基地対策に関する要望書 〔 施策・制度・予算 〕 平成26年8月 渉外関係主要都道県知事連絡協議会 (略称:渉外知事会) 【構成14都道県】 北海道、青森県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 山梨県、静岡県、広島県、山口県、福岡県、長崎県、沖縄県 基地対策に関する要望 日米地位協定に基づき提供されている「施設及び区域」(米軍基地(水域を含む)。以下「基地」という。)を抱える地方公共団体は、基地の存在及びその運用に伴う諸問題によって地域の生活環境の整備・保全や産業振興等に様々な障害を受けており、その対策に日夜腐心しているところであります。 また、航空機事故、原子力艦をはじめとする艦船の事故や弾薬等による事故への不安、航空機等の騒音による被害の増大、環境汚染、米軍の構成員及び軍属並びにそれらの家族(以下「米軍構成員等」という。)による事故や犯罪の発生、駐留軍等労働者の諸問題など、基地に起因する問題も広範多岐にわたるとともに深刻化しております。 特に、米軍の犯罪防止への取組みについては、実効性を伴ったものとなることが極めて重要です。 国におかれましては、基地周辺の生活環境の整備や民生安定のために種々の施策が講じられているところでありますが、今日の多様化した住民ニーズに応えた内容とはいえず、基地周辺対策予算や基地交付金などについても制度の目的に沿った増額措置がなされておりません。 また、平成18年5月には、抑止力の維持と地元負担の軽減を柱として、在日米軍の再編に係る最終報告が日米両国政府間で合意され、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法も成立し、その後、平成 24年4月には再編計画の見直しが発表されましたが、基地周辺住民や地方公共団体に対して、まだまだ十分な配慮がなされているとは言えない状況にあります。 このことは、本来、国民全体で担うべき基地負担を担い、長年にわたって生活環境の改善を求めてきた基地周辺住民や地方公共団体の切実な願いに背くものであり、また、基地対策に関する経費が地元に転嫁されることによって各地方公共団体の財政の圧迫をもたらすものとなっております。 よって、国におかれましては、基地周辺住民、地方公共団体のこうした状況を十分に理解され、基地対策に関する別記の施策・制度・予算に関する諸事項を速やかに実現されるよう強く要望いたします。 平成26年8月1日    殿 渉外関係主要都道県知事連絡協議会 (略称:渉外知事会) 会 長 神奈川県 知 事 黒 岩 祐 治 副会長 青 森 県 知 事 三 村 申 吾 副会長 長 崎 県 知 事 中 村 法 道 副会長 沖 縄 県 知 事 仲井眞 弘 多 北 海 道 知 事 高 橋 はるみ 茨 城 県 知 事 橋 本 昌 埼 玉 県 知 事 上 田 清 司 千 葉 県 知 事 森 田 健 作 東 京 都 知 事 舛 添 要 一 山 梨 県 知 事 横 内 正 明 静 岡 県 知 事 川 勝 平 太 広 島 県 知 事 湯 ア 英 彦 山 口 県 知 事 村 岡 嗣 政 福 岡 県 知 事 小 川   洋                目次 重点要望 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進 (詳細は1ページ) 2 日米地位協定の改定 @ 基地使用の可視化          (詳細は2ページ) A 環境条項の新設           (詳細は3ページ) B 騒音軽減及び飛行運用に係る条項の新設(詳細は3ページ) C 国内法適用の拡充          (詳細は3ページ) D 米軍、米軍構成員等による事件・事故時の措置の充実 (詳細は4ページ) E 地元意見の聴取に係る仕組みの新設  (詳細は4ページ) 3 国による財政的措置等の新設・拡充 @ 基地交付金等の増額等   (詳細は5ページ) A 地域振興策の新設・拡充   (詳細は5ページ) B 基地跡地の返還に係る支援   (詳細は5ページ) C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化 (詳細は5ページ) 要望事項 1 基地の整理、縮小と早期返還の促進及び基地跡地利用に係る要望 (詳細は15ページ) 2 日米地位協定に係る要望              (詳細は別冊) 3 「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等に係る要望 (詳細は20ページ) 4 基地交付金(国有提供施設等所在市町村助成交付金)及び調整交付金(施設等所在市町村調整交付金)等に係る要望 (詳細は28ページ) 5 駐留軍等労働者対策及び離職者対策に係る要望         (詳細は30ページ) 6 周辺事態安全確保法、自衛隊法等の運用に係る要望       (詳細は32ページ) 重点要望 重点要望 本年度の要望中、早急に措置が必要なもの等、特に回答をお願いしたい事項を重点要望としてまとめましたので、次の項目に対し、当会会長あて文書にて御回答くださいますようお願いいたします。 