(11ページ) U 基本的な考え方 (12ページ) 1 基本理念と基本方針  障害者基本法第1条(目的)では、「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ことが掲げられています。  本県が策定する「かながわ障がい者計画」は、この考え方に沿って、すべての県民を対象に「ひとりひとりを大切にする」ことを基本理念とします。  「ひとりひとりを大切にする」ということは、障がい者を特別視するのではなく、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現できるよう条件が整えられ、ともに生きる社会こそノーマルな社会であるとした「ノーマライゼーション*1」の思想を根底に、障がい者が、自分の生活や生き方を「自己選択・自己決定」し、「その人らしく暮らす」ことを意味します。  障がい者をとりまく側からみれば、自助・互助・共助・公助による支援により、その人の地域生活を支えるということです。  その理念に基づき、医療、障がい福祉、介護、住まい、社会参加などが包括的に確保された地域包括ケアシステムを構築するとともに、障がい者が単にどの障がい種別に該当するかだけではなく、性別、年齢、障がいの状態(難病等を含む)、生活の実態等に応じた個別的な支援の必要性を踏まえ、日常生活で直面している「生きにくさ・暮らしにくさ」に着目して、必要な人に必要な支援が行き届き、誰も取り残されることがないような支援を進めます。  こうした取組みを障がい当事者の参画を図りながら推進し、障がい者が多様性を尊重され、自ら能力を最大限発揮できるよう、障がい者の自立及び社会参加、地域社会における生活を支援していきます。 (13ページ) (ページ上半分に図を掲載) (図の説明)基本的な考え方を図で説明しています。 図の一番下には、囲み文字で「ノーマライゼーション」とあり、そこから矢印が伸びて、地域生活を支える(自助、互助、共助、公助)と書いた枠を指し、枠の中には、その人らしく暮らす(自己選択、自己決定)が丸枠で囲まれ、図の一番上には、囲み文字で「ひとりひとりを大切にする」と書いています。 基本方針:「ともに生きる社会かながわ」の実現と目指す  県は、障がい者の自立を「障がい者が、自らの考えと判断により、地域社会の中で主体的に生き、自己実現を図ってゆくこと」と考えています。  この考え方を踏まえ、障がい者が、自分の生活や生き方を「自己選択・自己決定」し、その人らしく暮らすためには、乳幼児期から成人・高齢期にいたるまで、障がい者のライフステージに応じた切れ目のない支援を実現するとともに、障がい者の活動を制限し、社会への参加を妨げるあらゆる壁を排除し、障がいへの理解が県民に浸透していくことが重要です。  そこで、一生涯を通じて、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができる「ともに生きる社会かながわ」の実現を目指すことを基本方針とし、「ともに生きる社会かながわ憲章(以下「かながわ憲章」という。)」の4つの柱に沿って施策を位置づけ推進していきます。 (14ページ) (「ともに生きる社会かながわ憲章」のちらしを掲載) (15ページ)   2 4つの柱と8つの分野別施策の考え方 【かながわ憲章に基づく4つの柱と8つの分野別施策】     [私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします] 1 すべての人のいのちを大切にする取組み     (1)すべての人の権利を守るしくみづくり     (2)ともに生きる社会を支える人づくり     [私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します]    2 誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現する取組み     (1)意思決定支援の推進と地域生活移行の支援     (2)障がい者の地域生活を支える福祉・医療サービスの充実 [私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します] 3 障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除する取組み  (1)社会参加への環境づくり  (2)雇用・就業、経済的自立の支援       [私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます]    4 憲章の実現に向けた県民総ぐるみの取組み  (1)憲章の普及啓発及び心のバリアフリーの推進  (2)教育や文化芸術・スポーツにおける取組み   (16ページ)   1 すべての人のいのちを大切にする取組み (1)すべての人の権利を守るしくみづくり  障害者の権利に関する条約(以下、「障害者権利条約」といいます。)に掲げられている障がい者等の自己決定が尊重され、障がい者が自らの考えと判断により、地域社会の中で主体的に生き、自己実現を図ることができるよう、障がい者虐待の未然防止や障がいを理由とする差別の解消、成年後見制度の利用促進等により、障がい者の権利擁護を進めます。 (2)ともに生きる社会を支える人づくり  「ひとりひとりを大切にする」という基本理念のもと、ともに生きる社会の実現に向け、個々の障がい特性等に配慮し、障がい者に寄り添った支援を提供できる福祉、保健、医療分野の人材の確保と育成などに取り組みます。    2 誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現する取組み (1)意思決定支援の推進と地域生活移行の支援  2017(平成29)年10月に策定した「津久井やまゆり園再生基本構想」に掲げている「利用者の意思決定支援」や「地域生活移行支援」等の再生に向けた取組みを県全体に広げていきます。  意思決定支援については、2017(平成29)年3月に厚生労働省が作成した「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」を参考に、現在、津久井やまゆり園の利用者の意思決定支援に取り組んでおり、今後は、こうした取組みを全県に広めていくために、相談支援体制の構築や意思決定支援ガイドラインの普及を図ります。  また、地域生活移行支援については、重度の障がい者であっても、家族関係を含めた障がい者本人の環境や、これまでの生活史を手がかりとした、本人の意思決定を尊重し、多様な地域生活の場を選択できる社会資源の整備に取り組みます。    (2)障がい者の地域生活を支える福祉・医療サービスの充実  誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、在宅サービスの充実や、重度障がい者も受入れが可能なグループホーム等の整備を図ります。また、医療的ケア児*2等に対する支援体制や精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けた、福祉、医療、教育等の各分野の連携促進に努めます。 (17ページ) 3 障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除する取組み (1)社会参加への環境づくり  障害者権利条約では、「障がい」は、主に、障がい者の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁によって作られているというとらえ方をしています。そこで、社会的障壁の排除を進めるため、障がい者に配慮したまちづくり、障がい特性に応じた意思疎通支援、防災・防犯対策等の推進、行政機関等における配慮の充実等により、ハード、ソフト両面にわたるバリアフリー化に取り組みます。    (2)雇用・就業、経済的自立の支援  働くことは自立した生活を支える基本のひとつでもあり、一人ひとりの可能性を伸ばすことや生きがいにもつながる活動であることから、障がい者がライフステージに応じて、その人らしい働き方を選択できるよう、福祉的就労とともに、一般就労への支援の充実に取り組みます。   4 憲章の実現に向けた県民総ぐるみの取組み (1)憲章の普及啓発及び心のバリアフリーの推進  本県では2016(平成28)年7月26日に、県立の障害者支援施設である「津久井やまゆり園」において、大変痛ましい事件が発生しました。この事件は障がい者に対する誤った差別的な思想から引き起こされたことから、県では、2016(平成28)年10月に県議会とともに「かながわ憲章」を策定しました。その理念の普及啓発に向けた県民総ぐるみの取組みを推進します。また、障がい及び障がい者に対する県民の理解の促進とともに、障がいを理由とする差別の解消に取り組みます。 (2)教育や文化芸術・スポーツにおける取組み  ともに生きる社会の実現に向け、すべての子どもができるだけ同じ場でともに学び、ともに育つことで相互理解を深め、個性を尊重し支え合う力や協働する力を育む、インクルーシブ教育の推進*3を図るとともに、障がい者が、地域の一員として、生活を楽しめるよう、文化芸術活動やスポーツ等に触れる機会の提供、充実を図ります。 (18ページ) 白紙