渉外関係主要都道県知事連絡協議会(渉外知事会) 平成21年度「基地対策に関する要望書」で求めた 重点要望に対する国からの説明(回答) ○防衛省 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進 米軍基地の存在により、地元の皆様方は多くの負担を抱えており、その負担軽減は重要な課題と認識している。 このような認識の下、当省としては、従来から米軍の運用上の所要及び地元の御要望等を踏まえつつ、施設・区域の整理、縮小、返還に向け、鋭意努力してきたところである。 具体的には、沖縄県において、平成18年度、いわゆる23事案の一つである嘉手納弾薬庫地区の一部(約58ha)が返還され、SACO最終報告に基づく事案として、読谷補助飛行場(約191ha)、瀬名波通信施設(約61ha)及び楚辺通信所(約53ha)の3施設が全面返還されたところである。 また本土においては、横浜市内の米海軍の6施設、上瀬谷通信施設、深谷通信所、富岡倉庫地区、池子住宅地区(飛び地)、根岸住宅地区、及び小柴貯油施設の一部の返還につきまして、平成16年10月18日の日米合同委員会で基本合意がされており、このうちの小柴貯油施設の一部については平成17年12月に、また、富岡倉庫地区については本年5月25日に、それぞれ日米間の調整が整い、返還が実現している。残りの深谷通信所、上瀬谷通信施設等については池子住宅地区の米軍家族住宅建設の進捗に伴い順次返還される予定である。 他方、今般の在日米軍再編においては、在日米軍の抑止力の維持と地元負担軽減の観点から、平成18年5月に取りまとめられた「再編実施のための日米のロードマップ」に、普天間飛行場の早期移設・返還、嘉手納飛行場以南の人口が密集している地域の相当規模の返還、キャンプ座間の一部及び追加的返還、相模総合補給廠の一部返還及び一部共同使用が示されており、現在、その実現に向け努力しているところである。 いずれにしても、当省としては、引き続き、米軍の運用上の所要を踏まえつつ、地元の御要望等を尊重の上、施設・区域の整理、縮小及び早期返還について最大限努力してまいりたいと考えている。 2 日米地位協定の見直し @ 環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底 (環境部分) - 2 - 在日米軍の施設・区域に係る環境保全については当該施設・区域の周辺住民の生命・健康に係る重要な問題であると認識している。日米地位協定の改定については、連立政権の政策合意を踏まえ、要請をいただいている事項を含め、いかに取り進めていくか、政府全体として検討していくものと考えており、防衛省としても適切に対応していきたいと考えている。 (NLP部分) 御指摘のような航空機による騒音等が周辺住民の皆様方に多大なご迷惑をおかけし、深刻な問題であることは十分承知しており、例えば、空母艦載機夜間着陸訓練(NLP)については、可能な限り硫黄島で行われるよう米側に働きかけるなど飛行場周辺における騒音の軽減が図られるよう努めてきているところである。 当省として、今後とも米側に対し、訓練を行うにあたっては、周辺住民の生活環境にできる限り配慮するよう申し入れてまいりたい。 A 事件・事故に係る安全対策等の確立 当省としては、米軍による事件・事故等について、平素から、米側に対し、隊員の教育や綱紀粛正の徹底を図る等、様々なレベルから申入れを行っており、米軍による事件・事故等が発生した場合には、日米間で合意された「通報手続」等に従い、関係地方自治体等に速やかに通報するとともに、米側に対し、原因究明、再発防止及び安全管理の徹底等について強く申入れを行っている。 この点に係る日米地位協定の改定についても、連立政権の政策合意を踏まえ、要請いただいた事項も含め、今後、取り進め方について政府全体として検討していくものと考えており、防衛省としても適切に対応していきたい。 B 地元意向を尊重する制度の構築 これまで、渉外知事会から、累次の機会に「地域特別委員会」の設置について要望をいただいており、昨年12月に外務省において、松沢会長をはじめとする渉外知事会、在京米国大使館、在日米軍司令部のご理解、ご協力により「第1回連絡会議」が開催されたところである。