼって記録を読み込みことが必要な段階だったと思っています。  一つの施設だけを対象にして、半年間という期間で大変な作業を職員の方の協力を得ながらやったというところですが、今回の部会は県立施設全体に広げておりますので、広げるということ自体は、私は正しい選択だと思っておりますが、対象を県立施設全体に広げて、不適切な支援の検証というものをやると、相当な時間と人手というものが要すると予想されます。しかも、有期限というか来年の3月には報告書をまとめなければいけないという、後ろが決まっている会議のようなので、今、私としては確認したいことは、この半年でできることは限界があると、これですべて検証が終わるというふうに思わない方がよいということです。施設の検証、特に支援記録の検証というのは大変な作業なので、できることはやるという思いで、皆さんとこの半年やっていきたいと思いますけれども、おそらくできないことの方が多く残ると思います。そういう前提で、ここで全部検証できたのだ、この会議が終わったらあとはもうないのだというような発想で議論を展開されないほうがよいだろうと思います。 (小川部会長)  検証委員の方の御経験を披露していただけると、部会員がこれから関わることになると思いますので、御発言を頂きたいと思います。 (大塚委員)  今、佐藤委員よりお話がありました。繰り返しにはなりますけれども、中間報告で検証した対象というのはほんの一部という認識、全体の一部と。それは人数的にも一部、一つひとつのケースについてもここ2ないし3年間。少なくとも私は、県立施設あるいは指定管理になってからずっと全部の経過を追うべきだし、それがだめなら平成24年の障害者虐待防止法ができた以降は少なくとも検証すべきだと。途方もないことで、それは不可能だということであります。ですから、ほんの一部であれだけの時間がかかったということで、なおかつ他の県立施設なども含めてやるということは時間が決まっていることも含めて、やり方をよく考えなければいけないと思います。 (野澤委員)  検証のあり方については佐藤委員、大塚委員の考えと一緒なのですけれども、検証の進め方や部会の進め方を見て気が付いたことは、身体拘束というものはどういうものなのか、というのをきちんとこの部会で、まずスタンダードを確認しないと、例えばヒアリングしたときに相手の言うことをどう評価するかということが全然違ってきちゃうと思う。この前の我々の会議でまとめた中間報告でも、かなりのことは指摘しているわけですよ、相当なことを。虐待の疑いが濃いと、24時間の身体拘束が行われている、相当とんでもないことだと思 (5ページ目) っているのですが、全部だとは思いませんけれども、それは現場を知らない者が捉えて言っている、みたいな見られ方をしているのではないかなという気もします。  いろいろなところのお話を聞いてですね、かつてはやはりそういうふうに見られていたのですね。大塚委員は長く現場でやっていたのでよく分かると思いますが、現場で大きな声を出したり、暴れたりする人をどう支援すればいいのだ、押さえないでやれるわけがないだろうという本音があって。ただ厚労省とか国が出している身体拘束はダメというのを形式的にただ言っているだけで、実態は違うだろうという見方をされているのではないかとの思いがある。でも、虐待防止法が施行された2012年以降、国が、強度行動障がいの支援者養成研修などを全国でやってきて、今あちこちで、街中のグループホームでかなりの行動障がいの方を見事にそこで支えて改善しているという事実が、あちこち出てきている。明らかにそういうものが現実でスタンダードになっているのに、かつてのトップランナーが周回遅れしていて、その古い価値観に基づいて物事を判断されているような気がしているのですね。  私は、できれば、実際に強度行動障がいの方を地域で支えて見事に改善している方に来てもらって、我々がここでその意見を聞く、それをスタンダードにして、いま神奈川県立の施設で行われていることはどうなのか評価していかないと、また出てきたものをダブルスタンダードで、結果的に、ここで何を出しても現場を知らない人たちが形式的に言っている、みたいに言われてしまわないかと心配です。そのあたりをきちんと基準を作った上で、認識をした上でヒアリング等を進めていったらと思います。 (小川部会長)  今、お三方から意見を伺い、特に最後の野澤委員は、きちんと支援ができている、そういうものと併せ持って見ていって、本来あるべき、これは言っているスタンダードというか利用者視点ということ以上に、もう一つこういったものがあるかもしれないという例がありましたけれども、少し安藤委員とか、現場の経験とか検証のあり方を含めてコメントとかありませんでしょうか。 (安藤委員)  資料3の(3)課題の整理のところで、いくつか職員の認識はどうかとか支援技術はどうかとか、この6回の検証の中で、とても対応できないというのは御摘のとおりだと思います。本来はこういうことは、日々、支援現場の中でみんなが取り組むべき内容だというふうに思いますので、それが今後どういうふうにすれば、そういうことが実践していけるのか、そういう方向性をみんなで意見交換できればと思います。 (小川部会長)  中島委員、御発言いただければと思います。 (中島委員)  今、話を聞いていて感じたところは、検証という部分で過去に何があったのかというところを洗い出していく。たぶん、実際にされてみて、すごくそこに時間とかいろいろとかかって、限界もあったみたいなところで、今回こうしたスケジュールの中で感じているのは、利用者目線のというところ、利用者本位の支援を目指すことが大事だということは、現場の中でも常に考えているところですけれども、やはり未来志向でどうあるべきなのかと、これからの目指すところは何なのかというところを中心にしっかり議論して、我々が目指すところはこういう方向だということを伝えていくことで、共有していくことで、二度と同じような過ちとか、虐待とかそういうこともなくなっていく、そういう社会を目指すことにつながっていくのではないかと思っています。 (6ページ目) (佐藤委員)  未来志向というのは、考え方としては良い考え方だと思いますけれど、我々がなぜ記録の読み込みをしたのか、さらにそれが十分ではないと言っているかというと、実は私がこのようなことを言うと語弊があるかもしれませんが、不適切な支援が行われない施設というのはないのです。必ず、ちょっと失敗したりするということは起こり得ます。それが100%ない施設というのは、日本中、先ほど野澤委員が良い施設があるとおっしゃったけど、リスクを抱えているのですね。問題は、不適切な支援をしたときに、なぜそれをしたのかということを、ちゃんとチェックできるかどうかという、そういう思いが施設の中にあるかどうかが一番重要だと思っています。なぜそういうことが発生したのか、なぜそのときにかんしゃくを起したのか、職場内の問題なのかどうかということをいちいち検証していかないと未来が語れない。そういう検証を抜きにして未来を語るということは難しいです。  なので、不適切なものがあったときには、それをきちんとチェックしていきましょうということを全国各地でやっているわけで、県立施設においてもそういう検証作業が必要だろうと考えます。