平成20年度 基地問題に関する要望書 基地返還、施策、予算に関する要望 平成19年8月 神奈川県基地関係県市連絡協議会 ( 略称:県市協) 構成県市(1県9市) 神奈川県、横浜市、横須賀市、相模原市、藤沢市、 逗子市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市 基地問題に関する要望 神奈川県内には、いまなお、15か所約2,090ヘクタールにも及ぶ米軍 基地が所在し、その多くが人口の密集している市街地に位置しておりま す。これらの米軍基地は市民に事故等のさまざまな不安を与えるととも に、生活環境の保全、都市整備の著しい障害となっております。 特に、受忍の限度を超え違法との司法判断がたびたび出されている航空 機騒音のほか、県内基地の施設整備等、基地問題は広範多岐にわたってお ります。 長年にわたり、こうした基地がもたらす苦悩に耐えてきた市民にとって、 基地の早期全面返還は切実な願いであり、県内自治体が抱える大きな課題 であります。 国におかれましては、基地の設置、運用により生ずる諸問題に対処するた め、従来から障害防止工事、民生安定事業、住宅防音工事等種々の施策を 推進されてきたとはいえ、基地周辺住民にとっていまだ十分といえるもの ではありません。 さらに、在日米軍再編の最終報告では、2014年(平成26年)までに空母艦 載機を厚木基地から移駐させることが示されましたが、実現には多くの課 題が山積している状況にありますし、キャンプ座間の在日米陸軍司令部が 近代的な司令部に改編されるなど、負担増と言えるものもあります。そうし た中、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法も成立したとこ ろではありますが、基地周辺住民にとって、まだまだ十分な配慮がなされ ているとは言えない状況であります。 本来、わが国の安全保障に係る負担に相応した十分な代替措置や助成そ の他必要な措置を講ずるべきであり、国による基地問題に対する一層の取組 みが必要ですので、基地問題に関する要望項目に対して誠実に対応される よう要望いたします。 中でも、基地周辺住民が安全で快適な生活を送れるよう重点要望項目に ついては、特段の配慮をお願いするとともに、国の考えを回答されるよう 要望いたします。 また、情報化社会が急速に進む中、あらゆる分野において適時適切な情 報提供が求められており、安全保障の分野でも種々の議論がなされる中、 県民の関心も高まっていますので、基地問題に関わる情報提供は関係自治 体はもとより、直接住民に対しても積極的に行うよう併せて要望いたしま す。 なお、国是である「非核三原則」については、引き続き厳正に遵守され るよう要望いたします。 目次 重点要望項目 T 米軍基地の整理・縮小・早期返還を推進されたい。 U 厚木基地における航空機騒音を解消されたい。 V 米国原子力艦の事故による原子力災害対策を強化充実されたい。 W 日米地位協定の見直しを行うとともに、その運用について、適切な 改善を図られたい。 X 住宅防音工事等、騒音対策の充実を図られたい。 Y 国による財政的措置及び各種支援策を充実されたい。 要望項目 T 米軍基地の整理・縮小・早期返還を推進するとともに、基地跡地 利用の地元の意向尊重等を図られたい。 U 日米地位協定の見直しを行うとともに、その運用について、適切な 改善を図られたい。 V 「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等の積極的な 運用並びに法令の改正を図られたい。 W 基地交付金・調整交付金制度を充実されたい。 X 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充、強化を図られたい。 Y 周辺事態安全確保法、自衛隊法等の運用について適切な情報提供等 に努められたい。 平成19年8月3日 殿 神奈川県基地関係県市連絡協議会 会長神奈川県知事松沢成文 副会長横浜市長中田宏 副会長横須賀市長蒲谷亮一 副会長相模原市長加山俊夫 藤沢市長山本捷雄 逗子市長平井竜一 大和市長大木哲 海老名市長内野優 座間市長星野勝司 綾瀬市長笠間城治郎 重点要望項目 T 米軍基地の整理・縮小・早期返還を推進されたい。 U 厚木基地における航空機騒音を解消されたい。 V 米国原子力艦の事故による原子力災害対策を強化充実されたい。 W 日米地位協定の見直しを行うとともに、その運用について、適切な 改善を図られたい。 X 住宅防音工事等、騒音対策の充実を図られたい。 Y 国による財政的措置及び各種支援策を充実されたい。 重点要望項目 神奈川県内の基地に関係する自治体で構成する神奈川県基地関係県市 連絡協議会は、米軍基地に起因する諸問題を解決するため昭和39年に設 立されて以来、国に対して継続的に要望活動を行っております。 基地問題には困難な課題が多く、その解決を図るためには、国と自治 体の緊密な協力関係が重要であることは言うまでもありません。 そこで、特に重要な要望項目については、現時点で国がどのように考 え、具体的にどのように対応するのか明確にしていただく必要があると 考えます。 つきましては、以下の重点要望項目について、回答いただきますよう お願いいたします。 なお、回答をお願いしたい省庁名を各項目の最後の( ) 内に記載さ せていただいております。 T 米軍基地の整理・縮小・早期返還を推進されたい。 1 米軍基地の整理・縮小・早期返還(外務省、防衛施設庁) 人口の密集している本県において、米軍基地は、住民生活に騒音や事故の 不安、そしてまちづくりの阻害等多くの障害や危険をもたらしている。 国におかれては、かかる実態を踏まえ、特に次のような状況にある県内の 米軍基地の整理・縮小・早期返還について強く米軍に働きかけられ、これら を実現すること。 ○遊休化している基地 ○住民福祉・都市整備のための公共施設用地として緊急に必要とする基地 ○周辺住民に多大な障害を与えている基地 また、一部返還申請中の基地、返還方針が合意されている基地については、 早期に返還を実現すること。 2 返還財産の処分条件(財務省、防衛施設庁) 地元自治体が、基地の存在により受けてきた様々な障害等のこれまでの地 元負担、影響を考慮し、返還によるメリットが市民にもたらされるよう、公 共公益的な利用を促進すること。さらに処分条件等について譲与や無償貸付 などの優遇措置や国による積極的な事業実施を図ること。