在日米軍基地の環境の管理に関する政府間協定の締結に係る要請


平成26年4月

渉外関係主要都道県知事連絡協議会
(略称:渉外知事会)
 
内閣総理大臣  安 倍  晋 三
外務大臣    岸 田  文 雄
環境大臣    石 原  伸 晃
防衛大臣    小野寺  五 典

                     渉外関係主要都道県知事連絡協議会 
                                  (略称:渉外知事会)
                     会  長  神奈川県 知 事    黒 岩 祐 治
                     副会長  青 森 県 知 事    三 村 申 吾
                      副会長  長 崎 県 知 事    中 村 法 道
                      副会長  沖 縄 県 知 事    仲井眞 弘 多
                             北 海 道 知 事    高 橋  はるみ
                              茨 城 県 知 事    橋  本      昌
                              埼 玉 県 知 事  上 田 清 司
               千 葉 県 知 事    森 田 健 作
                              東 京 都 知 事    舛 添 要 一
                              山 梨 県 知 事    横 内 正 明
                              静 岡 県 知 事    川 勝 平 太
                              広 島 県 知 事    湯 﨑 英 彦
                              山 口 県 知 事    村 岡  嗣 政
                              福 岡 県 知 事    小 川   洋   


 私たち、渉外関係主要都道県知事連絡協議会(渉外知事会)は、米軍基地に起因する諸問題を抱える主要都道県知事が協力して基地問題の解決にあたることを目的として、昭和37年1月に設立されました。この間、日米地位協定の見直しなど、様々な要望活動を展開しております。

 日米地位協定につきましては、昭和35年の締結から50年以上が経つ中、一度も見直しがされておらず、環境問題への対策について明確な規定を設けるなど、時代の変化に対応した見直しが求められるところであります。

 当協議会では、これまでも日米地位協定の抜本的な見直しを早急に行うよう政府等関係機関に対し繰り返し求めてきたところです。

 併せて、日米地位協定を早急に見直すことができない場合には、環境特別協定を締結するよう政府に対して要望しており、また、環境特別協定に盛り込むべき内容については、具体的な試案(別紙)を作成し、平成22年度には特別要請として日米両国政府に示しているところです。

 そのような中、昨年12月、外務省から「在日米軍施設・区域における環境の管理に係る枠組みに関する共同発表」がなされ、現在、日米両国政府間で枠組みの作成に向けた協議が行われております。
 在日米軍基地に係る環境問題は、国民の関心が高い重要な課題であり、私たちとしては、早急に実効性のある在日米軍基地の環境の管理に関する政府間協定が締結されることを強く望んでおります。

 つきましては、政府におかれましては、政府間協定の締結に向けた具体的な協議を着実に進め、また、米国との協議にあたっては、私たち渉外知事会に対して適時適切な情報提供を行うとともに、日本政府の提案内容については、これまで私たちが要望している8項目の要素(別紙)を踏まえたものとするなど、基地を抱える地元自治体の意見を十分反映するよう要請いたします。


 
(別紙)
環境特別協定に盛り込むべき8項目の要素(渉外知事会試案)
 (1) 環境法令の適用関係(日本側環境関係法令に基づく規制基準等を満たすことの担保)
  ・在日米軍には原則として日本国内法令を直接に適用できず、また、地位協定に基づく管理権があるため、手続き面を含め、実質的に日本側環境関係法令を遵守することを確保する条項の導入を検討。
 (2) 規制基準の強化(自治体上乗せ条例等への柔軟な対応)
  ・現行の米軍の環境管理基準(JEGS)では参照文書の対象となっていない条例・基準等の反映を検討。
 (3) 環境調査(事故等が疑われる場合、モニタリング)
  ・事故が疑われる場合など、公務遂行のための速やかかつ適切な立入調査及び通常時のモニタリングの実現を検討。
 (4) 是正措置
  ・汚染により人の健康等に影響を及ぼす恐れがある場合の是正措置を検討。
  ・基地返還にあたっては、日米両国政府が責任を持って、土地の使用履歴や汚染状況等に関する情報の公表、返還前の環境調査、環境の浄化、障害物件の撤去等適切に対処することを検討。
 (5) 情報公開の促進
  ・米側の日常的な取組み、米側が行った調査結果などの公開等の規定の導入を検討。
 (6) 事故時の対応強化
  ・連絡体制、汚染の拡大防止、回復に関する日米の協力した取組みについて検討。
  ・基地内における日本側の権限、基地外における米側の権限について検討。
 (7) 米軍の環境保全に対する政府の協力
  ・米軍の環境保全活動に対する日本政府の協力について規定の導入を検討。
 (8) 基地と地元自治体の環境分野での協力の促進
  ・米軍と自治体の共同した取組みの促進(基地内、基地外)について規定の導入を検討。