公共交通機関の施設の整備基準解説 ・公共交通機関の施設とは、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第2 条4項に規定する旅客施設を対象とし、原則として、そのすべてのものを指定施設としま す。ただし、新たに建設若しくは大規模な改良にあたっては、別表第2の2の1の(1) から(4)並びに同表の3の(1)及び4の(1)に規定する整備項目に係る部分に限り ます。 (解説等は、原則として、「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドラ イン」に準拠している。) 1 移動円滑化経路 ●基本的な考え方 ・公共用通路と車両等の乗降口との間の経路は、高齢者、障害者等が円滑に通行できるよ うにする。 ●整備基準 ・公共用通路(旅客施設の営業時間内において常時一般交通の用に供されている一般交通 用施設であって、旅客施設の外部にあるものをいう。以下同じ。)と公共車両等の乗降口 との間の経路においては、次に定める構造の移動等円滑化された経路を乗降場ごとに1以 上設けること。 ●解説 ・「公共用通路」とは、旅客施設の営業時間内において常時一般交通の用に供されている 一般交通用施設であって、旅客施設の外部にあるものをいう。 ・公共用通路との出入口と各ホームを結ぶ乗降動線(同一事業者の異なる路線相互の乗り 換え経路を含む。)において旅客の移動が最も一般的な経路(主動線)を円滑にすること。 ・他の事業者や他の公共交通機関の乗り換え経路についても、移動の円滑化に配慮するこ と。 ●望ましい水準 ・他の経路に関しても可能な限り移動が円滑になるようにすること。特に線路によって地 域分断されている場合などは、各方面の主要出入口から移動円滑化された経路を確保する こと。 ●整備基準 (1)高低差の処理:移動等円滑化された経路において床面に高低差がある場合は、別表 第2の1の表2の項に定める構造の傾斜路又は(4)に定める構造のエレベーターを設け ること。ただし、構造上の理由により傾斜路又はエレベーターを設置することが困難であ る場合は、障害者等の円滑な利用に適した構造のエスカレーターをもってこれに代えるこ とができる。 ●解説 ・原則として、車いす使用者の単独での利用を考え、エレベーターを設置すること。 ・旅客施設に隣接しており、かつ、旅客施設と一体的に利用される他の施設の傾斜路(別 表第2の1の2に定める構造に限る。)又はエレベーター((4)に定める構造と同等以 上のものに限る。)を利用することにより、障害者等が旅客施設の営業時間内において、 常時公共用通路と車両等の乗降口との間の移動を円滑に行うことができる場合は、この限 りでない。 (障害者等の円滑な利用に適したエスカレーターの構造)  ・踏み段及びくし板の表面は、滑りにくい仕上げとすること。 ・踏み段の端部に縁取りを行うなどにより、踏み段相互の識別をしやすいようにすること。 ・くし板の端部と踏み段の色の明度の差が大きいこと等により、くし板と踏み段との境界 を容易に識別できるようにすること。 ・昇降口の踏み段の水平部分は、3枚以上とすることが望ましい。 ・くし板から70センチメートル程度の移動手すりを設けること。 ・乗降口には、旅客の動線の交錯を防止するため、高さ80から85センチメートル程度の固 定さく又は固定手すりを設置すること。 ・1以上は分速30メートル以下で運転可能なものを設置することが望ましい。 ・上り又は下り専用のエスカレーターの場合、上端及び下端に近接する通路の床面又は乗 り口付近のわかりやすい位置(ゲートポスト等)等において、当該エスカレーターへの進 入の可否を示すこと。 ・進入可能なエスカレーターの乗り口端部において、当該エスカレーターの行き先及び上 下方向を知らせる音声案内装置を設置すること。 ●望ましい水準 ・傾斜路を設ける場合は、有効幅員は180センチメートル以上とすること。 ・上り専用のものと下り専用のものをそれぞれ設けることが望ましい。 ・S1000型(踏み段幅約100センチメートル)以上とすることが望ましい。 ●整備基準 (2)出入口の構造:移動等円滑化された経路と公共用通路の出入口は、別表第2の1の 表4の項(1)に定める構造とすること。ただし、構造上の理由によりやむを得ず段を設 ける場合は、同表の1の表6の項に定める構造とし、同表の1の表2の項に定める構造の 傾斜路を併設すること。 ●解説 ・公共的通路との出入口については、だれもが、駅前広場や公共用通路など旅客施設の外 部からアプローチしやすく、わかりやすい配置とすること。特に、車いす使用者等が遠回 りにならない動線上の出入口を移動円滑化するよう配慮すること。 ・1以上の戸は、自動式引き戸とすること。 ・公共用通路と旅客施設の境界部分については、管理区域及び施行区分が異なることによ る段が生じないように配慮すること。 ●望ましい水準 ・有効幅員は、180センチメートル以上とすること。 ・屋外に通じる旅客施設の出入口には大きめのひさしを設置すること。 ●整備基準 (3)通路の構造:移動等円滑化された経路を構成する通路は、次に定める構造とするこ と。 ●解説 ・動線は、可能な限り明快で簡潔なものとし、複雑な曲がり角や壁、柱、付帯設備などが 突出しないように配慮すること。 ・空中突出物を設ける場合は、視覚障害者が白杖で感知できずに衝突してしまうことがな いよう配慮して設置すること。 ●望ましい水準 ・手すりを設置すること。手すりを設ける場合は、冬期の冷たさに配慮した材質とするこ と。 ●整備基準 ア 有効幅員:有効幅員は、140センチメートル以上とすること。