渉外関係主要都道県知事連絡協議会(渉外知事会) 平成24年度「基地対策に関する要望書」で求めた 重点要望に対する国からの説明(回答) <外務省> 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進   在日米軍の再編を進めることは、米軍の抑止力を維持しつつ地元の負担を軽減するとの観点から重要である。また、施設・区域の返還については、日米地位協定第2条に基づき検討することとされており、これまでも政府は、個々の施設・区域について、地方公共団体からの返還や使用のあり方等に関する要望を勘案して、随時米側と協議してきた。 政府としては、今後とも日米安保体制の目的達成という観点を踏まえつつ、地元負担の軽減も勘案して、個々の施設・区域の実情を踏まえて適切な対応を行っていく考えである。 2 日米地位協定の見直し   既に外務大臣も国会等で答弁しているが、日米地位協定については、昨年(平成23年)末に、その根幹をなす刑事分野において、2つの改善措置に日米間で合意したところである。米国と第三国の間の地位協定と比較してみても、特に刑事分野では、接受国すなわち日本側に配慮した内容になっていると考えているところである。 さらに事件・事故、騒音や環境といった個別具体的な課題については、引き続き具体的に1つ1つの問題を解決していくことが重要であると玄葉大臣は述べている。我々事務方としても、改善を積み重ねていくべく頑張っていく所存である。 その上で、今後とも日米同盟をさらに深化させるよう努めていく中で、普天間飛行場移設問題、在沖縄海兵隊の移転といった、他の喫緊の課題の進展を踏まえつつ、対応を検討していくというのが現在の政府の立場となっている。 @ 環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底    米軍施設・区域に起因する環境問題は、その周辺住民の健康等に関わる重要な問題であると認識している。日米地位協定上も、米軍による施設・区域における作業は、公共の安全に妥当な配慮を行わなければならないものとなっているので、そのような認識で取り組んでいきたいと思っている。 米国政府としては、平成12年9月の「2+2」の「環境原則に関する共同発表」において、環境保護及び安全のための米軍の取組みは、日米の環境法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的な考えの下で作成される日本環境管理基準(JEGS)に従って行う旨表明しており、米軍は同基準に基づいて、基地の中及び周辺の環境保全について取り組んでいると承知している。 この基準については、米側との間で定期的に見直していくということになっている。現在、2012年版のJEGSが作成されているところである。皆様からご要望をいただいていたので、2010年版の日本語訳を作り、現在、環境省、防衛省、外務省のホームページに公開させていただいているところである。 環境特別協定についても、日米地位協定同様、日米同盟をさらに進化させるよう努める中で、普天間基地などの喫緊の課題の進展を踏まえつつ、対応について検討していく考えである。 他方、日米両政府は、一昨年(平成22年)5月の「2+2」と、昨年(平成23年)6月の「2+2」文書においても、環境関連事故の際の米軍施設・区域への合理的な立入りと、返還前の環境調査のための米軍施設・区域への合理的な立入りを含む、環境に関する合意を検討するということで合意している。 この合意に基づいて、何らかの環境事故があったときの立入りと、返還前の環境調査のための立入りができるよう合意形成に向けて、現在、引き続き事務レベルで検討を行っているところである。 騒音は特に周辺地域住民の皆様にとって、たいへん切実な問題であると認識している。従来から機会あるごとに、住民の方々の負担軽減への配慮ということで、米側に働きかけを行ってきており、今後も米側に対しては、機会あるごとに、地元住民に与える影響を最小限に止めるよう、働きかけを継続していく所存である。 A 事件・事故に係る安全対策等の確立    米軍関係者による事件・事故については、被害者やご家族周辺の方々にとって深刻な問題であると認識している。1つでも2つでも減らしていかなければならないと考えており、そのために不断の努力が必要な問題と認識している。    特に沖縄で最近、卑劣極まりない強姦事件もあり、その後、夜間外出禁止措置が全国的に取られたが、それにも関わらず、また住居侵入事件が相次いで発生しているような状況について、非常に遺憾であると考えている。 