基地対策に関する要望書(別冊) 〔 日米地位協定関係 〕 平成23年7月 渉外関係主要都道県知事連絡協議会 (略称:渉外知事会) 【構成14都道県】 北海道、青森県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 山梨県、静岡県、広島県、山口県、福岡県、長崎県、沖縄県 1 平成23年度基地対策に関する要望書のうち、「2 日米地位協定に係る要望」について別冊とし、重点要望を付したものである。 2 この別冊では、要望及び要望に至った理由について記載している。 このうち、要望については各項目前段の枠内に、要望理由については枠外に、それぞれ記載した。 重点要望 (再掲) 重点要望 本年度の要望中、早急に措置が必要なもの等、特に回答をお願いしたい事項を重点要望としてまとめましたので、次の項目に対し、当会会長あて文書にて御回答くださいますようお願いいたします。 なお、重点要望には、関連する個別要望項目を付記しておりますので、これらの要望を踏まえて御回答くださるようお願いいたします。 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進 【要望先:外務省・防衛省】 基地の存在は、地域の生活環境の整備・保全や産業振興に障害を与えるとともに、騒音、事件・事故、環境問題など、様々な問題の原因となっている。 基地の整理、縮小及び早期返還は、地元住民や地方公共団体の長年にわたる切実な願いであり、在日米軍再編の日米合意や閣議決定にかかわらず、引き続き、地元要望を尊重の上、積極的に整理、縮小及び早期返還を促進すること。 2 日米地位協定の見直し 平成18年の米軍再編合意により、米軍と自衛隊の役割・任務・能力に係る相互の協力関係が進んでいく中、締結後50年以上も見直しが行われていない日米地位協定については見直す時期にきており、平成21年9月の連立政権の政策合意には、改定を提起することが盛り込まれた。 基地をめぐる諸問題の解決を図るためには、これまで当協議会が求めてきた地元意向を反映させる仕組みづくり、環境法令等各種国内法の適用、事故防止対策や防犯対策等の安全性の向上、裁判権の見直し、騒音防止対策等の諸事項について見直しを行い、国民の理解を得ることが不可欠であり、日米地位協定について、早急に抜本的な見直し作業に着手し、2、3年以内等できるだけ短い期限を設けて見直しを行うなど、実務的な対応を行うとともに、その運用について適切な改善を図ること。 @ 環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底【要望先:外務省・厚生労働省・環境省・防衛省】 基地内の環境問題等については、その影響が基地内に止まらず、周辺住民等の生命、健康に重大な影響を与える可能性があることから、基地の管理、運用にあたっては、環境法令等国内法が遵守されるとともに、地方公共団体が定期的に日本環境管理基準(JEGS)に基づく運用実態を検査・確認できるよう、環境特別協定の締結に向けた作業等に着手すること。 なお、環境特別協定の締結にあたっては、渉外知事会試案にある8項目の要素を取り入れること。 また、夜間連続離着陸訓練(NLP)をはじめとする飛行訓練や砲撃、戦車等の通行に伴う騒音、振動等について抜本的対策を講ずること。 A 事件・事故に係る安全対策等の確立【要望先:内閣府・外務省・財務省・文部科学省・国土交通省・防衛省】 基地が所在することによって生じる事件・事故を未然に防ぐとともに、万一、事件・事故が発生した場合には、迅速かつ的確な情報提供が行われるよう必要な措置を講ずること。 また、日本側による現場検証等原因究明が適切に行われるよう見直すとともに、再発防止に向けた万全の対策を講ずること。 さらに、日本国が第1次裁判権を有する場合は、米国は日本側から被疑者の拘禁の移転要請があるときには、速やかにこれに応ずるよう見直すこと。 B 地元意向を尊重する制度の構築【要望先:外務省・防衛省】 基地の管理、運用等にあたっては、地元の意向が反映できる仕組みになっていないため、地方公共団体の意向を踏まえて日米両国政府間の協議が行われるよう、日米合同委員会の中に基地を有する地方公共団体の代表者の参加する地域特別委員会を設置するよう見直すとともに、設置までの間、渉外知事会と日米両国政府との連絡会議を定期的に開催すること。 3 国による財政的措置等の新設・拡充 今日の多様化した住民ニーズや、長年にわたって生活環境の改善を求めてきた基地周辺住民の切実な願いに応え、また、基地対策に関する経費が地元に転嫁されることによって各地方公共団体の財政の圧迫をもたらさないよう、地方公共団体の意向を踏まえ新たな制度の創設を含め適正な措置を講ずること。 @ 基地交付金等の増額等 【要望先:総務省・財務省・防衛省】 固定資産税や住民税の代替措置である基地交付金、調整交付金を充実するとともに、基地に起因する騒音等の障害、民生安定等のための十分な予算措置を講ずること。 A 地域振興策の新設・拡充【要望先:内閣府・財務省・防衛省】 過大な基地負担の現状を踏まえ、財政的支援を含む地域振興に係る各種支援策を講ずること。 B 基地跡地の返還に係る支援【要望先:総務省・外務省・財務省・防衛省】 基地返還後の国有地の利用に際しては、できる限り地元に負担がかかることのないよう適切な措置を講じるとともに、地元の意向を尊重し、必要な支援策を講ずること。 C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化【要望先:外務省・厚生労働省・防衛省】 労務費全額日本側負担の実態を踏まえ、適切な労務管理を図ること。また、国による離職者対策を充実し、地方公共団体に負担が生じないよう措置すること。 