ただし、構造上の理由 によりやむを得ない場合は、通路の末端の付近の広さを車いすの転回に支障のないものと し、かつ、50メートル以内ごとに車いすが転回することができる広さの場所を設けた上で、 有効幅員を120センチメートル以上とすることができる。 ●望ましい水準 ・有効幅員は、180センチメートル以上とすること。 ●整備基準 イ 戸の構造:戸を設ける場合は、有効幅員を90センチメートル以上とし、自動的に開閉 する構造又は障害者等が円滑に利用できる構造とすること。 ●整備基準 ウ 段:段を設けないこと。ただし、構造上の理由によりやむを得ず段を設ける場合は、 別表第2の1の表6の項に定める構造とし、同表の1の表2の項に定める構造の傾斜路を 併設すること。 ●整備基準 エ 床面の仕上げ:床面は、滑りにくい仕上げとすること。 ●整備基準 オ 照明設備:照明設備が設けられていること。 ●解説 ・通路は、高齢者や弱視者の移動を円滑にするため、充分な明るさを確保するよう採光や 照明に配慮すること。 ●整備基準 (4)エレベーターの構造:移動等円滑化された経路を構成するエレベーターは、次に定 める構造とすること。 ●解説 ・エレベーターの配置にあたっては、主動線上から認識しやすい位置に設置し、すべての 利用者が円滑に利用できるよう配慮する必要がある。 ・エレベーターの前には、一般旅客の動線と交錯しないようスペースを確保する。なお、 利用者動線や車いす使用者が内部で転回することなく利用できるといった利便性等の観点 からスルー型が有効な場合は、その設置を積極的に検討する。 ●望ましい水準 ・利用状況を勘案し、複数設置すること。 ●整備基準 ア 出入口の幅:かご及び昇降路の出入口の幅は、80センチメートル以上であること。 ●望ましい水準 ・出入口の幅は90センチメートル以上とすること。 ●整備基準 イ かごの大きさ:かごの内のり幅は140センチメートル以上であり、内のり奥行きは135 センチメートル以上であること。ただし、かごの出入口が複数あるエレベーターであって、 車いす使用者が円滑に乗降できる構造のもの(開閉するかごの出入口を音声により知らせ る設備が設けられているものに限る。)については、この限りでない。 ●解説 ・スルー型や直角2方向出入口型以外のエレベーターは、手動車いすが内部で180度転回 できる大きさである11人乗り(140センチメートル(幅)×135センチメートル(奥行 き))以上のものとする。 ●望ましい水準 ・手動車いすが内部で円滑に転回でき、かつ介助者と同乗できる大きさである15人乗り (160センチメートル(幅)×150センチメートル(奥行き))以上のものとすること。 ●整備基準 ウ 鏡:かご内に、車いす使用者が乗降する際にかご及び昇降路の出入口を確認するため の鏡が設けられていること。ただし、イただし書に規定する場合は、この限りでない。 ●解説 ・スルー型や直角2方向出入口型以外のエレベーターには、かご正面壁面に、出入口の状 況が把握できるよう大きさ、位置に配慮して鏡を設置する。(ステンレス鏡面又は安全ガ ラス等) ・スルー型や直角2方向出入口型のエレベーターには、車いす使用者の利用時の背後の状 況が把握できるよう大きさ、形状、位置に配慮して鏡を設置する。(ステンレス鏡面又は 安全ガラス等) ●望ましい水準 ・スルー型や直角2方向出入口型以外のエレベーターのかご正面壁面に設置する鏡は、床 上40センチメートル以下から150センチメートル程度までのものが望ましい。 ●整備基準 エ 視覚的に確認できる構造:かご及び昇降路の出入口の戸にガラスその他これに類する ものがはめ込まれていること又はかご外及びかご内に画像を表示する設備が設置されてい ることにより、かご外にいる者とかご内にいる者が互いに視覚的に確認できる構造である こと。 ●解説 ・犯罪や事故発生時の安全確保、聴覚障害者の緊急時の対応のため、ガラス窓を設けるこ と等により外部から内部が、内部から外部が見える構造とする。ガラス窓を設置できない 場合には、かごの内部から外部を、外部から内部を確認するための映像設備を設ける。外 部から内部を確認するための映像設備は、ロビー出入口の上部等、見やすい位置に設置す る。 ●望ましい水準 ・かご外部から、かご内の車いす使用者や小児、また転倒した旅客が視認できるよう、ガ ラス窓の下端は床面から50センチメートル程度が望ましい。 ・聴覚障害者も含めた緊急時への対応に配慮し、以下のような設備を設けること。 ・かごの内部が確認できるカメラを設ける。 ・故障の際に自動的に故障したことが伝わるようにし、かご内にその旨の表示を行うか、 又はかご内に故障を知らせるための非常ボタンを設ける。 ・係員に連絡中である旨や係員が向かっている旨を表示する設備を設ける。 ●整備基準 オ 手すりの設置:かご内に手すり(握り手その他これに類する設備を含む。以下同 じ。)が設けられていること。 ●解説 ・手すりは、扉のある側以外の壁面につけることとし、高さは80センチメートル〜85セン チメートル程度に設置し、握りやすい形状とする。 ●整備基準 カ 出入口の戸の構造:かご及び昇降路の出入口の戸の開扉時間を延長する機能を有した ものであること。 ●整備基準 キ かご内の階数等の表示設備:かご内に、かごが停止する予定の階及びかごの現在位置 を表示する設備が設けられていること。 ●解説 ・かご内に、かごの停止する予定の階及び現在位置を表示する装置を設置する。 ●望ましい水準 ・聴覚障害者が定員超過であることが確認できるよう、かご内操作盤付近の見やすい位置 に過負荷の文字表示灯を設置すること。 ●整備基準 ク かご内の階数等の音声設備:かご内に、かごが到着する階並びにかご及び昇降路の出 入口の戸の閉鎖を音声により知らせる設備が設けられていること。 ●解説 ・かご内に、かごの到着する階及び、扉の閉鎖を音声で知らせる設備を設ける。