これは、総理大臣、外務大臣も強い問題意識を持っている。この間の首脳会談(平成24年11月)でも、総理大臣の方から米側に対して申入れを行ったところであり、玄葉大臣は常々、実効性を伴った再発防止策にしなければならないと話している。 我々も何かできることがないかということで、事件・事故を防止するためのワーキングチームという既存の枠組みがあるが、来週に沖縄県で、外務省沖縄事務所が主催して特別会合を開催し、実務レベルで率直な意見交換や地元の皆様のご意見を聞かせていただくべく、調整を始めたところである。 米側は米側で、リバティ制度の見直しを行っているが、やはり外出規制措置が取られているにも関わらず、先日、那覇で侵入事件が起きてしまったこともあり、米側の感謝祭にあたるということで、昨晩から那覇において、自主的な生活指導巡回パトロールが開始されたと承知している。 また、リバティ制度は米側で見直し作業が行われているところであるが、来週、ワーキングチームで議論されて出てきたご意見をしっかり米側に強く申し入れて、実効性のある再発防止策になるよう、我々も引き続き一生懸命やっていきたい。 B 地元意向を尊重する制度の構築    日米安全保障体制の運用については、基本的には国と国の関係ということがあると思う。外交・防衛に関しては、その両政府が協議するというのが基本にはあると思うが、その一方で、地元の皆様の理解や協力は不可欠なものなので、政府と地元との協議や調整のあり方については、関係省庁とよく相談して、地元の要望にできるだけお応えするかたちで、何かできないか努力していこうと思っている。    連絡会議については、平成20年12月に第1回ということで開催されたが、それ以降開催できておらず、これは特に本年(平成24年)6月に神奈川県知事が玄葉大臣のところにいらした時も要望をいただいているので、今後も関係省庁とよく連携しながら、米側と相談して検討していきたいと考えている。 3 国による財政的措置等の新設・拡充 B 基地跡地の返還に係る支援 この点に関しては、外務省ということで、予算があるわけでもなく、直接何かということはなかなか難しい側面もあるが、安全保障体制の円滑な、また効果的な運用ということで、繰り返しになるが、地元の皆様のご負担やご要望にお応えしていかなければならないと思っているので、関係省庁と相談して、できることがあればしっかり対処していきたい。 <防衛省> 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進 米軍基地の存在により、地元の皆様が多くの負担を抱えており、その負担軽減が重要な課題であることを、私達はしっかり認識している。このような認識の下、従来から米軍の運用上の所要、地元の要望等を踏まえつつ、施設・区域の整理、縮小、返還に向けて鋭意努力していきたい。 具体的には、本土においては、横浜市内の米海軍の施設・区域の返還及び池子住宅地区の米軍家族住宅等の整備について、平成16年10月の日米合同委員会で合意されたところである。これまで、小柴貯油施設については平成17年12月に、また富岡倉庫地区については、平成21年5月に日米間の調整が整い、返還が実現したところである。防衛省としても、横浜市内の施設の返還につながる池子住宅地区の家族住宅建設等の諸問題の解決に向け取り組むとともに、残る4施設の区域についても、早期返還の実現に向けて努力していく考えである。 また、佐世保地区においては、地元要望である新返還6項目の実現に取り組んでいるところである。その結果、赤崎貯油所に係る2項目の返還が既に実現した。   また、平成22年10月には、代替施設となるジュリエット・ベイスンにおける新岸壁を米側に提供し、現在、立神港区の3号及び4号岸壁の返還、5号岸壁の返還及び共同使用の実現に向けて手続を進めているところである。さらに昨年(平成23年)1月に、前畑弾薬庫を針尾島弾薬集積所に移設することなどについて、基本的な考え方を日米合同委員会で合意したところであり、現在、移設に際し、安全性を確保する上で必要な調査等を実施しているところである。今後も引き続き新返還6項目の実現に向けて努力していきたいと思っている。 次に沖縄県において、平成23年7月、SACO最終報告に基づく事案として、ギンバル訓練場が全面返還された。また、平成22年7月、いわゆる23事案の1つであるキャンプ瑞慶覧の泡瀬ゴルフ場が全面返還されたところである。なお、この他にも、SACO最終報告に基づく事案として、平成18年度に読谷補助飛行場や瀬名波通信施設及び楚辺通信所の3施設も全面返還されたところである。 