全部は多分、時間的に無理だと思いますけれども、居室施錠とか身体拘束のデータが資料5で出ていますけれども、そういうものもこまごま含めてチェックしていくことも必要だと思います。 (小川部会長)  冨田委員に伺いたいのですが、今、出ている議論で、どこにでもそういう施設での身体拘束とか虐待に至るところもあるのだということで、それをすべての施設で調査をしていくということで、非常に時間的にも厳しいわけです。まずは、虐待とか身体拘束とか受けている実態を冨田委員は自分自身が受けたことがあるとか、そういうのを見ているとか、そのこと感じていることがあるとか、何か御意見を出していただけますか。 (冨田委員)  前にいた施設で、ちょっと見ちゃったんです。僕は施設長には言わなかったんですけど。なんかいうことを聞かなかったんですね。そしたら、その人が職員のことを思いっきりぶったんですね。そしたら、その職員の人がぶち返したんでびっくりしたんですね。なんであんなことするんだ、あの人はって。それはすごくよくないと思いました。いくらなんでもそれは。 (小川部会長)  そのときどんな気持ちがされましたか。それを見ていて。 (冨田委員)  その職員に対して、なんでやるのかと思って。いきなりぶったんですね。背中を。痛いわよ、なんてぶったのを見ちゃったもんで。彼がぶったら、それにまた職員がぶち返すということはないと思ったんですよ。 (小川部会長)  それをなかなか然るべき人に、こういうことがあった。やめるように言ってくださいというようなことを話しにくかった。 (冨田委員)  そうですね。思いますね。今思うと。 (7ページ目) (小川部会長)  訴えたいけれども、というところで踏みとどまったことがあったんですね。 (冨田委員)  そうですね。ありますそれは。働く施設だったのでなかなか言えなくて。 (小川部会長)  分かりました。 (冨田委員)  そうなんですよ。今の施設はないんですけれどもね。 (小川部会長)  野口委員のお立場から何か言っていただければ。 (野口委員)  私も知的障がいと自閉症の親です。もう30代になりますけれども、いろいろ試行錯誤しながらやってきましたが、今は時々問題ということも起こしながらも元気にやっています。  その中で、親御さんであるとか施設の方が、いろいろ本人がうまくいかないで、いろいろなことがあるということは分かります。気持ちは分かりますし、そういうことはあるだろうなというのは分かります。ですけれども、それを許すというか、それでいいんだということはちょっとやっぱり、私も非常に自分の子育ての中でも、いろいろなことがあるけれども、本人が少しずつでも成長して豊かな生活ができるようにということで関わってきましたので、いつも今回のあの事件のこともそうですが、なぜそうなったんだろうということを、この4年間皆さんと一緒に、いろいろな方が考えていらっしゃると思いますけれども、やはり虐待するに至るようないろんな社会的な今までの経過があるというのは実感として感じています。  それで今回は、なぜこうなったのかというのを考える中で、施設のこととか支援のあり方とか、親も一つの関わっている人間ですから、親の関わりもやはりいろいろ改めていかなければいけないところもあると思います。そういうことを提示する中で、一つひとつ良い方向にいったらいいと思います。 (小川部会長)  ありがとうございます。伊部委員、一通り検証に関しての御意見を聞いていたんですけれども、全体の話を聞いていて感じていることがありましたら。 (伊部委員)  その前に、冨田委員のお話の前に、中島委員が御発言をしたそうにされていましたが。 (中島委員)  佐藤委員のお話、ごもっともかなと思いながら話を聞いていて、ちょっと自分も言葉足らずだったかなと思ったのは、当然検証を進めるというところで、不適切な支援がなぜ行われていたのかという、こういう論点もありますし、そこをしっかり確認していくということは否定していませんし、大事なことだと思っておりますので、そういうことを一切なしでとは思っておりません。 (8ページ目) (伊部委員)  深い問題なので、なかなか軽々な発言は許されない課題だと認識しております。その上である程度踏み込んで申し上げますと、私は究極的に利用者目線というのは、現実を踏まえるということが一番だと思っています。実はこの利用者目線という言葉が、私ども県の社会福祉協議会は会員制組織で、いろいろな福祉関係者、地域福祉や施設関係者もいるのですが、ほとんどの方がなかなかピンと来ないというお話があって、日頃から自分たちが取り組んでいるものです。ただこれは私なりに利用者目線についての考え方がありますので、これは後程の議題で申し上げたいと思っております。  では、現実を見つめるということはどういうことなのかというのは、今回資料5のところで、どれくらいの身体拘束があるか数字は出ておりますけれども、こういう数字を先に示すということは、私は利用者目線につながらない資料の出し方なのではないかと受け止めています。この数字の中には、一生懸命施設が努力して、これだけの身体拘束に減らしたというものもあるでしょうし、時には安易に、一部神奈川でも報道された虐待案件、あれはもう楽しんで虐待をしているというふうに怒りを持ってあの報道を見ていたのですが、許してはいけない虐待ももしかしたらこの中にもあるかもしれない。また、十分な身体拘束の数を減らそうという努力がなくてこの数字があるものもある、減らそうとしているものもある。それらを一切出ずに、数字で出ているというのは、おそらく今日、真正面にいらっしゃるマスコミの関係者は、これだけ神奈川県にはまだ虐待があるというような原稿を書こうと思えば書けるかなと思うのですが、私はここの数字の示す意味をしっかり見た上で、現実を見つめるという意味では検証を進めるということは賛成です。  ただ、県立施設を全部、3人の検証委員の皆さんは大変御苦労されて進めてきたような、いわゆる支援記録を何年か分を集めて全部見るということが、果たして時間的に適切なのかどうかというのは、事務局の考えに委ねるしかないと思っています。  とすれば、今回の部会の設置の目的の一つが、指定管理制度に向けて、そちらに盛り込みたい材料を10人の委員の皆さんの知恵と創意工夫で出していきたいという事務局の思いがあるのであれば、その期間に沿って我々は成果を出さなければいけない。そういう両方の側面があるのかというふうに思っております。  整理して言いますと、検証を進めるということは、私は大切だと思いますが、それは現実の中を見つめていくということと、職員の努力があるということを正当に評価した上で検証をしていくということであれば、私は賛成です。 (大塚委員)  今、論点等が出てきまして、やまゆりからの連続性の中で虐待とか不適切な行為とかそういうことも検証する。他の県立施設も含めて、これは大切なことなので、きちっと動いていく。方法論はこれからかもしれません。これはネガティブなもののチェックということなのですけれども、それだけでいいのかなというふうに思っています。県立施設や事業団の施設もそれなりの歴史があり、それぞれもあって、仕事に励んできた人たちがいる。