また、米軍再編にあたっては、駐留軍等労働者への影響が最小限になるような雇用対策をできる限り早期に提示し、駐留軍等労働者に雇用不安を与えることのないよう努めること。 2 日米地位協定に係る要望 (注)/本項において各要望項目に付してある( )書き及び〔 〕書きは、各条項の内容把握のために渉外知事会が説明を付したものである。 (1) 全体関係【要望先:外務省】 <日米地位協定の見直し等> ア 日米地位協定について、早急に抜本的な見直し作業に着手し、2、3年以内等できるだけ短い期限を設けて見直しを行うなど、実務的な対応を行うとともに、その運用について適切な改善を図ること。 <運用についての情報提供> イ 地位協定及びその合意事項について運用実態を取りまとめ、住民、地方公共団体等へ情報提供すること。 日米地位協定は、日米を取り巻く安全保障体制や我が国の社会経済環境が大きく変化したにもかかわらず、50年もの間、見直されておらず、社会情勢に対応できなくなっています。 当協議会では、これまでも日米地位協定の見直しを繰り返し求めてきましたが、未だに具体的な取組みが行われておりません。 米軍基地に起因する事件・事故、環境問題等の根底には日米地位協定があり、こうした問題を抜本的に解決するためには、日米地位協定の見直しが必要と考えます。 また、日米地位協定の運用は、国民の安全を守るという観点から、適切に行われるべきものであり、その運用実態については、住民や地方公共団体の理解を得るためにも情報提供することが必要と考えます。 (2) 2条関係(施設・区域の提供等)【要望先:外務省・防衛省】 ア 2項関係〔施設提供の合意〕 <返還にあたっての地元意向の尊重> (ア) 地元地方公共団体からの要望等により、基地の返還についての検討に際しては、あらかじめ当該地方公共団体の意見を聴取し、その意向を尊重する旨を明記すること。 <施設新設等にあたっての地元意向への配慮> (イ) 基地の機能強化及び恒久化につながる施設の新・増設にあたっては、地元地方公共団体の意向に十分配慮する旨を明記すること。 <使用目的の審査> (ウ) 基地の利用にあたっては、定期的に使用目的等の審査を行うとともに、その審査に際して地元地方公共団体の意見を聴取し、その意向を尊重する旨を明記すること。 <提供地の境界確定等> (エ) 提供地の境界を明確にするとともに、提供地内の土地についても、公図の整備を図るなど、将来、権利者間に紛争の生じないよう措置すること。 (2)2条関係(施設・区域の提供等) ア 2項関係 米軍基地の存在は、まちづくりや、事件・事故、環境問題など、周辺住民に多大な影響を与えており、米軍基地から派生する諸問題の解決を図るためには、基地周辺住民や地元地方公共団体の理解を得ることが不可欠です。 このためには、基地の提供、運用、返還等に関して住民や地元地方公共団体の意向が反映できるような仕組みや基地の使用目的等を定期的に審査する規定を明記することが必要と考えます。 また、提供地に係る権利関係を明らかにし、権利者間に紛争が生じないようにすべきと考えます。 イ 4項関係〔共同使用〕 <共同利用等の推進> (ア) 基地内道路、遊休地等の共同使用及び基地周辺国有地の住民利用を積極的に推進すること。 <民間航空利用の促進> (イ) 横田飛行場の民間航空との共同利用については、周辺対策を講じながら、引き続き早期実現を図ること。また、岩国飛行場については、決定された政府方針に基づき、確実な実現を図ること。 <日米合同委員会等共同使用のための協議の迅速化> (ウ) 地元地方公共団体から基地の共同使用の要望がある場合、日米合同委員会等での協議を速やかに行うこと。 イ 4項関係 広大な米軍基地の存在は、土地利用に大きな制約を与えていることはもとより、産業経済活動や通勤・通学など地域住民の身近な生活にも大きな影響を与えています。 当協議会では、これまでも米軍基地の整理・縮小及び早期の返還を求めており、特に遊休地については積極的な返還を推進してきましたが、返還が実現されるまでの間は、基地内道路や遊休地、共同で使用することが可能な施設等については、地域住民の生活の利便性等を確保する観点から、できる限り住民が利用できるよう共同使用を積極的に推進すべきものと考えます。 また、周辺住民が大きな負担を強いられていることを踏まえ、基地周辺国有地の住民利用についても積極的に進めるべきであり、こうした住民利用は住民の要望に基づき速やかに処理されるべきものと考えます。 (3) 3条関係(施設・区域に関する措置)【要望先:外務省・防衛省】 ア 1項関係〔3条管理権〕 <基地機能等の変更に係る地元への協議> (ア) 基地内において、規模・機能を変更(中隊の配備等)しようとするときは、これを日米両国政府間の協議事項とし、あらかじめ地元地方公共団体に協議することを明記すること。 また、米国政府は基地内における米軍施設の新・増設及び改修の際には、日本国内法を遵守するとともに、環境影響評価の実施を明記すること。 <施設改修にあたっての地元意向への配慮> (イ) 基地の機能強化及び恒久化につながる施設の改修にあたっては、地元地方公共団体の意向に十分配慮すること。 <基地内への立入り> (ウ) 公務遂行のため、地元地方公共団体職員が基地内への立入りを求めた場合に速やかに応ずる旨を明記すること。 <生活環境の保全に係る国内法の適用等> 【要望先:外務省・環境省・防衛省】 (エ) 基地周辺の生活環境の保全及び安全の確保のため、基地内における大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音規制法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律など日本国内の法令(地方公共団体が定める環境保全条例等を含む)を適用する旨を明記すること。 