渉外関係主要都道県知事連絡協議会(渉外知事会) 平成22年度「基地対策に関する要望書」で求めた 重点要望に対する国からの説明(回答) ○防衛省 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進 米軍基地の存在により、地元の皆様方は多くの負担を抱えており、その負担軽減は重要な課題と認識している。このような認識の下、当省としては、従来から米軍の運用上の所要及び地元の御要望等を踏まえつつ、施設・区域の整理、縮小、返還に向け、鋭意努力してきたところである。  具体的には、近年、沖縄県においては、本年7月に、いわゆる23事案の一つとして泡瀬ゴルフ場の全部が返還された。また、SACO最終報告に基づく事案として、平成18年度に読谷補助飛行場、瀬名波通信施設及び楚辺通信所の3施設が全面返還されたところである。また本土においては、横浜市内の米海軍の6施設、上瀬谷通信施設、深谷通信所、根岸住宅地区、小柴貯油施設、富岡倉庫地区、池子住宅地区及び海軍補助施設の飛び地部分の返還と池子住宅地区の家族住宅の整備については、平成16年10月の日米合同委員会で合意されているところである。これまで、小柴貯油施設と富岡倉庫地区については、返還が実現したところであるが、防衛省としては横浜市内の施設の返還につながる池子住宅地区の家族住宅建設の諸問題の解決に向けて取り組むとともに、残る4施設の早期返還の実現に向けて引き続き努力をしていきたい。  また、佐世保地区においても、地元の御要望である「新返還6項目」の実現に取り組んでおり、これまで赤崎貯油所に係る2項目の返還が実現したところである。今後も、引き続き、残る項目の実現に向けて努力していきたい。  さらに、平成18年5月に取りまとめられた「再編実施のための日米のロードマップ」では、在日米軍再編については、在日米軍の抑止力の維持と地元負担軽減の観点から、普天間飛行場の早期移設・返還、嘉手納飛行場以南の人口が密集している地域の相当規模の返還、キャンプ座間の一部及び追加的返還、相模総合補給廠の一部返還及び一部共同使用が示されており、現在、その実現に向け努力しているところである。  加えて、本年5月の日米合意を踏まえつつ、沖縄に集中している基地負担の軽減にも全力を挙げて取り組んでまいりたい。具体的には、訓練移転の拡充、グアム移転事業の着実な実施、嘉手納以南の施設・区域の返還の促進、ホテル・ホテル訓練区域の一部解除等といった各種負担軽減策について実現するべく米側と協議してきているところである。  いずれにしても、当省としては、引き続き、米軍の運用上の所要を踏まえつつ、地元の御要望等を尊重の上、施設・区域の整理、縮小及び早期返還について最大限努力してまいりたいと考えている。 2 日米地位協定の見直し 日米地位協定については、御要請いただいた事項も含め、今後とも日米同盟をさらに深化させるよう努めていく中で、普天間飛行場移設問題など他の喫緊の課題の進展を踏まえつつ政府全体として検討していくものと考えている。防衛省としても、適切に対応してまいりたい。 @ 環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底 (環境)  在日米軍施設・区域に係る環境保全については当該施設・区域周辺住民の生命、健康にかかわる重要な問題であると認識している。在日米軍については、日米地位協定第3条第3項に基づき施設・区域の使用に際して公共の安全に妥当な考慮を払うこととされており、環境保全についても妥当な好意を払うことについては同協定上の在日米軍の義務となっている。 在日米軍は、日米の環境法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的な考えのもとで作成した日本環境管理基準(JEGS)に従って環境保護及び安全のための取組みを行う旨表明しており、これに基づき厳格な環境管理行動をとっているものと承知している。政府としては、在日米軍施設・区域に関する環境問題については、日米合同委員会の下に設置されている環境分科委員会等を通じて適切に対処することとしている。防衛省としても係る取組みに十分に努力してまいりたい。  なお、本年5月28日の「2+2」の共同発表にあるとおり、今後、日米両政府の事務当局間で環境関連事故の際の米軍施設・区域への合理的な立入り、返還前の環境調査のための米軍施設・区域への合理的な立入りを含む「環境に関する合意」について速やかに、かつ、真剣に検討することとしており、今後、日米間で設置される新たな作業部会で議論がなされるものと承知している。 (飛行訓練等)  飛行訓練に伴う騒音等の対応としては、例えば、空母艦載機夜間着陸訓練(NLP)については、可能な限り多くの訓練が硫黄島で行われるよう引き続き米側に働きかけるなど飛行場周辺における騒音の軽減が図られるよう努めてきているところである。  また、射撃や戦車等の通行に伴う騒音等への対応としては、例えば、沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散実施における夜間射撃を必要最小限にするよう米側に申し入れるほか、自衛隊の戦車の走行速度を最低限にするというような措置を講じている。  当省としては、今後とも米側の訓練等に際しては、周辺住民の生活環境にできる限り配慮するよう申し入れを続けてまいりたい。 A 事件・事故に係る安全対策等の確立  当省としては、米軍による事件・事故等については、平素から、米側に対し、隊員の教育や綱紀粛正の徹底を図る等、様々なレベルから申入れを行っているところ、米軍による事件・事故等が発生した場合には、日米間で合意された「通報手続」等に従い、関係地方自治体等に速やかに通報するとともに、米側に対し原因究明、再発防止及び安全管理の徹底等について強く申入れを行っている。 B 地元意向を尊重する制度の構築  平成20年12月に外務省において、松沢会長をはじめとする渉外知事会、在京米国大使館、在日米軍司令部の御理解、御協力により「在日米軍施設・区域に係る日米両政府の代表及び渉外知事会との連絡会議」が開催されたところである。日米安保体制を支える上で極めて重要な役割を果たしていただいている地元地方公共団体の皆様方と日米両政府が一堂に会する会議が開催できたことは画期的なことであると考えている。防衛省としては、「連絡会議」等を通じて、渉外知事会をはじめとする地元の皆様方との意思疎通を図ってまいりたいと考えている。引き続き、御理解と御協力のほどよろしくお願いしたい。  他方、御要望の「日米合同委員会の中に基地を有する地方公共団体の代表者が参加する地域特別委員会を設置するよう見直すこと」については、外務省から日米地位協定に基づく同委員会は政府間の協議機関であり、同委員会の枠組みに地方公共団体が直接参加することは難しいと聞いている。 3 国による財政的措置等の新設・拡充 @ 基地交付金等の増額等 (基地交付金部分)  基地交付金等に係る事務は、総務省の所管であるが、防衛施設の設置・運用等をつかさどる防衛省としても、今回の皆様方からの御要望につきまして、総務省に対しよくお伝えしてまいる所存である。 (予算措置部分)  基地周辺対策は、防衛という国民全体の利益のために特定の地域住民の方々、あるいは地方公共団体が被る不利益を公平の観点から是正する措置であり、その必要性については十分認識しているところである。財政事情の厳しい中ではあるが、政府として、基地周辺対策経費の所要額の確保に向けて引き続き努力を続けていきたい。 A 地域振興策の新設・拡充  地域振興策の新設・拡充に係るご要望については、関係機関とも連携をしつつ、防衛省として行え得ることについて、引き続き最大限努力してまいりたい。 B 基地跡地の返還に係る支援  基地返還後の国有地の利用に関し、当省が協力できることには限界があるものの、今後とも皆様方の御要望を関係機関にお伝えするなど、当省としてできる限り努力してまいりたい。 C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化  駐留軍等労働者が雇用面において不安なく勤務できる状態を確保していくことは、雇用主としての日本政府の立場上当然のことであり、駐留する米軍の任務を円滑に行う面からも重要なことである。  駐留軍等労働者の労働条件等については、米側と調整しながら、逐次その改善を図ってきているところである。 駐留軍等労働者の離職者対策については、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき、関係省と協力し各種援護措置を実施しており、今後とも、離職後の生活の安定確保に最大限努力する所存である。  米軍再編に伴う駐留軍等労働者の雇用への影響については、現時点においてはその詳細が明らかになっていないことから、確たることは申し上げられないが、いずれにしても当省としては、米軍再編に係る駐留軍等労働者の雇用の安定確保について万全を期してまいりたい。 ○外務省 1 基地の整理、縮小及び早期返還の促進  在日米軍の再編を進めることは、米軍の抑止力を維持しつつ地元の負担を軽減するとの観点から重要である。