この人たちのやる気をくじくような、ある意味で検証というのはそういうところでもあるわけですが、しっかりと立ち直ってほしいということもあるんですけれども、ただそういう中で言っても、やってきたことを全否定されるのではなく、多分ストレングスがあったと思う。それぞれの施設にもストレングスがあり、やるべきことをやってきて、県の影響を与えたところもある。そういうストレングスの視点など、そういうところもきちんと評価することによって、それはサービスの質の評価かもしれません。それによって、職員がこれから引き続いて一生懸命やりたいという希望を持てるような評価の一面もきちんと、評価しなければならない。それは行政も同じかもしれません。ストレングスの視点をどのようにきちんとやるかということ (9ページ目) が大切と思います。 (小川部会長)  支援員のストレングス、ストレングスというところの説明をお願いします。 (大塚委員)  施設が一生懸命にやって、この自分の施設は得意なところでここに力を入れてきて、頑張ってきたんだというところがあるわけなので、そこをきちんと評価する、正しく認めるということが重要だと思っています。 (野澤委員)  どう考えても、この期間でこれだけの施設の調査は難しいと思う。この前のやまゆり園にしても資料5にしても、身体拘束にスポットを当てたんですけれども、それは記録に残っているから、だから確かなものだろうし、我々も分かりやすい。でも本当は記録に残っていないもの、記録に残せないところで何が起きているのかというのが一番重要なところだと思っています。これを調べたり把握したりするのはすごく難しいと思う。実際に行ってヒアリングしてくれば分かるなんてものじゃないと思う。一番そこで働いている方たち、本当は御本人が言ってくれれば一番いいんですけれども、なかなか言葉がなかったりして難しい。だから、そこで働いている人たちが本当に反省して、本当のことを言ってくれないと実態というのは分からない。そういう信頼関係を現場の職員さんたちと我々が作っていって、未来に向けた立ち直りのために本当に反省してもらうという作業が必要だと思う。その中でやらなければいけないことはあるので、この今回の検証なり部会は、全体の中の限られたほんの一部をやっているんだという位置付け、それを委員と多くの県民の方たちに認識してもらう必要があると思います。  もう一つ言わせていただくと、資料5で身体拘束の数とか種類とかいろいろでていますが、多分これに沿ってヒアリングとかすると思います。大声を出して手に負えないんです、人の服を破りに行くんです、職員を叩きに来るんです。そう職員さんたちに言われると、「わー大変ですね」と思っちゃうかもしれませんけれども、私個人的に自分の体験を言わせてもらうと、うちの長男も重い自閉と知的障がいがあって、かつては私や家内の顔や手は血だらけでした、毎日毎日。電車の中で、私長男に顔を噛みつかれたことがあるんです。佐藤委員はもっと大変な目に合ってると思いますけれども。  でも、街中のちっちゃいところで経験も乏しい、職員の数も少ないところで見事に改善しました。そういう例はいくらでもある。一時的に大声を上げた、暴れたということで閉じ込められて長時間ずっと置かれているという。これは果たしてどうなのか。ヒアリングするこちら側にしっかりとした基準というのがないと、いかようにも数字の意味付けというのはされてしまうと、そこを私は一番恐れている。 (小川部会長)  続けてお尋ねしますが、検証委員会では5回程の部会で資料を読み込まれて、ちょうどコロナのことで、ヒアリングをいざしようとしたときに、これがストップになってしまった。ですから中間報告で解散ということになったと認識しているのですが、そのときに行おうとしていたヒアリングはどういった内容になるんですか。 (野澤委員)  現場に行って、現場を見せてもらいながら、見ることでいろんな情報も分かるわけですから。そこで幹部の方と現場で直接支援をしている職員さんに、いろいろと事情を聞いてみた (10ページ目) かったなと思っています。記録に残っているものの理由だとか、その最近のことなど、いろいろな角度から聞いてみたかったなと思っています。 (小川部会長)  それでは、ちょっと提案してみたいんですが、皆さんの御意見をお伺いしていて、この短い期間の中で膨大な資料とヒアリングということは、物理的に難しいということになりますけれども、逆に言えば、それをしなければ改善できないのか改革できないのかということになると思うんです。少なくとも、津久井やまゆり園の検証をして、中間報告となっていますが、30%でも中間報告だし、80%やっても中間報告なので、中間報告はいったいどの中間なのだということになってしまうのですけれども、少なくとも、やはり野澤委員がおっしゃったヒアリングというものは行って、中間報告に書かれている提言の内容の裏付けを取りたい。  それから県の方で、既に虐待の事例が、厚生常任委員会の、この資料に明確に書かれていますが、そういう実態が1件、2件ともあったわけですよね。それをそのまま放置しておくことはできない。少なくとも県直営施設と指定管理施設合わせて6施設について、量的な調査はできている。ただ、あと1事例でもいい。質的な、経緯とそれに関わった、どのように関わっていて、こういうふうなことになっていったのかという展開、プロセスを明らかにして、虐待と言われるような行為に及ばないためのヒアリングをすべきではないかなと。  6施設で何件とかいうこの件数の数字を見ると、本当にとてもではないのですけれども、各施設に対して、部会でこの話をお伺いしていくということは可能なので、できたら、検証委員会がなさろうとしていた視点みたいなものを、一つの統一視点のようなものにして、それに付加した内容は、それぞれの部会員のそれぞれのお立場から見ていけばよいのではないかと思っています。  そういうことで、できれば、検討部会の全委員が手分けをして、事例を見てくる。検証委員会では膨大な資料を積み上げてこられたと思うのですが、そういう事例検討のような形で見ていくということ、お話を聞いていくということではどうでしょうか。  それから、話を聞く上では、大塚委員がおっしゃったように、生活支援員の方というのは本当にものすごく一生懸命、それがうまくはまったりはまらなかったりして、試行錯誤している部分があるかもしれないけれども、少なくとも多くの方々は一生懸命働いている。なんとか、その意思を、ちょっとした動きとか表情とかから読み取ろうとして頑張ってやっていらっしゃる方もいる。ただ一部、1件、2件そういうことが起きたら、その施設全部が、一体何をしているんだということになってしまって、叩かれてしまう。少なくとも多くの支援員の方々は一生懸命働いている。そこでうまくいって、本当にその人の人生を作っていくような、少しずつ表情やできることが一歩一歩前に進んでいく。そういった事例も確かに受け止めていきたい。こういうふうにしていけばという例も、一方で見ていきたいと思う。  時間的にどういうふうになるか分からないけれども、少なくともここに示されている6施設の、それから検証委員会でやってくださったあれだけの膨大な資料をそのままやるということは非常に難しい。