(参考資料9−2) 15 視覚障害者の安全かつ円滑な利用に必要な設備 ●基本的な考え方 ・視覚障害者が施設を安全かつ円滑に利用できるよう、音声案内、視覚障害者誘導用ブロック等を適切に設ける。 ・視覚に代わる情報伝達方式は、複数の方法を併用して活用する。 ・白杖等の使用者は、歩行中足下から上部の情報が入手しにくい。上部のみに突出した構築物は衝突の危険があるので避ける。 ●整備基準  (1)視覚障害者用誘導ブロックの敷設等:道等から12の項(2)イに定める構造の設備又は案内所までの経路(駐車場から4の項に定める構造の出入口等に至る経路を除く。)は、そのうち1以上を、次に掲げる視覚障害者が円滑に利用できる経路とすること。ただし、小規模無床診療所及び小規模店舗及び小規模興行・遊興施設並びに別表第1の7の項から9の項まで及び16の項に掲げる公共的施設にあっては、この限りでない。 ●望ましい水準 ・公共的施設においては、15の項に定める設備を設けること。 ・会議等では、点字資料や録音テープ等を用意すること。 ●整備基準 ア 視覚障害者用誘導ブロックの敷設:視覚障害者の誘導を行うために、線状ブロック等(床面に敷設されるブロックその他これに類するものであって、線状の突起が設けられており、かつ、周囲の床面との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより容易に識別できるものをいう。以下同じ。)及び点状ブロック等(床面に敷設されるブロックその他これに類するものであって、点状の突起が設けられており、かつ、周囲の床面との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより容易に識別できるものをいう。以下同じ。)を適切に組み合わせて敷設し、又は音声その他の方法により視覚障害者を誘導する設備を設けること。ただし、進行方向を変更する必要がない風除室内においては、この限りでない。 ●解説 (視覚障害者誘導用ブロックの構造) ・形状については、JIS T9251によるものを使用する。 ・色は、黄色を原則とすること。ただし、周辺の床材との対比を考慮して、明度差あるいは輝度比などが十分に確保できず、かつ安全で連続的な道すじを明示できない場合は、この限りではない。 ・十分な強度を有し、滑りにくく、耐久性、耐摩耗性に優れたものとすること。 (視覚障害者誘導用ブロックの敷設方法) ・車いす使用者やベビーカー等での通行に支障がないよう敷設するとともに、構築物等の壁面から通行の支障とならない距離を確保すること。 ・病院や高齢者が入所する福祉施設、幼児が利用する保育所等の施設においては、視覚障害者誘導用ブロックの敷設が利用者の利用に支障をきたさないようにすること。もっぱら高齢者等が利用する入所型高齢者施設における誘導措置については、誘導用ブロックを整備する代わりに手すり・音声による案内設備等を設置することも考えられる。 (敷設位置) ・受付等の前に敷設する点状ブロックの位置は、受付等の前端から30センチメートル程度離れた箇所とすること。 (音声その他の方法) ・音声その他の方法により視覚障害者を誘導する設備とは、音声装置、誘導チャイム等をいう。 ●望ましい水準 ・視覚障害者が利用することの多い施設の出入口の1以上には音声誘導装置を設けること。 ●整備基準 イ 敷地内通路:経路を構成する敷地内の通路の次に掲げる部分には、視覚障害者に対し警告を行うために、点状ブロック等を敷設すること。 (ア)車路に近接する部分 (イ)段がある部分又は傾斜(こう配が20分の1を超えないもの及び高さが16センチメートルを超えず、かつ、こう配が12分の1を超えないものを除く。)がある部分の上端に近接する部分 ●整備基準  (2)傾斜路等の敷設:次の場所(別表第1の8の項に掲げる公共的施設のうち、共同住宅(小規模共同住宅を除く。)