なお、重点要望には、関連する個別要望項目を付記しておりますので、これらの要望を踏まえて御回答くださるようお願いいたします。 また、日米地位協定の改定を求める項目について、「日米地位協定改定15項目の要望、内容の詳細・理由等」としてとりまとめておりますので、併せて御回答くださいますようお願いいたします。 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進 【要望先:外務省・防衛省】 基地の存在は、地域の生活環境の整備・保全や産業振興に障害を与えるとともに、騒音、事件・事故、環境問題など、様々な問題の原因となっている。 基地の整理、縮小及び早期返還は、地元住民や地方公共団体の長年にわたる切実な願いであり、在日米軍再編の日米合意や閣議決定にかかわらず、引き続き、地元要望を尊重の上、積極的に整理、縮小及び早期返還を促進すること。 2 日米地位協定の改定 近年、日米を取り巻く安全保障体制や我が国の社会経済環境が大きく変化したにもかかわらず、日米地位協定は、昭和35年に締結されて以来、50年以上もの間、改定されていない。 当協議会では、基地を巡る様々な問題を解決するため、国内環境法令の適用、日米合同委員会の中に基地を有する地方公共団体の代表者が参加する地域特別委員会を設置することなど日米地位協定に係る提案を行い、繰り返し改定を求めてきたが、政府においては、基地に関する問題が発生する都度、運用改善で対応してきた。 当協議会においても、運用改善で対応できるものは積極的に取組むべきと考えるが、米軍基地に起因する環境問題、事件・事故等を抜本的に解決するためには、日米地位協定の改定は避けて通れないものと考える。そこで、日米地位協定に次の6本の柱に掲げる15項目を明記することにより、日米地位協定を改定すること。 なお、改定にあたっては、早急に見直し作業に着手し、2、3年以内等できるだけ短い期限を設けて見直しを行うなど、実務的な対応を行うこと。 @  基地使用の可視化【要望先:外務省・防衛省】 基地の使用に関しては、米側の裁量に委ねられている部分が多く、基地の実情が見えず、周辺住民は大きな不安を抱えている。そのため、日米間の合意事項も含め、できる限り基地の実情等が見えるようにすること。 (第2条関係、施設・区域の提供等) ◇「個々の施設及び区域(以下「基地」という。)に関する協定については、使用目的、使用範囲、使用条件等を詳細に記載するとともに、その内容を日本国政府が定期的に審査すること」 (第3条関係、施設・区域に関する措置) ◇「公務遂行のため、日本国政府や地元地方公共団体の人員が基地内への立ち入りを求めた場合は、速やかに応ずること。また、その際、公務を遂行する上で、必要かつ適切なあらゆる援助を与えること」 (第25条関係、合同委員会合意) ◇「日米合同委員会の合意事項は速やかに公表すること」 A  環境条項の新設【要望先:外務省・財務省・環境省・防衛省】 基地内の環境問題は、周辺住民の生命、健康に重大な影響を与える可能性がある。そのため、日米地位協定に規定のない環境条項を新たに盛り込むこと。また、日米地位協定見直しまでの間、環境特別協定を締結すること。 (第3条関係、施設・区域に関する措置) ◇「生活環境の保全等に係る環境条項を新たに設け、基地内において国内環境法令を適用するとともに、日米両国政府の責任において基地の特殊性に応じた措置を講ずること」 (第4条関係、施設の返還) ◇「基地の返還にあたっては、日米両国政府の責任において環境調査を実施・公表し、環境の浄化や障害物件の撤去等の適切な措置を講じた上で返還すること」 B  騒音軽減及び飛行運用に係る条項の新設【要望先:外務省・国土交通省・防衛省】 米軍飛行場周辺や飛行ルート下の住民は、飛行訓練等により航空機の騒音被害や航空機事故に対する不安等、大きな負担を強いられている。