スルー型 の場合は、開閉する側の扉を音声で知らせる装置を設置する。 ●望ましい水準 ・到着階の構造を音声案内すること。 ●整備基準 ケ 操作盤の位置:かご内及び乗降ロビーには、車いす使用者が円滑に操作できる位置に 操作盤が設けられていること。 ●解説 ・操作盤のボタンは、指の動きが不自由な利用者も操作できるような押しボタン式とし、 静電式タッチボタンは避ける。 ・かご内に設ける操作盤は、車いす使用者が利用できるよう、かごの左右壁面中央付近に 置く。操作ボタンは高さ100センチメートル程度に設置する。出入口の戸の開扉時間を延 長する機能を有したものとする。 ●望ましい水準 ・音と光で視覚障害者や聴覚障害者にもボタンを押したことが分かるものが望ましい。 ・かご内に設ける操作盤は、視覚障害者で点字が読めない人もボタンの識別ができるよう 階の数字等を浮き出させること等により分かりやすいものとすることが望ましい。 ・ボタンの文字は、周囲との明度の差が大きいこと等により弱視者の操作性に配慮したも のであること。 ●整備基準 コ 視覚障害者が容易に操作できる構造の操作盤:かご内に設ける操作盤及び乗降ロビー に設ける操作盤のうちそれぞれ1以上は、点字がはり付けられていること等により視覚障 害者が容易に操作できる構造となっていること。 ●解説 ・かご内操作盤の各操作ボタン(階数、開、閉、非常呼び出し、インターフォン)には、 縦配列の場合は左側に、横配列の場合は上側に点字表示を行う。点字による表示方法はJ IS T0921規格にあわせたものとする。 ・かごの出入口部には、乗客の安全を図るために、戸閉を制御する装置を設ける。高さは、 車いすのフットサポート部分と身体部の両方の高さについて制御できるようにする。なお、 機械式セーフティーシューには、光電式、静電式または超音波式等のいずれかの装置を併 設する。 ・地震、火災、停電時管制運転を備えたエレベーターを設置する場合には、音声及び文字 で管制運転により停止した旨を知らせる装置を設ける。 ●整備基準 サ 乗降ロビーの広さ:乗降ロビーの幅は150センチメートル以上であり、奥行きは150セ ンチメートル以上であること。 ●解説 ・車いすが回転できる広さ(150センチメートル以上×150センチメートル以上)を確保す る。 ・新設等の場合には、エレベーターロビー付近には、下り階段・下り段差を設けない。 ・既存施設であってエレベーターロビー付近に下り階段・下り段差が存在する場合には、 その間には十分な広さの空間を設ける。 ●望ましい水準 ・電動車いすが回転できる広さ(180センチメートル以上×180センチメートル以上)を確 保すること。 ・既存施設であってエレベーターロビー付近に下り階段・下り段差が存在する場合には、 その間には十分な広さの空間を設けることとし(解説参照)、この場合、利用者の安全を 確保する観点からは、転落防止ポールの設置等の転落防止策をあわせて講ずること。 ●整備基準 シ 乗降ロビーの音声対応設備:乗降ロビーには、到着するかごの昇降方向を音声により 知らせる設備が設けられていること。ただし、かご内にかご及び昇降路の出入口の戸が開 いた時にかごの昇降方向を音声により知らせる設備が設けられている場合又は当該エレ ベーターの停止する階が2のみである場合は、この限りでない。 ●解説 ・かごの到着や昇降方向がロビーにおいて音声でわかるよう、設備を設ける。 ●整備基準 (5)視覚障害者用誘導ブロックの敷設:移動等円滑化された経路を構成する通路及び次 の場所には、視覚障害者誘導用ブロックを敷設し、又は音声その他の方法により視覚障害 者を誘導する設備を設けること。ただし、視覚障害者の誘導を行う者が常駐する2以上の 設備がある場合であって、当該2以上の設備間の誘導が適切に実施されるときは、当該2 以上の設備間の経路を構成する通路等については、この限りでない。 ●解説 ・線状ブロックは、旅客の動線と交錯しないよう配慮し、安全で、できるだけ曲がりの少 ないシンプルな道すじに連続的に敷設すること。 (視覚障害者誘導用ブロックの構造) ・形状については、JIS T9251規格にあわせたものとする。 ・黄色を原則とすること。ただし、周辺の床材との対比を考慮して、明度差あるいは輝度 比などが十分に確保できず、かつ安全で連続的な道すじを明示できない場合は、この限り でない。 ・十分な強度を有し、滑りにくく、耐久性、耐摩耗性に優れたものとすること。 ●整備基準 ア 傾斜路の上端及び下端:別表第2の1の表2の項に定める構造の傾斜路の上端及び下 端に近接する通路等 ●解説 ・傾斜路の上端及び下端に敷設する点状ブロックの位置は、傾斜路の始終端部から30セン チメートル程度離れた箇所とすること。 ●整備基準 イ 主要な出入口等の戸の構造:別表第2の1の表4の項(1)に定める構造の主要な出 入口等の戸の前後 ●整備基準 ウ 階段の上端及び下端に近接する通路等:別表第2の1の表6の項に定める構造の階段 の上端及び下端に近接する通路等 ●解説 ・階段への線状ブロックの敷設経路は、手を伸ばせば手すりに触れられる程度の距離を離 した位置とする。 ・階段の上端及び下端に敷設する点状ブロックの位置は、階段の始終端部から30センチ メートル程度離れた箇所とすること。 ●整備基準 エ 乗降ロビーに設ける操作盤に近接する通路等:(4)に定める構造のエレベーターの 乗降ロビーに設ける操作盤に近接する通路等 ●解説 ・エレベーターへの線状ブロックの敷設経路は、点字表示のある乗り場ボタンへ誘導する こと。 ・エレベーターの前に敷設する点状ブロックの位置は、点字表示のある乗り場ボタンから 30センチメートル程度離れた箇所とすること。 ●整備基準 オ 案内標示に近接する通路等:5の項に定める案内標示に近接する通路等 ●整備基準 カ 乗車券等販売所、案内所等に近接する通路等:6の項に定める構造の乗車券等販売所、 案内所等に近接する通路等 ●解説 ・券売機への線状ブロックの敷設経路は、点字運賃表及び点字表示のある券売機へ誘導す ること。この場合、改札口への線状ブロックの敷設経路からできる限り最短経路となるよ うに分岐すること。 ・線状ブロックで誘導される券売機の前に敷設する点状ブロックの位置は、券売機の手前 30センチメートル程度の箇所とすること。 ●整備基準 キ その他:その他特に視覚障害者の注意を喚起することが必要である場所 2 改札口 ●基本的な考え方 ・だれもが円滑に利用できるように、改札口を整備する。 ●整備基準 (1)視覚障害者用誘導ブロックの敷設 ●解説 ・改札口を設ける場合は、移動等円滑化された経路に、別表2の1の表4の項(1)ア、 イ及びエに定める構造の改札口を1以上設け、視覚障害者誘導用ブロックを連続して敷設 すること。 ●望ましい水準 ・有人改札口を設けること。 ・有人改札口、自動改札口のそれぞれ1以上に2の項に定める構造の改札口を設けること。 (有人改札口) ・有人改札口に筆談用のメモなどを準備するとともに、当該設備を保有している旨を表示 すること。 ・JIS T0103に適合するコミュニケーションボードを準備すること。 ・カウンターの一部は、高さ75センチメートル程度とし、けこみは高さ60センチメートル 以上、奥行40センチメートル程度とすること。 ●整備基準 (2)進入の可否の表示 ●解説 ・自動改札機を設ける場合は、当該自動改札機又はその付近に、当該自動改札機への進入 の可否を、容易に識別することができる方法で表示すること。 ●望ましい水準 ・有人改札口を設けること。 ・有人改札口、自動改札口のそれぞれ1以上に2の項に定める構造の改札口を設けること。 (有人改札口) ・有人改札口に筆談用のメモなどを準備するとともに、当該設備を保有している旨を表示 すること。 ・JIS T0103に適合するコミュニケーションボードを準備すること。 ・カウンターの一部は、高さ75センチメートル程度とし、けこみは高さ60センチメートル 以上、奥行40センチメートル程度とすること。 3 プラットホーム等 ●基本的な考え方 ・だれもが円滑に乗降できるように、プラットホーム等を整備する。 ●整備基準 ・プラットホーム等は、次に定める構造とすること。 ●整備基準 (1)床面の仕上げ:床面は、滑りにくい仕上げとすること。 ●解説 ・床面は、滑りにくい仕上げとすること。 ●整備基準 (2)ホームドア等の設置:次に定める設備が設けられていること。 ●解説 ・ホームドア、可動式ホームさく、視覚障害者誘導用ブロックを設置若しくは敷設する際 には、乗降時の安全性の観点から以下の措置を図ること。 ●整備基準 ア ホームドア等:発着するすべての鉄道車両の旅客用乗降口の位置が一定しており、鉄 道車両を自動的に一定の位置に停止させることができるプラットホーム(鋼索鉄道に係る ものを除く。)にあっては、ホームドア又は可動式ホームさく(旅客の円滑な流動に支障 を及ぼすおそれがある場合にあっては、点状ブロックその他の視覚障害者の転落を防止す るための設備) ●解説 (ホームドア) ・車両ドアとの間の閉じこめやはさみこみ防止措置を図ること。 ・ホームドアの開口部には点状ブロックを敷設する。 (可動式ホームさく) ・車両ドアとの間の閉じこめやはさみこみ防止措置を図ること。 ・ホームさくから身を乗り出した場合及びスキー板、釣り竿等長いものを立てかけた場合 の接触防止対策等から適切な高さのさくとすること。 ・可動式ホームさくの開口部には、点状ブロックを敷設すること。 ●望ましい水準 (ホームドア) ・ドアの開閉を音声や音響で知らせること。 (可動式ホームさく) ・ドアの開閉を音声や音響で知らせること。 ●整備基準 イ 視覚障害者の転落防止の設備:アに掲げるプラットホーム以外のプラットホームにあ っては、ホームドア、可動式ホームさく、点状ブロックその他の視覚障害者の転落を防止 するための設備 ●解説 (視覚障害者誘導用ブロック) ・階段等から連続して敷設された誘導用の線状ブロックとホーム縁端部の点状ブロックと が交わる箇所(T字部)については、誘導用の線状ブロックと縁端部の点状ブロックとの 間に点状ブロックを敷設すること。 (ホーム縁端警告用ブロック) ・ホーム縁端警告ブロックは、鉄軌道駅におけるプラットホーム縁端部の警告のために敷 設する。なお、プラットホーム上であっても、これ以外の場所には敷設しない。 ・プラットホームの縁端から80センチメートル以上離れた場所に、プラットホーム長軸方 向に沿って連続的に敷設する。また、原則としてプラットホームの縁端からホーム縁端警 告ブロックまでの距離は、最大でも100センチメートル程度とする。 ・内方線がホーム内側に位置するものとする。 ・プラットホーム上の柱などの構造物は、上記方法により敷設されるホーム縁端警告ブロ ックと干渉しないよう配慮する。やむを得ずホーム縁端警告ブロックがホーム縁端付近の 柱など構造物と干渉する場合においては、連続して敷設し、当該部分を切り取る形とする。 ただし、ホーム縁端警告ブロックと構造物との間に隙間を設けずに敷設する。 ・島式ホームにおいては、向かい合うホーム縁端警告ブロックの内方線の中心と中心とを 結ぶ距離を60センチメートル以上確保することを原則とする。ただし、やむを得ない場合 は、内方線の中心と中心とを結ぶ距離を40センチメートル以上確保する。また、40センチ メートル以上確保できない場合は、点状ブロックを敷設し、内方線は敷設しない。 ●整備基準 (3)転落防止のさく:プラットホームの線路側以外の端部には、利用者の転落を防止す るためのさくが設けられていること。