基 地 対 策 に 関 す る 要 望 日米地位協定に基づき提供されている「施設及び区域」(米軍基地(水域を含む)。以下「基地」という。)を抱える地方公共団体は、基地の存在及びその運用に伴う諸問題によって地域の生活環境の整備・保全や産業振興等に様々な障害を受けており、その対策に日夜腐心しているところであります。 また、航空機事故、艦船の事故や弾薬等による事故への不安、航空機等の騒音による被害の増大、環境汚染、米軍の構成員及び軍属並びにそれらの家族(以下「米軍構成員等」という。)による事故や犯罪の発生、駐留軍等労働者の諸問題など、基地に起因する問題も広範多岐にわたるとともに深刻化しております。 特に、米軍の犯罪防止への取組みについては、実効性を伴ったものとなることが極めて重要です。 国におかれましては、基地周辺の生活環境の整備や民生安定のために種々の施策が講じられているところでありますが、今日の多様化した住民ニーズに応えた内容とはいえず、基地周辺対策予算や基地交付金などについても制度の目的に沿った増額措置がなされておりません。 また、平成18年5月1日には、抑止力の維持と地元負担の軽減を柱として、在日米軍の再編に係る最終報告が日米両国政府間で合意され、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法も成立したところでありますが、基地周辺住民や地方公共団体に対して、まだまだ十分な配慮がなされているとは言えない状況にあります。 このことは、本来、国民全体で担うべき基地負担を担い、長年にわたって生活環境の改善を求めてきた基地周辺住民や地方公共団体の切実な願いに背くものであり、また、基地対策に関する経費が地元に転嫁されることによって各地方公共団体の財政の圧迫をもたらすものとなっております。 よって、国におかれましては、基地周辺住民、地方公共団体のこうした状況を十分に理解され、基地対策に関する別記の施策・制度・予算に関する諸事項を速やかに実現されるよう強く要望いたします。 平成23年7月29日 殿 渉外関係主要都道県知事連絡協議会 (略称:渉外知事会) 会 長 神奈川県 知 事 黒 岩 祐 治 副会長 青 森 県 知 事 三 村 申 吾 副会長 長 崎 県 知 事 中 村 法 道 副会長 沖 縄 県 知 事 仲井眞 弘 多 北 海 道 知 事 高 橋 はるみ 茨 城 県 知 事 橋 本 昌 埼 玉 県 知 事 上 田 清 司 千 葉 県 知 事 森 田 健 作 東 京 都 知 事 石 原 慎太郎 山 梨 県 知 事 横 内 正 明 静 岡 県 知 事 川 勝 平 太 広 島 県 知 事 湯 ア 英 彦 山 口 県 知 事 二 井 関 成 福 岡 県 知 事 小 川 洋 目次 重点要望 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進(詳細は1ページ) 2 日米地位協定の見直し @ 環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底(詳細は2ページ) A 事件・事故に係る安全対策等の確立(詳細は2ページ) B 地元意向を尊重する制度の構築(詳細は3ページ) 3 国による財政的措置等の新設・拡充 @ 基地交付金等の増額等(詳細は3ページ) A 地域振興策の新設・拡充(詳細は4ページ) B 基地跡地の返還に係る支援(詳細は4ページ) C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化(詳細は4ページ) 要望事項 1 基地の整理、縮小と早期返還の促進及び基地跡地利用に係る要望(詳細は17ページ) 2 日米地位協定に係る要望(詳細は別冊) 3 「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等に係る要望(詳細は21ページ) 4 基地交付金(国有提供施設等所在市町村助成交付金)及び調整交付金(施設等所在市町村調整交付金)等に係る要望(詳細は29ページ) 5 駐留軍等労働者対策及び離職者対策に係る要望(詳細は31ページ) 6 周辺事態安全確保法、自衛隊法等の運用に係る要望(詳細は33ページ) 重点要望 重点要望 本年度の要望中、早急に措置が必要なもの等、特に回答をお願いしたい事項を重点要望としてまとめましたので、次の項目に対し、当会会長あて文書にて御回答くださいますようお願いいたします。 