そのため、騒音軽減や飛行運用に関する条項の新設をすること。 (航空機の騒音軽減措置、飛行運用関係) ◇「市街地や夜間、休日等の飛行制限、最低安全高度を定める国内法令の適用等、航空機の騒音軽減措置や飛行運用に関する制限措置を行うこと」 C  国内法適用の拡充【要望先:外務省・厚生労働省・防衛省】 我が国の法令は、在日米軍の活動には原則として適用されていない。日米地位協定では触れていない保健衛生に関する規定も含め、周辺住民の生活に大きな影響を与える可能性の高い分野については、国内法令を適用すること。 (第5条関係、入港料・着陸料の免除) ◇「米軍の艦船及び航空機が港湾、空港を使用する場合は、国内法令を適用すること。また、緊急時以外の民間空港の使用を禁止すること」 (第9条関係、米軍構成員等の地位) ◇「人、動物及び植物に対する検疫並びに人の保健衛生に関して、国内法令を適用すること」 D  米軍、米軍構成員等による事件・事故時の措置の充実【要望先:内閣府・外務省・環境省・防衛省】 米軍構成員等による事件・事故への適切な対応は基地問題の重要課題の一つである。関係する地方公共団体や住民への情報提供や被害者への補償を適切に行うとともに、事故時の日本側の権限等を明確にし、事件・事故時の措置を充実すること。 (第3条関係、施設・区域に関する措置) ◇「基地に起因又は関連する事故が発生した場合、事故の大小にかかわらず速やかに事故等の情報を地方公共団体に提供するとともに、地域住民にも速やかに適切な情報提供を行い、二次災害防止のための適切な措置を取ること」 (第17条関係、裁判権) ◇「日本国が第1次裁判権を有する場合、米国は日本側から被疑者の拘禁の移転要請があるときには、速やかにこれに応ずること」 ◇「基地の外における米軍財産について、日本国の当局が捜索、差押え又は検証を行う権利を行使すること」 ◇「基地の外における事故現場等の必要な統制は、日本国の当局の主導の下に行われること」 (第18条関係、請求権の放棄) ◇「公務外の米軍構成員等が起こした事件・事故等において当事者間での解決が困難な場合で、被害者への損害賠償額が満たされない場合であっても、日米両国政府の責任において補償が受けられるようにすること」 ◇「米国の当局は、日本国の裁判所の命令がある場合、米軍構成員又は軍属に支払うべき給料等を差し押さえて、日本国の当局に引き渡さなければならないこと」 E  地元意見の聴取に係る仕組みの新設【要望先:外務省・防衛省】 基地が所在する地方公共団体では、航空機による事故や騒音、部隊の再編等に伴う生活環境への影響など、基地に起因する様々な問題が発生している。こうした問題解決のためには、地元地方公共団体の意向を聴取し、その意向を反映できる仕組みが不可欠であることから、新たに規定を設けること。 (第25条関係、合同委員会) ◇「基地の運用等に関して地元地方公共団体の意見を聴取し、その意向を尊重するとともに、日米合同委員会の中に基地を有する地方公共団体の代表者の参加する地域特別委員会を設置すること」 3 国による財政的措置等の新設・拡充 今日の多様化した住民ニーズや、長年にわたって生活環境の改善を求めてきた基地周辺住民の切実な願いに応え、また、基地対策に関する経費が地元に転嫁されることによって各地方公共団体の財政の圧迫をもたらさないよう、地方公共団体の意向を踏まえ新たな制度の創設を含め適正な措置を講ずること。 @ 基地交付金等の増額等【要望先:総務省・財務省・防衛省】 固定資産税や住民税の代替措置である基地交付金、調整交付金を充実するとともに、基地に起因する騒音等の障害、民生安定等のための十分な予算措置を講ずること。 A 地域振興策の新設・拡充【要望先:内閣府・財務省・防衛省】 過大な基地負担の現状を踏まえ、財政的支援を含む地域振興に係る各種支援策を講ずること。 B 基地跡地の返還に係る支援【要望先:外務省・財務省・防衛省】 基地返還後の国有地の利用に際しては、できる限り地元に負担がかかることのないよう適切な措置を講ずるとともに、地元の意向を尊重し、必要な支援策を講ずること。 C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化【要望先:外務省・厚生労働省・防衛省】 労務費全額日本側負担の実態を踏まえ、適切な労務管理を図ること。 また、国による離職者対策を充実し、地方公共団体に負担が生じないよう措置すること。 