ただ1施設1施設の課題があった事例を率直に指摘してもらって、今後どうしていくんだということを、そこの法人なりの方々と、あるいはそこに関わるサービス管理責任者とか主任の支援員の方、現場の方と、コミュニケーションが取れれば見えてくるものがあるのではないかと思う。そういった絞った形でヒアリングに入るというのはどうでしょうか。御意見を伺えればと思います。 (佐藤委員)  今の部会長の提案に、特に異論はないんですけれども、絞る、絞らないにかかわらずヒアリングに入る時のケースの選び方については、県立施設なので、県職員の方がかなり詳しい情報を持っておられる方がいらっしゃるので、事務局と調整し (11ページ目) ながら入るのだろうと想像します。  もう一点、ここがややこしいのですが、中間報告でもちょっと指摘させていただきましたけれども、身体拘束の3要件の理解が、実は一般的なものと違っていたんですね。それは施設側が違っていたというだけではなく、どうも県当局も違っていたのではないかと思っています。今は訂正されたと思いますけれども。ということは、県の関与が長年にわたって、監査やモニタリングがあるわけですが、その途中で違う理解の下に監査をしていた可能性もあるので、この辺もチェックしないといけないんですね。県の事務局と協力しながら調査しましょうと言うんだけれども、県も調査対象になるので、ここにについてどう進めていくかが非常に難しいと思っています。  それから、不適切な事案を念頭に置いた話ですけれども、いま津久井については意思決定支援チームが入って、ずいぶん支援が改善していると聞いていますが、他の施設では意思決定支援チームは入っていないわけです。次回は意思決定支援の話が聞けるということなので、こういう作業をやったらこれだけの成果がでるんですよというような話が、他の施設でもできるのかできないのかということを検討していかなければいけないと思っています。  事例を絞ってやるというのは時間的に仕方がないと思うけれども、何を聞きに行くのかというのが重要になると思っています。 (小川部会長)  広げていくとやりきれないこともありますが、やりきれないだけではなくて、話がいろいろと出るだけで、一向に収斂していかない、提言にまで至っていかないというのもあるので、何をやるべきかということをしっかりと押さえないといけないと思うんですけれども、今、県の方でというのが出ました。私の理解は、この6施設に関しての、例えば事例とうっかり言ってしまいましたが、例えば虐待があって、それなりに報告が上がっている事例もあったりするでしょうし、身体拘束のことでいろいろと工夫をされていてこういうふうに行われているという話も出ているかもしれない。県の方で、6施設についてのベースの情報を押さえていただいていれば、それを携えて、この件についてはというふうに我々がお話しできると思いますが、そこはいかがでしょうか。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長)  今お話いただいた形で、少し事例を含めて深掘りはできるんじゃないかなと思っていますので、御相談させていただきながら進めさせていただきたいと思っております。 (大塚委員)  事例の件が出まして、ただ、資料5というのは、県がその内容についてはよく分からないけれども、これだけの身体拘束に関する調査結果が出ているわけです。例えば、中井は56件あると。少なくとも、このケースについてはすべてどういう内容であって、いつから3要素も含めてどうだったかということをきちんと整理して出していただきたい。でないと次にいけない。その中からいくつかのケースを選ぶということはできますけれども、この内容についてきちんと報告していただく必要があると思う。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長)  おっしゃられるとおりだと思います。その上で、比較という話かなと思っております。 (野澤委員)  私もさっき言ったんですけれど、本当にそのとおりだと思います。そのくらいしかできないのでないかなと思います。でも、そのくらいというけれども、やる価値は十分あると思う。 (12ページ目) その背景には、いろいろな支援者側の認識とか事情があると思うんですけれども、でも、虐待は支援者側の認識とか事情は問われなくて、やった行為そのものが評価されるというのが法律ですので、それら真正面から事実を確かめて、それについてもう少し詳しく、しかも施設側からもヒアリングして聞いていく。この期間でやれることといえばそのくらいかと。 (小川部会長)  少なくとも県立施設、指定管理施設においては。県内に多数の施設がありますけれども、少なくとも県が指定しているところで、きちんとできていないということではいけない。ですから、もちろん訪問していけば法人の苦労がにじみ出て、こういうふうな課題があるという話も聞くことになるかと思いますけれども、わざわざこの部会を立てて、虐待とか理不尽な身体拘束がない施設入所支援が行われるというような方向に向かっていくためには、我々が訪問させていただいて話を聞くという、それ自体で前進する可能性は大いにあると思う。量的には非常に少ないけれども、我々が真摯に話し合いをして、そして、先ほど大塚委員が言ったようにきちんとした支援員を育てていく、あるいは育てているというところもあるかもしれませんが、そういうところを見極めていく、そういう機会を作っていくべきではないかなと思っています。内容が少し薄かったり狭かったりするかもしれないけれども、とにかくヒアリングをするんだというふうにしたいと思いますけれども。 (中島委員)  先生の話で納得しています。 (伊部委員)  中井やまゆり園の数字がこれだけ大きいというのが目立ちますが、私が多くの方から聞いているのは、中井やまゆり園が他の施設では受け入れすることができない最重度の人たちを受け入れている、大変な施設だということを聞いております。その中で、身体拘束があるということを、やはり状況がどうなのかをちゃんと踏まえないと、きちんとモニタリングといっても、一件、一件の原因の背景を聞き取り、分析していくというふうにしないと、数字で56件、まとめて短時間で聞くというのはなじまないのかなと思っています。  最重度の施設に関してというお話ですが、私は施設現場では、労働災害がかなり起きていると聞いている、蹴られたり殴られたり、職員が受けるということは当たり前としてみなしていいのか、それをできるだけ減らす努力をしていくということが、もっとあってもいいのではないか。私は、できれば、もちろん今日報告というのは求めませんが、それぞれの県立施設で労働災害がどれくらいあるのか、届出はしていないけれど怪我をしている職員がどれくらいいるのかということも、いわば福祉業界のタブーの一つだと私は認識しているのですが、それをやはり報告をしながら職員も安全に支援ができると、その上でさらに安心してできるだけ拘束がなく、虐待はもちろん絶対に起こしてはいけないのですが、そういう支援をこの部会で、方向性としてきちんと位置付けるということが必要なのではないかと私は考えています。