( 留保地を含 む。) U 厚木基地における航空機騒音を解消されたい。 厚木基地周辺住民は、航空機騒音により、長年にわたり耐え難い苦悩を強い られており、神奈川県及び基地周辺市は、かねてより、このような航空機騒音 問題の抜本的解決を求めてきた。 こうした中、平成18年5月には在日米軍再編協議において、騒音被害の主 な原因である空母艦載ジェット機等59機を2014 年(平成26年)までに 移駐させること等が日米両国政府間で合意され、その実施に向けた閣議決定が なされた。 しかし、移駐が実現されるまでには、解決されなければならない多くの課題 があると思われ、それまでの間、基地周辺の住民は、NLP 直前の集中的訓練 をはじめとする昼夜を問わない激しい騒音や、墜落、部品落下、不時着などの 事故への不安にさらされ続けなくてはならない。 三次にわたる騒音訴訟でも、基地周辺住民が受忍限度を超える騒音被害を受 けているとの司法判断がなされていることは、その負担の深刻さを示している。 ついては、一日も早い騒音問題の抜本的解決を図るため、国の責任において、 特に次のことを早急に実現すること。 1 空母艦載機の移駐の着実な実施等(外務省、防衛省、防衛施設庁) 空母艦載ジェット機の移駐等の早期実現を図るため、施設整備、予算措置、 地元への適時適切な説明など、必要な対応を着実に実施するとともに、移駐 にかかる諸課題の解決に向けた協議等に全力を尽くすこと。 また、恒常的な訓練施設の確保を確実なものとすること。 2 移駐実現までの間の騒音問題の積極的な解決への取り組み(外務省、防衛 省、防衛施設庁) (1) NLPの硫黄島での全面実施及びNLP直前の集中的訓練の硫黄島の活 用等 <米側との調整> ア厚木基地周辺住民の深刻な騒音被害の状況を深く認識され、NLPの 硫黄島での全面実施及びNLP直前の集中的訓練における硫黄島の活用 などについて、積極的に米側と調整すること。 その実現に向けて、 <必要な措置の検討> イいわゆる「直結方式」や硫黄島での予備日の設定など、必要な措置に ついても米側と多角的な検討を行うこと。 <必要な支援態勢等> ウ支援態勢、施設の一層の拡充、整備を推進すること。 (2) NLP直前の集中的訓練に関する事前情報提供 住民の苦痛を少しでも軽減・緩和するため、NLP直前の集中的訓練に ついても、国の責任において、NLP同様の的確な事前情報の提供を行う とともに、住民への十分な説明を行うこと。 (3) NLP終了後の深夜飛行の禁止 NLP終了後に行われる深夜飛行により、厚木基地周辺住民は睡眠を妨 害されるなど多大な被害を受けていることから、「厚木飛行場周辺の航空 機の騒音軽減措置」を遵守し、深夜の飛行は行わないこと。 (4) 日常的な航空機騒音の軽減 厚木基地における航空機騒音は、昼夜を分かたず基地周辺住民に深刻な 影響を与えている。 環境省の取りまとめた航空機騒音調査結果によると、平成11 年以降の厚 木基地の測定値は、国が定めている航空機騒音に係る環境基準値をはるか に上回り、人口が密集する厚木基地周辺住民にとって耐え難い状況となっ ている。 また最近においては、騒音苦情が寄せられる区域も広がっており、騒音 被害も広範囲にわたっている。 このようなことから、国においては、次のことについて米側と早急に 調整を行い、適切な改善措置を講じ、騒音被害の軽減を図ること。 ア「厚木飛行場周辺の航空機の騒音軽減措置」の全面的見直し 厚木基地における騒音問題を解決するための騒音軽減措置は、既に40 年以上が経過し現状にそぐわないため、全面的に見直すこと。なお、改 正までの間については、「騒音軽減措置」における「運用上の必要に応 じ」などの除外規定を適用しないよう米側と調整すること。 イ緊急時を除く遵守の義務づけ 事故防止上やむを得ない場合などの緊急時を除いて、騒音軽減措置各 項目を遵守することを米側に義務づけること。 ウ環境基準を確保する飛行速度・高度の設定 低空飛行への苦情が増えていることに鑑み、「航空機騒音に係る環境 基準」が確保されるような飛行速度及び高度を具体的に定めること。 エ飛行禁止時間の延長 12 時から13 時、並びに18時から翌朝8時までの飛行活動及びエンジン テストを禁止すること。 なお、改正までの間、例えば騒音の激しい機種については早めに飛行 を終えるなどの運用を米側に求めること。 オ飛行禁止日の設定 土・日曜・祝日、盆並びに年末・年始、日本の伝統的行事及び重要な 学校行事・市民行事等における飛行活動を禁止すること。 カ離着陸訓練等の禁止 離着陸訓練及び指定された訓練区域外での訓練飛行を禁止すること。 キ低空飛行等の禁止 低空飛行、編隊飛行、急旋回、急上昇、曲技飛行及び連続発進を禁止 すること。 ク飛行実績に関する情報の提供 関係自治体に対し、一定期間ごとに、機種別、離着陸、タッチ・アン ド・ゴー、フライパス等の飛行形態ごと、日ごとの飛行回数を明らかに するとともに、飛行経路の情報も提供すること。 ケ飛行回数の低減 飛行回数の低減等により騒音の総量を抑制すること。 騒音苦情件数の推移 V 米国原子力艦の事故による原子力災害対策を強化充実されたい。 横須賀港には、通算750 回を超える原子力艦が入港するとともに、2008年 ( 平成20 年)には通常型空母から原子力空母に交替することについて日米両 国政府が合意しているところである。 こうした中で、国においては、平成14年4月に、防災基本計画に原子力艦 の原子力災害対策を位置づけるとともに、平成16年8月には「原子力艦の原 子力災害対策マニュアル」を作成するなど対応を進めているところであるが、 米国原子力艦による原子力災害が発生した場合に、過去の原子力災害の轍を踏 まないよう、災害対策を強化充実することが必要である。 そこで、次のことについて、早急に適切な措置を講じること。 1 放射能調査の強化充実及び異常値観測時の対応強化 (1) 放射能調査の強化充実(文部科学省) 放射能調査については、測定機器を増設するなどの措置を講じるととも に、国自らによる観測体制を強化充実すること。また、測定機器の設置に あたっては地元自治体と十分協議すること。 (2) オフサイトセンターの設置(内閣府、文部科学省) 民間の原子力関係施設に対しては、原子力災害対策特別措置法の規定に よりオフサイトセンターを設置することが義務づけられている。 米国原子力艦については、わが国の安全保障に関する事項であることに 鑑み、国の責任においてオフサイトセンターを設置すること。 (3) 異常値観測時の対応強化(外務省、文部科学省) 事故発生の際に迅速かつ的確な対応を確保する観点から、異常値観測時 における関係機関( 関係自治体を含む。) への迅速な連絡体制を強化する こと。 また、原子力艦の極めて些細なトラブルについても日本政府に連絡する ことを米国政府との間で確実なものにするとともに、政府に連絡があった 際には、直ちに関係自治体に連絡すること。 2 事故対策の強化充実 (1) 原子力艦の原子力災害対策の強化充実(内閣府、文部科学省) 原子力艦の災害対策については国が責任をもって対応すること。また、 SPEEDI の端末を現地で災害対応する場に設置するなど、住民の避難等の災 害対策が迅速に行えるよう取り組むこと。 (2) 防災訓練への米軍の積極的参加(内閣府、外務省、文部科学省) 原子力艦の万一の事故を想定したシナリオに基づく訓練に、米軍が積極 的に参加するよう引き続き協議するとともに、国主催の防災訓練を定期的 に実施すること。 (3) 原災法に準じた対策等の実施(外務省) 原子力災害対策特別措置法の原子力事業者に準じた対策を講じるよう米 側に申し入れ、その回答を情報提供すること。 (4) 日米両国政府及び関係自治体による迅速・的確な情報交換(外務省) 事故発生時において、米側と関係機関( 関係自治体を含む。) が迅速か つ的確な情報交換を実施することができるよう措置すること。 3 関係自治体が講じる対策への必要な措置等 (1) 制度面、財政面、技術面での支援(内閣府、防衛施設庁、文部科学省) 今後、関係自治体が講じる対策については、制度面はもとより安全対策 に対する特定防衛施設周辺整備調整交付金の交付をはじめとする財政面や 技術面などの必要な措置、全面的な支援を行うこと。 (2) 基礎的情報の提供(外務省) 原子力艦に係る基礎的情報や万一の場合の米側の災害応急対策に係る情 報について、最低限必要な基礎的情報を入手し関係自治体に提供すること。 W 日米地位協定の見直しを行うとともに、その運用について、適切な 改善を図られたい。 (注)本項において、各要望項目に付してある、〔〕書きは、各条項 の内容把握のために、県市協が説明を付したものである。 1 2条3項関係〔不要な施設及び区域の返還並びに必要性の検討〕 <基地の使用状況等の点検> (外務省、防衛施設庁) 人口の密集している県内における基地問題の解決を図るため、随時その施 設及び区域ごとに必要性、使用状況等の総点検を行い、その結果に応じて、 返還に向けた米国との調整を積極的に行うとともに、調整状況を関係自治体 に伝えること。 2 3条1項関係〔管理権〕 <犯罪、迷惑行為の防止>(外務省、防衛施設庁) 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族( 以下「米軍人等」と いう。) による犯罪及び迷惑行為などが多発していることから、真に実効 性のある対策を講じ、再発防止に努めること。 3 3条3項関係〔公共の安全〕 (1) 飛行時の安全確保(外務省) 米軍機からの落下物やヘリコプターの不時着等の事故防止及び飛行の安 全を図るため、機器の点検・保守・整備及びパイロット教育の徹底等につ いて、万全の措置を講じること。 特に、人口の密集している市街地に所在する厚木基地周辺におけるジェ ット機等の飛行は、墜落等の事故が発生した際に大惨事につながることは 明白であることから、ジェット機等の整備点検や周辺住民の安全を最優先 としたパイロット教育の徹底等について、万全の措置を講じること。 また、原子力関連施設、石油コンビナート、ガスタンクなど、墜落事故 が大災害に直結する施設の周辺上空での飛行を禁止すること。 (2) 艦船の安全航行の徹底(外務省) 港湾施設に入出港する場合はもちろん、近海を航行する艦船についても、 安全航行の徹底を図るため、万全の措置を講じ細心の注意を払って行動す ること。 (3) 艦船事故連絡体制の確立(外務省、防衛施設庁) 航空事故等連絡体制と同様に、近隣海域で艦船事故が発生した場合に関 係機関相互の迅速な連絡調整が可能となるよう、連絡協議会を設置するな ど地域レベルの連絡体制を国が整備すること。 (4) 環境問題発生時の回復義務(外務省、環境省) 米軍の活動に起因して騒音、水質汚濁、大気汚染、土壌汚染等の環境問 題が発生した場合には、米国の責任において適切に回復することを義務づ けること。 また、講じた措置等については関係自治体の求めに応じて速やかに公表 すること。 4 16条関係(法令尊重の義務) (1) 環境関連法令等の適用(外務省、環境省) 基地内及び基地周辺の生活環境の保全及び安全確保のため、米軍にも大 気汚染防止法、水質汚濁防止法、ダイオキシン類対策特別措置法、土壌汚 染対策法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などの生活環境の保全に関 する国内法令が遵守されるよう、早急に日米地位協定を見直すこと。 なお、日米地位協定全体の見直しが難しい場合は、環境に係る特別協定な どにより、事実上改正と同様の効果を持つ、対策を講じること。 (2) 環境調査の実施等(外務省、環境省) 国内法令が適用されるまでの間、国内法令に準じた環境調査を実施し、 その結果を公表するとともに、地元自治体が定期的に日本環境管理基準 ( J E G S ) に基づく運用実態を確認できるよう米側と協議すること。 5 23条関係(安全確保の措置等) <災害時の相互応援等>(外務省) 災害時に市民の生命、財産を守り、安全を確保するため、人道的見地から も在日米軍との相互応援が実施できるよう日米両国間で包括的な取り決めを 行うこと。 併せて、在日米軍と災害時の相互応援が実施できる包括的な取り決めに基 づき、災害発生時の相互応援、広域避難場所としての基地の一部使用等につ いて、基地司令官と地元自治体の協定が締結できるよう支援すること。 6 25条関係(日米合同委員会) (1) 合意事項等の公表・情報提供及び関係自治体の意向聴取(外務省) 日米地位協定の運用である日米合同委員会の協議事項、協議内容、合意 事項について、関係自治体に情報提供するとともに、合意事項については 公表すること。 特に、自治体に関係する事項については、当該関係自治体の意向を聴取 し、その意向を踏まえて協議すること。 (2) 定期的な話し合いの場の設置(外務省、防衛省) 政府と地元自治体の代表者との定期的な話し合いの場を設置すること。 