なお、重点要望には、関連する個別要望項目を付記しておりますので、これらの要望を踏まえて御回答くださるようお願いいたします。 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進 【要望先:外務省・防衛省】 基地の存在は、地域の生活環境の整備・保全や産業振興に障害を与えるとともに、騒音、事件・事故、環境問題など、様々な問題の原因となっている。 基地の整理、縮小及び早期返還は、地元住民や地方公共団体の長年にわたる切実な願いであり、在日米軍再編の日米合意や閣議決定にかかわらず、引き続き、地元要望を尊重の上、積極的に整理、縮小及び早期返還を促進すること。 2 日米地位協定の見直し 平成18年の米軍再編合意により、米軍と自衛隊の役割・任務・能力に係る相互の協力関係が進んでいく中、締結後50年以上も見直しが行われていない日米地位協定については見直す時期にきており、平成21年9月の連立政権の政策合意には、改定を提起することが盛り込まれた。 基地をめぐる諸問題の解決を図るためには、これまで当協議会が求めてきた地元意向を反映させる仕組みづくり、環境法令等各種国内法の適用、事故防止対策や防犯対策等の安全性の向上、裁判権の見直し、騒音防止対策等の諸事項について見直しを行い、国民の理解を得ることが不可欠であり、日米地位協定について、早急に抜本的な見直し作業に着手し、2、3年以内等できるだけ短い期限を設けて見直しを行うなど、実務的な対応を行うとともに、その運用について適切な改善を図ること。 @ 環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底【要望先:外務省・厚生労働省・環境省・防衛省】 基地内の環境問題等については、その影響が基地内に止まらず、周辺住民等の生命、健康に重大な影響を与える可能性があることから、基地の管理、運用にあたっては、環境法令等国内法が遵守されるとともに、地方公共団体が定期的に日本環境管理基準(JEGS)に基づく運用実態を検査・確認できるよう、環境特別協定の締結に向けた作業等に着手すること。 なお、環境特別協定の締結にあたっては、渉外知事会試案にある8項目の要素を取り入れること。 また、夜間連続離着陸訓練(NLP)をはじめとする飛行訓練や砲撃、戦車等の通行に伴う騒音、振動等について抜本的対策を講ずること。 A 事件・事故に係る安全対策等の確立【要望先:内閣府・外務省・財務省・文部科学省・国土交通省・防衛省】 基地が所在することによって生じる事件・事故を未然に防ぐとともに、万一、事件・事故が発生した場合には、迅速かつ的確な情報提供が行われるよう必要な措置を講ずること。 また、日本側による現場検証等原因究明が適切に行われるよう見直すとともに、再発防止に向けた万全の対策を講ずること。 さらに、日本国が第1次裁判権を有する場合は、米国は日本側から被疑者の拘禁の移転要請があるときには、速やかにこれに応ずるよう見直すこと。 B 地元意向を尊重する制度の構築【要望先:外務省・防衛省】 基地の管理、運用等にあたっては、地元の意向が反映できる仕組みになっていないため、地方公共団体の意向を踏まえて日米両国政府間の協議が行われるよう、日米合同委員会の中に基地を有する地方公共団体の代表者の参加する地域特別委員会を設置するよう見直すとともに、設置までの間、渉外知事会と日米両国政府との連絡会議を定期的に開催すること。 3 国による財政的措置等の新設・拡充 今日の多様化した住民ニーズや、長年にわたって生活環境の改善を求めてきた基地周辺住民の切実な願いに応え、また、基地対策に関する経費が地元に転嫁されることによって各地方公共団体の財政の圧迫をもたらさないよう、地方公共団体の意向を踏まえ新たな制度の創設を含め適正な措置を講ずること。 @ 基地交付金等の増額等【要望先:総務省・財務省・防衛省】 固定資産税や住民税の代替措置である基地交付金、調整交付金を充実するとともに、基地に起因する騒音等の障害、民生安定等のための十分な予算措置を講ずること。 A 地域振興策の新設・拡充【要望先:内閣府・財務省・防衛省】 過大な基地負担の現状を踏まえ、財政的支援を含む地域振興に係る各種支援策を講ずること。 