あえてタブーですが、私はそういうことを聞くケースが非常に多いので、あえて申し上げさせていただいた次第です。 (大塚委員)  確かに労働災害というのも含めてありますけれども、それをどんなふうに使うのかということだと思っています。ちょっと危険なのは、利用者目線なのか、障がい者の立場に立ってということではないので、反対にそれがこんなに大変な人がいるんだから虐待も当然だというような枠組みに入ってくる危険性がある。それをきちんと押さえられるかということはちょっと自信がありません。それが、まさに利用者目線ということかどうかということもきち (13ページ目) んと考えておく必要があると思います。なんのために出すのかということだと思います。 (野澤委員)  それもそうだと思うけれども、民間の事業所はどうなのかというのも調べるべきだと思うんです。県立施設は、お金も人も手厚く配置されていると思う。それに比べて、どういう評価をするのかというのを考えた方がいいと思う。大塚委員も言ったように、「だからしょうがないじゃないか」ということにずっと使われてきたんですね、この労働災害みたいな言葉が。それで本当にいいのかということが言いたい。支援者側の問題でもある場合があるし、つまり行動障がいがなぜ起きるのか。生まれてすぐに行動障がいを起こす人はいないわけで、いろいろな環境とか支援のまずさが行動障がいを引き起こして、それに対して職員がきちんと対処できないから力で抑え込んで、ますますストレスが高じて、ますます暴れるという悪循環がすごく多いんですね。大変な目に合っているその場面だけを切り取って、こんなに大変ですよと言われるのは、明らかに本人さん達に失礼だと思いますし、不当だと思う。本人が言えないからこそ、そういうことが成り立っていると思います。そういうことを我々が踏まえて、考えていかなければならない。 (小川部会長)  伊部委員がおっしゃられたことは、とりあえず、まず実態を我々が把握して、きちんと整理した次に、どういう対策を取っていくべきなのか、例えば職員の関わりの問題、野澤委員が言ったように、民間の中ですごく良い支援をしているというところもあるわけですから、一概に受け入れている障がいの重さだけではないいろいろな要素があると思うので、まず、実情をきちんと把握するということになると思います。そして、その暁に、もしこういう方に対して、こういう支援をするのに、人的な手当をしなければいけないとか、あるいは環境についてもっとスペースをゆったりとするとか、音響的な環境を良くするとか、様々なハード面の配慮もあるし、それから人的な関わり、それは単に人の数というだけではなくて、いろいろなスキルを持っている人、あるいは趣味でもいいですが、そういうスキルを持っている人が関わるという、生活の仕方を変えていくということもあるでしょう。そうするとそこに、必然的に金銭的な経費がかかってくるということも出てくるでしょうし、それは神奈川県として知事が、ここで最初に御挨拶に来てくださったくらいですから、ただ方法論を変えてよし、未来志向だというふうにして終わるんだったら、この部会は明日にも終わってしまう。そうではなくて、実際に神奈川県が変わっていく。あるいは県立施設、指定管理の施設が変わっていく。そして、その他の数多い施設も変わっていく。そして、神奈川県の障がい者施策が変わっていくというふうにステップを踏んでいってもらうようにしなければいけない。そのためには、知事にも一肌も二肌も脱いでもらいたいし、傍聴に来てくださっている議員の皆さんもまた、委員会や議会で様々な施策を論議して、神奈川の神奈川たる福祉を創っていく、そういうことがあって初めて、この部会で提言していくことが生きていくと思う。  今、伊部委員がおっしゃったことというのも、我々が賛否の論議になるかもしれないけれども、後々に徹底的にやるべき内容かもしれないというふうに思います。 (大塚委員)  今のお話を聞いていて、戻るんですけど、職員の頑張りがあってやる気があって、一生懸命福祉に燃えていると。やっぱり、そうだと思いますし、仕組みが虐待などを作っているという要素が非常に多いわけで、そういう中で、先ほどの野澤委員の話に戻りますけれども、やはり県立施設という入所施設の中でどのようにするかというのは、多分これはもう限界があると思う。これだけ良くしても、仕組みそのものが不十分であって、それだったら地域で十分、強度行動障がいも改善されている人たちの話を聞いて、じゃあ県立施設はどうするの (14ページ目) だとやった方がいいと思う。今の状況の中での県立施設、それは仕組みの中で限界がある。そこはやっぱり原点に戻る、という気がします。 (佐藤委員)  県立施設に重度の方が多いというのが本当なのかどうなのかをまず確認しないといけない。これは野澤委員がおっしゃられたとおりだと思います。仮にそうだとしたら、なぜそうなのか。その問題を扱うと、これは県立施設の問題ではなくて、神奈川県全体の民間事業者も含めた施設のあり方の問題になってくるわけで、どんどん議論が広がります。広がりますけれども、そういう議論も必要とあれば、これだけのメンバーがいるわけですから、やればいいと思います。 (小川部会長)  ですから、軸はここに与えられた事項がありますけれども、それは果たすとして、そこに重要な根っこが見つかったら、その根っこを議論するということになるかと思います。  そうしましたら、ここで細かいことを、例えば、段取りとか日程をどうするかとか、誰がどこへ行くかとかやっていますと時間がなくなってくるので、確認したいことは、この委員全員がヒアリングに出向く、手分けをして。  冨田委員も施設を訪問したいですよね、見て、どういうところか。 (冨田委員)  見たいです。それは。 (小川部会長)  ということで、全員で、手分けをすると。部会委員2名と事務局となっていますけれども、少なくとも複数名で訪問するという形で、これはちょっと案として、皆さんの御都合もあるでしょうし、地理的な位置、お住いの位置ということもあると思いますので、その辺も勘案していただいて、タイムスケジュールを作ってもらう、時間的な先方のこともあるでしょうし。内容的には、量的な検討よりも質的なものでよろしいのではないかと思います。  その辺で、これは、この会議の場ではなく、一度、私も見ますけれども、それで流していただいて、皆さんの細かなチェックを入れていただいて、たとえば質問事項とか修正を入れていただいて、それを基本として訪問調査をするということにしたいと思いますが、何か事務局の方でありますか。補足とか。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長)  今、御議論いただきましたので、その方向で具体的なスケジュール調整を含めてさせていただきたいと思います。皆さんにも御相談しながら進めていきます。 (小川部会長)  これについては、少しやり取りを会議の場を外れて、時間調整とかですので、個別に連絡を取っていただいて、スケジュールを決める。ただ、お尻が決まっていますよね。次々回の部会までの間にということになりますので御検討を願いたいと思います。では、とにかく部会員全員で、神奈川県内の直営施設、指定管理施設を訪問させていただくということになります。