また、米軍再編にあたっては、駐留軍等労働者への影響が最小限になるような雇用対策をできる限り早期に提示し、駐留軍等労働者に雇用不安を与えることのないよう努めること。 〔関連する個別要望項目〕 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進 省庁名 項目名 ページ 外務省 基地返還等の促進 15 基地返還交渉過程等の公表 15 基地の動向等に関する情報の事前提供と協議 15 防衛省 基地返還等の促進 15 基地返還交渉過程等の公表 15 基地の動向等に関する情報の事前提供と協議 15 2 日米地位協定の改定(別冊) @ 基地使用の可視化 省庁名 項目名 ページ 外務省 第2条関係、施設・区域の提供等 5 第3条関係、施設・区域に関する措置 6 第25条関係、合同委員会 15 防衛省 第2条関係、施設・区域の提供等 5 第3条関係、施設・区域に関する措置 6 第25条関係、合同委員会 15 A 環境条項の新設 省庁名 項目名 ページ 外務省 第3条関係、施設・区域に関する措置 7 第4条関係、施設の返還 8 財務省 第4条関係、施設の返還 8 環境省 第3条関係、施設・区域に関する措置 7 第4条関係、施設の返還 8 防衛省 第3条関係、施設・区域に関する措置 7 第4条関係、施設の返還 8 B 騒音軽減及び飛行運用に係る条項の新設 省庁名 項目名 ページ 外務省 航空機の騒音軽減措置、飛行運用関係 15 国土交通省 航空機の騒音軽減措置、飛行運用関係 15 防衛省 航空機の騒音軽減措置、飛行運用関係 15 C 国内法適用の拡充 省庁名 項目名 ページ 外務省 第5条関係、入港料・着陸料の免除 9 第9条関係、米軍構成員等の地位 9 厚生労働省 第9条関係、米軍構成員等の地位 9 防衛省 第5条関係、入港料・着陸料の免除 9 第9条関係、米軍構成員等の地位 9 D 米軍、米軍構成員等による事件・事故時の措置の充実 省庁名 項目名 ページ 内閣府 第3条関係、施設・区域に関する措置 8 外務省 第3条関係、施設・区域に関する措置 8 第17条関係、裁判権 10 第17条関係、裁判権 11 第18条関係、請求権の放棄 12 第18条関係、請求権の放棄 13 環境省 第3条関係、施設・区域に関する措置 8 防衛省 第3条関係、施設・区域に関する措置 8 第17条関係、裁判権 10 第17条関係、裁判権 11 第18条関係、請求権の放棄 12 第18条関係、請求権の放棄 13 E 地元意見の聴取に係る仕組みの新設 省庁名 項目名 ページ 外務省 第25条関係、合同委員会 14 防衛省 第25条関係、合同委員会 14 3 国による財政的措置等の新設・拡充 @ 基地交付金等の増額等 省庁名 項目名 ページ 総務省 基地交付金固定資産税相当額の交付 28 資産評価の適正化 28 調整交付金の増額 29 財務省 障害防止工事等予算の増額 20 地元負担の軽減 20 申請工事の完全採択・基準の緩和 20 補助対象の拡大・事業の質的向上 20 防音工事対象施設等の拡大 21 防音工事対象区域等の拡大 21 住宅防音工事区域指定値の見直し 21 防音工事区域指定・変更にあたっての地元意向の尊重等 22 防音施設維持管理費の全額国庫負担 22 航空機騒音に対する国の措置 22 国による実態調査の実施等 23 騒音調査に対する助成措置 23 受信料助成区域の拡大等 23 地上波デジタル放送への対応等 23 移転補償費の引上げ等 24 移転先地における公共施設の整備 24 移転補償対象区域の見直し 24 基地の実態を踏まえた移転補償制度の創設 24 農・漁業被害の適正補償 24 集団移転の地元負担の軽減 24 移転補償対象の拡大 25 交付対象の拡大 25 市町村合併に伴う措置 25 交付金の増額等 25 原子力災害対策に係る交付金の増額等 25 一括配分等への配慮 26 基地対策従事職員に係る人件費の国庫負担等 26 演習場等の賃借料の増額 26 「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施」に係る住宅防音工事の早期完了 27 艦船入港時における地方公共団体への財政的支援 27 基地交付金固定資産税相当額の交付 28 資産評価の適正化 28 調整交付金の増額 29 防衛省 障害防止工事等予算の増額 20 地元負担の軽減 20 申請工事の完全採択・基準の緩和 20 補助対象の拡大・事業の質的向上 20 防音工事対象施設等の拡大 21 