B 基地跡地の返還に係る支援【要望先:総務省・外務省・財務省・防衛省】 基地返還後の国有地の利用に際しては、できる限り地元に負担がかかることのないよう適切な措置を講じるとともに、地元の意向を尊重し、必要な支援策を講ずること。 C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化【要望先:外務省・厚生労働省・防衛省】 労務費全額日本側負担の実態を踏まえ、適切な労務管理を図ること。また、国による離職者対策を充実し、地方公共団体に負担が生じないよう措置すること。 また、米軍再編にあたっては、駐留軍等労働者への影響が最小 限になるような雇用対策をできる限り早期に提示し、駐留軍等労働者に雇用不安を与えることのないよう努めること。 〔関連する個別要望項目〕 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進 省庁名 項目名 ページ 外務省 基地返還等の促進17 基地返還交渉過程等の公表17 基地の動向等に関する情報の事前提供と協議17 防衛省 基地返還等の促進17 基地返還交渉過程等の公表17 基地の動向等に関する情報の事前提供と協議17 2 日米地位協定の見直し @ 環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底(別冊) 省庁名 項目名 ページ 外務省 基地内への立入り3 生活環境の保全に係る国内法の適用等3 環境調査等の実施4 各種環境汚染等への適切な措置4 河川氾濫等の適切な対策4 廃棄物等の適正処理と情報公開4 航空機騒音の防止対策5 砲撃による騒音・振動対策5 弾薬爆破処理時の騒音等の防止5 (別冊) 省庁名 項目名 ページ 外務省 戦車等の騒音の抜本的対策6 環境保全への措置6 演習・訓練等の活動8 航空法第81条の適用除外の見直し8 返還時の環境浄化等10 港湾管理条例等の尊重11 検疫等の国内法の適用13 飛行訓練の制限等20 NLPの中止21 新型低周波水中音波探知機の使用禁止22 財務省 返還時の環境浄化等10 厚生労働省 検疫等の国内法の適用13 環境省 生活環境の保全に係る国内法の適用等3 環境調査等の実施4 各種環境汚染等への適切な措置4 新型低周波水中音波探知機の使用禁止22 防衛省 基地内への立入り3 生活環境の保全に係る国内法の適用等3 環境調査等の実施4 各種環境汚染等への適切な措置4 河川氾濫等の適切な対策4 廃棄物等の適正処理と情報公開4 (別冊) 省庁名 項目名 ページ 防衛省 航空機騒音の防止対策5 砲撃による騒音・振動対策5 弾薬爆破処理時の騒音等の防止5 戦車等の騒音の抜本的対策6 環境保全への措置6 演習・訓練等の活動8 航空法第81条の適用除外の見直し8 返還時の環境浄化等10 港湾管理条例等の尊重11 検疫等の国内法の適用13 飛行訓練の制限等20 NLPの中止21 A 事件・事故に係る安全対策等の確立(別冊) 省庁名 項目名 ページ 内閣府 原子力事故対策の確立等9 外務省 基地内への立入り3 実弾演習時の環境配慮・不発弾による事故防止対策5 米軍構成員等の規律の保持及び犯罪等の再発防止6 基地運用にあたっての安全確保7 航空機燃料管理等の安全確保7 演習・訓練情報の事前通報と公表等7 (別冊) 省庁名 項目名 ページ 外務省 民間航空機への安全配慮8 航空機の安全対策措置8 航空機事故による緊急時における連絡体制の確立8 低空飛行、模擬対地攻撃訓練に係る措置9 原子力施設周辺等の飛行の中止9 米軍艦船航行の安全確保9 原子力艦通報の遵守9 原子力事故対策の確立等9 事故情報の即時提供等9 事故後の適切な措置10 事故報告書10 米軍機の民間空港の使用禁止11 非核三原則の堅持11 施設・区域間の移動の際の安全確保等12 米軍艦船の入港時に関する国からの適切な情報提供12 航空交通管制業務の日本側への移管13 運転規則に関する講習14 被疑者の速やかな拘禁移転15 公務外の事件等の補償17 事故等の損害賠償17 米軍構成員又は軍属の給料等の差押え17 (別冊) 省庁名 項目名 ページ 財務省 原子力事故対策の確立等9 文部科学省 原子力事故対策の確立等9 国土交通省 航空交通管制業務の日本側への移管13 