他方、平成18年5月のロードマップにおける在日米軍再編については、米軍の抑止力の維持と地元負担軽減の観点から、キャンプ座間の一部及び追加的返還、相模総合補給廠の一部返還及び一部共同使用、普天間飛行場の早期移設・返還、嘉手納飛行場以南の人口が密集している地域の相当規模の返還が示されている。とりわけ沖縄については、本年(平成24年)4月の「2+2」共同発表において、海兵隊のグアム移転と嘉手納以南の土地の返還を普天間飛行場の移設・返還とは切り離すことで基地負担の軽減を加速させることとしており、現在、その実現に向けて努力しているところである。 いずれにしても、防衛省としては、引き続き、米軍の運用上の所要を踏まえつつ、地元の要望を尊重の上、施設・区域の整理、縮小及び早期返還について、最大限努力していきたいと思っている。 2 日米地位協定の見直し @ 環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底 日米地位協定については、今後とも日米同盟をさらに深化させるよう努めていく中で、他の喫緊の課題の進展を踏まえつつ、その対応について検討していく課題であると認識している。 防衛省としては、まずは、米軍関係者による事件・事故の防止をはじめ、米軍機による騒音の軽減、あと在日米軍の施設・区域における環境問題等の具体的な問題について、地元の方々のご要望を踏まえつつ最大限努力を行っていきたいと考えている。 在日米軍の施設・区域に係る環境保全については、周辺住民の生命及び健康に関わる重要な問題であると認識している。在日米軍は、日米地位協定第3条第3項に基づき、施設・区域の使用に際し、公共の安全に妥当な考慮を払うこととされており、環境保全についても、妥当な考慮を払うことは、日米地位協定上の在日米軍の義務であると考えている。在日米軍は、日米関連法令のうちより厳しい基準を選択するという基本的な考えのもとで作成した日本環境管理基準(JEGS)に従って、環境保護及び安全のための取組みを表明しており、これに基づき厳格な環境管理行動をとっていると承知している。 政府としても、在日米軍施設・区域に関する環境問題については、日米合同委員会の下に設置されている環境分科委員会等を通じて、適切に対処することとしており、防衛省としても十分取り組んでいきたいと思っている。 次に、飛行訓練による騒音等については、周辺住民の皆様にとって非常に深刻な問題であると十分承知している。例えば、夜間着陸訓練(NLP)を含む米空母艦載機着陸訓練についても、防衛省としてはこれまでも米側に対して、可能な限り訓練を硫黄島で実施するように求めてきたところであり、今後も、米軍飛行場周辺の騒音の軽減が図られるよう、米軍に対ししっかり求めていきたい。 砲撃や戦車の通行に伴う騒音等への対応としては、例えば、沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施における夜間射撃を必要最小限にするよう米軍に申し入れたり、自衛隊の戦車の走行速度を最低限にするなどの措置をこれからも講じていきたいと思っている。防衛省としても、今後も米軍や自衛隊の訓練等に際し、周辺住民の皆様の生活環境にできる限り配慮していく考えである。 A 事件・事故に係る安全対策等の確立 平素から、米軍に対し、隊員の教育や綱紀粛正の徹底を図る等、その防止に実効のある措置を講じるように申し入れを行っているところである。そのような中、10月16日に沖縄県で、米兵による女性暴行事件が発生したことは極めて遺憾であり、深く憂慮している。米軍においては先般の沖縄における事件をうけて、10月19日に米兵の外出禁止措置などの再発防止対策を公表したところである。 いずれにしても防衛省としては、再発防止対策が着実に実施されるよう、米側にしっかり申し入れ、引き続き米軍に対し、さらなる努力を求めていく。また、万一、事件・事故が発生した場合には、日米間で合意された通報手続等に従い、関係地方自治体に速やかに通報するとともに、米軍に対し原因究明、再発防止、安全管理の徹底を強く申し入れていきたいと思う。 B 地元意向を尊重する制度の構築 渉外知事会の要望を踏まえ、平成20年12月、外務省において、神奈川県知事をはじめとする渉外知事会、在京米国大使館及び在日米軍司令部、外務省、防衛省からなる連絡会議が開催されたところである、第2回連絡会議についても、これまで累次にわたり、開催の要望をいただいていることは承知している。本日伺った話も踏まえ、引き続き外務省と相談しながら適切に対応していきたいと考えている。 