要望事項の内容及び説明 − 16 − 1 米軍基地の整理、縮小と早期返還の促進及び基地跡地利用に係る 要望 (1) 米軍基地(水域を含む。以下「基地」という。)の整理、縮小と 早期返還【要望先:防衛施設庁・外務省】 <基地返還等の促進> ア基地の整理、縮小及び返還については、その施設ごとに必要 性、使用状況、基地に起因する危険性、基地周辺の実情等を総 点検し、地元要望を尊重の上、積極的に促進すること。 <基地返還経費の確保> イ返還等にあたっての経費を地方公共団体に転嫁することのな いよう、十分に確保すること。 <基地返還交渉過程等の公表> ウ地元の求めに応じて、返還交渉の内容、過程等を明らかにす ること。 (2) 基地の動向等に関する情報の事前提供と協議 【要望先:防衛施設庁・外務省】 基地の機能変更、閉鎖、移転、返還等は、地元地方公共団体 にとって極めて重大な問題であるので、それらの検討を進める にあたっては、地元の意向が尊重されるよう、あらかじめ関係 する地方公共団体に情報提供と協議を行うこと。 また、我が国を取りまく情勢についても可能な限り、情報を 提供すること。 − 17 − (3) 基地跡地の利用及び管理【要望先:防衛施設庁・財務省】 <返還国有地利用の地元意向の尊重> ア返還後の国有地の利用については、地方公共団体の利用計画 及び意向を尊重し、地元住民の福祉を最優先とすること。 <低廉な価格による国有地処分> イ返還後の国有地の処分価格については、時価処分とせず、極 力低廉な価格とすること。 なお、地方公共団体が公園整備等を計画している場合は、国 有財産法上可能な無償貸与とすること。 <国有財産処分制度の改善等> ウ大規模返還財産の処分にあたっては、国有財産処分制度の改 善を図るとともに、長期低利な資金の手当等特別の財政措置を 講ずること。 <大規模返還財産の留保地利用> エ返還後の留保地の利用・処分については、地元地方公共団体 で留保地周辺の「まちづくり」を計画的に進めていることから、 地方公共団体の利用計画及び意向を最大限に尊重すること。 <適切な跡地管理> オ基地跡地については、障害物件の撤去及び環境の整備を図る とともに、跡地の管理に万全を期し、犯罪、火災、災害及び環 境汚染等( 病害虫の発生を含む)の発生源にならないよう対 処すること。 また、地方公共団体の求めに応じて、残存する施設及び廃棄 物等の情報を提供すること。 − 18 − <未処分国有地の仮使用措置> カ未処分国有地については、公園、駐車場等として仮使用でき るよう措置すること。 <跡地利用の支援> キ基地の返還にあたっては、返還跡地の有効利用の促進を図る ため、地方公共団体が作成する諸計画に基づく諸事業が円滑に 実施されるよう行財政上の支援措置を講ずること。 <跡地の有効利用等> ク移転跡地については、地元住民が利用できる施設として整備 するなど、有効利用と適正な管理を図ること。 また、移転跡地の地方公共団体による無償使用にあたっては、 地元の実情に即した利用ができるよう、十分に配慮すること。 <上下水道整備事業の援助制度の確立> ケ基地跡地利用に際して、地方公共団体が行う上下水道等公共 施設の整備事業については、特別財政援助制度を早期に確立す ること。 2 日米地位協定に係る要望 (詳細は別冊) 3 「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等に係る要望 (1) 法の運用【要望先:防衛施設庁・財務省】 <法の運用にあたっての地元意向への配慮> 法の運用にあたっては、地元地方公共団体の意向が十分反映さ れるよう配慮すること。 − 19 − (2) 予算の増額と補助対象の拡大【要望先:防衛施設庁・財務省】 <障害防止工事等予算の増額> ア障害防止工事、民生安定事業等に関する予算を増額し、申請 事務の簡素化及び早期交付を行うとともに、事業費全額を国庫で 負担すること。 <地元負担の軽減> イ補助対象施設の維持管理費及び施設の更新、改良等について も補助対象とし、地元地方公共団体等の負担の一層の軽減を図 ること。 <申請工事の完全採択・基準の緩和> ウ障害防止工事、民生安定事業における申請事業の完全採択及 び採択基準の緩和を図ること。 <補助対象の拡大・事業の質的向上> エ同法施行令第14条に掲げる公共用の施設等を民生安定事業 の補助対象とするなど、時代の変化に即応した対象範囲の拡大 と、その実現のための法令改正を行うこと。 また、周囲の景観や文化的側面にも配慮するなど、事業の質 的向上を図ること。 (3) 騒音対策の強化【要望先:防衛施設庁・財務省】 <防音工事対象施設等の拡大> ア防音工事に係る補助対象施設を事務所、店舗等に拡大するこ と。 また、随時、騒音調査を行い、砲射撃演習等の騒音に関する 住宅防音工事対象区域の拡大と予算の十分な確保に努めること。 − 20 − <防音工事対象区域等の拡大> イ住宅防音工事については、対象区域の拡大(周回飛行コース 下等)及び全室施工を図るとともに、環境基準達成を目的とし た年次計画をたてて、早急に実施完了するよう努力すること。 また、区域指定後の新築・増改築住宅や防音工事実施済住宅 の建て替えに伴う防音工事の再補助(建て替え防音工事)につ いても、制度の拡充と十分な予算の確保に努めること。 <住宅防音工事区域指定値の見直し> 【要望先:防衛施設庁・財務省・環境省】 ウ第1種区域に係る指定値を、現行の75WECPNLから航 空機騒音の環境基準70WECPNLに改めること。 <防音工事区域指定・変更にあたっての地元意向の尊重等> エ住宅防音工事区域の指定・変更にあたっては、騒音被害の実 態、住宅の分布状況、地形等を考慮し、特に区画については、地 元地方公共団体及び地元住民の意向を十分に尊重のうえ対処す ること。 また、第1種区域内は全て第T工法とするなど防音工事施工 基準の改善及び工事費の限度額の引上げを図ること。 なお、米軍飛行場の運用の変更等により騒音状況に悪化が認 められる場合は、早急に住宅防音区域の指定・変更を実施する こと。 <防音施設維持管理費の全額国庫負担> オ住宅、義務教育施設等の防音施設に係る維持管理費(光熱 費)、耐用年数を経過した空調機器の更新及び一定の年月を経 過し老朽化が著しく、防音効果が低下した建具等の更新につい − 21 − ても全額国庫負担とすること。 特に、生活保護世帯については、さらに充実すること。 <航空機騒音に対する国の措置> カ航空機騒音に関して、次の措置を講ずること。 ・国における基地周辺の常時騒音測定機器の増設等による調 査体制の整備及び測定データの公表 ・国における電話機の増設、人員の確保等苦情処理体制の充 実 ・地元地方公共団体の苦情処理に対する助成 <国による実態調査の実施等> キ航空機騒音の周辺住民に与える影響について、早急に国によ る実態調査を実施し、調査方法及び調査結果を速やかに公表す ること。 また、その結果、受忍限度を超える騒音被害がある場合は、 早急に改善を図るとともに、騒音被害が軽減されるまでの間、 当該調査結果をもとに、地域の実情を踏まえた交付金制度を創 設すること。 <騒音調査に対する助成措置> ク地方公共団体が実施する航空機騒音対策のための騒音調査に ついて、測定機器の整備費・保守管理費及び測定に要する経費 に対する助成措置を講ずること。 <受信料助成区域の拡大等> ケテレビ受信料の助成区域を拡大するとともに、電話通話料の 助成措置を講ずること。 − 22 − (4) 移転補償等の充実、強化【要望先:防衛施設庁・財務省】 <移転補償費の引上げ等> ア移転補償を代替地の取得可能な価格に引き上げるとともに、 移転先の斡旋、移転に伴う損失補償、その他移転促進について、 適切な方途を講じ移転補償費の早期支払いを図ること。 <移転先地における公共施設の整備> イ移転先地における公共施設の整備については、対象施設を拡 大するとともに、全額国庫負担とすること。 <移転補償対象区域の見直し> ウ移転補償の対象区域を騒音被害の実態に即応させるよう対象 区域の見直しを図ること。 <基地の実態を踏まえた移転補償制度の創設> エ基地の実態を踏まえ、事故発生の危険性など騒音被害以外の 要素を考慮した移転補償制度を新たに創設すること。 <農・漁業被害の適正補償> オ農・漁業被害補償の実態を調査し、適正な補償を図ること。 <集団移転の地元負担の軽減> カ集団移転の際には、地元負担軽減のため、特別の財源措置を 講ずること。 <移転補償対象の拡大> キ移転補償の対象範囲を拡大し、告示後の住宅についても対象 とすること。 − 23 − (5) 特定防衛施設周辺整備調整交付金の増額 【要望先:防衛施設庁・財務省】 <交付対象の拡大> ア法第9条に基づき特定防衛施設として指定することができる 防衛施設に「防衛施設が所在する市町村の都市形成に著しく支 障を与える施設」を追加するなど対象施設を拡大するとともに、 告示により指定される特定防衛施設関連市町村には基地所在市 町村のみならず、基地周辺市町村を加えている例があるので、 広く基地周辺市町村の実情を勘案し、対象範囲を広げること。 <市町村合併に伴う措置> イ法第9条に基づく交付金については、市町村合併に伴い、市 町村面積が増加する地域において、合併前と同様の措置がなさ れるよう配慮すること。 <交付金の増額等> ウ交付金の増額を図るとともに、手続きの簡素化を図ること。 <原子力災害対策に係る交付金の増額等> エ原子力艦の原子力災害対策を行う、都道府県を含めた地方公 共団体を新たに交付の対象とするとともに、施設整備に限らず 当該地方公共団体が行う原子力災害対策全般を交付金の対象と すること。 なお、その際、既存の交付市町村への交付額が減少しないよ う配慮すること。 <一括配分等への配慮> オ対象事業の決定及び交付時期については、積雪寒冷地等地域 の実情も考慮して、早期内示、早期交付及び一括配分に配慮す − 24 − ること。 (6) 基地対策従事職員に係る人件費の国庫負担等 【要望先:防衛施設庁・財務省】 基地所在に伴う各種障害防止対策、民生安定対策等基地対策に 従事する職員の人件費についても財政援助をすること。 また、施設区域取得等事務地方公共団体委託費の増額を図るこ と。 (7) 演習場等の賃借料の増額【要望先:防衛施設庁・財務省】 演習場等基地周辺地域の進展や、地域の実情に十分配慮し、適 正な賃借料を確保すること。 (8) 「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施」に係る 住宅防音の早期完了【要望先:防衛施設庁・財務省】 「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施」に係る 砲撃音の住宅防音工事については、予算の十分な確保に努め、指 定区域内の住宅防音工事を早期に完了すること。 (9) 艦船入港時における地方公共団体への財政的支援 【要望先:防衛施設庁・財務省】 米軍の艦船及び米軍に徴用された民間船舶が港湾に出入りする 場合において、地方公共団体が安全確保のために講ずる対策に要 する経費について、財政措置を講ずること。 − 25 − 4 基地交付金(国有提供施設等所在市町村助成交付金)及び調整交 付金(施設等所在市町村調整交付金)等に係る要望 (1) 基地交付金【要望先:総務省・財務省】 ア次により基地交付金予算総額の増額を図ること。 <基地交付金固定資産税相当額の交付> (ア) 基地交付金の有する固定資産税の代替的性格を考慮し、対 象資産に対する固定資産税相当額を交付すること。 <資産評価の適正化> (イ) 国有財産台帳価格の評価替えの期間を固定資産税台帳価格 の評価替え期間と同様の3年とするとともに、近傍類似地域 との格差を是正するなど資産評価を適正なものとすること。 <事実上の提供地の対象資産化> (ウ) 飛行場周辺の買上げ国有地、自衛隊の施設のうち現在対象 外となっている施設、事実上米軍に提供されている状況にあ る財産を対象資産とすること。 イ基地交付金の配分にあたっては、次のことに配慮すること。 <制限水域の準対象資産化> (ア) 一般船舶の運航、港湾施設の使用等に制約を受ける米軍の 制限水域を対象資産に準じた扱いとすること。 <政令控除の廃止> (イ) 国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律施行令 第3条第2項のいわゆる「政令控除」の規定を廃止するこ と。 − 26 − <跡地計画確定までの措置> (ウ) 基地返還後においても跡地利用計画が確定するまでの間、 基地交付金を減額しないよう特に配慮すること。 (2) 調整交付金【要望先:総務省・財務省】 <調整交付金の増額> ア次により調整交付金予算総額の増額を図ること。 (ア) 米軍資産に対する固定資産税相当額を交付すること。 (イ) 地位協定の実施に伴う地方税の非課税分についても全額補 てんするよう措置すること。 <調整交付金の算定根拠の明確化> イ米軍資産の価格、配分率等調整交付金の算定根拠を明確にす ること。 (3) 地域振興策の新設・拡充 【要望先:内閣府・防衛施設庁・財務省】 過大な基地負担の現状を踏まえ、財政的支援を含む地域振興に 係る各種支援策を講ずること。 5 駐留軍等労働者対策及び離職者対策に係る要望 (1) 駐留軍等労働者対策【要望先:防衛施設庁・外務省】 労務費全額日本側負担の実態を踏まえ、日本側の労働条件等決 定権限の強化に努めることにより、駐留軍等労働者に雇用不安等 を与えることのないよう適切な労務管理を図ること。 併せて、労働条件の向上を図るとともに、労働法令に則った労 − 27 − 働安全衛生が円滑に図られるよう努めること。 (2) 離職者対策の充実【要望先:防衛施設庁・厚生労働省】 離職者対策については基本的に雇用主として国に責任があるこ とを明確にし、在職中の職業訓練に十分な期間を確保する等各種 援護措置の充実はもとより、地方駐留軍関係離職者等対策協議会 の設置、運営を都道府県労働局が行うこととするなど離職者対策 等の諸制度を見直すこと。 (3) 地方離職者対策(福祉)センターに対する支援 【要望先:防衛施設庁・厚生労働省】 地方離職者対策(福祉)センターにおける駐留軍等労働者の離 職者対策等に対する国の支援強化を図るとともに、駐留軍等労働 者の離職者対策等を事業の目的とする公益法人の許可等の事務は 都道府県労働局の直接執行とするよう見直すこと。 また、地方公共団体の負担が生じないよう国が責任をもって同 センターを支援すること。 (4)駐留軍離職者に対するアスベスト対策の拡充 【要望先:防衛施設庁】 アスベスト関連作業に従事していた駐留軍離職者に対して、離 職後も特殊健康診断が受けられるよう予算措置を講ずること。 − 28 − 6 周辺事態安全確保法等に係る要望 【要望先:内閣官房・防衛庁・防衛施設庁・総務省・外務省】 <平素からの情報提供等> (1) 周辺事態安全確保法等の運用にあたっては、地方公共団体の懸 念の解消を図るためにも、平素から想定される協力要請にあたっ ての要請経路を含めた省庁別マニュアルを示すなど、積極的な情 報提供と地方公共団体の意見を聴取すること。 <協力要請の際の適時・的確な情報提供等> (2) 周辺事態安全確保法第9条に基づく協力要請の際には、適時・ 的確に情報提供するとともに、地方公共団体の意向を十分尊重す ること。 <「周辺事態安全確保法第9条の解説」の内容の明確化> (3) 「周辺事態安全確保法第9条の解説」において、具体的な内容 が不明確な点については、引き続き、地方公共団体の意見を踏ま え、関係各省庁で調整し、その内容の明確化、具体化を図り、周 知すること。 <法の目的等の周知> (4) 国において、周辺事態安全確保法の目的や趣旨等の周知に努め ること。 − 29 − 7 自衛隊法に基づく警護出動に係る要望 【要望先:内閣官房・防衛庁】 <意見聴取にあたっての情報提供等> 自衛隊法に基づく警護出動の際の関係都道府県知事への意見聴取に あたっては、当該知事が責任ある意見を表明できるよう十分な情報を 提供するとともに、その意見を尊重されたい。