「第2回連絡会議」の開催については、先月も渉外知事会からご要望をいただいたところであり、外務省と相談をしながら適切に対応をしてまいりたい。 3 国による財政的措置等の新設・拡充 @ 基地交付金の等の増額等 (基地交付金部分) 基地交付金及び調整交付金に係る皆様方からのご要望については、これを所管する総務省によく伝える所存である。 (予算措置部分) - 3 - 平成22年度の基地周辺対策経費の概算要求については、歳出ベースで対前年度比2.6パーセント、約30億円増の1,186億円を要求している。 当省としては、基地周辺対策経費は、防衛施設から生ずる障害を防止・軽減し、基地周辺住民の生活の安定と福祉の向上に必要不可欠な経費であることから、現下の国の厳しい財政事情の下、引き続き、所要額の確保に向けて鋭意努力をしてまいる考えである。 A 地域振興策の新設・拡充 地域振興策に係るご要望については、国、地方とも大変厳しい財政状況の下、難しい問題ではあるものの、今後、勉強してまいりたいと考えている。 B 基地跡地の返還に係る支援 基地跡地の返還に係る支援については、当省が協力できることには限界があるものの、今後とも皆様方の御要望を関係機関にお伝えするなど、当省として行い得ることについて最大限努力してまいりたい。 C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化 駐留軍等労働者が雇用面において不安なく勤務できる状態を確保していくことは、雇用主としての日本政府の立場上当然のことであり、駐留する米軍の任務を円滑に行う面からも重要なことである。 駐留軍等労働者の労働条件等については、米側と調整しながら、逐次その改善を図ってきているところである。 貴県が実施していた駐留軍等労働者の労務管理等事務は、機関委任事務制度の廃止を受けて、平成14年度以降、国及び独立行政法人が引き継いでいるところであり、駐留軍等労働者の離職者対策については、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき、関係省と協力し各種援護措置を実施しており、当省としては、従前の機関委任事務と同様、離職前職業訓練の実施及び特別給付金を支給しているところであるが、今後とも、離職後の生活の安定確保に最大限努力する所存である。 現時点においては、米軍再編に伴う駐留軍等労働者の雇用にかかる詳細が明らかになっていないことから、駐留軍等労働者の雇用への影響について、確たることは申し上げられない。 米軍再編に伴い影響を受ける駐留軍等労働者については、他の施設への配置転換等により雇用の継続を図ることとしており、今までの職種とは異なる職種に配置される場合など、必要な場合については、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法(平成19年法律第67号)に基づき、技能教育訓練等を実施することとしている。 やむを得ず駐留軍等労働者が離職を余儀なくされた場合には、駐留軍関係離職者等臨時措置法の規定に基づき、関係省と連携をとりつつ特別給付金の支給など各種援護措置を実施することとしている。 いずれにしても、当省としては、米軍再編に伴う駐留軍等労働者の雇用の安定確 - 4 - 保については万全を期してまいりたい。 ○外務省 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進 在日米軍再編を進めることは、抑止力の維持と地元負担の軽減から大事なことだと考えている。また、施設・区域の返還については、日米地位協定第2条に基づき検討するということとされており、これまでも政府は、個々の施設・区域について地方公共団体からの返還や使用のあり方についての要望を勘案しつつ随時米側と協議してきた。政府としては、今後とも日米安保体制の目的達成という観点を踏まえつつ個々の施設・区域の実情を踏まえた適切な対応を行っていく考えである。 2 日米地位協定の見直し 日米同盟は日本外交の基軸と位置づけている。来年は日米安保50周年という節目の年であるが、日米同盟については同盟をさらに深化させるよう努めていく考えである。そのような中で日米地位協定についても改定を提起するという与党三党の政策合意も踏まえつつ検討している。 @環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底 日米地位協定については、「改定を提起する」という与党三党の政策合意も踏まえつつ検討している。 なお、環境保全への対応について、在日米軍は米国国防省の指針に沿って米国の国内法上の基準と我が国の国内法上の基準のうちより厳格なものを選択するという基本的な考え方のもとに日本環境管理基準(JEGS)を作成し、これに基づく厳格な環境管理行動をとっているものと承知している。 A 事件・事故に係る安全対策等の確立 日米地位協定については、「改定を提起する」という与党三党の政策合意も踏まえつつ検討している。 米軍人等による事件・事故の発生は遺憾であり、この点については、累次の機会に米側に対し、綱紀の粛正・再発防止の徹底の取組みを申し入れてきている。政府としては、今後とも、米軍人等による事件・事故の防止のため米側や地元関係者とともに知恵を絞り緊密に協力しながら努力していく考えである。 B 地元意向を尊重する制度の構築 日米安保体制の運用については、外交・防衛の責任を有する国(日本政府)が米国政府と協議することを基本とすべきである。その一方で地元の理解と協力が不可 - 5 - 欠であり、政府と地元との調整のあり方については関係省庁と相談しつつ地元の要望を可能な限り満たすべく努力していく所存である。 渉外知事会からご要望を受け、日米合同委員会の枠組みの外ではあるが、昨年12月に渉外知事会、在京米国大使館、及び在日米軍司令部の協力のもと、関係当局たる防衛省、外務省との間で連絡会議の第1回を開催したことは、ご案内のとおりである。渉外知事会からの次回開催についてのご要望は、岡田外務大臣が、直接松沢知事から伺っている。米側、防衛省とも相談をしていきたい。 3 国による財政的措置等の新設・拡充 米軍施設・区域の所在に伴い、周辺住民の方々にご負担をおかけしていることは十分承知しており、地元の過重な負担の軽減を図ることは日米安保体制を安定的な基盤の上に置くことからも重要であると考えている。一方、要望の内容は、直接外務省において所掌するものではないが、米軍施設・区域の所在に伴いご負担をおかけしているということに鑑み、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保するとの観点から必要に応じて関係省庁とも相談しつつ適切に対応していきたい。 新型インフルエンザ対策について 現在、米軍の各施設・区域の診療所等が当該施設・区域を所管する保健所に対し、定期的に報告を行っていると承知している。日米衛生当局間における情報交換に関する日米合同委員会合意の改定については、現在、日本政府内において改定案について検討しているところである。 ○環境省 2 日米地位協定の見直し @ 環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底 ご要望の件は日米地位協定に関する事項であり、外務省が所管しているものと承知している。なお、在日米軍は日米地位協定により我が国の環境法令を尊重し、使用している施設及び区域における作業について、公共の安全に妥当な配慮を払うべき義務を負っているものと承知している。 在日米軍は、活動に伴って環境に著しい影響を及ぼすことのないよう十分に配慮を行うこととしており、このため日本環境管理基準(JEGS)を作成し、これに則した厳格な環境管理行動をとっているものと承知している。 また、在日米軍に係る環境問題が発生した場合には、日米合同委員会の下に設置されている環境分科委員会などの枠組みを活用し、関係省庁と協議しながら対処してまいりたいと考えている。 - 6 - 3 国による財政的措置等の新設・拡充 @ 基地交付金の等の増額等 ご要望の件は、防衛省及び総務省が所管しており、当省が回答する立場にないことはご了承願いたい。 ○内閣府 2 日米地位協定の見直し A 事件・事故に係る安全対策等の確立 原子力発電所等の原子力施設で災害が発生した場合には、災害対策基本法の特別法である原子力災害対策特別措置法が適用されるが、原子力艦で災害が発生した場合には同法は適用されず、災害対策基本法が適用されることになる。このため平成14年4月に防災基本計画を修正し、原子力艦の原子力災害発生時における関係省庁の役割を明確化しており、関係地方公共団体の対応についても、地域防災計画に記載されているところである。 