3 国による財政的措置等の新設・拡充 @ 基地交付金等の増額等    基地交付金及び調整交付金は、防衛省の所管外であり総務省の所管であるので、皆様からご要望があったことは、総務省にしっかりお伝えさせていただきたい。 基地周辺対策は、防衛という国民全体の利益のために、特定地域の住民、地方公共団体が被る不利益を公平の観点から是正する措置であり、その必要性は十分認識している。防衛省としては、現下の厳しい財政事情の下、基地周辺対策経費の所要額の確保に向け引き続き努力していく。 A 地域振興策の新設・拡充 関係機関と連携しつつ、防衛省としてしっかりと行い得ることについて最大限努力をしていきたい。 B 基地跡地の返還に係る支援 基地返還後の国有地の利用に関しては、今後とも皆様のご要望を国有財産を所管する財務省に伝えるなど、できる限りの努力をしっかりしていきたい。 C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化 駐留軍等労働者が雇用面において不安なく勤務できる状態を確保していくことは、雇用主である日本政府の立場上当然のことであり、駐留する米軍の任務を円滑に行う面からも重要である。 駐留軍等労働者の労働条件については、米軍としっかり調整をしながら、逐次その改善を図ってきたところである。 駐留軍等労働者の離職者対策については、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき、関係省とも協力しながら、各種援護措置を実施している。今後とも、離職後の生活の安定確保に最大限努力していきたい。 米軍再編に伴う駐留軍等労働者の雇用への影響については、現時点において確たることを申し上げるのは非常に困難であるが、防衛省としても米軍再編に伴う駐留軍等労働者の雇用の安定確保に万全を期していきたい。 <内閣府> 2 日米地位協定の見直し A 事件・事故に係る安全対策等の確立 防災基本計画において、原子力艦の原子力災害発生時における関係省庁の役割は明確化されているところである。原子力艦の原子力災害発生時には、国は、状況に応じ非常災害対策本部等を設置するとともに、関係地方公共団体との現地対策本部合同会議を開催するなど、地方公共団体との連携強化を図ることとしている。 <文部科学省> 2 日米地位協定の見直し A 事件・事故に係る安全対策等の確立 文部科学省としては、関係自治体等の協力を得てモニタリングボート等による放射能調査を実施している他、平時からモニタリングポストによる24時間の放射線監視を行っている。 また、地方公共団体が実施する原子力艦の防災訓練にも毎年度参加しているところである。 <厚生労働省> 3 国による財政的措置等の新設・拡充 C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化 駐留軍関係離職者対策については、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき関係省庁が諸施策を講じているところであるが、厚生労働省としては、当該離職者に対して就職促進手当等の職業転換給付金を支給しながら、積極的な職業指導、職業紹介及び職業訓練を実施するとともに、これらの者を雇用する事業主に対して特定求職者雇用開発助成金を支給するなどの援護措置を講じ、再就職の促進を図っている。 また、離職者の再就職に関する希望の早期把握、必要に応じたセミナー、キャリアコンサルティングの実施といったよりきめ細かい職業相談・職業紹介、職業訓練等の充実強化、などの施策も積極的に講じている。 今後とも、離職者が生じた場合には、関係省庁と連携しながら当該離職者の早期就職の促進に万全を期してまいりたい。 なお、駐留軍関係離職者等臨時措置法については、平成30年までの期限延長を行う予定であり、25年通常国会での成立を目指して準備を行っているところである。 <国土交通省> 2 日米地位協定の見直し A 事件・事故に係る安全対策等の確立 米軍による管制業務は、我が国と同様、国際民間航空条約に準拠しており、民間航空の安全な運航の確保について問題はないと考えているが、民間航空交通の効率性の向上を図り、今後の民間航空交通の増大に対処するために、日本側が一元的に管制を行うことが適切との観点から、岩国も含め、日米合同委員会民間航空分科委員会において要請してきているところである。 横田空域については、平成18年10月の日米間の合意に基づき平成20年9月25日より大幅に削減され、削減された空域の管制権が日本側に返還された。 また、嘉手納ラプコンについては、平成22年3月31日に沖縄本島上空及び周辺の進入管制業務の責任が米国から日本国に移管された。