よろしくお願いします。  それでは、議題の3に入ってよろしいでしょうか。それでは議題の3ですが、事務局で資料を作っていただいているので、それを説明していただきましょうか。私としては、この資料のとおりがいいのかどうか分からないですが、お話するきかっけとしての項目というふう (15ページ目) に理解しているのですが、それを説明していただきましょう。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長) 〔資料6に基づき「議論のポイント」について説明〕 (小川部会長)  この資料が出てきた意図というのは、行政は最終的にはこういった部会とか審議会をやりますと、まとめとか報告書とかですね、そういうのが重要な業務をした証拠になるのだと思いますけれども、そういう項目のように見れば見ることができるということになる。  私個人の考え方としては、行政はそういった最終的に報告書がほしいとは思うのだけれども、できたら神奈川県は、虐待とか理不尽な身体拘束、身体拘束も先ほど何か定義だとか理解とかが違っているっていうような話が出ましたけれども、大体その3要素、3要件ということ自体、意味が難しい熟語ですよね。なぜ難しい熟語にするのかなと思いますけれども、言いたいことは、分かりやすいバージョンの報告書というか、神奈川県では施設でこういうことを支援しますよ、こういうことはしないですよ、もし、そういうことがあったら、言ってください。神奈川県の施設というのは、こういうふうな方針でやっていくんですよということが、見えるような形で、論文みたいな形ではないものを付けて、その後ろに報告書が付くぐらい、よく海外で見るんですよ、最初に知的障がいの方が分かるように絵図で説明文があって、その後ろに細かい内容が出てきたりとかする、おおまかに神奈川県はこういう方針でやっていくんだぞというようなものを作っていく、どうせならそういった報告書にしていけば、利用者目線に立った支援とはこうだという風に言えるのではないかというふうに思います。そうでないと、利用者のために作った虐待ゼロ報告書と、こういうふうな報告書になってしまうわけです。ここで一歩前に出て、踏み出した内容にしていきたいと思っています。  それから、未来志向、未来志向と出てきて、県の常任委員会で、事務局が議員さんに説明している文章を読んだときに、未来志向、未来志向という言葉がしきりと出てくる、この検討部会の第1条も未来志向の支援のあり方と出てくるのですけれども、未来志向というのは、明日も未来だし、10年後も未来だし、50年後も未来ですよ、やはり私達は、来年度は、半年後と1年後には、モニタリングしますよ、そしてその次の年には、こういう事業所もモニタリングしますよこのテーマで、というような目標地点を決めた報告書と言いますか、提案書を作る。未来志向でこうあるべきだという資料はもう何十年も作ってきている、神奈川県だけの話じゃないですけれども、作ってきていると思うのですが、今後こそ、着地地点を順々に決めて、5年後には施設も地域も変わっているというふうな、イメージが持てるようなものを残していきたいというふうに思っています。  それには、具体的にどうするかというのは、今後の議論によると思いますが、僕のイメージとしては、そういうようなイメージでやらなければ、これは形式的なものになってしまいます。  皆さんの方から、ここに県が提案した、ある意味、目次みたいな感じですよね、上に定義があって、2つの主な検討事項があって、最後は実現のための何をするのかというのが出てくるわけですけれども、何かこれを御覧になって自由意見をいただければと思います。残り20分ありますので、皆様に一通り意見をいただくことができるかなと思っておりますが、どうでしょうか。お願いします。 (安藤委員)  利用者目線に立った支援ということで考えると、例えば、津久井やまゆり園の再生基本構想の中で出てきて、今も実践をされている利用者主体、利用者主体というか、意思決定支援の取組みというものをもっともっときっちりと進めて、それを全県下に生めていくという、 (16ページ目) そういう施策をどういうふうに作っていくか、それは県の取組みでもあると思うのですが、その辺について言及したいなというのが一つあります。  それから、利用者目線ということは利用者主体ということですし、神奈川県の施設職員の団体、知的障害者施設団体連合会が1994年(平成6年)に、手元にある「あおぞらプラン」いうのを利用者の皆さんからいろいろと意見を聞いて、取りまとめて、利用者の目線で何とか支援を良いものにしていこうという取組みをしているので、そういう取組みを後押しするようなそういう議論なり、それから、そういう良い支援を実践するための施策みたいなものを、しっかりと提言できるといいと思います。  もう一つ、身体拘束に関しては、身体拘束についてのガイドラインをしっかりはっきりと、どこかの団体、この部会で議論をするだけのそれだけ時間があるかどうかというのもありますけれども、やはりガイドラインを示したり、それから、まだ神奈川県は、身体拘束をなくすための取組みの事例集というのはまだ作っていないので、やはりそういったものをしっかりと作成して、皆がそれを共有して、どのようなものに向かって、我々が進んでいったらいいのかということを示していく、そういう提言もしていきたいなと思っています。 (小川部会長)  ありがとうございます。本当は議論のやり取りをしたいのですけれども、時間があったら戻ってきます。中島委員お願いします。 (中島委員)  1点だけ。ちょっと気になったのが意思決定支援という部分なのですが、この意思決定支援の取組みをしているところはある。そこは、だから進んで、そういう意味では利用者本位の支援が進んでいるけれども、他はどうなのかというようなお話があったかと思うのですが、意思決定支援というのは、私はそういうふうには捉えていなくて、私達の仕事は何かという、法律の書きぶりということではなく、指導訓練みたいのがあって、やはりそこで、私達が私達の仕事は何かっていう、そこをやはりしっかりとした基本にしていこうということで、意思決定支援というのがあると思っていますので、私達の仕事そのものは常に意思決定支援、同じように意思がある、それをいかに大事にしていくのかということ、そこだろうというふうに思いますし、だから、そういう認識が広まっていないのであれば、やはり、今回改めて、そのことにしっかりと取組むということが大事なのかなと、そのように感じた次第です。 (小川部会長)  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。 (佐藤委員)  厚生労働省が数年前に作った意思決定支援のガイドラインというのがありまして、それを取りまとめたのが、今ここにいらっしゃる大塚委員ですけれども、日本で最初にできたガイドラインだと思います。ただ最初だったので、やや中身が分かりにくいところがある。特に意思決定というものの持っている危うさ、本人中心と言いながら、職員が意思決定している部分がないわけではなくて、そういったものをできるだけ、危うさを見つめながら、本人の主体性というものを尊重していくという、そういうことを議論する値打ちはあると思います。