また、米軍が定めている現行の日本環境管理基準(JEGS)について、日本語の解説書を作成し公表するとともに、問題が発生した場合の立入調査はもとより、その運用実態を地方公共団体が定期的に検査・確認できる仕組みを早急に確立すること。 なお、環境問題は喫緊の問題であることから、環境に係る特別協定を締結するなど、早急に対策を講ずること。 <環境調査等の実施>【要望先:外務省・環境省・防衛省】 (オ) 基地内及び基地周辺において、国内法による大気・水質等の環境調査の実施、結果の公表及びそれに基づく改善を行うこと。 <各種環境汚染等への適切な措置>【要望先:外務省・環境省・防衛省】 (カ) 基地に起因する騒音、大気汚染、水質汚濁等により環境への影響が生じた場合又は国若しくは地方公共団体が影響が生じると想定した場合には、環境影響評価又は環境影響調査を迅速に実施して、その結果を公表するとともに、これらの結果を踏まえて日米両国政府において直ちに適切な措置を講ずる旨を明記すること。 また、老朽化した公害防止施設については、地元地方公共団体立会いのうえ早急に点検し、整備するとともに、地球温暖化防止のため、効果的な二酸化炭素排出削減対策に努めること。 <河川氾濫等の適切な対策> (キ) 基地内の河川等の氾濫や、雨水、油、土砂の流出などにより、基地周辺地域に被害を及ぼさないよう適切な対策を講ずること。 <廃棄物等の適正処理と情報公開> (ク) 基地内の廃棄物等については、その分別を徹底することにより可能な限りリサイクルを推進し、排出抑制を図るとともに、廃棄物焼却施設等の整備を含め米国政府の責任で適正に処理すること。 また、地元地方公共団体の求めに応じて、基地内にある廃棄物等の種類、数量、場所、保管方法、処理及び輸送計画等に関する情報を公開すること。 さらに、基地内におけるPCB含有廃棄物の適切な保管に努めるとともに、国外への搬出にあたっては、その安全確保に十分努めること。 米軍が行うアスベスト建材を使用している建築物の解体工事等について、情報の提供及び関係地方公共団体職員による立入調査ができる仕組みを確立すること。 <害虫対策と情報提供> (ケ) 基地内での害虫の大量発生等基地周辺住民に不安を与えるような事態が生じた場合には、米軍の責任で適切な対策を講ずるとともに、速やかに地元地方公共団体に情報提供すること。 また、地方公共団体が実施する基地周辺の害虫棲息調査等に要する経費について助成措置を講ずること。 <有害鳥獣等対策への協力> (コ) 基地内に棲息している有害鳥獣等により周辺住民が被害を受けている場合、または、周辺の自然生態系に影響を与えている場合、地元地方公共団体からの協力要請に迅速に対応すること。 <航空機騒音の防止対策> (サ) 消音施設、防音林、緑地帯の増設・整備、航空機による騒音を軽減させるための技術開発など、航空機等騒音防止の対策に万全を期すこと。 <砲撃による騒音・振動対策> (シ) 砲撃等による発射音、炸裂音及び振動の防止を図るとともに、遮音壁の設置等適切な対策を講ずること。 <弾薬爆破処理時の騒音等の防止> (ス) 弾薬爆破処理時の騒音等の防止については、万全の措置を講ずること。 <実弾演習時の環境配慮・不発弾による事故防止対策> (セ) 実弾砲撃・射撃演習により派生する環境への影響等に配慮すること。特に、原野火災の防止に万全を期するとともに、初期消火を含めた迅速かつ的確な消火活動の強化及び消火体制の充実を図ること。 また、不発弾に起因する事故が発生しないよう演習場に残る不発弾処理について早急に適切な対策を講じ、その結果を公表するとともに、一般住民に不発弾に対する危険の周知を図るため、広報についても適切な対策をとること。 <戦車等の騒音の抜本的対策> (ソ) 戦車、装軌車等の大型車両の通行に伴い発生する騒音、振動、土ぼこり及び道路上に堆積する泥土等により、基地周辺地域に被害を及ぼさないよう緩衝緑地帯の造成等抜本的な対策を講ずること。 <環境保全への措置> (タ) 演習・訓練等による自然破壊のないよう必要な措置を講ずること。 また、基地内の自然環境の保全、文化遺産の保存について必要な措置を講ずること。 <米軍構成員等の規律の保持及び犯罪等の再発防止> (チ) 米軍構成員等による犯罪、交通事故を防止し、住民の不安の解消を図るため、規律の厳正な保持、教育訓練の徹底、警らの強化等適切な措置を講ずること。 また、再発防止策の徹底を行うとともに、地元地方公共団体の意向も踏まえながら、引き続き、日米両国政府において更なる再発防止策を講ずること。 (3)3条関係(施設・区域に関する措置) ア 1項関係 我が国においては、多数の住民が生活している地域に隣接して基地が置かれている現状があり、基地内でとられる措置等が周辺住民に大きな影響を与える可能性があります。 特に基地機能の変更等は、日々基地とともに不安を抱えて暮らしている周辺住民にとっては大きな問題であり、中隊の配備等についても、あらかじめ地元地方公共団体と協議したうえで、日米両国政府間の協議事項とすることを明記すべきものと考えます。 また、大気汚染や水質汚濁、米軍機や実弾演習、廃弾処理等に伴う騒音等の環境問題が周辺住民の生活環境に多大な影響を与えていることから、基地内への立入りを求めた場合に速やかに応ずることや深刻な環境問題の発生を未然に防止するため、環境法令等の日本国内の法令(地方公共団体が定める環境保全条例等を含む)を適用する旨明記すべきと考えます。 さらに、米軍が定めている現行の日本環境管理基準(JEGS)については、日本語の解説書を作成・公表し、問題が発生した場合の立入調査はもとより、その運用実態を地方公共団体が定期的に検査・確認できるしくみを早急に確立すべきと考えます。 その他、基地に起因する環境汚染や環境被害が発生した場合又は発生するおそれがある場合の各種環境対策や基地内の廃棄物等の適正処理、演習等に起因する事故や騒音等の防止、文化遺産の保存等についても周辺住民に十分配慮し、必要な措置がとられるべきと考えます。 