ただし、当該端部に階段が設置されている場合その 他利用者が転落するおそれのない場合は、この限りでない。 ●解説 ・「利用者の転落を防止するためのさく」の高さは、110センチメートル以上とすること。 ●望ましい水準 ・線路側ホーム面において、列車が停車することがない等乗降に支障のない範囲について は、柵を設置すること。 ●整備基準 (4)警告のための設備:列車の接近を文字等により警告するための設備及び音声により 警告するための設備が設けられていること。ただし、電気設備がない場合その他技術上の 理由によりやむを得ない場合又はホームドア若しくは可動式ホームさくが設けられている 場合は、この限りでない。 ●解説 ・音声や音響による案内で、列車の接近、その列車の停止・通過、乗車可否(回送の場合 は回送である旨)、列車種別、行き先、次停車駅名を知らせる。 ・光や文字による情報で、列車の接近、その列車の停止・通過、乗車可否(回送の場合は 回送である旨)、列車種別、行き先、次停車駅名を知らせる。 ●整備基準 (5)照明設備:照明設備が設けられていること。 ●解説 ・プラットホームは両端部まで、高齢者や弱視者の移動等円滑化のため、採光や照明に配 慮する。 4 便所 ●基本的な考え方 ・利用者の利用に供する便所を設ける場合は、車いす使用者をはじめ、だれもが円滑に利 用しやすい便所を整備する。 ●整備基準 ・利用者の利用に供する便所を設ける場合は、次に定める構造の便所を1以上(男女用の 区別があるときは、それぞれ1以上)設けること。 ●解説 ・高齢者、障害者等の使用に配慮した多機能トイレを、高齢者、障害者等が利用しやすい 場所に男女共用のものを1以上設置するか男女別にそれぞれ1以上設置する。男女別に設置 する場合でも、異性介助の際に入りやすい位置(一般トイレ入口付近等)に設置する。 ●整備基準 (1)車いす使用者用便房の設置:車いす使用者をはじめ、障害者等が円滑に利用するこ とができるように、十分な床面積を確保し、かつ、腰掛便座、手すり等を適切に配置した 便房(以下「車いす使用者用便房」という。)を1以上設けること。 ●解説 <多機能トイレ> 1案内表示 ・多機能トイレの出入口付近には、障害者、オストメイト、高齢者、妊産婦、乳幼児を連 れた者等の使用に配慮した多機能トイレである旨を表示する。 2出入口 ・多機能トイレに入るための通路、出入口は、段差その他の障害物がないようにする。ま た、多機能トイレの位置が容易にわかるように触知案内図等を設置する。 ・触知案内図等において、点字により表示する場合の表示方法はJIS T0921規格にあ わせたものとし、触知案内図により表示する場合の表示方法はJIS T0922規格にあわ せたものとする。 3ドア ・電動式引き戸又は軽い力で操作のできる手動式引き戸とする。手動式の場合は、自動的 に戻らないタイプとし、握り手は棒状ハンドル式のものとする。 ・幅80センチメートル以上とする。 ・防犯上・管理上の理由等からやむを得ず常時施錠が必要となる場合には、ドア近くにイ ンターホン等を設置し、駅係員等が速やかに解錠できるものとする。 4鍵 ・指の動きが不自由な人でも容易に施錠できる構造のものとし、非常時に外から解錠でき るようにする。 5ドア開閉盤 ・ドア開閉盤は、電動式ドアの場合、車いす使用者が中に入りきってから操作できるよう ドアから70センチメートル以上離して設置するなど配慮する。高さは100センチメートル 程度とする。 ・電動式ドアの場合、手かざしセンサー式だけの設置は避け、操作しやすい押しボタン式 とする。手かざしセンサー式が使いにくい人もいることから、手かざしセンサー式とする 場合には押しボタンを併設する。 ・使用中である旨を表示する装置を設置する。 6大きさ ・手動車いすで方向転換が可能なスペースを確保する(標準的には200センチメートル以 上×200センチメートル以上のスペースが必要。)。 ・新設の場合等、スペースが十分取れる場合は、電動車いすで方向転換が可能なスペース を確保する(標準的には220センチメートル以上×220センチメートル以上のスペースが必 要。)。 7便器 ・便器は腰掛式とする。便器の形状は、車いすのフットサポートがあたることで使用時の 障害になりにくいものとする。 ・便座には便蓋を設けず、背後に背もたれを設ける。 ・便座の高さは40〜45センチメートルとする。 ・便器に逆向きに座る場合も考慮して、その妨げになる器具等がないように配慮する。 8オストメイトの方への対応 ・オストメイトのパウチやしびんの洗浄ができる水洗装置を設置する。 9手すり ・手すりを設置する。取り付けは堅固とし、腐触しにくい素材で、握りやすいものとする。 ・壁と手すりの間隔は握った手が入るように5センチメートル以上の間隔とする。 ・手すりは便器に沿った壁面側はL字形に設置する。もう一方は、車いすを便器と平行に 寄り付けて移乗する場合等を考慮し、十分な強度を持った可動式とする。可動式手すりの 長さは、移乗の際に握りやすく、かつアプローチの邪魔にならないように、便器先端と同 程度とする。手すりの高さは65〜70センチメートル程度とし、左右の間隔は70〜75センチ メートルとする。 10付属器具 ・便器洗浄ボタンは、便器に腰掛けたままの状態と、便器の回りで車いすから便器に移乗 しない状態の双方から操作できるように設置する。手かざしセンサー式だけの設置は避け、 操作しやすい押しボタン式、靴べら式などとする。手かざしセンサーが使いにくい人もい ることから、手かざしセンサー式とする場合には押しボタン、手動式レバーハンドル等を 併設する。 ・紙巻器は片手で紙が切れるものとし、便器に腰掛けたままの状態と、便器の回りで車い すから便器に移乗しない状態の双方から使用できるように設置する。 ・荷物を掛けることのできるフックを設置する。