ただ、それはとても難しい議論です。部会長がおっしゃるように優しい言葉ではなくて、やや難しい。 (小川部会長)  今、意思決定支援の話が3人続いたので、冨田委員に伺いのたいだけれども、意思決定支 (17ページ目) 援というのはものすごく重要だという話になっている、冨田委員が考える意思決定支援について。 (冨田委員)  僕の考える意思決定支援というのは、やっぱり、その人の意思を尊重してあげて、それにどういう支援をしてあげたらいいかということじゃないですかね。そこだとやはり決めるのは本人なので。 (小川部会長)  まず、その人自身を尊重したうえで、その人の望むことを支援するという、そういう考え方が大事だということですね。 (冨田委員)  そうです。よくいろいろと障がいの重い人に職員が冷たくすることがあるので、それは、あまり僕はよろしくないと思っています。本当にそういうのを見かけることがよくあるので。 (小川部会長)  ありがとうございます。今、3人の方が言ったことのまとめのような話で、そのとおりだと思います。 (大塚委員)  結論のようで結論になるかどうか分かりませんけれども、障害者支援施設における利用者目線、今後の将来のことですが、神奈川県に是非やってもらいたいのは、虐待のハイリスクである強度行動障がいの方が地域で生活できる仕組み、人材、そして予算というものをきちんと付けていく。そしてその方向の中において、本人の意思を尊重しながら、その方向性の中で、当面、県立施設やあるいは他の公的な施設は何をするのか、そこに向かっていくのはもう明確なわけですので、自らはそこに、県立はどのような役割を担っていくか。ある意味でもう県立の役割はないということかもしれない。早く県の方から考えていった方がいい、正しくできないということも含めて、その方向性で考えていっていただきたいと思います。 (野澤委員)  利用者目線に立った支援について、我々は考えていかないといけないわけですけれども、我々も利用者目線に立たないといけないと思うんですね。やっぱり職員さんも大変な思いをしているし、職員もいろいろと言うし、保護者もいろいろと言いますよね、それはそうなのですが、ただ、ものを言えない利用者側に誰が立ってきたのかということが問われなければならないと思うわけです。  冨田さんは立派に主張されるので、非常に良いと思っているのですけれども、やっぱり身体拘束や虐待をされている多くの方はものを言えない立場だと思います。やっぱり彼らの側に立って我々は考えなければいけないと思っています。本当に強度行動障がい者について、大塚さんが言われたとおりだと思います。地域で暮らせるようにしないといけないと思います。  私が知っているところで、北海道に有名なところがあるのですけれども、5年程前に行ったときに、グループホームですが、あちらのグループホームはいっぱいあって、154人グループホームの利用者がいて、そのうち102人が強度行動障がいに当たるというのです。一人でもそういう人がグループホームにいたら大変だというところで、154人中102人です。最初、強度行動障がいといってもそんなに大したものではないのではと思って、いろいろと聞いてみ (18ページ目) ると、例えば、自分の指を肛門に突っ込んで腸を引きずり出して血だらけにしたとか言うのです。どこも受けないでしょう、入所施設。それをグループホームで見事に受け止めて、見事に解決している、私は、この県立施設の中に、それと同じくらいの重度の方はどれくらいいるのかと、是非聞いてみたいと思います。  そういう人を受け入れて、叩かれたり蹴られたり、職員さん大変ですよ、それは。それを見ていた保護者は、何もやらないのだったとしても、こんな大変なことをしたのだったら申し訳ないと。じゃあ、本人さんなぜそんなことをしたのか、言わないです、本人は。一番そういうことに影響しているのは、実は職員と家族だということは、最近になってイギリス自閉症協会の研究者など研究結果を明らかにしています。本人は言わない。言うのは職員と家族です。それで、研究者が行動障がいの原因を明らかにしようとしているのです。  やはり、そのへんのことをきちんと踏まえて、利用者目線という言葉は簡単ですけれども、やはり非常に難しいことで、我々がそこに徹しなければ、利用者目線なんてできやしないというふうに思っています。  そういう大変な思いをしている、その北海道の施設の方は、誰一人として職員は叩かれた、蹴られた、これは問題だ、大変だと言わないですよ。なぜならそんな大変な人達を受け止めて、自分達の力で見事に穏やかにして地域で暮らせるようにしているからです。自分達の専門職としてのプライドと、それからそのスキルに対しての矜持があるからです。  是非そういうふうに、未来志向とは、そういうものだと私は思っています。神奈川県で働く職員さんとしても是非ですね、そういう難しい人達を受け止めてきちっと支援できる、神奈川県はあの事件があってから一歩も二歩もリードするように変わったねというふうに、是非、持って行ってほしいと思っています。それがあの、利用者目線に立った未来志向のものではないかなと思っています。 (小川部会長)  ありがとうございます。 (伊部委員)  全然違う視点で、発言させていただきたいと思います。福祉関係者の多くがこの利用者目線という言葉に対してですね、既に自分たちは、もうとっくに取り組んでいるのに、何故あえてなのかという疑問があります。建設的な話としていたしますので、お聞きになっていただければと思います。  神奈川県の福祉の歴史をずっと振り返りますと、これは入所施設を厳しく否定していた人達ですけれども、「青い芝の会」というのがあって、代表の横田弘さん、この会場の中にも、直接面識のある方が何人もいらっしゃると思うんですが、例えば、当時はバスに車椅子に乗った障がい者が全く乗れない状況を、体を張ってそれを止めて改善をし、その結果、今は何十年も経っていますが、バリアフリー化が世の中で進んだり、小川部会長も取り組んでいらっしゃる、ユニバーサルデザインだったり、そういうものの研究が大きく進んできたと、これも横田さんもある意味では、自分の視点、自分を障がい者としての生き様をかけて世の中をバッシングし、改革を迫って、こうなってきたのだろうなというふうに思っています。  これはセルフヘルプグループ活動も同じで、患者当事者が自分達の目線でものを言い、それを社会が受け入れて、ある時点から、行政も一緒になってある時点から受け入れをしてきたと、そういう実績が私はこの中にはあるのではないかと思っています。やはり大先輩の障がい者の人達が利用者目線で取り組んでいた、神奈川の歴史があるというような前提で、報告書の中でさらに言うことも私は大切だと思っておりますが、輪切りで今の時点で考えるというのではなく、将来的にこういう方向性をというような、現在進行形の形で未来志向というので、利用者目線ということを一層ここで情報発信をする大きなチャンスではないかとい (19ページ目) うふうに思っております。  