また、不発弾処理の問題については、返還後の跡地利用の支障にならないよう、あらかじめ、適正に処理する必要があり、その結果についても公表すべきと考えます。 さらに、米軍人等による公務外の事件・事故が発生していることから、それらを防止し、住民不安の解消を図るため、米軍人等の規律の保持等について適切な措置を講じる必要があると考えます。 イ 2項関係〔通信の確保〕 <電波障害防止制限区域の見直し> 基地に起因する電波障害防止制限区域及びその制限基準については、周辺地域の住環境の実情に即して見直すこと。 イ 2項関係 電波障害防止区域及びその制限基準により周辺住民が建築の制限等を余儀なくされています。 このような規制が周辺地域の住環境に影響を与えてきたことを考慮し、地域の実情に合わせて見直しを行うべきと考えます。 ウ 3項関係〔公共の安全〕 <基地運用にあたっての安全確保> (ア) 基地の運用にあたっては、周辺住民に不安を与えないよう、安全確保に細心の配慮を払うこと。 <航空機燃料管理等の安全確保> (イ) 航空機燃料、弾薬等危険物の管理・輸送及び演習(日米共同訓練を含む)時の安全確保について、特に万全の措置を講ずること。 <演習・訓練情報の事前通報と公表等> (ウ) 基地及び演習・訓練区域周辺住民に影響を及ぼすような演習・訓練に際しては、住民の不安を取り除くためにも、速やかに具体的な演習・訓練内容等について関係機関に事前通報するとともに、演習・訓練に関係する地域において演習・訓練内容等を国の責任で公表するなど訓練情報の提供を行い、住民からの問い合わせや苦情に対して、責任をもって対応すること。 また、日本の排他的経済水域における米軍の演習・訓練については、演習・訓練に関する情報の入手に努めるとともに、情報を入手した際は速やかに公表し、関係機関、地方公共団体へ情報を提供すること。 <演習・訓練等の活動> (エ) 演習・訓練等の際は、日本国内の環境法令等を遵守し、その影響を提供施設または区域外に及ぼさないよう努める旨を明記すること。 <民間航空機への安全配慮> (オ) 民間航空路線と重なる訓練空域については、民間機の安全確保を図るため、空域解除等、特段の措置を講ずること。 また、米軍機の民間機への急接近により、民間機の衝突防止装置が作動することのないよう、民間機との間に十分な距離を保つよう併せて措置すること。 <航空機の安全対策措置> (カ) 度重なる航空機事故の発生は飛行場周辺及び飛行コース下の住民に強い不安を与えているので、航空機の整備点検、周辺住民の安全を最優先としたパイロット等の安全教育並びに物資投下訓練の中止等徹底した安全対策の措置を講じ、その措置の内容を公表するとともに、事故防止に努めること。 <航空機事故による緊急時における連絡体制の確立> (キ) 在日米軍ヘリコプター等の緊急(予防)着陸が各地で多発する中で、地元住民の不安を早急に取り除くため、国においては、航空機が飛来する可能性のある射撃場、演習場等についても不測の事態に対応するため「米軍及び自衛隊の航空機事故にかかる緊急措置要領」並びに「航空機事故連絡協議会会則」を制定するなど、緊急時における関係機関の連絡体制を確立すること。 <航空法第81条の適用除外の見直し> (ク) 米軍機の飛行については、現在、航空法第81条の最低安全高度の規定が特例法により適用除外とされているのでこれを見直し、航空法第81条を適用すること。 <低空飛行、模擬対地攻撃訓練に係る措置> (ケ) 低空飛行訓練、模擬対地攻撃訓練など騒音等の環境問題や重大な事故につながる恐れがある訓練については、地域住民の不安を解消するため、その実態を国において明らかにするとともに、このような飛行が行われないよう措置すること。 <原子力施設周辺等の飛行の中止> (コ) 飛行場周辺及び飛行コース下の住民は、常に航空機事故の危険にさらされているので、住宅地域、工場地帯及び原子力施設周辺上空における飛行の中止、飛行の制限等徹底した安全対策の措置を講ずること。 <米軍艦船航行の安全確保> (サ) 米軍艦船の航行については、入出港時はもちろん、近海を航行する場合にも安全確保に万全の措置を講ずること。特に潜水艦の航行にあたっては一般船舶の安全に細心の注意を払うこと。 <原子力艦通報の遵守> (シ) 原子力艦の寄港時の事前通報及びその内容を遵守すること。 また、事前通報の公開制限を早期に解除すること。 <原子力事故対策の確立等> 【要望先:内閣府・外務省・財務省・文部科学省・防衛省】 (ス) 原子力艦の原子力事故対策については、予防対策及び応急対策の両面にわたり、国が責任を持って主導的に対応するとともに、地方公共団体が講ずる対策への財政面を含めた全面的な支援を行うこと。 特に、地方公共団体が実施する原子力艦の防災訓練に、国は積極的に参加するとともに、米軍に参加するよう要請すること。 また、事前対策の確立に必要な情報を地方公共団体に提供すること。 <事故情報の即時提供等> (セ) 基地に起因又は関連する事故が発生した場合、事故の大小にかかわらず速やかに事故等の情報を地方公共団体に提供するとともに、地域住民にも速やかに適切な情報提供を行い、二次災害防止のための適切な措置を取ること。 <事故後の適切な措置> (ソ) 事故の事後処理、原因究明、調査結果の公表、再発防止策等の措置及び損害賠償等については、迅速な誠意ある対応をするとともに、説明会を実施するなど、周辺住民の理解を得るための活動にも十分配慮すること。 また、訓練の再開にあたっては、地元の意向を尊重し、適切に対応すること。 <事故報告書> (タ) 事故の大小にかかわらず、基地周辺住民や事故現場周辺住民に大きな影響を与える事故が発生した場合は、平成8年12月2日の日米合同委員会合意に基づき、米国側に事故報告書の提供を要求し、その内容を公表すること。 