7 日米合同委員会合意事項関係 (「在日米軍に関わる事件・事故通報体制」及び「米軍航空機の事故調査 報告書の提供及び公表」関係) (1) 事件・事故発生時の速やかな情報提供等(外務省、防衛施設庁) 基地に起因する事件、事故等が発生した場合、速やかに情報を関係自治 体に提供するとともに、周辺住民に対する説明会等を開催し、住民の理解 を得るよう十分配慮すること。 (2) 事故報告書の提出(外務省、防衛施設庁) 事故の大小にかかわらず、基地周辺住民や事故現場周辺住民に大きな影響 を与える事故が発生した場合は、平成8 年12月の日米合同委員会合意に基づ き、米側に事故報告書の提出を求め、その内容を公表すること。 また、関係自治体から要請があった場合は、速やかに米側に事故報告書の 提供を求めること。 なお、米軍が英文で公表した事故報告書等については、国において速やか に翻訳した上で関係自治体に公表すること。 (3) 事件・事故の原因究明等(外務省、防衛施設庁) 事故等の事後処理、原因究明、再発防止策を早急に確立し、損害賠償等 については万全を図ること。 なお、米軍機による事故等については、併せて、事故原因を公表すると ともに、再発防止の安全対策が講じられるまでは同機種の飛行を中止する こと。事故等の事後処理、原因究明、再発防止策を早急に確立し、損害賠 償等については万全を図ること。 X 住宅防音工事等、騒音対策の充実を図られたい。 1 住宅防音工事制度の充実(防衛施設庁) (1) 70W値への指定区域の拡大 第1 種区域の指定に係る値を現行75WECPNLから、「航空機騒音に係る環 境基準」を遵守した70WECPNLに改めること。 (2) 告示日以降の新増築住宅への助成 建築年次にかかわらず、すべての新増築住宅を助成の対象とすること。 2 基地に関する苦情等処理体制の充実(防衛施設庁) 基地に関する問題について、国は住民に対する説明責任を十分に果た すとともに、航空機騒音の苦情をはじめ、周辺住民からの基地に関する問 合せ等に対しては、責任ある対応をすべきである。 次のことについて、早急に適切な措置を講じること。 (1) 苦情等処理体制の充実 基地に関する地元住民の疑問や意見に十分に対応するため、電話機の増 設、電子メールでの対応、人員の確保など体制の充実を図ること。特に航 空機騒音の苦情については、24時間常設のコールセンターを設置するなど、 処理体制の充実を図ること。併せて、NLP終了後に行われる深夜飛行に対す る苦情対応については、国が責任を持って対応し、苦情対応の職員を各市へ 派遣すること。 (2) 住民への周知等 国が責任をもって住民対応を行うことや具体的な受付方法・窓口につい て、十分に広報するとともに、自治体等で受けている苦情等が国に届く連 絡体制を構築すること。 Y 国による財政的措置及び各種支援策を充実されたい。 わが国の安全保障に係る負担は、国民全体で担うべきものであるが、現状は 基地所在市町村等の一部自治体及び周辺住民の負担の上に成り立っており、負 担に相応した十分な代替措置や助成その他必要な措置を講ずるべきである。し かしながら、現状では基地負担に対する国の財政的措置は不十分な状況にある。 そこで、基地所在自治体等の負担に十分配慮し、次のことについて、適切な措 置を講じること。 1 基地交付金、調整交付金の所要予算確保(総務省、財務省) (1) 基地交付金の所要予算確保 基地交付金については、制度本来の趣旨を踏まえ、固定資産税額に相当 する額が交付できるよう所要の予算を確保すること。 (2) 調整交付金での地方税損失分の全額補填 調整交付金については、地位協定の実施に伴う固定資産税、軽自動車税 等地方税の非課税措置もしくは特例措置による地方公共団体の損失を全額 補填されるよう予算措置すること。 2 地域振興策の新設(防衛施設庁、内閣府、財務省) 過大な基地負担を踏まえ、財政的措置の創設も含め、地域振興策に係る各種 施策を検討、実施するとともに、地元意向が十分に反映される制度とすること。 3 基地周辺対策経費の所要の予算の確保等(防衛施設庁、財務省) 一部の基地周辺自治体が過大な負担を担っていることを踏まえ、基地負担に ついての国民理解の醸成に努めること。また、基地周辺自治体が過大な負担を担 っていることを踏まえ、周辺対策経費については申請事業の完全採択及び事業費 の全額国庫負担を実現するために、十分な財政上の措置を講じるとともに、 基地周辺自治体の実情に応じた、柔軟な対応が可能となる施策とすること。 4 日米相互理解の促進に係る支援(防衛施設庁、内閣府、財務省) 地域住民と米軍の相互理解を促進するための様々な取組に対する財政措置を 含めた各種支援策を実施すること。 要望項目 T 米軍基地の整理・縮小・早期返還を推進するとともに、基地跡地 利用の地元の意向尊重等を図られたい。 1 基地の整理・縮小・早期返還 次の基地については、次に掲げる地元市の跡地利用の構想・計画を考慮し、 早期に返還すること。 併せて、提供水域についても、早期に返還すること。 (1) 根岸住宅地区〔横浜市〕*日米間で返還方針合意 横浜都心部に近接し、海の見える丘の芝生に囲まれた米国風住宅という、 独特の景観や雰囲気を持っており、こうした特色や隣接する根岸森林公園 の環境を活用しながら、接収の歴史・文化を伝える憩いの空間の形成を目 指す。 (2) 富岡倉庫地区〔横浜市〕*日米間で返還方針合意 海辺の水際線の活用や近接する公園との連携により、海と丘をむすぶ魅 力づくりを図るとともに、立地特性を活かして新たな産業振興・経済発展 に寄与する空間の形成を目指す。 (3) 深谷通信所〔横浜市〕*日米間で返還方針合意 米軍施設返還の象徴的施設として、また、首都圏の環境再生の拠点とし て、特色あるデザインや、自然・スポーツ・文化など広く利用者をひきつ けるテーマを備えた大規模な緑の空間の形成を目指す。 (4) 上瀬谷通信施設〔横浜市〕*日米間で返還方針合意 首都圏全体を見据えた防災と環境再生の一大拠点として位置づけ、平常 時には広く首都圏の人々が訪れ農と緑を楽しみ、災害時には首都圏の広域 防災活動拠点となる空間の形成を目指す。 (5) 池子住宅地区及び海軍補助施設 〔横浜市〕*日米間で一部返還方針合意 広域避難場所を兼ねた自然公園等として、緑地を保全しつつ、公共公益 施設用地及び都市施設用地として利用を図る。 〔逗子市〕 広域避難場所を兼ねた自然公園等として、緑地を保全しつつ、公共公益 施設用地及び都市施設用地として利用を図る。 (6) 鶴見貯油施設〔横浜市〕 市民利用施設や臨港部の再編整備用地等として利用を図る。 (7) 横浜ノース・ドック〔横浜市〕 都市部に近接した港湾施設としての立地条件を生かし、生活関連物資等 を扱う港湾施設、市民利用施設等の用地として利用を図る。 (8) 吾妻倉庫地区〔横須賀市、一部返還〕 比与宇弾庫の側線及びその用地は、長浦港湾関連諸施設の整備計画の港 湾関連施設として利用を図る。 (9) 横須賀海軍施設〔横須賀市、一部返還〕 通信試験施設部分は、旧長井住宅地区と一体として利用を図る。 (10) 相模総合補給廠〔相模原市〕*日米間で一部土地の返還及び共同使 用について基本合意 小田急多摩線のJ R 相模原駅乗り入れとあわせ、広域交流拠点都市を 目指す相模原市の中心市街地にふさわしいまちづくりを早期に進める。 交流機能〜人、モノ、情報の交流により、楽しさが生まれるまちづ くり〜 文化・教育機能〜創造性を育むまちづくり〜 業務機能〜広域経済の核となるまちづくり〜 また、次に掲げるものについても早期推進を図る。 ア南北道路(旧県道上溝立川線)の整備による町田方面とのアクセス向上 イ共同使用区域の市民開放 ウJR横浜線と並行した道路整備による東西方向のアクセス向上 エ北側道路の整備による宮下〜上矢部方面のアクセス向上 (11) 相模原住宅地区〔相模原市〕 中低層の住宅が立ち並ぶ市街地の中に位置する立地条件を生かし、緑を 保全した公園や防災空間としての機能のほか、文化、福祉施設の整備を図 る。 特に、次に掲げるものについては、早期推進を図る。 アウォーターフィルタープラント(浄水場)区域の公園等利用 イ東側外周部分の道路整備による南北方向のアクセス向上 ウ北西側外周部分を歩行者用の緑道として整備 エ横浜水道道の開放による南北方向のアクセス向上 (12) キャンプ座間 〔相模原市〕 広大で、起伏に富む地形を生かして公園・緑地として整備するほか、文化、 教育、福祉施設等の整備を図る。 特に、次に掲げるものについては、早期推進を図る。 アゴルフ場外周道路の整備による周辺地域の渋滞緩和及び南北方向(第7 ゲート付近〜県道51号)のアクセス向上 イ市道新戸相武台のトンネル拡幅再整備による安全性向上及び交通利便 性の向上 ウゴルフ場の活用による市民憩いの場の整備及び防災空間確保 エ旧まがり坂(峰の坂道)の復活による東西方向のアクセス確保 オ新磯高校東側の道路整備による南北方向のアクセス向上 〔座間市〕 教育、文化、福祉等の向上に供する公共公益施設の整備を図る。 特に、次に掲げるものについては、早急に整備を図りたい。 アキャンプ座間に県営水道が導入されたため、水道施設用地は公園等と して整備を図る。 イ県道町田厚木線の市民体育館から正門までの間をバリアフリー対応の 歩道として整備を図る。 なお、昭和46年締結の「覚書」各事項について誠実に履行されたい。 (13) 厚木海軍飛行場 〔大和市〕 自然と調和した快適な都市空間をつくるため、綾瀬市と協調して地域開 発の拠点として整備を図る。 〔綾瀬市〕 「緑と文化が薫るふれあいのまちあやせ」を都市像とし、大和市と協 調して地域開発の拠点として整備を図る。 特に、遊休化しているピクニックエリア( 約6ha) 及びゴルフ場地区( 約 39ha) は、厚生施設や市民のスポーツ、レクリエーションの場として利用 を図る。 西門南側地区( 約5 ha) は周辺道路としての整備を図る。 2 返還国有地の利用や処分にあたっての地元の意向の尊重 (1) 地元の利用計画の優先 返還国有地の利用にあたっては、地元の利用計画を最優先し、国による 跡地利用についても地元の計画・要望に沿ったものとすること。 例えば、平成17年12月14日返還のあった旧小柴貯油施設については、都 市公園「開港150周年の森」としての整備を目指している。 (2) 大口返還財産の留保地の利用 利用計画が策定されるまでの期間中についても、地元自治体に無償で貸 し付け、運動施設・広場・公園等として利用できるよう配慮すること。 3 基地返還に際しての地元負担の軽減 基地の返還、または共同使用に伴う代替(補償) 工事及び調査費について は、全額国庫負担とすること。 4 返還国有地及び民公有地の管理等 (1) 返還国有地及び民公有地の障害物件等の除去 返還国有地及び民公有地に存在する障害物件や土壌及び地下水中の汚染 物質の除去は、国の責任において実施すること。 なお、地元自治体が行う場合は、全額国庫負担とすること。 (2) 返還国有地の管理 返還国有地の管理にあたっては、万全を期し、犯罪、火災、環境問題等 の発生源にならないよう配慮すること。 U 日米地位協定の見直しを行うとともに、その運用について、適切 な改善を図られたい。 (注)本項において、各要望項目に付してある、〔〕書きは、各条項 の内容把握のために、県市協が説明を付したものである。 1 2条関係(施設・区域の提供等) (1) 2項関係〔施設・区域の提供・返還の合意〕 <返還等の検討にあたっての事前情報提供等> ア基地の機能変更、閉鎖、移転及び返還等の検討にあたっては、あらか じめ関係自治体に情報提供と協議を行うこと。 また、協議にあたっては、関係自治体の意向を尊重すること。 <基地の機能強化・恒久化の回避> イ基地の機能強化・恒久化につながる施設建設等は避けること。 <施設建設計画等の事前情報提供> ウ施設建設計画等については、米軍予算で行うものも含め、あらかじめ 関係自治体に情報を提供するとともに、その意向に十分配慮すること。 <基地周辺の生活環境の保全> エ施設の建設等に伴って、周辺の住民の生活環境に影響を与え、また、 安全・安心を脅かすことのないよう万全の措置を講じること。 (2) 4項関係〔共同使用〕 <共同使用の促進> 基地内施設について、地元自治体との共同使用を図るとともに、使用料 は免除すること。 2 3条関係(施設・区域に関する措置) (1) 1項関係〔管理権〕 <ノース・ドックでの弾薬積卸しの禁止> ア横浜ノース・ドックを経由しての米軍の北富士・東富士での実弾砲撃 演習に伴う物資の移送にあたっては、弾薬等の積卸しが決して行われる ことのないよう努めること。 <厚木基地での消音施設等の整備> イ厚木基地において、消音施設、遮音壁、防音林、緑地帯等の増設・整 備を進め、周辺住民の生活環境の保全に一層の努力をすること。 <キャンプ座間での騒音対策> ウキャンプ座間におけるヘリコプターの飛行活動は、12時から13時及 び18時から翌朝8 時までの間、並びに土・日曜・祝日、盆、年末・年 始、日本の伝統行事及び重要な学校行事・市民行事等においては、緊 急やむを得ないものを除き、活動を禁止するとともに、低空での旋回 訓練等激しい騒音を伴う訓練を行わない、また、住宅地の上空につい ては、極力飛行を避けるなど、必要な騒音対策を講じること。 