決して新しいものでもないし、でも古いものでもないと、我々が今取り組もうとしているのを、県議会議員の皆さんのご尽力でできました「かながわ憲章」に見られる権利擁護という視点で、より一層強化して、利用者支援を取り組むという発信をすれば、今私のところに出ている、利用者目線という行為は既にやっているよと言う声が、神奈川は、かながわ憲章を生かした新たな利用者目線を発信するのだというようなことになれば、少し受け止め方が違ってくるのではないか、そういうふうに思っておりますので、最終的に報告書を取りまとめるときには、そういうふうな切り口をどうしても入れていただければと、そのように思っているところです。 (小川部会長)  野口委員、家族の立場で。 (野口委員)  野澤委員がおっしゃっていたことに全く同感なのですけれども、大変難しい、障がい者の方たちのね、意思決定支援ということをやってみると。それで、今、あおぞら宣言の文章を読みましたが、第2条に「障がい者としてではなく一人の人間として見てほしい。」と書いてありますけれども、すごく私は単純に、子どもが生まれたときから、本当に我々は一人の人間として対等な人間として見ていたのだろうかということ、それをすごく、家族の立場として見ますと、それが本当にあったのか、それがないから、今、障がい者の方が意思決定支援というのを、自分の思っていることを言えない、いくら重度の方でも、生まれたときからそういう存在だということで受け止められていれば、今のこういう状況はないのではないかって思います。それは、家族としての反省も込めてです。  本当に子どものときから、意思を尊重してきたかと、それがこの事件が起きたときに、例えば、家族同士ですからなかなか言いにくいですけれども、今回虐待のことが出ていますけれども、なぜ家族がそれに対して抗議しないのか、非常に不思議に思っています。  ですから、今回、意思決定支援、これから虐待をなくしていくのに、施設の職員ですとかそういう方たちが努力する、施設が変わっていくというのが必要ですけれども、社会全体が変わっていかなければいけないことだと思うので、それは家族を含めて、本当に一般の方達を含めて、当事者の方を一人の人間として認めるということを進めていきたいと思っています。 (小川部会長)  ありがとうございます。野口委員が言われるとおり、今、我々がやろうとしていることは、本当にごく一部であり、本当はここに座っている部会の委員一人ひとりが振り返らなければいけないことでもあり、家族、親、兄弟、知り合いもいろいろな感情の浮き沈みを持って、重度の行動障がいのある家族と付き合ってきたりした、その中でマイナスのことをしてしまったり、プラスのことをしてあげたりということを繰り返して、支援員の方もまた試行錯誤の中で、過ちをしてしまったり、またそこから優れた支援員として育っていった人達もいる。  また、近隣の方々も最初は遠目に見ていたのがいろいろとお手伝いをしてくれるようになったり、つまり、この社会そのものというか、地域そのものが、変わっていく、それによって、重度の行動障がいなどを持つ方々の生活が豊かになっていくのだろうと思うんですね。  野澤委員がグループホームの話をしていたけれども、グループホームの部屋の中のスタッフの人とその方だけの関係の中で育っていっているのだろか、想像するに、やっぱりその地域というものがあるのではないかなというふうに思って、ですから、ここで議論していこうとしていることは、確かに、与えられた意思決定支援とか、身体拘束を伴う虐待のこととい (20ページ目) うのが軸にはありますけれども、私達の仕事はなんぞやという中島委員がおっしゃたようなそこの原点に返ったりとか、それから問題をいろいろと挙げていくということで終わるのではなくて、やはりプラスの社会を作っていく、障がい者福祉の動きこそ、今の社会に必要な動きなんだというようなことが見えてくるような、そういう提案が、半年の間ですけれども、できていければいいかなというふうに思っております。 (冨田委員)  もう一つ、最後に、あおぞら宣言の第1条なんですけれども、「障がい者としてではなく一人の人間としてみてほしい。」と書いてあるのですね。そういう場合には、僕の場合は、買い物なんかするときに「障がいがあります。」というと、わりと差別がなくなると思うのですよ。自分から言うというのが、言える人は、ここが大事だと思います。  あと、仲間のことも、障がいを持っているからって差別しないで、一人の人間として受け止めてほしいって、そのとおりです。僕はそのとおりやっています。施設でも、ちょっと重度の方でも一緒に話したり、普段どおりですよ。 (小川部会長)  そのことがすごく大事ということ、自分から障がいのことを話したりとか、自分が受け身になるのではなくて、主体的に動いていくことが周りを変えていくということにもなるというようなことでしょうかね。 (冨田委員)  そうですね、自分の地元の方では、あんまり何も言われないしね。 (小川部会長)  皆、分かってくれて、知り合って、いい関係ができているということなんですかね。 (冨田委員)  今日だって、お菓子屋の店員さんに障がい部会に今日行くからと言ったら、「頑張ってくださいね」って応援してくれるから、そのまま来ちゃたのですよ。   (小川部会長)  そこが一番大事なんじゃないかっていうことですよね。 (冨田委員)  はい、そこだと思うんです。僕は。 (小川部会長)  よろしいでしょうか。ちょうど時間が来たのですけれども、最後に冨田さんがいい話をしてくださったのですが、冨田さんのお話ということに、この会議が共感して響き合える、それより言葉が少なかったりとか、それから言葉が出なかったりとか、あるいは行動が異なるのではなくて、それぞれに僕らが響き合えるようなそういう動きをしてあげれば、良い支援員とかそういう施設の経営者とか、そういうふうになれるのだと思うんですよね。どのような方々のレベルでもいかにそこに響き合えるようになるかということだと思います。今回は、冨田委員がこの部会に入っていて、我々は冨田委員と一緒に、この課題に取り組んでいくということになりますが、よろしくお願いいたします。 (21ページ目) (冨田委員)  どうぞよろしくお願いいたします。 (小川部会長)  時間になりましたので、話は今日はちょっとまとめることはしませんけれども、皆様のお考えというものが、理解できましたので、そこに留めたいと思います。  第2回目は、まだ日程が、皆さんに調整表が回っている最中だと思いますけれども、意思決定支援の取組みについて、行う予定であります。以上で、会議の方を終わらせてもらいますので、事務局にお返しいたします。 (事務局:足立原意思決定支援担当部長)  小川部会長大変ありがとうございました。また、委員の皆様方も、限られた時間の中での貴重なご意見、本当にありがとうございました。今日は部会長もおっしゃられましたようにキックオフということで、第1回でございますので、いただいた意見を軸に、いろんなことを直視しながら、また第2回目以降、よろしくお願いいたします。  事務連絡ですが、今、部会長がおっしゃられましたけれども、次回、8月か9月を予定しておりまして、ちょうど今、日程調整中でありますので、また決まりましたら連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 以上