防衛省 基地内への立入り3 実弾演習時の環境配慮・不発弾による事故防止対策5 米軍構成員等の規律の保持及び犯罪等の再発防止6 基地運用にあたっての安全確保7 航空機燃料管理等の安全確保7 演習・訓練情報の事前通報と公表等7 民間航空機への安全配慮8 航空機の安全対策措置8 航空機事故による緊急時における連絡体制の確立8 低空飛行、模擬対地攻撃訓練に係る措置9 原子力施設周辺等の飛行の中止9 米軍艦船航行の安全確保9 原子力艦通報の遵守9 原子力事故対策の確立等9 事故情報の即時提供等9 事故後の適切な措置10 事故報告書10 (別冊) 省庁名 項目名 ページ 防衛省 米軍機の民間空港の使用禁止11 非核三原則の堅持11 施設・区域間の移動の際の安全確保等12 米軍艦船の入港時に関する国からの適切な情報提供12 運転規則に関する講習14 被疑者の速やかな拘禁移転15 公務外の事件等の補償17 事故等の損害賠償17 米軍構成員又は軍属の給料等の差押え17 B 地元意向を尊重する制度の構築(別冊) 省庁名 項目名 ページ 外務省 返還にあたっての地元意向の尊重1 施設新設等にあたっての地元意向への配慮1 使用目的の審査2 基地機能等の変更に係る地元への協議3 施設改修にあたっての地元意向への配慮3 米軍施設・区域内外に居住する米軍構成員等の情報提供13 日米合同委員会における地方公共団体の意向の聴取等19 地域特別委員会等の設置19 日米合意事項の公表と地方公共団体への送付19 (別冊) 省庁名 項目名 ページ 防衛省 返還にあたっての地元意向の尊重1 施設新設等にあたっての地元意向への配慮1 使用目的の審査2 基地機能等の変更に係る地元への協議3 施設改修にあたっての地元意向への配慮3 米軍施設・区域内外に居住する米軍構成員等の情報提供13 日米合同委員会における地方公共団体の意向の聴取等19 地域特別委員会等の設置19 日米合意事項の公表と地方公共団体への送付19 3 国による財政的措置等の新設・拡充 @ 基地交付金等の増額等 省庁名 項目名 ページ 総務省 基地交付金固定資産税相当額の交付29 資産評価の適正化29 調整交付金の増額30 財務省 障害防止工事等予算の増額21 地元負担の軽減21 申請工事の完全採択・基準の緩和21 補助対象の拡大・事業の質的向上21 防音工事対象施設等の拡大22 省庁名 項目名 ページ 財務省 防音工事対象区域等の拡大22 住宅防音工事区域指定値の見直し22 防音工事区域指定・変更にあたっての地元意向の尊重等23 防音施設維持管理費の全額国庫負担23 航空機騒音に対する国の措置23 国による実態調査の実施等24 騒音調査に対する助成措置24 受信料助成区域の拡大等24 地上波デジタル放送への対応等24 移転補償費の引上げ等25 移転先地における公共施設の整備25 移転補償対象区域の見直し25 基地の実態を踏まえた移転補償制度の創設25 農・漁業被害の適正補償25 集団移転の地元負担の軽減25 移転補償対象の拡大26 交付対象の拡大26 市町村合併に伴う措置26 交付金の増額等26 原子力災害対策に係る交付金の増額等26 一括配分等への配慮27 基地対策従事職員に係る人件費の国庫負担等27 省庁名 項目名 ページ 財務省 演習場等の賃借料の増額27 「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施」に係る住宅防音工事の早期完了28 艦船入港時における地方公共団体への財政的支援28 基地交付金固定資産税相当額の交付29 資産評価の適正化29 調整交付金の増額30 環境省 住宅防音工事区域指定値の見直し22 航空機騒音に対する国の措置23 国による実態調査の実施等24 騒音調査に対する助成措置24 防衛省 障害防止工事等予算の増額21 地元負担の軽減21 申請工事の完全採択・基準の緩和21 補助対象の拡大・事業の質的向上21 防音工事対象施設等の拡大22 防音工事対象区域等の拡大22 住宅防音工事区域指定値の見直し22 防音工事区域指定・変更にあたっての地元意向の尊重等23 防音施設維持管理費の全額国庫負担23 航空機騒音に対する国の措置23 国による実態調査の実施等24 省庁名 項目名 ページ 防衛省 騒音調査に対する助成措置24 受信料助成区域の拡大等24 