また、ヘリコプターによる騒音被害について、国の責任で常時騒音 計を設置するなど、被害状況を的確に把握すること。ヘリコプターの 運用に関し、的確な事前情報の提供を行うとともに住民への十分な説 明を行うこと。 <基地内の文化遺産の保存等> エ基地内の自然環境の保護、文化遺産の調査・保存について、特段の配 慮をすること。 <交通事故予防対策の徹底> オ交通事故の予防対策を徹底して図ること。 <周辺住民に不安を与える訓練等の禁止> カ基地周辺住民に不安を与えるような訓練や演習、物資の備蓄を行わな いこと。 <話合いによる問題解決> キ基地に起因する問題については、地元自治体との話合いによる解決に 努めること。 <境界の確定> ク提供地の境界を明確にするとともに、提供地内の土地についても、将 来、権利者間に紛争の起きないよう措置すること。 <しゅんせつや海面埋立等の国による実施> ケ施設及び区域において、しゅんせつや海面埋立、大規模な土地区画の 形質の変更などを行おうとする場合には、必ず国の責任で実施するとと もに、あらかじめ地元自治体と協議し、その意向を尊重すること。 <警備が特別に強化される場合の米軍基地の運用等> コテロ対策等で警備が特別に強化される場合の米軍基地の運用等につい ては、市民生活の影響を考慮し、基地周辺住民の安全確保と不安解消に 努めるとともに、周辺道路の渋滞緩和等に配慮すること。 (2) 3項関係〔公共の安全〕 <兵員、物資輸送時の安全対策> ア兵員及び燃料や弾薬を始めとする物資の輸送にあたっては、事故等の ないよう安全確保の徹底を図るなど、万全の措置を講じること。 <基地の防災対策> イ貯油施設、弾薬庫等、基地の防災対策については、周辺住民の生命、 財産を守り安全を確保するため、万全の措置を講じること。 また、米軍は施設管理の責務を全うするよう、地元消防当局の援助 に依存することなく、全施設の消防体制を整えること。 <環境アセスメントの実施> ウ米側による基地内の米軍施設新設等の際にも、環境アセスメントを 実施するなど国内法令を適用すること。 <公害防止設備の定期点検等> エ基地内及び基地周辺の環境問題の発生を未然に防止するため、国及び 米側は協力のうえ、基地内の公害防止施設及び設備を定期的に点検し、 その結果を公表するとともに、環境関連法令等に定める各種基準が遵守 されるよう適切な措置を講じること。 <JEGSの訳文の公表等> オ国として、米軍が定めている日本環境管理基準(JEGS)の訳文及 び解説書を作成・公表すること。 また、JEGSの改定にあたっては、あらかじめ関係自治体の意見を 聴取し、改定された場合は直ちに情報提供すること。 <航空機排ガスの大気汚染調査> カ厚木基地周辺における航空機排ガスによる大気汚染の影響を調査し、 調査結果を関係自治体の求めに応じて速やかに公表すること。 <基地内廃棄物の処理等> キ基地内の廃棄物等の保管及び処理にあたっては、米国政府の責任にお いて、環境関連法令等に基づく各種基準の遵守及び地元自治体の施策へ の協力を行うとともに、PCB含有物を始めとする有害な廃棄物等の保 管、処理、移動などの状況について、関係自治体の意向を尊重して情報 を提供・公開すること。 <雨水排水対策の促進等> ク基地内からの雨水や土砂の流出、フェンス付近の樹木の維持管理につ いては、周辺地域に被害を及ぼさないよう雨水排水対策の促進や樹木の 剪定等に万全の措置を講じること。 <ゴルフ場からのボール飛び出し防止策> ケ基地内ゴルフ場からのボールの飛び出し等による危険を防止するため コースのレイアウトの見直し、利用者への注意喚起及び使用クラブの規 制等万全の措置を講じること。 3 4条関係(施設の返還) <返還時の環境調査及び環境浄化義務> 基地の返還にあたっては、あらかじめ環境調査等を実施し、必要があれば 環境の浄化や障害物件の除去などの適切な措置を講じてから返還するよう日 米両政府が責任をもって対処すること。 4 9条関係(合衆国軍隊構成員等の地位) <検疫等の国内法適用> 基地周辺住民の生活環境の保全及び安全確保のため、人及び動物、植物に 対する検疫並びに人の保健衛生に関して、国内法を適用すること。 5 10条関係(運転免許証) (1) 行政処分の実施 米軍人等が、スピード違反や酒気帯び運転等、日本において減点、罰金 の対象となる違反行為を行った場合は、日本の法律に準じて免許停止、取 消等の措置を行うこと。 (2) 米軍人等の私有車両登録 米軍人等の私有車両登録の際、基地内においても自動車の保管場所の確 保等に関する法律が遵守されるよう改善すること。 6 13条関係(租税) 「私有車両による道路の使用に関する租税」関係 <自動車税等の優遇措置の是正> 米軍人等の私有車両に対する自動車税及び軽自動車税の税率は、平成11年 度に改定されたものの、現在の民間車両に比し著しく低く不均衡であるので、 早急に是正すること。 7 17条関係(裁判権) (1) 被疑者の速やかな拘禁移転 日本側が第1 次裁判権を有し、被疑者の拘禁の移転要請があるときには、 米側は速やかにこれに応じることを義務づけること。 (2) 事故発生時の現場管理 施設区域外で発生した米軍機事故の現場管理について、日米双方の役割 分担を定めるだけでなく、現場検証についても、日米が共同で行えるよう 速やかに取り決めること。 8 18条関係(請求権の放棄) (1) 公務外の事件等の補償 米軍人等が公務外で起こした事件・事故等により被害を受けた場合にあ っても、日米両政府の責任により補償が受けられるよう措置すること。 (2) 損害賠償の迅速な対応等 米軍人等による事件、事故などの損害賠償については、迅速かつ誠意を もって対応するとともに、被害にあった際の相談窓口を周知すること。 また、少額な損害賠償については、事務手続きを簡素化すること。 (3) 賠償金の分担金の請求 国は、公務執行中の米軍等による日本国政府以外の第三者への損害につ いて、国が支払った賠償金のうち、本条で定める分担案に応じた分担金を、 米国政府へ強く請求し、確実に払われるよう措置すること。 9 21条関係(郵便) <軍事郵便制度の取扱について> 軍事郵便制度の悪用事例も生じていることから、日米地位協定に基づく制 度の適正な運用と、そのための軍人、軍属への教育を徹底すること。 