また、地方公共団体から、事故報告書の提供について要請があった場合には、速やかに米国政府に対し、事故報告書の提供を要求すること。 なお、米軍が英文で公表した事故報告書等については、国において速やかに翻訳した上で地方公共団体に提供すること。 ウ 3項関係 基地の存在により、今なお、周辺住民は多大な被害を受けるとともに、不安を抱えて暮らしています。 こうしたことから、航空機や艦船等の安全対策を図ることはもとより、周辺住民に影響を与える演習・訓練については事前に情報を公表することが必要と考えます。さらに、周辺住民の安全を守るという観点から、影響を基地の外に及ぼさないよう努めることを明記すべきと考えます。 また、特に原子力艦の事故については、周辺住民や周辺地方公共団体の不安を解消するため、国が責任を持って安全対策を確立するとともに、万一の事故に備え、日米両国政府が防災訓練に参加することが必要と考えます。 さらに、寄港に係る事前通報及びその通報に係る内容を遵守するとともに、緊急時の連絡体制の確立や即時の情報提供、事故後の適切な処理等が不可欠です。 (4) 4条関係(施設の返還)【要望先:外務省・財務省・防衛省】 <返還時の環境浄化等> 基地の返還にあたっては、あらかじめ環境調査を実施し、その結果を公表するとともに、必要があれば、原因者のいかんを問わず、環境の浄化や障害物件の撤去等の適切な措置を講じた上で返還するよう、日米両国政府が責任をもって対処することを明記すること。 また、既に返還された基地跡地についても、米軍が原因者である蓋然性の高い有害物質や障害物件が発見された場合は同様に対処すること。 (4)4条関係(施設の返還) 現行の日米地位協定では、米国は基地の返還に伴う原状回復義務を免除されているほか、基地の返還に伴う環境調査及び環境浄化の実施手続きについても明確な規定がありません。 基地の返還に伴う環境調査や環境浄化については、円滑な跡地利用を図る観点から、施設及び区域の返還前に取り組む必要があります。 そのためには、当該基地を使用していた米国の協力が必要不可欠であり、汚染原因者としての責任の観点からも、米国政府は、基地の提供者である日本国政府と共同で対処する旨明記すべきと考えます。 また、過去において、返還後に環境汚染等が問題になったことから、すでに返還された跡地についても、環境浄化等適切な措置を講じるべきと考えます。 (5) 5条関係(入港料・着陸料の免除)【要望先:外務省・防衛省】 ア 2項関係〔移動の権利〕 <港湾管理条例等の尊重> (ア) 米軍の艦船及び航空機(米軍に徴用された民間船舶及び民間航空機を含む)が、地方公共団体の管理する港湾、空港を使用する場合は、当該地方公共団体の意向に十分配慮するとともに、日本国内の法令(地方公共団体が定めるそれぞれの管理条例を含む)を遵守する旨を明記すること。 また、米軍艦の寄港における乗組員の規律の厳正な保持と公共の安全の確保を図ること。 <米軍機の民間空港の使用禁止> (イ) 民間機の円滑な定期運行や安全性の確保のため、米軍機の緊急時以外の民間空港の使用禁止を明記すること。 <非核三原則の堅持> (ウ) 核兵器積載可能な艦船の寄港や航空機の飛来等をめぐっては、平成4年7月に、米国大統領の戦術核撤去完了の声明があったが、有事の際の核配備など国民の疑惑と不安は完全に解消されたわけではない。 よって、国におかれては、国民の疑惑と不安を解消するための適切な措置を講じ、非核三原則を厳正に堅持すること。 <施設・区域間の移動の際の安全確保等> (エ) 施設・区域間の移動にあたっては、周辺地域住民や事業者等の安全の確保に万全の措置を講ずること。 特に、沿岸水域の海上移動については、漁業の安全に細心の注意を払うとともに、事前に、日時等その具体的内容を関係機関に通知すること。 (5)5条関係(入港料・着陸料の免除) ア 2項関係 米軍の艦船等が基地以外の港湾や空港を利用するに当たっては、航空法等の法令のみならず、港湾施設の円滑かつ安全の管理に資するための港湾管理条例を含め国内法を遵守することを明記すべきと考えます。また、米軍艦の入港にあたっては、乗組員の規律の保持が求められるとともに民間空港の利用は、緊急時以外禁止することを明記すべきと考えます。 なお、実際の運用にあたっては、地域の特異性を鑑み、地方公共団体の意向に十分配慮する必要があります。 また、我が国の国是である非核三原則については、引き続き厳正に堅持し、地元住民や地元地方公共団体に不安を与えないようにすべきです。 さらに、移動中の事故が多発していることから、施設・区域間の移動に当たっては万全の措置を講じるとともに、事前にその具体的内容を関係機関に通知すべきものと考えます。 イ 3項関係〔通告〕 <米軍艦船の入港時に関する国からの適切な情報提供> 米軍の艦船及び米軍に徴用された民間船舶が港湾に出入りする場合について、港湾施設の円滑かつ安全な管理に資する観点から、国において適切に情報を把握し、港湾管理者に対して速やかに情報提供を行うこと。 イ 3項関係 米国艦船(米軍に徴用された船舶を含む。)が港湾に出入する場合には、必ずしも港湾管理者に通告がなされていないことから、港湾施設の円滑かつ安全な管理に資する観点から、国が責任をもって情報を把握し、港湾管理者に速やかに通知すべきと考えます。 (6) 6条関係(航空交通管理・通信)【要望先:外務省・国土交通省】 <航空交通管制業務の日本側への移管> 一都八県にわたる「横田空域」の管制業務について、民間機の安全で効率的かつ合理的な航空交通を確保するため、日本側に早期に全面移管すること。 併せて「岩国空域」における管制業務も、日本側に早期に全面移管すること。 (6)6条関係(航空交通管理・通信) 施設及び区域たる飛行場及びその周辺における管制業務は、米軍が実施しておりますが、その結果、米軍機の飛行が優先され、民間機の飛行が制限されるため、過密な飛行などを強いられ、飛行の安全性を確保することが厳しい状況になっています。 民間機の円滑な定期運航や安全性の確保のため、横田空域及び岩国空域について、我が国が一体的に管制業務を行うことが不可欠であり、同管制業務を日本側に移管すべきと考えます。 (7) 9条関係(米軍構成員等の地位)【要望先:外務省・防衛省】 <米軍施設・区域内外に居住する米軍構成員等の情報提供> ア 米軍施設・区域内外に居住する米軍構成員等について、その実態が把握できるよう、軍種別、市町村別の人数内訳など詳細な情報を地元地方公共団体に提供すること。 <検疫等の国内法の適用>【要望先:外務省・厚生労働省・防衛省】 イ 基地周辺住民の生活環境の保全及び安全の確保のため、人及び動物、植物に対する検疫並びに人の保健衛生に関して、国内法を適用する旨を明記すること。 また、米側と協力のうえ、米軍構成員等の感染症に関する情報を的確に把握し、地元地方公共団体に対し、速やかな情報提供と必要に応じた連携を行うこと。 (7)9条関係(米軍構成員等の地位) 人、動物及び植物の検疫については平成8年の日米合同委員会合意に基づき実施されているとのことですが、牛海綿状脳症(BSE)や重症急性呼吸器症候群(SARS)、新型インフルエンザ等の新たな感染症の脅威や、外来生物の進入による生態系等への影響等を考えると、基地周辺住民の不安を払拭するためには、日本国内法を適用し、米軍に対しても日本側当局による検疫を実施する必要があると考えます。 また、昭和41年の日米合同委員会合意に基づく伝染病情報の交換は、感染症に関する現行法に即した内容とは言い難いものです。今後も新型インフルエンザ等が世界的に蔓延し得る状況を鑑み、早急に同合意を修正し、新型インフルエンザ等の感染拡大を防止するための仕組みを構築する必要があると考えます。 (8) 10条関係(運転免許・車両)【要望先:外務省・防衛省】 <運転規則に関する講習> ア 米軍構成員等は、日本の運転規則に関する講習を受講するとともに、基地の外での運転に際しては、その受講済証明書を携帯する旨を明記すること。 <米軍構成員等の私有車両の登録に係る車庫証明>【要望先:外務省・国土交通省】 イ 基地内に車庫を有する場合の米軍構成員等の私有車両の登録について、自動車の保管場所の確保等に関する法律が遵守されていない状況を早急に是正すること。 (8)10条関係(運転免許・車両) 米軍構成員等は自国の運転免許により日本国内を運転することが可能ですが、日本と米国では通行区分や運転規則など異なる点も多いことから、日本の運転規則等を十分認識した上で運転する必要があると考えます。 そこで、日本の運転規則に関する講習を受講すること及び基地の外での運転の際に受講済証明書を携帯することを明記することが必要であると考えます。 また、平成16年7月の日米合同委員会で基地の外での私有車両登録にあたっては車庫証明を取得することが合意されましたが、基地内の対応についても、「車庫法」(自動車の保管場所の確保等に関する法律)が遵守されるよう改善する必要があると考えます。 (9) 13条関係(租税)【要望先:総務省・外務省・財務省・防衛省】 <自動車税等の優遇制度の是正> 米軍構成員等の私有車両に対する自動車税及び軽自動車税の優遇制度を是正すること。 (9)13条関係(租税) 米軍構成員等の私有車両に対する自動車税は平成11年に税率が引き上げられましたが、民間車両の税率と比較すると、著しく低い税率になっています。いずれの地方公共団体も財政状況は大変厳しい状況にありますので、貴重な自主財源の充実のために優遇制度を是正する必要があると考えます。 (10) 15条関係(諸機関の管理等)【要望先:外務省・防衛省】 <日本人への役務提供の制限> 第15条第3項を改正し、基地内の諸機関が提供する役務についても、物品の販売の場合と同様に、日本人に対する役務の提供を制限する旨を明記すること。 (10)15条関係(諸機関の管理等) 基地内の諸機関が提供する役務については、日本人が利用する際の制限についての規定がありません。これらの諸機関は、第15条第1項(a)に基づき、日本国の租税が免除されており、日本人が諸機関の役務や施設を利用する際の具体的な制限の内容及び利用手続き等についても、課税の公平性の観点から、物品の販売と同様に、制限する旨を明らかにする必要があると考えます。 (11) 17条関係(裁判権)【要望先:外務省・防衛省】 <被疑者の速やかな拘禁移転> ア 日本国が第1次裁判権を有する場合、米国は日本側から被疑者の拘禁の移転要請があるときには、速やかにこれに応ずる旨を明記すること。 <米国の財産に係る検証等の実施> イ 基地の外における米軍の財産について、日本国の当局が、捜索、差押え又は検証を行う権利を行使する旨を明記すること。 <基地の外における事故現場等の統制> ウ 基地の外における事故現場等の必要な統制は、日本国の当局の主導の下に行われる旨を明記すること。なお、その場合、日本国の当局の主導の下での統制が的確に行われるよう、改めて統制の方法について早急に定めること。 <公務中に生ずる罪に対する米国側司法手続きによる処分結果等の通知> エ 公務執行中の米軍構成員及び軍属の作為又は不作為から生ずる罪について、米国側の司法手続きによる処分結果及びその審理過程を被害者、遺族及び地元地方公共団体に通知する仕組みを構築すること。 (11)17条関係(裁判権) 被疑者の起訴前の引き渡しについては、平成7年及び16年の刑事裁判手続きに関する日米合同委員会合意により一定の改善は図られていますが、米国に最終決定権を留保した合意内容では不十分であるので、日本国が要求するすべての場合において、被疑者の起訴前の拘禁移転が速やかに行えるように明記することが必要と考えます。 