このフックは、立位者、車いす使用者の 顔面に危険のない形状、位置とするとともに、1以上は車いすに座った状態で使用できる ものとする。 ・手荷物を置ける棚などのスペースを設置する。 11洗面器 ・車いすから便器へ前方、側方から移乗する際に支障とならない位置、形状のものとする。 ・車いすでの使用に配慮し、洗面器の下に床上60センチメートル以上の高さを確保し、洗 面器上面の標準的高さを80センチメートル以下とする。よりかかる場合を考慮し、十分な 取付強度を持たせる。 ・蛇口は、上肢不自由者のためにもセンサー式、レバー式などとする。 ・鏡は車いすでも立位でも使用できるよう、低い位置から設置され十分な長さを持った平 面鏡とする。 12汚物入れ ・汚物入れはパウチ、おむつも捨てることを考慮した大きさのものを設置する。 13おむつ交換シート ・乳児のおむつ替え用に乳児用おむつ交換シートを設置する。ただし、一般トイレに男女 別に設置してある場合はこの限りではない。 14床仕上げ ・ぬれた状態でも滑りにくい仕上げとする。 ・床面は、高齢者、障害者等の通行の支障となる段差を設けないようにする。 15呼び出しボタン(通報装置) ・呼び出しボタンは、便器に腰掛けた状態、車いすから便器に移乗しない状態、床に転倒 した状態のいずれからも操作できるように設置する。音、光等で押したことが確認できる 機能を付与する。 16器具等の形状・色・配置 ・視覚障害者や肢体不自由な人等の使用に配慮し、紙巻器、便器洗浄ボタン、呼び出しボ タンの形状、色、配置についてはJIS S0026規格にあわせたものとする。 ●望ましい水準 3ドア ・握り手はドア内側の左右両側に設置すること。 ・幅90センチメートル以上とすること 8オストメイトの方への対応 ・水洗装置としては、パウチの洗浄や様々な汚れ物洗いに、汚物流しを設置すること。 ・汚物流しを設置する場合、オストメイトの方がペーパー等で腹部を拭う場合を考慮し、 温水が出る設備を設けること。 ・水洗装置の付近に、パウチなどの物を置けるスペースを設置すること。 10付属器具 ・小型手洗い器を便座に腰掛けたままで使用できる位置に設置することが望ましく、蛇口 は操作が容易なセンサー式、押しボタン式などとする。 11洗面器 ・おむつ交換やオストメイトがペーパー等で腹部を拭う場合を考慮し、温水が出る設備を 設けること。温水設備の設置にあたっては、車いすでの接近に障害とならないよう配慮す る。 ・洗面器前面の鏡とは別に、全身の映る姿見を設置すること。 13おむつ交換シート ・重度障害者のおむつ替え用等に、折りたたみ式のおむつ交換シートを設置すること。そ の場合、畳み忘れであっても、車いすでの出入りが可能となるよう、車いすに乗ったまま でも畳める構造、位置とする。 14床仕上げ ・排水溝などを設ける必要がある場合には、視覚障害者や肢体不自由者等にとって危険に ならないように、配置を考慮する。 ●解説 <トイレ全般> 1案内表示 ・出入口付近に男女別表示をわかりやすく表示する。 ・男女別及び構造を、視覚障害者がわかりやすい位置に、触知案内図等で表示する。 ・視覚障害者誘導用ブロックは、壁面等に設置した触知案内図等の正面に誘導する。 ・触知案内図等において、点字により表示する場合の表示方法はJIS T0921規格にあ わせたものとし、触知案内図により表示する場合の表示方法はJIS T0922の規格にあ わせたものとする。 ・触知案内図等は、床から中心までの高さを140センチメートルから150センチメートルと する。 2音声案内 ・視覚障害者誘導用ブロックによって誘導されたトイレ出入口付近壁面において、男女別 を知らせる音声案内装置を設置する。 3小便器 ・トイレ内に、杖使用者等の肢体不自由者等が立位を保持できるように配慮した手すりを 設置した床置式又はリップ高さ35センチメートル以下の低リップの壁掛式小便器を1以上 設置する。 ・小便器の便器洗浄については、自動センサー式など操作を必要としないものとする。 4大便器 ・トイレ内に腰掛式便器を1以上設置した上、その便房の便器周辺には垂直、水平に手す りを設置するなど高齢者・障害者等の利用に配慮したものとする。 5洗面器 ・洗面器は、もたれかかった時に耐えうる強固なものとするか、又は、手すりを設けたも のを1以上設置する。 6乳児用設備 ・乳児連れの人の利用を考慮し、トイレ内に1以上、男女別を設けるときはそれぞれに1以 上、大便用の便房内にベビーチェアを設置する。当該便房の扉には、ベビーチェアが設置 されている旨の文字表示を行う。 7床仕上げ ・ぬれた状態でも滑りにくい仕上げとする。 ・床面は、高齢者、障害者等の通行の支障となる段差を設けないようにする。 8呼び出しボタン(通報装置)  解説なし 9器具等の形状・色・配置 ・視覚障害者や肢体不自由な人等の使用に配慮し、紙巻器、便器洗浄ボタン、呼び出しボ タンの形状、色、配置についてはJIS S0026の規格にあわせたものとする ●望ましい水準 3小便器 ・杖使用者等が円滑に利用可能な小便器は、入口に最も近い位置に設置すること。 ・小便器の脇には杖や傘などを立てかけるくぼみやフック等を設け、小便器正面等に手荷 物棚を設置すること。 4大便器 ・便房の扉の握り手は、高齢者、障害者等が操作しやすい形状とすること。 ・和式便器の前方の壁に垂直、水平に手すりを設置するなど高齢者・障害者等の利用に配 慮したものとすること。 ・便房内には、杖や傘等を立てかけられるフック等、手荷物を置く棚等を設置すること。 ・弱視者、色覚障害者等に配慮し、扉には確認しやすい大きさ、色により使用可否を表示 すること。また、色だけでなく「空き」、「使用中」等の文字による表示も併記すること。 ・緊急時における聴覚障害者の安全確保の観点から、視覚的な警報装置を設置すること。 