にあっては、ア(6の項に定める構造の階段の上端に近接する廊下等の部分に限る。)及びエに掲げる場所に限る。)は、視覚障害者が円滑に利用できるように、点状ブロック等を敷設し、又は音声その他の方法により視覚障害者を誘導する設備を設けること。ただし、小規模無床診療所、小規模店舗、小規模共同住宅及び小規模興行・遊興施設並びに別表第1の7の項、8の項(寄宿舎の用に供するものに限る。)、9の項及び16の項に掲げる公共的施設にあっては、この限りでない。 ●整備基準 ア 傾斜路等の上端及び下端:2の項に定める構造の傾斜路及び6の項に定める構造の階段の上端及び下端に近接する廊下等の部分 ●解説 ・傾斜路の上端及び下端に敷設する点状ブロックの位置は、傾斜路の始終端部から30センチメートル程度離れた箇所とすること。 ・階段の上端及び下端に敷設する点状ブロックの位置は、階段の始終端部から30センチメートル程度離れた箇所とすること。 ●整備基準 イ 踊場:2の項に定める構造の傾斜路の傾斜(こう配が20分の1を超えないもの及び高さが16センチメートルを超えず、かつ、こう配が12分の1を超えないものを除く。)がある部分の上端に近接する踊場(駐車場に設けるものを除く。)の部分(傾斜がある部分と連続して手すりを設ける場合はこの限りでない。) ●整備基準 ウ 主要な出入口等の戸の構造:4の項(1)に定める構造の主要な出入口等のうち、それぞれ1以上の主要な出入口等(屋内に設ける改札口及びレジ通路を除く。) 又は各利用居室相互間の経路の出口の戸の前後 ●整備基準 エ 階段の上端及び下端:6の項に定める構造の階段(駐車場に設けるものを除く。)の段がある部分の上端に近接する踊場の部分(段がある部分と連続して手すりを設ける場合はこの限りでない。) ●整備基準 オ エスカレーターの端部等:エスカレーターの端部等、特に視覚障害者の注意を喚起することが必要である場所 ●解説 ・エスカレーター前に敷設する点状ブロックの位置は、エスカレーター始終端部の点検蓋から30センチメートル程度離れた箇所とすること。 ●望ましい水準 ・エスカレーターの始終端部では、音声等により視覚障害者等へ注意を喚起すること。 ・逆乗り防止のセンサーを設けること。 ・乗降口に誘導柵を設けること。 ●整備基準  (3)手すりへの点字その他の案内設備の設置:2の項に定める構造の傾斜路、5の項に定める構造の廊下等及び6の項に定める構造の階段に設ける手すりの端部には、必要に応じて、点字その他の案内設備を設けること。 ●解説 ・「点字その他の案内設備」とは、点字のほか、音声案内等をいう。 手すりの点字その他の案内設備においては、現在位置や行き先、上下階の情報を確認でき、目的地への移動の支援となるような内容とすること。 ・点字は、はがれにくいものとすること。 ●整備基準  (4)出入り口への点字その他の案内設備の設置:8の項に定める構造の便所及び10の項に定める構造の客室の出入口には、点字その他の案内設備を設けること。 ●解説 ・8の項(1)に定める構造の便所(みんなのトイレ)においては、現在位置や構造及びだれもが利用できる便所である旨を案内すること。 ・8の項(2)に定める構造の便所においては、現在位置や構造及び男女の区別があるときは、当該区別を案内すること。 ・10の項に定める構造の客室においては、現在位置及び部屋番号等を案内すること。 ・点字による案内設備は、床から中心までの高さを140〜150センチメートルとすること。 ・点字は、はがれにくいものとすること。 ●望ましい水準 ・集会、案内機能を有する居室(事務室、集会室、相談室など)等を設ける場合は、出入口に点字等により、現在位置及び部屋番号等を表示すること。 ●整備基準  (5)エスカレーターのくし板:エスカレーターを設ける場合には、くし板をステップ部と区別しやすい色とすること。