また、施設・区域の返還については、日米地位協定第2条に基づき検討することとされており、これまでも政府は、個々の施設・区域について地方公共団体からの返還や使用のあり方等に関する要望を勘案しつつ随時米側と協議してきた。政府としては、今後とも日米安保体制の目的達成という観点を踏まえつつ個々の施設・区域の実情を踏まえた適切な対応を行っていく考えである。 2 日米地位協定の見直し  日米地位協定については、これまでも環境や刑事などのさまざまな分野で改善を図ってきており、今後とも日米同盟をさらに深化させるよう努めていく中で、普天間飛行場移設問題など、他の喫緊の課題の進展を踏まえつつ、対応を検討することとしている。 なお、本年5月28日の2+2共同発表では、環境関連事故の際の米軍施設・区域への合理的な立入り、返還前の環境調査のための米軍施設・区域への合理的な立入りを含む環境に関する合意を速やかに、かつ、真剣に検討することとされている。本年10月25日の沖縄政策協議会米軍基地負担軽減部会で前原外務大臣が述べたとおり、施設・区域への合理的立入りを含む環境に関する合意を議論する新たな作業部会を設置することになったところである。 @ 環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底  本年5月28日の2+2共同発表では、環境関連事故の際の米軍施設・区域への合理的な立入り、返還前の環境調査のための米軍施設・区域への合理的な立入りを含む環境に関する合意を速やかに、かつ、真剣に検討することとされている。本年10月25日の沖縄政策協議会米軍基地負担軽減部会で前原外務大臣が述べたとおり、施設・区域への合理的立入りを含む環境に関する合意を議論する新たな作業部会を設置することになったところである。  いずれにせよ、米軍が我が国の公共の安全等に妥当な考慮を払って活動すべきことは言うまでもなく、政府としてはこれまでも米側に対し、地元住民の方々の生活に配慮するよう申し入れてきており、今後とも申入れを継続していく。 A 事件・事故に係る安全対策等の確立  事件・事故は、米軍によるものであれ、それ以外のものによるものであれ、本来あってはならないものであり,米軍人等による事件・事故が発生するたびに米側に対して綱紀粛正、再発防止の徹底への取組みを申し入れてきたところである。  本年10月25日の沖縄政策協議会米軍基地負担軽減部会で前原外務大臣が述べたとおり、米軍人等による事件・事故の問題をはじめとする諸問題を議論する外務大臣、駐日大使間の会合を開催する運びである。 B 地元意向を尊重する制度の構築  日米安保体制の運用については、我が国の外交・防衛に責任を有する政府が、米国政府と協議することを基本とすべきである。その一方で、地元の理解と協力は不可欠であり、政府と地元との調整のあり方については、関係省庁と相談しつつ、地元の要望を可能な限り満たすべく努力していく。  渉外知事会からの要望を受け、日米合同委員会の枠組みの外ではあるが、平成20年12月に渉外知事会、在京米国大使館、在日米軍司令部、及び防衛省の協力のもと、連絡会議の第1回が開催された。渉外知事会からの次回開催についての要望は承っているので、今後、米側、防衛省とも相談をしていきたい。 3 国による財政的措置等の新設・拡充  米軍施設・区域の所在に伴い、周辺住民の方々にご負担をおかけしていることは十分承知しており、地元の過重な負担の軽減を図ることは日米安保体制を安定的な基盤の上に置くことからも重要であると考えている。 一方、要望の内容は、直接外務省において所掌するものではないが、米軍施設・区域の所在に伴い周辺住民の方々にご負担をおかけしているということに鑑み、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保するとの観点から必要に応じて関係省庁とも相談しつつ適切に対処していきたい。 ○環境省 2 日米地位協定の見直し @ 環境法令等国内法の遵守及び環境対策の徹底  ご要望の件は、日米地位協定に関する事項であり、外務省が所管しているものと承知しております。  なお、合衆国軍隊は日米地位協定により、我が国の環境法令を尊重し(第16条)、使用している施設及び区域における作業について、公共の安全に妥当な配慮を払うべき義務(第3条)を負っているものと承知しております。  このため合衆国軍隊は、その活動に伴って環境に著しい影響を及ぼすことのないよう十分な配慮を行うこととしており、「日本環境管理基準(JEGS)」を策定し、これに即した厳格な環境管理行動をとっているものと承知しております。 