渉外関係主要都道県知事連絡協議会(渉外知事会) 平成26年度「基地対策に関する要望書」で求めた 重点要望に対する国からの説明(回答) <外務省> ○「1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進」 在日米軍の再編を進めることは、米軍の抑止力を維持しつつ地元の負担を軽減するという観点から重要であると考えている。また、施設・区域の返還については、日米地位協定第2条に基づいて検討することとされており、これまでも政府は、個々の施設・区域について、地方公共団体からの返還や使用の在り方等に関する要望を勘案しつつ、随時米側と協議してきている。 政府としては、今後とも、日米安全保障体制の目的達成という観点を踏まえつつ、個々の施設・区域の実情を踏まえた適切な対応を図ってまいりたい。 ○「2 日米地位協定の改定 @基地使用の可視化」 米軍による施設・区域の使用に関しては、米軍の運用上の理由から明らかにされない部分があることは事実であるが、米軍や米軍人等が我が国に駐留して活動するに当たっては、日米地位協定にも明確に規定されているとおり、我が国の法令を尊重し、公共の安全に妥当な考慮を払わなければならないことは言うまでもない。 また、日米合同委員会における合意事項については、その多くが施設・区域の提供やその返還等に関するものであるが、これらについては、従来から、米側との協議の上で、合意の全文又は概要を公表してきている。今後とも、政府として、周辺住民の方々に関連する情報をできる限り提供していくよう努めていきたい。 ○「2 日米地位協定の改定 A環境条項の新設」 米軍施設・区域に関連する環境保全の問題は、周辺住民の皆様の健康等にも関わる重要な問題である。また、日米地位協定の規定に基づき、米軍による施設・区域における作業は、当然、公共の安全に妥当な考慮を払って行われなければならない。 日米地位協定には環境に関する規定がないことから、平成25年12月、同協定を環境面で補足する新たな政府間協定を作成するための日米協議を立ち上げ、交渉を行ってきた。 その結果、平成26年10月20日に、@日米又は国際約束の環境基準のうち、より厳しいものを一般的に採用する日本環境管理基準の発出・維持、A環境事故後の立入りや文化財調査を含む返還予定地の現地調査のための立入手続の作成・維持といった事項を含む環境補足協定について実質合意したことを発表した。 日米地位協定の締結後54年を経て、同協定を補足する協定の交渉は初めての取組であり、今般の実質合意は、従来の運用改善とは一線を画するものと考えている。今後、協定の署名に向けて所要の作業を進めていく。 ○「2 日米地位協定の改定 B騒音軽減及び飛行運用に係る条項の新設」 航空機騒音の問題は周辺住民の方々にとって深刻な問題であると認識しており、外務省としても、日米合同委員会合意による騒音規制措置の遵守を繰り返し米側に求めてきている。今後とも米軍が活動を行うに際しては、合同委員会合意を遵守すること等を通して、地元に与える影響が最小限となるよう、引き続き働きかけていきたいと考えている。 ○「2 日米地位協定の改定 C国内法適用の拡充」 一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは、日本に駐留する米軍についても同様である。 一方、同じく一般国際法上、米軍や米軍人等は我が国で活動するに当たって日本の法令を尊重しなければならない義務を負っており、日米地位協定にもこれを踏まえた規定(第16条)が置かれている。 その上で、日米地位協定は、協定そのものに加え、数多くの日米合意を含んだ大きな法体系であり、日米間では、協定の実施を実質的に改善する多くの合意を達成してきている。 例えば、保健衛生の分野について言えば、人、動物及び植物の検疫に関する日米合同委員会合意に従って検疫措置が実施されているが、加えて平成25年1月には、在日米軍と我が国の衛生当局間における情報交換に関する日米合同委員会合意が作成され、新型インフルエンザやエボラ出血熱を含む感染症に関し、日米間での緊密な情報共有等の対応を行ってきている。 日米地位協定について様々な御意見があることは承知しているが、政府としては、目に見える改善を一つ一つ具体化するべく、まずは、こうした日米合意を着実に積み重ねることが重要かつ効果的だと考えている。 今後とも、地元の方々の御意見を伺いながら、特に住民生活に影響のある分野における具体的な問題を解決するべく、最大限努力していきたい。 ○「2 日米地位協定の改定 D米軍、米軍構成員等による事件・事故時の措置の充実」 米軍人等による事件・事故については、1件1件に被害者や御家族がおられ、その方々の御心痛をお察しするに、大変深刻な問題であると考えている。 