米軍財産に関わる捜索等について、当該財産が基地の外にある場合には、原則として米国の管理権が及ばないことから、日本国の当局が、捜索、差押え又は検証を行うべきであると考えます。 また、基地の外における事故現場等の統制については、日本国の主導で行うとともに、平成17年4月の日米合同委員会で米軍機の事故現場における日米双方の役割分担を明確化したガイドラインが合意されましたが、日本国の主導で行う場合の統制の方法について、改めて検討し定める必要があると考えます。 さらに、公務執行中の米軍構成員及び軍属の作為又は不作為から生ずる罪に係る米国側の最終の裁判結果については、日米合同委員会を通じて日本国政府に通報が行われますが、当該裁判結果に加え、起訴期日その他判決に至る司法手続きの経緯を被害者、遺族及び地元地方公共団体に通知する仕組みを構築する必要があります。 (12) 18条関係(請求権の放棄)【要望先:外務省・防衛省】 <公務外の事件等の補償> ア 公務外の米軍構成員及び軍属、並びにそれらの家族が起こした事件・事故等により被害を受けた場合であっても、日米両国政府の責任において補償が受けられるよう明記すること。 <迷惑行為による被害の補償> イ 米軍構成員等のいわゆる迷惑行為等による住民被害の補償について検討し、救済措置を講ずること。 <事故等の損害賠償> ウ 米軍構成員等による事故等の損害賠償は、迅速かつ誠意をもって対応すること。 なお、米軍構成員等の私有車両に係る任意保険については、補償額の増額等により、適切な対応が行われるよう米国に申し入れること。 <米軍構成員又は軍属の給料等の差押え> エ 米国の当局は、日本国の裁判所の命令がある場合、米軍の構成員又は軍属に支払うべき給料等を差し押さえて、日本国の当局に引き渡さなければならない旨を明記すること。 <賠償金の分担金の請求>【要望先:外務省】 オ 国は、公務執行中の米軍等による日本国政府以外の第三者への損害について、国が支払った賠償金のうち、日米地位協定で定める分担案に応じた分担金を、米国の当局へ強く請求し、確実に支払われるよう措置すること。 (12)18条関係(請求権の放棄) 米軍構成員及び軍属による公務中の損害については、日米両国政府による補償の規定がありますが、公務外の損害の場合、平成8年12月のSACO最終報告によって、「慰謝料」や「見舞金」の支払手続き、前払いの請求、無利子融資制度等に関する日米地位協定の運用の見直しが示されているものの、被害者に対する日米両国政府による支払いについて法的義務として認めたものではなく、「支払いを行うよう努力する」ことにとどまっています。また、慰謝料の支払いについても米側が自らの判断で決定しており、被害者が十分な補償を受けることが難しい状況にあります。 また、米軍構成員・軍属の家族が加害者となった場合の規定がないが、被害者にとって、自ら責任を追及していく難しさは米軍構成員等の場合と異なることはありません。 したがって、米軍構成員及び軍属の公務外の事故等、並びにそれらの家族による事故等により被害を受けた場合、日米両国政府の責任の下、被害者が十分な補償を受けられるよう明記する必要があると考えます。また、損害賠償の手続きについては、迅速かつ誠意を持った対応を取ることが必要であると考えます。 さらに、交通事故の際には、車両の任意保険による十分な補償ができるよう措置しておくことを米国に申し入れる必要があると考えます。 そのほか、米軍の構成員又は軍属の子供の養育費を米軍の構成員又は軍属に支払ってもらえないため、生活に困窮している事例があります。本条第9項(b)で私有の動産に対する差し押さえに関する規定がありますが、米軍の構成員又は軍属に支払われる給料等の差し押さえに関する規定はありませんので、日本国の裁判所の命令がある場合に差し押さえが可能となるよう明記する必要があると考えます。 本条第5項では、公務中に第三者に損害を与えた場合の処理方法について規定されておりますが、嘉手納、横田、厚木などの訴訟における米国の損害賠償金の分担が規定通りになされていない状況にありますので、速やかに是正されるよう米国に働きかけることが必要であると考えます。 (13) 23条関係(安全確保の措置等)【要望先:内閣府・外務省・防衛省】 <災害時の相互応援> ア 災害時における在日米軍との相互応援が実施できるよう明記すること。 また、それまでの間、災害発生時の相互応援、広域避難場所の指定等について、基地司令官と地方公共団体との協定の締結が円滑に行われるよう支援すること。 <基地の災害時の活動拠点としての使用促進> イ 災害時の被害を最小限に抑えるため、基地を広域輸送などの活動拠点として位置づけるとともに、災害時に直ちに地方公共団体が基地を有効に使用できるよう必要な措置を講じること。 (13)23条関係(安全確保の措置等) 自然災害などが発生した場合に地方公共団体と米軍が相互応援を行うことは人道的見地から必要であると考えておりますが、基地レベルでは事前に地方公共団体との間で相互応援のための協定を締結することが困難です。そこで、基地と地方公共団体が相互応援できるよう日米両国政府間で包括協定を締結するなど、仕組みづくりを進めることが必要と考えます。 また、基地を災害時の活動拠点として使用するにあたっては、平成19年4月に日米両国政府間で包括協定が締結されましたが、地方公共団体が個別の基地を実際に使用していくためには、地方公共団体が上記協定に基づき現地実施協定を締結しかつ円滑に運用するための支援など、国のさらなる対応が必要です。 (14)25条関係(合同委員会)【要望先:外務省・防衛省】 <日米合同委員会における地方公共団体の意向の聴取等> ア 日米合同委員会の場で、基地の運用等に関して関係地方公共団体の意向を聴取し、それを協議することを明記すること。 <合同調査委員会の設置> イ 米軍の艦船及び航空機の事故に関しては合同調査委員会を設置し、調査の実態を明記すること。 また、爆発等の基地内の事故で周辺住民に影響を及ぼしかねない事故についても合同調査委員会を設置し、調査を実施するとともに調査報告の公表を明記すること。 <地域特別委員会等の設置> ウ 日米合同委員会の中に基地を有する地方公共団体の代表者の参加する地域特別委員会の設置を明記すること。 また、政府と地元地方公共団体の代表者との定期的な話合いの場を設置すること。 <日米合意事項の公表と地方公共団体への送付> エ 日米合同委員会の合意事項を速やかに公表することを明記するとともに、直ちに地方公共団体へ送付すること。 また、合意以前であっても、地方公共団体に関係する事項については速やかに情報提供すること。 (14)25条関係(合同委員会) 日米合同委員会の合意に基づく基地運用は周辺住民や地元地方公共団体にとって重大な関心事でありますが、日米合同委員会は日米両国政府の代表者で構成されており、基地が所在する地方公共団体の意向を反映させる仕組みになっておりません。 地方公共団体の意向を反映させるため、地方公共団体の代表者の参加する地域特別委員会の設置が必要であると考えます。 また、過大な基地負担を抱えている地元の状況を日本国政府として理解するためにも、政府と地元自治体の代表者との定期的な話合いの場が必要であると考えます。 さらに、基地に起因する事故が発生した場合に、日米両国政府による合同調査委員会を設置し、事故原因等を調査・公表する旨明記する必要があると考えます。 なお、日米両国政府においては、平成8年12月のSACO最終報告において、「日米合同委員会合意を一層公表することを追求する」との日米地位協定の運用の改善を行い、日米合同委員会合意の公表について理解を示されましたが、その後の日米合同委員会合意に関する公表の実施状況については、必ずしも十分とは言えない状況にあります。 さらに、日米合同委員会の合意内容については、原則として日米間で合意した事項だけしか公表されておりませんが、合意事項及び関係する協議の状況については、地方公共団体としていち早く把握する必要がありますので、速やかに情報提供することを明記する必要があると考えます。 (15)航空機の騒音軽減措置関係【要望先:外務省・防衛省】 <飛行訓練の制限等> ア 航空機の騒音軽減を図るため、離着陸訓練をはじめとする飛行訓練を極力制限すること。 また、市街地(公共施設の上空等住民が居住する地域を含む)や、産業振興に影響を与える地域における航空機の飛行を制限すること、並びに夜間・早朝、土曜日、日曜日、祝日、盆及び年末・年始(特に正月三が日)における飛行とエンジンテストを全面的に禁止することを日米間の合意事項として明記すること。 なお、日米間の合意が成立するまでの間、騒音の激しい機種については、飛行時間の短縮等の運用改善を図ること。 <飛行実態に関する情報公開等> イ 航空機の飛行に関する事前情報を、国の責任で迅速かつ適切に提供すること。 また、航空機騒音測定局のデータを地元住民に対し公表するとともに、航空機高度コース自動測定局を設置し、各基地飛行場における離着陸回数、タッチ・アンド・ゴーの飛行回数及び飛行コース等飛行実態を公開すること。 <NLPの中止> ウ 三沢飛行場、横田飛行場、厚木飛行場及び岩国飛行場における米空母艦載機による飛行訓練、特に夜間連続離着陸訓練(NLP)を行わないことを日米間の合意事項として明記すること。 <デモンストレーションフライトの中止> エ 「厚木飛行場周辺の航空機の騒音軽減措置」「嘉手納飛行場における航空機騒音規制措置」及び「普天間飛行場における航空機騒音規制措置」中の「曲技飛行のデモンストレーション」「曲技飛行の展示」を認めている部分を削除し、一切のデモンストレーションやデモンストレーションフライトを行わないこと。 また、市街地上空のデモンストレーションフライト訓練等危険な飛行を中止すること。 <苦情処理制度の充実> オ 航空機騒音等に係る苦情処理制度の充実と苦情窓口の地元住民への周知を徹底するとともに、苦情件数、内容などを公表すること。 また、住民からの問合わせや苦情に対して、責任を持って対応すること。 (15)航空機の騒音軽減措置関係 我が国においては米軍飛行場が市街地に隣接して置かれていることから、周辺の多数の住民が航空機騒音により、長年にわたり大きな負担を強いられています。このような航空機騒音については、過去の騒音訴訟において、受忍の限度を超えた違法な状態にあるものとの司法判断もなされており、航空機騒音を一刻も早く解消することが求められています。 特に、深夜、早朝など住民への影響が大きい時間帯における飛行訓練や、土曜日、日曜日、祝日、盆及び年末・年始における飛行訓練については、全面的に禁止する必要があります。 さらに、米軍航空機の飛行に関する事前情報や騒音に関するデータを公表等すること、特に騒音被害の大きい夜間連続離着陸訓練(NLP)についてはこれを行わないこと、国による苦情処理制度の充実等が必要であると考えます。 (16)日本周辺海域における禁止措置【要望先:外務省・環境省】 <新型低周波水中音波探知機の使用禁止> 米海軍の新型低周波水中音波探知機の使用について、海洋生物などへの影響が無いことが明らかになるまで、日本周辺海域においては使用させないこと。 (16)日本周辺海域における禁止措置 米海軍の新型低周波水中音波探知機の使用については、現在、日米両国政府において協議が行われていますが、新型低周波水中音波探知機の海洋生物への影響について、これを指摘する学説があることから、日米両国政府は、米国が実施した海洋生物への影響を調べた科学的調査結果を公表し、十分な説明を行うべきであると考えます。