県民会議からの提案に関する参考資料 平成24年3月 目次 1 提案にあたって・・・・・1ページ 2 提案内容の現状と取組み事例・・・・・2ページ (1)バリアフリー教育の充実・・・・・2ページ ア 小中学生向けバリアフリー教育の充実・・・・・2ページ イ 高校におけるバリアフリー教育モデル事業の実施・・・・・3ページ ウ 地域での自発的なバリアフリー教育の実施(地域の絆やコミニティ再生)・・・・・4ページ エ 協力と連携の包括協定を活用した事業者との協働事業の実施・・・・・5ページ (2)多様な人が住まう「街」への気づき、障害者理解の推進・・・・・6ページ   ア 障害当事者間の相互理解、点字ブロック上の障害物撤去・・・・・6ページ   イ 障害者用駐車場の利用方法・・・・・7ページ   ウ 街中のトイレの情報提供やオープン利用に取組むNPO法人との協働事業・・・・・8ページ (3)安心して出かけられる「街」の実現を目指して・・・・・9ページ   ア バリアフリー関連情報充実・・・・・9ページ   イ 駅、道路等の安全な移動経路の確保・・・・・10ページ   ウ 計画停電時などの安全なハード運用の確保・・・・・13ページ   エ 移動、災害時の案内板、伝達方法など情報保証・・・・・14ページ   オ バリアフリー、ユニーバーサルデザインに配慮した施設整備・・・・・15ページ (4)条例適合率・遵守率向上に向けた取組み・・・・・18ページ (5)施設の計画段階における関係者の参画・・・・・19ページ 1 提案にあたって   県民意見では、高齢者や障害者等の方にとって、未だ社会の中にバリア(障壁)が存在するため、バリア(障壁)を  取除いていくことの必要性を問うものがある。   このため、本提案では、「ユニバーサルデザイン」に基づくすべての人々が暮らしやすい社会づくりを目標とするが、  具体の事業においては、「バリアフリー化」「バリアフリー教育」といった表記も併用する。 ○ 「バリアフリーの街づくり」とは   障害者、高齢者、妊産婦、乳幼児連れの方などが安心して生活し、自らの意思で自由に移動し、及び社会に参加できる  街づくりのこと。  (県では、少子高齢化の進行やユニバーサルデザインに関する意識の高まりなど、社会状況の変化に対応するため、平成  20年12月に「みんなのバリアフリー街づくり条例」として改正を行っている。) ○ 「ユニバーサルデザイン」とは   製品や建物、環境を障害、年齢、性別、国籍など、人がもつそれぞれの違いを超えて、あらゆる人が利用できるように、  はじめから考えてデザイン(計画、設計)すること。 ユニバーサルデザインとバリアフリー(神奈川県ユニバーサルデザイン指針より抜粋) ○ ユニバーサルデザイン   定義:はじめから使いやすい(バリアがない)ようにすること(バリアがないことが前提)   対象:性別、年齢、国籍、障害の有無にかかわらず、すべての人々が利用できるように整備する(対象は不特定)   具体的な事例:みんなのトイレの設置(高齢者、障害者だけでなくだれもが利用できる。)、幅の広い歩道や段差のない   歩道の整備(はじめから段差等のバリアがなくだれもがあるきやすい) ○ バリアフリー   定義:ハードや整備などの既存のバリアを取除くこと(バリアがあることが前提)   対象:主に高齢者、障害者等の利用を念頭において整備する。(対象は特定)   具体的な事例:車いす対応トイレの設置(車いすの方の利用を想定している)、歩道の拡幅や段差を解消するための整備  (既にある段差等のバリアを取り除く) 2 提案内容の現状と取組み事例 (1)バリアフリー教育の充実  ア 小中学生向けバリアフリー教育の充実  (ア)現状     学校教育では、障害のある幼児児童との交流や共同学習、「総合的な学習の時間」として高齢者との交流、車いす体験、    高齢者擬似体験等の学習活動などを行い、課題発見・解決能力・コミュニケーション能力等の向上を図っている。    県保健福祉事務所では、普及啓発事業として、管内の小学校、教育委員会、市町村の協力を得て、バリアフリー体験など    の教室を開催している事例がある。  (イ)取組み事例  【バリアフリー街づくり賞受賞者の取組み】   ○平塚市立太洋中学校における災害時要援護者支援の取組み    中学校の1〜3年生が災害時における高齢者、障害者等の要援護者を支援する活動を体験する取組み   ○南足柄市立岡本小学校における福祉教育の取組み   「福祉の心を育てる」をテーマに車いす等の福祉体験や学習発表会の実施などを通し、「心のバリアフリー」を学ぶ取組み  【県保健福祉事務所における取組み】   ○鎌倉市立稲村ケ崎小学校    福祉教育実践研修会で、手話ソング、アイマスク体験により障害者の不便さや気持ちを知り、自分にできることを考える    取組み   ○夏休み親子ふれあい講座「ユニバーサルデザイン探検隊」    ユニバーサルデザインの学習、高齢者体験装具や車椅子使用による体験学習、茅ヶ崎駅周辺のバリアフリー建築物点検の    取組み   ○港地区・太洋集学校災害対応講習会における色覚障害者の疑似体験    平塚市立大洋中学校において、災害対応の講習会において、色覚障害について学び、疑似体験を実施する取組み  【県内での取組み】   ○藤沢市の心のバリアフリーハンドブック    外出先や買い物等で困っている人を見かけたときの手助け方法などをイラストや写真を使って紹介、小学校の福祉教育など    で活用   ○座間市立南中学校    総合的な学習の時間を使い「共に生きる」をテーマに、ボランティア団体から身体の不自由な人や高齢者との接し方や技術    を学習  イ 高校におけるバリアフリー教育モデル事業の実施  (ア)現状     県立高校では、ユニバーサルデザインの考え方の学習を行い、高齢者や障害者を思いやり、いたわる気持ちを持つ豊かな人間    性を育み、高齢者等の自立を支援する能力や技術をもった人材の育成を進めている。     県立工業高校では、学習の一環として、ユニーバサルデザインに配慮した製品の研究開発を行っている。     県保健福祉事務所では、バリアフリーの普及啓発事業として、管内の高等学校の協力を得て、バリアフリー体験などを開催し    ている事例がある。  (イ)取組み事例  【県保健福祉事務所における取組み】   ○三浦臨海高等学校文化祭    高校の文化祭で高齢者疑似体験、色弱模擬フィルタ「バリアントール」疑似体験等による普及啓発の取組み  【バリアフリー街づくり賞受賞者の取組み】   ○みうら青年ボランティアビューロー    高校生を中心としたボランティア団体が、自ら車椅子で三浦市内の施設を点検し、市と協働してバリアフリーマップを作成  ウ 地域での自発的なバリアフリー教育の実施(地域の絆やコミニティ再生)  (ア)現状     県内の各地域では、社会福祉協議会、ボランティア団体、地域住民などが自ら学校の現場に出向き、まち点検や障害者体験教室    を開催したり、市民講座を開催し、福祉教育の在り方を検討するなどの普及啓発などに取組んでいる事例がある。  (イ)取組み事例  【バリアフリー街づくり賞受賞者の取組み】   ○バリアフリー・まち点検実行委員会    愛川町の住民が小・中・高等学校や福祉関係団体等と連携し、まち点検活動、点検に基づく提案の実施、道路等の改善への取組み   ○伊勢原・福祉のまちづくりを進める会    伊勢原市内の小学校で、体験型バリアフリー教室を実施し、車椅子等の体験学習   ○社会福祉法人逗子市社会福祉協議会福祉教育拡充チーム    福祉教育の在り方を検討し、関係者及び市民に対して、「心のバリアフリー」を始めとした福祉教育の理念普及、実践への取組み  【県内での取組み】   ○秦野市社会福祉協議会での取組み    秦野市立本町小学校4年生が参加し、車いす利用者、視覚障害者、聴覚障害者などの福祉体験サポーターとまち点検の実施  【障害や障害者理解への取組み】   ○障害者理解促進事業障害者AtoZ 出前講座(神奈川県委託事業)    公共交通機関、宿泊施設、百貨店、飲食店など接客対応が求められる企業等の社員研修に障害当事者を派遣  エ 協力と連携の包括協定を活用した事業者との協働事業の実施  (ア)現状     県では、「連携と協力に関する包括協定」をスーパーマーケット、コンビニエンスなどの事業者と締結し、広報誌「県のたより」等    の配架による県政情報の発信を行うほか、子育て支援、高齢者・障害者支援など多分野での連携と協力を進めている。     