原子力艦の原子力災害発生時、国は、状況に応じ非常災害対策本部及び現地対策本部を設置するとともに、県との現地対策合同会議を開催するなど、国と地方公共団体の連携強化を図ることとしている。内閣府としては、関係省庁、地方自治体等との連携を深め、本件にかかる防災対策に努めて行きたいと考えている。 また、地方公共団体が実施する原子力艦の防災訓練についても、可能な限り協力したいと考えている。 ○総務省 3 国による財政的措置等の新設・拡充 @ 基地交付金等の増額等 基地交付金及び調整交付金(以下「基地交付金等」という。)については、基地交付金等の対象資産価格に対する予算額が少ない状況を考慮し、平成元年から3年毎、固定資産税の評価替えの翌年度に合わせて10億円の増額を図っている。 平成21年度の概算要求については、極めて厳しい財政状況の中ではあるが、基地所在市町村の置かれている実情等にかんがみ、対前年度同額の325億4千万円を要求しているところである。 平成21年度予算については、今後要求額の満額確保に全力で努めていきたいと考えている。 - 7 - ○文部科学省 2 日米地位協定の見直し A 事件・事故に係る安全対策等の確立 文部科学省では、原子力艦に係る放射能調査を行うことにより、原子力艦の原子力事故対策の対応を行ってきた。 今後とも原子力艦に係る放射能調査に関して、関係省庁、地方自治体等と連携し、一層体制が確保されるよう努力していきたい。 ○厚生労働省 3 国による財政的措置等の新設・拡充 C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化 駐留軍関係離職者対策については、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき関係省庁が諸施策を講じているところであるが、厚生労働省としては、当該離職者に対して全額国の負担により就職促進手当等の職業転換給付金を支給しながら、積極的な職業指導、職業紹介及び職業訓練を実施するとともに、これらの者(45歳以上)を雇用する事業主に対して特定求職者雇用開発助成金を支給するなどの援護措置を講じ、再就職の促進を図っている。 また、駐留軍法に基づき設置されている中央駐留軍関係離職者等対策協議会が決定した「駐留軍関係離職者対策の大綱(昭和49年4月)」に基づき、関係省庁が各種の離職者対策を実施することとされており、厚生労働省としては、@離職者の再就職に関する希望の早期把握、Aケースワーク方式によるきめ細かい職業指導・職業紹介、B職業訓練等の充実強化、などの施策を積極的に講じている。 今後とも、離職者が生じた場合には、関係省庁と連携しながら当該離職者の早期就職の促進に万全を期してまいりたい。 なお、地方駐留軍関係離職者対策協議会については、各地域における現状を踏まえた対策が可能となるよう、都道府県または市町村において、地域の関係行政機関相互の連絡調整を図るために設置することが可能となっているものであり、既存の制度については、その必要性を十分に検討のうえ制度化されたものである。 - 8 - ○国土交通省 2 日米地位協定の見直し A 事件・事故に係る安全対策等の確立 米軍による管制業務は、我が国と同様、国際民間航空条約に準拠しており、民間航空の安全な運航の確保について問題はないと考えておりますが、民間航空交通の効率性の向上を図り、今後の民間航空交通の増大に対処するために、日本側が一元的に管制を行うことが適切との観点から、岩国も含め、日米合同委員会民間航空分科委員会において要請しており、今後も、軍民の運用実態を踏まえ、管制権の返還が実現するよう引き続き要望していきます。 なお、横田空域については、平成18年10月の日米間の合意に基づき平成20年9月25日より大幅に削減され、削減された空域の管制権が日本側に返還されました。 また、嘉手納ラプコン返還については、平成16年12月より、航空局管制官が嘉手納ラプコンで訓練を開始しており、平成20年1月に開催された日米合同委員会において、平成21年度末までに移管を完了すること、日米当局は運用所要が満たされることを前提にできるだけ早期の移管に向けて努力を継続することとされました。これを受けて日米当局は移管に向けて努力を行っているところです。