地上波デジタル放送への対応等24 移転補償費の引上げ等25 移転先地における公共施設の整備25 移転補償対象区域の見直し25 基地の実態を踏まえた移転補償制度の創設25 農・漁業被害の適正補償25 集団移転の地元負担の軽減25 移転補償対象の拡大26 交付対象の拡大26 市町村合併に伴う措置26 交付金の増額等26 原子力災害対策に係る交付金の増額等26 一括配分等への配慮27 基地対策従事職員に係る人件費の国庫負担等27 演習場等の賃借料の増額27 「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施」に係る住宅防音工事の早期完了28 艦船入港時における地方公共団体への財政的支援28 A 地域振興策の新設・拡充 省庁名 項目名 ページ 内閣府 地域振興策の新設・拡充 30 財務省 地域振興策の新設・拡充 30 防衛省 地域振興策の新設・拡充 30 B 基地跡地の返還に係る支援 省庁名 項目名 ページ 外務省 基地返還経費の確保17 財務省 低廉な価格による国有地処分18 基地跡地利用の支援19 基地跡地の有効利用等19 上下水道整備事業の援助制度の確立19 防衛省 基地返還経費の確保17 低廉な価格による国有地処分18 基地跡地利用の支援19 基地跡地の有効利用等19 上下水道整備事業の援助制度の確立19 C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化 省庁名 項目名 ページ 外務省 駐留軍等労働者対策31 省庁名 項目名 ページ 厚生労働省 離職者対策の充実31 地方離職者対策(福祉)センターに対する支援31 防衛省 駐留軍等労働者対策31 離職者対策の充実31 地方離職者対策(福祉)センターに対する支援31 駐留軍離職者に対するアスベスト対策の拡充32 要望事項の内容及び説明 1 基地の整理、縮小と早期返還の促進及び基地跡地利用に係る要望 (1) 基地の整理、縮小及び早期返還の促進【要望先:外務省・防衛省】 <基地返還等の促進> ア 基地の整理、縮小及び早期返還については、その基地ごとに必要性、使用状況、基地に起因する危険性、基地周辺の実情等を総点検し、地元要望を尊重の上、積極的に促進すること。 <基地返還経費の確保> イ 返還等にあたっての経費を地方公共団体に転嫁することのないよう、十分に確保すること。 <基地返還交渉過程等の公表> ウ 地元の求めに応じて、返還交渉の内容、過程等を明らかにすること。 (2) 基地の動向等に関する情報の事前提供と協議【要望先:外務省・防衛省】 基地の機能変更、閉鎖、移転、返還等は、地元地方公共団体にとって極めて重大な問題であるので、それらの検討を進めるにあたっては、地元の意向が尊重されるよう、あらかじめ関係する地方公共団体に情報提供と協議を行うこと。 また、我が国を取りまく情勢についても可能な限り、情報を提供すること。 (3) 基地跡地の利用及び管理【要望先:財務省・防衛省】 <返還国有地利用の地元意向の尊重> ア 返還後の国有地の利用については、地方公共団体の利用計画及び意向を尊重し、地元住民の福祉を最優先とすること。 <低廉な価格による国有地処分> イ 返還後の国有地の処分価格については、時価処分とせず、極力低廉な価格とすること。 なお、地方公共団体が公園整備等を計画している場合は、国有財産法上可能な無償貸与とすること。 <国有財産処分制度の改善等> ウ 大規模返還財産の処分にあたっては、国有財産処分制度の改善を図るとともに、長期低利な資金の手当等特別の財政措置を講ずること。 <大規模返還財産の留保地利用> エ 返還後の留保地の利用・処分については、地元地方公共団体で留保地周辺の「まちづくり」を計画的に進めていることから、地方公共団体の利用計画及び意向を最大限に尊重すること。 <適切な基地跡地管理> オ 基地跡地については、現存する施設及び廃棄物等についての情報を提供すること。 地方公共団体の求めに応じて、障害物件の撤去及び環境の整備を図るとともに、基地跡地の管理に万全を期し、犯罪、火災、災害及び環境汚染等( 病害虫の発生を含む )の発生源にならないよう対処すること。 <未処分国有地の仮使用措置> カ 未処分国有地については、公園、駐車場等として仮使用できるよう措置すること。 <基地跡地利用の支援> キ 基地の返還にあたっては、返還跡地の有効利用の促進を図るため、地方公共団体が作成する諸計画に基づく諸事業が円滑に実施されるよう行財政上の支援措置を講ずること。 <基地跡地の有効利用等> ク 移転跡地については、地元住民が利用できる施設として整備するなど、有効利用と適正な管理を図ること。 また、移転跡地の地方公共団体による無償使用にあたっては、地元の実情に即した利用ができるよう、十分に配慮すること。 <上下水道整備事業の援助制度の確立> ケ 基地跡地利用に際して、地方公共団体が行う上下水道等公共施設の整備事業については、特別財政援助制度を早期に確立すること。 2 日米地位協定に係る要望(詳細は別冊) 3 「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等に係る要望 (1) 法の運用【要望先:財務省・防衛省】 <法の運用にあたっての地元意向への配慮> 法の運用にあたっては、地元地方公共団体の意向が十分反映されるよう配慮すること。 (2) 予算の増額と補助対象の拡大【要望先:財務省・防衛省】 <障害防止工事等予算の増額> ア 障害防止工事、民生安定事業等に関する予算を増額し、申請事務の簡素化及び早期交付を行うとともに、事業費全額を国庫で負担すること。 <地元負担の軽減> イ 補助対象施設の維持管理費及び施設の更新、改良等についても補助対象とし、地元地方公共団体等の負担の一層の軽減を図ること。 <申請工事の完全採択・基準の緩和> ウ 障害防止工事、民生安定事業における申請事業の完全採択及び採択基準の緩和を図ること。 <補助対象の拡大・事業の質的向上> エ 同法施行令第14条に掲げる公共用の施設等を民生安定事業の補助対象とするなど、時代の変化に即応した対象範囲の拡大と、その実現のための法令改正を行うこと。 また、周囲の景観や文化的側面にも配慮するなど、事業の質的向上を図ること。 (3) 騒音対策の強化【要望先:財務省・防衛省】 <防音工事対象施設等の拡大> ア 防音工事に係る補助対象施設を事務所、店舗等に拡大すること。 また、随時、騒音調査を行い、砲射撃演習等の騒音に関する住宅防音工事対象区域の拡大と予算の十分な確保に努めること。 <防音工事対象区域等の拡大> イ 住宅防音工事については、対象区域の拡大(周回飛行コース下等)及び全室施工を図るとともに、環境基準達成を目的とした年次計画をたてて、早急に実施完了するよう努力すること。 また、区域指定後の新築・増改築住宅や防音工事実施済住宅の建て替えに伴う防音工事の再補助(建て替え防音工事)についても、制度の拡充と十分な予算の確保に努めること。 <住宅防音工事区域指定値の見直し>【要望先:財務省・環境省・防衛省】 ウ 第1種区域に係る指定値を、現行の75WECPNLから航空機騒音の環境基準70WECPNLに改めること。 <防音工事区域指定・変更にあたっての地元意向の尊重等> エ 住宅防音工事区域の指定・変更にあたっては、騒音被害の実態、住宅の分布状況、地形等を考慮し、特に区画については、地元地方公共団体及び地元住民の意向を十分に尊重のうえ対処すること。 また、第1種区域内は全て第T工法とするなど防音工事施工基準の改善及び工事費の限度額の引上げを図ること。 なお、米軍飛行場の運用の変更等により騒音状況に悪化が認められる場合は、早急に住宅防音工事区域の指定・変更を実施すること。 <防音施設維持管理費の全額国庫負担> オ 住宅、義務教育施設等の防音施設に係る維持管理費(光熱費)、耐用年数を経過した空調機器の更新及び一定の年月を経過し老朽化が著しく、防音効果が低下した建具等の更新についても全額国庫負担とすること。 特に、生活保護世帯については、さらに充実すること。 <航空機騒音に対する国の措置>【要望先:財務省・環境省・防衛省】 カ 航空機騒音に関して、次の措置を講ずること。 ・国における基地周辺の常時騒音測定機器の増設及び低空飛行訓練による住民からの苦情が多い地域への騒音測定器等設置による調査体制の整備及び測定データの公表 ・国における電話機の増設、人員の確保等苦情処理体制の充実 ・地元地方公共団体の苦情処理に対する助成 <国による実態調査の実施等>【要望先:財務省・環境省・防衛省】 キ 航空機騒音の周辺住民に与える影響について、早急に国による実態調査を実施し、調査方法及び調査結果を速やかに公表すること。 