10 25条関係(日米合同委員会) <合同調査委員会の設置> 米軍の航空機、艦船の事故や周辺住民に影響を及ぼしかねない基地内の 事故等については、日米合同調査委員会を設置し、調査内容等を公表する こと。 11 日米合同委員会合意事項関係 (1) 「米軍の火薬類運搬上の処置」関係 <火薬類運搬上の処置の遵守徹底> 弾薬など火薬類の輸送について、合意事項を遵守し周辺住民に対し、不 安や危険を与えることのないよう適切な措置を講じること。 (2) 「合衆国の施設及び区域への立入許可手続」関係 <関係自治体による立入りの原則許可> 基地周辺の防災、環境保全等のため、関係自治体が希望する基地内立入 りについては、原則として許可することを米側に義務づけること。 (3) 「地方自治体及び民間団体のイベント開催等に伴う在日合衆国軍隊の施 設・区域への立入り」関係 <イベント開催等の積極的な許可> 地元自治体や周辺住民によるイベントの開催や施設の利用等について、 積極的に許可するよう米側に働きかけること。 12 「米国原子力艦の寄港手続き」関係 (1) 寄港時の事前通報及びその内容遵守 米国原子力艦の寄港時における事前通報及びその内容を遵守すること。 (2) 寄港に関する情報提供 米国原子力艦の寄港時における放射能調査を円滑に実施するため、以下 の措置を講じること。 <寄港通報における出港予定日時の情報提供> ア寄港時の通報内容に出港予定日時を加えるとともに、出港の2 4 時間 以前の通報について明文化すること。 <寄港予定の情報提供> イ少なくとも1ヶ月単位で寄港予定を把握し、十分な時間的余裕をもっ て関係自治体へ情報を提供すること。 V 「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等の積極的な 運用並びに法令の改正を図られたい。 1 所要予算の確保 「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」の運用にあたっては、 地元の意向を十分尊重し、基地周辺地域の実情に適合した生活環境等の整備 の積極的な推進を図るため、所要の予算を確保すること。 2 障害防止工事、民生安定事業等 (1) 維持管理経費等の補助 補助事業範囲を拡大し、道路、公園、テレビジョン共同受信施設等のそ の後の維持管理に要する経費についても特段の措置を講じること。 (2) 補助対象施設の拡大 障害防止工事及び民生安定事業の補助対象施設の拡大を図ること。 (3) テレビ共同受信施設について 航空機等によるテレビの受信障害対策施設として設置されているテレビ ジョン共同受信施設について、現在、国が進めている地上波テレビジョン 放送のデジタル化への対応策を早急に示されたい。 3 特定防衛施設周辺整備調整交付金 (1) 特防調整交付金の増額及び事務手続きの簡素化等 交付金の大幅な増額を図るとともに、事務手続きの簡素化及び早期決定 ・一括配分を図ること。 (2) 特防調整交付金の拡充 交付対象となる施設を限定しないことや施設の維持管理経費も交付金の 対象とするなどの制度の拡充を図ること。 (3) 特定防衛施設関連市町村の拡大 特定防衛施設に「防衛施設が所在する市町村の都市形成に著しく支障を 与える施設」を加えるほか、著しく航空機騒音被害を受けている厚木飛行 場の周辺市を新たに特定防衛施設関連市町村として指定するなどの拡充措 置を早急に図ること。 (4) 特防調整交付金の原子力災害対策への交付 原子力艦の原子力災害対策を行う関係自治体を新たに交付の対象とする とともに、施設整備に限らず、当該自治体が行う原子力災害対策全般を交 付金の対象とするよう特段の措置を講じること。 なお、その際、既存の交付市町村への交付額が減少しないよう配慮する こと。 4 航空機等の騒音対策 (1) 防音工事に係る措置 <告示後住宅の対象範囲の拡大> ア国は昭和61年告示後の住宅については、当面、昭和61年9 月の告示 後5 年以内で見直し後の85W以上の区域に存する住宅を工事の対象とす るとのことであるが、長期にわたって騒音被害を被ってきた住民がい ることから、これらを対象住宅に含めるようさらに対象範囲を拡大す ること。また、所要の予算確保に努めること。 <騒音調査体制等の充実等> イ第1 種区域見直しにより、騒音の被害を受ける範囲が全体として大 幅に拡大したことを踏まえ、今後も引き続き騒音被害を把握し、明ら かにするため、騒音計の増設や県及び厚木基地周辺各市において設置 している騒音計も含めた統合処理等、調査体制の充実を図ること。 また、関係自治体及び住民に対する公表体制を充実させること。 <第T工法化等の促進> ウ施工戸数の増加、第1 種区域内すべての家屋の第I工法化及び防音工 事設計計画基準の改善のための予算措置を講じること。 <特定住宅防音工事の早期施工> エ特定住宅防音工事は、早期施工に向け十分な予算確保に努めること。 <公平かつ迅速な事業実施> オ住宅防音工事の施工にあたっては、住民に不公平感が生じないよう実 施するとともに、施工時期については施工主の意向を十分尊重すること。 また、長期にわたる騒音被害に鑑み、申請がなされた場合早急に実施 し、少なくとも1 年以内に完了するよう予算措置並びに事務手続きの迅 速化を図ること。 <防音施設維持管理費の全額国庫負担> カ住宅、教育施設等の防音施設に係る維持管理費については、全額国庫 負担とすること。 <冷暖房機更新の全額国庫負担等> キ冷暖房機更新は、全額国庫負担の対象とし、修繕についても国庫負担 の対象とすること。また、冷暖房機は市民生活には不可欠なものとなっ ている現状から、申請から工事までの期間を短縮するとともに、早期施 工に向け、実態に即した計画と十分な予算を確保すること。 <住民への周知の徹底等> ク住宅防音工事については、新聞折込、パンフレット配布、インターネ ットなどの手段を講じて、今後も重ねて適切な時期に工事の進め方など についてきめ細かく説明するとともに、住宅防音工事助成制度について の周知を徹底すること。 また、インターネットを利用した防音工事の申込みを可能とすること。 <国による相談窓口の設置> ケ対象区域や世帯数が大幅に増えたことを踏まえ、工事実施に関する 相談や申請を受ける窓口を十分に設けるとともに、住宅防音工事申請 受付事務については、地元自治体に負担がかからないように国が責任 をもって実施すること。 また、施工業者への適切な指導を行うこと。 <解除地域への特段の配慮> コ空調機能復旧工事を含む住宅防音工事が地元の意向に沿って実施され るよう特段の配慮を行うこと。 (2) 騒音計の設置及び維持への助成 騒音計の設置及び維持に要する費用について、国の助成制度を設けるこ と。 (3) 航空機騒音の苦情処理 航空機騒音の苦情については、本来、国において責任ある対応をすべき であるので、次の措置を講じること。 <空母入出港情報等の提供> ア空母の入出港をはじめ、艦載機の移動や飛行訓練に関する情報の厚木 基地周辺住民及び関係自治体への迅速、適切な提供並びに問合せ等への 対応を行うこと。 <騒音測定及び苦情処理事務への助成> イ関係自治体の騒音測定や苦情処理に係る事務処理に対する助成を行う こと。 (4) ヘリコプター騒音への対応 ヘリコプターの騒音被害についても、被害を受けている地域の実態を把 握するため、騒音計の早期設置等調査体制を整備すること。 (5) 航空機騒音が与える影響の調査の実施 航空機騒音の周辺住民に与える健康等への影響について、国の責任で実 態調査を実施し、その結果を明らかにすること。 なお、国にかわって地元自治体が行う場合にあっては、国の財政的援助 を含め、全面的に支援すること。 (6) テレビ受信料助成区域の拡大等 テレビ受信料助成については、騒音被害の及ぶ区域が対象となるよう助 成区域の拡大を行うとともに、受信料の全額補助を図ること。 (7) 電話通話料の助成 電話通話料の助成措置を講じること。 5 農耕阻害補償制度の拡充 農耕阻害については、補償制度の拡充強化を図ること。 6 飛行場周辺の国有地の無償貸付等 飛行場周辺の国有地については、適切な管理をするとともに、運動施設、 広場、公園等として周辺住民が活用できるものは無償で貸し付けられるよう 積極的に措置すること。 7 高さ制限等利用制限の補償 高さ制限等利用制限を受けている飛行場周辺地域の土地については、これ に対する補償制度を設けること。 8 厚木基地周辺における生活環境整備の促進 平成14年に公表された、防衛施設庁長官の私的諮問機関である「飛行場周 辺における環境整備の在り方に関する懇談会」の提言について早期に実現す るため、太陽光発電システムの設置及び外郭防音工事への助成については、 引き続き、全世帯を対象とするとともに、騒音状況の公開、訓練情報の提供 等についても、早期に実現すること。 W 基地交付金・調整交付金制度を充実されたい。 基地交付金(国有提供施設等所在市町村助成交付金) 及び調整交付金(施設 等所在市町村調整交付金) については、次の事項により、予算額の大幅な増額 をはじめとした本制度の充実について特段の措置を講じるとともに、算定方法 の情報公開を推進すること。 1 基地交付金・調整交付金の算定根拠の明示 基地交付金の対象資産価格の全国合計額の公表を始めとして、基地交付金 及び調整交付金の算定根拠を明らかにすること。 2 制度改正 (1) 政令控除規定の廃止 国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律施行令第3条第2項 のいわゆる「政令控除」の規定を廃止すること。 (2) 近傍類似地域との格差是正 基地交付金の対象資産価格の評価額について、近傍類似地域との格差を 是正すること。 (3) 飛行場周辺国有地の対象資産化 特定飛行場周辺の移転跡地等の買い上げ国有地については、基地交付金 の対象資産に準じた措置を講じること。 3 算定方法等 (1) 事実上の提供財産の算定基礎への算入 事実上米軍に提供されている状況にある財産については、基地交付金の 算定基礎に算入されるよう速やかに処理すること。 (2) 騒音被害等の算定基礎への算入 基地から受ける騒音等の様々な被害も算定基礎に算入すること。 X 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充、強化を図られたい。 1 駐留軍等労働者対策 労務費全額日本側負担の実態を踏まえ、日本側の労働条件等決定権限の 強化に努めることにより、駐留軍等労働者に雇用不安等を与えることのな いよう適切な労務管理を図ること。 併せて、労働条件の向上を図るとともに、労働法令に則した労働安全衛 生が円滑に図られるよう努めること。 また、不安定な雇用条件の駐留軍等労働者に対して、在日米軍再編、基地 返還時等においても不当な配置転換や解雇のないように配慮すること。 2 離職者対策の充実 離職者対策については、基本的に雇用主として国に責任があることを明 確にし、在職中の職業訓練等各種援護措置の充実はもとより、地方駐留軍 関係離職者等対策協議会の設置、運営を都道府県労働局が行うこととする など離職者対策等の諸制度を見直すとともに平成20年5 月に期限が到来す る駐留軍関係離職者等臨時措置法の期限延長を図ること。 3 地方離職者対策(福祉)センターに対する支援 地方離職者対策(福祉) センターにおける駐留軍等労働者の離職者対策等 に対する国の支援強化を図るとともに、駐留軍等労働者の離職者対策等を事 業の目的とする公益法人の許可等の事務は都道府県労働局の直接執行とする よう見直すこと。 また、地方公共団体の負担が生じないよう国が責任をもって同センター を支援すること。 Y 周辺事態安全確保法、自衛隊法等の運用について適切な情報提供等 に努められたい。 1 周辺事態安全確保法等の平素からの情報提供等 周辺事態安全確保法等の運用にあたっては、地方公共団体の懸念の解消を 図るためにも、平素から協力要請にあたっての省庁別マニュアルを示すなど、 積極的に情報を提供するとともに、地方公共団体の意見を聴取すること。 2 協力要請の際の適時・的確な情報提供等 周辺事態安全確保法第9 条に基づく協力要請の際には、適時・的確に情報 の提供を行い、地方公共団体の意向を十分尊重のうえ要請・依頼を行うこと。 3 「周辺事態安全確保法第9条の解説」の内容の明確化 「周辺事態安全確保法第9条の解説」において、具体的な内容が不明確な 点については、引き続き、地方公共団体の意見を踏まえ、関係各省庁で調整 し、その内容の明確化、具体化を図り、周知すること。 4 周辺事態安全確保法の目的や趣旨等の周知 国において、周辺事態安全確保法の目的や趣旨等の周知に努めること。 5 自衛隊法に基づく警護出動にあたっての知事の意見尊重及び情報提供 自衛隊法に基づく警護出動の際の知事への意見聴取にあたっては、知事が 責任ある意見を表明できるよう十分な情報を提供するとともに、その意見を 尊重すること。 また、地元市に対しても十分な情報の提供に努めること。