防音工事対象区域等の拡大 21 住宅防音工事区域指定値の見直し 21 防音工事区域指定・変更にあたっての地元意向の尊重等 22 防音施設維持管理費の全額国庫負担 22 航空機騒音に対する国の措置 22 国による実態調査の実施等 23 騒音調査に対する助成措置 23 受信料助成区域の拡大等 23 地上波デジタル放送への対応等 23 移転補償費の引上げ等 24 移転先地における公共施設の整備 24 移転補償対象区域の見直し 24 基地の実態を踏まえた移転補償制度の創設 24 農・漁業被害の適正補償 24 集団移転の地元負担の軽減 24 移転補償対象の拡大 25 交付対象の拡大 25 市町村合併に伴う措置 25 交付金の増額等 25 原子力災害対策に係る交付金の増額等 25 一括配分等への配慮 26 基地対策従事職員に係る人件費の国庫負担等 26 演習場等の賃借料の増額 26 「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施」に係る住宅防音工事の早期完了 27 艦船入港時における地方公共団体への財政的支援 27 A 地域振興策の新設・拡充 省庁名 項目名 ページ 内閣府 地域振興策の新設・拡充 29 財務省 地域振興策の新設・拡充 29 防衛省 地域振興策の新設・拡充 29 B 基地跡地の返還に係る支援 省庁名 項目名 ページ 外務省 基地返還経費の確保 15 財務省 低廉な価格による国有地処分 16 基地跡地利用の支援 17 基地跡地の有効利用等 17 上下水道整備事業の援助制度の確立 18 防衛省 基地返還経費の確保 15 低廉な価格による国有地処分 16 基地跡地利用の支援 17 基地跡地の有効利用等 17 上下水道整備事業の援助制度の確立 18 C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化 省庁名 項目名 ページ 外務省 駐留軍等労働者対策 30 厚生労働省 離職者対策の充実 30 地方離職者対策(福祉)センターに対する支援 30 防衛省 駐留軍等労働者対策 30 離職者対策の充実 30 地方離職者対策(福祉)センターに対する支援 30 駐留軍離職者に対するアスベスト対策の拡充 31 要望事項の内容及び説明 1 基地の整理、縮小と早期返還の促進及び基地跡地利用に係る要望 (1) 基地の整理、縮小及び早期返還の促進                    【要望先:外務省・防衛省】 <基地返還等の促進> ア 基地の整理、縮小及び早期返還については、その基地ごとに必要性、使用状況、基地に起因する危険性、基地周辺の実情等を総点検し、地元要望を尊重の上、積極的に促進すること。 <公共事業の実施に伴う基地返還等に対する支援> イ 地方公共団体が道路や河川等を整備する公共事業の実施にあたり、基地の一部返還等が必要な場合は、米側との調整を積極的に行う等、事業の円滑な実施のため最大限の支援を行うこと。 <基地返還経費の確保> ウ 返還等にあたっての経費を地方公共団体に転嫁することのないよう、十分に確保すること。 <基地返還交渉過程等の公表> エ 地元の求めに応じて、返還交渉の内容、過程等を明らかにすること。 (2) 基地の動向等に関する情報の事前提供と協議                  【要望先:外務省・防衛省】 基地の機能変更、閉鎖、移転、返還等は、地元地方公共団体にとって極めて重大な問題であるので、それらの検討を進めるにあたっては、地元の意向が尊重されるよう、あらかじめ関係する地方公共団体に情報提供と協議を行うこと。 また、我が国を取りまく情勢についても可能な限り、情報を提供すること。 (3) 基地跡地の利用及び管理     【要望先:財務省・防衛省】 <返還国有地利用の地元意向の尊重> ア 返還後の国有地の利用については、地方公共団体の利用計画及び意向を尊重し、地元住民の福祉を最優先とすること。 <低廉な価格による国有地処分> イ 返還後の国有地の処分価格については、時価とせず、極力低廉な価格とすること。 なお、地方公共団体が公園、緑地の整備等を計画している場合は、国有財産法上可能な無償貸付とすること。 <国有財産処分制度の改善等> 【要望先:総務省・財務省・防衛省】 ウ 大規模返還財産の処分にあたっては、国有財産処分制度の改善を図るとともに、長期低利な資金の手当等特別の財政措置を講ずること。 <大規模返還財産の留保地利用> エ 返還後の留保地の利用・処分については、地元地方公共団体で留保地周辺の「まちづくり」を計画的に進めていることから、地方公共団体の利用計画及び意向を最大限に尊重すること。 <適切な基地跡地管理> オ 基地跡地については、現存する施設及び廃棄物等についての情報を提供すること。 地方公共団体の求めに応じて、障害物件の撤去及び環境の整備を図るとともに、基地跡地の管理に万全を期し、犯罪、火災、災害及び環境汚染等( 病害虫の発生を含む )の発生源にならないよう対処すること。 <未処分国有地の仮使用措置> カ 未処分国有地については、公園、駐車場等として仮使用できるよう措置すること。 <基地跡地利用の支援> キ 基地の返還にあたっては、返還跡地の有効利用の促進を図るため、地方公共団体が作成する諸計画に基づく諸事業が円滑に実施されるよう行財政上の支援措置を講ずること。 <基地跡地の有効利用等> ク 基地跡地については、地元住民が利用できる施設として整備するなど、有効利用と適正な管理を図ること。  また、基地跡地の地方公共団体による無償使用にあたっては、地元の実情に即した利用ができるよう、十分に配慮すること。 <上下水道整備事業の援助制度の確立> ケ 基地跡地利用に際して、地方公共団体が行う上下水道等公共施設の整備事業については、特別財政援助制度を早期に確立すること。 2 日米地位協定に係る要望 (詳細は別冊) 3 「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等に係る要望 (1) 法の運用      【要望先:財務省・防衛省】 <法の運用にあたっての地元意向への配慮> 法の運用にあたっては、地元地方公共団体の意向が十分反映されるよう配慮すること。 (2) 予算の増額と補助対象の拡大    【要望先:財務省・防衛省】 <障害防止工事等予算の増額> ア 障害防止工事、民生安定事業等に関する予算を増額し、申請事務の簡素化及び早期交付を行うとともに、事業費全額を国庫で負担すること。 <地元負担の軽減> イ 補助対象施設の維持管理費及び施設の更新、改良等についても補助対象とし、地元地方公共団体等の負担の一層の軽減を図ること。 <申請工事の完全採択・基準の緩和> ウ 障害防止工事、民生安定事業における申請事業の完全採択及び採択基準の緩和を図ること。 <補助対象の拡大・事業の質的向上> エ 同法施行令第14条に掲げる公共用の施設等を民生安定事業の補助対象とするなど、時代の変化に即応した対象範囲の拡大と、その実現のための法令改正を行うこと。 また、周囲の景観や文化的側面にも配慮するなど、事業の質的向上を図ること。 (3) 騒音対策の強化        【要望先:財務省・防衛省】 <防音工事対象施設等の拡大> ア 防音工事に係る補助対象施設を事務所、店舗等に拡大すること。 なお、運用上、一部補助対象施設と認められている認可外保育施設については、その全てを補助対象施設とすること。 また、随時、騒音調査を行い、砲射撃演習等の騒音に関する住宅防音工事対象区域の拡大と予算の十分な確保に努めること。 <防音工事対象区域等の拡大> イ 住宅防音工事については、対象区域の拡大(周回飛行コース下等)及び全室施工を図るとともに、環境基準達成を目的とした年次計画をたてて、早急に実施完了するよう努力すること。 また、区域指定後の新築・増改築住宅や防音工事実施済住宅の建て替えに伴う防音工事の再補助(建て替え防音工事)についても、制度の拡充と十分な予算の確保に努めること。 <住宅防音工事区域指定値の見直し> ウ 第1種区域に係る指定値を、62デシベル(Lden値)から航空機騒音の環境基準57デシベル(Lden値)に改めること。 <防音工事区域指定・変更にあたっての地元意向の尊重等> エ 住宅防音工事区域の指定・変更にあたっては、騒音被害の実態、住宅の分布状況、地形等を考慮し、特に区画については、地元地方公共団体及び地元住民の意向を十分に尊重のうえ対処すること。 また、第1種区域内は全て第T工法とするなど防音工事施工基準の改善及び工事費の限度額の引上げを図ること。 なお、米軍飛行場の運用の変更等により騒音状況に悪化が認められる場合は、早急に住宅防音工事区域の指定・変更を実施すること。 <防音施設維持管理費の全額国庫負担> オ 住宅、義務教育施設等の防音施設に係る維持管理費(光熱費)、耐用年数を経過した空調機器の更新及び一定の年月を経過し老朽化が著しく、防音効果が低下した建具等の更新についても全額国庫負担とすること。 特に、生活保護世帯については、さらに充実すること。 <航空機騒音に対する国の措置>  カ 航空機騒音に関して、次の措置を講ずること。 ・国における基地周辺の常時騒音測定機器の増設及び低空飛行訓練による住民からの苦情が多い地域への騒音測定器等設置による調査体制の整備及び測定データの公表 ・国における電話機の増設、人員の確保等苦情処理体制の充実 ・地元地方公共団体の苦情処理に対する助成 <国による実態調査の実施等> キ 航空機騒音の周辺住民に与える影響について、早急に国による実態調査を実施し、調査方法及び調査結果を速やかに公表すること。 また、 その結果、受忍限度を超える騒音被害がある場合は、早急に改善を図るとともに、騒音被害が軽減されるまでの間、当該調査結果をもとに、地域の実情を踏まえた交付金制度を創設すること。 <騒音調査に対する助成措置> ク 地方公共団体が実施する航空機騒音対策のための騒音調査について、測定機器の整備費・保守管理費・更新に係る経費及び測定に要する経費に対する助成措置を講ずること。 <受信料助成区域の拡大等> ケ テレビ受信料の助成区域を拡大し、助成額の増額を行うとともに、電話通信料の助成措置を講ずること。 <地上波デジタル放送への対応等> コ 国が進めているテレビのデジタル放送についても、基地に起因する電波障害等の影響を調査し、必要な措置を講ずること。 (4) 移転補償等の充実、強化      【要望先:財務省・防衛省】 <移転補償費の引上げ等>  ア 移転補償を代替地の取得可能な価格に引き上げるとともに、移転先の斡旋、移転に伴う損失補償、その他移転促進について、適切な方途を講じ移転補償費の早期支払いを図ること。 <移転先地における公共施設の整備> イ 移転先地における公共施設の整備については、対象施設を拡大するとともに、全額国庫負担とすること。 <移転補償対象区域の見直し> ウ 移転補償の対象区域を騒音被害の実態に即応させるよう対象区域の見直しを図ること。 <基地の実態を踏まえた移転補償制度の創設> エ 基地の実態を踏まえ、事故発生の危険性など騒音被害以外の要素を考慮した移転補償制度を新たに創設すること。 <農・漁業被害の適正補償> オ 農・漁業被害補償の実態を調査し、適正な補償を図ること。 <集団移転の地元負担の軽減> カ 集団移転の際には、地元負担軽減のため、特別の財源措置を講ずること。 <移転補償対象の拡大> キ 移転補償の対象範囲を拡大し、告示後の住宅についても対象とすること。 (5) 特定防衛施設周辺整備調整交付金の増額 【要望先:財務省・防衛省】 <交付対象の拡大> ア 法第9条に基づき特定防衛施設として指定することができる防衛施設に「防衛施設が所在する市町村の都市形成に著しく支障を与える施設」を追加するなど対象施設を拡大するとともに、告示により指定される特定防衛施設関連市町村には基地所在市町村のみならず、基地周辺市町村を加えている例があるので、広く基地周辺市町村の実情を勘案し、対象範囲を広げること。 <市町村合併に伴う措置> イ 法第9条に基づく交付金については、市町村合併に伴い、市町村面積が増加する地域において、合併前と同様の措置がなされるよう配慮すること。 <交付金の増額等> ウ 交付金の増額を図るとともに、手続きの簡素化を図ること。 <原子力災害対策に係る交付金の増額等> エ 原子力艦の原子力災害対策を行う、都道府県を含めた地方公共団体を新たに交付の対象とするとともに、施設整備に限らず当該地方公共団体が行う原子力災害対策全般を交付金の対象とすること。 なお、その際、既存の交付市町村への交付額が減少しないよう配慮すること。 <一括配分等への配慮> オ 対象事業の決定及び交付時期については、積雪寒冷地等地域の実情も考慮して、早期内示、早期交付及び一括配分に配慮すること。 (6) 基地対策従事職員に係る人件費の国庫負担等 【要望先:財務省・防衛省】 基地所在に伴う各種障害防止対策、民生安定対策等基地対策に従事する職員の人件費についても財政援助をすること。 また、施設区域取得等事務地方公共団体委託費の増額を図ること。 (7) 演習場等の賃借料の増額      【要望先:財務省・防衛省】 演習場等基地周辺地域の進展や、地域の実情に十分配慮し、適正な賃借料を確保すること。 (8) 「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施」に係る住宅防音工事の早期完了        【要望先:財務省・防衛省】 「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施」に係る砲撃音の住宅防音工事については、予算の十分な確保に努め、指定区域内の住宅防音工事を早期に完了すること。 