米軍関係者による事件・事故が発生した場合には、日米合同委員会合意に基づいて、日米間で迅速な通報を行ってきている。政府は、こうした枠組等を通じて情報を把握し、関連する地方公共団体に対し情報提供を行うとともに、米側に対し再発防止等をしっかりと申し入れている。 米軍関係者による事件・事故を防止するためには、関係者による不断の取組が重要と考えている。今後とも、米側に対して様々な機会を通じて働きかけていくとともに、例えば「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム(CWT)」の枠組等を通じて関係者との協議を重ね、事件・事故の防止に取り組んでいきたい。 ○「2 日米地位協定の改定 E地元意見の聴取に係る仕組みの新設」 日米安全保障体制の運用については、我が国の外交・防衛に責任を有する日本政府が米国政府と協議することを基本とすべきものであるが、その一方で、米軍の安定的な駐留のためには、地元の御理解・御協力が不可欠である。 政府と地元の調整の在り方については、関係省庁と相談しながら、地元の御要望に可能な限りお応えできるように努力していきたい。 過去、渉外知事会からの御要望を受けて、平成20年12月に、渉外知事会、在京米国大使館、在日米軍司令部、防衛省及び外務省が参加する連絡会議が開催された経緯もある。渉外知事会からは連絡会議の第2回会合の開催についても御要望を頂いているところであり、米側ともよく相談してまいりたい。 ○「3 国による財政的措置等の新設・拡充」 米軍施設・区域の所在に伴って周辺住民の方々に様々な御負担をおかけしていることは十分認識している。地元の過重な負担の軽減を図ることは、日米安全保障体制を安定的な基盤の上に置く意味からも極めて重要であると考えている。 「財政措置等の新設・拡充」の項目で御要望頂いている個々の内容は、外務省において所掌しているわけではないが、周辺住民の方々の御負担が米軍施設・区域の所在に伴うものであることに鑑み、日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を確保する観点から、必要に応じて、関係省庁とも相談しつつ対応していきたい。 <防衛省> ○「1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進」 米軍基地を抱える地元の皆様方の負担軽減は、重要な課題と認識している。このような認識の下、防衛省としては、従来から米軍の運用上の所要及び地元の御要望等を踏まえつつ、施設・区域の整理、縮小、返還に向け、鋭意努力してきたところである。 例えば、この1年間の取組として、本土においては、深谷通信所の全部約77haの返還、相模総合補給廠の一部土地約17haの返還、佐世保地区の立神港区における一部岸壁約505mの返還が、それぞれ実現したところである。 また、沖縄においては、平成26年1月キャンプ・ハンセンの一部土地億首ダム用地約77haの返還、平成26年4月ホワイト・ビーチ地区の一部土地住宅建設用地約320uの返還、平成26年6月キャンプ・ハンセンの一部土地東シナ海側斜面約55haの返還など、この1年間で100haを超える土地の返還が実現したところであり、今後とも、SACO最終報告に基づく北部訓練場の過半返還や嘉手納以南の土地の返還などが一日でも早く実現できるよう、取り組んでいく。 防衛省としては、引き続き、米軍の運用上の所要を踏まえつつ、地元の御要望等を尊重の上、施設・区域の整理、縮小及び早期返還について最大限努力していきたいと思う。 ○「2 日米地位協定の改定 @基地使用の可視化」 施設及び区域の提供等については、日米合同委員会の合意及び閣議決定を経て、その使用目的等を官報等においてできる限り詳細かつ速やかに公表しているところであり、今後とも、施設及び区域の提供等に関連する内容の公表については、適切に行っていく。 また、施設及び区域の立入りについては、合同委員会合意に基づき適切に措置しているところであるが、今後とも、地方公共団体等から施設及び区域内への立入りについて御要望があった際には、外務省及び在日米軍と緊密に連携しながら適切に対応していく。 ○「2 日米地位協定の改定 A環境条項の新設」 在日米軍施設・区域における活動と環境保全の両立については、周辺住民に関わる重要な問題であると認識している。 このような認識に基づき、日米両政府は、平成25年12月の「在日米軍施設・区域における環境の管理に係る枠組みに関する共同発表」において、日米地位協定を環境面で補足する政府間協定の作成に向けた二国間の協議を開始することを発表し、平成26年10月20日に実質合意に達した。