また、 その結果、受忍限度を超える騒音被害がある場合は、早急に改善を図るとともに、騒音被害が軽減されるまでの間、当該調査結果をもとに、地域の実情を踏まえた交付金制度を創設すること。 <騒音調査に対する助成措置>【要望先:財務省・環境省・防衛省】 ク 地方公共団体が実施する航空機騒音対策のための騒音調査について、測定機器の整備費・保守管理費・更新に係る経費及び測定に要する経費に対する助成措置を講ずること。 <受信料助成区域の拡大等> ケ テレビ受信料の助成区域を拡大し、助成額の増額を行うとともに、電話通信料の助成措置を講ずること。 <地上波デジタル放送への対応等> コ 国が進めているテレビのデジタル放送についても、基地に起因する電波障害等の影響を調査し、必要な措置を講ずること。 (4) 移転補償等の充実、強化【要望先:財務省・防衛省】 <移転補償費の引上げ等> ア 移転補償を代替地の取得可能な価格に引き上げるとともに、移転先の斡旋、移転に伴う損失補償、その他移転促進について、適切な方途を講じ移転補償費の早期支払いを図ること。 <移転先地における公共施設の整備> イ 移転先地における公共施設の整備については、対象施設を拡大するとともに、全額国庫負担とすること。 <移転補償対象区域の見直し> ウ 移転補償の対象区域を騒音被害の実態に即応させるよう対象区域の見直しを図ること。 <基地の実態を踏まえた移転補償制度の創設> エ 基地の実態を踏まえ、事故発生の危険性など騒音被害以外の要素を考慮した移転補償制度を新たに創設すること。 <農・漁業被害の適正補償> オ 農・漁業被害補償の実態を調査し、適正な補償を図ること。 <集団移転の地元負担の軽減> カ 集団移転の際には、地元負担軽減のため、特別の財源措置を講ずること。 <移転補償対象の拡大> キ 移転補償の対象範囲を拡大し、告示後の住宅についても対象とすること。 (5) 特定防衛施設周辺整備調整交付金の増額【要望先:財務省・防衛省】 <交付対象の拡大> ア 法第9条に基づき特定防衛施設として指定することができる防衛施設に「防衛施設が所在する市町村の都市形成に著しく支障を与える施設」を追加するなど対象施設を拡大するとともに、告示により指定される特定防衛施設関連市町村には基地所在市町村のみならず、基地周辺市町村を加えている例があるので、広く基地周辺市町村の実情を勘案し、対象範囲を広げること。 <市町村合併に伴う措置> イ 法第9条に基づく交付金については、市町村合併に伴い、市町村面積が増加する地域において、合併前と同様の措置がなされるよう配慮すること。 <交付金の増額等> ウ 交付金の増額を図るとともに、手続きの簡素化を図ること。 <原子力災害対策に係る交付金の増額等> エ 原子力艦の原子力災害対策を行う、都道府県を含めた地方公共団体を新たに交付の対象とするとともに、施設整備に限らず当該地方公共団体が行う原子力災害対策全般を交付金の対象とすること。 なお、その際、既存の交付市町村への交付額が減少しないよう配慮すること。 <一括配分等への配慮> オ 対象事業の決定及び交付時期については、積雪寒冷地等地域の実情も考慮して、早期内示、早期交付及び一括配分に配慮すること。 (6) 基地対策従事職員に係る人件費の国庫負担等【要望先:財務省・防衛省】 基地所在に伴う各種障害防止対策、民生安定対策等基地対策に従事する職員の人件費についても財政援助をすること。 また、施設区域取得等事務地方公共団体委託費の増額を図ること。 (7) 演習場等の賃借料の増額【要望先:財務省・防衛省】 演習場等基地周辺地域の進展や、地域の実情に十分配慮し、適正な賃借料を確保すること。 (8) 「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施」に係る住宅防音工事の早期完了【要望先:財務省・防衛省】 「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施」に係る砲撃音の住宅防音工事については、予算の十分な確保に努め、指定区域内の住宅防音工事を早期に完了すること。 また、随時、騒音調査を行い、必要に応じて指定区域の見直しを行うなど、区域の適正化に努めること。 (9) 艦船入港時における地方公共団体への財政的支援【要望先:財務省・防衛省】 米軍の艦船及び米軍に徴用された民間船舶が港湾に出入りする場合において、地方公共団体が安全確保のために講ずる対策に要する経費について、財政措置を講ずること。 4 基地交付金(国有提供施設等所在市町村助成交付金)及び調整交付金(施設等所在市町村調整交付金)等に係る要望 (1) 基地交付金【要望先:総務省・財務省】 ア 次により基地交付金予算総額の増額を図ること。 <基地交付金固定資産税相当額の交付> (ア) 基地交付金の有する固定資産税の代替的性格を考慮し、対象資産に対する固定資産税相当額を交付すること。 <資産評価の適正化> (イ) 国有財産台帳価格の評価替えの期間を固定資産税台帳価格の評価替え期間と同様の3年とするとともに、近傍類似地域との格差を是正するなど資産評価を適正なものとすること。 <事実上の提供地の対象資産化> (ウ) 飛行場周辺の買上げ国有地、自衛隊の施設のうち現在対象外となっている施設、事実上米軍に提供されている状況にある財産を対象資産とすること。 イ 基地交付金の配分にあたっては、次のことに配慮すること。 <制限水域の準対象資産化> (ア) 一般船舶の運航、港湾施設の使用等に制約を受ける米軍の制限水域を対象資産に準じた扱いとすること。 <政令控除の廃止> (イ) 国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律施行令第3条第2項のいわゆる「政令控除」の規定を廃止すること。 (2) 調整交付金【要望先:総務省・財務省】 <調整交付金の増額> ア 次により調整交付金予算総額の増額を図ること。 (ア) 米軍資産に対する固定資産税相当額を交付すること。 (イ) 地位協定の実施に伴う地方税の非課税分についても全額補てんするよう措置すること。 (ウ) 概算要求基準において、基地交付金と同様の取扱いをすること。 <調整交付金の算定根拠の明確化> イ 米軍資産の価格、配分率等調整交付金の算定根拠を明確にすること。 (3) 地域振興策の新設・拡充【要望先:内閣府・財務省・防衛省】 過大な基地負担の現状を踏まえ、財政的支援を含む地域振興に係る各種支援策を講ずること。 5 駐留軍等労働者対策及び離職者対策に係る要望 (1) 駐留軍等労働者対策【要望先:外務省・防衛省】 労務費全額日本側負担の実態を踏まえ、日本側の労働条件等決定権限の強化に努めることにより、駐留軍等労働者に雇用不安等を与えることのないよう適切な労務管理を図ること。 併せて、労働条件の向上を図るとともに、労働法令に則った労働安全衛生が円滑に図られるよう努めること。 (2) 離職者対策の充実【要望先:厚生労働省・防衛省】 離職者対策については基本的に雇用主として国に責任があることを明確にし、在職中の職業訓練に十分な期間を確保する等各種援護措置の充実はもとより、地方駐留軍関係離職者等対策協議会の設置、運営を都道府県労働局が行うこととするなど離職者対策等の諸制度を見直すこと。 (3) 地方離職者対策(福祉)センターに対する支援【要望先:厚生労働省・防衛省】 地方離職者対策(福祉)センターにおける駐留軍等労働者の離職者対策等に対する国の支援強化を図るとともに、駐留軍等労働者の離職者対策等を事業の目的とする公益法人の許可等の事務は都道府県労働局の直接執行とするよう見直すこと。 また、地方公共団体の負担が生じないよう国が責任をもって同センターを支援すること。 (4) 駐留軍離職者に対するアスベスト対策の拡充【要望先:防衛省】 アスベスト関連作業に従事していた駐留軍離職者に対して、離職後も特殊健康診断が受けられるよう予算措置を講ずること。 6 周辺事態安全確保法、自衛隊法等の運用に係る要望【要望先:内閣官房・総務省・外務省・防衛省】 <協力要請の際の適時・的確な情報提供等> (1) 周辺事態安全確保法第9条に基づく協力要請の際には、適時・的確に情報提供するとともに、地方公共団体の意向を十分尊重すること。 <自衛隊法に基づく警護出動にあたっての知事の意見尊重及び情報提供>【要望先:内閣官房・防衛省】 (2) 自衛隊法に基づく警護出動の際の関係都道府県知事への意見聴取にあたっては、当該知事が責任ある意見を表明できるよう十分な情報を提供するとともに、その意見を尊重されたい。