また、随時、騒音調査を行い、必要に応じて指定区域の見直しを行うなど、区域の適正化に努めること。 (9) 艦船入港時における地方公共団体への財政的支援 【要望先:財務省・防衛省】 米軍の艦船及び米軍に徴用された民間船舶が港湾に出入りする場合において、地方公共団体が安全確保のために講ずる対策に要する経費について、財政措置を講ずること。 4 基地交付金(国有提供施設等所在市町村助成交付金)及び調整交付金(施設等所在市町村調整交付金)等に係る要望 (1) 基地交付金        【要望先:総務省・財務省】 ア 次により基地交付金予算総額の増額を図ること。 <基地交付金固定資産税相当額の交付> (ア) 基地交付金の有する固定資産税の代替的性格を考慮し、対象資産に対する固定資産税相当額を交付すること。 <資産評価の適正化> (イ) 国有財産台帳価格の評価替えについて、近傍類似地域との格差を是正するなど資産評価を適正なものとすること。 <事実上の提供地の対象資産化> (ウ) 飛行場周辺の買上げ国有地、自衛隊の施設のうち現在対象外となっている施設、事実上米軍に提供されている状況にある財産を対象資産とすること。 イ 基地交付金の配分にあたっては、次のことに配慮すること。 <制限水域の準対象資産化> (ア) 一般船舶の運航、港湾施設の使用等に制約を受ける米軍の制限水域を対象資産に準じた扱いとすること。 <政令控除の廃止> (イ) 国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律施行令第3条第2項のいわゆる「政令控除」の規定を廃止すること。 (2) 調整交付金       【要望先:総務省・財務省】 <調整交付金の増額> ア 次により調整交付金予算総額の増額を図ること。 (ア) 米軍資産に対する固定資産税相当額を交付すること。 (イ) 地位協定の実施に伴う地方税の非課税分についても全額補てんするよう措置すること。 (ウ) 概算要求基準において、基地交付金と同様の取扱いをすること。 <調整交付金の算定根拠の明確化> イ 米軍資産の価格、配分率等調整交付金の算定根拠を明確にすること。 (3) 地域振興策の新設・拡充 【要望先:内閣府・財務省・防衛省】 過大な基地負担の現状を踏まえ、財政的支援を含む地域振興に係る各種支援策を講ずること。 5 駐留軍等労働者対策及び離職者対策に係る要望 (1) 駐留軍等労働者対策       【要望先:外務省・防衛省】 労務費全額日本側負担の実態を踏まえ、日本側の労働条件等決定権限の強化に努めることにより、駐留軍等労働者に雇用不安等を与えることのないよう適切な労務管理を図ること。 併せて、労働条件の向上を図るとともに、労働法令に則った労働安全衛生が円滑に図られるよう努めること。 (2) 離職者対策の充実       【要望先:厚生労働省・防衛省】 離職者対策については基本的に雇用主として国に責任があることを明確にし、在職中の職業訓練に十分な期間を確保する等各種援護措置の充実はもとより、地方駐留軍関係離職者等対策協議会の設置、運営を都道府県労働局が行うこととするなど離職者対策等の諸制度を見直すこと。 (3) 地方離職者対策(福祉)センターに対する支援 【要望先:厚生労働省・防衛省】 地方離職者対策(福祉)センターにおける駐留軍等労働者の離職者対策等に対する国の支援強化を図ること。 また、地方公共団体の負担が生じないよう国が責任をもって同センターを支援すること。 (4) 駐留軍離職者に対するアスベスト対策の拡充 【要望先:防衛省】 アスベスト関連作業に従事していた駐留軍離職者に対して、離職後も特殊健康診断が受けられるよう予算措置を講ずること。 6 周辺事態安全確保法、自衛隊法等の運用に係る要望 【要望先:内閣官房・総務省・外務省・防衛省】 (1) 協力要請の際の適時・的確な情報提供等周辺事態安全確保法第9条に基づく協力要請の際には、適時・的 確に情報提供するとともに、地方公共団体の意向を十分尊重すること。 (2) 自衛隊法に基づく警護出動にあたっての知事の意見尊重及び情報提供  【要望先:内閣官房・防衛省】 自衛隊法に基づく警護出動の際の関係都道府県知事への意見聴取 にあたっては、当該知事が責任ある意見を表明できるよう十分な情報を提供するとともに、その意見を尊重すること。