現在、協定の署名に向けて、所要の作業を行っているものと承知している。 ○「2 日米地位協定の改定 B騒音軽減及び飛行運用に係る条項の新設」 在日米軍の行う飛行訓練は、部隊の錬度の維持及び向上のため必要なものであり、日米安全保障条約の目的達成に資する重要なものであるが、他方、安全性に最大限の考慮を払うとともに、地元住民の方々に与える影響を最小限にする必要があるものと認識している。 このような認識の下、米軍機の訓練による地元住民の方々への影響を最小限とするための具体的措置が、日米合同委員会において合意されており、防衛省からも米軍に対し、当該合意を遵守し、可能な限り地元住民の方々への影響が最小限となるよう累次の機会に申し入れを行っているところである。 ○「2 日米地位協定の改定 D米軍、米軍構成員等による事件・事故時の措置の充実」 防衛省においては、米軍人等による事件・事故の防止のため、平素から米軍に対し、隊員の教育や綱紀粛正の徹底を申し入れているが、万が一、事件・事故が発生した場合には、日米間で合意された通報手続に従い、関係地方公共団体等に速やかに通報するとともに、米側に対し、原因究明、再発防止及び安全管理の徹底等について強く申し入れている。 また、米軍人等の事件・事故により被害が発生した場合には、被害に遭われた方への補償について、日米地位協定及び関係法令に基づき、適切に対応していく。 いずれにしても、防衛省としては、事件・事故の防止には関係者による不断の努力が重要であると認識しており、引き続き、真剣に取り組んでいく。 ○「2 日米地位協定の改定 E地元意見の聴取に係る仕組みの新設」 日米合同委員会は、地位協定の実施に係る政府間の協議機関であり、特に、施設及び区域の決定について協議を行う場として設置されている。 日米合同委員会に基づく枠組みではないが、平成20年12月には、渉外知事会、在京米国大使館及び在日米軍司令部、外務省及び防衛省からなる「在日米軍施設・区域に係る日米両政府の代表及び渉外知事会との連絡会議」が開催されたところである。 地元意見の聴取に係る仕組みの新設の御要望については、米側や中心となる外務省ともよく相談し、適切に対応していく。 ○「3 国による財政的措置等の新設・拡充 @基地交付金等の増額等」 基地交付金及び調整交付金については、総務省の所管となるので、基地周辺対策経費についてお答えさせて頂く。防衛省としては、国の財政事情は極めて厳しい状況ではあるが、地元要望を踏まえ、基地周辺対策経費の所要額の確保に向け、引き続き努力していく。 ○「3 国による財政的措置等の新設・拡充 A地域振興策の新設・拡充」 地域振興策の新設・拡充に係る御要望については、関係機関とも連携しつつ、防衛省として行い得ることについて、最大限努力していく。 ○「3 国による財政的措置等の新設・拡充 B基地跡地の返還に係る支援」 基地返還後の国有地の利用に関し、今後とも皆様方の御要望を国有財産を所管する財務省に伝えるなど、防衛省としてできる限り努力していく。 ○「3 国による財政的措置等の新設・拡充 C駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化」 駐留軍等労働者が雇用面において不安なく勤務できる状態を確保していくことは、雇用主としての日本政府の立場上当然のことであり、駐留する米軍の任務を円滑に行う面からも重要なことである。 また、駐留軍等労働者の労働条件等については、米側と調整しながら、逐次その改善を図ってきたところである。 駐留軍等労働者の離職者対策については、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき、関係省と協力しながら、各種援護措置を実施しており、今後とも、離職者の生活の安定確保に最大限努力する所存である。 米軍再編に伴う駐留軍等労働者の雇用の影響については、現時点において、確たることを申し上げることは困難であるが、防衛省としては、米軍再編に伴う駐留軍等労働者の雇用の安定確保について万全を期していきたいと考えている。 <環境省> ○「2 日米地位協定の改定 A環境条項の新設」 環境条項の新設については、平成26年10月20日に、日米地位協定を補足する環境に関する協定について実質合意に至ったことについて、日米両政府による共同発表がなされたところである。補足協定の交渉は、日米地位協定が締結された昭和35年以降初めての取組みであり、環境補足協定により在日米軍に関する環境の管理への取組みが強化されるということは、有意義であると考えている。