5洗面器 ・3〜4才児の利用に配慮し、上面の高さ55センチメートル程度のものを設けること。 6乳児用設備 ・スペースに余裕がある場合には複数の便房に設置し、洗面所付近にも設置すること。 7床仕上げ ・排水溝などを設ける必要がある場合には、視覚障害者や肢体不自由者等にとって危険に ならないように、配置を考慮すること。 8呼び出しボタン(通報装置) ・便器に腰掛けた状態、車いすから便器に移乗しない状態、床に転倒した状態のいずれか らも操作できるように呼び出しボタンを設置すること。この場合、音、光等で押したこと が確認できる機能を付与する。 ●整備基準 (2) 出入口の構造:便所及び車いす使用者用便房の出入口は、別表第2の1の表4の 項(2)に定める構造とすること。ただし、同表の1の表4の項(1)イについては、同 表の1の表2の項に定める構造の傾斜路を設ける場合は、この限りでない。 ●解説 (1)と同じ ●望ましい水準 (1)と同じ ●整備基準 (3) 床面の仕上げ:床面は、滑りにくい仕上げとすること。 ●解説 (1)と同じ ●望ましい水準 (1)と同じ ●整備基準 (4)男子用小便器の構造:男子用小便器を設ける場合は、手すり付きの床置式小便器、 壁掛式小便器(受け口の高さが35センチメートル以下のものに限る。)その他これらに類 する小便器を1以上設けること。 ●解説 (1)と同じ ●望ましい水準 (1)と同じ ●整備基準 (5)洗面器の設置:障害者等が円滑に利用できる構造の洗面器を1以上設けること。 ●解説 (1)と同じ ●望ましい水準 (1)と同じ ●整備基準 (6)水洗器具の設置:便所内に、障害者等が円滑に利用することができる構造の水洗器 具を設けた便房を1以上設けること。 ●解説 (1)と同じ ●望ましい水準 (1)と同じ ●整備基準 (7)出入口の表示:便所の出入口には、車いす使用者用便房のある便所である旨を分か りやすい方法で表示すること。 ●解説 (1)と同じ ●望ましい水準 (1)と同じ 5 案内表示 ●基本的な考え方 ・視覚障害者、聴覚障害者、外国人などコミュニケーション制約を抱えている利用者が、 公共交通機関を円滑に利用できるように表示する。 ・案内、誘導表示については、設置場所、高さ、文字の大きさ・形状、分かりやすさ、色 の組み合わせなどを十分に配慮する。 ・車いす使用者、視覚障害者、聴覚障害者が緊急時の避難から取り残されないよう、音声 設備、点字などを適切に設ける。 ●整備基準 (1)車両等の運行に関する情報の文字及び音声の設備:車両等の運行に関する情報を文 字等により表示するための設備及び音声により提供するための設備を備えること。ただし、 電気設備がない場合その他技術上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。 ●解説 (表示する情報内容) ・平常時に表示する情報内容は、発車番線、発車時刻、車両種別、行先など、車両等の運 行・運航に関する情報とする。 ・簡潔かつ分かりやすい文章表現とする。 ・異常情報を表示する場合は、フリッカーランプを装置に取り付けるなど、異常情報表示 中である旨を継続的に示す。 ・情報内容は、あわせてアナウンスにて、聞き取りやすい音量、音質、速さで繰り返す等 して放送する。 (配置位置) ・車両等の運行・運航用の可変式情報表示装置は、視覚情報への依存度の大きい聴覚障害 者を含む多くの利用者が、運行・運航により乗降場が頻繁に変動する場合に各乗降場へ分 流する位置のほか、改札口付近や乗降場、待合室など、視覚情報を得て行動を判断するの に適当な位置に配置する。 ●整備基準 (2)エレベーター等の設備の標識:エレベーターその他の昇降機、傾斜路、便所、乗車 券等販売所、待合所、案内所若しくは休憩設備(以下「移動等円滑化のための主要な設 備」という。)又は(4)に規定する案内板その他の設備の付近には、これらの設備があ ることを表示する標識を設けること。 ●解説 ・文字の大きさは、視力の低下した高齢者等に配慮して視距離に応じた大きさを選択する。 ・安全色に関する色彩は、公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライ ン別表2−1による。出口に関する表示は、このJIS規格により黄色とする。 ・サインの図色と地色の明度差、彩度差を大きくすること等により容易に識別できるもの とする。 ・ピクトグラムは、JIS Z8210に示された図記号を用いる。また、その他、一般案内 用図記号検討委員会が策定した標準案内用図記号を活用する。 ●望ましい水準 ・弱視者に配慮して、大きな文字を用いたサインを視点の高さに掲出すること。 ・サインは、必要な輝度が得られる器具とすること。さらに、近くから視認するサインは、 まぶしさを感じにくい器具とすること。 ・外光、照明の逆光や光の反射により、見にくくならないよう配慮することが望ましい。 また、サインの背景に照明や看板等が位置すること等により、見にくくならないように配 慮することが望ましい。 ●整備基準 (3)標識の規格:(2)の標識は、日本工業規格Z8210に適合するものとすること。 ●解説 ・文字の大きさは、視力の低下した高齢者等に配慮して視距離に応じた大きさを選択する。 ・安全色に関する色彩は、公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライ ン別表2−1による。出口に関する表示は、このJIS規格により黄色とする。 ・サインの図色と地色の明度差、彩度差を大きくすること等により容易に識別できるもの とする。 ・ピクトグラムは、JIS Z8210に示された図記号を用いる。また、その他、一般案内 用図記号検討委員会が策定した標準案内用図記号を活用する。 ●整備基準 (4)主要な設備の配置の表示:公共用通路に直接通ずる出入口(鉄道駅及び軌道停留場 にあっては、当該出入口又は改札口。(6)において同じ。)の付近には、移動等円滑化 のための主要な設備の配置を表示した案内板その他の設備を備えること。ただし、移動等 円滑化のための主要な設備の配置を容易に視認できる場合は、この限りでない。 ●整備基準 (5)案内板の構造:(4)の案内板は、別表第2の1の表12の項(3)に定める構造と すること。 ●解説 ・色の識別をしにくい者が円滑に利用できるように、見分けやすい色の組み合わせを用い て表示要素ごとの明度、色相及び彩度の差を確保するよう配慮すること。(別表第2の1 の表12の解説参照) ●整備基準 (6)主要な設備の配置を音、点字等により設置:公共用通路に直接通ずる出入口の付近 その他の適切な場所に、旅客施設の構造及び主要な設備の配置を音、点字その他の方法に より視覚障害者に示すための設備を設けること。 6 乗車券等販売所、案内所等 ●基本的な考え方 ・券売機、カウンター等の利便施設についても、だれもが円滑に利用できるように整備を 進める。 ●整備基準 (1)券売機、カウンター及び記載台又は公衆電話台を設ける場合は、次に定める構造の 券売機、カウンター及び記載台又は公衆電話台をそれぞれ1以上設けること。 ●解説 ・聴覚障害者が外部と連絡を取れるよう、自由に利用できる公衆ファックスの設置や携帯 電話、PHSなどが利用できる環境を整えること。 ●整備基準 ア 券売機の高さ等:券売機、カウンター及び記載台又は公衆電話台の高さは、車いす使 用者が利用しやすい高さとし、かつ、下部には、車いす使用者が円滑に利用できる構造の けこみを設けること。 ●解説 (券売機) ・金銭投入口は、車いす使用者が利用しやすい高さとすること。 ・主要なボタンは、110センチメートル程度の高さを中心に配置すること。 ・車いす使用者が容易に接近しやすいようカウンター下部に高さ60センチメートル程度以 上のけこみを設けること。 (カウンター及び記載台) ・けこみの一部は、高さ60センチメートル程度以上、奥行き40センチメートル程度以上と すること。 ・出札・案内カウンターの一部は、車いす使用者との対話に配慮して高さ75センチメート ル程度とすること。 ・出札・案内カウンターのついたてまでの奥行きは、車いす使用者との対話に配慮した30 〜40センチメートルとすること。 (公衆電話台) ・公衆電話台の高さは、70センチメートル程度とし、台下の高さを60センチメートル程度 以上とすること。 ・ダイヤルやボタンの高さは、90から100センチメートル程度とする。 ・けこみの奥行きは、45センチメートル程度以上確保すること。 ●望ましい水準 (券売機) ・インターホン、呼び出しボタンなどは利用者にとって使用しやすい高さ、構造とするこ と。 ●整備基準 イ 券売機等の構造:券売機及び公衆電話機は、障害者等が円滑に利用できる構造とする こと。 ●解説 (券売機の構造) ・金銭投入口は、硬貨を複数枚入れることができるものとすること。 ・運賃等の主要なボタンには点字を併記する。 ・点字の表示位置については、JIS T0921規格にあわせたものとする。 ・点字は、はがれにくいものとすること。 ・券売機の横に点字運賃表を設置すること。点字による表示方法は、JIS T0921規格 にあわせたものとする。 ・点字運賃表の表示順序は50音順とすることを原則とし、見出しを設ける。 ・タッチパネル式の場合は、点字表示付きのテンキーを設置すること。 ・テンキーを設置した券売機には、音声案内を設置すること。 ●望ましい水準 (券売機の構造) ・点字ボタンの料金表示は、周辺との明度の差を大きくする等弱視者の利用に配慮するこ と。 ・点字運賃表は、可能な限り大きな文字でその内容を示すこと等により弱視者に運賃が分 かりやすくすること。 (公衆電話機の構造) ・外国人の利用の多い旅客施設には、英語表示の可能な電話を設置すること。 ・少なくとも1台は音声増幅装置付き電話機を設けること。この場合、見やすい位置にそ の旨表示する。 ●整備基準 (2)カウンター及び記載台には、聴覚障害者が文字により意思疎通を図るための設備を 備えること。この場合においては、当該設備を保有している旨を表示すること。 ●解説 ・筆談用のメモ用紙などを準備し、聴覚障害者とのコミュニケーションに配慮する。 ・この場合においては、当該設備を保有している旨を表示し、聴覚障害者がコミュニケー ションを図りたい場合において、この表示を指差しすることにより意思疎通が図れるよう に配慮する。 ・筆談用具がある旨の表示については、駅員及び旅客から見やすく、かつ旅客から手の届 く位置に表示する。 ●望ましい水準 ・言葉による人とのコミュニケーションが困難な障害者等に配慮し、JIS T0103に適 合するコミュニケーション支援記号等によるコミュニケーションボードを準備すること。 ●整備基準 (3)利用者の休憩の用に供する設備を1以上設けること。ただし、利用者の円滑な流動 に支障を及ぼすおそれのある場合は、この限りでない。 ●解説 ・旅客の移動を妨げないよう配慮しつつ、主な経路上に休憩のためのベンチ等を設けるこ と。 ・水飲み台を設ける場合は、旅客の移動等を妨げないよう配慮する。車いす使用者が使い やすいよう、高さは70〜80センチメートルとする。壁つきの場合には、蹴込みの高さは60 センチメートル程度、奥行きは35〜40センチメートル程度とすること。 ●望ましい水準 ・待合室を設ける場合は、車いす使用者、ベビーカー使用者等の利用に配慮し、130セン チメートル×75センチメートル以上のフリースペースを設けること。 ・授乳室やおむつ替えのできる場所を設け、ベビーベッドや給湯設備等を配置すること。