また、合衆国軍隊に係る環境問題が発生した場合には、日米合同委員会の下に設置されている環境分科委員会の枠組みなどを活用し、関係省庁と協議しながら、対処してまいりたいと考えております。 3 国による財政的措置等の新設・拡充 @ 基地交付金の等の増額等  基地交付金、調整交付金及び基地に起因する騒音に係る予算措置に関しては、防衛省が行っているものと承知している。 ○内閣府 2 日米地位協定の見直し A 事件・事故に係る安全対策等の確立 原子力艦に係る原子力災害の場合には、防災基本計画において、原子力艦の原子力災害発生時における関係省庁の役割を明確化し、関係地方公共団体の対応についてはそれぞれの地域防災計画に記載されているところである。 原子力艦の原子力災害発生時、国は、状況に応じ非常災害対策本部及び現地対策本部を設置するとともに、関係地方公共団体との現地対策合同会議を開催するなど、国と地方公共団体の連携強化を図ることとしている。 ○総務省 3 国による財政的措置等の新設・拡充 @ 基地交付金等の増額等  平成元年度から3年毎に、基地交付金及び調整交付金合わせて10億円の増額を図ってきたところであり、平成22年度予算においては、対前年度比10億円増の335億4千万円を計上している。  平成23年度予算については、前年度比10%削減という概算要求組替え基準のもと、基地交付金及び調整交付金は、前年度と同額で概算要求を行っている。 今後とも、基地交付金等の有する性格及び基地所在市町村のおかれている実情等を考慮しながら、所要額の確保に努めてまいりたい。 ○文部科学省 2 日米地位協定の見直し A 事件・事故に係る安全対策等の確立  文部科学省では関係省庁、関係自治体等の協力を得て原子力艦放射能調査を実施しております。また常設のモニタリングポストによる24時間の放射線監視も実施しております。  寄港中のモニタリング結果については、速やかに関係機関に連絡するとともに公表を行っており、迅速な連絡体制が取られていると認識しております。  文部科学省としては、引き続き、万全な原子力艦放射能調査体制の確保に努めてまいります。 ○厚生労働省 3 国による財政的措置等の新設・拡充 C 駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充・強化 駐留軍関係離職者対策については、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき関係省庁が諸施策を講じているところであるが、厚生労働省としては、当該離職者に対して就職促進手当等の職業転換給付金を支給しながら、積極的な職業指導、職業紹介及び職業訓練を実施するとともに、これらの者を雇用する事業主に対して特定求職者雇用開発助成金を支給するなどの援護措置を講じ、再就職の促進を図っている。 また、駐留軍法に基づき設置されている中央駐留軍関係離職者等対策協議会が決定した「駐留軍関係離職者対策の大綱(昭和49年4月)」に基づき、関係省庁が各種の離職者対策を実施することとされており、厚生労働省としては、@離職者の再就職に関する希望の早期把握、Aケースワーク方式によるきめ細かい職業指導・職業紹介、B職業訓練等の充実強化、などの施策を積極的に講じている。 今後とも、離職者が生じた場合には、関係省庁と連携しながら当該離職者の早期就職の促進に万全を期してまいりたい。 なお、地方駐留軍関係離職者対策協議会については、各地域における現状を踏まえた対策が可能となるよう、都道府県または市町村において、地域の関係行政機関相互の連絡調整を図るために設置することが可能となっているものである。 既存の制度については、その必要性を充分に検討の上制度化されたものであるため、現行制度を見直す予定はない。 ○国土交通省 2 日米地位協定の見直し A 事件・事故に係る安全対策等の確立 米軍による管制業務は、我が国と同様、国際民間航空条約に準拠しており、民間航空の安全な運航の確保について問題はないと考えておりますが、民間航空交通の効率性の向上を図り、今後の民間航空交通の増大に対処するために、日本側が一元的に管制を行うことが適切との観点から、岩国も含め、日米合同委員会民間航空分科委員会において要請してきているところです。 横田空域については、平成18年10月の日米間の合意に基づき平成20年9月25日より大幅に削減され、削減された空域の管制権が日本側に返還されました。 また、嘉手納ラプコンについては、平成22年3月31日に沖縄本島上空及び周辺の進入管制業務の責任が米国から日本国に移管されました。