包括協定先(順不同):株式会社ファミリーマート、株式会社セブン-イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社そごう・    西武、株式会社サークルKサンクス、株式会社スリーエフ、イオン株式会社、中日本高速道路株式会社  (イ)取組み事例   ○子育て支援    「かながわ子育て応援パスポート」授乳室などの設備、割引・優待サービス等の提供により子育て家庭の外出を応援   ○高齢者支援    「認知症サポーター養成講座」認知症についての正しい知識を習得し、認知症の方を応援   ○障害者支援    障害者への理解や障害者の地域における社会参加を促進するため、障害特性を配慮した接客応対等に関する研修実施   ○包括協定に基づく取組み例    「かながわ子育て応援パスポート」への協力利用者登録関連イベント     (子育て支援情報サービスかながわより: 社団法人かながわ福祉サービス振興会運営)     問い合わせ神奈川県保健福祉局 福祉・次世代育成部次世代育成課 (2)多様な人が住まう「街」への気づき、障害者理解の推進  ア 障害当事者間の相互理解、点字ブロック上の障害物撤去  (ア)現状     歩道等において、視覚障害者を誘導する視覚障害者誘導ブロック(点字ブロック)は、視覚障害者にとっては歩行の安全を確保する大切    な役割をもっている。     一方、車いす利用者や高齢者、ベビーカー利用者からは、敷設された点字ブロックにつまづくことや通過時の振動による身体影響など    を訴える声もあり、立場により考え方が相反している。     点字ブロックの色は、黄色を原則としているが、周辺床材と敷設された点字ブロックの濃淡差がわかりにくいものを使用するなど色弱    者や色覚障害者が判別できないものが設置されている事例がある。     また、点字ブロック上にバイク、自転車、荷物、看板などを置いて、視覚障害者の歩行の妨げになっている事例がある。  (イ)取組み事例   ○障害当事者サポーター養成事業における取組み    研修時に車いす利用者によるアイマスク体験、視覚障害者による車いす体験などを通じ、障害当事者間の相互理解への取組み   ○心のバリアフリーに関する普及啓発    点字ブロック上にものを置かないように、点字ブロックの必要性や、心がけについて広報誌やホームページで呼びかけ   ○新たなる試み事例:カラーバリアフリーや車いす利用に配慮した点字ブロック研究    東京大学では、周辺部の背景とも調和のとれる色使いで、車輪通行部分に凹凸面がない点字ブロックの敷設実験、研究を実施中  イ 障害者用駐車場の利用方法  (ア)現状     バリアフリー街づくり条例では、一定規模の施設をつくる場合、車いす利用者などが利用できる駐車区画の確保を行うこととしており、    ドアを全開にしないと自動車への乗降が困難な車いす利用者などのために整備基準で幅を広くしている。     しかし、こうした駐車区画は、店舗近くに設置されていることなどから、必要のない方が駐車してしまい、車いす使用者が駐車できない    ことがある。  (イ)取組み事例   ○心のバリアフリーに関する普及啓発    必要のないかたは車いすマークのついた駐車区画に車を停めないよう心がけについて広報誌やホームページで呼びかけ   ○パーキング・パーミット制度    身体障害者用駐車場の適正利用を図るため、当該駐車場を設置する事業所等の協力を得て、利用対象者を明らかにする利用証を交付し、    駐車スペースを確保する制度。24府県、3市で実施中(H24.2.1現在)   ○民間施設での車いす使用者専用駐車場の確保    県内では民間事業者において、一般車両が入れない車いす専用駐車場を整備している事例がある。    【アリオ橋本:バリアフリー街づくり賞受賞】     事前登録し配付されたリモコンで専用ゲートを開閉し、車いす使用者専用駐車場(9台)を確保    【イオン久里浜店】     事前登録し配付されたリモコンで専用ゲートを開閉し、車いす使用者専用駐車場(7台)を確保  ウ 街中のトイレの情報提供やオープン利用に取組むNPO法人との協働事業  (ア)現状     だれもが、安心して出かけるためには、街中のトイレの情報は大変重要であるが、街中のトイレは数も多く、バリアフリー化などの設備    状況、気軽に利用できるのかなど、情報更新の維持管理負荷が大きい。     携帯電話、スマートフォンなどの情報通信機器の進展に伴い、事業者の中には、一般の方から街中にあるトイレ設備などの情報を随時登録    し、これを提供する仕組みを構築している事例がある。     