環境省としては、在日米軍に係る環境問題に関し、引き続き関係省庁と連携して取り組んでいきたいと考えている。 ○「2 日米地位協定の改定 D米軍、米軍構成員等による事件・事故時の措置の充実」 平成9年3月の日米合同委員会の合意により、事件・事故が発生した際の通報手続きが定められている。この手続きにより、環境に係る事件・事故発生の連絡を環境省が受けた際は、関係する地方公共団体と連携して、取り組んでいきたいと考えている。 <内閣府> ○「2 日米地位協定の改定 D米軍、米軍構成員等による事件・事故時の措置の充実」 原子力艦の原子力災害が発生した場合は、防災基本計画及び「原子力艦の原子力災害対策マニュアル(平成16年8月25日中央防災会議主事会議申合せ。以下「マニュアル」という)」に基づき、国の機関が原子力艦の原子力災害に関する通報を受けた場合には当該国の機関が、モニタリング実施機関においてモニタリング値が通報基準(5μSv/h(1地点で10分以上又は2地点以上))に達した場合には当該モニタリング実施機関が、それぞれ、関係県及び市に通報又は連絡することとしている。また、外務省は、マニュアルに基づき、外国政府に対して、災害応急対策を実施するうえで必要とされる情報の提供要請を実施するとともに、国は、緊急時モニタリングの結果や放射能影響予測を地方公共団体に連絡することにより、事故に関する情報の共有を図ることとしている。 地域住民への情報提供については、防災基本計画及びマニュアルにおいて、国、関係指定公共機関、関係地方公共団体の各機関の役割を明確にし、役割に応じて、周辺住民に役立つ正確かつきめ細やかな情報を適切に提供するものとされている。 具体的には、国は、非常災害対策本部又は緊急災害対策本部の設置、現地への専門家派遣、現地対策本部の設置、現地対策本部合同会議の開催等を通じて、住民等に対する避難、屋内退避等の指示、安定ヨウ素剤の予防服用、飲食物の摂取制限等の地方公共団体が実施する防護活動や情報提供活動のために必要な指導・助言するとともに、報道機関、インターネット等を通じた国民への的確な情報提供や、必要に応じた住民等からの問い合わせに対応する体制の整備を行うこととしている。 以上のような国と地方公共団体等の相互連携による災害応急対策を通じて、二次災害防止に万全を期すことが重要である。 <総務省> ○「3 国による財政的措置等の新設・拡充 @基地交付金等の増額等」 基地交付金及び調整交付金(以下「基地交付金等」という。)については、基地交付金等の対象資産価格等に対する予算額が少ない状況を考慮し、平成元年度から3年おきに、10億円の増額を図っているところである。 平成27年度の概算要求については、極めて厳しい財政状況の中ではあるが、基地所在市町村の置かれている実情等にかんがみ、対前年度同額の345億4千万円を要求しているところである。 平成27年度予算については、今後要求額の満額確保に全力で努めていきたいと考えている。 <厚生労働省> ○「3 国による財政的措置等の新設・拡充 C駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化」 駐留軍関係離職者対策については、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき関係省庁が諸施策を講じているところであるが、厚生労働省としては、当該離職者に対して就職促進手当等の職業転換給付金を支給しながら、積極的な職業指導、職業紹介及び職業訓練を実施するとともに、これらの者を雇用する事業主に対して特定求職者雇用開発助成金を支給するなどの援護措置を講じ、再就職の促進を図っている。 また、離職者の再就職に関する希望の早期把握、必要に応じたセミナー、キャリアコンサルティングの実施といったよりきめ細かい職業相談・職業紹介、職業訓練等の充実強化、などの施策も積極的に講じている。 <国土交通省> ○「2 日米地位協定の改定 B騒音軽減及び飛行運用に係る条項の新設」 米軍機の飛行等による騒音への対策や安全運航については、外務省や防衛省から米側に対し、安全運航の確保や地元住民への配慮について申入れが行われているものと承知しているところである。 <原子力規制庁> ○「2 日米地位協定の改定 D米軍、米軍構成員等による事件・事故時の措置の充実」 原子力艦寄港地では、関係自治体等の協力を得てモニタリングボート等による放射能調査を実施している他、平時からモニタリングポストによる24時間の放射線監視を行っている。 なお、異常事態発生時には、直ちに関係自治体等に連絡する体制が構築されている。