また、みんなのトイレは、様々な方の利用が可能なことから、必要以上にトイレ内を占有したり、乳幼児用ベットの収容を忘れたために    車いす利用の方が利用できないなど、利用方法についても意見が寄せられている。  (イ)取組み事例   ○NPO法人によるオープントイレプロジェクトの取組み    NPO法人Check:一般利用者が更新、閲覧可能な日本全国の多機能トイレ情報をインターネット上で共有するサービス「Check A Toilet」を    構築 (携帯電話等での利用も可)    オープントイレプロジェクト:「誰もが気軽に借りることができる」多機能トイレ、一般トイレをインターネットや店舗・施設の入口に貸    出しサインを掲示する事業(元町・中華街・山下地区で開始)  身体障害者手帳交付者数の推移(障害別) 各年度3月31日現在  年度、総数、視覚障害、聴覚・平衡機能障害、音声・言語・そしゃく機能障害、肢体不自由、内部障害  H18年度、229,751、16,973、19,752、2,451、128,176、62,399  H19年度、235,620、17,070、20,121、2,479、130,956、64,994  H20年度、240,983、17,216、20,542、2,516、133,465、67,244  H21年度、245,951、17,321、20,948、2,538、135,798、69,346  H22年度、251,146、17,333、21,246、2,585、137,873、72,109 (3)安心して出かけられる「街」の実現を目指して  ア バリアフリー関連情報充実  (ア)現状     街中のバリアフリー施設、道路、交通情報などを「バリアフリーマップ」として提供している事例がある。(災害時の情報関係は後述)    また、旅行支援として、障害者や高齢者などの観光の際に看護師やホームヘルパーを提供する取組み事例もある。  (イ)取組み事例   ○市町村のバリアフリーマップ情報    県内では、横浜市、相模原市、横須賀市、鎌倉市、三浦市が独自のバリアフリーマップを作成し、ホームページ上で情報提供   ○民間のバリアフリーマップ情報等   ・「Check A Toilet」一般利用者が更新、閲覧可能な日本全国の多機能トイレ情報をインターネット上で共有するサービス(再掲)   ・公益社団法人日本オストミー協会神奈川支部では、オストメイト対応の設備が設置されたトイレの情報をホームページ上で公開   ・社団法人神奈川県観光協会では、県内の観光地のバリアフリー施設の情報をホームページ上で公開(「観光かながわNOW」)   ・箱根温泉旅館協同組合では、箱根の温泉のバリアフリー対応宿泊施設情報の検索ができるホームページを構築「箱ぴた」   ・日本旅行業協会:バリアフリー旅行の案内   ・全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会:高齢者、障害者にも安心な宿情報案内   ○触る地図横浜バリアフリーマップ    横浜市協働事業提案制度モデル事業で視覚障害者に対応した触る地図を作成、視覚障害者や車椅子利用者が作成段階から参加    他の都道府県での新たな取組み   ○伊勢志摩バリアフリーツアーセンター    バリアフリー観光案内センターとして宿泊、観光施設、旅行アドバイスを障害者を含むスタッフが常駐で行うNPO法人   ○京都バリアフリー観光案内所    株式会社旅のお手伝い楽楽が、バリアフリー観光情報提供、旅行をサポートしてくれる看護師やホームヘルパーを提供  イ 駅、道路等の安全な移動経路の確保  (ア)現状   ○駅(鉄道)    県内の駅舎では、鉄道事業者、県、市町村が連携し、エレベータ設置など237駅(H23.3現在)がバリアフリー化されている。   乗降客の安全、安心確保のためにホームドア(ホームからの転落や列車との接触事故防止のため、プラットホームの線路に面する部分に設置   される、可動式の開口部を持った仕切り)、音声案内付触知案内板、高さを調整した券売機、車いす対応改札口、カラーバリアフリーに配慮   した案内板の設置事例がある。    また、困った方を見つけた場合の声かけ運動の実践も行われている。   ○バス    出入口の段差をなくし乗降を容易にした低床バス(ノンステップバス)の導入、車いす固定ベルトの色分けによる固定時間の短縮化、車いす、   ベビーカー利用者用専用降車ボタンの設置、運行状況を情報提供として接近掲示板、歩道のバス乗降場所の改良事例がある。   ○タクシー    後部左座席が可動して乗降が容易になるウェルキャブ車、車いすやストレッチャーなどを直接積むことができるリフト付タクシーの導入事例   がある。   ○道路    歩行者の安全確保に配慮した歩道、立体横断施設、視覚障害者用信号機などの整備、整備後には道路パトロールによる維持管理を実施している。  (イ)取組み事例  【好事例集】   ○だれもが利用しやすい施設・お店好事例集    県内の各店舗(企業)での設備や接客など障害者に対する配慮や積極的なバリアフリー化に取り組んでいる事例集。公共交通機関の事例集も掲載  【バリアフリー街づくり賞受賞者の取組み】   ○箱根根ロープウェイ駅舎・ターミナル、ゴンドラ、箱根海賊船    箱根ロープウェイの早雲山〜大涌谷〜桃源台間の駅舎、ターミナル、ゴンドラ、箱根海賊船の改良などの一体的・連続的なバリアフリー化の実施   ○海老名駅駅舎部自由通路    自由通路の整備、視覚障害者誘導用ブロック、周辺案内板に音声信号の設置などにより分断されていた駅を一体化   ○川崎駅東口駅前広場及び東西連絡歩道橋    バス島の集約、エレベータ増設、東西連絡歩道橋の整備などにより歩行者の移動の円滑化、駅周辺の回遊性の向上  【県内での取組み】   ○平塚駅北口駅前広場のバリアフリー化    バス乗降場をロータリーの外側(歩道沿い)に配置、エレベーターの設置により、安全、便利な移動の円滑化   ○鎌倉駅西口のバリアフリー化    JR駅構内バリアフリー化、鎌倉駅西口から市役所等へ通ずる歩道の整備や段差の解消などを実施。歩道の材質やデザインの市民意見、小学校の    冠木門などとの景観に配慮した整備を実施 ○相模鉄道株式会社の人に優しい駅づくり    駅係員のサービス介助士2級の資格取得、接遇向上研修、普通救命講習の受講、全駅にAED、コミュニケーションボード、筆談機、車いすを設置   ○東日本旅客鉄道株式会社横浜支社    駅係員のサービス介助士2級の資格取得、サービスマネージャーの配置、簡易筆談器やバリアフリー設備案内パンフレットの設置   ○横浜市交通局での取組み    内閣府バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰:交通案内図、運賃表、行先案内図、所要時間案内図、構内案内図、トイレ案内図など    を工夫し誰でも見やすくわかりやすいサイン実現  【参考となる県民意見】   ○相模原市の光ヶ丘地区での取組み    相模原市の光ヶ丘地区で、16年前から、まち点検をやっている。その点検のおかげで、道路の陥没したところを優先的に直してもらえた。また、    通学路が広くなったり、段差がなくなった。初めは社協が主体的になって取り組んでいたが、そのうち市の道路所管課が参加するようになった。    住民サイドが行政に働きかけていくことが必要だ。(原文のまま)  【新たなる取組み事例】   ○国でのホームドア等に向けた取組み    平成23年3月31日に移動等円滑化の促進に関する基本方針を改正し、ホームドア・可動式ホーム柵について、優先的に整備すべき駅の検討などを新たな    目標(平成32年度末)設定。ホームドアの整備促進等に関する検討会を設置し、ハード、ソフト面での対応を検討。   ○エスコートゾーンの取組み    道路を横断する視覚障害者の安全性及び利便性を向上させるために横断歩道上に設置され、視覚障害者が横断時に横断の手かがりとする突起体の列を    エスコートゾーンとして整備。県内では未設置。東京都、埼玉県、千葉県では設置例有。  ウ 計画停電時などの安全なハード運用の確保  (ア)現状     東日本大震災後の計画停電については、バリアフリー対応がされている施設でも、その運用によっては、安全性に支障が生ずることが顕著になった    事例であり、次のような県民意見が寄せられた。   ○主な県民意見:計画停電時の対応    ・計画停電の際に、エスカレーターが使えなくなり、エレベーターを利用するように言われたが、エレベーターを利用する場合の経路が出口からかなり     遠くなっており、不便だった。    ・ 計画停電の時は、音響信号機も止まってしまうので怖い。    ・ 節電の関係で、色々なところで消灯しており、弱視の方は困っていると思う。    ・ 障害者の中には、温度調整がうまくできない人もいる。これから、節電で電車も弱冷房になったら、そういう人は夏を越せない。 (イ)取組み事例   ○東京電力への要請    県と東京電力との情報・意見交換会で的確な需要見通しによる計画停電回避、実施時には障害者への配慮等要請を実施   ○神奈川県公園バリアフリーガイド    神奈川県下全143箇所の広域避難所に指定された公園・緑地、 および公園周辺と最寄駅のバリアフリー情報を掲載(特定非営利活動法人神奈川県障害    者自立生活支援センター)   ○障害者のための防災マニュアル    障害別に防災を考えるうえで必要な心構えのポイント紹介や災害に直面した時に落ち着いて行動するための準備・ノウハウ(特定非営利活動法人神奈    川県障害者自立生活支援センター) エ 移動、災害時の案内板、伝達方法など情報保証 (ア)現状   ○主な県民意見:災害時の情報伝達等   ・ 災害時に、障害者が困ったときの窓口ができると心強い。   ・ 災害があったときに、役所の人が広報車でお知らせを放送していたが、分からない。メール等のお知らせもあるが、震災後に聞こえないと困るなと 非常に感じた。目に見えるよう情報の保証をしてほしい。   ・ 視覚障害の方は、避難所の張り紙だけでは、情報が伝わらない。例えば、食事時間の変更が、張り紙による案内だけでは、変更を知らずに食べ損なう    こともある。 (イ)取組み事例    ○整備ガイドブック、宿泊施設ガイドラインにおける誘導対応の取り組み   「みんなのまちづくりバリアフリー整備ガイドブック」「だれもが利用しやすい宿泊施設を目指して〜ガイドライン〜」   ・ 光と音で知らせる装置のついた非常口(視覚、聴覚障害)   ・ 客室には非常ベル等の音声以外の客室テレビの文字放送、従事者が緊急を知らせるプラカード持ち回り(聴覚障害)   ・ 介助を要する方と緊急時のスタッフ入室など話し合い、訓練   ○カラーバリアフリーなどに配慮した案内板等   目的地までの経路情報を得やすくし、高齢者、障害者等が建築物を円滑に利用できるよう「標識」や「案内板」を設置   整備の際には、子どもや知的障害者を含む多くの人が理解できるように、大きく分かりやすい平易な文字や記号、図等で表記 オ バリアフリー、ユニーバーサルデザインに配慮した施設整備 (ア)現状    不特定多数が利用する一定規模以上の施設を整備する場合には、条例に基づき事前協議等が必要であり、整備基準を遵守した施設のバリアフリー化が   求められている。 (イ)取組み事例 【ガイドライン、アドバイザー派遣】  ○みんなのバリアフリーまちづくり整備ガイドブック   事業者、設計者向けにバリアフリーの街づくりの考え方や条例の整備基準の解説  ○既存建築物のバリアフリー化整備事例集   既存建築物で段階的なバリアフリー化や部分的なバリアフリー化の参考となる店舗や銀行等のバリアフリー化事例や考え方を解説  ○だれもが利用しやすい宿泊施設を目指してガイドライン・事例集   ガイドライン...障害者や高齢者等が気兼ねなく宿泊できる施設の設備、配慮、サポート内容をまとめたもの   事例集...宿泊施設が参考となるような実践的な事例集  ○だれもが利用しやすい施設・お店好事例集(再掲)   県内の各店舗(企業)での設備や接客など障害者に対する配慮や積極的なバリアフリー化に取り組んでいる事例集  ○バリアフリーアドバイザー派遣   バリアフリーアドバイザー、障害当事者を無料で派遣し、既存施設の改善方法、概算費用見積、簡易図面の作成等の提案を実施  ○カラーバリアフリーアドバイザーの派遣・相談出前窓口   色覚障害者(NPO法人カラーユニーバサルデザイン機構職員)が、既存案内板等の色使いを検証し、改善についての指導・助言、相談の実施  ○カラーバリアフリー色使いのガイドライン   色覚障害者への配慮、工夫について解説し、見わけやすい色使いの方法、事例、チェックポイント等を記載  ○カラーバリアフリーサインマニュアル  「標識」「案内板」をカラーバリアフリー化する作成手順、事例、チェックポイント等を記載 【バリアフリー街づくり賞受賞者の取組み】  ○大和市立光丘中学校   車椅子使用者やオストメイトの方も利用できる多機能トイレ、エレベーター設置など、誰にも使いやすい学校施設づくり  ○株式会社みずほ銀行大船支店   店舗のバリアフリー化、高齢者、障害者等に優しい接客方法をまとめたマニュアルやビデオを作成し社員研修の実施  ○特別養護老人ホーム縁JOY   利用者の視点でのバリアフリー化とともに、保育所を併設し、地域に施設を一般開放、地域住民と触れあう生活環境の整備  ○平塚市西部福祉会館   親子で利用できるトイレの整備、出入口の点字ラベル貼付など建物のユニバーサルデザイン・バリアフリー化の実施  ○リコーテクノロジーセンターC棟   カラーバリアフリーに配慮した標識やエレベーターの表示ボタン等の先進的な取組み  ○開成町立開成南小学校   オストメイト対応設備やカラーバリアフリーの視点を踏まえた整備を進め、段差のない開放的な空間を持つ施設を整備  ○アリオ橋本   低速運転エスカレータ、お問い合わせコール、事前登録者がリモコンでゲートが開閉する車いす利用者用駐車場などを整備 【県内での取組み】  ○旧箱根町湯本中学校(アドバイザー派遣による既存施設改修事例)   廃校した中学校を福祉施設へ用途変更、身障者車両駐車区画の整備、室内のバリアフリー化の提案をもとに改修工事の実施  ○横須賀芸術劇場(アドバイザー派遣による既存施設改修事例)   車いす用トイレの改善(器具の設置位置の見直し)、位置が低く握りやすい手摺りの新設などをアドバイザー診断に基づき実施  ○秦野市観光課弘法の里湯   点字ブロック敷設、段差解消、廊下には利用する人の身長を考慮した2段の手摺り、車いす対応の浴室などを設置  ○萩原歯科医院(南足柄市)(小規模施設整備例)   延床面積100平米。ポーチや玄関の段差をフラット化、靴のまま上がれる診察台、限られた敷地を活用した車いす使用者用駐車区画整備  ○川崎市立はるひ野小中学校(市内初の小中合築校)   広いドア幅、音声案内、点字表示を備え付けたエレベータ、わかりやすく見やすいサイン(点字、絵文字、表示の大型化)などを設置  ○イオン(株)茅ヶ崎店   扉の開閉速度が遅い障害者用エレベータ、高さを調節できる昇降式テーブル、車いすのまま入れる試着室など整備、サービス介助士2級   の資格取得  ○神奈川県立都市公園   段差の解消、車いす使用者も花に近づけるみんなの花壇、みんなのトイレ、障害者用駐車区画などの整備   県立辻堂海浜公園プール:プール専用車いす、県立湘南海岸公園:砂浜用車いす、県立相模原公園:点字パンフレット  ○(株)伊勢原自動車学校   障害者等の話し合いを通じ施設や建物をバリアフリー化、教習車両の改良、研修や講習のための施設提供実施。 (4)条例適合率・遵守率向上に向けた取組み (ア)現状    条例の適合率、遵守率が低下傾向にある。   年度、H14、H15、H16、H17、H18、H19、H20、H21、H22   事前協議件数、604、648、654、660、675、533、494、486、569   適合率(%)、56、41、37、31、29、25、20、19、18   遵守率(%)、81、72、68、60、61、52、47、41、43   適合率=全項目適合の件数/事前協議件数×100   遵守率=(全項目適合の件数+13条(前段・後段)適用の件数)/事前協議件数×100   条例第13条 前段:整備基準を遵守する場合と同等以上に障害者等が安全かつ快適に利用することができる場合         後段:規模、構造、利用の目的、地形の状況等により整備基準を遵守することが困難である場合 (イ)取組み事例  ○条例事前協議の審査担当窓口によるワーキング検討   適合率、遵守率を向上させるため、現行の整備基準の見直し、事業者の取組みを促すための制度などの検討を実施 (5)施設の計画段階における関係者の参画 (ア)現状    条例では、県自ら設置し、管理する施設等については、障害者等が安全でかつ快適に利用できるように配慮し、整備に努めるとなっている。   既存公共施設のバリアフリー化を推進するため、バリアフリーに熟知した建築士と障害当事者による「バリアフリーアドバイザの派遣」、施設   における案内板、サイン等が色使いの点から利用者に遣いやすいものになるよう「色覚障害当事者によるアドバイザ派遣」を実施している。 (イ)取組み事例  ○障害当事者サポーター養成研修事業   街づくりやバリアフリー教育の際に適切な助言が行える人材育成の研修事業を行い、修了者は派遣可能者として登録  ○逗子市公共施設整備福祉適合委員会   障害者を含む委員会で、施工前の計画段階から利用者としての目で検討・審査する仕組み